JP3978340B2

JP3978340B2 - ダンパ装置

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Publication number: JP3978340B2
Application number: JP2002014152A
Authority: JP
Inventors: 浩之岩下
Original assignee: Nidec Sankyo Corp
Current assignee: Nidec Sankyo Corp
Priority date: 2002-01-23
Filing date: 2002-01-23
Publication date: 2007-09-19
Anticipated expiration: 2022-01-23
Also published as: JP2003214474A; CN1456826A; US20030234145A1; CN1218134C

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒンジで開閉する回転蓋や回転扉などに適用する回転式オイルダンパに係わり、具体的には一方向の回動速度を規制する特に便座／便蓋のヒンジに適用するダンパの構成に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図８に要部のみを模式的に示した従来の回転式オイルダンパ装置１００は、（ａ）が回転軸Ｃに直角な横断面図、（ｂ）が回転軸Ｃに沿った縦断面図であって、図示しない洋式便器の便座ヒンジに取付けた場合、便座／便蓋を全開状態から閉じる方向（図８（ａ）で時計回転）に動かすと、ロータ部材１０１が便座ヒンジと一緒に回動し、ロータ部材１０１に装着されている逆止弁１０２がオイルの抵抗でロータ部材１０１の回転翼１０３に密着する（図８（ａ）の左半分の図示）。回転翼１０３にはオリフィス１０４が形成されており、逆止弁１０２が回転翼１０３に密着することにより、閉鎖方向にはこのオリフィス１０４が塞がれてオイルの流れが悪くなり、オイルの抵抗によって便座／便蓋が自然力で作動して急激に落下する危険はなく、ゆっくり閉じるようになる。
【０００３】
便座／便蓋を閉止状態から開く方向（図８（ａ）で反時計回転）に動かすと、ロータ部材１０１の回動で、ロータ部材１０１に装着されている逆止弁１０２がオイルの抵抗により回転翼１０３との密着状態を開放する（図８（ａ）の右半分の図示）。回転翼１０３に形成されたオリフィス１０４は拡大され、オイルは抵抗を伴わずに移動できるため、便座／便蓋を軽い力で開けることができ、幼児、老人、身障者などが支障なく扱えるように考慮されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の回転式オイルダンパ装置１００は、円筒部材で構成するケース１０５の中に逆止弁１０２を装着したロータ部材１０１を挿入し、オイルを充填してからオイルが漏れないように、カバー１０６を使ってネジ止めや超音波溶着などでケース１０５を密閉固定している。
【０００５】
図８（ｂ）で明らかなように、この構成は、Ｏ−リング１０７，１０８などによるシール箇所が多いために（図示の例では３箇所）、部品や組立の不具合によるオイル漏れが生じ易いばかりか、シール箇所の多さに伴って部品点数も多くなる。また、たとえケース１０５とカバー１０６をネジ止めや超音波溶着などを使って固定したとしても、ケース１０５内のオイル圧によって、ケース１０５とカバー１０６が離間する方向に力が加わるため、オイル漏れの可能性は解消しない。従って、ケース１０５とカバー１０６との固定方法に問題が発生しやすく、オイル漏れの要因を含むことになる。
【０００６】
さらに、オイル漏れを封じるためにカバー１０６を装着することによって生じる不利は、ロータ軸径がカバー１０６に規制されるから、オイルダンパは取付相手に対する条件が制約され適用範囲が縮減されることである。その上、オイルダンパを小形化した場合には、オイルの内部圧力に耐えるようにケースを金属製にすると、シール性に優れた超音波溶着による固定ができなくなるから、ダンピング効果が強力で小型のオイルダンパは製作が困難となる。
【０００７】
