JP3983605B2 - 洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すすぎ中間脱水工程とためすすぎ工程とを含むすすぎ運転が可能な洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活の合理化が進む中で、消費者ニーズに答える商品として、洗濯から乾燥までを自動で運転できるドラム式全自動乾燥洗濯機が普及し始めている。従来、この種の全自動乾燥洗濯機として、特開平10−33878号公報記載のものが知られている。
【0003】
その運転動作を図9に示す運転プログラムのフローチャートにより説明する。衣類を投入し運転をスタートすると、容量センシングにより容量が判定され、運転時間が決定される。そして、洗濯用給水弁がONし、所定水位まで給水され、洗い工程を所定時間行なう。洗い工程を所定時間行った後は、排水工程を行ない、洗濯水(洗剤液)を排水する。次に、排水完了により、すすぎ中間脱水工程に移行し、衣類に含まれた洗剤液を所定時間脱水(中間脱水)にて排液し、ためすすぎ工程に移行する。
【0004】
ためすすぎ工程では、給水弁をONして所定水位まで給水する。この時、洗剤の泡の抵抗により中間脱水の回転数が所定値より低かった場合は自動的にすすぎ水量を増やすか、若しくはすすぎ回数を増やす制御を行う。そして、前記ためすすぎ工程を所定時間運転後に、次工程に移行する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報記載の洗濯機のすすぎ工程における制御は、中間脱水のドラムの回転数を見て、完全に泡拘束している場合のみ、すすぎ水量あるいはすすぎ回数を増やす制御を行っている。
【0006】
しかしながら、完全に泡拘束されないまでも泡拘束に近い状態では、衣類などの洗濯物から飛散した洗濯液がドラムと水槽の間で泡立ち、回転ドラムは泡拘束されていない場合に比べてドラムの回転が低下し、すすぎ性能が低下することになる。
【0007】
また、特公平3−11240号公報記載の従来例では、泡拘束が検知された場合に中間脱水をスキップさせ、次の給水工程(ためすすぎ工程)に移行する制御が開示されているが、このような中間脱水を飛ばして給水工程に移行した場合でも、給水工程における水位は通常(所定)の水位であるため、すすぎ工程が複数回繰り返し行われたとしても、すすぎ性能が低下することになる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、泡拘束に近い状態での中間脱水運転時、及び泡拘束検知により中間脱水をスキップした時でも、すすぎ性能を低下させることなく運転制御可能な洗濯機の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、泡拘束に近い状態での中間脱水運転時、及び泡拘束検知により中間脱水をスキップした時に、次工程のすすぎ水位を所定(通常)の水位よりも高く設定することにより、通常のすすぎ工程と同等なすすぎ性能を確保できるようにしたものである。
【0010】
ここで、泡拘束は、脱水時の洗濯物のアンバランスに起因して起こり得る。すなわち、脱水時に洗濯物がドラムに片寄って起こるアンバランスは、振動によって泡立ちが助長され、泡拘束されやすい原因にもなる。そこで、泡拘束又はこれに近い状態の検知は、泡拘束の原因となるアンバランス状態及びアンバランスに近い状態を検知したときでも、泡拘束が起こるものとして、次工程のすすぎ水位を所定の水位よりも高く設定するようにしている。
【0011】
すなわち、本発明は、すすぎ中間脱水工程とためすすぎ工程とを含むすすぎ工程を制御する運転制御手段と、中間脱水時における泡拘束状態及び/又はその原因となるアンバランス状態を検知する状態検知手段とを備え、前記運転制御手段は、すすぎ中間脱水工程で前記状態検知手段がアンバランス及び/又は泡拘束に近い状態を一定時間検知して中間脱水を行ったときに、次工程のためすすぎ水位を所定水位より高く設定することを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、すすぎの中間脱水時にアンバランス状態及び泡拘束に近い状態を検知した場合に次工程のためすすぎを所定水位より高くすることによって、すすぎ性能の低下を抑えることができる。
【0013】
