JP3961716B2 - リクライニング機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートのシートバック(背もたれ)を傾動可能とするリクライニング機構に関し、更に詳しくは、シートの両側に設けられるリクライニング機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1) 第一の従来例を説明する図10及び図11を用いて説明する。図10は第一の従来のリクライニング機構の正面図、図11は図10の切断線A-Aにおけ拡大断面図である。
【0003】
図において、シートクッション側のロアアーム1に形成された穴3には、操作ハンドル2が取り付けられたヒンジピン4が回転可能に係合している。
シートバック側のラチェット7には、ヒンジピン4が挿通する穴9が形成されている。ラチェット7には、穴9を中心とする内歯11が形成されている。
【0004】
ロアアーム1の外縁部は、ラチェット7を回転可能に保持するための段差加工部1aが形成されている。
ロアアーム1とラチェット7との間には、ラチェット7の内歯11に噛合可能な外歯13が形成されたポール15が三つ設けられている。
【0005】
ヒンジピン5には、各ポール15の背部を押して各ポール15の外歯13をラチェット7の内歯11に噛合させるカム17が固着されている。
更に、内端部がラチェット7に係止され、外端部がカム17に係止されたスプリング19の付勢力により、カム17を介してポール15は外歯13がラチェット7の内歯11に噛合する方向に付勢されている。
【0006】
又、カム17には、ポール15に形成された突起15aが係合し、各ポール15を案内するガイド板21が固着されている。
ヒンジピン4には、カム17の動きを他方のリクライニング機構に伝達するコネクティングパイプ23が固着されている。
【0007】
尚、本従来例で、ロアアーム1の外縁部にラチェット7を回転可能に保持する段差加工部1aを形成した理由は、回転するヒンジピン4でラチェット7を回転可能に保持するのは、構造上問題があるからである。
【0008】
上記構成のリクライニング機構の動作を説明する。
通常は、スプリング19の付勢力により、カム17が各ポール15の背部を押し、各ポール15の外歯13がラチェット7の内歯11に噛合し(ロック状態)、ラチェット(シートバック)7の回転が禁止されている。
【0009】
操作ハンドル2を用いて、ヒンジピン4を回転させると、スプリング19の付勢力に抗してカム17及びガイド板21が回転する。
すると、カム17のポール15の背部への押圧が解除されると共に、ポール15がガイド板21に案内され、ポール15の外歯13とラチェット7の内歯11との噛合が解除され(アンロック状態)、ラチェット(シートバック)7は、傾動可能となる。
【0010】
又、カム17の動きは、ヒンジピン4に固着されたコネクティングパイプ23を介して、他方のリクライニング機構のカム17へ伝達される。
(2) 第二の従来例を説明する図12及び図13を用いて説明する。図12は第二の従来のリクライニング機構の正面図、図13は図12の切断線B-Bにおけ拡大断面図である。
【0011】
図において、シートクッション側のロアアーム51には、操作ハンドル52が回転可能に取り付けられたヒンジピン55が固着されている。
シートバック側のラチェット57には、ヒンジピン55が挿通する穴59が形成されている。ラチェット57には、穴59を中心とする内歯61が形成されている。
【0012】
ロアアーム51とラチェット57との間には、ラチェット57の内歯61に噛合可能な外歯63が形成されたポール65が設けられている。
ヒンジピン55には、ポール65の背部を押してポール65の外歯63をラチェット57の内歯61に噛合させるカム67が回転可能に取り付けられている。
【0013】
ヒンジピン55には、他方のリクライニング機構にカム67の動きを伝達するコネクティングパイプ73が回転可能に設けられている。
又、ロアアーム51には、ポール65をラチェット57の内歯61に対して接近/離脱する方向に案内するガイド70が設けられている。
【0014】
カム67には、ピン71が取り付けられ、ピン71の一方の端部側は、ラチェット57に形成された円弧状の長穴75を挿通し操作ハンドル52に接続されている。
【0015】
一端部がロアアーム51に、他端部が操作ハンドル52に係止されたスプリング69の付勢力により、操作ハンドル52,カム67を介してポール65は外歯63がラチェット57の内歯61に噛合する方向に付勢されている。
【0016】
カム67に取り付けられたピン71の他方の端部側は、ロアアーム51に形成された円弧状の長穴77を介して、コネクティングパイプ73に固着されたアーム79に取り付けられている。
【0017】
又、ラチェット57には、シートバックのフレームであるバックフレーム81が固着されている。
