JP3986298B2 - 紙おむつの止着構造および紙おむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙おむつに備えられる止着構造、および紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図3に示すように、紙おむつ50は、透液性シート51aと不透液性シート(図示略)との間に高吸収性ポリマーなどで形成された吸収体(図示略)を介装させて構成される紙おむつ本体51と、紙おむつ本体51を人体に装着させる際に使用する、止着テープ56および被着テープ58とからなる止着構造を備えて構成されている。
紙おむつ本体51は、両側に脚周り部52が形成され、脚周り部52の間が股下部53となっており、更に股下部53を挟んだ一方の側が腹側部54、他方が背側部55となっている。この紙おむつ本体51の腹側部54の端部54aと、背側部55の端部55aとは、装着時に装着者の胴周り部分となる。
【0003】
紙おむつ50装着時に使用される止着テープ56,56…は、図3のように、紙おむつ本体51の背側部55の側部55bから突出するように設けられる。止着テープ56,56…の先端部には、例えば面ファスナーの一方の止着要素からなる止着部材57が設けられる。一方、紙おむつ本体51の腹側部54には、止着部材57,57が着脱自在な被着テープ58として、例えば面ファスナーの他方の止着要素等の被着部材が取り付けられる。
紙おむつ50が装着される際には、人体の腰部で、紙おむつ本体51の背側部55の側部55bと、腹側部54の側部54bとが、止着テープ56,56…と被着テープ58とで固定される。
【0004】
ところで、特に大人用の紙おむつ50の場合には、装着時に、胴周り部分と脚周り部分とが、それぞれ弛みや窮屈さ等がなく固定されることが望ましい。そこで、止着テープ56,56...を、背側部55の側部55b,55bにおいて、胴周り部付近と、脚周り部52近傍との2箇所、すなわち左右両側部に合計4本設けることにより、人体に適切に固定することができるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような紙おむつ50では、人体への着脱作業において、4本の止着テープ56,56...を止着したり取り外したりしなければならず、大変手間が掛かってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明の課題は、より着脱作業が容易であって、且つ紙おむつを人体に好適に固定させることができる紙おむつの止着構造、および該止着構造を利用した紙おむつを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば図1または図2に示すように、
紙おむつ本体(1)の背側部(3)の両側縁部(側縁部32,32)に設けられる止着部(止着テープ6)と、前記紙おむつ本体の腹側部(2)に設けられ、前記止着部と着脱自在な被着部(被着テープ8)と、脚周り(脚周り部5)と、胴周り(胴周り部9a,9b)と、を有し、前記止着部が前記被着部に止着されて人体に取り付けられる紙おむつ(10)の止着構造において、
前記止着部は、前記紙おむつ本体の背側部の両側縁部のそれぞれに一つずつ配され、該止着部の基端部から該止着部の先端部(63)にかけて幅が狭くなるように形成され、
前記基端部は、前記紙おむつ本体の胴周り側に固定された第1テープ部(61)と、前記脚周り側に固定された第2テープ部(62)と、に分岐した構造となっており、
前記先端部、前記第1テープ部と前記第2テープ部とが重ねられた状態で固着されて形成されており、該固着された部分には、止着部材(7)が設けられ、
前記第1テープ部は、前記紙おむつ本体の胴周りと略平行に形成され、
前記第2テープ部は、前記紙おむつ本体の脚周りから胴周りに向かって傾斜するように形成され、
前記第1テープ部は、第1弾性部材で形成され、
前記第2テープ部は、前記第1弾性部材よりも弾性率の大きい第2弾性部材で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、止着部は、紙おむつ本体の背側部の両側縁部のそれぞれに一つずつ配されるとともに、止着部の基端部は、紙おむつ本体の胴周り側と、脚周り側とに固定される。
