以下、本発明による遅延時間決定の実施形態について説明する。
ここでは、前述の図1に示したコネクション#2において、RMセルがATM網側から遅延時間計測部5を通過してABR端末Aにおいて折り返され、再び遅延時間計測部5に達するまでの時間(遅延時間)を計測して、その遅延時間からUPCパラメタτ2とτ3を算出し、このτ2とτ3をコネクション#1のUPCパラメタとして設定する場合について説明する。
図3は本発明の一実施形態を示したものであって、遅延時間計測部5の詳細な構成を示すブロック図である。なお、この遅延時間計測部5は、例えば、図2における加入者回線処理装置106に設けられる。
図3において、図1における部分と同じものには同じ番号を用いている。11は順方向に流れるRMセル(Forward RMセル:以降、F−RMセルと記す)のための順方向RMセル検出・パラメタ抽出部、12は制御部、13はパラメタ保持メモリ、14は逆方向に流れるRMセル(BackwardRMセル:以降、B−RMセルと記す)のための逆方向RMセル検出・パラメタ抽出部、15は遅延時間演算部、16はUPCパラメタ算出・書込み制卸部、17は計測遅延時間保持メモリである。
以下、図3に示した遅延時間計測部5の動作を説明する。以下の(a)〜(g)は遅延時間計測部5の動作とその順序を示しており、図3中ではこれらは各動作に対応する部位を示している。
(a)まず、F−RMセル検出・パラメタ抽出部11によって、ATM網側からのF−RMセルを検出する。この際、F−RMセル検出・パラメタ抽出部11に備わる判定部は、RMセル中の方向ビット(DIR)を参照して、DIR=0を示すRMセルを検出する。ここでDIR=0はF−RMセルであることを示している。
(b)検出したRMセル中の、コネクションを示すコネクション識別子およびシーケンス番号(SN)を抽出して制御部12へ送る。
(c)制御部12は、抽出したコネクション識別子、シーケンス番号SN、および到着時刻Ta をパラメタ保持メモリ13に書き込む。
(d)B−RMセル検出・パラメタ抽出部14にDIR=1を示すセルが到着した場合その到着時刻Tb を検出し、到着したRMセルのシーケンス番号SNとともに制御部12へ送る。ここでDIR=1はB−RMセルであることを示している。制御部12は、到着したRMセルのSNを、パラメタ保持メモリ13に保持されているSNとを比較して両者の一致を判定し、一致が判定されたとき到着時刻Ta とTb を遅延時間演算部15へ送る。
(e)遅延時間演算部15は、到着時刻の差T(T=Tb −Ta )を計算する。
(f)UPCパラメタ算出・書込み制御部16は、算出された時刻差Tを用いてUPCの遅延パラメタτ2、τ3を導出する。
(g)導出されたパラメタτ2、τ3を、パラメタ保持メモリ13が記憶しているコネクション識別子と同じコネクション識別子を持つ、逆方向コネクション#2に対するUPCパラメタとして設定する。
図4は、本実施形態によるパラメタ保持メモリ13の構成を示したものである。この図が示すように、パラメタ保持メモリ13にはコネクション識別子と、シーケンス番号SNと、B−RMセル到着時刻T0のデータが、複数個格納される。
次に、計測した時刻差Tから、UPCの遅延パラメタτ2とτ3を導出する方法(第1の方法と第2の方法)を説明する。
第1の方法では、あるコネクションに対して遅延時間TをN回(Nは任意の整数)計測し、計測したなかでのTの最大値をτ2、最小値をτ3として設定する。この場合、UPCパラメタ算出・書込み制御部16は、計測した遅延時間Tを計測遅延時間保持メモリ17に格納させ、遅延時間Tを所定のN回計測した時点で、格納したN個の遅延時間Tの中から最大値τ2と最小値τ3を決定する。
図5は、本実施形態による計測遅延時間保持メモリ17の構成を示したものである。この図に示すように計測遅延時間保持メモリ17には、コネクション識別子と、計測したN個の遅延時間T、T2、・・・、TNが格納される。
第2の方法では、遅延時間Tを1回だけ計測し、この遅延時間から遅延パラメタτ2とτ3を決定する。この場合、UPCパラメタ算出・書込み制御部16は、計測した遅延時間Tを平均とする指数分布曲線を算出する機能有し、この指数分布曲線から遅延パラメータの最小値および最大値を決定する。
図6は、指数分布曲線を用いた遅延パラメタτ2とτ3の決定方法を説明するための図である。この図が示すように、計測された遅延時間Tを平均とする指数分布曲線を決定し、この指数分布曲線のx%に相当するTの値を遅延時間Tの最小値Tmin として、これをτ3とする。また、指数分布曲線のy%に相当するTの値を遅延時間Tの最大値Tmax として、これをτ2とする。この第2の方法を用いる場合は、計測遅延時間保持メモリ17は必要ない。なお、x%とy%の値は、最も適切な遅延パラメータが得られるように予め設定することができる。
図7は本発明によるABR制御装置の基本構成を表した図である。この図に示すように、このABR制御装置は、共通バッファメモリ21、送信許可レート算出部(あるいは明示的レートER算出部)22、ER書込部23、輻輳検出制御部24、アドレス管理FIFOバッファメモリ25−1〜25−nを備えている。このABR制御装置はERモードで動作するATM交換機の要部に対応しており、n個の入方路(入側の方路)とn個の出方路(出側の方路)とを有する。
複数の入方路を介して送られる送信端末側からのユーザセル及びRMセルは、図示を省略した多重化部により多重化され、送信許可レート算出部22を介して共通バッファメモリ21に一時的に蓄積される。その後各セルは、そのヘッダのVPIとVCIに対応した出方路に、図示を省略した多重分離部を介して送出される。共通バッファメモリ21に於けるセル蓄積アドレスは、到着セルのVPI、VCIによって識別した出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリ25−1〜25−nにより管理され、これにより輻輳が発生しているか否かを判定する。
到着セルのVPI、VCIにより識別した出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリには、共通バッファメモリ21における、到着したセルを書込んだ部分を示すアドレスが格納される。或る出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリに蓄積された共通バッファメモリ21のアドレスの個数が所定値を超えると、その出方路に輻輳が発生したと判定し、輻輳検出信号を輻輳検出制御部24に伝え、輻輳検出制御部24はER書込部23に輻輳通知信号を出力する。この場合、輻輳検出制御部24において共通バッファメモリ21のセルの蓄積量を基に輻輳発生を検出することもできる。
送信許可レート算出部22は、各出方路に対応したABR通信に使用できる空帯域を基に送信許可レートを算出する。この場合、輻輳状態であるか否かに拘らず送信許可レートを算出するが、非輻輳時は、出方路に対応した送信許可レートがER書込部23に転送されて、順方向RMセル(F−RMセル)及び逆方向RMセル(B−RMセル)の明示的指示セルレートERのフィールドに書込まれる。
輻輳検出制御部24から輻輳通知信号がER書込部23に伝わると、ER書込部23は送信許可レート算出部22に於いて算出した送信許可レートを、所定の規則に従って低減させ、その低減した値をRMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込む。送信端末はこのRMセルを受信し、受信したRMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込まれた送信許可レートに従って送信レートを低減する。これにより、輻輳状態を迅速に回復することができる。
図8は送信許可レート算出部22の構成を示している。この図に示すように、送信許可レート算出部22は、セル抽出部31、到着セル計数カウンタ32、アクティブVCテーブル33、アクティブVC計数カウンタ34、送信許可レート算出制御部(あるいは明示的レートER算出制御部)35を備えている。セル抽出部31は、送信端末側から送信されるセルのVPIとVCIを含むコネクション識別子を抽出して、アクティブVCテーブル33に加えると共に、コネクション識別子を基に出方路に対応したセル検出信号を到着セル計数カウンタ32に加える。
この到着セル計数カウンタ32は、出方路に対応させて到着セルをカウントアップし、各出方路に対応するカウント値が所定値となると観測期間終了通知信号を送信許可レート算出制御部35に出力する。
アクティブVCテーブル33は、例えば図9に示すように、出方路#1〜#nに対応したテーブル(出方路用テーブル)を備え、それぞれのテーブルはコネクション識別子とセル到着識別フラグとを記録する領域を備えている。また、アクティブVC計数カウンタ34は、アクティブVCテーブル33の出方路#1〜#n用テーブルのセル到着識別フラグをカウントアップすることにより、アクティブVC数を求める。
例えば、到着したセルを送出する出方路が#1の場合には、そのセルのコネクション識別子を出方路#1用テーブルに書込むと共に、セル到着識別フラグをセットし、到着セル計数カウンタ32の出方路#1に対応するカウンタをカウントアップする。又アクティブVC計数カウンタ34は、出方路毎にセル到着識別フラグをカウントアップする。
その後、同一のコネクション識別子を有するセルが到着した場合、到着セル計数カウンタ32はカウントアップされるが、アクティブVCテーブル33の出方路#1用テーブルにおいてこのコネクション識別子に対応するセル到着識別フラグは先にセットされているから、出方路#1用テーブルはそのままの状態に維持され、アクティブVC計数カウンタ34はカウントアップされない。
従って、このアクティブVC計数カウンタ34のカウント値は、リセット信号によりクリアされるまでの間に、1回でもユーザセルが到着したコネクション数、即ち、アクティブコネクション数を示すことになる。なお、アクティブVCテーブル33のセル到着識別フラグとアクティブVC計数カウンタ34のカウントアップとの制御において、新たに書込まれたコネクション識別子をアクティブVC計数カウンタ34がカウントアップし、カウントアップしたことを示すセル到着識別フラグをセットして、それ以後のセル到着識別フラグがセットされたコネクション識別子のカウントアップを行わないように制御することもできる。
送信許可レート算出制御部35は、到着セル計数カウンタ32からの出方路に対応した観測期間終了通知信号を受信すると、出方路毎にアクティブVC数をアクティブVC計数カウンタ34から読取り、出方路の送信許可レートを算出してER書込部23へと転送する。また送信許可レート算出制御部35は、リセット信号を到着セル計数カウンタ32とアクティブVCテーブル33とアクティブVC計数カウンタ34とに出力して、対応する出方路についてのカウント値、コネクション識別子とセル到着識別フラグ、及びアクティブVC数とをクリアする。
図10は本発明によるABR制御装置の動作を示すフローチャートである。
このフローチャートが示すように、まず一定個数のセルが到着する間のアクティブVC数Nvc(n)を、出方路毎に計測する(ステップS1)。このとき、到着セル計数カウンタ32が出方路毎に到着セルが一定個数となったことを検出すると、観測期間終了通知信号を送信許可レート算出制御部35に出力し、アクティブVC計数カウンタ34により出方路毎にカウントアップしたアクティブVC数Nvc(n)を求める。
次に、送信許可レートBa(n)を、Ba(n)=B(n)/Nvc(n)により算出する(ステップS2)。なお、B(n)は各出方路の帯域を示す。この送信許可レートBa(n)をER書込部32へ転送し(ステップS3)、順方向RMセル及び逆方向RMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込む。ここでは、帯域B(n)をアクティブVC数で除算した値が送信許可レートBa(n)とされるが、アクティブVC数が多い場合は送信許可レートBa(n)が低減されるので、輻輳の発生を回避することができる。
図11は本発明のABR制御装置の動作の第2の例を示すフローチャートである。
この例では、まず一定時間の観測期における出方路ごとのアクティブVC数Nvc(n)を計測する(ステップS11)。次に、前述のステップS2と同様な演算により送信許可レートBa(n)を算出し(ステップS12)、ER書込部32へ転送する(ステップS13)。この場合の一定時間の観測期間は、図8に於ける到着セル計数カウンタ32を、出方路ごとのタイマ、或いは共通化したタイマとし、一定時間経過毎に送信許可レート算出制御部35に観測期間終了通知信号を加える。これにより、前述の例と同様に、送信許可レートBa(n)を求めることができる。
