JP3956476B2 - 車両用ヘッドレスト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3人掛け後部座席の中央席に着座する乗員用のシートベルト装置のウエビングをガイドするために用いられる車両用ヘッドレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば後部座席のように3人掛けに構成されている座席においては、そのシートベルト装置は、後部座席の左右両側席に着座する各乗員に対しては3点式に構成されている一方、中央席に着座する乗員に対しては2点式に構成されているのが一般的であった。
【0003】
ところが、上記中央席の乗員用のシートベルト装置を2点式のものから3点式のものにして中央席の乗員に対する安全性を向上させたいという要請があり、上記中央席の3点式シートベルト装置を以下のように構成することが考えられる。
【0004】
すなわち、シートベルト装置のリトラクタを後部座席シートバック後方のルーフに対し取り付け、このリトラクタからウエビングを上記後部座席の中央席位置まで引き出すようにする。また、リトラクタを後部座席の中央席のシートバックの後面に取り付け、このリトラクタからウエビングを上記シートバックの上面を通って前側に引き出すようにする。あるいは、リトラクタをリアサイドウインドウの後側のリアピラー(Dピラー)に取り付け、このリトラクタから引き出したウエビングを上記Dピラーの上方に取り付けたアンカーにより上記後部座席の中央席位置に引き出し方向を変換するようにする。あるいは、リトラクタをリアサイドウインドウの下側のリアフェンダに取り付ける一方、上記リアサイドウインドウの上側のルーフには、上記リアサイドウインドウ上下方向略中央位置まで延びるハンガーを吊り下げるようにして上記リトラクタから引き出したウエビングを上記ハンガーにより後部座席の中央席に引き出し方向を変換するようにする。
【0005】
ところが、上記のリトラクタをルーフに取り付けた場合には、ウエビングがルーフから下方に垂れ下がる状態になるため、後方視界性が悪化するという不都合がある。また、上記のリトラクタをシートバックに取り付けた場合には、例えば上記後部座席が可倒式に構成されていればその倒伏時にはリトラクタが邪魔になるという不都合がある。さらに、上記のハンガーを取り付けた場合には、このハンガーがリアサイドウインドウを遮るため視界性が悪化するとともに、シートベルト装置の不使用時にもルーフから吊り下げられたハンガーが見えてしまうため見栄えが悪くなるという不都合がある。
【0006】
そこで、後部座席の中央席の乗員用の3点式シートベルト装置の構成としては、リトラクタ及びアンカーをDピラーに取り付けることが最適であると考えられ、従来より、リトラクタ及びアンカーを車体右側のDピラーに取り付けた後部座席中央席用3点式シートベルト装置が知られている(例えば、EP532378号公報参照)。このものでは、後部座席中央席のシートバック上面の車幅方向右側位置、つまり上記中央席に着座する乗員の右肩に対応する位置にガイド部材を取り付けるようにしている。そして、リトラクタから引き出したウエビングの引き出し方向をアンカーによって上向きから前方に向くように変換し、さらに、上記ウエビングを上記ガイド部材に通すことによりその引き出し方向を車幅方向に屈曲させて、上記中央席の乗員の右肩から前方に向かって引き出すようにしている。このように、上記ガイド部材によってウエビングの引き出しを案内することにより、上記アンカーから中央席の乗員位置にウエビングを直接引き出した場合に、このウエビングと上記後部座席の右側席に着座する乗員とが干渉してしまうことを防止するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシートベルト装置においては、その使用の際に、いちいちウエビングをガイド部材に通す必要があり、煩雑であるという不都合がある。また、上記ガイド部材を後部座席のシートバックに取り付けているため、見栄えが悪くなるという不都合がある。
【0008】
そこで、図21〜図23に示すように、後部座席中央席用シートベルト装置32を車体右側のDピラー43に取り付け、上記ガイド部材を省略し、このガイド部材の代わりに、ウエビング32aを後部座席1の右側席12に設けられたヘッドレスト20の中央席寄りの側面に当接させることにより上記ウエビング32aの引き出しを案内することが考えられる。このようにすれば、ウエビング32aをガイド部材に通すという煩雑なことを行う必要がなくなり、さらに、見栄えも向上させることができるようになる。
【0009】
ところが、上記ヘッドレストによりウエビングをガイドする場合には、上記ウエビングがヘッドレスト本体の中央席寄りの側面位置において「く」の字状に屈曲した状態になっているため、衝突時に次のような不都合が発生するおそれがある。
【0010】
すなわち、衝突時には、図21〜図23に示すように、乗員に対し慣性力が作用して、この乗員の上体が前方に移動するようになる。そして、この上体の前方移動に伴い上記乗員に装着されたウエビング32aが上記ヘッドレスト本体20bの側面位置で「く」の字状に屈曲して前方に引っ張られ、リトラクタ32bがロックされるようになる。ところが、上記ウエビング32aが前方に引っ張られることに伴い、上記ウエビング32aには上記ヘッドレスト本体20bの側面位置においてこのヘッドレスト本体20bを車幅方向右側に押圧する分力と、上記側面に沿って上方にずり上がろうとする分力とが生じることになる。このため、乗員の慣性力による前方移動が始まると、上記ヘッドレスト本体20bの側面位置におけるウエビング部位が上記側面をずり上がり、そのヘッドレスト本体20bの上面に乗り上がるように移動してしまうおそれがある。このように移動した場合、上記ウエビング32aは、上記ヘッドレスト本体20bのコーナー部において「く」の字状に屈曲して乗員を拘束していた状態から、上記ヘッドレスト本体20bの上面への乗り上げと同時に上記ウエビング32aがより一直線状に変化するため、上記乗員の拘束が一旦開放され、その後、この乗員の上体がさらに前方に移動して再びウエビング32aにより拘束されるようになる。この結果、上記乗員に対し変動荷重が作用してしまうおそれがある(同図の一点鎖線参照)。しかも、上記のように、ウエビング32aがヘッドレスト本体20bの上面に乗り上げてしまうと、後部座席の右側席に着座する乗員に対し上記ウエビング32aが干渉してしまうおそれがあるという不都合もある。
【0011】
一方、例えば、Dピラーに取り付けられたシートベルトアンカーが、図21〜図23に示す場合とは異なり、後部座席のシートバック上面レベルと同レベルか、それよりも下方位置に取り付けられていた場合において、衝突慣性力が中央席の乗員に作用してこの乗員の上体が前方に移動すれば、ウエビングには上記ヘッドレスト本体の側面位置において下方にずり下がろうとする分力が作用して、このウエビング部位がヘッドレスト本体の下面側に潜り込むように移動してしまうおそれがある。このように移動した場合も、上記と同様にヘッドレスト本体の側面位置において「く」の字状に屈曲していたウエビングがより一直線状に変化するため、乗員の拘束が一旦開放されて上記乗員に対し変動荷重が作用してしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、後部座席中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置のウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置において、衝突時に上記ウエビングのガイド面からの乗り上げ側または潜り込み側への移動を阻止することにより、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置が上記中央席の車幅方向一端側後方の車室内の側面に取り付けられており、乗員の頭部を保持するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体下面から下方に突出してこのヘッドレスト本体を上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に対し連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体の上記中央席寄りの部位に上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置を対象とする。
【0014】
そして、請求項1記載の発明は、上記ヘッドレスト本体内部の中央席寄り部分に、上記ヘッドレスト本体の中央側側面に沿って上下方向に拡がる側面部を有すると共に、当該側面部の上端縁に上記中央席側に突出する凸部が形成されたガイド部材を配設し、上記ヘッドレスト本体の表面を、通常時にはヘッドレスト本体の外形状を保持可能な硬さと弾性とを有する表皮材によって形成し、上記ガイド部材を、上記表皮材によって覆われるように止、上記ガイド面を、上記ガイド部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成する。そして、上記シートベルト装置のシートベルトアンカーを、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも上方位置で取り付けて、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングを、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向を変更し、衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に対し乗り上げないよう上記ウエビングの移動を阻止する乗り上げ阻止手段を備える。
