JP3968937B2 - エンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用エンジンの構造に関し、特に、発進クラッチとして自動遠心シュークラッチを装着したエンジンのシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤとの結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図3に示すように、ビジネスユース用の自動二輪車のエンジンには、手動でのクラッチ操作を不要にするため、自動遠心クラッチを備えているものが多い。この自動遠心クラッチは、クランク軸上にシュークラッチを固定し、プライマリドライブギヤを、クランク軸上で自由に回転できるように設置するとともに、前記シュークラッチにより駆動されるハウジングに結合される構造になっている。
【0003】
以下に、図面を参照して従来例を説明する。
図3は従来のビジネスユース用の自動二輪車の構成を示す全体図、図4は従来のエンジンの駆動伝達装置の構成を示す断面図である。
例えば、従来のビジネスユース用の自動二輪車100のエンジン101は、図4に示すように、クランクケース102に圧入されたベアリング103でクランク軸104が保持されており、該クランク軸104のベアリング外側には、クランク軸スペーサ106、プライマリドライブギヤスペーサ107、シュークラッチハウジングワッシャ109、ワンウェイクラッチインナーレース120、シュークラッチ122、スタータクラッチ123等が固定されている。
プライマリドライブギヤスペーサ107の外周には、プライマリドライブギヤ124及びシュークラッチハウジング125が設置され、クランク軸スペーサ106とシュークラッチハウジングワッシャ109の間で、回転自在とされている。
プライマリドライブギヤ124は、カウンタシャフト127上に設置されたクラッチASSY128に結合されているプライマリドリブンギヤ130と噛合っており、クランク軸104で発生した動力はシュークラッチ122、シュークラッチハウジング125、プライマリドライブギヤ124、プライマドリブンギヤ130、クラッチASSY128を経てカウンタシャフト127に伝達されている。
【0004】
上記のようなエンジン構成において、近年、メカニカルノイズに対する要求が厳しくなってきているため、メカニカルノイズ低減を目的として、プライマリギヤの噛合い率を大きくすることが可能なはすば歯車を使用することが多くなっている。
プライマリギヤをはすば歯車とした場合、前記シュークラッチハウジングと前記プライマリドライブギヤの結合する方法として、非分離タイプでは溶接あるいはリベットカシメ、分離可能タイプではドック嵌合(又はドグ嵌合)などがある。
【0005】
図5は従来の溶接嵌合による場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図、図6は従来のリベットカシメによる場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図、図7の(a)は従来のドック嵌合による場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図、(b)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ニュートラル状態を示す状態図、(c)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ハウジングの回転がギヤの回転よりも速い場合の嵌合状態を示す状態図、(d)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ギヤの回転がハウジングの回転よりも速い場合の嵌合状態を示す状態図、図8は従来のフリクションダンパを用いた場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図である。
【0006】
非分離タイプの嵌合方式において、溶接嵌合の場合は、図5に示すように、プライマリドライブギヤ201とシュークラッチハウジング202は電子ビーム溶接やプラズマ溶接で一体化されたものである。このため、溶接熱による該プライマリドライブギヤ201の内径及び歯形形状の変形が生じるという問題点があった。図中の符号203は溶接個所を示す。
前記プライマリドライブギヤ201の内径の変化については、溶接後に再加工することで対応も可能であるが、その際、シュークラッチハウジング202のシューの摺動面202a、内径及びプライマリドライブギヤ201のピッチ円の振れを管理する必要があり、その加工は困難を極める。また、歯形形状の変形については、シュークラッチハウジング202の外径が大きいため、溶接後の加工はほとんど不可能である。
【0007】
また、リベットカシメの場合は、図6に示すように、プライマリドライブギヤ301のシュークラッチハウジング側端部に、リベット303をかしめるのためのフランジ部301aが形成される。リベットカシメでは、溶接嵌合のような変形の問題は生じない。