図12は図7に示した送信許可レート算出部22の第2の構成例を示す図である。
この図に示すように、この送信許可レート算出部22は、セル抽出部41、到着セル計数カウンタ42、アクティブVCテーブル43、アクティブVC計数カウンタ44、送信許可レート算出制御部(あるいは明示的レート算出制御部)45、RMセル抽出部46、合計MCR算出制御部47を備えている。
セル抽出部41は送信端末側から到着したセルのコネクション識別子を抽出し、到着セル計数カウンタ42はそのセルを出方路に対応させてカウントアップする。カウントしたセルの数が所定数に達すると、到着セル計数カウンタ42は観測期間終了通知信号を送信許可レート算出制御部45に出力する。アクティブVCテーブル43は、出方路に対応したコネクション識別子が既に書込まれているか否かを識別し、書込まれていない場合はコネクション識別子を書込むと共に、セル到着識別フラグをセットする。アクティブVC計数カウンタ44は、出方路ごとにセル到着識別フラグがセットされているコネクション識別子数をカウントアップする。
RMセル抽出部46は、到着したRMセルからコネクション識別子とMCR(Minimum Cell Rate )とを抽出して、合計MCR算出制御部47に送る。この合計MCR算出制御部47は、アクティブVCテーブル43を参照して、RMセル抽出部46から送られたコネクション識別子がアクティブVCテーブル43に書込まれているか否かを判定し、アクティブVCテーブル43に書込まれている場合は、MCR値を加算する。このように、観測期間中に1個以上のセルが到着したコネクションはアクティブコネクションとされ、そのアクティブコネクションについてのミニマムセルレートMCRが加算される。この場合、同一のコネクションについてのMCR値を繰り返して加算しないように、アクティブVCテーブル43にMCR加算識別フラグを設け、アクティブVCについてのコネクション設定時のミニマムセルレートMCRを出方路に対応させて加算する。
図13はアクティブVCテーブル43の構成を示す図である。
この図に示すように、アクティブVCテーブル43は各出方路に対応した出方路#1〜#m用テーブルを備えており、これらのテーブルはコネクション識別子の領域CIと、セル到着識別フラグの領域CFと、MCR加算識別フラグの領域AFとを備えている。送信許可レート算出制御部45は出方路ごとに送信許可レートを算出すると、それに対応した出方路用テーブルをクリアし、次に到着したセルのコネクション識別子を出方路に対応させて領域CIに書込み、それに対応した領域CFにセル到着識別フラグをセットする。また、領域AFにMCR加算識別フラグをセットし、合計MCR算出制御部47から参照された場合には、参照されるコネクションに対応するMCRは既に加算されたことを表示する。
送信許可レート算出制御部25は、到着セル計数カウンタ42から出方路に対応した観測期間絶了通知信号を受信すると、アクティブVC計数カウンタ44からその出方路のアクティブVC数を読取り、又合計MCR算出制御部47から合計MCR値を読取って、送信許可レートを算出する。
この場合、各出方路の帯域をアクティブVC数で除算した値を送信許可レートBa(n)とすると、送信許可レートがミニマムセルレートMCR以下となる場合がある。各送信端末に対してミニマムセルレートMCRが保証されていることから、送信許可レートがMCR以下になっても各送信端末はMCRの送信レートでセルを送出する可能性があり、その場合には輻輳が発生する。
そこで、前述のように出方路に対応させてアクティブVCの各MCRを加算し、出方路の帯域から合計MCR値を減算した後アクティブVC数で除算する。これにより、MCR値を超えて使用可能となるレートが判るから、それにアクティブVCごとにMCRを加算して送信許可レートとする。したがって、各送信端末に対してはMCRを保証し、且つ輻輳発生を回避することができる。
図14は上記送信許可レート算出部の第2の例の動作を示すフローチャートである。この図に示すように、まずRMセル中のMCRを抽出し(ステップS21)、次にアクティブVCテーブルにそのVCが存在して参照済みか否かを判定する(ステップS22)。即ち、RMセル抽出部46において抽出したRMセル中のMCRとコネクション識別子とを抽出して、合計MCR算出制御部47に与え、合計MCR算出制御部47は、RMセルのコネクション識別子を基にアクティブVCテーブル43を参照して、このコネクション識別子がアクティブVCテーブル43に書込まれているか否かを判定する。このときコネクション識別子が書込まれている場合は、それが参照済みか否か、即ち、MCR加算識別フラグがセットされているか否かも判定する。
コネクション識別子がアクティブVCテーブル43に書込まれており、且つ参滑済みでない場合は、出方路に対応させてコネクションのMCRを加算する。即ち、ΣMCR=ΣMCR+MCRの加算を行う(ステップS23)。コネクション識別子がアクティブVCテーブル43に書込まれていない場合は、アクティブVCではないからMCRの加算は行わない。又書込まれているが参照済みの場合は、既に、このアクティブVCについてのMCRを加算しているから、再度の加算は行わない。
上記の動作とともに、一定個数のセルが到着する間のアクティブVC数Nvc(n)も求める(ステップS24)。即ち、到着セル計数カウンタ42によってカウントされた出方路ごとのセル到着数が所定数となると、観測期間終了通知信号を送信許可レート算出制御部45に与え、送信許可レート算出制御部45は、その出方路に対応したアクティブVC数をアクティブVC計数カウンタ44から読取る。又合計MCR算出制御部47から出方路に対応した合計MCR値も読取る。
そして、送信許可レートBa(n)を、Ba(n)=MCR+〔(B(n)−ΣMCR)/Nvc(n))〕により算出し(ステップS25)、ER書込部へ転送する。なお、MCRは、コネクション設定時に申告したミニマムセルレート、B(n)は出方路の帯域である。上記の動作により、アクティブVC対応の送信端末に対してMCRを保証できる送信許可レートを指示することができる。
図15は、上記送信許可レート算出部の第2の例の第2の動作を示すフローチャートである。図14に示したフローチャートでは、ステップS24において一定個数のセル到着期間中のアクティブVC数Nvc(n)を求めたが、この動作例では、ステップS24に対応するステップS34において、一定時間の観測期間中のアクティブVC数Nvc(n)を求める点が第1動作例と相違するだけで、他のステップS31〜S33およびS35では、それぞれ前述のステップS21〜S23およびS25と同一の処理を行う。
ステップS34における一定時間は、図12における到着セル計数カウンタ42の代わりに、出方路に対応したタイマ、或いは各出方路で共通化したタイマを設け、このタイマによって一定時間の観測期間を測定して送信許可レート算出制御部45に通知する。
図16は本発明によるABR制御装置の第2の実施形態を表した図である。この図に示すように、このABR制御装置は、共通バッファメモリ51、送信許可レート算出部52、ER書込部53、輻輳検出制御部54、出方路に対応したアドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−n、出方路に対応した輻輳検出部56−1〜56−nを備えている。
送信端末側からのユーザセル及びRMセルは、送信許可レート算出部52を介して共通バッファメモリ51に一時的に蓄積され、各セルはそのヘッダのVPIとVCIに対応した出方路に送出される。共通バッファメモリ51に蓄積されたセルのアドレスは、到着したセルのVPIとVCIにより識別した出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−nによって管理され、輻輳検出部56−1〜56−nはそれぞれ対応する方路の輻輳を検出する。
このアドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−nと、共通バッファメモリ51の構成は図示を省略しているが、到着セルのVPIとVCIによって識別した出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリに対して、共通バッファメモリ31に到着したセルの書込みアドレスが格納される。この場合、各アドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−nには、複数のアドレス管理閾値TH1〜THmが設定される。
或る出方路に対応するアドレス管理FIFOバッファメモリに蓄積された共通バッファメモリ51のアドレスの個数が所定のアドレス管理閾値THmを超えると、その出方路には輻輳が発生したと判定され、輻輳検出信号が輻輳検出制御部54に与えられる。輻輳検出制御部54は、出方路に対応したアドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−nに蓄積されているアドレス個数がどのアドレス管理閾値を超えたかの情報を輻輳通知信号としてER書込部53に出力する。
送信許可レート算出部52は、前述の図7の送信許可レート算出部22と同様に動作して、コネクションに対応する送信許可レートを算出してそれをER書込部53に出力する。このとき、輻輳検出制御部54からの輻輳通知信号がなければ、その送信許可レートをそのコネクションの順方向及び逆方向のRMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込んだあとセルを送出する。
図17は、アドレス管理FIFOバッファメモリ55(アドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−nに対応)の説明図である。
アドレス管理FIFOバッファメモリ55は、共通バッファメモリ51のアドレスを、共通バッファメモリ51からセルを読出す為のキューとして蓄積し、そのキュー長に従ってアドレス管理閾値TH1〜THmが設定される。アドレス管理FIFOバッファメモリ55は、蓄積したアドレス数に相当するキュー長が何れのアドレス管理閾値を超えたかを輻輳検出部56−1〜56−nを介して輻輳検出制御部54(図16参照)に転送し、キュー長が特定の閾値THmを超えた時に、輻輳検出部56−1〜56−nは輻輳検出信号を輻輳検出制御部34に転送する。
また、アドレス管理FIFOバッファメモリ55に対して、蓄積したアドレス数が各閾値TH1〜THmを超えた時に送信許可レートBaに乗算する減少係数α1〜αmが設定される。この減少係数α1〜αmは、それぞれアドレス管理閾値TH1〜THmに対応して設定されており、蓄積したアドレスがあるアドレス管理閾値を超えた場合それに対応する減少係数α1〜αmが出力される。ER書込部53(図16参照)は、送信許可レート算出部52からの送信許可レートBaに対して、輻輳検出制御部54を介して入力した滅少係数α1〜αm(1<α1<α2<・・・<αm)を乗算して、その乗算値を送信許可レートとして、順方向及び逆方向のRMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込む。これにより、ER書込部53は、RMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込む送信許可レートを、輻輳が発生しないような値に低減することができる。
図16には、各アドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−mに対してそれぞれ同一のアドレス管理閾値THl〜THmを設定する場合を示したが、出方路の特性に応じて出方路毎に異なるアドレス管理閾値を設定することも可能である。またアドレス管理閾値THl〜THmに対する減少係数α1〜αmをそれぞれ異なる値に設定することも可能である。さらに、共通バッファメモリ51に蓄積されるセルの個数に対して、アドレス管理FIFOバッファメモリに対する場合と同様にアドレス管理閾値を設定することもできる。
また、共通バッファメモリ51とアドレス管理FIFOバッファメモリ55−1〜55−mとに対してそれぞれアドレス管理閾値を設定することも可能であり、蓄積量がそれぞれのアドレス管理閾値を超えた否かに対応して、送信許可レート算出部52に於いて算出した送信許可レートに減少係数α1〜αmを乗算し、これによって輻輳が発生しないように送信許可レートを低減することができる。