特開平６−１８５５５９号、特開平１０−２４８７５６号に、ケースにロータ軸を挿入し、ロータ軸をネジで固定する提案が開示されているが、バネのバックテンションを利用したダンピング装置であり、Ｏ−リング表面に粘性体を塗布しているがオイルの内部圧力は発生しないから、オイルの内部圧力に対するシールを目的としたものではない。また、実願平６−１１７１１号にケースに挿入したロータ軸を両側よりネジ止め固定した提案が開示されているが、オイルの内部圧力はロータ軸の左右にそれぞれ設けた２個のフランジ部で受けており、外側に漏れ止め用の蓋体３３が別設されている。
【０００８】
特願平７−４３６４５号は、ケーシング１の底に螺入したボルト１６は粘性流体の注入口１２を粘性流体注入後に封止するもので、本発明の構成と異なる。さらに、実案公報第２６０２１６５号は、オイルダンパー機構と記載されているが、グリス剪断方式のダンパで、オイルの内部圧力に対するシールではなく、ネジ１５は回転ドラム１１の挿入方向より固定シャフト１０に螺入されており、本発明とは異なる構成である。
【０００９】
そこで本発明の目的は、回転式オイルダンパ装置からオイル漏れ防止カバーを除くことである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係わるダンパ装置は、円筒内壁の半径方向に隔壁を突出したケーシング内に粘性流体としてのオイルを充填密封するとともに、先端に逆止弁を設けた回転翼を備えたロータ部材を回転可能に組合せ、前記ロータ部材に連結した連結部材が一方向に回転したときに大きなダンパ機能をさせる回転ダンパ装置であって、前記ケーシングの円筒壁面は、一端が前記ロータ部材の回転軸を挿入可能に開口する一方、他端に前記回転軸を回転可能に軸支する前記開口部より小径の透孔を穿設した一方のオイル受圧面となる閉鎖面を前記ケーシングそのものに有し、前記回転軸には前記開口を閉鎖する大径のオイル受圧フランジを形成し、前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記透孔をオイルシールを介して前記回転軸によって閉鎖するとともに、前記一端側の開口をオイルシールを介して前記回転軸の前記オイル受圧フランジ部によって閉鎖し、前記他端側の閉鎖面の外側から前記回転軸に取り付けられ前記回転軸が前記ケーシングから抜け止めされる抜け止め部材を有し、オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸の２部品のみにより形成するとともに前記回転軸を前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記抜け止め部材により抜け止めしたことにより、オイル漏れ防止カバーを廃止するとともに、前記回転軸の前記ケーシングからの抜け止めを確実にするものである。
【００１１】
そして、前記閉鎖面と前記抜け止め部材との間に軸受板を挟装して摺動抵抗を少なくした。さらに、前記抜け止め部材はネジ止め、カシメ、超音波溶着、止め輪のうちのいずれかを使用しロータ軸の中心に施工して、偏心によるダンパ機能の低下および偏摩耗による寿命の低下を防止した。
【００１２】
前記ケーシングは、両端がこの両端の間の中間部より拡径した拡径円筒壁面が開口し、前記ロータ部材の回転軸は、前記拡径円筒壁面の一方を閉鎖する一方のオイル受圧面となるオイル受圧フランジ部および前記拡径円筒壁面の他方と径方向に対抗するとともに前記中間部より小径の小径部を有し、前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記拡径円筒壁面の一方をオイルシールを介して前記オイル受圧フランジによって閉鎖するとともに、前記拡径円筒壁面の他方の外側から取り付けられ前記拡径円筒壁面の他方をオイルシールを介して閉鎖する他方のオイル受圧面となるオイル受圧軸受板を、前記回転軸の前記小径部に固定し、オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸と前記オイル受圧軸受板との３部品のみにより形成するとともに前記オイル受圧軸受板により前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記回転軸の抜け止めをし、回転軸を軸受する閉鎖面とオイル漏れ防止カバーを廃止するとともに、前記回転軸の前記ケーシングからの抜け止めを確実にするようにしてもよい。