JP3942670B2 - ベンズアゼピン−n−酢酸誘導体、ベンズオキシアゼピン−n−酢酸誘導体およびベンゾチアアゼピン−n−酢酸誘導体および該誘導体の製造法並びに該化合物を含有する医薬品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−位で窒素原子に対してオキソ基を有し、かつ3−位で1個の1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ基によって置換されている新規のベンズアゼピン−N−酢酸誘導体、ベンズオキシアゼピン−N−酢酸誘導体およびベンゾチアアゼピン−N−酢酸誘導体およびその塩および生物活性エステル並びに前記化合物を含有する製薬学的調剤並びに前記化合物の製造法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明には、有用な薬理学的性質を有する新規のベンズアゼピン化合物、ベンズオキシアゼピン化合物およびベンゾチアアゼピン化合物を開発するという課題が課されている。更に、本発明には、心不全の治療のために使用可能な新規の製薬学的作用物質を開発するという課題が課されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
ところで、本発明による3−位で1個の場合によってはエステル化された1−(カルボキシアルキル)−シクロペンチルカルボニルアミノ基を有する新規のベンズアゼピン−N−酢酸誘導体、ベンズオキシアゼピン−N−酢酸誘導体およびベンゾチアアゼピン−N−酢酸誘導体は、心臓に作用する有用な薬理学的性質を有しており、中性のエンドペプチダーゼに対して有用な作用特性曲線を有する顕著な抑制作用を示し、こうした作用に基づき、該誘導体は、心不全の際に生じる高い心臓充填圧力を減少させ、従って心臓の負担を軽減し、利尿作用を増強させることができるということが見出された。
【0004】
従って、本発明は、一般式I:
【0005】
【化6】
【0006】
〔式中、
R1は、低級アルコキシ基が低級アルコキシ基によって置換されている低級アルコキシ低級アルキル基か、フェニル環中で低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子によって置換されていてもよいかまたは置換されていないフェニル低級アルキル基またはフェニルオキシ低級アルキル基またはナフチル低級アルキル基を表し、
Aは、CH2、OまたはSを表し、
R2は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R3は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R4は、水素原子または生物活性エステルを形成する基を表し、
R5は、水素原子または生物活性エステルを形成する基を表す〕
で示される新規化合物および式Iの酸の生理学的に認容性の塩に関するものである。
【0007】
式Iの化合物中で、置換基が、低級アルキル基またはアルコキシ基を表すかまたは含有している場合には、前記置換基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、殊に炭素原子1〜4個、好ましくは1〜2個を有しており、かつ有利にメチル基またはメトキシ基である。置換基がハロゲン原子を意味するかまたはハロゲン原子置換基を有する場合には、殊にフッ素原子、塩素原子または臭素原子、好ましくはフッ素原子または塩素原子が該当する。
【0008】
式Iの化合物の場合、Aは、メチレン基、酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくはメチレン基である。
【0009】
式Iの化合物は、フェニル環中に置換基R2およびR3を有していてもよい。好ましくは、双方の置換基R2およびR3は、水素原子を表すかあるいはまた少なくとも前記置換基の1つは水素原子を表す。
【0010】
R1は、好ましくは、1つの芳香環を有する基、好ましくは低級アルキレン鎖が炭素原子1〜4個、好ましくは1〜2個を有していてもよい置換されているかまたは置換されていないフェニル低級アルキル基またはフェニルオキシ低級アルキル基を表す。殊にR1は、場合によっては1回または数回、ハロゲン原子、低級アルコキシまたは低級アルキルによって置換されていてもよい置換されているかまたは置換されていないフェネチル基またはナフチルエチル基を表す。R1が、低級アルコキシによって置換された低級アルコキシ低級アルキル基を意味する場合には、前記低級アルコキシ低級アルキル基は、好ましくは、低級アルコキシ基が、炭素原子1〜4個、好ましくは1〜2個を有し、かつ低級アルコキシ、殊にメトキシによって置換されている低級アルコキシメチル基を表す。
【0011】
式Iの化合物は、場合によってはエステル化されたジカルボン酸誘導体である。実施態様に応じて、生物活性モノエステルは、殊にR4が1個の生物活性エステルを形成する基を表し、R5が水素原子を表す化合物かまたはジカルボン酸が有利であり、この場合、ジカルボン酸は、静脈内投与に適している。
【0012】
生物活性エステルを形成する基R4およびR5としては、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基またはオキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC2〜C6−アルカノイルオキシメチル基が適している。1個の生物活性エステルを形成する基R4およびR5が、低級アルキル基を表す場合には、前記低級アルキル基は、炭素原子1〜4個、好ましくは2個を有する有利に非分枝鎖状のアルキル基であってもよい。1個の生物活性エステルを形成する基が、置換されているかまたは置換されていないフェニル低級アルキル基である場合には、前記フェニル低級アルキル基のアルキレン鎖は、炭素原子1〜3個、好ましくは1個を有していてもよい。フェニル環が、低級アルキレン鎖によって置換されている場合には、前記低級アルキレン鎖は、炭素原子3〜4個、殊に3個を有していてもよい。フェニル含有の置換基R4および/またはR5としては、殊にフェニル基、ベンジル基またはインダニル基が適している。R4および/またはR5が、置換されているかまたは置換されていないアルカノイルオキシメチル基である場合には、前記アルカノイルオキシメチル基のアルカノイルオキシ基は、炭素原子2〜6個、好ましくは3〜5個を有していてもよく、好ましくは分枝鎖状であり、かつ例えばピバロイルオキシメチル基(=第三ブチルカルボニルオキシメチル基)であってもよい。
【0013】
本発明によれば、式Iの新規化合物および該化合物の塩は、自体公知の方法により、一般式II:
【0014】
【化7】
【0015】
〔式中、R1は、上記の意味を有し、R4aは、酸保護基を表す〕で示される酸または該酸の反応性の酸誘導体と、一般式III:
【0016】
【化8】
【0017】
〔式中、R2、R3およびAは、上記の意味を有し、R5aは、酸保護基を表す〕で示されるアミンと反応させて一般式IV:
【0018】
【化9】
【0019】
〔式中、R1、R2、R3、R4a、R5aおよびAは、上記の意味を有する〕で示されるアミドにし、かつ式IVの化合物中で、酸保護基R4aおよびR5aが、1個の生物活性エステルを形成する望ましい基を表さない場合には、これらの酸保護基を、同時にかまたは任意の順序で互いに脱離させ、望ましい場合には、それぞれ、遊離する酸基を、一般式Vのアルコールまたは一般式Va:
R6−OH(V)、R6−X(Va)
〔式中、R6は、1個の生物活性エステルを形成する基を表し、Xは、脱離可能な反応性基を意味する〕で示される相応する反応性誘導体を用いてエステル化し、
望ましい場合には、得られた式Iの酸を、該酸の生理学的に認容性の塩に変えるかまたは式Iの酸の塩を遊離酸に変えることによって得られる。
【0020】
式Iのジカルボン酸またはモノエステルの生理学的に認容性の塩としては、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩あるいは生理学的に認容性で製薬学的に中性の有機アミン、例えばジエチルアミンまたは第三ブチルアミンとの塩が該当する。
【0021】
式Iの化合物は、2個のキラル炭素原子、即ち、環骨格の3−位にアミド側鎖を有する炭素原子およびアミド側鎖の基R1を有する炭素原子を有している。従って、この化合物は、複数の光学活性立体異性体の形でかまたはラセミ体として存在することができる。本発明は、式Iのラセミ体の混合物並びに異性体の純粋な化合物を包含している。
【0022】