さらに、送信許可レート算出部52は前述の実施形態のように、送信許可レートを算出する期間として、一定個数のセルが到着する期間を観測期間と設定する方法、又は一定時間を観測期間として設定する方法の何れかを採用することができる。又ミニマムセルレートMCRを考慮して送信許可レートを算出することもできる。
図18はER書込部53の説明図である。
この図に示すように、ER書込部53は、ER書込制御部61と、ER算出部62と、ER変更パラメタテーブル63を備えている。このER変更パラメタテーブル63には、例えば次の図19に示すように、アドレス管理閾値TH1〜THmが格納され、またこれらに対応させて減少係数α1〜αm(1>α1>α2・・・>αm>0)も格納される。
ER書込制御部61に送信許可レート算出部52から送信許可レートが送られ、かつ輻輳検出制御部54から輻輳通知信号が送られると、ER算出部62は輻輳通知信号に含まれるアドレス管理閾値を基にER変更パラメタテーブル63から減少係数を読み出し、それを送信許可レート算出部52から送られた送信許可レートに乗算して送信許可レート得る。そして、得られた送信許可レートを順方向RMセルと逆方向RMセルの明示的指示セルレートERのフィールドに書込んでセルを送出する。
ER変更パラメタテーブル63は、各出方路に共通化して設けることもできる。この場合ER変更パラメタテーブル63は、出方路に対応したテーブルを備える構成となり、各テーブルはそれぞれ異なる減少係数を格納することとなり得る。また前述のように、出方路毎に異なる値のアドレス管理閾値TH1〜THmを設定することもできる。
前述の各実施の形態における各部の処理機能は、プロセッサ等により実現可能であり、又専用のハードウェアにより実現することも可能である。また、ABRサービスと他のCBR(Constant Bit Rate )サービス等と混在したATM網のサービスにおけるABR通信に対しても適用することができる。また本発明の実施形態は前述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、種々の機能や要素を付加、変更し得るものである。
次に、本発明によるATM交換システムの実施形態について説明する。
図20は、本実施形態のATM交換システムの構成図である。
このシステムにおいて、加入者回線処理装置203は、加入者端末(加入者ABR端末)202が接続される低速な回線を終端し、加入者端末202から流入するセルの流量の監視制御(UPC:Usage Parameter Control)や課金処理等を実行する。
多重集線装置(マルチプレクサ)204は、加入者回線処理装置203が終端する低速な回線を多重集線し、高速な内部入力リンクに接続する。
スイッチ部201は、高速な入力リンクを幾つかの高速な出力リンクにセルごとに交換する自己ルーティングモジュール(SRM)を多段に接続したものである。このスイッチ部201は、後述するように、本発明に特に関連して、内部の輻輳状態に応じてユーザデータセルのヘッダ部にEFCIビットを設定する機能を有する。
多重分離装置(デマルチプレクサ)205は、スイッチ部201の出力側に接続される高速な内部出力リンクを、低速な加入者回線に多重分離する。
レート算出部206は、本発明に特に関連する部分であり、多重分離装置205に接続されて、明示的指示レートERを計算するための基礎レートである送信許可レートBa(n)を計算する。
レート変更部207も、本発明に特に関連する部分であり、多重分離装置205から加入者回線処理装置203へ向かう下り経路上に設けられて、レート算出部206が計算した送信許可レートBa(n)と、その経路上を通過するユーザデータセルにスイッチ部201によってEFCIビットが設定される度合とに基づいて明示的指示レートERを計算し、それをRMセルに書き込む。
前述した通り、ABRサービスなどのフィードバック制御を必要とするサービスを利用する加入者端末をATM網に収容するには、加入者端末を制御するためにRMセルに設定される明示的指示レートERの計算/設定機能がATM交換機自体に必要となる。しかし、このレート計算/設定はマイクロ秒オーダで行われなければならないため、セルを高速に交換する箇所(例えばスイッチ部)ではハードウエア的にその計算/設定が間に合わず、その機能のインプリメントは困難である。
そこで、図20に示したシステムでは、明示的指示レートERの計算/設定機能が、セルの交換速度が比較的遅い多重分離装置205に配置される。多重分離装置205では、セルの交換速度が比較的遅く出力方路(出側の方路、出方路)も限定されるため、明示的指示レートERの計算/設定機能はインプリメントし易い。但し、この構成が採用される場合、多重分離装置205において発生する輻輳は、上記明示的指示レートERの計算/設定機能によってある程度抑えられるが、スイッチ部201において発生する輻輳は抑えることができない。
この問題を解決するために、図20に示したシステムでは、まず、スイッチ部201に、その内部の輻輳状態に応じてユーザデータセルのヘッダ部にEFCIビットを設定する機能が配置される。そして、多重分離装置205から加入者回線処理装置203へ向かう下り経路上に後述するレート変更部207が設けられる。このレート変更部207は、上記下り経路上を通過するユーザデータセルへのEFCIビットの設定割合を計測し、その計測結果と後述するレート算出部206が計算した送信許可レートBa(n)とに基づいて、明示的指示レートERを計算し、それを上記下り経路上を通過するRMセルに書き込む。このような構成により、スイッチ部201内の輻輳を抑えることができる。
図21は、スイッチ部201を構成するSRMの構成図である。なお、図7および図16に示した装置もこのスイッチ部201のSRMに対応させることができる。
共通バッファメモリ301には、n本の入力方路(内部入力リンク)からそれぞれ入力されたセルが一時的に保持される。
n個のアドレス管理バッファ302は、n本の出力方路(内部出力リンク)毎に設けられる。共通バッファメモリ301に各出力方路に出力されるべき1つ以上のセルが格納されている場合、そのアドレスがアドレス管理バッファ302に保持される。そして、出力方路には、それに対応するアドレス管理バッファ302に記憶されているアドレスに対応する共通バッファメモリ301上のアドレスに記憶されているセルが順次読み出されて、出力方路に出力される。セルが読み出されると、それに対応するアドレス管理バッファ302上のアドレスは削除される。
輻輳検出部303は、出力方路毎に、出力方路に対応するアドレス管理バッファ302に記憶されているアドレス数を所定の閾値と比較する。これにより、各出力方路毎の輻輳が検出される。ここで、各アドレス管理バッファ302に記憶されているアドレス数は、アドレス管理バッファ302に対応する出力方路にたいして、その各アドレス数に等しい数のセルが共通バッファメモリ301に滞留していることを示している。従って、これら各アドレス数を監視することによって、出力方路毎の輻輳状態を検出することができる。そして、輻輳検出部303は、出力方路毎に輻輳の有無を内部輻輳設定部304に通知する。
内部輻輳設定部304は、出力方路のセルが共通バッファメモリ301から読み出される場合、輻輳検出部303からの通知に基づいて、輻輳が発生している出力方路のユーザデータセルが共通バッファメモリ301から読み出されるタイミングで、そのユーザデータセルのヘッダ部にEFCIビットを設定する。
図22は、セルの一般的なデータフォーマットを示す図であり、図22の中の(a) は加入者回線上のインタフェースであるUNI(User NetworkInterface)上のフォーマット、(b)は局間の中継回線上のインタフェースであるNNI(Network Network Interface)上のフォーマットである。図22に示されるように、セルはヘッダ部とペイロードとから構成される。通信データ(ユーザデータ又は各種制御データ)は、ペイロードである情報フィールドに格納される。ヘッダ部において、一般的フロー制御フィールドGFCは、LAN(ローカルエリアネットワーク)等におけるセルの競合制御のために使用される。仮想パス識別子VPIはセルの仮想パスVPを識別するためのアドレス情報、仮想チャネル識別子VCIはセルの仮想チャネルVCを識別するためのアドレス情報である。セル損失優先度フィールドCLPは、セル転送の優先度を制御するために使用される。ヘッダ誤り制御フィールドHECは、ヘッダ部のデータ誤りを検出/訂正するためのエラーチェックコードである。ペイロードタイプフィールドPTは、本発明に特に関連し、セルの種類を示す情報及びEFCIビットが格納される。このペイロードタイプフィールドPTの長さは3ビットであり、ユーザデータセルにおいては、このペイロードタイプフィールドPTの第4ビット(左端のビット)に0がセットされている。また、ユーザデータセルにおいて、ペイロードタイプフィールドPTの第5ビット(中央のビット)はEFCIビットとして機能する。このEFCIビットは、その値が0のときはそのユーザデータセルに関して輻輳が発生していないことを示し、その値が1のときはそのユーザデータセルに関して輻輳が発生していることを示す。
図21の内部輻輳設定部304は、輻輳検出部303からの通知に基づいて輻輳が発生していることが知らされた出力方路のユーザデータセルが共通バッファメモリ301から読み出されるタイミングで、そのユーザデータセル内の上述のEFCIビットに、輻輳の発生を示す値1を設定する。また、後述するRMセルにおいては、ペイロードタイプフィールドPTには3ビットデータ“110”が設定される。
なお、スイッチ部201内においては、各セルの先頭には自己ルーティング用のタグ等が格納される数オクテット分のオーバーヘッドが付加され、また、ここではVPI及びVCIの値も変換されるが、ペイロードタイプフィールドPTの3ビットデータはそのまま伝送される。
図23は、図20の多重分離装置205の構成図である。この多重分離装置205の基本的な構成は、図20のスイッチ部201を構成するSRMの構成に類似する。
共通バッファメモリ401には、スイッチ部201の1つの出力方路から入力されたセルが一時的に保持される。
m個のアドレス管理バッファ402は、m本の加入者回線毎(m台の加入者回線処理装置203毎)に設けられ、共通バッファメモリ401において各加入者回線に出力されるべき1つ以上のセルが格納されている1つ以上のアドレスが保持される。そして、加入者回線毎に、それに対応するアドレス管理バッファ402に記憶されている各アドレスに対応する共通バッファメモリ401上の各アドレスに記憶されているセルが順次読み出されて、各加入者回線に向けて出力される。セルが読み出されると、それに対応するアドレス管理バッファ402上のアドレスは削除される。
輻輳検出部403は、加入者回線毎に、各加入者回線に対応する各アドレス管理バッファ402に記憶されているアドレス数を所定の閾値(複数の閾値でもよい)と比較することにより、各加入者回線毎の輻輳の有無(又は輻輳レベル)を検出する。ここで、各アドレス管理バッファ402に記憶されている各アドレス数は、アドレス管理バッファ402に対応する加入者回線に対して、その各アドレス数に等しい数のセルが共通バッファメモリ401に滞留していることを示している。従って、これら各アドレス数を監視することにより、加入者回線毎の輻輳状態を検出することができる。そして、輻輳検出部403は、加入者回線毎に輻輳の有無(又は輻輳レベル)をER書込み部404に通知する。
レート算出部206(図20も参照)は、加入者回線毎に、アクティブな仮想コネクション(VC)の数を計測し、各加入者回線の伝送レートを対応する各アクティブVC数で除算することにより、その除算結果として、各VC毎に公平に割り当てられた伝送レートである送信許可レートBa(n)を計算する。そして、レート算出部206は、加入者回線毎の送信許可レートBa(n)を、ER書込み部404及び後述するレート変更部207(図20参照)に通知する。
図24はレート算出部206の構成図である。
