JP3864549B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3人掛けに構成された後部座席の中央席に着座する乗員用の車両用乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば後部座席のように3人掛けに構成されている座席においては、そのシートベルト装置は、後部座席の左右両側席に着座する各乗員に対しては3点式に構成されている一方、中央席に着座する乗員に対しては2点式に構成されているのが一般的であった。
【0003】
ところが、上記中央席の乗員用のシートベルト装置を2点式のものから3点式のものにして中央席の乗員に対する安全性を向上させたいという要請があり、上記中央席の3点式シートベルト装置を以下のように構成することが考えられる。
【0004】
すなわち、シートベルト装置のリトラクタを後部座席シートバック後方のルーフに対し取り付け、このリトラクタからウエビングを上記後部座席の中央席位置まで引き出すようにする。また、リトラクタを後部座席の中央席のシートバックの後面に取り付け、このリトラクタからウエビングを上記シートバックの上面を通って前側に引き出すようにする。あるいは、リトラクタをリアサイドウインドウの後側のリアピラー(Dピラー)に取り付け、このリトラクタから引き出したウエビングを上記Dピラーの上方に取り付けたアンカーにより上記後部座席の中央席位置に引き出し方向を変換するようにする。あるいは、リトラクタをリアサイドウインドウの下側のリアフェンダに取り付ける一方、上記リアサイドウインドウの上側のルーフには、上記リアサイドウインドウ上下方向略中央位置まで延びるハンガーを吊り下げるようにして上記リトラクタから引き出したウエビングを上記ハンガーにより後部座席の中央席に引き出し方向を変換するようにする。
【0005】
ところが、上記のリトラクタをルーフに取り付けた場合には、ウエビングがルーフから下方に垂れ下がる状態になるため、後方視界性が悪化するという不都合がある。また、上記のリトラクタをシートバックに取り付けた場合には、例えば上記後部座席が可倒式に構成されていればその倒伏時にはリトラクタが邪魔になるという不都合がある。さらに、上記のハンガーを取り付けた場合には、このハンガーがリアサイドウインドウを遮るため視界性が悪化するとともに、シートベルト装置の不使用時にもルーフから吊り下げられたハンガーが見えてしまうため見栄えが悪くなるという不都合がある。
【0006】
そこで、後部座席の中央席の乗員用3点式シートベルト装置の構成としては、リトラクタ及びアンカーをDピラーに取り付けることが最適であると考えられ、従来より、リトラクタ及びアンカーをDピラーに取り付けた後部座席中央席用3点式シートベルト装置が知られている(例えば、EP532378号公報参照)。このものでは、後部座席中央席のシートバックの上部の車幅方向右側位置、つまり上記中央席に着座する乗員の右肩に対応する位置にガイド部材を取り付けるようにしている。そして、リトラクタから引き出したウエビングの引き出し方向をアンカーによって上向きから前方に向くように変換し、さらに、上記ウエビングを上記ガイド部材に通すことによりその引き出し方向を車幅方向に屈曲させて、上記中央席の乗員の右肩から前方に上記ウエビングを引き出すようにしている。このように、上記ガイド部材によってウエビングの引き出しを案内することにより、上記アンカーから中央席の乗員位置にウエビングを直接引き出した場合に、このウエビングと上記後部座席の右側席に着座する乗員とが干渉することを防止するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシートベルト装置においては、その使用の際に、いちいちウエビングをガイド部材に通す必要があり、煩雑であるという不都合がある。
【0008】
そこで、図20〜図22に示すように、後部座席中央席用シートベルト装置32を車体右側のDピラー43に取り付け、上記ガイド部材を省略し、このガイド部材の代わりに、ウエビング32aを後部座席1の右側席12に設けられたヘッドレスト19の車体内方側の側面に当接させて、上記ウエビング32aの引き出しを車体内方から前方に変換するようにして、引き出しの案内をすることが考えられる。このようにすれば、ウエビング32aをガイド部材に通すという煩雑なことを行う必要がなくなるようになる。
【0009】
ところが、上記のヘッドレストを用いてウエビングの引き出しを案内する場合には、例えば衝突時に次のような不都合が発生するおそれがある。
【0010】
すなわち、図20〜図22に示すように、衝突時には慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動し、この上体の移動に伴い上記乗員に装着されたウエビング32aがリトラクタから引き出されて、このリトラクタ32bがロックされるようになる。そして、このロックされたウエビングは、上記慣性力が作用した乗員を拘束して保持しようとするが、このヘッドレスト19の側部で車幅方向に屈曲したウエビングにより、車体外方向きの荷重が上記ヘッドレスト19に対し作用するようになる。上記ヘッドレスト19の側部は乗員の頭部を保護するために軟質部材により構成されているため、上記ヘッドレストの側部は凹にへこんで上記ウエビングが上記ヘッドレストの側部に食い込むようになる(同図の一点鎖線参照)。このように、ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体側部へ食い込めば、ウエビングの車幅方向の屈曲が緩和されて、その緩和した分だけウエビングは仮想的により長く引き出されたのと同じ状態になってしまう。この結果、その分だけ上記乗員の上体は前方に移動してしまい、この乗員に作用する衝撃荷重が増大するおそれがある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、後部座席の中央席に着座する乗員用であって、上記中央席の車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けられた3点式シートベルト装置と、そのウエビングの引き出し方向を案内するガイド面を有するヘッドレストとを備えた車両用乗員保護装置において、衝突時に上記ヘッドレストのへこみ(撓み)に起因する乗員の前方移動を防止することにより、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用であって上記中央席の車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けられた3点式シートベルト装置と、上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に設けられたヘッドレストとを備えた車両用乗員保護装置を対象として、上記ヘッドレストの上記中央席に向いたガイド面により上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出し案内を行いつつ、衝突時にウエビングによるヘッドレストが凹に撓むことに起因する上記乗員の前方移動を防止する以下の種々の手段を備えることを基本の特定手段とする。具体的には、請求項1記載の発明は、ガイド面を剛体により構成するものである。