しかしながら、プライマリドライブギヤ301を加工する場合、フランジ部301aと干渉するので、ギヤ加工はギヤシェーバ加工となるため加工性に劣るという問題点があった。さらに、フランジ部301aの厚み分だけ余計に幅方向にスペースが必要となるため、エンジン総幅が大きくなるという問題点があった。
【0008】
一方、分離可能タイプの嵌合方式において、ドッグ嵌合の場合は、図7(a)に示すように、シュークラッチハウジング402にはボス403が嵌合されており、該ボス403の端部にはクランク軸方向に凹凸状の係合部403aが形成されている。また、前記ボス403に対向するプライマリドライブギヤ401のボス部端部にもクランク軸方向に凹凸状の係合部401aが形成されている。シュークラッチハウジング402とプライマリドライブギヤ401の結合は、前記ボス403の係合部403aと前記プライマリドライブギヤ401の係合部401aを係合させて結合するものである。この構成によると、前記の溶接結合やリベット結合のような問題は生じることはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プライマリドライブギヤ401とシュークラッチハウジング402を組付ける場合、その係合部401a、403aには当然クリアランスが必要となるが、その隙間が原因でエンジン運転時にガラ音(メカニカルノイズ)が発生するという問題点が生じている。
【0010】
すなわち、図4に示すように、クランク軸104は混合気の燃焼により動力(回転力)を発生しており、その原理上その回転は混合気が爆発した時に最も速く、圧縮するときが最も遅くなる。一方、プライマリドリブンギヤ130が繋がるカウンタシャフト127は、ある慣性質量を持っており、その回転数を保持しようとする。
このとき、図7に示すように、シュークラッチハウジング402はクランク軸104と一緒に回転しているシュークラッチ122により回されているため、回転変動し、プライマリドリブンギヤ130と噛合って等速回転しようとするプライマリドライブギヤ401の間で速度差が発生する。そこで、プライマリドライブギヤ401とシュークラッチハウジング402の係合部401a、403aが衝突してガラ音(メカニカルノイズ)が発生するわけである。
【0011】
また、プライマリドライブギヤ401はクランク軸104に対し回転自在にする必要上、スラスト方向にもクリアランスが必要とされる。該プライマリドライブギヤ401はヘリカルギヤが採用された場合、その噛合いにより、回転運動による動力伝達とともにスラスト方向にも力が発生し、プライマリドライブギヤ401は左右に動こうとする。この際も、プライマリドライブギヤ401のスラスト方向の移動により該プライマリドライブギヤ401の係合部401aがシュークラッチハウジング402の係合部403aに衝突してガラ音が発生するわけである。
【0012】
そこで、この係合部401a、403aの結合による、いわゆるドック嵌合における上記ガラ音の問題対策として、図8に示すように、プライマリドライブギヤ401とシュークラッチハウジング402の間にフリクションダンパ410を設け、回転方向の相対回転を規制し、更にウェーブワッシャ411をいれて、軸方向のガタをなくしたものが知られている。
しかしながら、この構造では部品点数が増大するという問題点がある。
また、エンジン運転中に必要なフリクションを発生するため、この力に充分耐えるようにフリクションダンパの締め代を大きくとる必要がある。したがって、組付けに際し大きな力を必要とするので、組付けが難しくなるというの新たな問題が発生している。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、溶接結合における歪を発生させることなく、リベットカシメによるスペース及び加工性の問題を解消し、フリクションダンパを使用することなく部品の削減及び組付け性の向上を図ることにより、低コスト、省スペースで高品質の構造を実現するとともに、ドック嵌合における異音を防止することを可能にしたエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、クランク軸からの駆動力を伝達するための自動遠心クラッチと変速クラッチを備え、前記自動遠心クラッチのクラッチハウジングに連結された駆動ギヤを介して前記変速クラッチに駆動力を伝達するようにしたエンジンの駆動伝達構造において、前記駆動ギヤをヘリカルギヤで構成するとともに、前記自動遠心クラッチのクラッチハウジングと駆動ギヤは、それぞれのボス部によりクランク軸上に回転自在に支持されており、これらボス部の端部にクランク軸方向に凹凸部が形成された係合部を備えて凹凸嵌合で結合し、前記凹凸嵌合した係合部を包囲して外周に密着固定する弾性スプリング材からなる外輪部の内側に摩擦弾性体を備えた摩擦保持部材を設け、この摩擦保持部材で各係合部同士の位置関係を保持するとともに、前記摩擦保持部材の摩擦弾性体に横断面が凸状断面形状の突出部を形成する一方、前記駆動ギヤと前記クラッチハウジングの係合部の外周部には、前記摩擦弾性体の突出部と略同形状の溝が円周方向にわたって設けられ、この溝は、凹凸嵌合された係合部の凹部と凸部においてクランク軸方向に所定の隙間が形成されるように位置付けされたことを特徴とするエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造である。