まず、アクティブVC数観測制御部501は、一定個数のABRセル(ABRサービスのセルであることを示す情報が設定されたユーザデータセル)の到着を数えるためのカウンタを有する。そして、このアクティブVC数観測制御部501は、ABRセルの到着時に、そのABRセルに付加されているコネクション識別子と出側の加入者回線とを識別することにより、各加入者回線に対応したアクティブVC(仮想コネクション)テーブル502に、上記ABRセルに付加されているコネクション識別子を記憶すると共に、そのコネクション識別子に対応するVCに対して現在の観測期間中にABRセルが到着したことを示すセル到着識別フラグを設定する。同時に、アクティブVC数観測制御部501は、各加入者回線毎のアクティブなVCの数を計測するためのカウンタであり、各加入者回線に対応したカウンタ、アクティブVC数保持カウンタ503をカウントアップする。もし、同じ観測期間内に、各加入者回線毎にアクティブVCテーブル502に記憶されているセル到着識別フラグが設定されたコネクション識別子と、同じコネクション識別子を持ったABRセルが到着した場合には、アクティブVC数観測制御部501は、各加入者回線毎のアクティブVC数保持カウンタ503はカウントアップしない。
各観測期間の終了時には、各加入者回線毎のアクティブVC数保持カウンタ503の値、即ち各加入者回線毎のアクティブVC数が、送信許可レート演算部504に通知されると共に、アクティブVCテーブル502とアクティブVC数保持カウンタ503の内容がクリアされる。なお、観測期間は、特には図示しないタイマによって、所定の周期で繰り返し連続的に設定される。
送信許可レート演算部504は、各加入者回線毎に、各加入者回線の伝送レート(通常は同じレート)を各加入者回線毎のアクティブVC数保持カウンタ503の値で除算することによって、その除算結果として、各VC毎に公平に割り当てられた伝送レートである送信許可レートBa(n)を計算する。そして、レート算出部206は、加入者回線毎の送信許可レートBa(n)を、ER書込み部404及び後述するレート変更部207(図20及び図26参照)に通知する。
図23に戻って、ER書込み部404は、加入者回線毎のRMセルが共通バッファメモリ401から読み出されるタイミングにおいて、レート算出部206から通知される加入者回線毎の送信許可レートBa(n)を、そのRMセルのERフィールド(後述する図25参照)に設定する。或いは、ER書込み部404は、通知された送信許可レートBa(n)をそのままRMセルに設定するのではなく、送信許可レートBa(n)を輻輳検出部403から通知される加入者回線毎の輻輳の有無(又は輻輳レベル)に基づいて修正した上でRMセルに設定するように構成してもよい。この場合には、多重分離装置205における輻輳状態が、修正された送信許可レートBa(n)に反映されることになる。このようにして送信許可レートBa(n)が設定された各加入者回線毎のRMセルは、多重分離装置205から各加入者回線処理装置203に向かう各下り経路上に設けられた各レート変更部207に転送される。そして、そのRMセルには、スイッチ部201の輻輳状態が反映された明示的指示レートERが設定されることになる。
図25は、RMセルのデータフォーマットを示す図である。
まず、RMセルにおいては、ヘッダ部(Header)のペイロードタイプフィールドPT(図22参照)には、3ビットデータ“110”が設定される。また、そのRMセルが、仮想パスコネクションABRサービスのRMセルである場合には、そのヘッダ部にはVCI=6が設定される。
次に、ペイロード部において、まず、6オクテット目のRMプロトコルIDとして、ABRサービスに対応する値1が設定される。
次に、RMセルの7オクテット目は、メッセージタイプフィールド(Message Type Field)と呼ばれ、それぞれ下記のビット情報が設定される。
・DIR :方向表示ビット。フォワード方向=0、バックワード方向=1。
・BN:BECNセル表示ビット。スイッチ部又は受信端末がバックワードRMセルを生成する場合に、BN=1に設定される。これにより送信端末が生成したRMセルとバックワードRMセルとが区別される。
・CI:輻輳表示ビット。CI=1(輻輳)、CI=0(非輻輳)。CI=1の場合に送信端末の許可セルレートACRの減少が要求される。
・NI:No Increase ビット。送信端末の許可セルレートACRを増加させないために設定される。CIビットとは異なり、NIビットは、許可セルレートACRの減少を要求するものではない。通常、送信端末は、NI=0を設定したRMセルを送出する。
・RA:Request/Acknowledge ビット。ATM Forumで規定されるABRサービスでは使用されない。
RMセルの8及び9オクテット目には、明示的指示レートERが設定される。このフィールドが、本発明に特に関連する。
RMセルの10〜51オクテット目の各フィールドは、本発明には特には関連しないため、その詳細な説明は省略する。
RMセルの52及び53オクテット目に設定されるCRC10 コードは、データエラーの検出/訂正用のコードである。
図26は、多重分離装置205から各加入者回線処理装置203へ向かう各下り経路上に設けられるレート変更部207の構成図である。
まず、EFCIビット計測部601は、多重分離装置205から加入者回線処理装置203に向けて転送されてきたセルのうちEFCIビットが値1に設定されているセルを検出し、その検出毎に、輻輳の度合いを示すセル数Now(n)をインクリメントする。このとき、各観測期間は、タイマ602により設定される。
各観測期間毎に得られる輻輳の度合いを示すセル数Now(n)は、輻輳度合い計算部603に通知される。輻輳度合い計算部603は、各観測期間毎に、通知された輻輳の度合いを示すセル数Now(n)と、3つの値β、C(n) 、及びC(n1)を用いて、次式に基づいて、輻輳の度合いを平滑化する。
C(n) =β・Now(n)+(1−β)・C(n1)
ここで、βは重み要素で0<β≦1であり、C(n) は今回の観測期間において計算されるべき輻輳の度合いを表すパラメタ、C(n1)は前回の観測期間において計算された輻輳の度合いを表すパラメタである。このような平滑化により、明示的指示レートERの極端な変化によって網上のトラヒックが不安定になることを回避することができる。
ER変更部604は、上述の式によって計算される今回の観測期間における輻輳の度合いC(n) と予め決められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいてRMセルによって前述したレート算出部206から通知されてくる送信許可レートBa(n)から明示的指示レートERを計算するための除算値を計算する。
ER書込み部605は、RMセルが多重分離装置205から転送されてくるタイミングにおいて、そのRMセルのERフィールドに設定されている送信許可レートBa(n)をER変更部604から通知される除算値で除算することにより明示的指示レートERを計算し、その明示的指示レートERを上記RMセルのERフィールドに設定し直し、そのRMセルを加入者回線処理装置203に向けて送出する。
このようなATM交換機側の動作に対し、送信側の加入者端末202(図20参照)は、明示的指示レートERをRMセルから抽出し、それに基づいて許可セルレートACRを再計算し、ACR以下のレートで通信を行う。これにより、スイッチ部201及び多重分離装置205において発生する輻輳を抑えることができる。
図27は、ER変更部604が比較を行う今回の観測期間における輻輳の度合いC(n) と予め決められた閾値との関係、及びそれらとER書込み部605において実行される除算処理との関係の例を示す図である。
この図において、横軸は時間を示し、縦軸は輻輳の度合いC(n) の値を示す。この図が示すように、前半の時間経過においてC(n) は大きくなっているが、これはスイッチ部201において輻輳が発生しつつあることを示している。この図の例では、明示的指示レートERの変更を開始するための閾値としてS(1) とS(2) の2つが設定され、明示的指示レートERの変更を解除するための閾値としてE(1) とE(2) の2つが設定されている。
そして、ER変更部604は、C(n) が閾値S(1) を越えていないうちは(区間A)、除算値1を設定する。この場合には、スイッチ部201において、輻輳は発生していない。従って、ER書込み部605は、送信許可レートBa(n)をそのまま明示的指示レートERとして設定する。
また、ER変更部604は、C(n) が閾値S(1) を越えると(区間B)、除算値2を設定する。この場合には、スイッチ部201は、軽輻輳状態となる。そして、ER書込み部605は、送信許可レートBa(n)を値2で除算して得られる値を明示的指示レートERとして設定する。
更に、ER変更部604は、C(n) が閾値S(2) も越えると(区間C)、除算値4を設定する。この場合には、スイッチ部201は、重輻輳状態となる。そして、ER書込み部605は、送信許可レートBa(n)を値4で除算して得られる値を明示的指示レートERとして設定する。
一方、ER変更部604は、C(n) が閾値E(2) を下回ると(区間C→B)、除算値を4から2に戻す。また、ER変更部604は、C(n) が閾値E(1) をも下回ると(区間B→A)、除算値を2から1に戻す。
このようにして、スイッチ部201の輻輳状態が、RMセルに設定される明示的指示レートERに適切に反映される。
上述の実施の形態において、明示的指示レートERは送信許可レートBa(n)が所定の除算値で除算されることにより計算されたが、本発明はこれに限られるものではなく、多重分離装置205から加入者回線処理装置203に向けて転送されてきたセルのうちEFCIビットが値1に設定されているセルの割合を検出して、その割合に基づいて所定の規則に従って送信許可レートBa(n)が変更されるように構成してもよい。
また、所定の観測期間毎のEFCIビットが値1に設定されているセルの数ではなく、EFCIビットが値1に設定されているセルの到着間隔が計測され、その計測結果に基づいて上記制御が行われるように構成してもよい。
上述の実施の形態においては、レート算出部206で算出された送信許可レートBa(n)は、いったん網上のRMセルに設定され、そのRMセルがレート変更部207で抽出されることにより、そのRMセルに設定されている明示的指示レートERが変更され、変更された明示的指示レートERが改めてRMセルに設定される構成を有する。この構成により、レート算出部206からレート変更部207への明示的指示レートの通知を効率良く行うことができる。なお、このような構成ではなく、レート算出部206からレート変更部207へ、専用の制御線を介して送信許可レートBa(n)が通知されるように構成してもよい。
更に、レート算出部206における送信許可レートBa(n)の算出方式は、上述の方式のみに限られるものではない。
図28は、図20のスイッチ部201内において各SRMに輻輳が発生した場合の、明示的指示レートERの変化を表した図である。
この図に示すように、ERが150Mbit/s にセットされたセルがスイッチ部201を通過しようとするとき、スイッチ部201内の最初のSRMで輻輳が発生した場合、この輻輳を知らせるためにセルのEFCIは1にセットされる。この輻輳に対してER変更部604が上述の方法に基づいて除算値を例えば2と設定すると、ER書込み部605はERを2で割った値、すなわち75Mbit/s を新たなERとしてセルに設定する。その結果このセルの発信端末に対して、上記セルの通信ルートに対する許可レートは75Mbit/s であることが通知される。
上記セルの通信ルート中における他ののSRMに輻輳が発生している場合(2番目の輻輳発生)、上記と同様の方法によってERはさらに半分の値37.5Mbit/s に設定される。さらに他のSRMでも輻輳が発生している場合(3番目の輻輳発生)は、さらに半分の18.75Mbit/s にERが設定される。
図29は、本発明によるATM交換システムの第2の形態を示す図である。これは図20に示したスイッチ部201の各SRMに対してレート算出部を設けた場合のシステム構成を示している。なお、図20に示した部分と同じ機能を有する部分については同一の参照符号を付け、その説明を省略する。
このATM交換システムのスイッチ部201’は、図20のスイッチ部と同様に複数のSRMを備えているが、これらのSRMにはそれぞれ図24に示したようなレート算出部206が対応づけられて設置されている。各レート算出部206は対応するSRMにおける輻輳常態に基づいて、上述した方法に従って送信許可レートBa(n)を計算する。この送信許可レートBa(n)はER書込み部404に送られるが、このER書込み部404はSRMのレート算出部206に対応するようにSRM毎に設置され得る。また、図20のレート変更部207も各SRMに対応して設置することが可能である。この場合、セルのERフィールドには、例えば図30に示すように、SRMを通過するごとに新たなERの値が設定されることとなる。