【0015】
上記の構成の場合、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて上方に移動しても、乗り上げ阻止手段により、上記ウエビングがガイド面から乗り上げ側への移動を阻止することが可能になる。このため、上記ウエビングがヘッドレスト本体の上側に乗り上げて「く」の字状に屈曲した状態からより一直線状に変化してしまうことがなく、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。また、中央席より車幅方向一端側に隣接する端席に着座する乗員に対し上記ウエビングを干渉させることを防止することが可能になる。
【0016】
また、車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けたシートベルトアンカーの上下方向の取り付け位置を、ガイド面の下端よりも上方位置に設定することによって、乗員に対するウエビングの引き出し角度が好適なものとなり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能が十分に得られる。
【0017】
さらに、衝突時にウエビングが車幅方向の外方へ移動しようとしても、ガイド部材によ ってヘッドレスト本体が凹に撓むことが防止され、ウエビングが仮想的に引き出されることが防止される。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、乗り上げ阻止手段を、ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面の下端から上端に向かい徐々に中央席側に近付くように傾斜した傾斜面により構成するものである。
【0019】
上記の構成の場合、請求項1記載の発明における乗り上げ阻止手段の具体的な態様が特定され、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、上記ウエビングにはヘッドレスト本体の側面位置においてこのヘッドレスト本体を車幅方向一端側に押圧する分力が生じる。そして、上記ウエビングが上方に移動しようとしても、ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面が、その下端から上端に向かい徐々に中央席側に近付くように傾斜した傾斜面により構成されているため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に乗り上げるには、上記分力と逆側である中央席側に移動する必要がある。このため、上記ウエビングが上方へ移動することが規制され、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に乗り上げて「く」の字状に屈曲した状態からより一直線状に変化してしまうことを回避することが可能になる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0020】
ここで、ヘッドレスト本体を、車体前後方向から見て上辺が下辺よりも長い逆台形形状に形成してもよい。
【0021】
上記の構成の場合、衝突慣性力に起因してウエビングがヘッドレスト本体の上面に乗り上げてしまうことを確実に阻止することが可能になり、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。その上、ヘッドレスト本体を逆台形形状に形成することにより、このヘッドレスト本体の見栄えが向上する。
【0022】
請求項記載の発明は、上記乗り上げ阻止手段を、上記ヘッドレスト本体内に配設された心材に対し一体に設けられた突出部材により構成し、上記突出部材を、上記ヘッドレスト本体内において上記心材から中央席側に車幅方向に上記ガイド面の上部位置近傍まで突出するように配設し、上記ヘッドレスト本体を、軟質部材により形成すると共に、当該ヘッドレスト本体の表面を形成する表皮材が、上記突出部材を覆うようにし、上記ガイド面を、上記突出部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成する。そして、上記シートベルト装置のシートベルトアンカーを、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも上方位置で取り付け、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングを、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向を変更し、衝突時には上記ウエビングによって上記ガイド面が凹むことで当該ウエビングと突出部材とが互いに係合する構成とするものである。
【0023】
上記の構成の場合、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、このウエビングはガイド面を車幅方向一端側へ押圧する分力が生じるようになる。このため、軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむようになる。このようになると、心材に取り付けられた突出部材が相対的に中央席側に突出するようになるため、上記ウエビングが上方に移動しても、上記突出部材によりその移動が阻止されるようになる。このため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に乗り上げることを阻止することが可能になり、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0024】
請求項記載の発明は、上記ヘッドレスト本体内部の中央席寄り部分に、上記ヘッドレスト本体の中央側側面に沿って上下方向に拡がる側面部を有すると共に、当該側面部の下端縁に上記中央席側に突出する凸部が形成されたガイド部材を配設し、上記ヘッドレスト本体の表面を、通常時には、ヘッドレスト本体の外形状を保持可能な硬さと弾性とを有する表皮材によって形成し、上記ガイド部材を、上記表皮材によって覆われるようにし、上記ガイド面を、上記ガイド部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成する。そして、上記シートベルト装置のシートベルトアンカーを、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも下方位置で取り付け、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングを、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向を変更し、衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に対し潜り込まないよう上記ウエビングの移動を阻止する潜り込み阻止手段を備える構成とするものである。
【0025】
上記の構成の場合、請求項1記載の発明とは逆に、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて下方に移動しても、潜り込み阻止手段により、ウエビングがヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することが可能になる。このため、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。また、中央席より車幅方向一端側の端席に隣接する端席に着座する乗員に対し上記ウエビングを干渉させることを防止することが可能になる。
【0026】
また、車幅方向一端側後方の車両内の側面に取り付けたシートベルトアンカーの上下方向の取り付け位置としては、ガイド面の下端よりも下方位置に設定すれば、乗員に対するウエビングの引き出し角度が好適なものとなる。
【0027】
さらに、衝突時にウエビングが車幅方向の外方へ移動しようとしても、ガイド部材によってヘッドレスト本体が凹に撓むことが防止され、ウエビングが仮想的に引き出されることが防止される。
【0028】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において潜り込み阻止手段を、上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側部の下端位置において中央席側に突出する突起部により構成するものである。
【0029】
上記の構成の場合、請求項記載の発明における潜り込み阻止手段の具体的な態様が特定され、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて、ガイド面に沿って下方に移動しても、ヘッドレスト本体の中央席側に突出した突起部の上側に当接するようになる。このため、上記ウエビングが上記突起部よりも下方へ移動することが確実に阻止され、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することが可能になる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0030】
潜り込み阻止手段を、ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面の下端から上端に向かい徐々に中央席から離れるように傾斜した傾斜面により構成してもよい。
【0031】