上記構成のリクライニング機構の動作を説明する。
【0018】
通常は、スプリング69の付勢力により、カム67がポール65の背部を押し、ポール65の外歯63がラチェット57の内歯61に噛合し(ロック状態)、ラチェット(シートバック)67の回転が禁止されている。
【0019】
操作ハンドル52をスプリング69の付勢力に抗して上方に操作すると、ピン71を介してカム67が回転する。
すると、カム67のポール65の背部への押圧が解除されると共に、ポール65がガイド70に案内され、ポール65の外歯63とラチェット57の内歯61との噛合が解除され(アンロック状態)、ラチェット(シートバック)57は、傾動可能となる。
【0020】
又、カム67の動きは、ピン71,アーム79を介してヒンジピン4に回転可能に設けられたコネクティングパイプ73を介して、他方のリクライニング機構のカム67へ伝達される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のリクライニング機構には、以下のような課題がある。
(第一の従来例)
ラチェット7を回転可能に保持するために、ロアアーム1の外縁部に形成された段差加工部1aは、塑性加工により形成され、ダレやヒケ等が発生し、精度が良くない。
【0022】
又、ラチェット7は打ち抜き加工により形成され、段差加工部1aと対向する面には、バリ等が発生する。
よって、ラチェット7と、ロアアーム1の段差加工部1aとの間には、クリアランスを取る必要があり、そのクリアランスがラチェット7のセンタずれとなり、アンロック状態からロック状態に移行する際のロックフィーリングが悪くなる。
【0023】
(第二の従来例)
第一の従来例では、カム17がヒンジピン4に固着され、更に、ヒンジピン4が回転可能であったので、操作ハンドル2の動きをヒンジピン4を用いてカム17へ伝達でき、又、カム17の動きを他方のリクライニング機構のカムへ伝達するには、ヒンジピン4に固着されたコネクティングパイプ23を介してできた。
【0024】
しかし、第二の従来例では、ヒンジピン55がロアアーム51に固着されているので、操作ハンドル52の動きをカム67へ伝達するため、又、カム67の動きを他方のリクライニング機構のカムへ伝達するために、ロアアーム51,ラチェット57にそれぞれ円弧状の長穴77,75を形成し、これら長穴77,75を挿通するピン71を用いて伝達を行なっている。
【0025】
一方、ラチェット57に、シートバックのフレームであるバックフレーム81が固着される。
ラチェット57とバックフレーム81とは、車両衝突時の衝撃に耐えうるように強固に結合することが必要である。
【0026】
ラチェット57に長穴75を設けると、両者の結合面積が狭くなり、十分な結合強度を確保するには、ラチェット57を大きくしたり、結合手法を代えたりしなければならず、材料面でコストがかかり、又、リクライニング機構の重さも重くなる問題点がある。
【0027】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、ロックフィーリングが良好で、低コストで、軽量化が図れるリクライニング機構を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、シートクッション側に設けられたロアアームと、シートバックのバックフレームが接続され、中央部に穴が開設され、該穴を中心とした円周上に内歯が形成されたラチェットと、前記ロアアームに設けられ、同一円周上から前記ラチェット方向に延出し、前記ラチェットの穴に係合して、前記ラチェットを回転可能に支持する複数の棒部を有するヒンジピンと、前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ラチェットの内歯に噛合可能な外歯が形成されたポールと、前記ポールを前記ラチェットの内歯に対して接近/離脱する方向に案内するガイドと、前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ヒンジピンの棒部が挿通する円弧状のガイド穴が形成され、前記ポールの背面を押すことにより、前記ポールの外歯が前記ラチェットの内歯に係合する方向に前記ポールを移動させるカムと、前記複数の棒部間に位置する前記カムの回転中心に接続され、前記ラチェットの穴を介して前記カムの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材と、前記ポールの背面を押す方向に前記カムを付勢する付勢手段と、回転中心が前記ヒンジピンの軸と一致するように前記ロアアームに回転可能に設けられ、前記ロアアームに形成されたヒンジピンを中心とする円弧状の長穴を介して前記カムと接続された操作ハンドルと、からなることを特徴とするリクライニング機構である。
【0029】