図31は、ルーティングタグを備えたセルのデータフォーマットを示している。このデータフォーマットは、図22あるいは図25に示したフォーマットに加えて交換機内部ルーティングタグRouting 用フィールドと交換機内部輻輳表示ビットC用フィールドと他の用途に用いられうるフィールドReserve とを備えている。前記の図20あるいは図29に示したシステムにおけるセルに対してこのフォーマットを適用し、さらにルーティングタグで指定された方路においてスイッチよりも後の部分にレート変更部207を設けて、このレート変更部207において上述のようなレート変更処理を行うことも可能である。
次に本発明による通信中コネクション数計測法式の実施形態について説明する。
前述したように、ABRサービスにけるERモードの制御をサポートする交換機において、具体的なERの算出方法は標準化の対象外である。
本願では、上記の実施形態を用いて具体的なER算出方法の例について説明した。上記の実施形態(例えば図7〜図15を用いて説明した実施形態)では、具体的な明示的レートERを算出する方法として次の様な動作を行っている。つまり、ATM交換機に少なくとも1個のセルが到着したABRコネクションをアクティブコネクションとして認識し、一定個数のセルが到着するまでの期間中(あるいは一定時間の観測期間中)にアクティブであると認識されたコネクションの数Nvcを観測し、ABR通信用の目標使用帯域BをNvcで等分割した帯域Ba を明示的なレートERとしている。この方法を実施するためのシステム構成は、前述の図7、図8、及び図12に示した。その他にも幾つかのER算出力式について述べているが、いずれの方式においても、ある観測期間毎のアクティブコネクション数の観測を行う。
具体的にアクティブコネクション数を数え上げるための方法は同様に上述の実施形態において述べている。ATM交換機はアクティブコネクションを記憶するためにテーブルメモリおよび観測期間中のアクティブコネクション数を計数するカウンタを有する。テーブルメモリには例えばアクティブと認識したコネクションのコネクション識別子と識別フラグビットを設定するフィールドから構成される。
図32にテーブルメモリの構成例を示す。セルが到着するとコネクション識別子と識別フラグヒットが設定され、同時にカウンタをインクリメントしてアクティブコネクション数をカウントしてゆく。ただし到着したセルに関してそのセルと同じコネクション識別子がすでにテーブルメモリ内に設定さわていた場合にはカウンタはインクリメントされない。
上記テーブルメモリの量としては、ATM交換機における最大設定可能ABRコネクション数分を設定出来る容量が必要である。またアクティブコネクション数の観測期間の長さについては、一定個数到着期間を観測期間とするならば、観測期間として最大設定可能ABRコネクション数あるいはその時点で確立しているABRコネクション数に等しい観測期間を設定する必要がある。これは例えば100本のコネクションが設定可能な場合に、もし100本のコネクションが実際にセルを送出している場合(アクティブな場合)、観測期間として少なくとも100個のセルが到着するまでの期間をとらなければ100本のコネクションをアクティブであると判定できないからである。一定時間間隔で観測区間を設定した場合にも同様に、観測区間として、(最大設定可能ABRコネクション数あるいはその時点で確立しているABRコネクション数)×(セル時間)を設定する必要がある。
以上のような方式を用いることによって観測期間毎にアクティブなABRコネクションの数を知ることが可能となる。しかし最大設定可能ABRコネクション数が多い場合には、以下の2つの問題点が生じ得る。以下にそれら問題点およびその解決方法について述べる。
(1)観測期間の長期化によるER算出時間の遅れ:
上述したように、ATM交換機における最大設定可能ABRコネクション数(以下これをM本とする)分のコネクションが通信中であった場合に、それら全てををアクティブであると判定するためには、観測期間としてM個のセルが到着する間隔に設定する必要がある。Mが大きくなると観測期間もまた長くなる。また同様に一定観測期間毎に観測する方法においても、M本のアクティブなコネクションを勧測するためには、少なくともMセル時間分の観測期間が必要であるので、やはりMが大きくなると観測期間も長くする必要がある。
交換機が行う明示的レートER算出の動作を考慮した場合、観測期間が長くなることはER計算時間間隔が長くなることを意味している。つまりER計算は1回の観測期間終了毎に行われるため、観測期間が長くなることによってER計算間隔が長くなる、さらに端末への通知の遅延となり、結果的にレート制御動作が効果的に機能せずに交換機において輻輳を引き起こす可能性が生じる。このようなER計算の遅延を防ぐためには、設定されている観測期間より短い間隔でERを算出できる、つまり観測期間より短い間隔でアクティブなコネクション数を決定する機能が必要であり、かつ効果的な方法である。
(2)テーブルメモリ量の増加:
最大設定可能ABRコネクション数Mが多くなった湯合に、実際にはハード構成の側面あるいはコスト的側面等によりテーブルメモリ量が限定され、設置できるコネクション数がM以下に制限されることが考えられる。この場合、観測期間中にテーブルメモリが一杯になった時点でそれ以上のアクティブコネクションをカウント出来ないため、その場合観測されるアクティブコネクション数は実際のアクティブコネクションに対して少なく見積もられることになる。
端末に通知する明示的レートERはABR用の帯域をアクティブなコネクション数で割った値であるから、アクティブコネクション数を少なく見積もった場合には算出されるERの値は実際のアクティブコネクション数から算出したERより大きな値になる。これは網側にとっては危険側の値であり、結果的にこの値を通知された端末がこのERにしたがったレートでセルを送出した場合に交換機で輻輳が発生する可能性がある。したがってテーブルメモリが一杯になった場合に、結果的に算出されるER値が網側に危険側にならないようなアクティブコネクション数の決定機能が必要である。
上記の問題を解決するために、本発明の後に述べる実施形態では次のような方法を用いる。
(1)観測期間の長期化によるER算出時間の遅れに対して:
(a)ある観測期間毎のアクティブなコネクションではなく、観測期間より短いある期間毎にその時刻からある時間分さかのぼった時点までの間に観測されたアクティブなコネクション数を計測する。これにより設定されている観測期間より短い時間間隔毎にアクティブコネクション数を知ることが出来、ER計算の遅延を防ぐことが可能となる。
(b)観測期間が終了する以前に、観測期間終了時刻までに観測されるであろうアクティブなコネクション数を予め予測する。
(c)観測期間をさらに幾つかの期間に区切り、区間毎に観測期間終了時までに観測されるであろうアクティブなコネクション数を予め予測する。
(d)予測値を決定する係数を設定し、観測期間終了時毎にアクティブなコネクション数の予測値と実際のアクティブなコネクション数との比較から予測係数を更新して、予測値を実際の値との誤差を減少させる。
これらにより、設定されている観測期間より短い時間間隔毎にアクティブコネクション数を知ることが出来、ER計算の遅延を防ぐことが可能となる。
(2)テーブルメモリ量の増加に対して:
(a)観測期間中にテーブルメモリで記憶しているアクティブコネクション数が、そのテーブル内の最大記憶可能コネクション数(最大数とも呼ぶ)L(図32参照)に達した場合には、観測期間終了時において最大設定可能ABRコネクション数Mをその観測期間におけるアクティブなコネクション数とする。あるいはその時点で確立しているABRコネクション数をアクティブなコネクション数とする。
(b)観測期間中にテーブルメモリで記憶しているアクティブなコネクション数が、そのテーブル内の最大数Lに達した場合には、その時点までのアクティブコネクション数(=テーブルの最大数)をもとに観測期間終了時点でのアクティブなコネクション数を予測する。
以下、上記の方法を実現するための具体例(通信中コネクション数計測システム)について説明する。なおこれらの発明は基本的にはABRサービスにおけるER計算のために使用されるが、その他ABRサービス以外にアクティブなコネクション数を知る必要がある通信サービスにおいても適用可能である。
図33は本発明による通信中コネクション数計測システム(計測システムとも呼ぶ)の構成を示している。ABRサービスではER計算は交換機内の輻輳が発生しうる箇所で行われる。よってこの計測システムはそのような個所に適用され、輻輳が発生しうるセルバッファを通過するセルのコネクション数、つまりアクティブコネクション数(以下通信中コネクション数と記す)を数え、それらのコネクションに対して出側の方路の帯域を適当に分配して割り当てるために用いられる。
図33に示すように、本発明の計測システムは、ABR制御部700と、図7、図16、図21、図23等の共通バッファメモリと同様の機能を有する共通バッファ710を備えている。ABR制御部700は、共通バッファ710の前で各セルからコネクション識別子を抽出するセル抽出部701と、通信中コネクション数計測部702と明示レートER算出部703とを備えている。図33は、複数の出側方路へと向かうセルが1つのバッファを共有する場合のシステム構成を表しているので、ABR制御部700は複数設置され(ただし図中にはその1つのみを示している)、それぞれが複数の出側方路に対応する通信中コネクションを計測し、ER計算を行う。
セル抽出部701は、送信端末からセルを受け取ると、セルを検出したことを示すセル検出信号を通信中コネクション数計測部702に出力し、またそのセルからコネクション識別子を抽出して通信中コネクション数計測部702に出力する。通信中コネクション数計測部702は、本発明の方法にしたがって通信中コネクション数を計算し、その結果を明示レートER算出部703(ER制御部)に出力する。明示レートER算出部703は計算された通信中コネクション数に基づいてERを算出し、その結果をセルに書込む。
まず、上述した(1)観測期間の長期化によるER算出時間の遅れのの問題を解決する方法について説明する。この問題を解決する一つの方法は、設定されている観測期間より短いある時間毎に、その時点からある観測期間分さかのぼった時点までの間に到着しているセルに関して通信中コネクション数を計測することである。以下にその原理を説明する。
この方法は、観測期間を一定個数のセル到着間隔に設置するか、あるいは固定時間(固定セル時間)として設定するするかによって2通りに分類できる。
これらの方法を実現するために、計測システムのABR制御部は図33に示したように、通信中コネクション数計測部702と明示レートER算出部703のペアを複数備えており、それぞれのペアは異なる観測区間に応じたタイミングによってアクティブコネクション数を計測し、ER計算を行う。
図34は通信中コネクション数計測部702の構成を示している。
この図に示すように、通信中コネクション数計測部702は、到着セル数計数カウンタ721と、通信中コネクション記憶テーブルメモリ722と、通信中コネクション数計数カウンタ723と制御部724とを備えている。到着セル数計数カウンタ721は一定個数Npの到着セル数をカウントする。この場合、上記ペアの数は、例えばNpとすればよい。なお、観測区間を固定時間にした場合、到着セル数カウンタ721は観測時間を計測するタイマーに置き換えられる。この場合は上記ペアの数は、例えば観測区間に隙間ができないような個数に設定すればよい。通信中コネクション記憶テーブルメモリ722は、図32に示したような、コネクション識別子と識別フラグビットを設定するフィールドから構成される。
観測期間開始後セルが到着すると、到着セル計数カウンタ721がインクリメントされると同時にテーブルメモリ722にコネクション識別子と識別フラグビットが設定される。さらにコネクション数計数カウンタ723がインクリメントされ通信中コネクション数がカウントされる。ただし到着したセルのコネクション織別子と同じコネクション識別子のコネクションがすでにテーブルメモリ722内に設定されていた場合、つまりそのコネクション識別子に対する識別ビットが設定されている場合にはカウンタ723のカウント値は増加しない。到着セル数計数カウンタ721のカウント数が所定数Npに達した時点で1回の観測期間が終了し、通信中コネクション数計数カウンタ723のカウント値が制御部に送られ、到着セル計数カウンタからの終了リセット信号によってテーブルメモリ722とコネクション数計数カウンタ723の内容はクリアされる。