従って、紙おむつを装着させる際、着用者の両脇腰部のそれぞれにおいて止着部を1箇所ずつ、合計2箇所止着させれば、紙おむつの胴周りと脚周りの固定を行うことができ、弛みや窮屈さ等を感じることなく紙おむつの装着作業を容易且つ確実に行うことができる。また、紙おむつを着用者から外す際も、止着部を2箇所外せば紙おむつの固定を解くことができ、作業が容易となる。
【0010】
また、基端部から先端部にかけて幅が狭くなるよう形成されることによって、止着部の先端部が指先で摘み易くなるので、紙おむつの着脱作業がより一層容易となり好適である。さらに、止着部をより小さく形成することができるので、コストダウンが図れる。
また、止着部は、基端部が紙おむつ本体部の胴周り側に固定される第1テープ部と、基端部が紙おむつ本体の脚周り側に固定される第2テープ部とに分岐しているので、紙おむつの装着作業時に、紙おむつ本体の胴周りと脚周りとを別個に引っ張ることができるので、窮屈さ等を容易に調節することができる。
【0012】
また、請求項1に記載の発明によれば、止着部の胴周り側に固定された第1テープ部が紙おむつ本体の胴周り部と略平行に形成されているので、紙おむつを人体に装着させた際、胴周りを形成する開口縁側を人体に好適に固定させることができる。また、止着部の脚周り側に固定された第2テープ部は、脚周りから胴周りに向かって傾斜するように形成されているので、装着時に紙おむつ本体を上方に引き上げるようにして止着部で固定することができる。
従って、紙おむつ本体の胴周りおよび脚周りをともに好適に固定させることができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、紙おむつ本体の胴周りは、第1弾性部材で形成された第1テープ部によって弛みや窮屈さのない好適な状態で固定される一方、紙おむつの脚周りは、第1弾性部材よりも弾性率の大きい第2弾性部材で形成された第2テープ部で固定されることにより、着用者の脚の動きによって紙おむつの脚周り部が弛んだりずれたりすることを防ぐことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の止着構造を備える紙おむつ(10)である。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、紙おむつ本体の背側側縁部のそれぞれに設けられる止着部の合計2箇所を、紙おむつ本体腹側の被着部に対して止着させるだけで、紙おむつを人体に装着させることができ、また紙おむつの胴周りおよび脚周りを好適に固定させることができる。
従って、着脱作業が容易であるとともに、人体に好適に装着させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一例としての紙おむつ10の斜視図であって、図2は紙おむつ10の展開図(使用時に人体に接触させる側を示す)である。
紙おむつ10は、紙おむつ本体1と、止着テープ6,6(止着部)と、被着テープ8(被着部)とを備えている。
【0020】
紙おむつ本体1は、人体との接触面側に設けられる透液性の不織布からなるトップシート1aと、装着時に外部側に設けられる不透液性のバックシート1bと、トップシート1aとバックシート1bとの間に介装される吸収体(図示略)とにより主に構成される。
紙おむつ本体1は、人体の股部を腹側から背側にかけて覆うように、一方の端部に腹側部2が形成され、他方の端部に背側部3が形成されている。また、腹側部2と背側部3との間が股下部4となっている。股下部4の両側方は内側に凹むように形成され、装着された際に着用者の脚周りを形成する脚周り部5,5となっている。背側部3の側縁部32の股下部4側端部は、脚周りの一部を形成している。この側縁部32における脚周りの位置を32bとする。
【0021】
紙おむつ本体1の腹側部2の端部21と、背側部3の端部31とは、紙おむつ10が人体に装着された際に、胴周りを形成するようになっている。紙オムツ本体1において、着用者の胴周り(ウエスト)に略対応するラインを胴周り部(背側部3の胴周り部を9a、腹側部2側の胴周り部を9b)とする。図2においては、胴周り部9a,9bはそれぞれ端部31,21に略沿う形状であるが、胴周り部9a,9bは紙オムツ本体1の端部の形状に拘らず、使用時の着用者の胴周りに略対応するラインを意味する。
【0022】
止着テープ6,6は、紙おむつ本体1の背側部3の両側の側縁部32,32からそれぞれ側方に突出するように設けられる。止着テープ6,6は、第1テープ部61と、第2テープ部62と、止着部材7とにより構成されている。
【0023】