また、本発明では、運転制御手段は、すすぎ中間脱水工程で前記状態検知手段がアンバランス及び/又は泡拘束に近い状態を一定時間検知したときに中間脱水を行なうとともにためすすぎ水位を所定水位より高くし、また、アンバランス及び/又は泡拘束状態を検知したときに中間脱水をスキップし、かつ次のためすすぎ工程で、前記中間脱水の有無に拘わらず、ためすすぎ水位を所定水位より高く設定することを特徴とする。
【0014】
この構成によると、すすぎの中間脱水時にアンバランス状態及び泡拘束に近い状態と、アンバランス検知及び泡拘束を検知した場合のいずれにおいても、次工程のためすすぎを所定水位より高くすることができ、すすぎ性能の低下を抑えることができる。
【0015】
さらに、本発明は、上記構成に加えて、ためすすぎ工程において、中間脱水の有無により水位を変化させる。この構成によると、中間脱水の有無により、すすぎ性能の低下が変わるため、その時の状態にあったすすぎを行ない、無駄な水を使うことなく、すすぎ性能の低下を抑えることができる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態における全自動乾燥洗濯機を示す概略斜視図である。全自動乾燥洗濯機は、底台2の上に外箱が配され、外箱1の上面が天板32で覆われている。外箱1は化粧鋼板を折曲して形成されている。天板32は圧縮ボード等から成り、外箱1にネジ止めされている。
【0018】
図2は図1の操作部の詳細図である。外箱1の前面上部には、使用者が操作を行なう操作パネル11が取付けられている。この操作パネル11は、表示部11aと複数の操作キー111〜119とを有し、背面に制御回路31(図3参照)が配されている。表示部11aは液晶表示装置から成り、入力情報等を表示する。
【0019】
操作キー111〜119は全自動乾燥洗濯機に設けられた運転条件を設定する操作等を行なう。電源キー111は全自動乾燥洗濯機の電源をON/OFFする。電源キー111をONすると、表示部11aには「標準コース」の洗濯乾燥条件が表示される。標準コースは木綿や化繊等の洗濯物の場合に洗濯工程及び乾燥工程を最適に行なう条件が予め設定されている。使用者は、コース切替キー114を押下することにより、「ドライコース」「毛布コース」等の運転条件を選択することができる。
【0020】
洗濯キー116を押下すると、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程から成る洗濯工程のみを行なって、乾燥工程を行なわないように設定することができる。乾燥キー115を押下すると、乾燥工程のみを行なうように設定される。洗いキー117、すすぎキー118又は脱水キー119を押下すると、それぞれ洗い工程、すすぎ工程、脱水工程のみを行なうように設定される。
【0021】
運転条件が設定されると、スタートキー112をONすることにより全自動乾燥洗濯機の運転が開始される。運転中にスタートキー112を押下すると、全自動乾燥洗濯機の運転が一時停止され、再度押下すると運転が再開される。一時停止中にドアロック解除キー113を押下すると、開閉扉3のロック状態が解除され、洗濯物の追加投入ができるようになっている。
【0022】
図3は全自動乾燥洗濯機の側面断面図である。制御回路31は、全自動乾燥洗濯機の運転を制御する制御プログラムが格納され、操作キー111〜119により運転条件が設定されると、それに基づいて全自動乾燥洗濯機の運転が行なわれる。
【0023】
外箱1の内部には、前面に向かって開口した開口部4aを有する水槽4が後方へ行くほど下がるように傾斜して配されている。水槽4内には開口部5aを有して回転するドラム5が同軸に傾斜して配されている。この傾斜によって前面側からのドラム5内の見通しをよくしている。
【0024】
水槽4の底部外面には駆動機構9が取付けられている。駆動機構9はケース9a内にロータ9bとステータ9cとから成るモータを内装している。ステータ9cはケース9aに固定され、ロータ9bはドラム5の槽軸5dに固定されている。槽軸5dはケース9aに固定されたベアリング6によって支持され、一端がドラム5に固定されているためドラム5が回転自在になっている。これにより、ドラム5に直結された駆動機構9が構成され、ロータ9bの回転が直接ドラム5を回転駆動する。また、ロータ9bの回転数を検知する回転検知手段53が設けられており、回転検知手段53の検知結果に基づいて回転速度が制御されるインバータモータになっている。
