JP3988115B2 - カレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いたシート - Google Patents

カレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いたシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルのカレンダー加工においてロール剥離性、ロングラン加工性、熱安定性に優れ、食品、化粧品、飲料用のシュリンクラベル、保香性ヒートシールフィルム、耐油性多層シート等、各種シート、フィルム、特に工業加工用シート、フィルムに有用なカレンダー加工に最適なポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より塩化ビニル(以下、塩ビ)系シート(フィルム)は安価でかつ透明性に優れることからあるゆる用途に多用されている。このシートを加工する方法としては押し出し成型やカレンダー成型が知られているが、押し出し成形ではカレンダー成形と比較して、ダイリップの摩擦が樹脂の加工性(成形性)を左右し、シート(フィルム)の厚さ、幅、流れ方向などにおいて精度が劣り、また大量生産にも不向きである。よって生産性や品質の観点より後者がより多く使われている。また塩ビは可塑剤を添加する事により自由に柔軟性を調節できることからシートとしての加工がしやすく、その用途の代表例としては、木材の意匠性向上のために木目を印刷した化粧版シート(フィルム)がある。しかしながら近年、塩ビ焼却時のダイオキシン発生の問題、内分泌撹乱物質等による可塑剤使用抑制の問題より塩ビ系シート(フィルム)を他の素材に置き換えようとする動きがある。数ある代替素材の内、ポリエステルはその物理的性状、価格等の面より有力な素材である。しかし、ポリエステルで代替するに当たっては二つの大きな課題がある。
【0003】
まず第一に、塩ビシートの成型方法として多用されているカレンダー成型への適用が難しいことである。従来ポリエステル樹脂は、シートやフィルムを製造する方法として、加工の容易さから押し出し成形が主に使用されてきた。しかしながらポリエステル樹脂をカレンダー加工しようとすると、熱可塑化した際のロールへの粘着力が比較的強く、加工時にロールに付着し易いため成型が困難である。そこでロールへの付着を防止するために種々の滑剤を添加することが試みられている。かかる滑剤としては例えばポリエチレンワックスやパラフィンワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、高級脂肪酸による金属石鹸、脂肪酸アマイド系滑剤、エステル系滑剤、他種の滑剤の検討が行われたが、十分なロール剥離性とロングラン加工時間を得ることは出来ず、また、ロングラン加工した際に、得られたシート(フィルム)が着色して、シート(フィルム)の色相が悪くなるといった問題が生じる。
【0004】
2つ目の課題は、透明なシートを得る為に非晶性ポリエステルや透明性の高い結晶性ポリエステルを採用しようとした場合、溶剤や洗剤といった化学薬品への耐性が弱く、浸漬したりこすったりした際に白化や膨潤を起こしてしまうことである。化粧板シートに貼り合わせた木材をテーブルや家具、流し台の収納扉等に加工する際、シートに汚れが付着することが良くある。この汚れを落とす工程でアルコールやメチルエチルケトンといった溶剤でふき取ることが行われているが、表面のポリエステルが白化してしまったり、あるいは膨潤または溶解して外観が悪くなり使えなくなってしまう。またそのような家具が−般家庭で使われる際には、家庭用や台所用の洗剤で汚れを落とすことが日常的に行われるが、やはり溶剤で拭くのと同様に外観が悪くなってしまう問題がある。
【0005】
これまでのポリエステル樹脂のカレンダー加工の検討例を以下に示し、従来の技術についてさらに詳細に述べる。特開平7−278418、特開平8−283547では結晶性のポリブチレンテレフタレート系エラストマーをカレンダー加工してシートを得ているが、加工直後から樹脂が結晶化してシートが白化しており、透明性の要求される化粧版用途では使用しにくい。また特開平11−343353、特開2000−136294、特開2000−186191、特開2000−302951、特開2001−64496、特開2001−4019、US−6068910でシクロヘキサンジメタノールを共重合した非晶性のポリエチレンテレフタレートをカレンダー加工によりシート化しているが、透明性は良好なものの、何れも耐薬品性は不充分であり、溶剤に浸漬するとシートの白化が起きて化粧版シートとしての実用化は難しい。また本発明者らが開示されている滑剤を使用してカレンダー加工のテストを行ったところ、滑剤の量を多くすると加工後のシートの透明性や印刷性が低下し、滑剤の量を少なくすると加工時のロール離型性が低下し、両者のバランスをうまく取ることができなかった。またこれら滑剤を主体にした場合、ロングラン加工時に次第にシートが着色し、シートの外観が低下するという問題も生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、加工時におけるロール離型性と加工後のシート性状(着色がほとんどなく、透明性や印刷性が良好であり、しかも耐溶剤性や耐洗剤性が優れる)を両立化できるカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を達成すべく、鋭意研究した結果、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶核剤、滑剤を配合することにより、カレンダー加工時におけるロール離型性及びロングラン加工性と、加工後のシート性状(着色がほとんどなく、透明性や印刷性良好であり、しかも耐溶剤性や耐洗剤性が優れる)を両立化できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は以下の特徴を有している。
(1)(ア)非晶性ポリエステル樹脂、(ウ)シュウ酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、安息香酸アルカリ金属塩、サリチル酸アルカリ金属塩、酒石酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ金属塩、モンタンワックスアルカリ金属塩、モンタンワックスエステルアルカリ金属塩、テレフタル酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上からなる結晶核剤および(エ)ポリオレフィン系ワックスおよび/または有機リン酸エステルの金属塩である滑剤を含むことを特徴とするカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物
【0009】