【0013】
上記の構成の場合、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴いヘッドレストのガイド面で車幅方向に屈曲されたウエビングにより、車体外方向きの荷重が上記ガイド面に対し作用しても、上記ガイド面は剛体により形成されているためその力に抗することが可能になる。このため、上記ヘッドレストのへこみに起因する上記ウエビングの屈曲の緩和を防止してウエビングの仮想的な引き出し量の増加を回避することが可能になる。その結果、上記ウエビングにより乗員を確実に保持することが可能になり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、乗員の頭部が当接するヘッドレストの部位を、軟質部材により形成する構成とするものである。
【0015】
上記の構成の場合、乗員の頭部が当接するヘッドレストの部位を軟質部材により形成することにより、乗員の頭部に対する十分な保護機能が得られるとともに、ウエビングの引き出しを案内するガイド面は剛体により形成されているため、ウエビングの仮想的な引き出し量の増加を回避してシートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を得ることが可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、ガイド面を少なくとも上下に延びる平滑面により構成し、かつ、このガイド面の上下両端縁部にはそれぞれ車体内方側に突出してウエビングの上下方向への脱落を規制する外れ止めを形成する構成とするものである。
【0017】
上記の構成の場合、ガイド面により案内されたウエビングが、衝突時にたとえ上下方向に移動しても、上記ガイド面の上下両縁部にそれぞれ設けられた外れ止めによりその移動が規制されるため、上記ウエビングがガイド面から上下方向に脱落することを防止することが可能になる。このため、上記ウエビングの引き出しが常にガイド面により案内されることになり、上記ヘッドレストの側部が凹に撓んで上記ウエビングの仮想的な引き出し量の増加を確実に回避することが可能になる。その結果、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持を確実に行うことが可能になる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、ヘッドレストを乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体から下方に延び上記ヘッドレスト本体をシートバックに連結する連結杆とにより構成し、上記ヘッドレスト本体を、上記連結杆と一体に連結された心材と、この心材の周囲を覆うパッド部とにより構成する。そして、ガイド面を上記心材に対し固定する構成とするものである。
【0019】
上記の構成の場合、ガイド面を心材に固定することにより、このガイド面に対し衝突慣性力に起因するウエビングの車体外方への荷重が作用しても、この荷重に抗してガイド面自体が移動してしまうことが防止される。このため、上記ウエビングの仮想的な引き出し量が増加することを確実に回避することが可能になり、その結果、上記ウエビングにより乗員を確実に保持して、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、ガイド面を、連結杆の外側面により構成するものである。
【0021】
上記の構成の場合、ウエビングの引き出しを連結杆の外側面で案内することにより、上記ウエビングの車幅方向の屈曲が緩和することを確実に防止して、このウエビングの仮想的な引き出し量の増加を確実に回避することが可能になる。これにより、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。しかも、ガイド面として別体のものを取り付けないため、見栄えよくすることが可能になる。
【0022】
請求項6記載の発明は、車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用であって上記中央席の車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けられた3点式シートベルト装置と、上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に設けられたヘッドレストとを備えた車両用乗員保護装置であって、上記ヘッドレストの上記中央席に向いた面に、上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面を形成する。そして、上記ガイド面を軟質部材により構成し、上記シートベルト装置は、衝突時に上記ガイド面の撓みに起因する上記ウエビングの弛みを除去する除去手段を備える構成とするものである。
【0023】
上記の構成の場合、衝突慣性力による乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビングによる車体外方への荷重がヘッドレストのガイド面に作用し、このガイド面が凹にへこんで上記ウエビングの仮想的な引き出し量が増加してしまう分を、除去手段により除去することが可能になる。このため、上記ウエビングは、乗員を確実に保持することが可能になり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、後部座席の中央席より車幅方向一端側に隣接する端席に着座する乗員用のシートベルト装置を備え、このシートベルト装置はそのウエビングの弛みを除去する除去手段を備える。そして、中央席用のシートベルト装置の除去手段の除去能力を、上記端席用のシートベルト装置の除去手段の除去能力よりも高く設定する構成とするものである。
【0025】
上記の構成の場合、中央席用のシートベルト装置の除去手段は、衝突時の乗員の保持に必要なウエビングの弛みの除去を行うよう構成されている端席用のシートベルト装置の除去手段に比べてその除去能力が高く設定されているため、上記中央席用除去手段は、衝突時の乗員の保持に必要なウエビングの弛みの除去を確実に行うことが可能な上に、ヘッドレストのガイド面のへこみによるウエビングの仮想的な引き出し量の増加分をも除去することが可能になる。その結果、上記ウエビングは、乗員をより一層確実に保持することが可能になり、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることが可能になる。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項1または請求項6記載のいずれかの発明において、ガイド面をヘッドレスト本体の車体内方側の側面と面一に設ける構成とするものである。この構成の場合、ガイド面がヘッドレストから突出しないため、見栄えが良くなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の後部の車室内を示し、1は車幅方向に連続して形成されたシートクッション11と、車幅方向の右側部分及び左側部分が別体として形成されたシートバック12,13とにより構成された後部座席であり、上記右側及び左側シートバック12,13の上部には乗員の頭部を保持するヘッドレスト14,15がそれぞれ固定されている。そして、上記後部座席1の車幅方向両端がそれぞれ右側及び左側席21,22となっている一方、中央部分が中央席23となっており、車幅方向に3人並んで着座可能になっている。また、同図において、31,32は上記右側席21及び中央席23に着座する乗員用の右側席用及び中央席用シートベルト装置であり、上記右側及び左側席21,22にはシートベルト装置のタングと係合するバックルがそれぞれ1つ設けられている一方、上記中央席23にはバックルが左右に2つ設けられている。
