JP3977534B2 - 高分子凝集剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子凝集剤に関する。さらに詳しくは、高分子量でかつ分子量分布が狭いため、低添加量で高い凝沈(凝集沈殿)速度と高い脱水率(すなわち低いケーキ含水率)が得られる高分子凝集剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高分子凝集剤として、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合して得られる、ノニオン性、アニオン性およびカチオン性の高分子量重合体が種々知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのものは分子量分布が広いため高添加量を必要とし、凝沈速度や脱水率等にも問題があった。また分子量を上げるために開始剤量を減らすと、得られる重合体が水および塩水に対する溶解性が悪くなる等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高分子量で分子量分布が狭く、かつ溶解性の良い高分子凝集剤について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、エチレン性不飽和単量体(a)を構成単位として、ラジカル重合開始剤及び下記一般式(1)で表されるラジカル重合用連鎖移動剤を使用して重合して得られる(共)重合体(A)からなる高分子凝集剤である。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、Qは多価有機基、X1はカルボニル基または−CONH−、A1、A2は炭素数1〜8のアルキレン基、X2は酸素原子、硫黄原子またはNH基、Zは連鎖移動基、p、q、r、xはそれぞれ0または1、mは0または1〜50の整数、nは2〜100の整数を表し、[]内および、mが2〜50の場合の{}内はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、エチレン性不飽和単量体(a)としては次のものがあげられる。
【0008】
本発明において、さらに他の単量体を加えることができる。共重合されるモノマーは、不飽和炭化水素(スチレン、メチルスチレン、エチレン、ノネン等)、(メタ)アクリル酸誘導体(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル等)、酢酸ビニル、ビニルピロリドン等があげられる。これらの共重合量は、通常は全体の20モル%以下である。
共重合体の場合、単量体の組合せの比は特に限定ないが、通常アクリルアミドが50モル%以上である。
【0009】
一般式(1)において、Qとしては多価アルコールまたは多価フェノールからOHを除いた残基、多価カルボン酸からCOOHを除いた残基等があげられる。多価アルコールとしては、炭素数2〜8のアルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、環状基を有する炭素数5〜10のジオールなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等の炭素数3〜12の3価アルコール;ペンタエリスリトール、メチルグリコシド、ジグリセリンなどの炭素数4〜20の4価アルコール;および更に高い官能基数を有するアルコール類、たとえばペンチトール(アドニトール、アラビトール、キシリトール等)、ヘキシトール(ソルビトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ズルシトール等)、糖類[ショ糖、単糖類(グルコース、マンノース、フラクトース、ソルボース等)、少糖類(クレハロース、ラクトース、ラフィノース等)等];グルコシド[たとえばポリオール(グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のアルカンポリオール)のグルコシド];ポリアルカンポリオール[たとえばトリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン];ポリペンタエリスリトール(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等);シクロアルカンポリオール[テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール等]等があげられる。
また、重合度100までのポリビニルアルコールをあげることができる。
【0010】
さらに、ジ−およびトリエタノールアミン;炭素数2〜20のアルキルアミン類、炭素数2〜6のアルキレンジアミンたとえばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンたとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン類、アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミンなどの芳香族アミン類、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式アミン類、アミノエチルピペラジン等のアルキレンオキサイド付加物があげられる。
