JP3958147B2 - 電子写真用トナー、それを用いた現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用トナー、それを用いた現像剤及び画像形成方法に関する。特に複写機、プリンター等に用いる二成分現像剤に用いるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真式画像形成方法においては、少なくとも色剤を熱可塑性樹脂中に分散して、粉砕、分級などの工程を経て4〜9μm程度の平均粒径をもつトナーが使用されている。トナーには、必要に応じて極性制御剤や離型剤などが添加され、さらに、トナー表面に流動性向上や帯電制御を目的とした樹脂粒子などの外添剤が添加、混合される。
【0003】
電子写真式画像形成方法では、トナー粒子の極性制御が常に大きな課題である。トナーの帯電は分布があり、状況によっては、意図する極性とは反対の逆帯電トナーが発生することもある。周知のごとく、帯電量の低いトナーが増えるとトナー飛散、地汚れ(地肌かぶり)、等の原因となり、逆帯電トナーは地汚れなどの不良画像の原因となる。帯電量分布をできるだけ狭くしようと、多くの提案がされている。しかし、近年のプリンターの高速化・小型化に伴う様々な要求には応えきれていない。
【0004】
電子写真用現像剤はプリンター内部で保持できる容量が減少し続けている。補給されたトナーは従来以上に早く十分な帯電を得ることを要求される。現像剤容量が少ないために、従来と同じ様な画像をプリントしている場合でもトナーの収支は相対的に増加している。また、機器の高速化がトナーの収支を増加させることはもちろんである。このことにより、現像剤に含まれるトナーの量、いわゆるトナー濃度が不安定になりやすく、さらに、現像剤の場所によるトナー濃度むらが発生しやすくなってきている。トナーが補給される部分のトナー濃度が予想以上に高い場合には、補給されたトナーを帯電するキャリアとの摩擦が起こりにくくなる。そのようなトナー濃度が安定しない状態でも帯電量分布が安定なトナーが望まれている。
従来の提案は世の中に普通に販売されている顔料であり、この範囲では実質的に効果がない。
【0005】
また、顔料を使用してカラートナーを作製した場合、トナーとして適正な帯電量が得られないといった問題があった。この点を改善するものとして例えば、特開平6−167831号公報では、着色剤を、イオン交換水にて抽出した抽出液の比電導度が150μs/cm以下である有機顔料としたトナーが開示されている。また、特開平8−314180号公報では、フラッシュベースを洗浄排水の比電導度が350μS/cm以下となるまで回分洗浄するカラートナーの製造方法が開示されている。しかし、未だ十分満足する結果は得られていない。
【0006】
トナーの帯電、流動性などは添加剤によっても調整される。しかし、高温環境で長時間放置されるなどの場合、添加剤がトナー表面から内部に埋没してしまい、その機能が発揮できなくなることがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真方式の画像形成方法を用いた場合に、特に印刷速度の速い現像装置においてもトナー飛散や地肌汚れの生じにくいトナー及び現像剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は特に印刷速度の速い現像装置においてもトナー飛散や地肌汚れの生じにくいトナー及び現像剤を提供するためトナー特性を検討した結果、以下の構成を有するトナーを用いることでトナー飛散を改善できることを見いだした。すなわち本発明は以下の(1)〜(8)からなる。
【0009】
(1)トナーとキャリアとからなる現像剤であって、該トナーが、結着樹脂中に少なくとも色剤と極性制御剤とを分散してなり、X線光電子分光装置(XPS)を用いて測定した、トナー表面積に占める極性制御剤分子の面積が5%以上であり、該キャリアに対する該トナーの帯電極性が、該キャリアに対する色剤の帯電極性と同じ極性で帯電するトナーであることを特徴とするトナーとキャリアとからなる現像剤。
(2)前記色剤の水溶出成分の比電導度が60μS/cm以下であることを特徴とする上記(1)記載の現像剤。
(3)XPSを用いて測定した、トナー表面積に占める色剤分子の面積が7%以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の現像剤。
(4)前記色剤に含まれるリン酸塩、硫酸塩の合計の含有率が200μg/g以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の現像剤。
(5)さらに疎水性シリカをトナー粒子表面に表面被覆率20%以上で添加したことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の現像剤。
(6)さらにステアリン酸亜鉛微粒子又は酸化チタン微粒子を添加、混合したことを特徴とする上記(5)記載の現像剤。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の現像剤を使用する二成分画像形成方法。
(8)トナーとしてマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーを用い、それぞれのトナーとキャリアとからなる現像剤が上記(1)〜(6)のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とする二成分画像形成方法。
(9)トナーとキャリアとからなる現像剤の製造方法であって、該トナーが、結着樹脂中に少なくとも色剤と極性制御剤とを分散してなり、X線光電子分光装置(XPS)を用いて測定した、トナー表面積に占める極性制御剤分子の面積が5%以上であり、該キャリアに対する該トナーの帯電極性が、該キャリアに対する色剤の帯電極性と同じ極性で帯電するトナーである色剤とトナーとキャリアの組合せを用いることを特徴とする現像剤の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