上記の構成の場合、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、このウエビングにはヘッドレスト本体の側面位置においてヘッドレスト本体を車幅方向一端側に押圧する分力が生じる。そして、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面に沿って下方に移動しようとしても、この側面が下端から上端に向かい徐々に中央席から離れるように傾斜した傾斜面により構成されているため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むには、上記分力と逆向きである中央席側に移動する必要がある。このため、上記ウエビングが下方へ移動することが規制され、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することが可能になる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0032】
ここで、ヘッドレスト本体を、車体前後方向から見て台形形状に形成してもよい。
【0033】
上記の構成の場合、衝突慣性力に起因してウエビングがヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを確実に阻止することが可能になり、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる上に、ヘッドレスト本体を台形形状に形成することにより、上記ヘッドレスト本体の見栄えが向上する。
【0034】
請求項記載の発明は、上記潜り込み阻止手段を、上記ヘッドレスト本体内に配設された心材に対し一体に設けられた突出部材により構成し、上記突出部材を、上記ヘッドレスト本体内において上記心材から中央席側に車幅方向に上記ガイド面の下部位置近傍まで突出するように配設し、上記ヘッドレスト本体を、軟質部材により形成すると共に、当該ヘッドレスト本体の表面を形成する表皮材が、上記突出部材を覆うようにし、上記ガイド面を、上記突出部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成する。そして、上記シートベルト装置のシートベルトアンカーを、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも下方位置で取り付け、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングを、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向を変更し、衝突時には上記ウエビングによって上記ガイド面が凹むことで当該ウエビングと突出部材とが互いに係合する構成とするものである。
【0035】
上記の構成の場合、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、このウエビングにはガイド面を車幅方向一端側へ押圧する分力が生じるようになる。このため、軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむようになる。このようになると、心材に取り付けられた突出部材が相対的に中央席側に突出するようになるため、上記ウエビングが下方に移動しても、上記突出部材によりその移動が阻止されるようになる。このため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することが可能になり、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0036】
請求項の発明は、請求項又はの発明において、シートベルト装置を、ウエビングを巻き取るプリテンショナーを備えた構成とするものである。
【0037】
上記の構成の場合、軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむと、ウエビングの屈曲が緩和してウエビングが仮想的に引き出されて、その分、乗員が前方に移動してしまうが、プリテンショナーによって屈曲の緩和による乗員の前方への移動分が巻き取られるため、乗員が確実に保持される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0039】
参考形態
図1は、本発明の参考形態に係る車両の後部の車室内を示し、1は車幅方向に連続して形成されたシートクッション11と、車幅方向の右側部分及び左側部分が別体として形成されたシートバック12,13とにより構成された後部座席であり、上記右側及び左側シートバック12,13の上部には乗員の頭部を保持するヘッドレスト14,15がそれぞれ固定されている。そして、上記後部座席1の車幅方向両端がそれぞれ右側及び左側席21,22となっている一方、中央部分が中央席23となっており、車幅方向に3人並んで着座可能になっている。また、同図において、31,32は上記右側席21及び中央席23に着座する乗員用の右側席用及び中央席用シートベルト装置であり、上記右側及び左側席21,22にはシートベルト装置のタングと係合するバックルがそれぞれ1つ設けられている一方、上記中央席23にはバックルが左右に2つ設けられている。
【0040】
上記右側シートバック12内の後部外周部には、図2及び図3に示すように、鋼製パイプ材により形成された枠状のシートバックフレーム12aが配設されており、このシートバックフレーム12aの後側には、リアバックパネル12bが配設されている。上記シートバックフレーム12a及びリアバックパネル12bの周囲は樹脂製のパッド12cにより覆われており、さらに、このパッド12cの外周囲は表皮材12dによって覆われるようになっている。
【0041】
上記シートバックフレーム12aの上部には、車幅方向に所定距離だけ互いに離された凹部が設けられており、この凹部には、図3及び図4に示すように、後述するヘッドレスト14のポール部14a,14aが挿入されるカラー12e,12eが溶接によりそれぞれ固定されている。この各カラー12eには、樹脂製のポールガイド12fが挿入されて固定されており、このポールガイド12fにより、上記ヘッドレスト14が上下方向位置を変更して上記シートバック12に対し固定されるようになっている。
【0042】
そして、上記シートバックフレーム12aの右部には、ブラケット3が取り付けられている。このブラケット3は略水平方向に拡がる当接部31とこの当接部31に対し略直交するように下方に延びるステイ32とを有し、このステイ32が上記シートバックフレーム12aの右部に対し溶接により取り付けられて、上記ブラケット3が上記シートバックフレーム12aに対し固定されるようになっている。上記当接部31の上面には、ラバー部材31aが張り付けられており、上記各ポールガイド12fに挿入されたヘッドレスト14のポール部14aの先端がラバー部材31aに対し当接するようになっている。このラバー部材31aにより、例えば、上記当接部31の上面とポール部14aの先端との金属部材同士が接触していた場合に、車体振動に起因して発生するきしみ音を防止することができるようになっている。
【0043】
上記ヘッドレスト14は、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体14bと、このヘッドレスト本体14bを上記シートバック12に対し連結する連結杆としてのポール部14a,14aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体14bは、逆U字状に形成されてその上端部分が前方に向かって屈曲している心材14eと、この心材14eの周囲を囲み正面視で略台形に形成されたパッド部14cとにより構成されている。そして、上記パッド部14cの外周囲は表皮材14dにより覆われている。また、上記ポール部14a,14aは、上記心材14eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体14bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材14e及びポール部14a,14aにより、ヘッドレスト14のフレームが構成されるようになっている。
【0044】
上記ヘッドレスト14は、そのポール部14a,14aが上記シートバック12の上面からそれぞれポールガイド12f、12fに挿入されて、上記ブラケット3にポール部14aの先端が当接するまで挿入可能になっている。上記ブラケット3により、上記ヘッドレスト14の上記シートバック12に対する下限位置が規制されるようになり、上記ヘッドレスト本体14bの下面と、シートバック12の上面との間が常に所定間隔H以上離されるようになっている。なお、図示省略の左側シートバック13は、上記右側シートバック12に対し左右対称に構成されており、上記左側シートバック13のヘッドレスト16の下面も上記左側シートバック13の上面に対し所定間隔H以上離されるようにされている。これにより、左右のヘッドレストの高さが一致するようになり、見栄えを向上させることができるようになる。
【0045】
そして、上記右側席用シートベルト装置31は、図6または図7に示すように、乗員を保持するウエビング31aと、このウエビング31aを巻き取るリトラクタ31bと、このリトラクタ31bから引き出されたウエビング31aの引き出し方向を変更するアンカー31cとにより構成されている。上記リトラクタ31bは車体右側のリアサイドウインドウ41の下側のリアフェンダに対し取り付けられてトリムにより覆われているようになっている一方、上記アンカー31cは上記リアサイドウインドウ41の前側のCピラー42に取り付けられるようになっている。そして、上記リトラクタ31bから上方の斜め前方に引き出されたウエビング31aが、上記アンカー31cにより下方に向かって引き出し方向が変換され、上記ウエビング31aの先端は、車体のフロアに対し固定されるようになっている。上記ウエビング31aには、このウエビング31aに沿って摺動可能なタング31dが取り付けられており、このタング31dを上記右側席21に設けられたバックル31eと係合させることにより、上記右側席21に着座する乗員を保持するようになっている。