(2)少なくとも2種のポリエステル、(ウ)結晶核剤および(エ)滑剤を含むカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物であって、2種以上のポリエステルのうち少なくとも1種は(ア)非晶性ポリエステルであることを特徴とする上記(1)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0010】
(3)(ア)非晶性ポリエステル、(イ)結晶性ポリエステル、(ウ)結晶核剤、(エ)滑剤からなり、(ア)成分と(イ)成分との合計量100重量部を基準にして、(ア)30〜97重量部、(イ)3〜70重量部、(ウ)0.1〜10重量部、(エ)0.01〜5重量部であることを特徴とする上記(2)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0011】
(4)(ア)非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分であることを特徴とする(1)または(2)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0012】
(5)(ア)非晶性ポリエステルの炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることを特徴とする(4)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0013】
(6)(ア)非晶性ポリエステルの炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする(4)または(5)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0014】
(7)(イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点が90〜220℃であることを特徴とする(3)〜(6)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0015】
(8)(イ)結晶性ポリエステルの全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことを特徴とする(3)〜(7)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0017】
)25℃にて引張モードでの貯蔵弾性率が1×107 Pa以上であり、かつ、引張モードでの貯蔵弾性率が1×107Paから1×106 Paまでを示す温度領域の巾が60℃以上であることを特徴とする(1)〜()記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物
(1)上記(1)〜()の樹脂組成物をカレンダー加工して得られたシート。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物は、(ア)非晶性ポリエステル、(ウ)結晶核剤、(エ)滑剤からなるものである。ここで言う非晶性とは以下のように定義する。すなわち示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、50℃/minで300℃から−100℃まで冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/minの速度で再度昇温する。その2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを持たないことを示す。逆に結晶性とは同様な条件でDSCを測定すると明確な融解ピークを示すことである。
また、ロール離型性と加工後のシート性状を高いレベルで両立させるには、本発明のポリエステル樹脂組成物中には少なくとも2種類のポリエステルが含まれていることが好ましく、その中の少なくとも一つは非晶質ポリエステルである。また、非晶質ポリエステル以外に(イ)結晶性ポリエステルが含まれていることがさらに好ましい。
【0019】
本発明ではまず、(ア)非晶性ポリエステル樹脂、(ウ)結晶核剤および(エ)滑剤を必須成分として含む。DSCで明確なピークを持たないポリエステルであっても、溶剤に触れると結晶化が起こり白化するが、結晶核剤を含むことにより結晶がシート自身の透明性を損なわない程度の小さな大きさに結晶化する作用があるものと考えられる。その結晶性成分が存在するために、溶剤がシート表面に付着しても樹脂の膨潤が起こらず、分子運動が妨げられ白化を防ぐことができると考えられるが、この理由の如何より権利範囲が確定されるものではない。
【0020】
また、滑剤はカレンダーロールにポリエステル樹脂の粘着を防止するために必須となる。
さらにこの効果を高めるために、本発明では、少なくとも2種のポリエステル、を用いることが好ましく、2種以上のポリエステルのうち少なくとも1種は(ア)非晶性ポリエステルである。2種以上のポリエステルのうちより結晶化しやすい方が速やかに透明性を損なわない程度に結晶化するものと考えられる
さらに、(イ)結晶性ポリエステルが含まれていることが好ましい。溶剤性を発現するためには、できあがったシート中に存在する結晶性ポリエステルがシート自身の透明性を損なわない程度に結晶化するものと考えられる。
【0021】
まず、ポリエステルについて説明する。
本発明のポリエステル100重量部に対して、(ア)非晶性ポリエステルの配合下限は好ましくは30重量部、より好ましくは50重量部、さらに好ましくは65重量部であり、配合上限は好ましくは97重量部、より好ましくは90重量部である。(イ)結晶性ポリエステルの配合下限は好ましくは3重量部、より好ましくは5重量部であり、配合上限は好ましくは70重量部、より好ましくは50重量部、さらに好ましくは35重量部である。非晶性ポリエステルの配合量が30重量部未満であると、カレンダー加工時に樹脂ダレを起こさないようにする上で加工温度での粘弾性を調整しづらく、また、出来上がったシートの結晶性が顕著となるため外観の白化を起こすので好ましくない。また非晶性ポリエステルの配合量が97重量部を越えると、出来上がったシートの耐溶剤性や耐洗剤性が高いレベルで維持しにくくなる。
【0022】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂は炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが望ましい。ここでいう主成分とは全酸成分及びグリコール成分をそれぞれ100モル%としたとき、両成分それぞれが50モル%以上、好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%以上である。両成分が50モル%未満になるとカレンダー加工して得られるシートの伸度及び機械的物性が低下する。