色剤が異なると同じ量の極性制御剤を添加してトナーを製造してもトナーの表面に現れる極性制御剤の表面露出率が変わることがある。トナー表面積に占める極性制御剤の面積の割合(表面露出率)は高いほど、帯電は安定する。極性制御剤が表面に少ない場合には、弱帯電トナーが発生しやすくなる。本発明のトナーにおいては、トナー表面に占める極性制御剤の面積は5%以上とする。
【0011】
キャリア表面に対する色剤の帯電特性が結着樹脂や極性制御剤と必ずしも同等ではないために、色剤がキャリアに先に接触すると帯電不良を生じやすくなる。そのために帯電量分布が広くなり、弱帯電トナーや逆帯電トナーが発生し、トナー飛散や地肌汚れの原因となると考えられる。したがって、トナー表面積に占める色剤の表面露出率は低いほど帯電は安定する。本発明においてトナーの色剤の表面露出率は7%以下であることが好ましい。
【0012】
色剤及び極性制御剤の表面露出率はX線光電子分光装置(XPS)により測定することができる。この装置は材料の最表面に現れる原子の濃度を測定する。測定された原子濃度から色剤分子又は極性制御剤分子特有の原子の濃度を抽出し、表面全体に占める色剤分子又は極性制御剤分子の比率を求め、表面露出率とする。
本件明細書では、トナー表面積に占める色剤及び極性制御剤の面積を色材分子及び極性制御剤分子の面積ともいう。
【0013】
また、水に可溶なイオン性物質が溶融混練の時点で樹脂中に拡散したり極性制御剤に付着するなどしてトナーの帯電を阻害していると考えられる。したがって、色剤の水溶出成分の比電導度が低いほど帯電は安定になる。本発明のトナーにおいては、色剤の水溶出成分の比電導度は60μS/cm以下が好ましい。
【0014】
比電導度の測定法は、次のようにして行われる。試料の色剤ペーストの乾燥物5gを化学秤(0.01gの桁まで測定可能)で、300mlビーカーに量り取り、エタノール1.0mlを加えて良く湿潤させた後、イオン交換水(比電導度5μS/cm以下、PH7.0±1.0)200mlを加え良く振り混ぜる。次に、5分間煮沸し、煮沸されたイオン交換水を常温になるまで水冷し、250mlフラスコに洗い移し、イオン交換水を標線まで加え良く振り混ぜる。次に、濾紙(東洋濾紙No.5C)を用いて濾過する。濾液の最初の約30mlは捨て、残りをビーカーに受け、得られた25.0±0.5mlについて、電導度計(CONDUCT−METER MODEL CM−2)を用いて測定する。
【0015】
色剤の比電導度を増加させる成分の内でも特にリン酸塩又は硫酸鉛塩の濃度が高いと帯電量は不安定になりやすい。本発明のトナーにおいては、色剤に含まれるリン酸塩、硫酸塩の含有量が200μg/g以下であることが好ましい。
これらのイオン濃度はイオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0016】
本発明では、トナー表面に疎水性シリカをトナー粒子の表面に表面被覆率20%以上で添加するとさらにトナー飛散を抑制できることを見いだした。十分に多くの疎水性シリカを被覆することにより、現像剤中で部分的にトナー濃度が非常に高くなった場合にでも、キャリア表面におけるトナー粒子の交換を促し、帯電立ち上がりを促進すると考えられる。
【0017】
さらに、疎水性シリカを被覆したトナーにステアリン酸亜鉛又は酸化チタン微粒子を添加するとトナーの流動性が向上し、現像剤の流動性も改善され、トナー濃度が高くなった場合にも補給されたトナーの現像剤中への分散性を改良し、帯電立ち上がりを改善すると考えられる。
【0018】
本発明者らは色剤を高濃度に分散したマスターバッチをトナーと同様に粉砕、分級しその帯電特性を評価し、色剤の帯電特性を把握した。その結果、マスターバッチの極性とトナーの極性が同極性であるとトナー飛散、地汚れが非常に少なくなることをつきとめた。
トナーの帯電は通常、極性制御剤が主体となるが、非常に早く帯電を立ち上げることが求められる場合には、使用される色剤なども、トナーと極性が変わらないように色剤やキャリアを選択する必要がある。
【0019】
以下に本発明のトナーについてさらに詳しく説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂に色剤、極性制御剤、及び、その他必要に応じて、離型剤等の他の材料を含有させた母体粒子に、さらに、添加剤等を外添させてなる。
【0020】
トナーに使用される結着樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブチラール、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらは、単独あるいは2種類以上組合わせて用いることができ、特に、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂が好ましい。
【0021】
ここで、ポリエステル樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、下記▲1▼▲2▼▲3▼とを反応させてなるポリエステル樹脂であることが好ましい。
▲1▼2価のカルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物のいずれかから選ばれる少なくとも一種
▲2▼下記一般式(I)で示されるジオール成分
【0022】
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のアルキレン基であり、またx、yは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、x+y=2〜16である。)
▲3▼3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物、及び、3価以上の多価アルコールのいずれかから選ばれる少なくとも一種
【0023】