【0025】
ドラム5の周壁には小孔5cが設けられている。小孔5cは水槽4とドラム5とを連通させており、水槽4とドラム5との間を洗濯水が流出入できるようになっている。ドラム5の内壁面にはバッフル5bが突出して形成され、ドラム5の回転により洗濯物を引っかけて持上げ、洗濯液中に落下させることにより洗浄が行なわれるようになっている。バッフル5bはドラム5の内壁に固定されるか、あるいはドラム5と一体に形成される。
【0026】
ドラム5の開口部5aの外周縁には流体バランサー5eが設けられている。流体バランサー5eは塩水等の比重の大きい液体が封入されており、ドラム5の回転時に該流体が移動して洗濯物及び洗濯水の片寄りによる重心移動を打消すようになっている。液体バランサー5eはドラム5の内周縁に設けてもよい。
【0027】
洗濯物投入口1aと水槽4の開口部4aの周縁にはゴムや軟質樹脂等の弾性体から成るパッキン10が取付けられ、洗濯物を出し入れするアクセス路を形成する。開閉扉3には、パッキン10と密着する窓部3aが突設されている。開閉扉3の前面の一部及び窓部3aは、ドラム5内を視認できるようにガラス等に透明部材で形成されている。
【0028】
パッキン10は、開閉扉3を閉じたときに内周縁10aが窓部3aの周縁に密着してアクセス路を閉口する。これにより、水槽4内の洗濯水が外部へ漏水しないようになっている。また、パッキン10には蛇腹等が設けられ、水槽4の揺動に応じてたわみを生じて追従するようになっている。
【0029】
外箱1内の上部には洗剤を収容する洗剤ケース15が配されている。洗剤ケース15内には洗剤の収納部を通る通路と通らない通路とが設けられ、洗剤ケース15に流入する洗濯水が切り替えて流通できるようになっている。洗剤ケース15から一方には給水パイプ12が導出され、他方にはドアパッキン10に支持された給水ノズル15aが導出されている。給水パイプ12は給水弁13に接続されている。
【0030】
図4は給水弁13の詳細図である。図に示すように、給水弁13は、吐出口13a、13bと流入口13cとを有している。流入口13cは水道管に接続され、市水を供給できるようになっている。吐出口13aは給水パイプ12に接続され、給水弁13の駆動により市水を吐出し、洗濯水が洗剤ケース15を介して給水ノズル15aから水槽4内に給水される。給水弁13の吐出口13bは、後述するように、温風が循環する乾燥用ダクト27(図5参照)に接続され、温風内の水分を凝縮する。
【0031】
図3において、水槽4の底面には流出口4cから排水ダクト16が導出されている。排水ダクト16aは糸屑フィルタ17aを内装した接続ケース17と水槽4との間を接続し、排水ダクト16bは接続ケース17と排水ポンプ18の間を接続している。排水ダクト16cは外部と連通し、排水ポンプ18の動作により洗濯水を外部へ排水するようになっている。
【0032】
糸屑フィルタ17aは、例えば、格子状に形成された樹脂あるいは、袋状に形成された目の細かい繊維等から成り、洗濯水が通過することによって洗濯水中の糸屑等を集積するようになっている。また、糸屑フィルタ17aは接続ケース17内に着脱自在に装着され、外箱1の前面下部からキャップ17bとともに取り外して容易に清掃できるようになっている。
【0033】
排水ダクト16aから分岐するエアートラップ21には、導圧パイプ22が導出されている。水位センサー23は導圧パイプ22及びエアートラップ21を介して水槽4と連通し、水槽4内の水圧による圧力(水圧)が水位センサー23に伝えられる。水位センサー23は、コイルと磁性体とを内装し、水槽4内の水位による圧力変化に応じて磁性体がコイル内を移動する。そして、コイル内の磁性体の位置により生じるコイルのインダクタンスを発振周波数として検出し、水槽4内の水位を検出するようになっている。水位センサー23は水槽4内と連通するどの位置に設けてもよい。
【0034】
図5は図3に示す全自動乾燥洗濯機と一部の構成が異なる洗濯機の側面断面図である。水槽4の上方には送風ファン25及びヒータ28から構成された洗濯物を乾燥するための温風ユニット24が設けられている。温風ユニット24は水槽4の開口部4aに臨む吹出し口4aと水槽4の下部に設けられた循環口4dとを連結する乾燥用ダクト27の経路途中に配されている。
【0035】