【0023】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂のうち炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることが望ましい。これらのジカルボン酸を使用するとカレンダー加工して得られるシートの伸度及び機械的物性がさらに向上する。
【0024】
本発明の(ア)非晶性ポリエステル樹脂は、上記のテレフタル酸、イソフタル酸以外の他の多価カルボン酸を共重合しても良く、例えばオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。
【0025】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステルのうち炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールであることが好ましい。さらには、エチレングリコールが40モル%以上、さらには50モル%以上、特には4モル%以上必須成分として含まれ、さらにジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも一種が60モル%未満、さらには50モル%未満、特には40モル%未満含まれるものであることが好ましい。なお、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールから選ばれた少なくとも一種は10モル%以上、特には15モル%以上含まれることが好ましい。
この中でもエチレングリコールとネオペンチルグリコールの組み合わせは滑剤との相溶性が良好であり、ロール離型性とシートの透明性を両立させやすい。
【0026】
本発明の(ア)非晶性ポリエステル樹脂は、上記のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
【0027】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点は90〜220℃であることが好ましい。より好ましい下限は100℃、さらに好ましくは110℃である。一方より好ましい上限は200℃、さらに好ましくは190℃である。融点が90℃未満になると結晶性が低下することにより、耐溶剤性や耐洗剤性が低下する。一方融点が220℃を越えるとカレンダー加工する際のロールの表面温度を高く設定する必要が生じるため、ポリエステルの加水分解により分子量が低下するため加工時のロール離型性が悪くなったり、シート伸度の低下が起こったりする。
【0028】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステルは、その全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことが好ましい。より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上である。耐溶剤性を発揮させるためにはシート中に存在する結晶性ポリエステルを速やかに結晶化させることが重要であるが、十分な結晶性を付与するには上記成分を50モル%以上含むことが好ましい。逆に50モル%未満になると耐溶剤性が低下する。上記成分の中でも特にエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールを使用すると比較的結晶化が速やかに進行するので耐溶剤性の観点より好ましい。
【0029】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステル樹脂は、上記のエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール以外の他の多価カルボン酸成分、多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば多価カルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。一方多価アルコール成分としては1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
【0030】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂及び(イ)結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、好ましくは15000〜40000、より好ましくは18000〜35000、さらに好ましくは20000〜35000である。数平均分子量が15000未満であると、樹脂凝集力不足のためにシートの強伸度が不足し、脆くなって使用できない。一方、40000以上になると溶融粘度が上がるために、カレンダー加工するのに最適な温度も上がってしまい、結果的にロール離型性を悪くしてしまう。
【0031】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂及び(イ)結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは100当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。酸価が100当量/106gを越えると、カレンダー加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがったシートの機械的強度が低下する。また、樹脂の分解が進むことより、ロール離型性も低下する。
【0032】
本発明に用いられるポリエステル樹脂組成物の、220℃、剪断速度100sec-1のときの溶融粘度は、好ましくは6000〜60000dPa・sec、より好ましくは7000〜50000dPa・sec、さらに好ましくは8000〜40000dPa・secである。溶融粘度が6000dPa・sec未満だと樹脂の粘着性が増すためにロール離型性が低下する。一方60000dPa・secを越えると溶融粘度が高すぎて、生産性が低下するため実用的でない。
【0033】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、(ウ)結晶核剤を添加することが必須である。全ポリエステル樹脂100重量部に対して、結晶核剤の配合下限は0.1重量部、配合上限は10重量部である。好ましくは、下限0.5重量部、上限5重量部である。配合量が0.1重量部より少ないと耐溶剤性効果が薄れる。逆に、10重量部を越えると、カレンダー加工時の流動性や、シートとしての機械的物性が低下し、好ましくない。結晶核剤は結晶性ポリエステルの結晶化速度や、非晶性ポリエステルの配向を速め、速やかに結晶化、配向化を完了させると共に、結晶核の数を調節することにより球晶の大きさもコントロールできる。生成する球晶の直径が可視光の波長以下の非常に微細な結晶であれば、樹脂結晶化後も透明性を失わず、シートの透明性と耐溶剤性を両立することが容易になるものと考えられる。