式IIの酸と式IIIのアミンとを反応させて式IVのアミドにすることは、アミノアシル化によってアミド基を形成させるための自体公知の方法により実施することができる。アシル化剤としては、式IIの酸または該酸の反応性の誘導体を使用することができる。反応性の誘導体としては、殊に混合された無水酸および酸ハロゲン化物が該当する。従って、例えば式IIの酸の酸塩化物または酸臭化物または式IIの酸と有機スルホン酸、例えば低級アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸または芳香族スルホン酸、例えばベンゾールスルホン酸あるいは低級アルキルまたはハロゲン原子によって置換されたベンゾールスルホン酸、例えばトルオールスルホン酸またはブロムベンゾールスルホン酸との混合されたエステルを使用することができる。アシル化は、反応条件下で不活性の有機溶剤中で、好ましくは−20℃から室温の間の温度で行われる。溶剤としては、殊にハロゲン化された炭化水素、例えばジクロロメタンまたは芳香族炭化水素、例えばベンゾールまたはトルオールあるいは環式エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサンもしくは前記溶剤の混合物が適している。
【0023】
アシル化は、好ましくは、アシル化剤として式IIの酸とスルホン酸との混合した無水物が使用される場合に、酸形成試薬の存在下に実施することができる。酸形成剤としては、反応混合物中に溶解する塩基、殊に有機塩基、例えば第三低級アルキルアミンおよびピリジン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンが適している。過剰量で使用された有機塩基は、同時に溶剤としても使用することができる。
【0024】
式IIの酸と有機スルホン酸との混合された無水酸は、その場で、式IIの酸と、酸ハロゲン化物、殊に酸塩化物、有機スルホン酸との反応によって得ることができ、単離することなしに、更に式IIIのアミン化合物と直接反応させることができる。
【0025】
アシル化剤として、式IIの酸自体が使用される場合には、式IIIのアミノ化合物と、式IIの酸との反応は、好ましくは、ペプチド化学からアミド形成のために適しているとして知られているカップリング試薬の存在下に実施することができる。カップリング試薬がその場で反応性の酸誘導体を形成しながら酸と反応することによって、遊離酸を用いるアミド形成を促進するようなカップリング試薬の例としては、殊にアルキルカルボジイミド、例えばシクロアルキルカルボジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−カルボジイミド、カルボニルジイミダゾールおよびN−低級アルキル−2−ハロゲンピリジニウム塩、殊にハロゲン化物またはトシレート、好ましくはN−メチル−2−クロロピリジニウム−ヨウ化物(例えば、ムカイジャマ(Mukaijama)、応用化学(Angewandte Chemie)、第91巻、第789〜812頁をみよ)。カップリング試薬の存在下での反応は、好ましくは、−30〜+50℃の温度で、溶剤、例えばハロゲン化された炭化水素および/または芳香族溶剤を使用しながら、場合によっては酸結合するアミンの存在下に実施することができる。
【0026】
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる式IVの化合物から、保護基R4aおよびR5aは、該保護基が式Iの化合物中で望ましい1個の生物活性エステルを形成する基を表さない場合には、自体公知の方法で脱離させることができる。
【0027】
保護基R4aおよびR5aとしては、酸官能基の保護のために常用の保護基を選択することができ、この保護基は、引き続き、自体公知の方法により再度脱離される。適当な酸保護基は、例えばMcOmie、“Protective Groups in Organic Chemistry”、Plenum PressおよびGreene、“Protective Groups in Organic Synthesis”、Wiley Intersience Publicationの記載から公知である。
【0028】
R4およびR5が同一であるような式Iの化合物が製造されることになる場合には、好ましくは、出発化合物IIおよびIII中で同一の保護基R4aおよびR5aが選択される。
【0029】
R4およびR5が種々の意味を有するような式Iの化合物が製造されることになる場合には、好ましくは、出発化合物IIおよびIII中で、種々の条件で、自体公知の方法により選択的に再度脱離させることができるような種々の保護基が選択される。種々の条件下で脱離可能な3つの保護基の例としては、以下のものが挙げられる:
1.塩基性の条件下に容易に脱離されるが、しかし、酸性の条件または水素化分解に対して本質的に安定性であるようなメチルエステルまたはエチルエステル、
2.酸によって容易に脱離できるが、しかし、塩基性の条件または水素化分解に対して本質的に安定性であるような第三ブチルエステルおよび
3.水素化分解によるかあるいはまた塩基性の条件下に脱離できるが、しかし、酸性の条件に対して本質的に安定性であるようなベンジルエステル。
【0030】
例えば、R4およびR5が双方とも水素原子であるような式Iのジカルボン酸化合物が製造されることになる場合には、保護基R4aおよびR5aとしては、有利に酸性の脱離可能な保護基、例えば第三ブチル基が使用され、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる式IVの第三ブチルエステル化合物は、引き続き、酸を用いる処理によって脱離される。この脱離は、例えばトリフルオロ酢酸またはハロゲン化された炭化水素、例えばジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸溶液としてのトリフルオロ酢酸を用いる処理によってかまたは反応条件下で不活性の有機溶剤中、例えば酢酸エチルエステル中のHClガスを用いる処理によって行われる。この反応は、−25℃から室温の間の温度で実施することができる。
【0031】
例えば、R4が1個の生物活性エステルを形成する基を表し、R5が水素原子であるような式Iのモノカルボン酸化合物が製造されることになる場合には、式IIの出発化合物としては、R4aが既に1個の生物活性エステルを形成する望ましい基、例えばエチル基を表すような化合物が使用され、式IIIの化合物中の保護基R5aとしては、R4−OCO−基が脱離されないような条件下に脱離される保護基が使用される。R4−OCO−基が、相対的に酸安定性のエチルエステル基である場合には、保護基R5aとしては、例えば酸によって脱離可能な第三ブチル基または水素化分解により脱離可能な基、例えばベンジル基が適している。
【0032】
式IIの化合物中のR4aが、酸に敏感で1個の生物活性エステルを形成する基を表す場合には、式IIIの化合物中の保護基R5aとしては、好ましくは、水素化分解より脱離可能な基、例えばベンジル基が選択され、かつこの基は、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって生じた式IVの化合物から水素化分解により脱離される。この水素化分解は、反応条件下で不活性の有機溶剤中、例えば低級アルコール、例えばエタノールまたは低級アルキルエステル、例えば酢酸エチルエステル中で、触媒、好ましくはPd/C−触媒の存在下での接触反応による水素化によって行うことができる。好ましくは、接触反応による水素化は、4〜5バールの水素圧で、室温で実施される。
【0033】
しかしながら、R4が1個の生物活性エステルを形成する基を表し、R5が水素原子を表すような式Iの化合物の製造のためには、種々の反応性を有する種々の保護基R4aおよびR5aを有する式IIおよびIIIの出発化合物を選択することもでき、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応によって得られる式IVの化合物からは、まず、保護基R5aを保持しながら保護基R4aを脱離し、次に、一般式IV′:
【0034】
【化10】
【0035】
〔式中、R1、R2、R3、R5aおよびAは、上記の意味を有する〕で示される反応生成物中に、1個の生物活性エステルを形成する望ましい基R4を、式IV′の化合物の遊離酸基と式VまたはVaの化合物との反応によって挿入し、引き続き、式IVの得られた化合物から保護基R5aを脱離することもできる。
【0036】
従って、例えばR4aが、酸によって脱離可能な保護基、殊に第三ブチル基を表し、R5aが、酸安定性の保護基、例えばベンジル基を表すような式IVの化合物からは、まず、保護基R4aだけを酸により脱離することができる。次に、式IV′の得られたモノカルボン酸を、エステル形成のために自体常用の方法により、式Vのアルコールまたは式Vaの相応する化合物を用いてエステル化することができる。式Vaの化合物中の脱離可能な反応性基Xとしては、ハロゲン原子、殊に塩素原子または臭素原子あるいは有機スルホン酸基、例えば低級アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸または芳香族スルホン酸、例えばベンゾールスルホン酸あるいは低級アルキルまたはハロゲン原子によって置換されたベンゾールスルホン酸、例えばトルオールスルホン酸の基が適している。エステル化のために、式Vのアルコールは、例えば式IV′の酸または前記の酸の反応性の酸誘導体と、アルコールのアシル化のための自体公知の方法で反応させることができる。この反応は、例えば式IIの化合物と式IIIの化合物との反応のために記載された反応条件下で実施することができる。
【0037】