【0011】
多価フェノールとしてはピロガロール、ハイドロキノン、フロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)、ポリフェノール等があげられる。
【0012】
多価カルボン酸としては、2価カルボン酸[(1)炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、アゼライン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等);(2)炭素数8〜20の脂環式ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸、メチルメジック酸等);(3)炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等);(4)側鎖に炭素数4〜35の炭化水素基を有するアルキルもしくはアルケニルコハク酸(イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等)]、3価以上のカルボン酸類[(1)炭素数7〜20の脂肪族ポリカルボン酸(1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等);(2)炭素数9〜20の脂環式ポリカルボン酸(1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等);(3)炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸および1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)]等があげられる。
さらに重合度100までの不飽和ポリカルボン酸の重合物があげられる。
【0013】
一般式(1)において、ZとしてはSH、SR、SSR、CX3(Rは炭素数1〜20のアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリーロキシまたはシクロアルキル基で、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基で置換されていても良い。Xは塩素原子、臭素原子。)等があげられる。これらのうち、好ましいものはSHである。
【0014】
一般式(1)において、Qが多価アルコールまたは多価フェノールの残基の場合pは0であり、多価カルボン酸残基の場合pは1である。pが0の場合、xおよびqはそれぞれ0または1、rは0である。pが1の場合、xは0であり、qおよびrはそれぞれ0または1である。
【0015】
一般式(1)において、nは2〜8、mは0または1〜30が好ましい。
【0016】
一般式(1)で表される連鎖移動剤は、ZがSHの場合例えば次のような方法で製造することが出来る。
連鎖移動剤1(mが0、pが0、qが0の場合)
多価アルコールのアルキレングリコールエーテルの末端をチオニルクロライド等で塩素化した後、水硫化アルカリと反応させる。また、ω−メルカプト−アルキルアルコールと多価アルコールとをエーテル化する。
具体的な連鎖移動剤としては、エチレングリコール−ジ−2−メルカプトエチルエーテル、トリメチロールプロパン−トリ−2−メルカプトエチルエーテル、ペンタエリスリトール−テトラ−2−メルカプトエチルエーテル等があげられる。
【0017】
連鎖移動剤2(mが0、pが1、qが0の場合)
ω−メルカプト−アルキルアルコールと多価カルボン酸とエステル化する。
具体的な連鎖移動剤としては、マレイン酸−ジ−2−メルカプトエチルエステル、フマル酸−ジ−2−メルカプトエチルエステル、アジピン酸−ジ−2−メルカプトエチルエステル、テレフタル酸−ジ−2−メルカプトエチルエステル等があげられる。
【0018】
連鎖移動剤3(pが0、xが0、qが0、rが0の場合)
ω−メルカプト−アルキルアルコールに環状エーテルを付加した後、多価アルコールとエーテル化する。あるいは多価アルコールに環状エーテルを付加し、末端をチオニルクロライド等で塩素化した後、水硫化アルカリと反応させる。
具体的な連鎖移動剤としては、ポリオキシエチレングリコール−ジ−2−メルカプトエチルエーテル等があげられる。
【0019】
連鎖移動剤4(pが1、xが0、qが0、rが0の場合)
ω−メルカプト−アルキルアルコールに環状エーテル(環状サルファイド、環状イミン)を付加した後、多価カルボン酸とエステル化する。
【0020】
連鎖移動剤5(pが0、xが1、qが1、rが0の場合)
多価アルコールに環状ラクトン(環状ラクタム)を付加した後、ω−メルカプト−カルボン酸でエステル化(アミド化)する。
具体的な連鎖移動剤としてはトリエタノールアミン−ε−カプロラクトン付加物−トリ−3−メルカプトプロピオン酸エステル等があげられる。
【0021】
連鎖移動剤6(pが0、xが1、qが0、rが0の場合)
多価アルコールに環状ラクトン(環状ラクタム)を付加した後、ω−メルカプト−ハロゲナイドでエーテル化(アミノ化)する。
具体的な連鎖移動剤としてはトリエタノールアミン−ε−カプロラクトン付加物−トリ−2−メルカプトエチルエーテル等があげられる。