ここで、▲1▼の2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル、及び無水フタル酸、無水マレイン酸等があり、特にテレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのジメチルエステルが耐ブロッキング性及びコストの点で好ましい。これらの2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物はトナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響する。すなわち、縮合度にもよるが、芳香族系のテレフタル酸、イソフタル酸等を多く用いると耐ブロッキング性は向上するが、定着性が低下する。逆に、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸等を多く用いると定着性は向上するが、耐ブロッキング性が低下する。従って、他のモノマー組成や比率、縮合度に合わせてこれらの2価カルボン酸類が適宜選定され、単独又は組合わせて使用される。
【0024】
▲2▼の前記一般式(I)で示されるジオール成分の一例としては、ポリオキシプロピレン−(n)−ポリオキシエチレン−(n′)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられるが、特に、2.1≦n≦2.5であるポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2.0≦n≦2.5であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。このようなジオール成分は、ガラス転移温度を向上させ、反応を制御し易くするという利点がある。なお、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールを使用することも可能である。
【0025】
▲3▼の3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフトレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル等が挙げられる。
【0026】
又、▲3▼の3価以上の多価アルコールの一例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0027】
ここで、3価以上の多価単量体の配合割合は、単量体組成物全体の1〜30モル%程度が適当である。1モル%未満の時には、トナーの耐オフセット性が低下し、また、耐久性も悪化しやすい。一方、30モル%を超えると、トナーの定着性が悪化しやすい。
これらの3価以上の多価単量体のうち、特にベンゼントリカルボン酸、これらの酸の無水物又はエステル等のベンゼントリカルボン酸類が好ましい。すなわち、ベンゼントリカルボン酸類を用いることにより、定着性と耐オフセット性の両立を図ることができる。
【0028】
又、ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、▲1▼エポキシ樹脂と、▲2▼2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、▲3▼エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、▲4▼エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオール樹脂を用いることが好ましい。
【0029】
ここで、▲1▼のエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。特に、エポキシ樹脂が安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに低分子量成分が20〜50重量%、高分子量成分が50〜80重量%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり、分子量が360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり、分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
【0030】
又、▲2▼の化合物としての、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、以下のものが例示される。即ち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリン等でグリシジル化して用いてもよい。特に下記(II)式で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【0031】
【化2】
(式中、Rは−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−又は−CH2−CH2−CH2−基であり、またn、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
【0032】
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40重量%含まれていることが好ましい。ここで量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。
【0033】
又、▲3▼のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0034】
又、▲4▼のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノール類としてはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸が例示される。
【0035】
また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなるため、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分が5%以下)であることが好ましい。
【0036】
また、これらの結着樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のいずれも用いることが出来る。
【0037】