同様の方法で、相応する種々の保護基の選択によって、R5が1個の生物活性エステルを形成する基を表し、R4が水素原子を表すかまたはR5とは異なる1個の生物活性エステルを形成する基を表すような式Iの化合物を製造することもできる。
【0038】
前記の反応の場合、式IIおよびIIIの出発化合物中のキラル中心は、変動せず、従って、出発化合物の種類に応じて、式Iの異性体の純粋な化合物または異性体混合物を得ることができる。式Iの異性体の純粋な、ひいては光学的に単一の化合物の製造のためには、好ましくは、式IIのエナンチオマーの純粋な化合物は、式IIIのエナンチオマーの純粋な化合物と反応させられる。式IIのエナンチオマーの純粋な化合物が式IIIのラセミ体の化合物と反応するかまたは式IIのラセミ体の化合物が式IIIのエナンチオマーの純粋な化合物と反応する場合には、望ましい場合に、自体公知の方法で分離することができるような2つのジアステレオマーからなる混合物がそれぞれ得られる。式IIのラセミ体の化合物と式IIIのラセミ体の化合物との反応は、望ましい場合に、自体公知の方法で分離することができるような4つの異性体からなる相応する混合物が生じる。
【0039】
式IIの出発化合物は、自体公知の方法により得ることができる。
【0040】
例えば、一般式IIa:
【0041】
【化11】
【0042】
〔式中、R4aは、上記の意味を有し、R1aは、低級アルコキシ低級アルコキシメチル基を除いてR1について記載された意味を有する〕で示される化合物は、一般式VI:
【0043】
【化12】
【0044】
〔式中、R4aおよびR1aは、上記の意味を有する〕で示されるアクリル酸誘導体を一般式VII:
【0045】
【化13】
【0046】
で示されるシクロペンタンカルボン酸と反応させることによって得ることができる。この反応は、自体公知の方法で、マイケル付加の条件下に、反応条件下で不活性の有機溶剤中で、シクロペンタンカルボン酸と、シクロペンタンカルボン酸のジアニオンを形成できる強塩基とを反応させ、かつ引き続き、式VIのアクリルエステル誘導体と反応させることによって行われる。溶剤としては、エーテル、殊に環式エーテル、例えばテトラヒドロフランが適している。強塩基としては、非求核性の有機アルカリ金属アミド、例えばリチウムジイソプロピルアミドが適している。好ましくは、テトラヒドロフラン中のシクロペンタンカルボン酸は、2当量のリチウムジイソプロピルアミドと反応させられ、かつこの反応混合物は、引き続き、式VIの化合物と更に反応させられる。この反応温度は、−70〜0℃の間であってもよい。
【0047】
一般式IIb:
【0048】
【化14】
【0049】
〔式中、R4aは、上記の意味を有し、R1bは、低級アルコキシ低級アルコキシメチル基を表す〕で示される化合物は、一般式VIII:
R4aOOC―CH2―CH2―Y VIII
〔式中、R4aは、上記の意味を有し、Yは、ハロゲン原子を表す〕で示されるハロゲン化カルボン酸エステルを、式VIIでのシクロペンタンカルボン酸と反応させ、得られた一般式IX:
【0050】
【化15】
【0051】
〔式中、R4aは、上記の意味を有する〕で示される反応生成物を、一般式Xb:
R1b―X Xb
〔式中、R1bおよびXは、上記の意味を有する〕で示される化合物と反応させることによって得ることができる。式VIIIのハロゲン化カルボン酸エステルと式VIIのシクロペンタンカルボン酸との反応は、自体公知の方法で、反応条件下で不活性の溶剤中で、シクロペンタンカルボン酸のジアニオンを形成できる強塩基の存在下に行われる。例えば、この反応は、シクロペンタンカルボン酸と式VIの化合物との反応について記載された条件下で実施することができる。式IXの酸と式Xbの化合物との引き続き反応は、自体公知の方法で、カルボン酸エステルのα−アルキル化に適した条件下に、反応条件下で不活性の有機溶剤中で、強塩基の存在下に実施することができる。好ましくは、Xが塩素原子または臭素原子を表す式Xbの化合物が使用される。溶剤としては、エーテル、殊に環式エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサンが適している。強塩基としては、アルカリ金属水素化物またはアルカリ金属アミド、例えばリチウムジイソプロピルアミドを使用することができる。
【0052】
式IIの化合物は、基R1を有する炭素原子に接して、キラル中心を有し、合成の際に該化合物のラセミ体の形で得られる。この光学活性化合物は、ラセミ体の混合物から、自体公知の方法で、例えばキラル分離材料によるクロマトグラフィーの分離によってかまたは適当な光学活性の塩基、例えばα−メチルベンジルアミンまたは偽性エフェドリンと反応させ、引き続き、取得された塩を分画された結晶化によって前記化合物の光学対掌体に分離することによって得ることができる。
【0053】
式VIのアクリル酸エステル誘導体は、自体公知の方法で、式XI:
【0054】
【化16】
【0055】
〔式中、R4aおよびR1aは、上記の意味を有し、R7およびR8は、それぞれ、低級アルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基を表す〕で示される(ジ低級アルキルホスホノ)−酢酸エステル誘導体を、ホルムアルデヒドと、反応条件下で不活性の有機溶剤中で、塩基性の条件下に反応させることによって得ることができる。例えば式XIの化合物を、パラホルムアルデヒドと、エーテル中、好ましくは環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン中で、塩基、好ましくは非求核性のアルカリ金属アルコラート、例えばカリウム−第三ブチラートの存在下に、−20〜+30℃の間の温度で反応させることができる。
【0056】
式XIの化合物は、自体公知の方法で、一般式XII:
【0057】
【化17】
【0058】
〔式中、R4a、R7およびR8は、上記の意味を有する〕で示されるホスホノ酢酸誘導体を、式Xa:
R1a―X Xa
〔式中、RaおよびXは、上記の意味を有する〕で示される化合物と反応させることによって得ることができる。この反応は、アルキル化のために常用の条件下に、反応条件下で不活性の極性で非プロトン性の有機溶剤中で、塩基の存在下に、0〜80℃の温度で実施することができる。好ましくは、Xがハロゲン原子、殊に臭素原子またはヨウ素原子を表すかまたはトシレートを表すような式Xaの化合物が使用される。溶剤としては、例えばアミド、例えばジメチルホルムアミドあるいはまたエーテルが適している。塩基としては、非求核性のアルカリ金属アルコラート、例えばカリウム−第三ブチラートが適している。
【0059】
また、式VIの化合物は、一般式XIII:
【0060】
【化18】
【0061】
〔式中、R4aおよびR1aは、上記の意味を有する〕で示されるマロン酸誘導体を、自体公知の方法で、ホルムアミドを用いて塩基性の条件下に処理することによって得ることもできる。従って、式XIIIのマロン酸誘導体を、例えばホルムアミド水溶液と、第二級有機アミン、殊にピペリジンの存在下に、0〜30℃の温度、好ましくは室温を下回る温度で反応させることができる。また、式XIIIのマロン酸誘導体を、パラホルムアルデヒドと、ピリジン中で40〜60℃の温度で反応させることもできる。
【0062】
式XIIIのマロン酸モノエステルは、一般式XIV:
R4aOOC―CH2―COOR9 XIV
〔式中、R4aは、上記の意味を有し、R9は、低級アルキル基、殊にメチル基を表すかまたはベンジル基を表す〕で示されるマロン酸ジエステルを、式Xaの化合物と反応させ、一般式XV:
【0063】
【化19】
【0064】
〔式中、R1a、R4aおよびR9は、上記の意味を有する〕で示される得られたマロン酸ジエステル誘導体を、部分的に加水分解することによって式XIIIの相応するマロン酸モノエステル誘導体に変えることによって得ることができる。
【0065】
基R1aを式XIVのマロン酸ジエステルの中に導入することは、自体公知の方法で、極性で非プロトン性の有機溶剤中、好ましくはジメチルホルムアミド中で、塩基、好ましくは飛球核性のアルカリ金属アルコラート、例えばカリウム−第三ブチラートの存在下に0℃〜80℃の温度で、式XIVのエステルと式Xaの化合物とを反応させることによって行うことができる。この反応は、例えば式XIの化合物と式Xaの化合物との反応のために記載された条件下で実施することができる。
【0066】
式XVの得られた置換マロン酸ジエステルは、基R9の脱離によって、自体公知の方法で、式XIIIの相応するマロン酸モノエステルに変えることができる。保護基R4aと基R9とが種々の反応性を有する異なる基である場合には、基R9の脱離のためには、好ましくは、基R4aが攻撃されないような条件が選択される。 R9がベンジル基を表す場合には、脱離は、自体公知の方法で、水素化分解により行うことができる。低級アルキルエステルR9は、アルキル基の種類に応じて、酸性またはアルカリ性の条件下で、自体公知の方法で加水分解により脱離される。好ましくは、R9は、アルカリ性の加水分解によって脱離することができるエチル基である。これについては、式XVのアルキル基は、低級アルコール中または低級アルコールと水とからなる混合物中で、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化カリウムを用いて処理することができる。基R4aおよびR9が同一である場合には、この場合、アルカリ金属ヒドロキシドの量は、部分的な加水分解だけが生じるような程度に少なく保持される。