第1テープ部61は、ゴム等の弾性部材(第1弾性部材)で形成され、その基端部は紙おむつ本体1の背側部3の側縁部32において、胴周り部9aに略相当する位置32a(紙おむつ本体の胴周りを形成する開口縁側)に固定されている。そして第1テープ部61は、胴周り部9aと略平行となるように、側方に向かって延出している。
【0024】
一方、第2テープ部62は、第1弾性部材よりも弾性率の大きい弾性部材(第2弾性部材)で形成され、その基端部は背側部3の側縁部32において、略脚周りの位置32b(脚周り側)に固定されている。第2テープ部62は、背側部3の胴周り部9aに向かって傾斜しながら側方に延出しており、その先端部は第1テープ部61の先端部まで達し、第1テープ部61にホットメルト等のヒートシールで固着されている。このように第1テープ部61と第2テープ部62とが合流して形成される先端部63は、指先で摘み易い程度の幅となっている。
止着テープ6,6は、このように第1テープ部61と第2テープ部62とで形成されることにより、基端部側が分岐した構成となっており、また基端部から先端部63にかけて幅が狭くなる形状となっている。
【0025】
第1テープ部61と、第2テープ部62とが固着されて形成された先端部63には、止着部材7が設けられている。この止着部材7は、例えば面ファスナーの一方の係止要素や、粘着テープ等によって構成される。
【0026】
また、紙おむつ本体1の腹側部2の外部側(前述のバックシート側)には、止着テープ6の止着部材7を着脱自在に止着させる被着部が備えられた被着テープ8が設けられている。被着部は、例えば、止着部材7が面ファスナーの一方の止着要素で形成される場合は、当該面ファスナーの他方の止着要素によって形成され、また止着部材7が粘着テープ等の場合は、該粘着テープが着脱自在なフィルム等で形成される。
これらの止着テープ6,6と、被着テープ8とにより、紙おむつ10の止着構造が構成される。
【0027】
紙おむつ10は、股下部4を着用者の両脚の間に挟み、腹側部2と背側部3とを着用者の腹部と背部とにそれぞれ当てるようにして、止着テープ6,6の止着部材7,7を被着テープ8に止着させることにより、人体に装着される。
止着テープ6,6を被着テープ8に止着させると、紙おむつ本体1の胴周り部9aは、第1テープ部61によって引っ張られ、また紙おむつ本体1の脚周り部5,5は、第2テープ部62によって胴周り部9b方向に引き上げられ、止着部材7によって固定される。
【0028】
従って、以上の紙おむつの止着構造によれば、紙おむつ本体1の2箇所に設けられている止着テープ6,6を止着させることで、紙おむつ本体1の胴周り部9a,9bと脚周り部5,5とを固定することができ、また2箇所の止着部材7,7の止着を外せば、紙おむつ10を取り外すことができるので、紙おむつ10の着脱作業を容易に行うことができる。
また、装着時、第1テープ部61と第2テープ部62の引っ張り具合を調整しながら止着テープ6を止着させれば、胴周り部9a,9bと脚周り部5,5の固定の窮屈さを調節しながら紙おむつ本体1を人体に固定できるので、紙おむつ1を好適に装着させることができる。
【0029】
さらに、止着テープ6は、基端部から先端部63にかけて第1テープ部61と第2テープ部62とによるテープ幅が狭くなるように形成されており、止着テープ6の先端部は指先で摘み易い程度の幅となっているので、紙おむつ10の着脱作業はより一層容易となる。
加えて、第1テープ部61が紙おむつ本体1の胴周り部9aと略平行に形成され、また第2テープ部62は、脚周り部5から胴周り部9a方向に傾斜するように側方に延出して形成されているので、紙おむつ10の胴周り部を人体にフィットさせるとともに、脚周り部5,5を上方に引き上げるようにして紙おむつ本体1を固定できるので、脚周りの動きにも対応した固定ができ好適である。
【0030】
また第1テープ部61は第1弾性部材によって、また第2テープ部62は第2弾性部材によって固定されるので、紙おむつ10は、胴周り部が弛みやきつさのない好適な状態で固定できる一方、脚周り部分は、第1弾性部材よりも弾性率の大きい第2弾性部材で固定されるので、着用者の脚の動きによって紙おむつ10の脚周り部5,5が弛んだりずれたりすることを防ぐことができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、止着テープは不織布等と弾性体(ゴム等)とを組み合わせて形成してもよい。
【0037】
また止着テープを、面ファスナーや粘着テープ等の、止着部材自体で形成してもよい。さらに被着部は、被着テープの全体に設けてもよく、一部でもよい。