制御部724はこの通知信号を受信した時点で、カウンタ723のカウント値を通信中コネクション数NACTIVE(NA )として設定する。設定されたNACTIVEの値はER算出部703に通知される。ER算出部703は次のNACTIVE値が通知されるまで、この値を用いてERを算出する。
図35は観測期間を一定個数(Np=S個)のセル到着間隔とした場合の、上記方式の原理を説明している。ここには、時間軸に対してセル[1]からセル[7]までの到着が矢印で表されている。ここでセル到着時刻毎に過去到着しているNp=S個分のセルに対して、その中に何本のコネクション数があるのかを数える。これを1セル到着毎(DN=1)に行うことによって、各セル到着時刻毎に通信中コネクション数を知ることが出来る。例えばセル[5]が到着した時点で過去5個分のセル[1][2][3][4][5]に対して何本のコネクション数があるかを調べればよい。さらに次のセル[6]が到着した時点でも過去5個分のセル、つまりセル[2][3][4][5][6]に対してやはり何本のセルがあるかを調べればよい。
図33のシステムでは1セル到着毎(m=1)に通信中コネクション数を決定しているが、これをDN≧2個のセル到着毎に通信中コネクション数を計測することも可能である。例えば図33のシステムの場合に、5セル到着毎(m=5)に通信中コネクションを決定するようにすれば、観測期間Np=5と等しくなりこれは従来の観測期間毎(Np=5)の通信中コネクションの観測方法と等しくなる。
図36は、観測期間が固定時間間隔(TM=S)の場合の通信中コネクション数計測方法について説明したものである。ここでは固定時間間隔の観測区間をセル時間で表している。たとえば装置の処理速度が149. 76Mbit/s であるならば、この1セル時間はおよそ2. 78μ秒である。固定時間間隔での観測の場合、セル到着時刻毎に通信中コネクション数を決定するのではなく、1セル時間毎(DT=1)に通信中コネクションの数を決定してゆく。例えばセル時間t=5では過去5セル時間内に到着したセル[1][2][3]に対して何種類のコネクションがあるがを調べればよい。さらに次の時刻t=6では過去5セル時間内に到着したセルは[2][3][4]であるからこの中に何種類のコネクションがあるかを調べればよい。この動作を毎セル時間毎に繰り返すことによって、セル時間毎に通信中コネクションを知ることが出来る。さらに通信中コネクション数を決定する間隔をDT≧2セル時間毎にして観測することも可能である。例えば図36においてDT=5にすれば、観測期間TM=5と等しくなりこれは従来の観測区間TM=5による観測方法と同じである。
次に、ER計算時間の遅延をなくすための上記と異なる方法について説明する。この方法では、設定されている観測期間が終了する以前に、予測を用いて通信中コネクション数を決定する。予測による通信中コネクション計測には幾つかの方式がある。以下にそれらの方法を示す。これらの予測は図33の通信中コネクション数計測部において行われる。なお、この後説明する方法においては、通信中コネクション数計測部702と明示レートER算出部703のペアはABR制御部700内に1つだけ設けてもよい。
(1)観測期間を固定時間TMとし、観測開始時刻からTM時間経過する以前に通信中コネクション数がある閾値N本に達した場合、TM時間後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE=α×N×TM/T
として予測する。ただしαは適当な係数、Tは観測開始からN本の通信中コネクションを観測するまでの時間である。この方法はある本数のコネクション数がカウントされるまでの時間と観測期間との比から、観測期間終了時の通信中コネクション値を予測するという方式である。さらに係数αを適当に決めることによって予測値を修正可能である。
図37はこの方法(1)を説明する図である。図に示すように、通信コネクション数がN本に達した時間Tにおいて、TM時間経過後の通信中コネクション数はNをTM/T倍し、さらに修正計数α(図中ではα=1)をかけた値として算出される。
(2)観測期間を固定時間TMとし、観測開始時刻からTM時間経過する以前に通信中コネクション数が複数の閾値Ni(ただしi=1、2、3、・・・、m)本に達する毎に、TM時間後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE=α×Ni×TM/Ti
として予測する。ただしTiは観測開始からNi本の通信中コネクションを観測するまでの時間である。この方法は予測を行う契機を複数設定して、あるコネクション数を越える毎にその時刻までのコネクション数と経過時間から、観測期間終了時の通信中コネクション数を予測するという方式である。
図38はこの方法(2)を説明する図である。図に示すように、通信コネクション数がNi本に達した時間Tiにおいて、TM時間経過後の通信中コネクション数はNiをTM/T倍し、さらに修正計数α(図中ではα=1)をかけた値として算出される。
(3)固定観測期間TMをn個に分割し、各小期間をTk(ただしk=1、2、3、・・・、n)とし、観測開始時刻からT1時間経過した時刻までに認識したコネクション数をN本とし、時刻T1において観測開始からTM時間後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE=α×N×n
として予測する。ただしαは適当な係数である。この方法は観側期間をn個の小区間に分割し、最初の小区間を経過した時点でそれまで観測した通信中コネクション数をn倍することによって観測期間終了時のアクティブコネクション数を予測する方式である。さらに係数αを適当に決めることによって予測値を修正可能である。
図39はこの方法(3)を説明する図である。図に示すように、TM時間経過後の通信中コネクション数はNをn倍し、さらに修正計数α(図中ではα=1)をかけた値として算出される。
(4)固定観測期間TMをn個に分割し、各小期間をTk(ただしk=1、2、3、・・・、n)とし、観測開始時刻から各々Tk時間経過毎に認識したコネクション数をNk本とし、各々Tk時間経過毎に、観測開始からTM時間後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE=Nk+(Nk−Nk−1)×(n−k)
として予測する。この方式は観測期間を小期間に分割し、各小期間経過時にその時刻にまでに計測された通信中コネクション数と、一つ前の小期間経過時までの計測された通信中コネクション数からコネクション数の傾きを算出し、その傾きから観測期間終了時の通信中コネクション数を予測する方式である。図40はこの方法(4)を説明する図である。
(5)(1)及び(3)に関して、予測による通信中コネクション数の算出と同時に通常(観測期間TM毎の)の観測を行い、TM毎に観測値と予測値を比較することにより係数をαを求め、次の観測期間においてはαの値を修正した値に変更して予測を行う。これにより観測期間毎に適切な修正係数αを変更出来、より正確なコネクション数の予測が可能となる。
次に上述のテーブルメモリ量の増加の問題に対処するため方法について説明する。
図41は通信中コネクション数計測部702の構成を示している。
通信中コネクション数計測部702は、一定個数Npの到着セル数をカウントするセル数計数カウンタ731、通信中コネクション記憶テーブルメモリ732、通信中コネクション数をカウントする通信中コネクション数計数カウンタ733、および制御部734を備えている。ここでは観測期間を一定個数セルの到着間隔とした場合について説明する。観測区間を固定時間にした場合、図の到着セル数カウンタ731は観測時間を計測するタイマーに置き換えられる。通信中コネクション数記憶テーブルメモリ732は、通信中であると認識したコネクションのコネクション識別子と識別フラグビットを設定するフィールドから構成される(図32参照)。テーブルに記憶できる最大のコネクション数をLで表す。
観測期間開始後セルが到着すると、到着セル計数カウンタ731がインクリメントされると同時にテーブルにコネクション識別子と識別フラグビットが設定される。さらにコネクション数計数カウンタ733がインクリメントされ通信中コネクション数がカウントされる。ただし到着したセルのコネクション織別子と同じコネクション識別子がすでにテーブルメモリ732内に設定されていた場合、つまりそのコネクション識別子に対する識別ビットが設定されている場合にはカウンタ値は増加しない。通常到着セル数計数カウンタ731がNpに達した時点で1回の観測期間が終了し、通信中コネクション数計数カウンタ733のカウント値が制御部に送られ、到着セル計数カウンタからの終了リセット信号によってテーブルメモリ732、コネクション数計数カウンタ733の内容はクリアされる。しかし観測期間中に通信中コネクション数計数カウンタ733がLに等しくなると、閾値を越えたことを通知する閥値検出信号が制御部に対して送信される。
制御部734はこの通知信号を受信した時点で、予め与えられている、そのER算出部が対象としているその方路の最大設定可能ABRコネクション数Mを通信中コネクション数NACTIVEとして設定するか、あるいはその時点で確立しているABRコネクション数をNACTIVEとして設定する。確立しているABRコネクション数は、例えばソフトウェアで管理されておりソフトウェアを介してER算出部に通知される値である。設定されたNACTIVEの値はER算出部703に通知され、ER算出部703は次のNACTIVEの値が通知されるまで、この値を用いてERを算出する。
図41の制御部734の動作は、通信コネクション数計数カウンタ値が閾値Lに達したときに、NACTIVEとして最大設定可能ABRコネクション数あるいは確立コネクション数を設定する場合と、NACTIVEに前述の予測法式(1)〜(5)で算出した値を設定する場合とによって異なる。
図42は、NACTIVEとして最大設定可能ABRコネクション数あるいは確立コネクション数を設定する場合の制御部734の動作を説明する図である。
この図に示すように、制御部734は通信中コネクション数計数カウンタ733の値が閾値Lを超えたことを示す閾値制御信号を受信した場合、上位のソフトウエア等によって管理されている最大設定可能ABRコネクション数、あるいは確立コネクション数をNACTIVEとして決定し、それをER算出部に通知する。
図43は、NACTIVEとして予測値を用いる場合の制御部734の動作を説明する図である。この図に示すように、制御部734はNACTIVE算出部741と、修正計数算出部742と、パラメタ記憶部743を備えている。
NACTIVE算出部741は、観測期間開始からTM時間経過時まで(あるいはNp個のセル到着時まで)の通信中コネクション数NACTIVEを算出して決定する。修正計数算出部742は、観測期間経過毎に修正計数αを算出する。パラメタ記憶部743は、算出したNACTIVEおよび修正計数αを記憶する。
通信中コネクション計数カウンタから閾値Lを超えたことを示す閾値検出信号がNACTIVE算出部741に送られると、その信号を検出したNACTIVE算出部741は、前述した予測方式(1)〜(4)に従ってNACTIVEを算出する。算出されたNACTIVEの値は、ER算出部703へ送られ、同時にパラメタ記憶部743に保持される。観測期間終了時において、観測期間中の実際の通信中コネクション数として通信中コネクション数係数カウンタのカウンタ値が修正係数算出部742に通知されると、修正係数算出部742はパラメタ記憶部743からNACTIVE値を取り出して、通信中コネクション値NACTIVEに基づいて修正係数αを決定する。この決定方法としては、例えば次の導出式を用いることができる。
α=NREAL/NACTIVE
ここで、NREALは通信中コネクション数係数カウンタ733から通知された通信中コネクション数である。このようにして決定されたαはパラメタ記憶部743に格納され、それ以降のNACTIVEの予測計算に使用される。