【0029】
上記右側シートバック12内の後部外周部には、図2及び図3に示すように、鋼製パイプ材により形成された枠状のシートバックフレーム12aが配設されており、このシートバックフレーム12aの後側には、リアバックパネル12bが配設されている。上記シートバックフレーム12a及びリアバックパネル12bの周囲は樹脂製のパッド12cにより覆われており、さらに、このパッド12cの外周囲は表皮材12dによって覆われるようになっている。
【0030】
上記シートバックフレーム12aの上部には、車幅方向に所定距離だけ互いに離された凹部が設けられており、この凹部には、図3及び図4に示すように、後述するヘッドレスト14のポール部14a,14aが挿入されるカラー12e,12eが溶接によりそれぞれ固定されている。この各カラー12eには、樹脂製のポールガイド12fが挿入されて固定されており、このポールガイド12fにより、上記ヘッドレスト14が上下方向位置を変更して上記シートバック12に対し固定されるようになっている。
【0031】
そして、上記シートバックフレーム12aの右部には、ブラケット3が取り付けられている。このブラケット3は略水平方向に拡がる当接部31とこの当接部31に対し略直交するように下方に延びるステイ32とを有し、このステイ32が上記シートバックフレーム12aの右部に対し溶接により取り付けられて、上記ブラケット3が上記シートバックフレーム12aに対し固定されるようになっている。上記当接部31の上面には、ラバー部材31aが張り付けられており、上記各ポールガイド12fに挿入されたヘッドレスト14のポール部14aの先端がラバー部材31aに対し当接するようになっている。このラバー部材31aにより、例えば、上記当接部31の上面とポール部14aの先端との金属部材同士が接触していた場合に、車体振動に起因して発生するきしみ音を防止することができるようになっている。
【0032】
上記ヘッドレスト14は、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体14bと、このヘッドレスト本体14bを上記シートバック12に対し連結する連結杆としてのポール部14a,14aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体14bは、逆U字状に形成されてその上端部分が前方に向かって屈曲している心材14eと、この心材14eの周囲を囲み正面視で略台形に形成されたパッド部14cとにより構成されている。そして、上記パッド部14cの外周囲は表皮材14dにより覆われている。また、上記ポール部14a,14aは、上記心材14eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体14bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材14e及びポール部14a,14aにより、ヘッドレスト14のフレームが構成されるようになっている。
【0033】
上記ヘッドレスト14は、そのポール部14a,14aが上記シートバック12の上面からそれぞれポールガイド12f、12fに挿入されて、上記ブラケット3にポール部14aの先端が当接するまで挿入可能になっている。上記ブラケット3により、上記ヘッドレスト14の上記シートバック12に対する下限位置が規制されるようになり、上記ヘッドレスト本体14bの下面と、シートバック12の上面との間が常に所定間隔H以上離されるようになっている。なお、図示省略の左側シートバック13は、上記右側シートバック12に対し左右対称に構成されており、上記左側シートバック13のヘッドレスト16の下面も上記左側シートバック13の上面に対し所定間隔H以上離されるようにされている。これにより、左右のヘッドレストの高さが一致するようになり、見栄えを向上させることができるようになる。
【0034】
そして、上記右側席用シートベルト装置31は、図6または図7に示すように、乗員を保持するウエビング31aと、このウエビング31aを巻き取るリトラクタ31bと、このリトラクタ31bから引き出されたウエビング31aの引き出し方向を変更するアンカー31cとにより構成されている。上記リトラクタ31bは車体右側のリアサイドウインドウ41の下側のリアフェンダに対し取り付けられてトリムにより覆われているようになっている一方、上記アンカー31cは上記リアサイドウインドウ41の前側のCピラー42に取り付けられるようになっている。そして、上記リトラクタ31bから上方の斜め前方に引き出されたウエビング31aが、上記アンカー31cにより下方に向かって引き出し方向が変換され、上記ウエビング31aの先端は、車体のフロアに対し固定されるようになっている。上記ウエビング31aには、このウエビング31aに沿って摺動可能なタング31dが取り付けられており、このタング31dを上記右側席21に設けられたバックル31eと係合させることにより、上記右側席21に着座する乗員を保持するようになっている。
【0035】
一方、中央席用シートベルト装置32は、上記右側席用シートベルト装置31と同様に、乗員を保持するウエビング32aと、このウエビング32aを巻き取るリトラクタ32bと、このリトラクタ32bから引き出されたウエビング32aの引き出し方向を変更するアンカー32cとにより構成されている。そして、上記リトラクタ32bは、リアサイドウインドウ41の下側に、上記右側席用のリトラクタ31bの車体前後方向の後側に並んで配設され、上記アンカー32cは、上記リアサイドウインドウ41の後側に位置するDピラー43であって、上記ヘッドレスト14のヘッドレスト本体14bの下面よりも上方位置に取り付けられている。上記ウエビング31aには、このウエビング31aの先端に固定された第1タング31dと、この第1タング31dと上記アンカー31cとの間に、上記ウエビング31bに沿って摺動可能な第2タング31eとの2つが取り付けられており、上記リトラクタ32bから上方に引き出されたウエビング32aが、上記アンカー32cにより前方の車体内方に向かって引き出し方向が変換されるようになる。そして、上記中央席用シートベルト装置を使用する場合には、図7に示すように、上記ウエビング32aをヘッドレスト本体14bの下面とシートバック12の上面との間に露出しているポール部14aにより前方に向かってその引き出し方向を変換するようにして、まず、上記第1タング32dを上記中央席23の右側に設けられた第1バックル32fと係合させ、次いで、上記第2タング32eを中央席23の左側に設けられた第2バックル32gと係合させることにより、上記中央席23に着座する乗員を保持するようにする(図6または図7参照)。