送風ファン25の駆動によって乾燥用ダクト27内に空気が流通する。このとき、ヒータ28で熱せられた空気が吹出し口4bからドラム5内に送出される。ドラム5内の空気は、小孔5cを通り水槽4内を経て循環口4dから乾燥用ダクト27へ戻る。
【0036】
ヒータ28は乾燥用ダクト27に取付けられた温度センサー29a、29bの検出温度に応じて出力が制御され、所定の温度の温風をドラム5内に送出するようになっている。また、前述したように、給水弁13の吐出口13bは乾燥用ダクト27の経路途中に設けられた冷却室33に接続され、給水弁13の駆動により乾燥用ダクト27を通る温風内の水分を冷却して凝縮するようになっている。
【0037】
図6は制御ブロック図を示す。制御動作の中心となるのは、マイクロコンピュータ50(以下マイコンと称す)である。マイコン50は、操作キー111〜119、水位検知手段としての水位センサー23、電源回路51、リセット回路52、モータ9の回転検出手段53、ヒータ28の温度検知手段54からの信号を入力する。
【0038】
マイコン50内には、衣類の負荷容量を検知して判定する容量検知手段55、(中間)脱水時の負荷アンバランスを検知するアンバランス検知手段56、(中間)脱水時の泡拘束を検知する泡拘束検知手段57、及び、容量判定により決定した工程時間をカウントするタイマー58を備えている。
【0039】
容量検知手段55は、例えば、ドラムを駆動する従動プーリに設けられたマグネットと、これに感応するリードスイッチとからなるドラム回転検知手段53からの入力信号により、ドラム駆動モータを所定の回転数が得られるよう通電させたときに、ドラム回転検知手段53から得られる回転数との差異により、ドラム内の洗濯容量(洗濯負荷)を判定するようにしている。
【0040】
アンバランス検知手段56は、電源回路51や回転検知手段53からの信号を入力して、ドラムの偏心量をドラムを駆動しているモータの電流値あるいはその変化量で検知するもので、カレントトランスなどが用いられる。これ以外に、ドラム駆動用のモータの回転数のばらつきをホールセンサやタコジェネレータで検知する構成を採用してもよい。
【0041】
泡拘束検知手段57は、アンバランス検知手段56と同様に、ドラムを駆動しているモータの電流値で検知するもので、カレントトランスなどが用いられる。これ以外に、水槽の乾燥ダクト27の出入口に設けた光利用の泡センサーを用いてもよい。
【0042】
ここで、アンバランス検知手段56及び泡拘束検知手段57からなる状態検知手段では、夫々2つのしきい値(設定値)を用いてアンバランス及び泡拘束検知と、アンバランス及び泡拘束に近い状態の検知とを行っている。第1のしきい値(設定値)は、アンバランス及び泡拘束に近い状態の検知する値であり、例えば6Aの電流値で、中間脱水工程でこれ以上を検知したときに、次工程のすすぎ工程で、水位を所定水位よりも高く設定するために用いられる。第2のしきい値(設定値)は、アンバランス及び泡拘束状態を検知する値であり、例えば第1のしきい値よりも高い電流値(例えば7A)で、中間脱水工程でこれ以上を検知したときに、中間脱水をスキップするか否かを判断するために用いられる。
【0043】
マイコン50の出力側では、上記のように、マイコン50で判定された状態により、負荷駆動回路59にて各負荷の動作を行ない、モータ9、給水弁(乾燥用)13、13b、ヒータ28、送風ファン25、及び排水ポンプ18等を動作させ、洗濯・すすぎ・脱水・乾燥と順次移行して運転する。この運転内容を表示部11aで表示し、また、終了時及びエラー時等にブザー60で使用者に報知するようになっている。
【0044】
次に、上記構成の制御動作を図7に示すフローチャートにより説明する。洗濯物投入口1aより洗濯物を投入して開閉扉3を閉じると、開閉扉3の窓部3aの周縁にパッキン10の内周縁10aが密着して水槽4が封止される。そして、操作キーの電源入/切111を押し、スタート/一時停止112を押すと、負荷容量を判定するための容量センシングがスタートする。
【0045】
容量センシングにより負荷容量が判定されると、容量にあった運転時間を表示部11aに表示し、洗い工程がスタートする。洗い工程がスタートすると、給水弁13の吐出口13aが開かれ、水が洗剤ケース15に送られる。洗剤ケース内で洗剤を含んだ洗濯水は給水ノズル15aから水槽4及びドラム5内に流入する。水槽4内の水位が所定水位に達すると、水位センサー23が検知して給水弁13が閉じられる。そして、モータ9を駆動して、ドラム5を所定の洗いチャートにより回転制御し、所定時間洗い工程が行なわれ、終了後、排水ポンプ18により洗濯液が排水され、すすぎ工程に移行する。