通常は、付勢手段の付勢力により、カムがポールの背部を押し、ポールの外歯がラチェットの内歯に噛合し(ロック状態)、ラチェット(シートバック)の回転が禁止されている。
【0030】
操作ハンドルを操作すると、付勢手段の付勢力に抗してカムが回転する。
尚、このカムの動きは、伝達部材を介して他方のリクライニング機構にも伝達される。
【0031】
すると、カムのポールの背部への押圧が解除されると共に、ポールがガイドに案内され、ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合が解除され(アンロック状態)、ラチェット(シートバック)は、傾動可能となる。
【0032】
シートバックを所望の位置まで傾動させ、操作ハンドルへの操作力を解除すると、付勢手段の付勢力により、カムがポールの背面を押し、ポールの外歯がラチェットの内歯に再び噛合し、ラチェット(シートバック)の回転が禁止される状態に復帰する。
【0033】
ラチェットは、ラチェットの穴に係合するヒンジピンの複数の棒部により回転可能に支持されているので、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0034】
カムにカムの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材を直接接続することにより、ラチェットに円弧状の穴を設ける必要がなくなり、ラチェットとバックフレームとの結合面積が広くなり、両者の十分な結合強度を確保できる。
【0035】
よって、低コストで、軽量化が図れる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の前記ヒンジピンと、前記ロアアームとを一体的に形成したことを特徴とするリクライニング機構である。
【0036】
ヒンジピンと、ロアアームとを一体的に形成したことにより、組み付け費低減によるコストダウンが図れる。
又、ヒンジピンの軸ずれがなくなり、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0037】
又、鍛造プレス法で両者を一体的に形成することにより、棒部の強度を著しく向上させることが可能である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の前記ロアアームに前記ラチェットの外縁部と空間を介して対向し、前記ラチェットの外縁部が当接可能な突起を複数形成したことを特徴とするリクライニング機構である。
【0038】
車両の衝突などで、ヒンジピンの棒部が変形し、ラチェットが大きく移動し、ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合が解除されるのを防止できる。
請求項4記載の発明は、シートクッション側に設けられたロアアームと、シートバックのバックフレームが接続され、中央部に穴が開設され、該穴を中心とした円周上に内歯が形成されたラチェットと、前記ロアアームに設けられ、同一円周上から前記ラチェット方向に延出し、前記ラチェットの穴に係合して、前記ラチェットを回転可能に支持する複数の棒部と、前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ラチェットの内歯に噛合可能な外歯が形成されたポールと、前記ポールを前記ラチェットの内歯に対して接近/離脱する方向に案内するガイドと、前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ポールの背面を押すことにより、前記ポールの外歯が前記ラチェットの内歯に係合する方向に前記ポールを移動させるカムと、前記ポールの背面を押す方向に前記カムを付勢する付勢手段と、前記ロアアームに回転可能に設けられ、前記カムを駆動する操作ハンドルと、前記複数の棒部間に位置する前記ラチェットの穴を挿通するように設けられ、前記操作ハンドルの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材と、からなることを特徴とするリクライニング機構である。
ラチェットは、ラチェットの穴に係合するロアアームの複数の棒部により回転可能に支持されているので、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
本実施の形態例のリクライニング機構の外観を図2を用いて説明する。
【0040】
シートのシートクッション(座面)側に設けられるロアアーム101には、ヒンジピン105が固着されている。
このヒンジピン105に操作ハンドル102が回転可能に取り付けられている。
【0041】
ここからは、図2からロアアームを取り除いた図である図1を中心に、図2の切断線C-Cにおける断面図である図3、図2の切断線D-Dにおける断面図である図4、図2の切断線E-Eにおける断面図である図5、図2の切断線F-Fにおける断面図である図6、主要部の分解斜視図である図7、ラチェット側から見た斜視図である図8も参照しながら説明する。