【0036】
つぎに、上記第1実施形態の作用・効果を説明する。
【0037】
上記ヘッドレスト14は、図4または図5に示すように、ブラケット3によりそのヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面に対し所定間隔だけ離された状態で上記シートバック12に対し取り付けられているため、図6または図7に示すように、上記ポール部14aの外側面は、ウエビング32aの引き出しの案内をするガイド面となっている。そして、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴い、上記ウエビング32aによって上記ポール部14bに対し車体外方への荷重が作用することになるが、上記ポール部14bは、その荷重に抗することができ、これにより、上記ウエビング32aの屈曲の緩和を防止してこのウエビング32aの仮想的な引き出し量の増加を回避することができるようになる。その結果、上記ウエビング32aにより、乗員は確実に保持されるようになり、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0038】
また、例えば、上記ブラケット3が設けられておらず、ヘッドレスト14のヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面に当接した状態であって、上記乗員に装着されたウエビング32aが車体外方側に移動してシートバック12の上面とヘッドレスト14のヘッドレスト本体14bの下面との間に入ってしまった場合には、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体14bの下面において上下方向に屈曲するようになる。このため、それまでアンカー32cの取付位置で支持していたウエビング32aに作用する荷重が、上記ヘッドレスト本体14bの下面で支持することになってしまう。このようになると、上記乗員に対し、下方に向かって押し下げるような荷重が作用してしまい、上記乗員の上体がウエビング32aの下側からすり抜ける現象、いわゆるすべり込み現象が発生するおそれがある。ところが、上記ブラケット3により、上記ヘッドレスト本体14bの下面がシートバック12の上面に対し所定距離Hだけ離された状態にされているため、上記ウエビング32aは上記ヘッドレスト本体14bの下面で上下方向に屈曲しないようになる。このため、上記ヘッドレスト本体14bの下面において上記ウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカー32cの取付位置において支持させることができるようになる。これにより、上記乗員に対して下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0039】
さらに、例えば、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体14bの車体内方側の側部に当接した状態で、上記ウエビング32aが車体外方側へ移動しようとすれば、上記ヘッドレスト本体14bの上側に乗り上げて、車体外方側に移動することも起こりうる。この場合、リトラクタ32bはロックされるため上記ウエビング32aは上記ヘッドレスト本体14bのコーナー部において屈曲した状態で上記乗員を保持した状態になるが、上記ヘッドレスト本体14bの上側に乗り上げることにより上記乗員の保持が一旦解除され、その後、この乗員の上体が前方に移動して再びウエビングにより保持されようになる。このため、上記乗員に対し変動荷重が作用するようになってしまう。ところが、上記ウエビング32aは、ヘッドレスト本体14bの下面とシートバック12の上面との間で、ポール部14aにより屈曲された状態になっているため、上記ヘッドレスト14の上側に乗り上げることを確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0040】
加えて、ウエビング32aの引き出しを案内するガイド面として別体のものを取り付けないため、見栄えをよくすることができるようになる。
【0041】
<第2実施形態>
図8は本発明の第2実施形態に係る後部座席を示し、このものでは、第1実施形態とは異なり、ガイド面としてのヘッドレスト本体16bの車体内方側の側面を軟質部材により構成し、シートベルト装置には、除去手段としてのプリテンショナーが設けられている。
【0042】
上記シートバック12の上部には、上記ヘッドレスト16が取り付けられる位置に凹部12fが設けられており、この凹部12fにより、上記ヘッドレスト16はそのヘッドレスト本体16b下面がシートバック12の上面レベルよりも下方のオフセット位置に配設し得るようになっている。
【0043】
上記ヘッドレスト16は、図9または図10に示すように、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体16bと、このヘッドレスト本体16bを上記シートバック12に対し連結するポール部16a,16aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体16bは、逆U字状に形成された心材16eと、この心材16eの周囲を囲み正面視で略矩形に形成されたパッド部16fとにより構成されている。そして、上記パッド部16fの外周囲は表皮材16gにより覆われている。また、上記ポール部16a,16aは、上記心材16eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体16bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材16e及びポール部16a,16aにより、ヘッドレスト16のフレームが構成されるようになっている。
【0044】
上記心材16eその上端部分は、前方に向かって屈曲しさらに上方に向かって屈曲している。そして、上記心材16eの上部と下部とには、それぞれ上部ワイヤ部材16cと下部ワイヤ部材16dとが取り付けられている。そして、上記上部ワイヤ部材16cは、上記心材16eよりも細径の部材により構成されており、その一端が後方を向いた状態で上記心材16eの車体外方側部分に溶接により固定され、そこから上記心材16eの前側を通って車体内方側に向かって延びて心材16eの車体内方側部分の前側に溶接固定され、そこからさらに車体内方に向かって延びてU字状に屈曲された後に、上記心材16eの車体内方側部分位置の後側にその他端が溶接により固定されるようになっている。一方、上記下部ワイヤ部材16dは、上記心材16eよりも細径の部材により構成されており、その一端が後方を向いた状態で上記心材16eの車体内方側部分に溶接により固定され、そこから車体内方側向かって延びてU字状に屈曲された後、上記心材16eの車体内方側部分の後側に、その他端が溶接により固定されるようになっている。このように、上記上部及び下部ワイヤ部材16c,16dの端部がそれぞれ後方あるいは車体外方を向くようにされていることにより、乗員の頭部を保護するようになっている。