【0034】
なお、球晶の直径は、300nm以下、さらには200nm以下、特には100nm以下が好ましい。結晶核剤の具体例としてはシュウ酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、安息香酸アルカリ金属塩、サリチル酸アルカリ金属塩、酒石酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ金属塩、モンタンワックスアルカリ金属塩、モンタンワックスエステルアルカリ金属塩、テレフタル酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上からなるものである。上記の塩類の中では特にナトリウム塩が結晶核が小さくなる効果が高くより好ましい。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂を使用してカレンダー加工によりシートを作成する場合、ロール離型性を高めるために、当該ポリエステル樹脂に滑剤を配合する必要がある。
【0036】
本発明に用いられる滑剤の配合量は全ポリエステル樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部である。好ましい下限は0.05重量部、より好ましい下限は0.1重量部、さらに好ましい下限は0.5重量部である。また好ましい上限は4.5重量部、より好ましい上限は4重量部、さらに好ましい上限は3.5重量部である。滑剤の量が0.01重量部未満ではロール離型性の向上効果が得難く、5重量部を越えると加工で得られたシートの透明性、着色、印刷性が低下する傾向を示す。
【0037】
本発明に用いられる滑剤としては、ポリオレフィン系ワックスおよび/または有機リン酸エステルの金属塩を使用するのが好ましい。
【0038】
本発明で滑剤として使用するポリオレフィン系ワックスには、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びこれらの誘導体が挙げられ、当該誘導体としては、アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、マレイン酸といった他のモノマーとの共重合体及び部分的に酸化した分解型がある。
【0039】
本発明で滑剤として使用する有機リン酸エステルの金属塩としては、例えば、下記一般式(I)で表される有機リン酸エステルの金属塩および/または下記一般式(II)で表される有機リン酸エステルの金属塩が挙げられる。
【0040】
式(I):
[{RO(Cf2fO)n3-a-oPO(O)a(OH)ed{M(OH)bc
〔式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnまたはA1を表し、aは1または2を表し、eは0または1を表し(但し、aが1のときは0または1、aが2のときは0である。)、bは0〜2を表し、cは1または2を表し、dは1〜3を表し、fは2または3を表し、nは0〜60を表し、また、a、b、c、dは金属(M)の価数(以下、mと記載する)との間に次の関係を有する。m=1のとき、b=0,d=1,a=c,m=2のとき、b=0,c=1,a×d=2、または、b=1,d=1,a=c,m=3のとき、b=0,d=3,a=c,b=1,c=1,a×d=2、または、b=2,d=1,a=cであり、さらに、m≧2のとき、金属(M)には互いに異なるホスフェートイオン基が結合していてもよく、その場合に、d=2または3は互いに異なるホスフェートイオン基の合計数である。また、dが2または3のとき、それぞれの[ ]内の構造は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
【0041】
式(II):
[{R1O(Cf2fO)n3-a-ePO(O)a(OH)ed{M(OCOR2s(OH)xt
〔式中、R1は炭素数4〜30の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜25のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnまたはA1を表し、aは1または2を表し、eは0または1を表し(但し、aが1のときは0または1、aが2のときは0である。)、dは1または2を表し、sは1または2を表し、xは0または1を表し、tは1または2を表し、fは2または3を表し、nは0〜60を表す。また、s+x=1または2であり、a,d,s,tは金属(M)の価数(以下、mと記載する)との間に次の関係を有する。m=2のとき、s=1,d=1,a=tであり、m=3のとき、s=1,t=1,a×d=2、または、s=2,d=1,a=tであり、さらに、m=3のときは、金属(M)には互いに異なるホスフェートイオン基が結合していてもよく、その場合に、d=2は各種ホスフェートイオン基の合計数を意味する。また、dが2のとき、それぞれの[ ]内の構造は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
【0042】
上記一般式(I)中のRで表される炭素数4〜30の炭化水素基および一般式(II)中のR1で表される炭素数4〜30の炭化水素基としては、アルキル基、フェニル基、アリールアルキル基、アルゲニル基またはアルキルフェニル基が好ましい。また、一般式(I)および一般式(II)中のMで表されるアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K等が好ましく、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg、Ca、Ba等が好ましい。
【0043】
当該一般式(I)で表される有機リン酸エステルの金属塩および当該一般式(II)で表される有機リン酸エステルの金属塩は常法により製造することができ、その製造方法に関しては特に制限されない。
【0044】
一般式(I)で表される有機リン酸エステルの金属塩の好ましい例としては、例えば、下記表1に示す化合物(1)〜化合物(13)、下記表2に示す化合物(14)〜化合物(16)等が挙げられ、一般式(II)で表される有機リン酸エステルの金属塩の好ましい例としては、例えば、下記表2に示す化合物(15)〜化合物(26)が挙げられる。これらは1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0045】
なお、これらの化合物(化合物(1)〜化合物(26))は、ポリエーテルアルコール成分おけるオキシエチレン単位またはオキシトリメチレン単位の繰り返し数が小数を含む数で示されているように、単体またはポリエーテルアルコール成分におけるオキシエチレン単位またはオキシトリメチレン単位の繰り返し数(式中の(Cl2lO)nの繰り返し数(n))が異なる複数のリン酸エステル金属塩の混合物である。