【0046】
一方、中央席用シートベルト装置32は、上記右側席用シートベルト装置31と同様に、乗員を保持するウエビング32aと、このウエビング32aを巻き取るリトラクタ32bと、このリトラクタ32bから引き出されたウエビング32aの引き出し方向を変更するアンカー32cとにより構成されている。そして、上記リトラクタ32bは、リアサイドウインドウ41の下側に、上記右側席用のリトラクタ31bの車体前後方向の後側に並んで配設され、上記アンカー32cは、上記リアサイドウインドウ41の後側に位置するDピラー43であって、上記ヘッドレスト14のヘッドレスト本体14bの下面よりも上方位置に取り付けられている。上記ウエビング31aには、このウエビング31aの先端に固定された第1タング31dと、この第1タング31dと上記アンカー31cとの間に、上記ウエビング31bに沿って摺動可能な第2タング31eとの2つが取り付けられており、上記リトラクタ32bから上方に引き出されたウエビング32aが、上記アンカー32cにより前方の中央席側に向かって引き出し方向が変換されるようになる。そして、上記中央席用シートベルト装置を使用する場合には、図7に示すように、上記ウエビング32aをヘッドレスト本体14bの下面とシートバック12の上面との間に露出しているポール部14aにより前方に向かってその引き出し方向を変換するようにして、まず、上記第1タング32dを上記中央席23の右側に設けられた第1バックル32fと係合させ、次いで、上記第2タング32eを中央席23の左側に設けられた第2バックル32gと係合させることにより、上記中央席23に着座する乗員を保持するようにする(図6または図7参照)。
【0047】
つぎに、上記参考形態の作用・効果を説明する。
【0048】
上記ヘッドレスト14は、図4または図5に示すように、ブラケット3によりそのヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面と所定間隔Hだけ離されて状態で上記シートバック12に対し取り付けられているため、図6または図7に示すように、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動しても、ヘッドレスト本体14bの下面とシートバック12の上面との間で露出したポール部14aの外側面がガイド面として上記ウエビング32aを屈曲させてその引き出しを案内するようになる。そして、このウエビング32aが上方に移動しても、ヘッドレスト本体14bの下面とは非接触の状態を保つようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体14bの上側に乗り上げて上記ウエビング32aが「く」の字状に屈曲した状態からより一直線状に変化してしまうことを確実に阻止することができるようになる。これにより、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。また、万が一、不測の事態により、上記ウエビング32aが上記ポール部14aに沿ってさらに上方に移動したとしても、上記ヘッドレスト本体14bの下面が乗り上げ阻止手段となって、上記ウエビング32aと当接し、このウエビング32aの上方への移動を阻止するようになる。このため、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体14bの上側に乗り上げることはなく、その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0049】
なお、上記所定間隔Hは、上記の如く、衝突時にウエビング32aがヘッドレスト本体14bの下面と非接触となるように設定されているが、このように設定しなくても、上記ウエビング32aは、ヘッドレスト本体14bの下面により、ヘッドレスト本体14bを乗り上げる側への移動が阻止されるため、乗員への変動荷重を回避することができる。
【0050】
従って、上記ポール部14aをガイド面とすることにより、少なくとも上記ウエビング32aを上記ポール部14a位置よりも車幅方向右側へ移動してしまうことを阻止することができ、これにより、上記ウエビング32aがより一直線状に変化することによる乗員への変動荷重を回避することができるようになる。
【0051】
また、例えば、上記ブラケット3が設けられておらず、ヘッドレスト14のヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面に当接した状態であって、上記乗員に装着されたウエビング32aが車幅方向右側に移動してシートバック12の上面とヘッドレスト本体14bの下面との間に入ってしまった場合には、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体14bの下面において上下方向に屈曲するようになる。このため、それまでアンカー32cの取付位置で支持していたウエビング32aに作用する荷重が、上記ヘッドレスト本体14bの下面で支持することになってしまう。このようになると、上記乗員に対し、下方に向かって押し下げるような荷重が作用してしまい、上記乗員の上体がウエビング32aの下側からすり抜ける現象、いわゆるすべり込み現象が発生するおそれがある。ところが、上記ブラケット3により、上記ヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面に対し所定距離Hだけ離された状態にされているため、上記ウエビング32aは上記ヘッドレスト本体14bの下面と非接触になる。このため、上記ヘッドレスト本体14bの下面において上記ウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカー32cの取付位置において支持させることができるようになる。これにより、上記乗員に対して下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0052】
さらに、例えば、上記ウエビング32aが、ポール部14aではなくてヘッドレスト本体14bの中央席側の側面に当接してその引き出しが案内されていれば、衝突時に上記ウエビング32aに対し車幅方向右側への荷重が作用すると、上記ヘッドレスト本体14bの側面が凹にへこむようになる。衝突時にはリトラクタ32bはロックされているため、上記ウエビング32aは上記ヘッドレスト本体14bの側面において屈曲した状態で固定されるが、上記ヘッドレスト本体側面が凹にへこむことによりその屈曲が緩和してウエビング32aが仮想的に引き出されたようになる。このため、上記乗員の上体は上記ウエビングの仮想的な引き出し量の分だけ前方に移動してしまい、この乗員に作用する荷重が増大するおそれがある。ところが、上記ウエビング32aは、ポール部14aによって屈曲された状態になっているため、上記ウエビング32aに車幅方向右側への力が作用したとしても、上記ポール部14aがその力に抗することができ、上記ウエビング32aの屈曲が緩和されることを防止してウエビング32aの仮想的な引き出し量の増加を回避することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0053】
第1実施形態>
図8は本発明の第1実施形態に係る後部座席を示し、このものでは、参考形態とは異なり、ヘッドレスト本体16bの中央席に向いた側面をガイド面として、上記ヘッドレスト本体16bに乗り上げ側及び潜り込み側への移動を阻止する乗り上げ及び潜り込み阻止手段を内装している。
【0054】
上記シートバック12の上部には、上記ヘッドレスト16が取り付けられる位置に凹部12fが設けられており、この凹部12fにより、上記ヘッドレスト16はそのヘッドレスト本体16b下面がシートバック12の上面レベルよりも下方のオフセット位置に配設し得るようになっている。
【0055】
上記ヘッドレスト16は、図9または図10に示すように、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体16bと、このヘッドレスト本体16bを上記シートバック12に対し連結するポール部16a,16aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体16bは、逆U字状に形成された心材16eと、この心材16eの周囲を囲み正面視で略矩形に形成されたパッド部16fとにより構成されている。そして、上記パッド部16fの外周囲は表皮材16gにより覆われている。また、上記ポール部16a,16aは、上記心材16eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体16bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材16e及びポール部16a,16aにより、ヘッドレスト16のフレームが構成されるようになっている。
【0056】