【0067】
式IIIの化合物は、自体公知の方法で、一般式XVI:
【0068】
【化20】
【0069】
〔式中、R2、R3およびAは、上記の意味を有し、基R10R11N−基は、アミノ保護基によって保護されたアミノ基を表す〕で示される化合物を、一般式XVII:
X―CH2―COOR5a XVII
〔式中、R5aおよびXは、上記の意味を有する〕で示される化合物と反応させ、かつ一般式XVIII:
【0070】
【化21】
【0071】
〔式中、R2、R3、R5a、AおよびR10R11N−基は、上記の意味を有する〕で示される得られた反応生成物中で、R10R11N−基から、遊離アミノ基を遊離させることによって得ることができる。式XVIの化合物と式XVIIの化合物との反応は、アミドのアルキル化のための自体常用の方法により実施することができる。好ましくは、Xがハロゲン原子、好ましくは臭素原子またはヨウ素原子であるような式XVIIの化合物が使用される。この反応は、極性で非プロトン性の有機溶剤中、例えばジメチルホルムアミドまたは環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン中で、塩基の存在下に実施することができる。塩基としては、非求核性の塩基、例えばカリウム−第三ブチラートが適している。望ましい場合には、この反応は、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化カリウムの存在下に、二相系中で、相間移動触媒、例えばテトラ低級アルキルアンモニウムハロゲン化物、例えばテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下に実施することができる。
【0072】
引き続き、式XVIIIの得られた化合物中で、自体公知の方法で保護基を脱離させることによって、アミノ基を遊離することができる。アミノ基の保護のために、アミノ基の保護のために自体公知で容易に再度脱離可能な保護基、例えばペプチド化学から公知の保護基を使用することができる。適当な保護基は、例えばE.McOmie、“protective groups in organic chemistry”、Plenum Press、1971年の記載から公知である。例えば、保護基としては、フタルイミド基または第三ブトキシカルボニル基あるいはまたベンジルオキシカルボニル基が適している。R5aの意味に応じて、引き続き基R5aが攻撃されないような条件下で脱離可能であるようなそれぞれの保護基が選択されなければならない。塩基性の媒体中で脱離可能な保護基としては、例えば高められた温度、例えば70〜90℃の温度でエタノールアミンまたはヒドラジンを用いて処理することによって脱離することができるようなフタルイミド基が適している。フタルイミド基は、例えばAが硫黄原子であるような化合物のための保護基として適している。酸性の脱離可能な保護基としては、例えば酢酸エチルエステル中での酸を用いる処理、例えばトリフルオロ酢酸または塩酸ガスを用いる処理によって再度脱離することができるような第三ブトキシカルボニル基が適している。第三ブトキシカルボニル基は、例えばAが酸素原子であるような化合物のための保護基として適している。水素化分解により脱離可能な保護基としては、例えばパラジウム/炭素触媒の存在下に水素を用いて水素化することによって脱離することができるようなベンジルオキシカルボニル基が適している。
【0073】
式IIIの化合物は、アミノ基を有する炭素原子に接してキラル中心を有している。式XVIの光学的に純粋な出発化合物から出発される場合には、このことは、殊に、Aが酸素原子または硫黄原子を表すような化合物に当てはまる。式XVIのラセミ体の化合物から出発される場合には、式IIIのラセミ体の化合物も得られる。このことは、一般に、Aがメチレン基を表すような化合物の場合に該当する。式IIIの化合物のラセミ体の混合物は、自体公知の方法で、例えばキラル分離材料によるクロマトグラフィーの分離によってかまたは適当な光学活性の酸、例えば酒石酸と反応させ、引き続き、取得された塩を分画された結晶化によって前記化合物の光学対掌体を分離することによって該化合物の光学異性体から分離することができる。望ましい光学異性体の収率を向上させるために、適当な光学活性の酸との反応の際に、反応混合物中での光学活性の酸を用いる1つの異性体の塩の十分な沈殿と同時にかまたは後に、好ましい芳香族アルデヒド、例えばベンズアルデヒドの添加によって、溶液中に残留する異性体のRe−ラセミ化を開始することができる。この場合、キラル中心に接してのラセミ化は、アルデヒドを用いるイミン形成によって引き起こされる。
【0074】
式XVIの化合物は、自体公知の方法で得られる。例えば、一般式XVIa:
【0075】
【化22】
【0076】
〔式中、R2、R3およびR10R11N−基は、上記の意味を有する〕で示される化合物は、一般式XIX:
【0077】
【化23】
【0078】
〔式中、R2、R3およびYは、上記の意味を有する〕で示される化合物中で、ハロゲン原子Yを自体公知の方法で、R10R11N−基によって代替させることによって得ることができる。例えば式XIXの化合物は、アミドR10R11NHのアルカリ金属塩、好ましくはカリウム−フタルイミドと反応させることができる。この反応は、反応条件下に不活性で非プロトン性の有機溶剤中、好ましくはジメチルホルムアミド中で40〜80℃の温度で行うことができる。
【0079】
式XIXの化合物は、自体公知の方法で、式XXの化合物をベックマン転位の条件下に酸を用いて処理することによって、一般式XX:
【0080】
【化24】
【0081】
〔式中、R2、R3およびYは、上記の意味を有する〕で示されるオキシム化合物のベックマン転位によって得ることができる。好ましくは、式XXの化合物は、60〜90℃の温度でポリリン酸を用いる処理によって式XIXの化合物に転位される。
【0082】
式XXのオキシムは、一般式XXI:
【0083】
【化25】
【0084】
〔式中、R2およびR3は、上記の意味を有する〕で示される環式ケトンから出発して、式XXIのケトンを、まず、基Yの導入のためにハロゲン原子を用いて処理し、かつ得られたハロゲン化されたケトンを、引き続き、ヒドロキシルアミンと反応させることによって得ることができる。好ましくは、ケトンのα−ハロゲン化および引き続くオキシム形成は、一槽法で実施することができ、この場合、式XXIのケトンは、まず、不活性有機溶剤中、例えば低級アルコール、例えばメタノール中で、ハロゲン原子を用いて処理され、引き続き、この反応混合物にヒドロキシルアミンが供給される。好ましくは、このヒドロキシルアミンは、ヒドロキシルアミンの塩、例えばヒドロクロリドの形で使用され、かつこの反応混合物に少量の水が添加される。この方法は、0〜40℃の温度、好ましくは室温で実施することができる。
【0085】
一般式XVIb:
【0086】
【化26】
【0087】
〔式中、R2、R3およびR10R11N−基は、上記の意味を有し、Aaは、酸素原子または硫黄原子を表す〕で示される化合物は、自体公知の方法で、一般式XXII:
【0088】
【化27】
【0089】
〔式中、R2、R3、AaおよびR10R11N−基は、上記の意味を有する〕で示される芳香族アミノ酸化合物の環化によって得ることができる。式XXIIの化合物の環化は、脱水しながら進行し、かつラクタム形成のための自体常用の方法により行うことができる。従って、環化は、例えばペプチド化学からアミド形成のために知られている酸基を活性化するカップリング試薬、例えばカルボジイミドの存在下に、反応条件下で不活性の極性有機溶剤中、例えばジメチルホルムアミド中で行うことができる。この反応は、例えば式IIの化合物と式IIIの化合物との反応のために記載された条件下で実施することができる。酸基を活性化する試薬としては、ジエチルホスホノシアニドを使用することもでき、かつこの反応は、有機塩基、例えばトリ低級アルキルアミン、例えばトリエチルアミンの存在下に実施することができる。
【0090】
一般式XXIIの化合物は、自体公知の方法で、一般式XXIII:
【0091】
【化28】
【0092】
〔式中、R2、R3、AaおよびR10R11N−基は、上記の意味を有する〕で示される相応するニトロ化合物の還元によって得ることができる。ニトロ基の還元は、ニトロベンゾール化合物を還元してアニリン化合物にするための自体公知の方法により、例えば接触反応による水素化によってパラジウム/炭素触媒の存在下に実施することができる。また、この還元は、水素原子をその場で生じるような他の還元剤、例えば金属性の鉄/塩酸または金属性の亜鉛/塩酸を使用しながら実施することもできる。
【0093】
一般式XXIIIの化合物は、自体公知の方法で、一般式XXIV:
【0094】
【化29】
【0095】
〔式中、R2およびR3は、上記の意味を有する〕で示されるo−フルオロニトロベンゾール化合物と一般式XXV:
【0096】
【化30】
【0097】
〔式中、AaおよびR10R11N−基は、上記の意味を有する〕で示される酸とを反応させることによって得ることができる。式XXVの化合物は、アミノ基が保護されているセリン誘導体もしくはシステイン誘導体である。この反応は、反応条件下に不活性の有機溶剤中で、塩基の存在下に行われる。フルオロニトロベンゾールと強い求核性のシステイン誘導体との反応は、低級アルコールまたはアルコール/水混合物中で、弱塩基、例えば炭酸水素ナトリウムの存在下に実施することができる。相対的に弱い求核性のセリン誘導体との反応のためには、好ましくは、極性の有機溶剤中、例えばジメチルホルムアミド中の強塩基、例えばアルカリ金属水素化物が使用される。
【0098】
望ましい場合には、式XXIIIの化合物の形成後に、本来的には式XXVの化合物中に存在するアミノ保護基を、自体公知の方法で、反応性の点で基R5aとはより良好に異なっており、ひいては式XXIIIの化合物の後加工に良好に適しているような別のアミノ保護基と交換することができる。
【0099】
式Iの化合物および該化合物の薬理学的に認容性の塩は、重要な薬理学的性質によって顕著である。殊に、この物質は、中性のエンドペプチダーゼ(=NEP)に対する抑制作用を及ぼすものである。NEPとは、内因性ナトリウム尿***亢進ペプチド、例えば心房性ナトリウム尿***亢進ペプチド(=ANP)の分解を生じるような酵素である。NEP活性に対する前記物質の抑制作用によって、この物質は、生物学的活性およびNEPによって攻撃可能なナトリウム尿***亢進ペプチド、殊にANPの寿命を改善できるようにし、従って、この種のホルモンの作用によって有用な影響を及ぼされた病気の状態、殊に心不全の治療に適している。
【0100】
心不全の場合、病気に制限され、心臓の拍出効率が減少されることによって、反射的に高められた抹消抵抗、ひいては肺の循環系および心臓自体の中への血液の鬱滞を生じてしまう。この結果、心房および心室において心室壁拡張を招く高い心臓充填圧が生じる。こうした状況において、心臓は、内分泌性器官のように機能し、即ち、血管拡張性および利尿作用/ナトリウム尿***活性を有するANPを血管中に分泌する状態になる。ANPは、高められた心臓充填圧に対して減少させるように作用する。このことは、利尿作用/ナトリウム尿***亢進(循環血液容量の減少)および抹消抵抗の減少(前負担の減少および後負担の減少)によって生じる。ANPの心臓の負担の軽減作用は、内因性心臓保護メカニズムと見なされている。しかし、ANPの作用は、NEPのホルモンが迅速に分解されるので、極短時間である。
【0101】
本発明による化合物のNEP抑制の性質に基づき、本発明による化合物は、ANPの血管保護作用メカニズムを改善することができ、殊に、利尿作用/ナトリウム尿***亢進活性の増強の点で高い有効性を示すものである。
【0102】
本発明による化合物は、良好な認容性を有する有用な作用特性によって顕著であり、この場合、NEP阻害作用の十分な選択性を有し、かつ付加的になおエンドテリン変換酵素(=ECE)に対する阻害作用を認められるものである。心不全のより強度の段階の場合、反射的に、アンギオテンシンII、エンドテリンおよびカテコールアミンの血中含量を高め、ひいては抹消抵抗および心臓充填圧を更に高めてしまい、このことによって、心筋は、肥大し、拡張する。この場合、ECE阻害の付加的性質は、本発明による物質の抹消抵抗に対する減少させる作用を増強することができる。
【0103】
前記物質のNEP阻害の性質およびECE阻害の性質および利尿作用/ナトリウム尿***亢進を増強する性質は、薬理学的標準試験により、試験管内および生体内で検証された。
【0104】
薬理学的試験方法の記載:
1.最少毒性用量の決定
体重20〜25gの雄のマウスに、試験物質300mg/kgの経口最大用量を投与した。この動物を、3時間、中毒の徴候について注意深く観察した。投与後72時間の時間に亘って、付加的に、全ての徴候および死亡を記録した。死亡または著しい中毒の徴候が観察された場合、他のマウスに、中毒の徴候がもはや現れなくなるまで、より一層少ない用量を投与した。死亡または著しい中毒の徴候を引き起こす最も少ない用量は、以下の表A中に、最少毒性用量として記載されている。表A中に記載された例の数字は、以下の製造例に関するものである。
【0105】
【表1】
【0106】
2.前記物質のNEP抑制作用の試験管内試験および酵素分子に対する該物資分
子の親和力の決定
中性のエンドペプチダーゼ(=NEP)に対する本発明による物質の抑制作用の検証のために、試験管内での標準試験で、NEPの酵素活性によって行われるメチオニン−エンケファリン(=Met−エンケファリン)の加水分解に対する該物質の阻害作用を試験した。この場合、該物質の阻害作用についての尺度として該物質のKi値(=阻害定数)を定めた。酵素阻害作用を有するの試験物質のKi値は、酵素試験物質配合物もしくは(酵素基質)−試験物質配合物の解離定数であり、かつ濃度のディメンションを有している。
【0107】
試験の実施
試験の実施のために、精製されたNEP10ng(E.C.3.4.24.11)と、それぞれ異なる量の試験物質および基質(Met−エンケファリン)およびトリス緩衝液(=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/HCl、pH7.4)50mMを含有する種々の培養液の試料それぞれ100μlを製造する。
【0108】
試験物質1つ当たり、それぞれ、2、5、7、10、12、15、40および100μMのMet−エンケファリン量と組み合わせた3つの異なる試験物質濃度を有するそれぞれ24種の異なる培養液を製造する。
【0109】
全ての試験の際に、それぞれ2種類の対照培養液、一方では試験物質を含有していない酵素対照および他方では酵素も試験物質も含有している基質対照も一緒に処理する。
【0110】
培養液を、37℃で45分間、振盪水浴中で恒温保持した。この場合、酵素反応を、15分後に、基質(Met−エンケファリン)の添加によって開始させ、かつ恒温保持時間の終了時に、95℃で5分間の加熱によって停止させる。引き続き、停止された培養液を、12000×gで3分間遠心分離し、上清中で、反応しなかった基質の濃度および酵素反応によって形成された加水分解生成物の濃度を測定する。このために、上清のそれぞれの試料を、疎水性にされたシリカゲルによりHPLC(=高圧液体クロマトグラフィー)によって分離し、酵素反応の生成物および反応しなかった基質を、205nmの波長で測光により測定する。HPLC分離のために、逆相分離剤として、Encapharm(登録商標)100RP18、5μを内容物とする分離カラム(4.6×250mm)を使用する。溶剤流は、毎分1.4mlであり、カラムを40℃に昇温させる。流動剤Aは、H3PO45mM、pH2.5であり、流動剤Bは、アセトニトリル+1%のH3PO45mM、pH2.5である。
【0111】
種々の試料中で測定された加水分解生成物および反応しなかった基質の濃度から、全ての試験物質について、Ki値を、自体公知の方法で算出する。以下の表Bは、試験物質について見出されたKi値を再現するものである。表B中に記載された例の数字は、以下の製造例に関するものである。
【0112】
【表2】
【0113】
3.該物質のECE抑制作用の試験管内試験
エンドテリン変換酵素(=ECE)に対する本発明による物質の抑制作用の検証のために、標準試験で、試験管内で、ECEの酵素活性によって行われるBig−エンドテリン(bigET−1)の加水分解に対する該物質の阻害作用を試験した。この場合、該物質の阻害作用についての尺度として該物質のIC50値を定めた。酵素阻害作用を有する試験物質のIC50値は、ECEの酵素活性の50%が阻害されているような試験物質の濃度である。
【0114】
ECEを含有する内皮細胞−膜画分の製造
ヒトのECE組み換えを実験した(Schmidt他、Federationof European Biochemical Societies Letters、第356号(1994年)第238〜243頁を見よ)チャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞(=チャイニーズ・ハムスター、卵巣細胞、以下CHO細胞と略記する)を溶解し、かつ細胞膜を、10000×gで10分間遠心分離することによって分離した。3回の再懸濁および繰り返された遠心分離によって細胞膜を洗浄した。ECEを含有する細胞膜画分を、トリス/HCl緩衝液(=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/HCl、pH7.0、NaCl250mMを含有する)100mM中で再懸濁させ、−70℃で凍結乾燥させて酵素試験まで保存する。
【0115】
試験の実施