さらには、前記ケーシングおよび前記ロータ部材をともに金属ダイキャストで形成して強度を向上させる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係わるダンパ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明に係わるダンパ装置の第一実施例を示す断面図で、（ａ）はダンパ部分の軸に沿った断面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線に沿った断面図で後述する逆止弁３０の概略の構成を示す。符号１０は第一実施例のダンパ装置で、符号１２は図示しない洋式便器にダンパ装置１０を固定する取付座でケーシング１４と一体に形成される。取付座１２にはボルトを挿通する透孔１２ａが穿設され、ボルトの頭を沈めるザグリ穴１２ｂが凹設される。ケーシング１４は一方から（図では下方）回転軸２０が突出し、他方（図では上方）はケーシング１４と一体に形成された外周が固定軸１４ａとなる。
【００１４】
便座／便蓋の使用においては、充填するオイルの粘度を変えてダンピング効果を違えたダンパ装置１０の一対が左右に使用され、例えば、一方のダンピング効果の少ないダンパ装置１０に対しては、回転軸２０の外部突出部分に軽量の便蓋（図示省略）の取付部を固定し、重量のある便座（図示省略）の取付部は固定軸１４ａに回動自在に支持する。そして、他方のダンピング効果の大きなダンパ装置１０に対しては、回転軸２０に重量のある便座（図示省略）の取付部を固定し、軽量の便蓋（図示省略）の取付部を固定軸１４ａに回動自在に支持する。
【００１５】
ケーシング１４の円筒内壁１４ｂの２箇所には軸対称で半径方向に隔壁１６が中心に向けて突設され、先端には円弧面が形成されてロータ部材１８の回転軸２０の外周面と緩やかに嵌合する。ロータ部材１８は、回転軸２０から円筒内壁１４ｂに向かう回転翼２２が軸対称に延在する。回転翼２２は先端が円筒内壁１４ｂに沿って円弧面に形成され、ロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂに挟装される。一方のロータ軸方向オイル受圧面２４ａは、ロータ１８の回転軸２０と一体に形成したフランジ２５の内面で、フランジ２５の外周にはＯ−リング２５ａが二重に装着される。他方のロータ軸方向オイル受圧面２４ｂは、ケーシング１４と一体に形成された閉鎖面で、回転軸２０を軸支する透孔２６の内周にＯ−リング２６ａを装着した隔壁２７である。
【００１６】
さらに図６に示されるように、各回転翼２２の両端面２２ａは各ロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂと間隙ｓを介して相対する。また、それぞれの回転翼２２は回転方向の厚みが軸方向両側に凸部２２ｂを残して縮減され、厚みの薄い中央部分に所定の長さと深さの切欠き２９がオリフィスとして形成される。
【００１７】
逆止弁３０は、回転翼２２とロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂとの間隙ｓを緩やかに補完して回転翼２２を囲み、回転翼２２と緩やかに嵌合する矩形の管体で、円筒内壁１４ｂに摺接する面は円弧面に形成される。また逆止弁３０は、回転翼２２にダンパ機能を発揮させる回転方向ＣＣＷ（図６参照）を向く面３０ａは回転翼２２の切欠き２９（オリフィス）全面を覆って、その他の面３０ｂは回転翼２２の付根から先端までの約半分に長さが縮減される。逆止弁３０は、回転翼２２と回転方向に遊隙ｐを保って嵌装され、円筒内壁１４ｂに沿って遊隙ｐの間を移動可能に支持される。
【００１８】
次に、ダンパ装置１０の組立について説明する。図７において、ケーシング１４内に規定量のシリコンオイル３１（以下オイルと略記）を充填した後、回転翼２２に逆止弁３０を嵌装して、フランジ２５の外周にＯ−リング２５ａを装着したロータ部材１８をケーシング１４内に嵌挿する。回転軸２０先端の縮径部２０ａを隔壁２７の透孔２６に嵌入して、回転翼２２の端面２２ａを縮径段部２０ｂとともに隔壁２７の内面と摺動可能な状態で近接させる。
【００１９】
ケーシング１４に、ロータ部材１８挿入方向とは逆側からＯ−リング２６ａを隔壁２７の透孔２６内周に装着した後、外周にＯ−リング３２ａを装着した軸受板３２を嵌入して、回転軸２０に軸受板３２をボルト等のネジ部材３４で締結し、ネジロックなどの接着剤を用いて弛み止を施す。ロータ部材１８と一体のフランジ２５は、外周のＯ−リング２５ａがケーシング１４の円筒内壁１４ｂに突設する隔壁１６外側の円筒内壁１４ｃに摺動可能に密着し、フランジ内面２５ｂが隔壁１６の外側面に密着して摺動する。回転軸２０と軸受板３２とは一体で、ロータ部材１８は、ケーシング１４に支持され相対的に回転可能である。