上記心材16eその上端部分は、前方に向かって屈曲しさらに上方に向かって屈曲している。そして、上記心材16eの上部と下部とには、それぞれ乗り上げ阻止手段としての上部突出部材16cと潜り込み阻止手段としての下部突出部材16dとが取り付けられている。そして、上記上部突出部材16cは、上記心材16eよりも細径の部材により構成されており、その一端が後方を向いた状態で上記心材16eの車幅方向右寄り部分に溶接により固定され、そこから上記心材16eの前側を通って中央席側に延びて心材16eの中央席寄り部分の前側に溶接固定され、そこからさらに中央席側に延びてU字状に屈曲された後に、上記心材16eの中央席寄り部分の後側にその他端が溶接により固定されるようになっている。一方、上記下部突出部材16dは、上記心材16eよりも細径の部材により構成されており、その一端が後方を向いた状態で上記心材16eの中央席寄り部分に溶接により固定され、そこから中央席側に延びてU字状に屈曲された後、上記心材16eの中央席寄り部分の後側に、その他端が溶接により固定されるようになっている。このように、上記上部及び下部突出部材16c,16dの端部がそれぞれ後方あるいは車幅方向右側を向くようにされていることにより、乗員の頭部を保護するようになっている。
【0057】
上記ヘッドレスト本体16bの中央席に向いた側面の上記上部突出部材16cと下部突出部材16dとの間は、側面からの荷重に対し容易に凹となるような軟らかさを有し、ウエビング32aの引き出しを案内するガイド面となっている。
【0058】
そして、右側席、中央席及び左側席用シートベルト装置にはプリテンショナーがそれぞれ備えられており、図11に示すように、この右側席、中央席及び左側席用プリテンショナー51,52,53は、プリテンショナー制御装置により作動制御されるようになっている。上記プリテンショナー制御装置は、車両に作用する減速度を検出する第1及び第2Gセンサ54a,54bと、乗員がシートベルトを着用しているか否かを判別するシートベルトセンサ55a,55b,55cと、車両の衝突時に上記センサ54a,54b,55a〜55cの信号に基づき上記プリテンショナー51,52,53を作動させるように制御信号を出力する制御ユニット56とにより構成されている。
【0059】
上記中央席用プリテンショナー52は、シートベルト装置32のウエビング32aを巻き取るように構成されたものであり、図12に示すように、リトラクタ32bの回転軸に連結されたピニオンギア52aとこのピニオンギア52aを回転駆動させるラックギア52bとこのラックギア52bを駆動するインフレータ52cとにより構成されている。上記インフレータ52cには、点火部と爆薬とが内装されており、車両の衝突時には上記制御ユニット56から出力された制御信号により上記点火部が点火され、爆薬が高速燃焼するようになっている。そして、この爆薬の高速燃焼に伴い発生するガスのガス圧により、上記ラックギア52bが下方の待機位置から上方の駆動位置にまで移動して上記ピニオンギア52aが回転駆動され、上記ウエビング32aが上記リトラクタ32bにより巻き取られるようになっている。また、右側席及び左側席用プリテンショナー51,53は共に、上記中央席用プリテンショナー52と同様に構成されているが、そのインフレータの爆薬の量が上記中央席用のプリテンショナーの爆薬の量よりも少なくされている。この各席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量の比率は、例えば、右側席及び左側席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量を2とすると、上記中央席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量は3にされている。
【0060】
そして、上記第1Gセンサ54aは車両のバンパーフレームに設置される一方、上記第2Gセンサ54bはカウル部のクロスメンバに設置され、車体に作用する前後方向の減速度を検出して、この検出信号を上記制御ユニットに出力するように構成されている。
【0061】
上記制御ユニット56には、上記第1及び第2Gセンサ54a,54bから出力された検出信号に応じて乗員頭部の移動速度及び移動距離からなる車両の衝突状態を求める衝突状態検出手段が設けられている。
【0062】
なお、上記シートバック12、ヘッドレスト14、及び、中央席用シートベルト装置32のその他の構成は参考形態のものと同様であるために、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0063】
つぎに、上記右側、中央及び左側席用プリテンショナーの作動制御について図13に示すフローチャートに従って説明する。
【0064】
まず、上記制御動作がスタートすると、ステップS1において、制御ユニット56の初期設定を行った後、ステップS2において上記第1及び第2Gセンサ54a,54bの検出信号に応じて車体に作用する減速度Gを上記制御ユニット56に入力する。そして、上記減速度Gが、第1基準減速度、例えば3g(gは重力加速度)以上の減速状態にあるか否かを判定し(ステップS3)、第1基準減速度未満と判定された場合には上記各プリテンショナー51〜53の作動制御を実行する必要がないと判断して上記ステップS2にリターンする。
【0065】
一方、上記ステップS3において、第1基準減速度以上と判定された場合には、上記第1及び第2Gセンサ54a,54bの検出値等に基づいて上記各プリテンショナーの作動制御を行うか否かのしきい値V1,L1を設定する。この設定は例えば、判定基準となる予め記憶手段に記憶されたマップのデータと上記各Gセンサ54a,54bの検出値とに基づき、乗員の頭部の移動速度に対応したしきい値V1と、上記乗員の頭部の移動距離に対応したしきい値L1とを読み出して設定すればよい。
【0066】
次いで、ステップS5において、上記減速度Gに基づいて乗員の頭部の移動速度Vと、この乗員の頭部の移動距離Lとを演算する。
その後、ステップS6,S7において上記頭部の移動速度V及び移動距離Lの演算値が、ステップS4で設定されたしきい値V1,L1以上であるか否かをそれぞれ判定し、このステップS6,S7のいずれかにおいてNOと判定された場合には、乗員に作用する慣性力が小さいため、上記プリテンショナーの作動制御を実行する必要がないと判断して上記ステップS2にリターンする。
【0067】
また、上記ステップS6,S7において、YESと判定された場合には、ステップS9〜S11において、上記各席用のシートベルトセンサ55a〜55cの検出信号に基づき各席に着座した乗員がシートベルト装置を着用しているか否かを判定する。そして、上記ステップS9〜S11において、それぞれYESと判定された場合には、ステップS12,S13,S14において、上記各席用プリテンショナー51〜53を作動させる制御信号を出力して、上記各プリテンショナー51〜53を作動させる。
【0068】
そして、上記第1実施形態の場合、図8または図14に示すように、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビング32aにはヘッドレスト本体16bを車幅方向右側に押圧する分力が生じて、図8に示すように、ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体16bの中央席寄りの側面に当接してこの側面が凹となれば、ポール部16aに取り付けられた上部及び下部突出部材16c,16dが相対的に突出するようになる。このため、上記ウエビング32aが上方または下方へ移動しようとしても、上記上部及び下部突出部材16c,16dによりその移動が規制されるようになる。このため、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体16bの上面への乗り上げ、及び、下面への潜り込みを阻止することができ、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0069】
また、シートバック12に凹部12fが形成されていることにより、上記ウエビング32aが、ヘッドレスト本体16bの下面とシートバック12の上面との間に侵入しようとしても、上記ヘッドレスト本体16bの中央席寄りの側部に対し当接するだけであり、ヘッドレスト本体16bの下面とシートバック12の上面との間への侵入を防止することができるようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体16bの下面で上下方向に屈曲しない状態になり、上記ヘッドレスト本体16bの下面においてウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカー32cの取付位置において支持させることができるようになる。このため、上記乗員に対して下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになり、その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0070】
さらに、プリテンショナー52が設けられていない場合には、衝突時にリトラクタ32bがロックしてヘッドレスト本体16bの中央席寄りの側面により屈曲された状態にウエビング32aが固定されるようになる。このとき、ヘッドレスト本体16bの中央席寄りの側面に上記ウエビング32aが当接してこのヘッドレスト本体16bが凹にへこむと、上記ウエビング32aの屈曲が緩和して上記ウエビング32aが仮想的に引き出されたようになってしまい、その仮想的な引き出し量だけ乗員が前方に移動して、この乗員に作用する荷重が増大するおそれがある。しかし、上記中央席用シートベルト装置32に設けられたプリテンショナー52によりウエビング32aの屈曲の緩和による乗員の前方への移動分が巻き取られるため、乗員を確実に保持することができるようになる。しかも、中央席のプリテンショナー52のインフレータ52cの爆薬の量は、右または左側席のプリテンショナー51,53のインフレータの爆薬量に比べて多いため、上記ウエビング32aの巻き取り力が大きくなっている。このため、上記ヘッドレスト14の側面が凹にへこむことよりウエビング32aの屈曲が緩和することによる乗員の前方移動分を確実に巻き取ることができるようになり、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0071】