【0042】
シートバック側のラチェット107には、中央部に穴109が開設され、この穴109を中心とする円周の全域にわたって内歯111が形成されている。
ロアアーム101とラチェット107との間には、ラチェット107の内歯111に噛合可能な外歯113が形成された二つのポール115が設けられている。
【0043】
ヒンジピン105には、ポール115の背部を押してポール115の外歯113をラチェット107の内歯111に噛合させるカム117が回転可能に設けられている。
【0044】
カム117には、二本のピン121が取り付けられ、ピン121の一方の端部側は、ロアアーム101に形成され、ヒンジピン105を中心とする円弧状の長穴123(図2及び図4参照)を介して外部に突出し、操作ハンドル102に取り付けられている。
【0045】
従って、操作ハンドル102の回転は、カム117に伝達されるようになっている。
更に、ピン121の他方の端部は、カム117とラチェット107との間に設けられ、ヒンジピン105に回転可能に取り付けられたガイド板131に取り付けられている(図4参照)。
【0046】
従って、カム117とガイド板131とは、一体となって回転する。ロアアーム101には、各ポール115の両側に位置し、ポール115をラチェット107の内歯111に対して接近/離脱する方向に案内するガイド部141が形成されている(図1,4参照)。
【0047】
又、ポール115のガイド板131と対向する面には、ガイド板131に形成されたガイド溝133に係合する突起116が形成されている(図1、図3参照)。
ガイド溝133の形状は、ガイド板131が回転することにより、ポール115をラチェット107の内歯111に対して接近/離脱させる形状に設定した。
【0048】
内端部がロアアーム101に形成された断面形状が半円状の突起143(図1参照)に係止され、外端部がカム117に形成された切り欠き溝118に係止された付勢手段としてのスプリング119が設けられ、このスプリング119の付勢力により、カム117を介してポール115は外歯113がラチェット107の内歯111に噛合する方向に付勢されている。
【0049】
ヒンジピン105と、ロアアーム101との取り付けは、ヒンジピン105に形成された小判部151(図3参照)がロアアーム101に形成された小判状の穴100(図2参照)に係合することにより、ヒンジピン105の回転が禁止され、又、ヒンジピン105の小判部151に連設された大径部153がロアアーム101の裏面に当接し(図3参照)、ヒンジピン105の小判部151のG部をかしめる(図3参照)ことにより、ヒンジピン105をロアアーム101に固着している。
【0050】
カム117には、ヒンジピン105を中心とする円弧状の長穴120(図7参照)が二つ形成されている。
又、ガイド板131にも、ヒンジピン105を中心とする円弧状の長穴135(図1,3,4参照)が二つ形成されている
ヒンジピン105の大径部153には、同一円周上からラチェット107方向に延出し、カム117に形成された長穴120を挿通し、ラチェット107の穴109に係合して、ラチェット107を回転可能に支持する複数の棒部としての断面形状が円弧状の突出部155(図7参照)が二つ形成されている。
【0051】
又、カム117には、ラチェット107方向に延出する中空の小判状の突出部161(図7参照)が形成され、この突出部161に他方のリクライニング機構にカム117の動きを伝達する伝達部材としてのコネクティングパイプ171(図3参照)が固着される。
【0052】
本実施の形態例では、ロアアーム101にラチェットの107の外縁部と空間を介して対向し、ラチェット107の外縁部が当接可能な突起173(図6,図8参照)を2か所形成した。
【0053】
そして、ロアアーム101とラチェット107とは、ラチェット107から挿入され、図4に示すようにロアアーム101側の複数の切片201を折り曲げる取り付け金具200により、両者は結合されている。
【0054】
又、ラチェット107には、シートバックのフレームであるバックフレーム181が固着されている。
上記構成のリクライニング機構の動作を説明する。
【0055】
通常は、スプリング119の付勢力により、カム117がポール115の背部を押し、ポール115の外歯113がラチェット107の内歯111に噛合し(ロック状態)、ラチェット(シートバック)107の回転が禁止されている。
【0056】
操作ハンドル102を上方に持ち上げると、スプリング119の付勢力に抗してカム117,ガイド板131がヒンジピン105を中心に回転する。