【0046】
すすぎ工程においては、排水ポンプ18を動作させたまま、モータ9を駆動して中間脱水を行なう。この中間脱水時の高速回転時にモータ9の電流値が、ある一定時間以上(本実施形態では30秒)、設定値(本実施形態では6A)より高くなると、アンバランス状態又は泡拘束に近い状態で脱水していると判定する。そして、所定時間中間脱水を行なった後、ためすすぎ工程に移行し、給水がはじまる。
【0047】
中間脱水でアンバランス状態又は泡拘束に近い状態と判定されると、ためすすぎ水位を所定より高く(本実施形態では20mm所定水位より高く)設定し、この高い水位を検知すると、給水弁13を閉じ、所定時間ためすすぎを行なう。そして、次工程にすすぎ工程があれば、上記と同一動作で運転し、最終脱水工程に移行する。
【0048】
このように、すすぎ工程において、アンバランス状態、又は泡拘束に近い状態にて中間脱水を行なっていると検知した場合に、次工程のためすすぎ水位を所定水位より高くすることにより、使用者の誤使用時(洗剤を通常より多く投入等)や布状態による異常時でも、通常の洗い・すすぎ・脱水のように問題・異常等なく運転する場合と同等のすすぎ性能を確保することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図8は第2の実施形態である全自動乾燥洗濯機の制御動作に示すフローチャートである。なお、図1〜図6に示す全自動乾燥洗濯機の構造、及び衣類の投入から洗い工程は第1の実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
【0050】
本実施形態の制御動作を図8に基づいて説明すると、洗い工程を所定時間実行し、洗い工程を終了した後は、排水ポンプ18により洗濯液が排水されすすぎ工程に移行する。
【0051】
すすぎ工程においては、排水ポンプ18を動作させたまま、モータ9を駆動して中間脱水を行なう。この中間脱水時で通常に立ち上がった場合には、高速回転時にモータ9の電流値が、ある一定時間以上(本実施形態では30秒)、設定値(本実施形態では6A)より高くなると、アンバランス状態又は泡拘束に近い状態で脱水していると判定する。そして、所定時間、中間脱水を行なった後、ためすすぎ工程に移行し、給水がはじまる。
【0052】
また、衣類がアンバランス・泡拘束により中間脱水が立ち上がらない場合は、衣類のアンバランス及び泡拘束をマイコン50のアンバランス検知手段56と泡拘束検知手段57にて検知し、異常振動を防止するため、中間脱水を立ち上げないようにする。このアンバランス検知又は泡拘束検知を数回(本実施形態では3回)トライし、それでもアンバランス及び泡拘束を検知すると、中間脱水を行なわずにスキップしてすすぎ工程に移行し、給水がはじまる。
【0053】
この中間脱水がアンバランス状態又は、泡拘束に近い状態を検知した場合は、ためすすぎの水位を20mm所定水位より高く設定する。また、アンバランス検知又は、泡拘束検知をして中間脱水をスキップすると、ためすすぎの水位を30mm所定水位より高く設定する。
【0054】
そして、この高い水位を検知すると、給水弁13を閉じ、所定時間ためすすぎを行なう。次工程にすすぎ工程があれば、上記同一動作で運転し、最終脱水工程に移行する。
【0055】
このように、アンバランス状態又は泡拘束に近い状態にて中間脱水を行なっていると検知した場合と、アンバランス又は泡拘束を検知した場合とで次工程のためすすぎ水位を所定より高くする水位を変化させることにより、中間脱水をしたものとスキップしたものとで洗剤液排出量の違いを区別し、無駄な水を使うことなく効率良く、すすぎを行うことができる。また、使用者の誤使用時(洗剤を通常より多く投入等)や布状態による異常時での通常の洗い・すすぎ・脱水のように問題・異常等なく運転する場合と同等のすすぎ性能を確保することができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態ではドラム式の全自動乾燥洗濯機について説明したが、洗濯のみを行うドラム式洗濯機及び縦型全自動洗濯機など、各種洗濯機に適用できるのは言うまでもない。
【0057】