【0022】
連鎖移動剤7(pが0、xが0、qが1、rが0の場合)
多価アルコールに環状エーテル(環状サルファイド、環状イミン)を付加した後、ω−メルカプト−カルボン酸でエステル化(チオエステル化、アミド化)する。
この方法で製造できる具体的な連鎖移動剤としては、次のものがあげられる。
(1)アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール等)にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を1〜100モル付加し、末端を3−メルカプトプロピオン酸でジエステルとしたもの。ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量630)ジ−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量600)ジ−3−メルカプトプロピオン酸エステル等。
(2)3価以上の多価アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ショ糖等)にアルキレンオキサイドを1〜150モル付加し、末端を3−メルカプトプロピオン酸でジエステルとしたもの。ペンタエリスリトールエチレンオキサイド20モル付加物のテトラ−3−メルカプトプロピオン酸エステル等。
(3)ポリ酢酸ビニル(重量平均分子量50,000、鹸化度10%)を2−メルカプト酢酸でエステル化したもの。
【0023】
連鎖移動剤8(pが1、xが0、qが1、rが0の場合)
多価カルボン酸に環状エーテル(環状サルファイド、環状イミン)を付加した後、ω−メルカプト−カルボン酸でエステル化(チオエステル化、アミド化)する。
具体的な連鎖移動剤としては、アジピン酸プロピレンオキサイド4モル付加物−ジ−2−メルカプト酢酸エステル等があげられる。
【0024】
連鎖移動剤9(pが1、xが0、qが0、rが1の場合)
多価カルボン酸に環状ラクトン(環状ラクタム)を付加した後、ω−メルカプト−アルコールでエステル化する。
【0025】
これら連鎖移動剤のうち、好ましいものは連鎖移動剤1〜6であり、さらに好ましいものは連鎖移動剤1、2、3,4であり、特に好ましいものは連鎖移動剤1、2、3である。
【0026】
上記化合物の製造において、例えば環状エーテルと環状ラクトンを共付加することも可能であり、共付加する場合ランダム共付加、ブロック共付加のいずれでも良い。
環状エーテルとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド等があげられ、環状チオエーテルとしてはエピサルファイド等があげられ、環状イミンとしてはエチレンイミン等があげられる。これらは共付加することも可能であり、共付加する場合ランダム共付加、ブロック共付加のいずれでも良い。
これらのうち、好ましいものは環状エーテルであり、さらに好ましいものはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびこれらの混合物である。
環状ラクトンとしてはε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等があげられ、環状ラクタムとしてはε−カプロラクタム等があげられる。これらは共付加することも可能であり、共付加する場合ランダム共付加、ブロック共付加のいずれでも良い。
【0027】
本発明の連鎖移動剤の本旨は、複数の連鎖移動基が、相互に少なくとも2個の官能基(エーテル、エステル、アミド等)を隔てて存在することにあり、このことにより初めて分子量分布の狭い重合体の製造を可能ならしめたものである。
【0028】
上記条件を満足するものであれば、求める重合体の性状により、任意にその構造を選択することができる。
例えば上記連鎖移動剤3で言えば付加する環状エーテルは、エチレンオキサイドが好ましい。
【0029】
本発明のおいて使用する連鎖移動剤の量は、単量体に対し通常0.001〜100ppm、好ましくは0.01〜30ppm、特に好ましくは0.1〜15ppmである。
【0030】
重合に使用する開始剤としては公知の物が使用でき、例としては、水溶性アゾ開始剤(アゾビスアミジノプロパン(塩)、アゾビスシアノバレリン酸(塩)等)、油溶性アゾ開始剤(アゾビスシアノバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等)、水溶性過酸化物(過酸化水素、過酢酸等)、油溶性過酸化物(ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロキシパーオキシド等)、無機過酸化物(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等)があげられる。上記のような過酸化物と還元剤とでレドックス開始剤系を形成しても良く、還元剤の例としては重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等)、3級アミン(ジメチルアミノ安息香酸(塩)、ジメチルアミノエタノール等)、遷移金属塩のアミン錯体(塩化コバルト(III)のペンタメチレンヘキサミン錯体、塩化銅(II)のジエチレントリアミン錯体等)等があげられる。また、アゾ開始剤、過酸化物開始剤、ないしレドックス開始剤を適宜併用してもよい。