第2実施形態>
図15及び図16は本発明の第2実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示し、この第2実施形態は、第1実施形態及び参考形態とは異なり、ヘッドレスト本体17の中央席寄りの側面を傾斜面により構成して、乗り上げ阻止手段を構成している。
【0072】
そして、上記車両用ヘッドレスト装置17は、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体17bと、このヘッドレスト本体17bを上記シートバック12に対し連結するポール部17a,17aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体17bは、逆U字状に形成されてその上端部分が前方に向かって屈曲している心材17eと、この心材17eの周囲を囲み正面視で逆台形形状に形成されたパッド部17cとにより構成されている。そして、上記パッド部17cの外周囲は表皮材17dにより覆われている。また、上記ポール部17a,17aは、上記心材17eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体17bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材17e及びポール部17a,17aにより、ヘッドレスト17のフレームが構成されるようになっている。
【0073】
そして、上記心材17eの中央席寄り部分には、ガイド部材17fが取り付けられている。このガイド部材17fは、上記ヘッドレスト本体17b後側の中央席側コーナー部に沿って上面視で略L字状に屈曲されており、上下方向に拡がる側面部及び後面部を有するようになっている。そして、上記側面部及び後面部の上縁と下縁とには、それぞれ各縁に沿って中央席側または後側に突出する凸部17g,17gが連続して形成されている。また、上記側面部の前縁には、車幅方向右側に延びるステイ17hが設けられており、このステイ17hと上記心材17eの中央席寄り部分とが溶接されることにより、上記ガイド部材17fが上記ヘッドレスト17のフレームに対し固定されるようになっている。
【0074】
上記ヘッドレスト本体17bの車幅方向両側部は、上記ポール部17a,17aの突出位置から上方に向かってそれぞれ中央席側または車幅方向右側に拡がるように傾斜した傾斜面17i,17iとして形成されており、正面視で左右対称の逆台形形状を有するようになっている。また、上記表皮材17dは、上記ヘッドレスト本体17bの形状を保持できる程度の硬さを有するもので形成すればよく、例えば、熱可塑性のポリエステルエラストマー(商品名ハイトレル)により形成すればよい。また、上記ヘッドレスト17の成形は、例えば、まず、予め成形された表皮材17dを成形型にセットし、この型内に上記ガイド部材17fを取り付けたフレームをセットするようにする。次いで、上記成形型内に発泡原料を注入してこの発泡原料を発泡固化させる一体成形により成形すればよい。
【0075】
なお、上記シートバック12、シートベルト装置32のその他の構成は参考形態のものと同様であるために、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0076】
そして、上記第2実施形態の場合、図17または図18に示すように、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビング32aが前方に引っ張られると、このウエビング32aには、ヘッドレスト本体17bを車幅方向右側に押圧する分力が生じるようになる。そして、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体17bの側面に沿って上方に移動しようとしても、この側面が下端から上端に向かい徐々に中央席側に近付くように傾斜した傾斜面17iにより構成されているため、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体17bの上面に乗り上げるには、上記分力と逆向きである中央席側に移動する必要がある。このため、上記ウエビング32aが上方へ移動することが規制され、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体17bの上面に乗り上げることを阻止することができるようになる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0077】
また、ヘッドレスト17のヘッドレスト本体17bの下面とシートバック12の上面との間に侵入したとしても、上記ヘッドレスト本体17bの側部に設けられた傾斜面17iに沿って上記ウエビング32aはその間から外方にすぐに移動するようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体17bの下面で屈曲した状態になることが防止されるため、上記ヘッドレスト本体17bの下面においてウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカーの32c取付位置において支持させることができるようになる。このため、上記乗員に対し下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0078】
さらに、上記ガイド部材17fが上記ヘッドレスト本体12bの後側の中央席側コーナー部に沿って配設されているため、上記ウエビング32aが車幅方向右側へ移動しようとしても、上記ヘッドレスト17の側面が凹に撓むことを防止することができるようになる。このため、上記ウエビング32aが仮想的に引き出されることを防止することができ、その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。また、上記ガイド部材17fの上下縁にそれぞれ設けられた凸部17g,17gにより、上記ウエビング32aが上記ガイド部材17fに対し、上下方向にずれることを規制することが可能になり、これにより、上記ヘッドレスト17の側面が凹に撓むことを確実に防止することができるようになる。その結果、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に行うことができるようになる。
【0079】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態では、乗り上げ阻止手段としてヘッドレスト本体16bに上部突出部材16cを内装しているが、これに限らず、例えば図19に示すようにヘッドレスト本体18bの中央席寄りの側部の上端に中央席側に突出する突起部18cを設けるようにして、ウエビングの上側への脱落を阻止するようにしてもよい。
【0080】
上記第1及び第2実施形態では、中央席用シートベルト装置32を車体右側のDピラー43に取り付けているが、これに限らず、車体左側のDピラーに取り付けるようにしてもよい。この場合、後部座席の左側シートバックまたはこの左側シートバックに設けられたヘッドレストを上記第1及び第2実施形態と、あるいは、上記の他の実施形態と同様に構成すればよい。
【0081】
また、上記第1及び第2実施形態では、シートベルトアンカー32cが、シートバック12の上面レベルよりも上方位置に取り付けられているが、これとは逆に、上記シートベルトアンカーがシートバックの上面レベルよりも下方位置に取り付けられている場合には、図19に一点鎖線で示すように、ヘッドレスト本体18bの中央席寄りの側部の下端に中央席側に突出する突起部18dを設けるようにすれば、ウエビングがヘッドレスト本体の下面へ潜り込むことを阻止することができるようになる。さらに、例えば図20に示すように、ヘッドレスト本体19bの中央席寄りの側面をその下端から上端に向かい徐々に中央席から離れるように傾斜した傾斜面19cにより構成して、ウエビングの下面への潜り込みを阻止するようにしてもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両用ヘッドレスト装置によれば、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて上方に移動しても、乗り上げ阻止手段により、上記ウエビングがガイド面からの乗り上げ側への移動を阻止することができる。このため、上記ウエビングがヘッドレスト本体の上側に乗り上げて「く」の字状に屈曲した状態からより一直線状に変化してしまうことがなく、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。また、中央席より車幅方向一端側に隣接する端席に着座する乗員に対し上記ウエビングを干渉させることを防止することができる。
【0083】
また、車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けたシートベルトアンカーによる乗員に対するウエビングの引き出し角度が好適なものとなり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を十分に得ることができる。