次に、本発明のトナーに用いられる色剤について説明する。本発明のトナーに用いられる色剤としては、従来公知の染料及び顔料が使用できる。
黄色系色剤としては、例えば、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
【0038】
赤色系色剤としては、例えば、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
【0039】
青色系色剤としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
【0040】
黒色系色剤としては、例えば、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
【0041】
その他の色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
【0042】
これらの色剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、色剤の水溶出成分の比電導度が60μS/cm以下となるものが好ましい。含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部であり、XPSを用いて測定したトナー表面積に占める色剤の面積が7%以下であることが好ましい。
【0043】
又、本発明に用いられるトナーには極性制御剤を添加し、さらに必要に応じて、離型剤等の他の材料を添加することが出来る。
ここで、極性制御剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン染料、含クロム錯体、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらはトナー粒子の極性により使い分ける。特に、カラートナーの場合、トナーの色調に影響を与えない無色又は淡色のものが好ましく、例えば、サリチル酸金属塩又はサリチル酸誘導体の金属塩(ボントロンE84、オリエント社製)等が挙げられる。
これらの極性制御剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.5〜8重量部、好ましくは1〜5重量部であり、トナー表面積に占める極性制御剤の面積が5%以上である。
【0044】
また、定着時における定着部材からのトナーの離型性を向上させ、またトナーの定着性を向上させるために、離型剤をトナー中に含有させることも可能である。
ここで、離型剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックス等が挙げられる。
これらの離型剤は、単独あるいは2種類以上組合わせて用いることができるが、特にカルナウバワックスを使用することにより良好な離型性を得ることができる。
又、離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜15重量部、好ましくは、2〜10重量部である。1重量部未満ではオフセット防止効果等が不十分であり、15重量部を超えると転写性、耐久性等が低下する。
【0045】
更に、本発明に用いられるトナーは、磁性体を含有させ、磁性トナーとして用いることもできる。
具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが好ましく、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。
【0046】
次に、本発明に用いられるトナーの製造例の一例を以下に述べる。
▲1▼前述した結着樹脂、色剤、極性制御剤、及び必要に応じて離型剤、磁性体等をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分に混合する。
▲2▼バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料を十分に混練する。
▲3▼混練物を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級し、母体粒子を得る。
【0047】
又、その他の製造法として、重合法、カプセル法等を用いることも可能である。これらの製造法の概略を以下に述べる。
(重合法)
▲1▼重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤、色剤等を水性分散媒中で造粒する。
▲2▼造粒されたモノマー組成物粒子を適当な粒子径に分級する。
▲3▼上記分級により得た規定内粒径のモノマー組成物粒子を重合させる。
▲4▼適当な処理をして分散剤を取り除いた後、上記により得た重合生成物をろ過、水洗、乾燥して母体粒子を得る。
【0048】
(カプセル法)
▲1▼樹脂、必要に応じて色剤等を混練機等で混練し、溶融状態のトナー芯材を得る。
▲2▼トナー芯材を水中に入れて強く撹拌し、微粒子状の芯材を作製する。
▲3▼シェル材溶液中に上記芯材微粒子を入れ、撹拌しながら、貧溶媒を滴下し、芯材表面をシェル材で覆うことによりカプセル化する。
▲4▼上記により得たカプセルをろ過後、乾燥して母体粒子を得る。
【0049】
ついで、該母体粒子と添加剤をヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の混合機により十分混合し、必要に応じて、150μm程度以下の目開きの篩を通過させ、凝集物や粗大粒子等の除去を行う。
【0050】
ここで、添加剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、Si、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられ、特にSi、Ti、Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適に用いられる。
【0051】
また、このときの添加剤の添加量は、母体粒子100重量部に対して、0.6〜4.0重量部であることが好ましく、特に好ましくは、1.0〜3.6重量部である。