【0045】
上記ヘッドレスト本体16bの車体内方側の側部の上記上部ワイヤ部材16cと下部ワイヤ部材16dとの間は、側面からの荷重に対し容易に凹となるような軟らかさを有するようになっており、上記ヘッドレスト本体16bの車体内方側の側面が軟質部材により形成されたガイド面となっている。
【0046】
そして、右側席、中央席及び左側席用シートベルト装置にはプリテンショナーがそれぞれ備えられており、図11に示すように、この右側席、中央席及び左側席用プリテンショナー51,52,53は、プリテンショナー制御装置により作動制御されるようになっている。上記プリテンショナー制御装置は、車両に作用する減速度を検出する第1及び第2Gセンサ54a,54bと、乗員がシートベルトを着用しているか否かを判別するシートベルトセンサ55a,55b,55cと、車両の衝突時に上記センサ54a,54b,55a〜55cの信号に基づき上記プリテンショナー51,52,53を作動させるように制御信号を出力する制御ユニット56とにより構成されている。
【0047】
上記中央席用プリテンショナー52は、シートベルト装置32のウエビング32aを巻き取るように構成されたものであり、図12に示すように、リトラクタ32bの回転軸に連結されたピニオンギア52aとこのピニオンギア52aを回転駆動させるラックギア52bとこのラックギア52bを駆動するインフレータ52cとにより構成されている。上記インフレータ52cには、点火部と爆薬とが内蔵されており、車両の衝突時には上記制御ユニット56から出力された制御信号により上記点火部が点火され、爆薬が高速燃焼するようになっている。そして、この爆薬の高速燃焼に伴い発生するガスのガス圧により、上記ラックギア52bが下方の待機位置から上方の駆動位置にまで移動して上記ピニオンギア52aが回転駆動され、上記ウエビング32aが上記リトラクタ32bにより巻き取られるようになっている。また、右側席及び左側席用プリテンショナー51,53は共に、上記中央席用プリテンショナー52と同様に構成されているが、そのインフレータの爆薬の量が上記中央席用のプリテンショナーの爆薬の量よりも少なくされている。この各席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量の比率は、例えば、右側席及び左側席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量を2とすると、上記中央席用プリテンショナーのインフレータの爆薬の量は3にされている。
【0048】
そして、上記第1Gセンサ54aは車両のバンパーフレームに設置される一方、上記第2Gセンサ54bはカウル部のクロスメンバに設置され、車体に作用する前後方向の減速度を検出して、この検出信号を上記制御ユニットに出力するように構成されている。
【0049】
上記制御ユニット56には、上記第1及び第2Gセンサ54a,54bから出力された検出信号に応じて乗員頭部の移動速度及び移動距離からなる車両の衝突状態を求める衝突状態検出手段が設けられている。
【0050】
なお、上記シートバック12、ヘッドレスト14、及び、中央席用シートベルト装置32のその他の構成は第1実施形態のものと同様であるために、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0051】
つぎに、上記右側、中央及び左側席用プリテンショナーの作動制御について図13に示すフローチャートに従って説明する。
【0052】
まず、上記制御動作がスタートすると、ステップS1において、制御ユニット56の初期設定を行った後、ステップS2において上記第1及び第2Gセンサ54a,54bの検出信号に応じて車体に作用する減速度Gを上記制御ユニット56に入力する。そして、上記減速度Gが、第1基準減速度、例えば3g(gは重力加速度)以上の減速状態にあるか否かを判定し(ステップS3)、第1基準減速度未満と判定された場合には上記各プリテンショナー51〜53の作動制御を実行する必要がないと判断して上記ステップS2にリターンする。
【0053】
一方、上記ステップS3において、第1基準減速度以上と判定された場合には、上記第1及び第2Gセンサ54a,54bの検出値等に基づいて上記各プリテンショナーの作動制御を行うか否かのしきい値V1,L1を設定する。この設定は例えば、判定基準となる予め記憶手段に記憶されたマップのデータと上記各Gセンサ54a,54bの検出値とに基づき、乗員の頭部の移動速度に対応したしきい値V1と、上記乗員の頭部の移動距離に対応したしきい値L1とを読み出して設定すればよい。
【0054】
次いで、ステップS5において、上記減速度Gに基づいて乗員の頭部の移動速度Vと、この乗員の頭部の移動距離Lとを演算する。
【0055】
その後、ステップS6,S7において上記頭部の移動速度V及び移動距離Lの演算値が、ステップS4で設定されたしきい値V1,L1以上であるか否かをそれぞれ判定し、このステップS6,S7のいずれかにおいてNOと判定された場合には、乗員に作用する慣性力が小さいため、上記プリテンショナーの作動制御を実行する必要がないと判断して上記ステップS2にリターンする。
【0056】
また、上記ステップS6,S7において、YESと判定された場合には、ステップS9〜S11において、上記各席用のシートベルトセンサ55a〜55cの検出信号に基づき各席に着座した乗員がシートベルト装置を着用しているか否かを判定する。そして、上記ステップS9〜S11において、それぞれYESと判定された場合には、ステップS12,S13,S14において、上記各席用プリテンショナー51〜53を作動させる制御信号を出力して、上記各プリテンショナー51〜53を作動させる。
【0057】
そして、上記第2実施形態の場合、図8または図14に示すように、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビング32aにより上記ヘッドレスト本体16bに対し車体外方への荷重が作用してこのヘッドレスト本体16bの車体内方側の側部が凹に撓んでも、上記中央席用シートベルト装置32に設けられたプリテンショナー52により、上記ヘッドレスト本体16bのへこみに起因するウエビング31aの仮想的な引き出し量の増加分を巻き取って除去することができる。このため、乗員を確実に保持することができるようになる。しかも、中央席のプリテンショナー52のインフレータ52cの爆薬の量は、右または左側席のプリテンショナー51,53のインフレータの爆薬量に比べて多いため、上記ウエビング32aの巻き取り能力が高くされている。このため、上記中央席のプリテンショナー52は、上記両側席のプリテンショナー51,53において必要な衝突時の乗員の保持に必要なウエビング32aの弛みを除去する能力に加えて、ヘッドレスト16のヘッドレスト本体16bが凹に撓むことに起因するウエビング32aの仮想的な引き出し量の増加分をも巻き取って除去する能力を有することになる。このため、上記ウエビング32aの仮想的な引き出し量の増加分を確実に巻き取って、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0058】