すると、カム117のポール115の背部への押圧が解除されると共に、ポール115がガイド部141及びガイド板131のガイド溝133に案内され、ポール115の外歯113とラチェット107の内歯111との噛合が解除され(アンロック状態)、ラチェット(シートバック)107は、傾動可能となる。
【0057】
又、カム117の動きは、コネクティングパイプ171を介して、他方のリクライニング機構のカムへ伝達される。
シートバックを所望の位置まで傾動させ、操作ハンドル102への操作力を解除すると、スプリング119の付勢力により、カム117がポール105の背面を押し、ポール115の外歯113がラチェット107の内歯111に再び噛合し、ラチェット(シートバック)107の回転が禁止される状態に復帰する。
【0058】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) ラチェット107は、ラチェット107の穴109に係合するヒンジピン105の突出部155により回転可能に支持されているので、ラチェット107のセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0059】
カム117にカム117の動きを他方のリクライニング機構へ伝達するコネクティングパイプ171を直接接続することにより、ラチェット107に円弧状の穴を設ける必要がなくなり、ラチェット107とバックフレーム181との結合面積が広くなり、両者の十分な結合強度を確保できる。
【0060】
よって、低コストで、軽量化が図れる。
(2) ロアアーム101の外縁部にラチェットの外縁部が当接可能な突起173を二か所形成したことにより、車両の衝突などで、ヒンジピン105の突出部155が変形し、ラチェット107が大きく移動し、ポール115の外歯113とラチェット107の内歯111との噛合が解除されるのを防止できる。
【0061】
尚、本発明は上記実施の形態例に限定するものではない。例えば、ロアアーム101とヒンジピン105とを一体的に形成してもよい。すなわち、図9に示すように、ロアアーム101′のラチェット107と対向する面にヒンジピン105の突出部に相当する突出部101a′を形成し、ロアアーム101′の外部に露出する面に、操作ハンドル102を回転可能に支持する突出部101b′を形成してもよい。
【0062】
ヒンジピンと、ロアアームとを一体的に形成したことにより、組み付け費低減によるコストダウンが図れる。
更に、ヒンジピン105のロアアーム101への組み付けによる軸ずれがなくなり、ラチェット107のセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0063】
又、鍛造プレス法で両者を一体的に形成することにより、棒部の強度を著しく向上させることが可能である。
更に、ヒンジピン105に形成する突出部155も断面形状が円弧状のものに限定するものではない。
【0064】
例えば、ヒンジピン105の大径部153の同一円周上に丸棒を180°ピッチで設けても、ラチェット107を回転可能に支持することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、ラチェットは、ラチェットの穴に係合するヒンジピンの複数の棒部により回転可能に支持されているので、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【0066】
カムにカムの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材を直接接続することにより、ラチェットに円弧状の穴を設ける必要がなくなり、ラチェットとバックフレームとの結合面積が広くなり、両者の十分な結合強度を確保できる。
【0067】
よって、低コストで、軽量化が図れる。
請求項2記載の発明によれば、 ヒンジピンと、ロアアームとを一体的に形成したことにより、組み付け費低減によるコストダウンが図れる。
【0068】
又、ヒンジピンの軸ずれがなくなり、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
請求項3記載の発明によれば、ロアアームにラチェットの外縁部と空間を介して対向し、ラチェットの外縁部が当接可能な突起を複数形成したことにより、車両の衝突などで、ヒンジピンの棒部が変形し、ラチェットが大きく移動し、ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合が解除されるのを防止できる。
請求項4記載の発明によれば、ラチェットは、ラチェットの穴に係合するロアアームの複数の棒部により回転可能に支持されているので、ラチェットのセンタずれが少なく、ロックフィーリングが良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例のリクライニング機構の外観を説明する図2からロアアームを取り除いた図である。