【００２０】
内部に充填したシリコンオイル３１は、ロータ部材１８と一体のフランジ２５およびケーシング１４と一体の隔壁２７が形成するロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂに密封される。ケーシング１４内の相対する隔壁１６間で弧状に形成される二つの部分円筒空間３３は、それぞれ回転翼２２によってオイル室（Ａ）３３ａとオイル室（Ｂ）３３ｂとに区分される。回転翼２２に逆止弁３０を嵌装する場合は、スナップフィットなどによる簡易抜け止めで回転翼２２から脱落するのを防止すると、組立作業性を向上させることができる。上記構成により、本発明に係わるダンパ装置からオイル漏れ防止カバーを省略することが可能になる。
【００２１】
次に、本発明に係わるダンパ装置の動作について説明する。図６はダンパ機能する作動方向（図中ＣＣＷ方向）の逆止弁３０の動作を示し、図７はダンパが空転する方向（図中ＣＷ方向）の逆止弁３０の動作を示す。いずれも（ａ）は軸に直角な断面図で（ｂ）は軸に沿った部分断面図である。図６において、ケーシング１４を固定し、回転軸２０を反時計方向ＣＣＷに回転させると、オイル室（Ａ）３３ａのオイルは加圧されてオイル室（Ｂ）３３ｂへ移動しようとする。しかしながら、回転翼２２に逆止弁３０が密着して回転翼２２の切欠き２９を封止するため、回転軸２０、回転翼２２、逆止弁３０などとケーシング１４内壁との僅かな遊隙からオイル３１が移動する。このときのオイル抵抗がブレーキとなって、便座／便蓋をゆっくり閉じることができる。
【００２２】
図７において、ケーシング１４を固定し、回転軸２０を時計方向ＣＷに回転させると、オイル室（Ｂ）３３ｂのオイルが加圧されてオイル室（Ａ）３３ａに移動しようとする。このときのオイル抵抗により逆止弁３０が遊隙ｐを移動して切欠き２９が開放され、回転翼２２と逆止弁３０との間に形成される遊隙ｐと切欠き２９が油路３３ｃとなって、回転軸２０の時計方向ＣＷ回転は、この油路３３ｃによりオイル３１がオイル室（Ｂ）３３ｂからオイル室（Ａ）３３ａへ容易に移動できるため、オイル抵抗が発生せず、回転軸２０は空転して便座／便蓋は軽い力で開けることが可能となる。
【００２３】
図２は、本発明に係わるダンパ装置の第二実施例を示す断面図で、取付座１２および逆止弁３０の構成および動作は第一実施例と同様であるので、図示および説明を省略する。また、図中同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。第二実施例のダンパ装置４０は、ロータ部材１８-2のフランジ２５-2が第一実施例と異なるのみで、その他の構成は第一実施例と同じである。第一実施例では、粘性の低いオイルに対応できるように、フランジ２５ではＯ−リングを二重に使用しているが、一般には、第二実施例のフランジ２５-2が示す単一使用で十分機能する。
【００２４】
本発明に係わるダンパ装置は、上述の構成によりオイル漏れ防止カバーが省略できるので、回転軸の外部接続部分２１を小径にしてオイル漏れ防止カバーに穿設した透孔を挿通させる必要がなく、また特に軸を縮径してオイル漏れ防止カバーに貫通させ、回転軸に嵌入して結合するようにした外部軸を別設する必要もない。第二実施例のダンパ装置４０は、ロータ部材１８-2の外部接続部分２１を回転軸２０-2と一体に形成して寸法および形状を自在に設定することができる。すなわち第二実施例では、外部接続部分２１の外径寸法をケーシング１４の外径と同等以上に形成することが可能であることを示している。第二実施例のダンパ装置４０におけるその他の構成および組立順序や動作および使用方法は、第一実施例のダンパ装置１０と同様であるので説明を省略する。
【００２５】
図３は、本発明に係わるダンパ装置の第三実施例を示す断面図で、取付座１２および逆止弁３０の構成および動作は第一実施例と同様であるので、図示および説明を省略する。また、図中同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。第三実施例のダンパ装置５０は、ロータ部材１８-4に軸受板３２を結合するネジ部材３４をカシメに変更した例で、隔壁２７の透孔２６に挿通する回転軸２０の縮径部２０ａを延長するとともに、透孔２６の内周に装着するＯ−リング２６ａの代わりに、Ｏ−リング２０ｄを縮径部２０ａ-3外周に装着する。
【００２６】