また、上記ウエビング32aが、ヘッドレスト16のヘッドレスト本体16bの下面とシートバック12の上面との間に侵入しようとしても、上記ヘッドレスト本体16bの車体内方側の側部に対し当接するだけであり、ヘッドレスト本体16bの下面とシートバック12の上面との間への侵入を阻止することができるようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体16bの下面で上下方向に屈曲しない状態になり、上記ヘッドレスト本体16bの下面においてウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカー32cの取付位置において支持させることができるようになる。このため、上記乗員に対して下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになり、その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0059】
さらに、図8に示すように、ウエビング32aが上記ヘッドレスト本体16bの車体内方側の側部に当接してこの側部が凹に撓むと、ポール部16aに取り付けられた上部及び下部ワイヤ部材16c,16dが相対的に突出するようになる。このため、上記ウエビング32aが上方または下方へ移動しようとしても、上記上部及び下部ワイヤ部材16c,16dによりその移動が規制されるようになる。このため、例えば、上記ウエビング32aが上記ヘッドレスト16の上側に乗り上げて車体外方側に移動してしまい、上記ウエビング32aが仮想的に延びた状態になって、乗員に対し変動荷重が作用することを防止することができるようになる。その結果、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0060】
<第3実施形態>
図15及び図16は本発明の第3実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示し、この第3実施形態は、第1実施形態とは異なり、ガイド面を備えたガイド部材17fをヘッドレスト本体17bの心材17eに取り付けるようにしている。
【0061】
そして、上記車両用ヘッドレスト装置17は、乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体17bと、このヘッドレスト本体17bを上記シートバック12に対し連結するポール部17a,17aとにより構成されている。上記ヘッドレスト本体17bは、逆U字状に形成されてその上端部分が前方に向かって屈曲している心材17eと、この心材17eの周囲を囲み正面視で略台形に形成されたパッド部17cとにより構成されている。そして、上記パッド部17cの外周囲は表皮材17dにより覆われている。また、上記ポール部17a,17aは、上記心材17eの下端にそれぞれ連結されて上記ヘッドレスト本体17bの下面から下方に突出するようになっている。そして、上記心材17e及びポール部17a,17aにより、ヘッドレスト17のフレームが構成されるようになっている。
【0062】
そして、上記心材17eの車体内方側部分には、ガイド部材17fが取り付けられている。このガイド部材17fは、上記ヘッドレスト本体17b後側の車体内方側コーナー部に沿って上面視で略L字状に屈曲されており、上下方向に拡がる側面部及び後面部を有するようになっている。そして、上記側面部及び後面部の上縁と下縁とには、それぞれ各縁に沿って車体内方または後方に突出する外れ止めとしての凸部17g,17gが連続して形成されている。また、上記側面部の前縁には、車体外方側に延びるステイ17hが設けられており、このステイ17hと上記心材17eの車体内方側部分とが溶接されることにより、上記ガイド部材17fが上記ヘッドレスト17のフレームに対し固定されるようになっている。
【0063】
上記ヘッドレスト本体17bの車幅方向両側部は、上記ポール部17a,17aの突出位置から上方に向かってそれぞれ車体内方側または外方側に拡がるように傾斜した傾斜面17i,17iとして形成されている。また、上記表皮材17dは、上記ヘッドレスト本体17bの形状を保持できる程度の硬さを有するもので形成すればよく、例えば、熱可塑性のポリエステルエラストマー(商品名ハイトレル)により形成すればよい。また、上記ヘッドレスト17の成形は、例えば、まず、予め成形された表皮材17dを成形型にセットし、この型内に上記ガイド部材17fを取り付けたフレームをセットするようにする。次いで、上記成形型内に発泡原料を注入してこの発泡原料を発泡固化させる一体成形により成形すればよい。
【0064】
なお、上記シートバック12、シートベルト装置32のその他の構成は第1実施形態のものと同様であるために、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0065】
そして、上記第3実施形態の場合、図17または図18に示すように、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビング32aによりヘッドレスト変態12bの車体内方側の側部に対し荷重が作用しても、上記ガイド部材17fが上記ヘッドレスト本体12bの後側の車体内方側コーナー部に沿って配設されているため、上記ヘッドレスト17の側部が凹に撓むことを防止することができるようになる。このため、上記ウエビング32aの屈曲の緩和を防止してこのウエビング32aの仮想的な引き出し量の増加を回避することができるようになる。その結果、上記ウエビング32aにより乗員を確実に保持することができるようになり、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。また、上記ガイド部材17fの上下縁にそれぞれ設けられた凸部17g,17gにより、上記ウエビング32aの上下方向の移動が規制されるようになる。このため、上記ウエビング32aが上記ガイド部材17fから上下方向に脱落することを防止して常にウエビング32aがガイド部材17fにより案内されるようになる。これにより、上記ヘッドレスト17の側部が凹に撓むことを確実に防止することができるようになる。その結果、上記シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に行うことができるようになる
また、ヘッドレスト本体17bの下面とシートバック12の上面との間に侵入したとしても、上記ヘッドレスト本体17bの車体内方側の側部に設けられた傾斜面17fに沿って上記ウエビング32aは、その間から外方にすぐに移動するようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト本体17bの下面で屈曲した状態になることが防止されるため、上記ヘッドレスト本体17bの下面においてウエビング32aに作用する荷重を支持することがなく、その荷重をアンカー32cの取付位置において支持させることができるようになる。このため、上記乗員に対して下方に押し下げるような力を作用させることを防止して、すべり込み現象等を確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0066】