【0084】
さらに、衝突時にウエビングが車幅方向の外方へ移動しようとしても、ガイド部材によってヘッドレスト本体が凹に撓むことが防止され、ウエビングが仮想的に引き出されることを防止することができる。
【0085】
請求項記載の発明によれば、上記請求項記載の発明による効果に加えて、乗り上げ阻止手段の具体的な態様を特定することができ、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、このウエビングにはヘッドレスト本体の側面位置においてこのヘッドレスト本体を車幅方向一端側に押圧する分力が生じる。そして、上記ウエビングが上方に移動しようとしても、ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面が、その下端から上端に向かい徐々に中央席側に近付くように傾斜した傾斜面により構成されているため、このウエビングが上方へ移動することが規制され、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に乗り上げることを阻止することができる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0086】
請求項記載の発明によれば、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむようになり、心材に取り付けられた突出部材が相対的に中央席側に突出するようになる。このため、上記ウエビングが上方に移動しても、上記突出部材によりその移動を阻止することができる。このため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に乗り上げることを阻止することができ、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0087】
請求項記載の発明によれば、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて下方に移動しても、潜り込み阻止手段により、ウエビングがヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することができる。このため、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。また、中央席より車幅方向一端側に隣接する端席に着座する乗員に対し上記ウエビングを干渉させることを防止することができる。
【0088】
また、車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けたシートベルトアンカーによる乗員に対するウエビングの引き出し角度が好適なものとなり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を十分に得ることができる。
【0089】
さらに、衝突時にウエビングが車幅方向の外方へ移動しようとしても、ガイド部材によってヘッドレスト本体が凹に撓むことが防止され、ウエビングが仮想的に引き出されることを防止することができる。
【0090】
請求項記載の発明によれば、上記請求項記載の発明による効果に加えて、潜り込み阻止手段の具体的な態様を特定することができ、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られて、ガイド面に沿って下方に移動しても、ヘッドレスト本体の中央席側に突出した突起部の上側に当接するようになる。このため、上記ウエビングが上記突起部よりも下方へ移動することを確実に阻止して、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することができる。その結果、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0091】
請求項記載の発明によれば、衝突時の慣性により乗員の上体が前方に移動することに伴いウエビングが前方に引っ張られると、軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむようになり、心材に取り付けられた突出部材が相対的に中央席側に突出するようになるため、上記ウエビングが下方に移動しても、上記突出部材によりその移動を阻止することができる。このため、上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に潜り込むことを阻止することができ、上記乗員に対し変動荷重が作用することを確実に防止して、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0092】
請求項記載の発明によれば、上記請求項又は記載の発明による効果に加えて軟質部材により構成されているガイド面が凹にへこむと、ウエビングの屈曲が緩和してウエビングが仮想的に引き出されて、その分、乗員が前方に移動してしまうところを、プリテンショナーによって屈曲の緩和による乗員の前方への移動分が巻き取られるため、乗員を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両の後部車室内を示す斜視説明図である。
【図2】 参考形態に係る右側シートバック及びヘッドレストを示す一部切り欠きの正面説明図である。
【図3】 参考形態に係る右側シートバック及びヘッドレストを示す一部切り欠きの側面説明図である。
【図4】 図1に示す右側シートバックの上部およびヘッドレスト部分を拡大した一部切り欠きの正面説明図である。
【図5】 図2に示す右側シートバックの上部およびヘッドレスト部分を拡大した一部切り欠きの側面説明図である。
【図6】 参考形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す側面説明図である。
【図7】 参考形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す平面説明図である。
【図8】 参考形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す正面説明図である。
【図9】 第1実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す斜視説明図である。
【図10】 第1実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す断面図である。
【図11】 プリテンショナー制御装置を示すブロック図である。
【図12】 プリテンショナーを示す断面説明図である。
【図13】 プリテンショナーの制御を示すフローチャートである。
【図14】 第1実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図6対応図である。
【図15】 第2実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す斜視説明図である。
【図16】 第2実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す一部切り欠きの正面説明図である。
【図17】 第2実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図7対応図である。
【図18】 第2実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図8対応図である。
【図19】 他の実施形態に係るヘッドレストを示す正面説明図である。
【図20】 図19とは異なる他の実施形態に係るヘッドレストを示す図19対応図である。
【図21】 従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図6対応図である。
【図22】 従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図7対応図である。
【図23】 従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図8対応図である。
【符号の説明】
1 後部座席
12 シートバック
14〜20 ヘッドレスト
22 右側席(一端側端席)
23 中央席
32 中央席用シートベルト装置
14a ポール部(ガイド面)
15a〜18a ポール部
14b ヘッドレスト本体(乗り上げ阻止手段)
15b〜20b ヘッドレスト本体(ガイド面)
16c 上部突出部材(乗り上げ阻止手段)
16d 下部突出部材(潜り込み阻止手段)
16e 心材
17i 傾斜面(乗り上げ阻止手段)
18c 突起部(乗り上げ阻止手段)
18d 突起部(潜り込み阻止手段)
19c 傾斜面(潜り込み阻止手段)
32a ウエビング

Claims (7)

  1. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置が上記中央席の車幅方向一端側後方の車室内の側面に取り付けられており、乗員の頭部を保持するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体下面から下方に突出してこのヘッドレスト本体を上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に対し連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体の上記中央席寄りの部位に上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置であって、