上記の方式の場合、通信中コネクション数NACTIVEを実際の通信中コネクション数より大きく見積もってしまう可能性がある。ER値は出側方路の帯域を通信中コネクション数で割った値であり、それがABR端末に送信を許可するレートになるため、実際より大きく見積もった通信中コネクション数をもとに算出したER値は、網にとっては安全側の値である反面、結果的に網の使用効率が上がらない可能性も出てくる。これを避けるために、通信中テーブルメモリに記憶されている通信中コネクション数が上限値Lに達した場合に、それを契機に前述の予測を用いた方式によって観測期間終了時点でのNACTIVEを算出する。これによって通信中コネクション数の過大評価を防ぐ。この予測によるNACTIVEの算出は図41の通信中コネクション数計測部702の制御部734において行われる。さらにこの予測によって求めたNACTIVEが最大設定可能ABRコネクション数Mあるいは確立しているABRコネクション数を越えていた場合には、それらの値をNACTIVEとして設定する。
(付記1) ATM網において送信許可レートを端末に通知するための制御装置であって、
送信端末から送らたセルを一時的に蓄積するメモリと、
出方路に対応させて送信許可レートを算出する送信許可レート算出部と、
該メモリに蓄積されたセルのアドレスを管理するアドレス管理メモリと、
該アドレス管理メモリ又は該メモリの蓄積量を基に輻輳検出を行う輻輳検出制御部と、
該送信許可レートから受け取った送信許可レートをそのまま、あるいは該輻輳検出制御部から受け取った輻輳通知信号に従って該送信許可レートを低減した値を、制御セルに書込んで該端末に通知する書込部とを備え、
該送信許可レート算出部は、観測期間中に1個以上のセルが到着するアクティブコネクションの数を出方路に対応させて求め、該出方路の帯域を該求めた数で除算して該送信許可レートを算出する制御装置。
(付記2) 前記送信許可レート算出部は、
前記出方路に対応させて到着背セル数をカウントし、カウントした値が所定数の時を前記観測期間の終了時とする到着セル計数カウンタと、
前記出方路に対応する到着セルのコネクション識別子を書込むアクティブテーブルと、
該アクティブテーブルに書込まれた前記出方路に対応するコネクション識別子をカウントしてアクティブコネクション数を求めるアクティブカウンタと、
該到着セル計数カウンタが所定数をカウントした出方路に対応したアクティブカウンタによってカウントされたアクティブコネクション数で、該出方路の帯域を除算して前記送信許可レートを算出する送信許可レート算出制御部と、
を備えている、付記1に記載の制御装置。
(付記3) 前記送信許可レート算出部は、
前記出方路に対応したアクティブコネクションのミニマムセルレートを加算して合計MCR値を出力する合計MCR算出制御部と、
前記観測期間に於ける前記アクティブコネクション数を求めるアクティブVC計数カウンタと、
前記観測期間にたいして前記合計MCR算出制御部が求めた合計MCR値を該出方路の帯域から減算し、該減算した値を前記アクティブコネクション数で除算し、該除算した値にコネクションに対応するミニマムセルレートを加算して、送信許可レートを算出する送信許可レート算出制御部と、
を備えている、付記2に記載の制御装置。
(付記4) 前記書込部は、
前記アドレス管理メモリ又は前記メモリの蓄積量に対する複数の閾値を設定し、該閾値に対応した減少係数を設定した変更パラメタテーブルと、
前記アドレス管理メモリ又は前記メモリの蓄積量が前記閾値を超えたことを伝える情報に基づいて、前記変更パラメタテーブルから読み出した前記減少係数を前記送信許可レート算出部からの送信許可レートに乗算する算出部と、
を備えている付記1乃至3の何れか1つに項記載の制御装置。
(付記5) セル交換機におけるセルの輻輳状態を端末にフィードバックさせることによりセルの送信レートを調節するATM交換システムであって、
該ATM交換システム内の輻輳状態を検出する輻輳検出手段と、
該輻輳検出手段が検出した該輻輳状態に応じて、該ATM交換システムにおいて交換されるセルに該輻輳状態を表示するための輻輳表示情報を設定する輻輳表示情報設定手段と、
該輻輳状態の発生に関連するセルの伝送路に対する伝送レートを指定する明示的指示レートを計算するレート算出手段と、
該伝送路に対する輻輳の発生割合を検出し、該発生割合に基づいて該明示的指示レートを変更し、該変更された明示的指示レートを該端末にフィードバックされるセルに設定するレート変更手段と、
を備えたATM交換システム。
(付記6) 前記レート変更手段は、前記輻輳の発生割合を所定の閾値と比較し、該比較の結果に基づいて前記レート算出手段が計算した明示的指示レートを変更する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記7) 前記レート変更手段は、前記比較の結果に基づいて決定される除算値で前記レート算出手段が計算した前記明示的指示レートを除算することによって、前記明示的指示レートを変更する、付記6に記載のATM交換システム。
(付記8) 前記レート変更手段は、前記輻輳表示情報が設定されているセルの所定の観測期間内における到着個数を検出し、該到着個数に応じて前記輻輳の発生割合を認識する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記9) 前記レート変更手段は、前記輻輳表示情報が設定されているセルの到着間隔に基づいて前記輻輳の発生割合を認識する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記10) 前記レート変更手段は、受け取ったセルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を、該セルを受け取る前に認識した前記輻輳表示情報の設定割合に基づいて平滑化し、該平滑化された設定割合を所定の閾値と比較し、該比較の結果に基づいて前記レート算出手段が計算した明示的指示レートを変更する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記11) 前記レート変更手段は、受け取ったセルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を次式に基づいて平滑化する、
C(n) =β・Now(n)+(1−β)・C(n1)
C(n) は今回の平滑化後の設定割合
βは重み要素(0<β≦1)
Now(n)は今回検出された平滑化されていない設定割合
C(n1)は前回の平滑化後の設定割合
付記5に記載のATM交換システム。
(付記12) 前記レート変更手段は、受け取ったセルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を複数の所定の閾値と比較し、該比較に基づいて該複数の所定の閾値に応じて予め決定されている複数の値のうちの1つを決定し、該決定した1つの値基づいて前記レート算出手段が計算した明示的指示レートを変更する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記13) 前記レート変更手段は、ある観測期間内に前記輻輳表示情報が設定されているユーザデータセルが到着した場合に、前記レート算出手段が計算した明示的指示レートを所定の割合で変更する、付記5に記載のATM交換システム。
(付記14) 前記輻輳表示情報設定手段は、前記ユーザデータセルのヘッダ部のペイロードタイプフィールド内の明示的前方輻輳表示ビットとして、前記輻輳表示情報を設定する、付記5乃至13のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記15) 前記レート算出手段は、前記計算した明示的指示レートを、前記伝送路上を転送され、且つ前記端末にフィードバックされるリソース管理セルに設定し、
前記レート変更手段は、前記伝送路から前記レート算出手段が計算した明示的指示レートが設定されているリソース管理セルを抽出し、該リソース管理セルに設定されている明示的指示レートを前記輻輳の発生割合に基づいて変更し、該変更された明示的指示レートを前記抽出したリソース管理セルに設定し直し、該リソース管理セルを前記伝送路に再び送出する、付記5乃至14のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記16) 前記レート算出手段は、前記伝送路におけるアクティブな仮想コネクションの数を出力方路毎に計測し、該各出力方路に設定されている伝送レートを該各出力方路毎のアクティブな仮想コネクションの数で除算し、その除算結果に基づいて前記明示的指示レートを計算する、付記5乃至15のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記17) 前記レート算出手段は、前記ATM交換システム内の伝送路を多重分離する多重分離装置に対応して設置されている、付記5乃至16のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記18) 前記レート算出手段は、前記ATM交換システム内のスイッチ部を構成するSRMに対応して設置されている、付記5乃至16のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記19) 前記レート算出手段は、前記ATM交換システム内のスイッチ部を構成する複数のSRMのそれぞれ対応して設置されている、付記5乃至16のうちの1つに記載のATM交換システム。
(付記20) セル交換機におけるセルの輻輳状態を端末にフィードバックさせることによりセルの送信レートを調節するATM交換方法であって、
ATM交換システム内の輻輳状態を検出するステップと、
検出した該輻輳状態に応じて、該ATM交換システムにおいて交換されるセルに該輻輳状態を表示するための輻輳表示情報を設定するステップと、
該輻輳状態の発生に関連するセルの伝送路に対する伝送レートを指定する明示的指示レートを計算するステップと、
該伝送路に対する輻輳の発生割合を検出し、該発生割合に基づいて該明示的指示レートを変更し、該変更された明示的指示レートを該端末にフィードバックされるセルに設定するステップと、
を備えたATM交換方法。
(付記21) さらに、前記輻輳の発生割合を所定の閾値と比較し、該比較の結果に基づいて前記明示的指示レートを変更するステップを含む、付記20に記載のATM交換方法。
(付記22) さらに、前記比較の結果に基づいて決定される除算値で前記明示的指示レートを除算することによって、前記明示的指示レートを変更するステップを含む、付記21に記載のATM交換方法。
(付記23) さらに、前記輻輳表示情報が設定されているセルの所定の観測期間内における到着個数を検出し、該到着個数に応じて前記輻輳の発生割合を認識するステップを含む、付記20に記載のATM交換方法。
(付記24) さらに、前記輻輳表示情報が設定されているセルの到着間隔に基づいて前記輻輳の発生割合を認識するステップを含む、付記20に記載のATM交換方法。
(付記25) さらに、セルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を、該セルを受け取る前に認識した前記輻輳表示情報の設定割合に基づいて平滑化するステップと、
該平滑化された設定割合を所定の閾値と比較するステップと、
該比較の結果に基づいて前記明示的指示レートを変更するステップと、
を含む付記20に記載のATM交換方法。
(付記26) さらに、セルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を次式に基づいて平滑化する、ステップを含む、付記20に記載のATM交換方法。
C(n) =β・Now(n)+(1−β)・C(n1)
C(n) は今回の平滑化後の設定割合
βは重み要素(0<β≦1)
Now(n)は今回検出された平滑化されていない設定割合
C(n1)は前回の平滑化後の設定割合
(付記27) さらに、セルにおける前記輻輳表示情報の設定割合を複数の所定の閾値と比較するステップと、
該比較に基づいて該複数の所定の閾値に応じて予め決定されている複数の値のうちの1つを決定するステップと、
該決定した1つの値基づいて前記明示的指示レートを変更するステップと、
を含む付記20に記載のATM交換方法。
(付記28) 網の状態に応じて送信端末のパケット送出間隔の制御を行うセル交換網における通信中コネクション数計測システムであって、
セル交換網において交換されるセルを検出するセル抽出部と、
該セル抽出部によって少なくとも1個のパケットが到着したコネクションの数を通信中コネクション数としてカウントするコネクションカウンタと、
観測開始点から所定間隔前までに該コネクションカウンタが認識した通信中コネクション数を決定する制御部と、