【0046】
【表1】
Figure 0003988115
【0047】
【表2】
Figure 0003988115
【0048】
本発明のポリエステル樹脂には、加工時のポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する(熱劣化による樹脂の着色やロールヘの粘着等の発生を防止する)ために酸化防止剤を配合した組成物にして使用するのが望ましい。当該酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物等が好適である。
【0049】
本発明で使用するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)プロパン、ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルフィド、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)スルフィド、ビス(3−tert−ブチル5−エチル−2−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラ−ト]、ビス[2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル5−メチルベンジル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、4−メトキシフェノール、シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコール、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セチルガレート、β−ナフトール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)ベンゼン、1,6−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]ヘキサン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]スルフィド、n−オタタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルアミノ]ヘキサン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール、ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート、トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0050】
該フェノール系酸化防止剤の配合量は、好ましい上限は1.0重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下、一方好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、1.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない
【0051】
本発明で使用する有機亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[デシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ(デシル)チオホスファイト、トリイソデシルチオホスファイト、フェニル・ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、テトラデシルポリ(オキシエチレン)・ビス(エチルフェニル)ホスファト、フェニル・ジシクロヘキシルホスファイト、フェニル・ジイソオクチルホスファイト、フェニル・ジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソオクチルホスファイト、ジフェニル・2−エチルヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジフェニル・(トリデシル)チオホスファイト、ノニルフェニル・ジトリデシルホスファイト、フェニル・p−tert−ブチルフェニル・ドデシルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ビス[オタデシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト,オクチルポリ(オキシプロピレン)・トリデシルポリ(オキシプロピレン)ホスファイト、モノイソプロピルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、モノイソオクチルホスファイト、ジドデシルホスファイト、モノドデシルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、モノシクロヘキシルホスファイト、モノドデシルポリ(オキシエチレン)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、モノシクロヘキシル・フェニルホスファイト、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトライソオクチル・4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトラキス(ノニルフェニル)・ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・プロピレンオキシプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、ペンタキス(ノニルフェニル)・ビス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]トリホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]ペンタホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス(4,4’−イソプロピリデンジフェニル)ペンタホスファイト、デカキス(ノニルフェニル)・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ビス(ブトキシカルボエチル)・2,2−ジメチレン−トリメチレンジチオホスファイト、ビス(イソオクトキシカルボメチル)・2,2−ジメチレントリメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・エチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・ヘキサメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・2,2’−オキシジエチレンジチオホスファイト、ペンタドデシル・ジ(ヘキサメチレン)トリチオホスファイト、ジフェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジシクロヘキシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニル・アルキル(C12〜C15)ホスファイト、2−tert−ブチル−4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)イソプロピル]フェニルジ(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ヘキサトリデシル・4,4’,4”−1,1,3−ブタントリイル−トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)トリホスファイト、トリドデシルチオホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタボスファイト、ジブチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジオクチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト並びにこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルジウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムの金属塩が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0052】
有機亜リン酸エステル系化合物の配合量は、好ましい上限は3.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下であり、好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、3.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
【0053】
なお、フェノール系酸化防止剤と有機亜リン酸エステル系化合物とを併用すると熱劣化の抑制効果がより向上し、好ましい。
【0054】
本発明において、ポリエステル樹脂組成物の引張モード貯蔵弾性率は、25℃において107 Pa以上で、かつ180℃より低い温度で107 Pa以下となることが好ましい。さらに、250℃以下の領域で、107 Paから106Paまでを示す温度領域の幅が60℃以上であることが好ましい。25℃において107 Pa未満であると、この特許の目的とする塩ビシート代替用途には不向きである。また、該温度領域の幅を60℃以上を有することで、カレンダー加工中に、カレンダーの温度制御のぶれや分布にも対応して適した粘弾性を保持することができる。このカレンダー加工に適した粘弾性とする為には、結晶性ポリエステルを非晶性ポリエステルに適当量配合することで達成できる。また、結晶核剤や滑剤の添加量により、調整することもできる。なお、引張モードでの貯蔵弾性率は、シート状の樹脂を動的粘弾性測定装置にかけて得られたものとする。サンプルシートのサイズは、例えば、長さ15mm(掴み代除く)、幅4mm、厚さ約1mmで、測定条件は、周波数を10Hzに固定して、20℃/分の昇温速度で−20℃から測定不能となるまで(最大250℃)のスキャンとする。サンプルシートの作成方法については、例えば、ポリエステル樹脂の軟化点より10℃以上高い温度に設定したヒートプレス等により、ポリエステル樹脂をポリイミドフィルム等の耐熱性の高いフィルムに挟んでプレスし、平滑なシートを得ることができる。
【0055】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、用途に応じて他の成分も適宜添加することができる。例えぱ、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、帯電防止剤、抗菌剤、エボキシ化合物、架橋剤、イオウ系酸化防止剤等があげられる。
【0056】
【実施例】
本発明を更に詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0057】
合成例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
【0058】
ポリエステル組成:樹脂を重クロロホルムに溶解し、H1−NMRにより定量した。
【0059】
ガラス転移温度、融点:示差走査熱量計を用い、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し20℃/minの昇温速度で測定した。
【0060】
数平均分子量:ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いてゲル浸透クロマトグラフィによりポリスチレン換算値として求めた。
【0061】
酸価:クロロホルムに樹脂を溶解し、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0062】
貯蔵弾性率:ポリエステル樹脂組成物のサンプルを、200℃に調整した卓上型ヒートプレス(テスター産業株式会社製)上にポリイミドフィルム(東レデュポン社製「カプトン」)を介して載せ、2N/mm2の圧力で20秒保持して、1mm厚みのシートサンプルを得た。これを、長さ15mm(掴み代除く)、幅4mmに裁断し、アイティー計測制御株式会社製、動的粘弾性測定装置「DVA−200」にサンプルセットして、引張モードにて測定した。測定条件は、周波数を10Hzに固定して、20℃/分の昇温速度で−20℃から測定不能となるまで(最大250℃)のスキャンとした。
【0063】
<非晶性ポリエステル(A)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル960重量部、エチレングリコール527重量部、ネオペンチルグリコール156重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、非晶性ポリエステル(A)を得た。
【0064】
非晶性ポリエステル(A)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール80モル%、ネオペンチルグリコール20モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は78℃、数平均分子量は28000、酸価30当量/106gであった。