    上記ヘッドレスト本体内部の中央席寄り部分には、上記ヘッドレスト本体の中央側側面に沿って上下方向に拡がる側面部を有すると共に、当該側面部の上端縁に上記中央席側に突出する凸部が形成されたガイド部材が配設され、
    上記ヘッドレスト本体の表面は、通常時にはヘッドレスト本体の外形状を保持可能な硬さと弾性とを有する表皮材によって形成され、上記ガイド部材は、上記表皮材によって覆われており、
    上記ガイド面は、上記ガイド部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成されており、
    上記シートベルト装置のシートベルトアンカーは、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも上方位置で取り付けられており、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングは、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向が変更されており、
    衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に対し乗り上げないよう上記ウエビングの移動を阻止する乗り上げ阻止手段を備えている
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  2. 請求項において、
    乗り上げ阻止手段は、ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面の下端から上端に向かい徐々に中央席側に近付くように傾斜した傾斜面により構成されている
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  3. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置が上記中央席の車幅方向一端側後方の車室内の側面に取り付けられており、乗員の頭部を保持するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体下面から下方に突出してこのヘッドレスト本体を上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に対し連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体の上記中央席寄りの部位に上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置であって、
    衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の上面に対し乗り上げないよう上記ウエビングの移動を阻止する乗り上げ阻止手段を備え、
    上記乗り上げ阻止手段は、上記ヘッドレスト本体内に配設された心材に対し一体に設けられた突出部材により構成され、
    上記突出部材は、上記ヘッドレスト本体内において上記心材から中央席側に車幅方向に上記ガイド面の上部位置近傍まで突出するように配設され、
    上記ヘッドレスト本体は、軟質部材により形成されると共に、当該ヘッドレスト本体の表面を形成する表皮材は、上記突出部材を覆い、
    上記ガイド面は、上記突出部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成され、
    上記シートベルト装置のシートベルトアンカーは、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも上方位置で取り付けられており、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前 方に引き出された上記ウエビングは、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向が変更されており、
    衝突時には上記ウエビングによって上記ガイド面が凹むことで当該ウエビングと突出部材とが互いに係合する
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  4. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置が上記中央席の車幅方向一端側後方の車室内の側面に取り付けられており、乗員の頭部を保持するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体下面から下方に突出してこのヘッドレスト本体を上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に対し連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体の上記中央席寄りの部位に上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置であって、
    上記ヘッドレスト本体内部の中央席寄り部分には、上記ヘッドレスト本体の中央側側面に沿って上下方向に拡がる側面部を有すると共に、当該側面部の下端縁に上記中央席側に突出する凸部が形成されたガイド部材が配設され、
    上記ヘッドレスト本体の表面は、通常時にはヘッドレスト本体の外形状を保持可能な硬さと弾性とを有する表皮材によって形成され、上記ガイド部材は、上記表皮材によって覆われており、
    上記ガイド面は、上記ガイド部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成されており、
    上記シートベルト装置のシートベルトアンカーは、上記車幅方向一端側後方の車室内の側面に、上記ガイド面の下端よりも下方位置で取り付けられており、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングは、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向が変更されており、
    衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に対し潜り込まないよう上記ウエビングの移動を阻止する潜り込み阻止手段を備えている
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  5. 請求項において、
    潜り込み阻止手段は、上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側部の下端位置において中央席側に突出する突起部により構成されている
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  6. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の3点式シートベルト装置が上記中央席の車幅方向一端側後方の車室内の側面に取り付けられており、乗員の頭部を保持するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体下面から下方に突出してこのヘッドレスト本体を上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に対し連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体の上記中央席寄りの部位に上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を備えた車両用ヘッドレスト装置であって、
    衝突時に上記ウエビングが上記ヘッドレスト本体の下面に対し潜り込まないよう上記ウエビングの移動を阻止する潜り込み阻止手段を備え、
    上記潜り込み阻止手段は、上記ヘッドレスト本体内に配設された心材に対し一体に設けられた突出部材により構成され、
    上記突出部材は、上記ヘッドレスト本体内において上記心材から中央席側に車幅方向に上記ガイド面の下部位置近傍まで突出するように配設され、
    上記ヘッドレスト本体は、軟質部材により形成されると共に、当該ヘッドレスト本体の表面を形成する表皮材は、上記突出部材を覆い、
    上記ガイド面は、上記突出部材が内蔵された上記ヘッドレスト本体の中央席寄りの側面により構成され、
    上記シートベルト装置のシートベルトアンカーは、上記車幅方向一端側後方の車室内の 側面に、上記ガイド面の下端よりも下方位置で取り付けられており、上記シートベルト装置の非衝突状態での使用時に、上記シートベルトアンカーから、上記中央席に向かって前方に引き出された上記ウエビングは、上記ヘッドレスト本体の後方を通ると共に、上記ガイド面に当接することによってその前方に向かう引き出し方向が変更されており、
    衝突時には上記ウエビングによって上記ガイド面が凹むことで当該ウエビングと突出部材とが互いに係合する
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  7. 請求項3又は6において、
    シートベルト装置は、ウエビングを巻き取るプリテンショナーを備えている
    ことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
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