添加剤の添加量が、0.6重量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、また、転写性や耐熱保存性も不十分となり、また、地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。また4.0重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による感光体等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレードや感光体等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。
【0052】
ここで、添加剤の含有量の測定には種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求めることができる。
【0053】
さらに、添加剤は、必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。
ここで、表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0054】
又、処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を浸積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、本発明においては、いずれの方法も好適に用いることができる。
【0055】
さらに、母体粒子に添加される添加剤の粒径は、流動性付与等の点から、平均一次粒子径で0.002〜0.2μmであることが好ましく、特に好ましくは、0.005〜0.05μmである。
平均一次粒子径が0.002μmより小さい添加剤は、母体粒子表面に添加剤が埋め込まれやすくなるため、凝集を生じやすく、又、流動性も十分に得られない。さらに、感光体等へのフィルミングも発生しやすくなり、これらの傾向は特に高温高湿下において顕著である。加えて、平均一次粒子径が0.002μmより小さいと、どうしても添加剤同士の凝集が生じやすくなるため、これによっても、十分な流動性が得られにくくなる。
又、平均一次粒子径が0.2μmより大きい添加剤は、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、地汚れやトナー飛散の原因になりやすい。又、平均一次粒子径が0.1μmより大きい添加剤は、感光体表面を傷つけやすく、フィルミング等の原因にもなりやすい。
なお、添加剤の粒径は、透過型電子顕微鏡により測定して求めることが出来る。
【0056】
本発明に用いられるトナーには、前記の添加剤の他に、さらに他の添加剤を添加させることもできる。このような添加剤としては、例えば、滑剤として、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛及びポリ弗化ビニリデン等が、研磨剤として、酸化セリウム、炭化ケイ素及びチタン酸ストロンチウム等が、導電性付与材として、酸化亜鉛、酸化アンチモン及び酸化スズ等が、それぞれ挙げられる。
【0057】
また、本発明に用いられるトナーの粒径は、重量平均径で4〜9μmであることが好ましく、特に好ましくは、5〜8μmである。
ここで、4μmよりも小粒径の場合には、現像時に地汚れやトナー飛散等が生じたり、流動性を悪化させトナーの補給やクリーニング性等を阻害する場合がある。また、8μmよりも大粒径の場合には、画像中のチリや、解像性の悪化等が問題となる場合があり、特に、カラー画像の場合においては、その影響が大きい。
【0058】
本発明に用いられるトナーは、一成分トナー及び二成分トナーの双方に適用可能である。二成分トナーの場合にはキャリアと混合されて二成分現像剤として使用される。
ここで、キャリアとしては、従来公知のものが使用でき、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、及び、ガラスビーズ等が挙げられ、特に、これらの表面を樹脂等で被覆することが好ましい。
【0059】
この場合、使用される樹脂としては、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
又、この樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリアの表面に噴霧法、浸漬法等の手段で樹脂を塗布すればよい。
なお、樹脂の使用量としては、通常キャリア100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、樹脂の膜厚としては、0.02〜2μmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは、0.1〜0.6μmであり、膜厚が厚いとキャリア及び現像剤の流動性が低下する傾向にあり、膜厚が薄いと経時での膜削れ等の影響を受けやすい傾向にある。
【0060】
ここで、これらのキャリアの平均粒径は通常10〜100μm、好ましくは30〜60μmである。
さらに、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対しトナー0.5〜7.0重量部程度が適当である。
【0061】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部を表わす。
【0062】
製造例1〜4、及び比較製造例1〜2
〈結着樹脂〉
ポリエステル樹脂(テレフタル酸、フマル酸、ポリオキシプロピレン−(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメリット酸か
ら合成されたポリエステル樹脂、Tg:62℃、軟化点:106℃)
100部
〈色材〉
イエロートナー(1−Y)用顔料
(C.I.Pigment Yellow 17) 7.0部
マゼンタトナー(1−M)用顔料
(C.I.Pigment Red 122) 7.0部
シアントナー(1−C)用顔料
(C.I.Pigment Blue 15:3) 3.5部
ブラックトナー(1−K)用顔料
(C.I.Pigment Black 7) 6.0部
〈極性制御剤〉