【0016】
本発明によれば、駆動ギヤをヘリカルギヤで構成するとともに、自動遠心クラッチのクラッチハウジングと駆動ギヤのそれぞれのボス部によりクランク軸上に回転自在に支持され、これらボス部の対向する端部にクランク軸方向に凹凸部が形成された係合部を備えて凹凸嵌合で結合し、前記凹凸嵌合した係合部を包囲して外周に密着固定する弾性スプリング材からなる外輪部の内側に摩擦弾性体を備えた摩擦保持部材を設け、この摩擦保持部材で各係合部同士の位置関係を保持するとともに、前記摩擦保持部材の摩擦弾性体に横断面が凸状断面形状の突出部を形成する一方、前記駆動ギヤと前記クラッチハウジングの係合部の外周部には、前記摩擦弾性体の突出部と略同形状の溝を円周方向にわたって設け、この溝を、凹凸嵌合された係合部の凹部と凸部においてクランク軸方向に所定の隙間が形成されるように位置付けたことにより、前記クラッチハウジングの係合部と前記駆動ギヤの係合部との衝突を防止することができるので、ドック嵌合における異音を防止することができる。したがって、簡単な構成で組付け性の向上を図ることができ、これにより、低コスト、省スペースで高品質のエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造を実現することができる。
【0017】
また、前記摩擦保持部材は、内側に摩擦弾性体を備え、外側に弾性スプリング材からなる外輪部を備えてなる簡単な構成により係合部を密着固定することができる。すなわち、外側の外輪部により内側の摩擦弾性体を均等に締め付けることにより、前記係合部をその外周に沿って密着固定することができる。
【0018】
また、前記駆動ギヤの係合部と前記クラッチハウジングの係合部の外周部に溝を形成することにより、前記摩擦弾性体の凸状の部位が入り込むことにより、確実に係合部を固定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1(a)は本発明の実施形態に係るエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造の全体構成を示す断面図、(b)は図1(a)のB−B矢視断面図、図2(a)は本実施形態に係る摩擦保持部材の構成を示す全体図、(b)は本実施形態に係る係合部の嵌合状態を示す拡大断面図、(c)は前記係合部に摩擦保持部材を取付けた状態を示す拡大断面図である。
図1、2は本発明の実施形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図4に示す従来のものと同様である。
【0021】
本実施形態によるエンジンの構成は、図1に示すように、クランクケース2に圧入されたベアリング3でクランク軸4が保持されており、該クランク軸4の軸方向のベアリング3外側に延長しており、そこには、クランク軸スペーサ6、プライマリドライブギヤスペーサ7、シュークラッチハウジングワッシャ9、ワンウェイクラッチインナーレース20、自動遠心クラッチであるシュークラッチ22、及びスタータクラッチ23等が順に配設されて、クランク軸4端部のナット4aで締め付けて固定されている。
これらシュークラッチ22、スタータクラッチ23等はクランクケース2の外側のクラッチカバー2aに覆われたクラッチ室2b内に配設されており、クランク軸4最端部をベアリング4b(クラッチカバー2aに嵌入)で回転自在に支持されている。前記クラッチカバー2aと前記クランクケース2の合わせ面2cは、シュークラッチ22と車幅方向略同一位置に設けられている。
【0022】
プライマリドライブギヤスペーサ7の外周には、プライマリドライブギヤ24及びシュークラッチハウジング25が設置され、クランク軸スペーサ6とシュークラッチハウジングワッシャ9の間で、回転自在とされている。
プライマリドライブギヤ24は、カウンタシャフト27上に設置されたクラッチASSY28に結合されているプライマリドリブンギヤ30と噛合っており、クランク軸4で発生した動力はシュークラッチ22、シュークラッチハウジング25、プライマリドライブギヤ24、プライマドリブンギヤ30、さらには、変速クラッチ28を経てカウンタシャフト27に伝達されている。
【0023】
上記のようにシュークラッチ22のシュークラッチハウジング25に連結されたプライマリドライブギヤ24を介して変速クラッチ28に駆動力を伝達するようにしたエンジン1の駆動伝達構造において、
前記シュークラッチハウジング25は、そのボス部25aによりクランク軸4上に回転自在に支持されており、該ボス部25aの端部にクランク軸方向に凹凸部が形成された第1の係合部25bを備えている。また、前記プライマリドライブギヤ24は、そのボス部24aによりクランク軸4上で回転自在に支持されており、該ボス部24aの前記第1の係合部25bと対向する端部に、クランク軸方向に前記凹凸部と略逆形状の凹凸部が形成された第2の係合部24bを備えている。さらに、前記シュークラッチハウジング25と前記プライマリドライブギヤ24の連結部に、前記第1の係合部25bと第2の係合部24bをクランク軸方向に凹凸嵌合で結合した状態で、前記係合部25b、24bを包囲して接触し、各係合部同士の位置関係を保持するように締め付ける摩擦保持部材26を備えた、シュークラッチハウジング25とプライマリドライブギヤ24の結合構造である。