試験の実施のために、内皮細胞膜のECEの蛋白質を含有する調製物5μgおよびそれぞれ異なる量の試験物質および基質(合成ペプチド:H2N−Asp−Ile−Ala−Trp−Phe−Asn−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOH)24μMおよびトリス緩衝液(=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/HCl、pH7.0、塩化ナトリウム250mMを含有する)100mMを含有する種々の培養液の試料それぞれ100μlを製造した。その上更に、全ての培養液中に、チオルファン100μMおよびカプトプリル10μMおよびフェニルスルホニルフロリド1mM、ペプスタチンA(=プロテアーゼ阻害剤)100μMおよびアマスタチン(=プロテアーゼ阻害剤)100μMが含有されている。
【0116】
試験物質1つ当たり、それぞれ二重測定としての3つの異なる試験物質濃度を有するそれぞれ6つの異なる培養液を製造する。
【0117】
全ての試験の際に、それぞれ、酵素を含有していない対照も一緒に処理する。
【0118】
この培養液を、基質を添加する前に、37℃で15分間、前恒温保持する。酵素反応を、基質の添加によって開始させ;この酵素反応を、60分間継続し、37℃で行われ、かつ95℃で5分間培養液を加熱することによって停止させる。酵素反応によって基質から形成された加水分解生成物H2N−Asp−Ile−Ala−Trp−COOHおよびH2N−Phe−Asn−Thr−Pro−Glu−His−Val−Val−Pro−Tyr−Gly−Leu−Gly−COOHを、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。HPLC測定の実施は、前記のNEP抑制作用の試験管内試験の場合と同様にして行われる。
【0119】
種々の試料中で測定された加水分解生成物の濃度から、全ての試験物質について、IC50を、自体公知の方法で算出した。以下の表Cは、試験物質について見出されたIC50値を再現するものである。
【0120】
【表3】
【0121】
4.容量負荷されたラットの場合の利尿作用/ナトリウム尿***亢進に対する該
物質の影響の生体内測定。
【0122】
生体内活性を、容量負荷されたラットの場合に試験した。前記の試験の場合、等張性塩化ナトリウム溶液の浸出によって高い心臓充填圧が引き起こされ、この結果、ANP放出およびこれによって利尿作用/ナトリウム尿***亢進になる。
【0123】
試験の実施:
試験を、200〜400gの体重の雄のウィスター・ラットを用いて実施する。神経弛緩性沈痛状態で(フェンタニール;Hypnorm(登録商標)、製造元、Fa.Janssen)、カテーテルを、等張性塩化ナトリウム溶液を用いる背面浸出(Hintergrundinfusion)および容量負荷のために右の大腿部の静脈の中に接続する。開腹後に、第2のカテーテルを膀胱の中に入れ、かつ尿管を結紮し、これによって、尿容量、ナトリウム尿***亢進およびカリウム尿***亢進(Kaliurese)の測定ができるようにする。
【0124】
腹腔を再度閉鎖し、かつこの動物に、2時間の全試験時間で、塩化ナトリウム溶液(体重100g当たり0.5ml)を用いて持続的に浸出させた。30分間の平衡期間後に、試験物質投与の前の前段階で、3回、10れぞれ10分間で、尿試料を採集する。この投与前の値(=“プレドラッグ(Predrug)”値)を、試験動物が、連続的に排尿を行うことを検査するために測定する。
【0125】
この後、試験物質を含有する溶液を、静脈内(大腿部の静脈の中へのボーラス注射)または経口(食道ゾンデを用いる)により、それぞれ10匹のラットの群に投与する。双方の投与形態について、それぞれ1つの対照群に、作用物質を含有していない偽薬だけを与える。この物質の静脈内投与の5分後もしくは経口投与の120分後に、これらのラットに、高められた容量の塩化ナトリウム溶液で負担をかけ(2分間で体重100g当たりに2ml)、60分間に亘って尿を採集する。前記の時間で生じる尿の量を測定し、この尿の中に含まれているナトリウム含量およびカリウム含量を測定する。生じた尿の量から、投与前の値と比べた容量負荷しながら行われた***量の増大を読み取る。
【0126】
以下の表Dには、容量負荷しながら試験物質の投与後に生じた排尿量の増大を、容量負荷しながら偽薬投与後に行われる排尿量の増大に対して%で記載している。更に、容量負荷しながら試験物質の投与後のナトリウムおよびカリウムの***量を、容量負荷しながら行われた偽薬投与後に行われるナトリウム量およびカリウム量の%で記載している。
【0127】
【表4】
【0128】
前記の試験結果から、式Iの化合物が、NEPに対する高い親和性を有し、前記のANP分解酵素の抑制によって血液中でのANP含量の増大に関与し、このことによって、カリウム損失を生じることなく、ANPによって引き起こされた利尿作用/ナトリウム尿***亢進作用を用量に応じて向上させることが判明した。
【0129】
式Iの化合物は、該化合物の前記の作用に基づいて、より大きな哺乳動物、殊にヒト用の医薬品として、心不全の治療および心不全に苦しむ患者の場合の利尿作用/ナトリウム尿***亢進を促進するのに適している。この場合、式Iのジカルボン酸およびその塩は、好ましくは、腸管外、殊に静脈内投与可能な医薬形で使用され、式Iのモノエステルまたはジエステルは、好ましくは、経口投与可能な医薬形で使用される。使用すべき用量は、個人により異なっていてもよく、勿論、治療すべき症状、使用された物質および投与形の種類に応じて変化する。例えば、腸管外の調剤は、一般に、経口調剤よりも作用物質の含有量が少なくなっている。しかしながら一般には、より大きな哺乳動物、殊にヒトに投与するために、一回量当たり1〜200mgの作用物質含量を有する医薬形が適している。
【0130】
治療薬としては、式Iの化合物は、生薬調剤の場合の常用の製薬学的助剤、例えば錠剤、カプセル剤、坐剤または溶液中に含有されていてもよい。前記の生薬調剤は、常用の固体または液状の担持剤、例えば乳糖、澱粉または滑石または液状パラフィンを使用しながらおよび/または常用の製薬学的助剤、例えば錠剤崩壊剤、溶剤または保存剤を使用しながら、自体公知の方法により製造することができる。
【0131】
以下の実施例は、本発明を詳細に説明するものであるが、しかし、本発明は、それによって制限されるものではない。
【0132】
新規化合物の構造は、分光分析試験、殊にNMRスペクトル、質量スペクトル、IRスペクトルまたはUVスペクトルおよび場合によっては比旋光度の測定によって保証されている。
【0133】
【実施例】
例 1:
3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル。
【0134】
A) ジメチルホルムアミド1リットル中のマロン酸ジエチルエステル160.1gの溶液に、カリウム−第三ブチラート123.4gを15℃の温度で少量ずつ添加した。この反応混合物を、30分間撹拌し、次に、室温で、ジメチルホルムアミド200ml中のフェネチルブロミド207.7gの溶液を滴加した。引き続き、この反応混合物を、1時間で60℃に昇温させ、かつ再度冷却させた。ジメチルホルムアミドを、減圧下に蒸発させ、残留している残分をメチル−第三ブチルエーテルと水との混合物中に入れた。有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ蒸発濃縮させた。油状の残分として残留する粗製生成物を、蒸留によって減圧下に生成した。2−エトキシカルボニル−4−フェニル−ブタン酸−エチルエステル202.5g、KP1.5=148〜153℃が得られた。
【0135】
B) エタノール285ml中の前記により得られたジエステル生成物23.6gの溶液に、水76ml中の水酸化カリウム6.17gの溶液を、氷冷却しながら添加した。この反応混合物を、室温で数時間撹拌した。引き続き、エタノールを減圧下に蒸発させ、かつ残分を、メチル−第三ブチルエーテルと水との混合物中に入れた。有機相を分離して廃棄し、かつ水相を、氷冷却しながら、希釈された塩酸水溶液を用いて酸性にし、引き続き、数回、メチル−第三ブチルエーテルを用いて抽出した。合わせたメチル−第三ブチルエーテル相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。粗製で油状の2−カルボキシ−4−フェニル−ブタン酸−エチルエステル20.2gが得られ、これを、更に精製することなしに、更に加工した。
【0136】
C) 前記により得られた生成物20.2gに、氷冷却しながら、順次、35重量%のホルムアルデヒド水溶液11mlとピペリジン9.23mlとを添加した。この反応混合物を、室温で数時間撹拌し、次に、メチル第三ブチルエーテルで希釈し、硫酸水素カリウム水溶液および水を用いて洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ蒸発濃縮させた。残分を、減圧下に乾燥させた。α−(2−フェニルエチル)−アクリル酸エチルエステル14.8gが得られた。
【0137】