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2.5部
〈離型剤〉
カルナウバワックス(融点:85℃) 5部
上記結着剤、色剤、極性制御剤、離型剤を、ヘンシェルミキサーにて混合したのち、110℃に設定した2軸混練機にて溶融混練した。混練物を水冷後、カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、風力分級装置を用いて母体粒子1−Y、1−M、1−C、1−Kを得た。
ここで、マゼンタトナー(1−M)について、2軸混練機の混練時間を標準混練時間の0.8倍、1.5倍にしたトナーも製造した(1−M−0.8、1−M−1.5)。
【0063】
製造例5
比較製造例1のマゼンタトナーに使用する顔料をあらかじめイオン交換水で2度洗浄し、十分に脱水、乾燥させた以外は比較製造例1と同様の方法でトナーを製造した。
【0064】
得られた製造例1〜5、及び比較製造例1〜2のトナーについて、極性制御剤の表面露出率、色剤の表面露出率、色剤の比電導度、色剤中のリン酸塩の含有率、及び色剤中の硫酸塩の含有率を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1〜4、参考例1〜3及び比較例1〜2、
製造例1〜5、及び比較製造例1〜2で得られたトナーについて、以下のように現像剤を作製し、評価した。
また、製造例2及び5で得られたトナー母体粒子(1−C、2−M)に以下のように添加剤を混合してトナーを作製し、以下のように現像剤を作製し評価した。
【0067】
をヘンシェルミキサーにて混合を行い、その後、さらに目開き100μmの篩により風篩を行い、トナー(重量平均径:6.8μm)を得た。
【0068】
ここで、トナーの粒度分布は種々の方法で測定可能であるが、本例においてはコールターマルチサイザーを用いて行なった。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIIe型(コールター社製)を用い、個数分布,体積分布を出力するインターフェイス(日科機社製)及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。さらに、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIe型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定することにより行った。
【0069】
<キャリアの製造>
芯材
Cu−Znフェライト粒子(重量平均径:45μm) 5000部
コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。
さらに、得られたキャリアを電気炉で250℃で2時間焼成を行い、キャリア(膜厚:0.5μm)を得た。
【0070】
上記製造例1〜5、比較製造例1〜2のトナー、又は添加剤を混合したトナー5部と、上記得られたキャリア95部をターブラーミキサーで混合し、現像剤を得た。
マゼンタ顔料を用いたトナーを除いては、キャリアに対するトナーの帯電極性は、キャリアに対する色剤の帯電極性と同じであった。
【0071】
得られた現像剤を用いて、1万枚の印刷を行った。その間の印刷画像の地肌汚れと、1万枚終了後のプリンター内部のトナー飛散程度を評価した。評価には(株)リコー製ipsio8000を用い、トナー濃度6%で使用した。ランクは各々5段階で、ランク1が最も悪く、ランク5が最も良好である。
評価結果を表2に示した。
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷速度の速い現像装置においてもトナー飛散や地肌汚れの生じにくいトナー及び現像剤を得ることができる。
Claims (9)
- トナーとキャリアとからなる現像剤であって、該トナーが、結着樹脂中に少なくとも色剤と極性制御剤とを分散してなり、X線光電子分光装置(XPS)を用いて測定した、トナー表面積に占める極性制御剤分子の面積が5%以上であり、該キャリアに対する該トナーの帯電極性が、該キャリアに対する色剤の帯電極性と同じ極性で帯電するトナーであることを特徴とするトナーとキャリアとからなる現像剤。
- 前記色剤の水溶出成分の比電導度が60μS/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の現像剤。
- XPSを用いて測定した、トナー表面積に占める色剤分子の面積が7%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の現像剤。
- 前記色剤に含まれるリン酸塩、硫酸塩の合計の含有率が200μg/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の現像剤。
- さらに疎水性シリカをトナー粒子表面に表面被覆率20%以上で添加したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の現像剤。
- さらにステアリン酸亜鉛微粒子又は酸化チタン微粒子を添加、混合したことを特徴とする請求項5記載の現像剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の現像剤を使用する二成分画像形成方法。
- トナーとしてマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーを用い、それぞれのトナーとキャリアとからなる現像剤が請求項1〜6のいずれかに記載の現像剤であることを特徴とする二成分画像形成方法。
- トナーとキャリアとからなる現像剤の製造方法であって、該トナーが、結着樹脂中に少なくとも色剤と極性制御剤とを分散してなり、X線光電子分光装置(XPS)を用いて測定した、トナー表面積に占める極性制御剤分子の面積が5%以上であり、該キャリアに対する該トナーの帯電極性が、該キャリアに対する色剤の帯電極性と同じ極性で帯電するトナーである色剤とトナーとキャリアの組合せを用いることを特徴とする現像剤の製造方法。
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