加えて、上記ヘッドレスト17の車体内方側の側部が上方に向かって車体内方に傾斜して形成されているため、上記ウエビング32aの上方への移動を規制することができるようになる。このため、上記ウエビング32aがヘッドレスト17の上側に乗り上げることを確実に防止することができるようになる。その結果、シートベルト装置32による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0067】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1、第2及び第3実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第3実施形態では、ポール部17aの車体内方側垂直部に、略L字状のガイド部材17fを取り付けるようにしているが、これに限らず、例えば図19に示すように、ヘッドレスト本体18bを、ブロー成形により形成した芯材18cと、その外周囲を覆うクッション材が介装された表皮材18dとで構成し、上記芯材18cの下面に逆U字状に形成されたポール部18aを取り付けてヘッドレスト18を構成してもよい。この場合、上記ヘッドレスト本体18bの車体内方側の側面であるガイド面が、ウエビングにより作用する荷重に対向して凹に撓まない程度の剛性を有することになる。このため、上記ウエビングの屈曲が緩和されることを防止することができ、その結果、ウエビングにより乗員を確実に保持して、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができるようになる。
【0068】
上記第1〜第3実施形態では、中央席用シートベルト装置32を車体右側のDピラー43に取り付けているが、これに限らず、車体左側のDピラーに取り付けるようにしてもよい。この場合、後部座席の左側シートバックまたはこの左側シートバックに設けられたヘッドレストを上記第1〜第3実施形態と、あるいは、上記の他の実施形態と同様に構成すればよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両用乗員保護装置によれば、衝突時に慣性力が作用して乗員の上体が前方に移動することに伴いヘッドレストのガイド面で車幅方向に屈曲されたウエビングにより、車体外方向きの荷重が上記ガイド面に対し作用しても、上記ガイド面は剛体により形成されているためその力に抗することができる。このため、上記ヘッドレストのへこみに起因する上記ウエビングの屈曲の緩和を防止してウエビングの仮想的な引き出し量の増加を回避することができる。その結果、上記ウエビングにより乗員を確実に保持することができ、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0070】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、乗員の頭部が当接するヘッドレストの部位を軟質部材により形成することにより、乗員の頭部に対する十分な保護機能を得ることができるとともに、ウエビングの引き出しを案内するガイド面は剛体により形成されているため、ウエビングの仮想的な引き出し量の増加を回避してシートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を得ることができる。
【0071】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、ガイド面により案内されたウエビングが、衝突時にたとえ上下方向に移動しても、上記ガイド面の上下両縁部にそれぞれ設けられた外れ止めによりその移動が規制されるため、上記ウエビングがガイド面から上下方向に脱落することを防止することができる。このため、上記ウエビングの引き出しが常にガイド面により案内されることになり、上記ヘッドレストの側部が凹に撓んで上記ウエビングの仮想的な引き出し量の増加を確実に回避することができる。その結果、上記シートベルト装置による乗員の拘束・保持を確実に行うことができる。
【0072】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、ガイド面を心材に固定することにより、このガイド面に対し衝突慣性力に起因するウエビングの車体外方への荷重が作用しても、この荷重に抗してガイド面自体が移動してしまうことを防止することができる。このため、上記ウエビングの仮想的な引き出し量が増加することを確実に回避することができ、その結果、上記ウエビングにより乗員を確実に保持して、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0073】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明による効果に加えて、ウエビングの引き出しを連結杆の外側面で案内することにより、上記ウエビングの車幅方向の屈曲が緩和することを確実に防止して、このウエビングの仮想的な引き出し量の増加を確実に回避することができる。これにより、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。しかも、ガイド面として別体のものを取り付けないため、見栄えよくすることができる。
【0074】
請求項6記載の発明によれば、衝突慣性力による乗員の上体が前方に移動することに伴い、ウエビングによる車体外方への荷重がヘッドレストのガイド面に作用しこのガイド面が凹にへこんで上記ウエビングの仮想的な引き出し量が増加してしまう分を、除去手段により除去することができる。このため、上記ウエビングは、乗員を確実に保持することができ、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0075】
請求項7記載の発明によれば、上記請求項6記載の発明による効果に加えて、中央席用のシートベルト装置の除去手段は、端席用のシートベルト装置の除去手段に比べてその除去能力を高く設定されているため、上記中央席用除去手段は、衝突時の乗員の保持に必要なウエビングの弛みの除去を確実に行うことができる上に、ヘッドレストのガイド面のへこみによるウエビングの仮想的な引き出し量の増加分をも除去することができる。その結果、上記ウエビングは、乗員をより一層確実に保持することができ、シートベルト装置による乗員の拘束・保持機能を確実に得ることができる。
【0076】
請求項8記載の発明によれば、上記請求項1または請求項6記載のいずれかの発明による効果に加えて、ガイド面がヘッドレストから突出しないため、見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の後部車室内を示す斜視説明図である。