【0031】
重合法は、通常水溶液重合法であり、単量体濃度は通常5〜30重量%で、好ましくは、15〜25重量%である。
【0032】
重合水溶液のpHは通常2〜10であり、好ましくは3〜8である。pHが2未満の場合は効果がなく、また10を超える場合は加水分解等の副反応が生じる等の問題が生じる。
【0033】
重合は発熱反応で進行するため、重合の開始を通常−20〜40℃、好ましくは−10〜10℃で行う。この時重合終了時のピーク温度は通常60〜110℃である。
【0034】
重合後のポリマーは、含水ゲルとなる。通常これを乾燥してポリマーを得る。ゲルの乾燥法は、通常は熱風乾燥を行なう。得られた含水ゲルを切断、破砕し熱風乾燥する。乾燥温度は、特に限定ないが通常70〜130℃であり、好ましくは70〜110℃である。乾燥したゲルは粉砕し粉末状の重合体を得る。
【0035】
重合体の分子量を表す固有粘度は、ノニオン性およびアニオン性凝集剤では通常15〜25dl/g、好ましくは18〜22dl/gであり、カチオン性凝集剤では通常3〜15dl/g、好ましくは5〜13dl/gである。
重合体の分子量分布を表す曳糸長は、ノニオン性およびアニオン性凝集剤では通常80〜120mm、好ましくは80〜100mmであり、カチオン性凝集剤では通常5〜90mm、好ましくは5〜80mmである。
ここで固有粘度は、25℃で1Nの硝酸ソーダ水溶液で測定した値であり、曳糸長はポリマーをイオン交換水に溶かして0.2%水溶液とし、これに深さ11mmまで直径7mmのガラス球をつけ、16mm/秒の速度でガラス球を引きあげた時、ポリマー水溶液が切れるまでの引き上げ距離を25℃で測定した値である。
本発明による凝集剤は、産業廃水の凝集沈殿用、下水汚泥の脱水用、石油の3次回収用、製紙工程での濾水歩留向上用または紙力増強 用などとして使用でき、優れた効果を示す。
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部である。
【0037】
【実施例】
(連鎖移動剤の製造)
製造例1
反応容器にトリエチレングリコール150部を仕込み、撹拌しながら80℃で塩化チオニル262部を2時間かけて滴下した。同温度を1時間保持した後、30%水硫化ナトリウム水溶液500部を3時間かけて滴下した。同温度で1時間保持した後室温に戻し、分液してエチレングリコール−ジ−2−メルカプトエチルエーテル180部を得た。これを連鎖移動剤Aとする。
【0038】
製造例2
製造例1と同様にしてペンタエリスリトール−テトラ−2−メルカプトエチルエーテルを得た。これを連鎖移動剤Bとする。
【0039】
製造例3
耐圧反応容器にペンタエリスリトール680部、水酸化カリウム5部を仕込み、窒素置換後130℃に昇温した。130〜160℃でエチレンオキサイド4,450部を5時間かけて仕込み反応させた。同温度で1時間熟成後、50〜70℃に冷却し、水160部、合成ケイ酸マグネシウム60部を加え2時間撹拌後、濾過した。その後脱水して、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド20モル付加物5,000部を得た。
ついで、この付加物510部を反応容器に仕込み、撹拌しながら80℃で塩化チオニル520部を4時間かけて滴下した。同温度を1.5時間保持した後、30%水硫化ナトリウム水溶液1,000部を5時間かけて滴下した。同温度で2時間保持した後室温に戻し、分液して本発明の連鎖移動剤であるペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物テトラ−2−メルカプトエチルエーテルを得た。これを連鎖移動剤Cとする。
【0040】
製造例4
耐圧反応容器にエチレングリコール620部、水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後130℃に昇温した。130〜160℃でエチレンオキサイド5,740部を5時間かけて仕込み反応させた。同温度で1時間熟成後、50〜70℃に冷却し、水160部、合成ケイ酸マグネシウム60部を加え2時間撹拌後、濾過した。その後脱水して、数平均分子量630のポリオキシエチレングリコール6,000部を得た。
ついで、このポリオキシエチレングリコール630部を反応容器に仕込み、撹拌しながら80℃で塩化チオニル260部を2時間かけて滴下した。同温度を1時間保持した後、30%水硫化ナトリウム水溶液500部を3時間かけて滴下した。同温度で1時間保持した後室温に戻し、分液して本発明の連鎖移動剤であるポリオキシエチレングリコール−ジ−2−メルカプトエチルエーテル600部を得た。これを連鎖移動剤Dとする。
【0041】
実施例1〜10および比較例1〜4
表1に示す、単量体、連鎖移動剤、イオン交換水280gを断熱反応容器に仕込み、20℃で液中に激しく窒素を20分間吹き込んだ。ついで順次アゾビスアミジノプロパン塩酸塩10%水溶液0.1ml、過酸化水素10%水溶液0.02ml、重亜硫酸ソーダ10%水溶液0.01mlを添加した。添加後窒素の吹き込みを停止した。約10分後に液温上昇が始まり、系は次第に増粘しゲル状の重合物になった。7時間後にゲルを細断し、75℃の熱風で5時間乾燥した後、粉砕し、粉末状の高分子凝集剤を得た。凝集剤の固有粘度、曳糸長を表1に示す。