【0024】
前記第1の係合部25bは、図1(b)に示すように、略等間隔で同形状の凹凸部が各々4個形成されている。
前記第2の係合部24bは、前記第1の係合部25bの凹凸部と略逆形状の凹凸部が各々4個形成されている。
前記第1の係合部25bの凸部寸法は、前記第2の係合部の凸部寸法より大きくされており、前記第1の係合部25bと前記第2の係合部を密着係合させると、前記第2の係合部24bの凸部と第1の係合部25bの凹部の間に隙間29が形成される。
【0025】
前記摩擦保持部材26は、図2(a)に示すように、内側の保持部26aと外側の外輪部26bが層構造を呈しており、内側に無負荷状態で前記第1の係合部25bおよび第2の係合部24bの外径よりも小さい内径の半円形状に突出した断面形状の突出部26cを有するゴム等のエラストマー系樹脂製の前記係合部25b、24b外周に当接して摩擦を生じる保持部26aを備え、該保持部26aの外側に前記保持部26a内側を締め付けて、前記第1の係合部25bおよび第2の係合部24bの外周に密着固定するためのスプリング鋼材等の高弾性材からなる外輪部26bを備えている。
前記外輪部は、一部が分割された略C字形状を呈しており、前記係合部25b、24bの寸法よりも広幅で形成され、その内側に前記保持部を配置し、かつ、その略中央に前記突出部26cを配置している。
前記の分割された両端部には、略半円状の切り欠き部26dが対向して形成されている。該切り欠き部26dに取付け工具を挿入して、その分割部を開放することにより、係合部25b、24bと摩擦保持部材26とを着脱するようにされている。
【0026】
前記第1の係合部25bおよび第2の係合部24bの外周部には、図2(b)に示すように、円周方向にわたり半円状の溝が形成され、前記第1の係合部25b側の溝25cと前記第2の係合部24b側の溝24cの位置は、該係合部25b、24bが密着嵌合状態で、隣り合う溝の位置より内側に入り込んだ位置に形成されている。
前記溝25c、24cに沿って前記保持部26aの突出部26cを配置するように摩擦保持部材26を設置すると、前記外輪部26bの締め付け力により前記突出部26cは前記溝25c、24cに押し付けられる。この時、図2(c)に示すように、前記溝25c、24cは前記突出部26cにならう方向に変位して、さらに前記隙間29が広がる方向に変位する。
【0027】
前記プライマリドライブギヤ24はヘリカルギヤが採用されている。これにより、ギヤの回転に伴い、該プリマリドライブギヤ24を反ハウジング側に推進する方向に力が働いている。すなわち、前記隙間29を広げる方向に力が働くことになる。
【0028】
上記の構成によると、シュークラッチハウジング25とプライマリドライブギヤ24を、凹凸部が形成された係合部25b、24bにより凹凸嵌合で結合した状態で、摩擦保持部材26により前記係合部25b、24bを包囲して各係合部同士の位置関係を保持するように締め付けることにより、前記クラッチハウジングの第1の係合部25bと前記駆動ギヤの第2の係合部24bとの衝突を防止することができる。したがって、いわゆるドック嵌合における異音を防止することができる。
【0029】
また、前記摩擦保持部材26は、内側の保持部26aにゴム材を使用したことにより、簡単に成形できるとともに、簡単な構成で係合部25b、24bを密着固定することができる。また、外輪部26bにスプリング鋼材を採用したことにより、外輪部の復元力を利用して高剛性で、かつ、簡単な構成で確実に係合部25b、24bを密着固定することができる。
【0030】
また、前記シュークラッチハウジングの第1の係合部と25b前記プライマリドライブギヤ24の第2の係合部24bの外周部に半円状断面形状を呈する溝25c、24cを形成し、そこに保持部26aの半円状断面形状を呈する突出部26cを嵌め込むことにより、確実に前記係合部25b、24bを固定することができる。また、前記プライマリドライブギヤ側の溝24cと前記シュークラッチハウジング側の溝25cの位置を、前記係合部25b、24bが密着嵌合状態で、隣り合う溝の位置より内側に入り込んだ位置に形成したことにより、前記溝25c、24cの中に前記突出部26cが入り込んで、前記係合部25b、24bのクランク軸方向の隙間を形成する方向に変位することにより、該係合部25b、24bの凹凸部の衝突を抑制することができる。
【0031】
また、前記プライマリドライブギヤ24をヘリカルギヤとすることにより、プライマリドライブギヤの駆動時に発生するスラスト方向の力により第2の係合部24bが反シュークラッチフランジ側方向に押されるため、固定状態を安定した固定状態を保持することができるとともに、さらに、前記スラスト方向の力が係合部25b、24bの隙間29を形成する方向に働くので、該係合部間の凹凸部の衝突を防止することができる。