D) 窒素雰囲気下に、無水テトラヒドロフラン150ml中のジイソプロピルアミン25.2mlを溶解し、かつ−35℃に冷却した。この溶液に、n−ヘキサン中の1.6−規定のブチルリチウム溶液100mlを滴加した。この後、この反応混合物を0℃で30分間撹拌し、引き続き、無水テトラヒドロフラン20ml中のシクロペンタカルボン酸8.1mlの溶液を滴加した。この反応混合物を0℃で2時間撹拌した。この後、無水テトラヒドロフラン20ml中のC)で得られたアクリルエステル16.8gの溶液を滴加し、この反応混合物を2時間0℃で放置し、引き続き、数時間−15℃で放置した。後処理のために、この反応混合物を、10%の塩酸水溶液を用いて酸性にし、かつn−ヘキサンを用いて抽出した。有機相を、半分飽和した重炭酸ナトリウム水溶液を用いて7回洗浄し、かつ水を用いて1回洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残分として得られた粗製生成物を、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル(8:2)を使用する、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。68〜69℃の融点を有する純粋な1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸19.6gが得られた。
【0138】
E) メタノール820ml中のα−テトラオン100gの溶液に、氷冷却しながら、臭素108.3gを緩徐に滴加した。この後、この反応混合物を室温で30分間撹拌し、次にまず、室温で、ヒドロキシルアミン−ヒドロクロリド122.4g添加し、引き続き、水110mlを添加した。この混合物を、室温で3日間撹拌した。次に、更に水493mlを添加し、この場合、1時間後に白色に沈殿物が生じた。この反応混合物を、更に3日間撹拌し、次に、5℃に冷却した。この沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、かつ40℃で減圧下に乾燥させた。130〜132℃の融点を有する2−ブロム−3,4−ジヒドロナフタリン−1(2H)−オン−オキシム136.7gが得られた。
【0139】
F) 前記により得られたオキシム79.5gを、80℃に昇温されたポリリン酸452gに少量ずつ添加し、かつこの反応混合物を80℃で18時間撹拌した。引き続き、水710mlで注意深く希釈し、かつこの混合物を室温で2時間撹拌した。生じた沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、もう一度水で洗浄し、最終的にメチル−第三ブチルエーテルで洗浄し、かつ水酸化カリウムにより60℃の温度で乾燥させた。168〜170℃の融点を有する3−ブロム−4,5−ジヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−2(3H)−オン66.6が得られた。
【0140】
G) 前記により得られた生成物80gを、ジメチルホルムアミド140ml中で懸濁させた。この懸濁液に、ジメチルホルムアミド205ml中のカリウムタルイミド72.6gの溶液を添加し、引き続き、60℃で16時間撹拌した。後処理のために、室温に冷却し、水800mlを緩徐に滴加し、かつこの混合物を氷冷却しながら2時間撹拌した。生じた結晶泥を吸引濾過し、まず、水/ジメチルホルムアミド混合物で洗浄し、次に、メチル−第三ブチルエーテルで洗浄し、引き続き、2日間60℃で減圧下に乾燥させた。185〜195℃の融点範囲を有する4,5−ジヒドロ−3−フタルイミド−1H−1−ベンズアゼピン−2(3H)−オン73.3gが得られた。
【0141】
H) ジメチルホルムアミド90ml中の前記により得られた生成物27gの懸濁液に、氷冷却しながら、ジメチルホルムアミド40ml中のカリウム第三ブチラート12.3gの溶液を添加した。氷冷却しながら30分間の冷却後に、ブロム酢酸−第三ブチルエステル20.7gを1時間で別個に0〜5℃で滴加した。これを、1時間で0℃に冷却した。次に、この反応混合物を40℃に昇温させ、水164mlを3時間で滴加し、更に30℃で1時間撹拌した。次に、この水溶液を、形成された沈殿物から傾瀉除去し、かつ残留した固体残分をメチル−第三ブチルエーテルから結晶化させた。形成された結晶体を吸引濾過し、水およびメチル−第三ブチルエーテルで洗浄し、かつ減圧下に60℃で乾燥させた。194〜197℃の融点を有する2,3,4,5−テトラヒドロ−オキソ−3−フタルイミド−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル26.3gが得られた。
【0142】
I) 前記により得られたエステル7gを、5分間で、80℃に昇温されたエタノールアミン13.8mlに添加した。5分後に、清澄な溶液が形成され、この溶液を室温に冷却し、かつトルオール105mlを用いて希釈した。この溶液を、5%の塩化ナトリウム水溶液140mlを用いて振り出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ蒸発濃縮させた。残留した残分を、メチル−第三ブチルエーテルから結晶化させた。117〜118℃の融点を有する3−アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル4.0gが得られた。
【0143】
J) 前記により得られたアミン2.9gおよび前記D)により得られた酸3.2gを、ジクロロメタン100ml中に溶解した。この反応混合物に、N−メチルモルホリン2.2ml、ヒドロキシベンゾトリアゾール1.27gおよびN−エチル−N−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド−ヒドロクロリドを、氷冷却しながら添加した。次に、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物をジクロロメタンを用いて希釈し、順次、水、硫酸水素カリウム水溶液、水、重炭酸水素ナトリウム水溶液および新たに水で洗浄した。この後、有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつこの溶剤を減圧下に蒸発させた。こうして得られた粗製生成物を、n−ヘキサン/酢酸エチルエステルを使用する、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを用いて僅かに高められた圧力で(=フラッシュクロマトグラフィー)精製し、この場合、溶離剤の酢酸エステル含量は、溶離する間に、開始時の1:9から3:7に上昇した。純粋な目的化合物5.4gが、油状生成物として得られた。
【0144】
IR−スペクトル(薄膜として):3400cm-1、1725cm-1、1660cm-1
例 2:
3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【0145】
3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例1を見よ)5gを、トリフルオロ酢酸16ml中に溶解した。この溶液を、室温で3時間撹拌した。後処理のために、このトリフルオロ酢酸を減圧下に蒸発させた。形成された残分を、ジクロロメタン中に溶解し、かつこの溶液を水で洗浄して稠性にした。引き続き、この有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残留した残分を、数回、n−ヘキサンと一緒に撹拌し、かつそれぞれ再度蒸発濃縮して乾燥物にした。目的化合物3.4gが、81〜104℃の融点範囲を有する固体のフォームとして得られた。
【0146】
例 3:
(3S,2′R)−3−{1−[2′−エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル。
【0147】
A) 1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸(製造は例1のDを見よ)30.5gおよびL−(−)−α−メチルベンジルアミン11.6gを、昇温させながらエタノール中に溶解した。この反応混合物を、12時間、冷蔵庫の中で冷却し、次に、生じた結晶泥を吸引濾過し、乾燥させ、数回(比旋光度が一定になるまで)エタノールから再結晶させ、引き続き、減圧下に乾燥させた。118〜121℃の融点を有する前記の酸のα−メチルベンジルアンモニウム塩17.7g、比旋光度[α]D 20=+5.6゜(メタノール中でc =0.5)が得られた。
【0148】
酸の遊離のために、前記の塩を水/ジクロロメタン混合物中に入れ、かつこの混合物を、硫酸水素カリウム水溶液を用いて酸性にした。有機相を分離し、かつ水相を、更に3回、ジクロロメタンを用いて抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残留した残分を、乾燥させた。純粋な(2′R)−1−[2′−(エトキシカルボニル−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸11.2g、比旋光度[α]D 20=+7.4゜(メタノール中でc=0.651)。
【0149】