【0065】
非晶性ポリエステル(B)〜(E)は、非晶性ポリエステル(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表3に示す。(数値は樹脂中のモル%)
【0066】
結晶性ポリエステル(a)〜(e)は、非晶性ポリエステル(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表3に示す。(数値は樹脂中のモル%)
【0067】
【表3】
Figure 0003988115
【0068】
表3に示したポリエステルを表4、5に示した各成分とビーカー内で混合し、該混合物を180℃に設定した2本の6インチチルドロール上で混練した。時折へらでチルドロールに付着した樹脂を剥がしながら混合し、剥がれなくなった時を樹脂がロールに付着したとし、混合開始からの粘着時間を測定した。また同様にして5分混練後、ロール間隔を0.3mmに設定(シート厚み0.3mm設定)しシートを得た。その結果を表4、5に示す。この時、シート引き取り状況を、○:「樹脂のタレもなくスムーズなものであった。」、×:「樹脂のタレが生じ、均一な厚みのシートを得ることができなかった。」として、樹脂ダレの有無を評価し、また、得られたシートの貯蔵弾性率と共に、表4、5に示す。
【0069】
尚、表4、5に記載された結晶核剤及び滑剤、安定剤は以下の化合物を意味する。
I:ステアリン酸ナトリウム
II:トリデシルポリ(オキシエチレン)ホスフェート亜鉛塩
III:スチレン変性ポリエチレンワックス
IV:トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
【0070】
また表中のポリエステル量、結晶核剤、滑剤、安定剤量における数値は重量部である。
【0071】
【表4】
Figure 0003988115
*: 弾性率温度巾は、引張モード貯蔵弾性率が、107Paから106Paまでを示す温度領域の幅を示す。
【0072】
【表5】
Figure 0003988115
*: 溶融せずシート化不可
【0073】
表中透明性と耐溶剤性の評価方法は下記の通りである。
【0074】
透明性:シートを目視で比較し以下の判断基準で評価を行った。(5:極透明、4:透明性良好、3:透明、2:わずかに不透明、1:少し不透明。)
【0075】
耐溶剤性:シートをメチルエチルケトンに10分間浸漬後、白化、膨潤が起こっているかを目視で比較し以下の判断基準で評価を行った。(5:変化無し、4:やや膨潤するが大きな変化はなし、3:白化が起こる、2:白化が起こりかつ表面が少し膨潤する、1:白化が起こりかつ表面が溶ける)
【0076】
透明性、耐溶剤性評価の欄で、比較例の「−」は粘着してシート化できなかったことを意味する。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステル樹脂組成物は、非晶性ポリエステル、結晶核剤、滑剤、を組み合わせ、さらには結晶性ポリエステルを加えた組成物であって、このため過去に難しかったポリエステル樹脂組成物のカレンダー加工を容易にするだけでなく(特に樹脂ダレを防止し)、出来上がったシートの透明性が良好でありかつ耐溶剤性、耐洗剤性に優れた品質のカレンダーシート加工を可能にすることができる。

Claims (10)

  1. (ア)非晶性ポリエステル樹脂、(ウ)シュウ酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、安息香酸アルカリ金属塩、サリチル酸アルカリ金属塩、酒石酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ金属塩、モンタンワックスアルカリ金属塩、モンタンワックスエステルアルカリ金属塩、テレフタル酸アルカリ金属塩およびカルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上からなる結晶核剤および(エ)ポリオレフィン系ワックスおよび/または有機リン酸エステルの金属塩である滑剤を含むことを特徴とするカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物
  2. 少なくとも2種のポリエステル、(ウ)結晶核剤および(エ)滑剤を含むカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物であって、2種以上のポリエステルのうち少なくとも1種は(ア)非晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  3. (ア)非晶性ポリエステル、(イ)結晶性ポリエステル、(ウ)結晶核剤、(エ)滑剤からなり、(ア)成分と(イ)成分との合計量100重量部を基準にして、(ア)30〜97重量部、(イ)3〜70重量部、(ウ)0.1〜10重量部、(エ)0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項2に記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  4. (ア)非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  5. (ア)非晶性ポリエステルの炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることを特徴とする請求項4記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  6. (ア)非晶性ポリエステルの炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする請求項4または5記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  7. (イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点が90〜220℃であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  8. (イ)結晶性ポリエステルの全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
  9. 25℃にて引張モードでの貯蔵弾性率が1×107 Pa以上であり、かつ、引張モードでの貯蔵弾性率が1×107Paから1×106 Paまでを示す温度領域の巾が60℃以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物をカレンダー加工して得られたシート。
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