また、上記実施形態において、アンバランス検知又は泡拘束検知を数回(例えば3回)トライし、それでもアンバランス及び泡拘束を検知した場合に、中間脱水をスキップ(飛ばす)する制御について説明したが、このアンバランス又は泡拘束検知を数回繰り返す間に、アンバランス修正工程や泡拘束解消工程を付加する制御を行ってもよいことは勿論である。さらに、上記実施形態では、アンバランス検知手段と泡拘束検知手段のいずれをも備えた構成について例示したが、これらのうち、アンバランス検知手段のみ、また泡拘束検知手段のみを備えた構成であってもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、すすぎの中間脱水時にアンバランス状態又は、泡拘束に近い状態で中間脱水を行なった場合、ためすすぎ水位を高くすることにより、使用者の誤使用時(洗剤を通常より多く投入等)や布状態による異常時でも、通常の洗い・すすぎ・脱水のように問題・異常等なく運転する場合と同等のすすぎ性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である全自動乾燥洗濯機の外部構造を示す概略斜視図
【図2】図1の操作部の詳細図
【図3】図1の内部構造を示す概略側面断面図
【図4】図1の給水周りの詳細図
【図5】図1の内部構造を示す概略側面断面図
【図6】図1の制御部のブロック図
【図7】第1の実施形態における運転プログラムフローチャート
【図8】第2の実施形態におけるすすぎ工程の運転プログラムフローチャート
【図9】従来の運転プログラムフローチャート
【符号の説明】
1:外箱
1a:洗濯物投入口
2:底台
3:開閉扉
4:水槽
5:ドラム
9:駆動装置
10:パッキン
11:操作パネル
11a:表示部
12:給水パイプ
13:給水弁
13b:乾燥用給水弁
15:洗剤ケース
16:排水ダクト
17a:糸屑フィルタ
17:接続ケース
18:排水ポンプ
23:水位センサー
24:温風ユニット
25:送風ファン
27:乾燥用ダクト
28:ヒータ
29a、29b:温度センサー
31:制御回路
32:天板
33:冷却室
50:マイクロコンピュータ
55:容量検知手段
56:アンバランス検知手段
57:泡拘束検知手段
Claims (3)
- すすぎ中間脱水工程とためすすぎ工程とを含むすすぎ工程を制御する運転制御手段と、中間脱水時における泡拘束状態及び/又はその原因となるアンバランス状態を検知する状態検知手段とを備え、
前記状態検知手段は、アンバランスに近い状態及び/又は泡拘束に近い状態を検知するための第1のしきい値と、アンバランスの状態及び/又は泡拘束の状態を検知するために前記第1のしきい値よりも高い第2のしきい値とを設定し、
前記運転制御手段は、すすぎ中間脱水工程で前記状態検知手段が第1のしきい値を超え第2のしきい値よりも低いアンバランスに近い状態及び/又は泡拘束に近い状態を一定時間検知したときに中間脱水を行ない、かつ次工程のためすすぎ水位を所定水位より高く設定することを特徴とする洗濯機。 - すすぎ中間脱水工程とためすすぎ工程とを含むすすぎ工程を制御する運転制御手段と、中間脱水時における泡拘束状態及び/又はその原因となるアンバランス状態を検知する状態検知手段とを備え、
前記状態検知手段は、アンバランスに近い状態及び/又は泡拘束に近い状態を検知するための第1のしきい値と、アンバランスの状態及び/又は泡拘束の状態を検知するために前記第1のしきい値よりも高い第2のしきい値とを設定し、
前記運転制御手段は、すすぎ中間脱水工程で前記状態検知手段が第1のしきい値を超え第2のしきい値よりも低いアンバランスに近い状態及び/又は泡拘束に近い状態を一定時間検知したときに中間脱水を行なうとともにためすすぎ水位を所定水位より高くし、また、前記状態検知手段が第2のしきい値を超えアンバランス及び/又は泡拘束状態を検知したときに中間脱水をスキップし、かつ次のためすすぎ工程で、前記中間脱水の有無に拘わらず、ためすすぎ水位を所定水位より高く設定することを特徴とする洗濯機。 - 前記運転制御手段は、ためすすぎ工程において、前工程で中間脱水を行ったときのためすすぎ水位よりも、前工程で中間脱水をスキップしたときのためすすぎ水位を高く設定したことを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
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