【図2】第1実施形態に係る右側シートバック及びヘッドレストを示す一部切り欠きの正面説明図である。
【図3】第1実施形態に係る右側シートバック及びヘッドレストを示す一部切り欠きの側面説明図である。
【図4】図1に示す右側シートバックの上部およびヘッドレスト部分を拡大した一部切り欠きの正面説明図である。
【図5】図2に示す右側シートバックの上部およびヘッドレスト部分を拡大した一部切り欠きの側面説明図である。
【図6】第1実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す側面説明図である。
【図7】第1実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す平面説明図である。
【図8】第1実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す正面説明図である。
【図9】第2実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す斜視説明図である。
【図10】第2実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す断面図である。
【図11】プリテンショナー制御装置を示すブロック図である。
【図12】プリテンショナーを示す断面説明図である。
【図13】プリテンショナーの制御を示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図6対応図である。
【図15】第3実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す斜視説明図である。
【図16】第3実施形態に係る車両用ヘッドレスト装置を示す一部切り欠きの正面説明図である。
【図17】第3実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図7対応図である。
【図18】第3実施形態において中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図8対応図である。
【図19】他の実施形態に係るヘッドレストを示す図16対応図である。
【図20】従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図6対応図である。
【図21】従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図7対応図である。
【図22】従来の車両用ヘッドレスト装置を用いて中央席用シートベルト装置を使用した状態を示す図8対応図である。
【符号の説明】
1 後部座席
12 シートバック
14〜19 ヘッドレスト
22 右側席(一端側端席)
23 中央席
32 中央席用シートベルト装置
51〜53 プリテンショナー(除去手段)
14a ポール部(ガイド面)
15a〜18a ポール部
15b ヘッドレスト本体(ガイド面)
14b,17b〜18b ヘッドレスト本体
14e〜17e,18c 心材
17c ガイド部材(ガイド面)
17d 凸部(外れ止め)
32a ウエビング

Claims (8)

  1. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用であって上記中央席の車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けられた3点式シートベルト装置と、上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に設けられたヘッドレストとを備えた車両用乗員保護装置であって、
    上記ヘッドレストの上記中央席に向いた面には、上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面が形成され、
    上記ガイド面は、剛体により構成されている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  2. 請求項1において、
    乗員の頭部が当接するヘッドレストの部位は、軟質部材により形成されていることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  3. 請求項1において、
    ガイド面は少なくとも上下に延びる平滑面により構成され、かつ、このガイド面の上下両端縁部にはそれぞれ車体内方側に突出してウエビングの上下方向への脱落を規制する外れ止めが形成されている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  4. 請求項1において、
    ヘッドレストは乗員の頭部を保護するヘッドレスト本体と、このヘッドレスト本体から下方に延び上記ヘッドレスト本体をシートバックに連結する連結杆とにより構成され、上記ヘッドレスト本体は、上記連結杆と一体に連結された心材と、この心材の周囲を覆うパッド部とにより構成され、
    ガイド面は上記心材に対し固定されている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  5. 請求項4において、
    ガイド面は、連結杆の外側面により構成されている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  6. 車幅方向に3人並んで着座可能に構成された後部座席の中央席に着座する乗員用であって上記中央席の車幅方向一端側後方の車両内側面に取り付けられた3点式シートベルト装置と、上記中央席より車幅方向一端側に隣接する端席のシートバック上面に設けられたヘッドレストとを備えた車両用乗員保護装置であって、
    上記ヘッドレストの上記中央席に向いた面には、上記シートベルト装置の使用時に上記中央席の乗員に対するウエビングの引き出しを案内するガイド面が形成され、
    上記ガイド面は軟質部材により構成され、
    上記シートベルト装置は、衝突時に上記ガイド面の撓みに起因する上記ウエビングの弛みを除去する除去手段を備えている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  7. 請求項6において、
    後部座席の中央席より車幅方向一端側に隣接する端席に着座する乗員用のシートベルト装置を備え、このシートベルト装置はそのウエビングの弛みを除去する除去手段を備えており、
    中央席用のシートベルト装置の除去手段の除去能力は、上記端席用のシートベルト装置の除去手段の除去能力よりも高く設定されている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
  8. 請求項1または請求項6のいずれかにおいて、
    ガイド面はヘッドレスト本体の車体内方側の側面と面一に設けられている
    ことを特徴とする車両用乗員保護装置。
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