軸受板３２-3と縮径部２０ａ-3とが一体で回転するように、縮径部２０ａ-3の軸受板３２-3との嵌合部分は軸断面を小判形または多角形に形成し、薄い円板状で上記実施例のＯ−リング３２ａを省略した軸受板３２-3には縮径部２０ａ-3の軸断面を補完する形状の嵌合穴を穿設して回り止めする。そして、軸受板３２-3より外側に延在する縮径部２０ａ-3を強制的に塑性変形させたカシメ部２０ｃにより、ロータ部材１８-3がケーシング１４から抜け出すのを防止する。第三実施例のダンパ装置５０の動作および使用方法は、第一実施例のダンパ装置１０と同様であるので説明を省略する。
【００２７】
図４は、本発明に係わるダンパ装置の第四実施例を示す断面図で、取付座１２および逆止弁３０の構成及び動作は第一実施例と同様であるので、図示および説明を省略する。また、図中同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。第四実施例のダンパ装置６０は、カシメ部２０ｃに代えて止め輪３５を使用している。止め輪３５は、軸端より押入することによって軸径より小径の内径が弾性変形して逆行を阻止する構成である。その他、軸受板３２-4や縮径部２０ａ-4の断面形状は第三実施例のダンパ装置５０と同様で、また動作や使用方法については第一実施例のダンパ装置１０と同様であるので説明を省略する。
【００２８】
図５は、本発明に係わるダンパ装置の第五実施例を示す断面図で、取付座１２および逆止弁３０の構成および動作は第一実施例と同様であるので、図示および説明を省略する。また、図中同様の部材には同じ符号を付して説明を省略する。第五実施例のダンパ装置７０は、第一ないし第四実施例から隔壁２７を省略した例である。ケーシング１４の両端は拡径した円筒内壁１４ｄが開口し、ロータ部材１８-5のＯ−リング２５ａを装着したフランジ２５-5と、Ｏ−リング３２ａを装着した軸受板３２-5とが、ケーシング１４両端の拡径した円筒内壁１４ｄにそれぞれ摺動自在に当接し、いずれも直接オイルに接するロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂとなる。
【００２９】
軸受板３２-5にはロータ部材１８-5の回転軸２０-5先端に形成した縮径部２０ａ-5が軸受板３２-5の軸方向に厚みのほぼ中間を超える深さに凹設された嵌合穴３６に埋入され、縮径部２０ａ-5の外周はＯ−リング２０ｅでシールされる。そして軸受板３２-5は、第一実施例と同様にネジ部材３４で回転軸２０-5と締結されて一体に回転する。ネジ部材３４は、ネジロックなどの接着剤を用いて弛み止が施される。軸受板３２-5とフランジ２５-5のロータ軸方向オイル受圧面２４ａ，２４ｂが、ケーシング１４両端の拡径段部１４ｅにそれぞれ摺動可能に当接して、ロータ部材１８-5の軸方向の移動を規制している。第五実施例によるダンパ装置７０の動作および使用方法は第一実施例のダンパ装置１０と同様であるので説明を省略する。
【００３０】
以上、実施例について説明したが、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、その形状や構成について、本発明の構成要件から逸脱しない範囲で、細部に関する多様な変更や部品の再構成や実施例における組合せを交換する等の様々な改変をなし得ることが予期される。
【００３１】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明に係わるダンパ装置は、請求項１及び４の構成によれば、円筒内壁の半径方向に隔壁を突出したケーシング内に粘性流体としてのオイルを充填密封するとともに、先端に逆止弁を設けた回転翼を備えたロータ部材を回転可能に組合せ、前記ロータ部材に連結した連結部材が一方向に回転したときに大きなダンパ機能をさせる回転ダンパ装置であって、前記ケーシングの円筒壁面は、一端が前記ロータ部材の回転軸を挿入可能に開口する一方、他端に前記回転軸を回転可能に軸支する前記開口部より小径の透孔を穿設した一方のオイル受圧面となる閉鎖面を前記ケーシングそのものに有し、前記回転軸には前記開口を閉鎖する他方のオイル受圧面となる大径のオイル受圧フランジを形成し、前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記透孔をオイルシールを介して前記回転軸によって閉鎖するとともに、前記一端側の開口をオイルシールを介して前記回転軸の前記オイル受圧フランジ部によって閉鎖し、前記他端側の閉鎖