加えて、止着部材として面ファスナーを設け、紙オムツ本体のバックシートを面ファスナーが着脱自在な不織布等で形成すると、止着部材をバックシート上のいずれの位置でも止着可能にすることができる。このように形成すれば、止着の自由度が増し好適である。
また、この紙おむつの止着構造を、幼児用、大人用のいずれの紙おむつに設けてもよい。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、止着部は、紙おむつ本体の背側部の両側縁部のそれぞれに一つずつ配されるとともに、止着部の基端部は、紙おむつ本体の胴周り側と、脚周り側とのそれぞれに固定される。
従って、紙おむつを装着させる際、着用者の両脇腰部のそれぞれにおいて止着部を1箇所ずつ、合計2箇所止着させれば、紙おむつの胴周りと脚周りの固定を行うことができ、弛みや窮屈さ等を感じることなく紙おむつの装着作業を容易且つ確実に行うことができる。また、紙おむつを着用者から外す際も、止着部を2箇所外せば紙おむつの固定を解くことができ、作業が容易となる。
【0039】
また、止着部の基端部から先端部にかけて幅が狭くなるよう形成されることによって、先端部が指先で摘み易くなるので、紙おむつの着脱作業がより一層容易となり好適である。さらに、止着部をより小さく形成することができるので、コストダウンが図れる。
また、止着部は、基端部が紙おむつ本体部の胴周り側に固定される第1テープ部と、基端部が紙おむつ本体の脚周り側に固定される第2テープ部とに分岐しているので、紙おむつの装着作業時に、紙おむつ本体の胴周りと脚周りとを別個に引っ張ることができ、窮屈さ等を容易に調節することができる。
【0040】
また、請求項1に記載の発明によれば、止着部の胴周り側に固定された第1テープ部が紙おむつ本体の胴周りと略平行に形成されているので、紙おむつを人体に装着させた際、胴周りを人体に好適に固定させることができる。また、止着部の脚周り側に固定された第2テープ部は、脚周り側から胴周り側に向かって傾斜するように形成されているので、装着時に紙おむつ本体を上方に引き上げるようにして止着部で固定することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、紙おむつ本体の胴周りは、第1弾性部材で形成された第1テープ部によって弛みや窮屈さのない好適な状態で固定される一方、紙おむつの脚周りは、第1弾性部材よりも弾性率の大きい第2弾性部材で形成された第2テープ部で固定されることにより、着用者の脚の動きによって紙おむつの脚周り部が弛んだりずれたりすることを防ぐことができる。
【0043】
請求項2に記載の発明によれば、紙おむつ本体の背側側縁部のそれぞれに設けられる止着部の合計2箇所を、紙おむつ本体腹側の被着部に対して止着させるだけで、紙おむつを人体に装着させることができ、また紙おむつの胴周り部および脚周り部を好適に固定させることができる。
従って、着脱作業が容易であるとともに、人体に好適に装着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した紙おむつの斜視図である。
【図2】図1の紙おむつの展開図である。
【図3】従来の紙おむつの展開図である。
Claims (2)
- 紙おむつ本体の背側部の両側縁部に設けられる止着部と、前記紙おむつ本体の腹側部に設けられ、前記止着部と着脱自在な被着部と、脚周りと、胴周りと、を有し、前記止着部が前記被着部に止着されて人体に取り付けられる紙おむつの止着構造において、
前記止着部は、前記紙おむつ本体の背側部の両側縁部のそれぞれに一つずつ配され、該止着部の基端部から該止着部の先端部にかけて幅が狭くなるように形成され、
前記基端部は、前記紙おむつ本体の前記胴周り側に固定された第1テープ部と、前記脚周り側に固定された第2テープ部と、に分岐した構造となっており、
前記先端部は、前記第1テープ部と前記第2テープ部とが重ねられた状態で固着されて形成されており、該固着された部分には、止着部材が設けられ、
前記第1テープ部は、前記紙おむつ本体の胴周りと略平行に形成され、
前記第2テープ部は、前記紙おむつ本体の脚周りから胴周りに向かって傾斜するように形成され、
前記第1テープ部は、第1弾性部材で形成され、
前記第2テープ部は、前記第1弾性部材よりも弾性率の大きい第2弾性部材で形成されていることを特徴とする紙おむつの止着構造。 - 請求項1に記載の止着構造を備える紙おむつ。
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