【0032】
なお、本実施形態においては、摩擦保持部材26を、弾性スプリング材としてスプリング鋼材からなる外輪部26bの復元力を利用して係合部25b、24bを密着固定しているが、本発明は、係合部25b、24bを包囲して締め付け固定するものであれば、これに限定されるものではなく、変形例として、前記摩擦保持部材を略中央より円周方向に2分割したものであって、これで係合部を挟み込んでボルト等により締め付け固定するものであっても良い。この場合、ボルト等の締結部材により確実に固定できる。
さらに、本発明のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの結合構造は、上述の図示例や変形例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜4記載のエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤ(プライマリドライブギヤ)の結合構造によれば、溶接結合における歪を発生させることなく、リベットカシメによるスペース及び加工性の問題を解消し、フリクションダンパを使用することなく部品の削減及び組付け性の向上を図ることにより、低コスト、省スペースで高品質の構造を実現するとともに、ドック嵌合における異音(メカニカルノイズ)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造の全体構成を示す断面図、(b)は図1(a)のB−B矢視断面図である。
【図2】(a)は本実施形態に係る摩擦保持部材の構成を示す全体図、(b)は本実施形態に係る係合部の嵌合状態を示す拡大断面図、(c)は前記係合部に摩擦保持部材を取付けた状態を示す拡大断面図である。
【図3】従来のビジネスユース用の自動二輪車の構成を示す全体図である。
【図4】従来のエンジンの駆動伝達装置の構成を示す断面図である。
【図5】従来の溶接嵌合による場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図である。
【図6】従来のリベットカシメによる場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図である。
【図7】(a)は従来のドック嵌合による場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図、(b)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ニュートラル状態を示す状態図、(c)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ハウジングの回転がギヤの回転よりも速い場合の嵌合状態を示す状態図、(d)は図7(a)のA−A矢視断面図であって、ギヤの回転がハウジングの回転よりも速い場合の嵌合状態を示す状態図である。
【図8】従来のフリクションダンパを用いた場合のシュークラッチハウジングとプライマリドライブギヤの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クランクケース
2a クラッチカバー
2b クラッチ室
2c 合せ面
4 クランク軸
22 シュークラッチ
23 スタータクラッチ
24 プライマリドライブギヤ
24a ボス部
24b 係合部
24c 溝
25 シュークラッチハウジング
25a ボス部
25b 係合部
25c 溝
26 摩擦保持部材
26a 保持部
26b 外輪部
26c 突出部
26d 切り欠き部
27 カウンタシャフト
28 変速クラッチ
29 隙間
30 プライマリドリブンギヤ
100 自動二輪車
Claims (1)
- クランク軸からの駆動力を伝達するための自動遠心クラッチと変速クラッチを備え、前記自動遠心クラッチのクラッチハウジングに連結された駆動ギヤを介して前記変速クラッチに駆動力を伝達するようにしたエンジンの駆動伝達構造において、
前記駆動ギヤをヘリカルギヤで構成するとともに、前記自動遠心クラッチのクラッチハウジングと駆動ギヤは、それぞれのボス部によりクランク軸上に回転自在に支持されており、これらボス部の対向する端部にはクランク軸方向に凹凸部が形成された係合部を備えて凹凸嵌合で結合し、
前記凹凸嵌合した係合部を包囲して外周に密着固定する弾性スプリング材からなる外輪部の内側に摩擦弾性体を備えた摩擦保持部材を設け、この摩擦保持部材で各係合部同士の位置関係を保持するとともに、前記摩擦保持部材の摩擦弾性体に横断面が凸状断面形状の突出部を形成する一方、
前記駆動ギヤと前記クラッチハウジングの係合部の外周部には、前記摩擦弾性体の突出部と略同形状の溝が円周方向にわたって設けられ、
この溝は、凹凸嵌合された係合部の凹部と凸部においてクランク軸方向に所定の隙間が形成されるように位置付けされたことを特徴とするエンジンのクラッチハウジングと駆動ギヤの結合構造。
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