面の外側から前記回転軸に取り付けられ前記回転軸が前記ケーシングから抜け止めされる抜け止め部材を有し、オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸の２部品のみにより形成するとともに前記回転軸を前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記抜け止め部材により抜け止めしたものであるから、オイル漏れ防止カバーを廃止するとともに、前記抜け止め部材は、前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記回転軸の抜け止めをするものであるから、前記回転軸の前記ケーシングからの抜け止めを確実にすることができる。このため、部品数が減少し組立が容易になってコストが削減できる。また、オイルの内部圧力によるロータ回りの油路の拡大が低減でき、シール箇所が少なくなるため、オイル漏れ防止に優れた効果が発揮できる。さらには、ロータ部材の軸部をケーシングより大きく形成できるので適用範囲が増大する。
【００３２】
また、本発明に係わる上記ダンパ装置は、請求項２の構成によれば、前記閉鎖面と前記固定手段との間に軸受板を挟装したので、摺動抵抗が少なくなり、耐久性が向上する。
【００３３】
さらに、本発明に係わる上記ダンパ装置は、請求項３の構成によれば、固定手段はネジ止め、カシメ、超音波溶着、止め輪のうちのいずれかでロータ軸の中心に施工したので、例えばネジ１本でも強力な締結力を確保することができ、径の小さい箇所を軸受とするため、受圧面より抵抗が少なく、オイル漏れ防止効率の良いダンパ装置が提供できる。
【００３４】
そして、本発明に係わるダンパ装置は、請求項５及び７の構成によれば、前記ケーシングは、両端がこの両端の間の中間部より拡径した拡径円筒壁面が開口し、前記ロータ部材の回転軸は、前記拡径円筒壁面の一方を閉鎖する一方のオイル受圧面となるオイル受圧フランジ部および前記拡径円筒壁面の他方と径方向に対抗するとともに前記中間部より小径の小径部を有し、前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記拡径円筒壁面の一方をオイルシールを介して前記オイル受圧フランジによって閉鎖するとともに、前記拡径円筒壁面の他方の外側から取り付けられ前記拡径円筒壁面の他方をオイルシールを介して閉鎖する他方のオイル受圧面となるオイル受圧軸受板を、前記回転軸の前記小径部に固定し、オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸と前記オイル受圧軸受板との３部品のみにより形成するとともに前記オイル受圧軸受板により前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記回転軸の抜け止めをしたものであるから、オイル漏れ防止カバーが不要となるとともに、前記オイル受圧軸受板は前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記回転軸の抜け止めをしたものであるから、前記回転軸の前記ケーシングからの抜け止めを確実にすることができる。また、ケーシングが筒形となり部品製作が容易で、ロータ軸形状寸法を任意に設定できる利点が生じ、ロータ部材の外部連結軸部をケーシングより大きくできる。
【００３５】
しかも従来は、樹脂によるケーシングとカバーの固定は超音波溶着が可能だが強度が不足し、また金属ケーシングとカバーの固定には超音波溶着が難しいため、小型の高トルクダンパの構成は、ケーシングとカバーの固定手段（ネジ止め、超音波溶着等）に問題があったが、上記構成によりカバーが不要となるので、問題は解消され、更に本発明に係わるダンパ装置は、請求項６の構成によれば、前記円筒部材および前記ロータ部材をともに金属ダイキャストで形成したので、シリンダタイプで高トルクに耐えるダンパ装置の小型化が可能となる。
【００３６】
上記したように、本発明に係わるダンパ装置によれば、便座／便蓋用ばかりでなく、ドアクローザやごみ箱の蓋などのようにヒンジ結合されて一方向には軽快に、反対方向には緩慢に動作することが望ましい移動体に適用しても効力を発揮することができ、汎用性がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係わるダンパ装置の第一実施例の断面図で、（ａ）は回転軸に沿った断面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線に沿った断面図である。