を備えた通信コネクション数計測システム。
(付記29) 前記観測開始点は前記セル抽出部にセルが到着した時刻と定義され、前記所定間隔は前記セル抽出部に所定個数のセルが到着する間隔として定義される、付記28に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記30) 前記観測開始点は時間点であり、前記所定間隔は時間間隔として定義される、付記28に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記31) 前記制御部は、ある一定個数のセルが前記セル抽出部に到着するごとに、前記通信中コネクション数を決定する、付記28に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記32) 前記制御部は、ある一定時間ごとに前記通信中コネクション数を決定する、付記28に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記33) 網の状態に応じて送信端末のパケット送出間隔の制御を行う交換網における通信中コネクション数計測システムであって、
交換網において交換されるパケットを検出する抽出部と、
該抽出部によって少なくとも1個のパケットが到着したコネクションの数を通信中コネクション数としてカウントするコネクションカウンタと、
観測開始点から所定間隔TM後までに該コネクションカウンタが認識するはずの通信中コネクション数を予測して決定する制御部と、
を備えた通信中コネクション数計測システム。
(付記34) 前記制御部は、前記観測開始点から所定のN本の通信中コネクションを認識した時刻までの時間をTとし、前記観測開始点から前記TM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを係数αを用いて、
NACTIVE= α×N×TM/T
として決定する、付記33に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記35) 前記制御部は、前記観測開始点から前記TM時間内における実際の通信中コネクション数NACTIVER を計測し、該NACTIVER と前記NACTIVEとを比較して新たな係数αを決定し、次の通賃中コネクション数の決定において該新たなαを用いる、付記34に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記36) 前記制御部は、前記観測開始点から所定のNi本の通信中コネクションを認識した時刻までの時間をTiとし、該Ti時間経過毎に、前記観測開始点から前記TM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= Ni×TM/Ti
として決定する、付記33に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記37) 前記制御部は、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、前記観測開始点から小期間Tkが経過するまでに認識した通信中コネクション数をN本とし、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= N×n
として決定する、付記33に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記38) 前記制御部は、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、前記観測開始点から小期間Tkが経過するまでに認識した通信中コネクション数をN本とし、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= α×N×n
として決定し、また前記観測開始点から前記TM時間内における実際の通信中コネクション数NACTIVER を計測し、該NACTIVER と前記NACTIVEとを比較して新たな係数αを決定し、次の通賃中コネクション数の決定において該新たなαを用いる、付記33に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記39) 前記制御部は、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、小期間Tkが経過する毎に該小期間Tk中に認識した通信中コネクション数をNk本とし、該小期間Tkが経過するごとに、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= Nk+(Nk−Nk1)×(n−k)
として決定する、付記33に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記40) さらに、前記セル抽出部に到着したセルのコネクション識別子を記憶し、該コネクション識別子がまだ記憶されていない場合、該コネクション識別子に対応させて識別フラグを設定する記憶装置を備え、
前記制御部は、観測開始点から前記所定間隔TM後までに該コネクションカウンタがカウントした通信中コネクション数が該記憶装置に記憶可能な最大コネクション数Lを超えた場合、交換機に設定可能な最大コネクション数Mを前記NACTIVEとして設定する、付記34乃至39のうちの1つに記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記41) 前記NACTIVEが前記交換機において接続可能な最大のコネクション数Mを越えた場合、該コネクション数Mを前記NACTIVEとして設定する、付記40に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記42) 前記NACTIVEが前記交換機において接続可能な最大のコネクション数Mを越えた場合、該交換機において現在確立しているコネクション数を該NACTIVEとして設定する、付記40に記載の通信中コネクション数計測システム。
(付記43) 網の状態に応じて送信端末のパケット送出間隔の制御を行う交換網における通信中コネクション数計測方法であって、
交換網において交換されるパケットを検出するステップと、
少なくとも1個のパケットが検出されたコネクションの数を通信中コネクション数としてカウントするステップと、
観測開始点から所定間隔前までにカウントした通信中コネクション数を決定するステップと、
を備えた通信コネクション数計測方法。
(付記44) 前記観測開始点は前記抽出部にセルが到着した時刻と定義され、前記所定間隔は所定個数のパケットが検出される間隔として定義される、付記43に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記45) 前記観測開始点は時間点であり、前記所定間隔は時間間隔として定義される、付記43に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記46) さらに、ある一定個数のセルが検出されるごとに、前記通信中コネクション数を決定するステップを含む、付記43に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記47) さらに、ある一定時間ごとに前記通信中コネクション数を決定するステップを含む、付記43に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記48) 網の状態に応じて送信端末のパケット送出間隔の制御を行う交換網における通信中コネクション数計測方法であって、
交換網において交換されるパケットを検出するステップと、
少なくとも1個のパケットが検出されたコネクションの数を通信中コネクション数としてカウントするステップと、
観測開始点から所定間隔TM後までに該コネクションカウンタが認識するはずの通信中コネクション数を予測して決定するステップと、
を備えた通信中コネクション数計測方法。
(付記49) さらに、前記観測開始点から所定のN本の通信中コネクションを認識した時刻までの時間をTとし、前記観測開始点から前記TM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを係数αを用いて、
NACTIVE= α×N×TM/T
として決定するステップを含む、付記48に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記50) さらに、前記観測開始点から前記TM時間内における
実際の通信中コネクション数NACTIVER を計測し、該NACTIVER と前記NACTIVEとを比較して新たな係数αを決定しするステップと、次の通賃中コネクション数の決定において該新たなαを用いるステップとを含む、付記49に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記51) さらに、前記観測開始点から所定のNi本の通信中コネクションを認識した時刻までの時間をTiとし、該Ti時間経過毎に、前記観測開始点から前記TM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= Ni×TM/Ti
として決定するステップを含む、付記48に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記52) さらに、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、前記観測開始点から小期間Tkが経過するまでに認識した通信中コネクション数をN本とし、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= N×n
として決定するステップを含む、付記48に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記53) さらに、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、前記観測開始点から小期間Tkが経過するまでに認識した通信中コネクション数をN本とし、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= α×N×n
として決定しするステップと、
前記観測開始点から前記TM時間内における実際の通信中コネクション数NACTIVER を計測し、該NACTIVER と前記NACTIVEとを比較して新たな係数αを決定するステップと、
次の通賃中コネクション数の決定において該新たなαを用いるステップと、を含む付記48に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記54) さらに、前記時間TMをn個の小期間Tkに分割し、小期間Tkが経過する毎に該小期間Tk中に認識した通信中コネクション数をNk本とし、該小期間Tkが経過するごとに、前記観測開始点からTM時間経過後の通信中コネクション数NACTIVEを、
NACTIVE= Nk+(Nk−Nk1)×(n−k)
として決定するステップを含む、付記48に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記55) さらに、検出したセルのコネクション識別子を記憶するステップと、
該コネクション識別子がまだ記憶されていない場合、該コネクション識別子に対応させて識別フラグを設定するステップと、
観測開始点から前記所定間隔TM後までに該コネクションカウンタがカウントした通信中コネクション数が該記憶装置に記憶可能な最大コネクション数Lを超えた場合、交換機に設定可能な最大コネクション数Mを前記NACTIVEとして設定するステップと、
を含む付記49乃至54のうちの1つに記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記56) 前記NACTIVEが前記交換機において接続可能な最大のコネクション数Mを越えた場合、該コネクション数Mを前記NACTIVEとして設定する、付記55に記載の通信中コネクション数計測方法。
(付記57) 前記NACTIVEが前記交換機において接続可能な最大のコネクション数Mを越えた場合、該交換機において現在確立しているコネクション数を該NACTIVEとして設定する、付記55に記載の通信中コネクション数計測方法。