【0042】
実施例11、比較例5
表1に示す、単量体、連鎖移動剤、イオン交換水280gを断熱反応容器に仕込み、50℃で液中に激しく窒素を20分間吹き込んだ。ついでアゾビスイソバレロニトリル1%アセトン溶液10mlを添加し重合させた。重合物に重合体中のホルミル基と当量の濃塩酸水溶液を添加し、80℃で5時間反応させた後、大量のアセトン中に加え、粉末状のポリビニルアミジンの凝集剤を得た。凝集剤の固有粘度、曳糸長を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表中の記号はそれぞれ次の化合物を表す。
AAm :アクリルアミド
NaA :アクリル酸ソーダ
DAAQ:塩化トリメチルアミノエチルアクリレート
VFA :ビニルホルムアミド
【0045】
表1から、実施例1〜11の凝集剤はそれぞれ対応する比較例1〜5の凝集剤と同程度の固有粘度(同程度の分子量)でありながら、曳糸長が小さい(分子量分布が狭い)ことがわかる。
【0046】
性能評価例1
実施例1〜5および比較例1、2で得た凝集剤を用い、K砂利洗浄場廃水(懸濁物質0.35%、pH6.0)の凝沈試験を行った。試験結果を表2に示す。なお、凝沈試験は廃水300mlを栓付き300mlメスシリンダー(沈降管)に入れ、これに凝集剤の0.1%イオン交換水溶液を室温にて所定量添加した。次にこの沈降管を10回転倒させて廃水と凝集剤水溶液とを混合させ、フロックを形成させた後、沈降管を静置してフロック層の界面の沈降速度を測定した。凝沈速度はm/hrで表す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から、実施例1〜5の凝集剤は、比較例1、2の凝集剤に比較して、低添加量で、高い凝沈速度(凝沈性)が得られることがわかる。
【0049】
性能評価例2
実施例6〜10および比較例3、4で得た凝集剤を用い、T下水処理場混合生汚泥(固形分濃度1.1%、pH6.9、有機分78%)の脱水試験を行った。
また実施例11および比較例5で得た凝集剤を用い、S市下水処理場生汚泥(固形分濃度1.1%、pH7.0、有機分79%)の脱水試験を行った。試験結果を表3に示す。
なお、脱水試験は汚泥200mlを300mlビーカーにとり、これに凝集剤の0.1%イオン交換水溶液を室温にて所定量加え、ジャーテスターにて180rpmで1分間撹拌してフロックを形成させた。これを小型遠心脱水機(1,500G)で脱水して、得られた脱水ケーキの含水率を測定した。ケーキ含水率は%で表す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3から、実施例の凝集剤は比較例の凝集剤に比較して、低添加量で高い脱水率(低いケーキ含水率)が得られることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明で得られる凝集剤は、分子量が高く、分子量分布が狭いため、産業廃水の凝集沈殿用や下水汚泥の脱水用として用いた場合、溶解性が良く、低添加量で高い凝集効果を発揮する。
また、石油の3次回収用ポリマ−として使用する場合、油層への圧入性が良好になり、石油の回収率が大幅にアップする効果を持っている。
さらに、製紙工程での濾水歩留向上剤や紙力増強剤としても優れた効果を発揮する。
Claims (9)
- 一般式(1)において、ZがSHである請求項1記載の凝集剤。
- 一般式(1)において、mが0である請求項1または2記載の凝集剤。
- 一般式(1)において、p、qがそれぞれ0である請求項1〜3いずれか記載の凝集剤。
- 一般式(1)において、r、xがそれぞれ0、X2が酸素原子である請求項1〜4いずれか記載の凝集剤。
- エチレン性不飽和単量体(a)が、(メタ)アクリルアミド(a1)、(メタ)アクリル酸(塩)(a2)、2−(メタ)アクリロイルアミノアルカンスルホン酸(塩)(a3)、アミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(a4)およびアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩(または4級塩)(a5)からなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜5いずれか記載の凝集剤。
- 連鎖移動剤の量が、エチレン性不飽和単量体(a)に対して、0.001〜100ppmである請求項1〜6いずれか記載の凝集剤。
- (A)が溶液重合で得られる(共)重合体である請求項1〜7いずれか記載の凝集剤。
- 産業廃水の凝集沈殿用、下水汚泥の脱水用、石油の3次回収用、製紙工程での濾水歩留向上用または紙力増強用として用いられる請求項1〜8いずれか記載の凝集剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37486498A JP3977534B2 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高分子凝集剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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