【図２】本発明に係わるダンパ装置における第二実施例の回転軸に沿った部分断面図である。
【図３】本発明に係わるダンパ装置における第三実施例の回転軸に沿った部分断面図である。
【図４】本発明に係わるダンパ装置における第四実施例の回転軸に沿った部分断面図である。
【図５】本発明に係わるダンパ装置における第五実施例の回転軸に沿った部分断面図である。
【図６】図１に示したダンパ装置における逆止弁の制動時を模式的に示す動作説明図である。
【図７】図１に示したダンパ装置における逆止弁の空転時を模式的に示す動作説明図である。
【図８】従来のダンパ装置の模式的動作説明図である。
【符号の説明】
１０ダンパ装置
１４ケーシング
１６隔壁
１８ロータ部材
２０回転軸
２２回転翼
２５フランジ
２７隔壁
２９切欠き
３０逆止弁
３２軸受板
３４ネジ部材

Claims

円筒内壁の半径方向に隔壁を突出したケーシング内に粘性流体としてのオイルを充填密封するとともに、先端に逆止弁を設けた回転翼を備えたロータ部材を回転可能に組合せ、前記ロータ部材に連結した連結部材が一方向に回転したときに大きなダンパ機能をさせる回転ダンパ装置であって、
前記ケーシングの円筒壁面は、一端が前記ロータ部材の回転軸を挿入可能に開口する一方、他端に前記回転軸を回転可能に軸支する前記開口部より小径の透孔を穿設した一方のオイル受圧面となる閉鎖面を前記ケーシングそのものに有し、
前記回転軸には前記開口を閉鎖する他方のオイル受圧面となる大径のオイル受圧フランジを形成し、
前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記透孔をオイルシールを介して前記回転軸によって閉鎖するとともに、
前記一端側の開口をオイルシールを介して前記回転軸の前記オイル受圧フランジ部によって閉鎖し、
前記他端側の閉鎖面の外側から前記回転軸に取り付けられ前記回転軸が前記ケーシングから抜け止めされる抜け止め部材を有し、
オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸の２部品のみにより形成するとともに前記回転軸を前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記抜け止め部材により抜け止めしたことを特徴とするダンパ装置。
前記閉鎖面と前記抜け止め部材との間に軸受板を挟装したことを特徴とする請求項１に記載のダンパ装置。
前記抜け止め部材はネジ止め、カシメ、超音波溶着、止め輪のうちのいずれかでロータ軸の中心に施工したことを特徴とする請求項２に記載のダンパ装置。
前記抜け止め部材は前記閉鎖面の径方向に延設された壁面に当接して前記ロータを抜け止めしたことを特徴とする請求項１記載のダンパ装置。
円筒内壁の半径方向に隔壁を突出したケーシング内に粘性流体としてのオイルを充填密封するとともに、先端に逆止弁を設けた回転翼を備えたロータ部材を回転可能に組合せ、前記ロータ部材に連結した連結部材が一方向に回転したときに大きなダンパ機能をさせる回転ダンパ装置であって、
前記ケーシングは、両端がこの両端の間の中間部より拡径した拡径円筒壁面が開口し、
前記ロータ部材の回転軸は、前記拡径円筒壁面の一方を閉鎖する一方のオイル受圧面となるオイル受圧フランジ部および前記拡径円筒壁面の他方と径方向に対抗するとともに前記中間部より小径の小径部を有し、
前記回転軸が前記ケーシングの前記開口より挿入されて、前記拡径円筒壁面の一方をオイルシールを介して前記オイル受圧フランジによって閉鎖するとともに、
前記拡径円筒壁面の他方の外側から取り付けられ前記拡径円筒壁面の他方をオイルシールを介して閉鎖する他方のオイル受圧面となるオイル受圧軸受板を、前記回転軸の前記小径部に固定し、
オイルが充填密封されるオイル室を前記ケーシングと前記回転軸と前記オイル受圧軸受板との３部品のみにより形成するとともに前記オイル受圧軸受板により前記回転軸の挿入方向とは逆側から前記回転軸の抜け止めをしたことを特徴とするダンパ装置。
前記ケーシングおよび前記ロータ部材をともに金属ダイキャストで形成したことを特徴とする請求項１または５に記載のダンパ装置。
前記オイル受圧軸受板を１本のネジによって前記小径部に固定したことを特徴とする請求項５記載のダンパ装置。
前記オイルシールは、Ｏ−リングから成ることを特徴とする請求項１又は５に記載のダンパ装置。