【図2】本実施の形態例のリクライニング機構の外観を説明する図である。
【図3】図2の切断線C-Cにおける断面図である。
【図4】図2の切断線D-Dにおける断面図である。
【図5】図2の切断線E-Eにおける断面図である。
【図6】図2の切断線F-Fにおける断面図である。
【図7】主要部の分解斜視図である。
【図8】ラチェット側から見た斜視図である。
【図9】他の実施の形態例を説明する図である。
【図10】第一の従来のリクライニング機構の正面図である。
【図11】図10の切断線A-Aにおけ拡大断面図である。
【図12】第二の従来のリクライニング機構の正面図である。
【図13】図12の切断線B-Bにおけ拡大断面図である。
【符号の説明】
101 ロアアーム
107 ラチェット
109 穴
117 カム
155 突出部(棒部)
171 コネクティングパイプ
Claims (4)
- シートクッション側に設けられたロアアームと、
シートバックのバックフレームが接続され、中央部に穴が開設され、該穴を中心とした円周上に内歯が形成されたラチェットと、
前記ロアアームに設けられ、同一円周上から前記ラチェット方向に延出し、前記ラチェットの穴に係合して、前記ラチェットを回転可能に支持する複数の棒部を有するヒンジピンと、
前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ラチェットの内歯に噛合可能な外歯が形成されたポールと、
前記ポールを前記ラチェットの内歯に対して接近/離脱する方向に案内するガイドと、
前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ヒンジピンの棒部が挿通する円弧状のガイド穴が形成され、前記ポールの背面を押すことにより、前記ポールの外歯が前記ラチェットの内歯に係合する方向に前記ポールを移動させるカムと、
前記複数の棒部間に位置する前記カムの回転中心に接続され、前記ラチェットの穴を介して前記カムの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材と、
前記ポールの背面を押す方向に前記カムを付勢する付勢手段と、
回転中心が前記ヒンジピンの軸と一致するように前記ロアアームに回転可能に設けられ、前記ロアアームに形成されたヒンジピンを中心とする円弧状の長穴を介して前記カムと接続された操作ハンドルと、
からなることを特徴とするリクライニング機構。 - 前記ヒンジピンと、前記ロアアームとを一体的に形成したことを特徴とする請求項1記載のリクライニング機構。
- 前記ロアアームに前記ラチェットの外縁部と空間を介して対向し、前記ラチェットの外縁部が当接可能な突起を複数形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のリクライニング機構。
- シートクッション側に設けられたロアアームと、
シートバックのバックフレームが接続され、中央部に穴が開設され、該穴を中心とした円周上に内歯が形成されたラチェットと、
前記ロアアームに設けられ、同一円周上から前記ラチェット方向に延出し、前記ラチェットの穴に係合して、前記ラチェットを回転可能に支持する複数の棒部と、
前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ラチェットの内歯に噛合可能な外歯が形成されたポールと、
前記ポールを前記ラチェットの内歯に対して接近/離脱する方向に案内するガイドと、
前記ロアアームと前記ラチェットとの間に設けられ、前記ポールの背面を押すことにより、前記ポールの外歯が前記ラチェットの内歯に係合する方向に前記ポールを移動させるカムと、
前記ポールの背面を押す方向に前記カムを付勢する付勢手段と、
前記ロアアームに回転可能に設けられ、前記カムを駆動する操作ハンドルと、
前記複数の棒部間に位置する前記ラチェットの穴を挿通するように設けられ、前記操作ハンドルの動きを他方のリクライニング機構へ伝達する伝達部材と、
からなることを特徴とするリクライニング機構。
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JP10969599A JP3961716B2 (ja) | 1999-04-16 | 1999-04-16 | リクライニング機構 |
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JP10969599A JP3961716B2 (ja) | 1999-04-16 | 1999-04-16 | リクライニング機構 |
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-
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