B) ラセミ体の3−アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例1のIを見よ)24.5gの65℃に加熱された溶液に、65℃に加熱されたエタノール54ml中のL−(+)−酒石酸12.65gの溶液を添加した。この反応混合物を、室温で1時間撹拌した。次に、エタノール1.3ml中のベンズアルデヒド1.72mlの溶液を滴加した。得られた懸濁液を、80℃で還流下に14時間沸騰させ、次に、室温に冷却した。生じた結晶性の沈殿物を吸引濾過し、エタノール80ml中に入れ、かつ新たに還流下に8時間沸騰させた。次に、室温に冷却し、結晶体を吸引濾過し、かつ減圧下に50℃で乾燥させた。195〜196℃の融点および−152゜の比旋光度[α]D 20(メタノール中でc=0.5)を有する酒石酸の塩23.6gが得られた。
【0150】
塩基の遊離のために、水250mlおよびジクロロメタン108mlからなる混合物中の酒石酸の塩23.6gを撹拌しながら0℃に冷却し、かつアンモニア水溶液の添加によってpH9.6に調節した。有機相を分離し、水相を再度ジクロロメタン30mlを用いて抽出し、有機相を合わせ、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残留した残分を、メチル−第三ブチルエーテルから結晶化させ、かつ減圧下に乾燥させた。113〜115℃の融点および−276.2゜の比旋光度[α]D 20(メタノール中でc=0.5)を有する(3S)−3−アミノ−2,3,4, 5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル12.2gが得られた。
【0151】
C) 前記A)により得られた酸5.4gを、無水ジクロロメタン60ml中に溶解した。この溶液に、トリエチルアミン2.33mlを添加し、かつ−20℃に冷却した。次に、無水ジクロロメタン5ml中の塩化メタンスルホン酸1.31mlの溶液を緩徐に滴加した。15分間の撹拌後に、ジクロロメタン60ml中の前記B)により得られたアミン4.8gおよびトリエチルアミン2.33mlの溶液を滴加した。引き続き、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を水中に入れ、有機相を分離し、硫酸水素カリウム水溶液で洗浄し、引き続き、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濾過し、かつ減圧下に濃縮した。残留した粗製生成物を、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル(7:1)を使用する、シリカゲル500gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。減圧下での乾燥後に、油状物としての純粋な目的化合物9.5g、比旋光度[α]D 20=−115.2゜(メタノール中でc=0.463)が得られた。
【0152】
例 4:
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【0153】
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例3を見よ)9.4gを、氷冷却ながらジクロロメタン15ml中に溶解した。この溶液に、トリフルオロ酢酸31mlを添加し、かつこの反応混合物を、冷蔵庫の中で約12時間4℃で保持した。後処理のために、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を減圧下に蒸発させた。得られた粗製生成物を、酢酸エチルエステルの中に入れ、水、希釈された重炭酸ナトリウム水溶液および新たに水で洗浄した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残留した残分を、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、この場合、溶離剤は、まず、ジクロロメタンを使用し、次に、ジクロロメタン/メタノール(95:5)を使用した。得られた生成物を、2日間80℃で減圧下に乾燥させた。純粋な目的化合物7.3gが、71〜74℃の融点、比旋光度[α]D 20=−131.0゜(メタノール中でc=0.5)を有する固体のフォームとして得られた。
【0154】
例 5:
3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル。
【0155】
A) ジメチルホスホノ酢酸−第三ブチルエステル118gを、窒素雰囲気下に無水ジメチルホルムアミド875ml中に溶解した。この溶液に、カリウム−第三ブチラート58.9gを氷冷却しながら添加した。引き続き、この反応混合物を、短時間で60℃に加熱し、次に、室温に冷却させた。この反応混合物に、ジメチルホルムアミド110ml中の臭化フェネチル104.9gの溶液を滴加した。次に、この反応混合物を2時間で60℃に加熱した。後処理のために、このジメチルホルムアミドを減圧下に蒸発させ、かつ残留した残分をメチル−第三ブチルエーテル中に溶解した。この溶液を、硫酸水素カリウム水溶液を用いて酸性にした。次に、有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。得られた粗製生成物を、溶離剤としてジクロロメタン/メチル−第三ブチルエーテル(4:1)を使用する、シリカゲル3kgによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。純粋な2−(ジメチルホスホノ)−4−フェニル−n−酪酸−第三ブチルエステル105.1gが油状生成物として得られた。
【0156】
B) 前記により得られた生成物105.1gを、窒素雰囲気下に無水テトラヒドロフラン705ml中に溶解した。この溶液に、パラホルムアルデヒド28.4gを添加した。次に、テトラヒドロフラン100ml中のカリウム−第三ブチラート32.5gの溶液を緩徐に滴加した。引き続き、この反応混合物を1時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を、硫酸水素カリウムの冷たい水溶液を用いて酸性にし、かつメチル−第三ブチルエーテルを用いて希釈した。次に、この有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。得られた粗製生成物を、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル(9:1)を使用する、シリカゲル700gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。α−(フェネチル)−アクリル酸−第三ブチルエステル47.0gが、無色の油状物として得られた。
【0157】
C) 無水テトラヒドロフラン450ml中のジイソプロピルアミン50.2mlの−50℃に冷却された溶液に、n−ヘキサン中のブチルリチウムの1.6モルの溶液200mlを滴加し、かつこの反応混合物を、更に30分間0℃で保持した。引き続き、前記の温度で、無水テトラヒドロフラン40ml中のシクロペンタンカルボン酸16.2mlの溶液を滴加した。この反応混合物を、更に0℃で2時間撹拌した。次に、この混合物に、無水テトラヒドロフラン50ml中の前記B)により得られた生成物38gの溶液を緩徐に滴加した。この反応混合物を、0℃で更に2時間撹拌し、次に、更に数時間−15℃で放置した。後処理のために、この反応混合物を氷冷却しながら硫酸水素カリウムの飽和水溶液を用いて酸性にし、かつ3回、n−ヘキサンを用いて抽出した。合わせた有機相を、7回、半分飽和した重炭酸ナトリウム水溶液を用いて洗浄し、引き続き、水で洗浄し、次に、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。得られた油状の粗製生成物を、氷冷却されたn−ヘキサンから結晶化させた。75〜77℃の融点を有する純粋な結晶性の1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸41.9gが得られた。
【0158】
D) 前記により得られた生成物3.3g、3−アミノ−2,3,4,−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例1のIを見よ)2.7g、N−メチルモルホリン1.53mlおよびヒドロキシベンゾトリアゾール1.18gを、窒素雰囲気下に、無水ジクロロメタン93ml中に溶解した。この溶液に、氷冷却しながらN−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド−ヒドロクロリド3.52gを添加した。次に、この反応混合物を氷冷却しながら2時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を、順次、水、重炭酸ナトリウム水溶液および再度水で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残留した粗製生成物を、溶離剤としてのn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(7:3)を使用する、シリカゲル200gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、かつメチル−第三ブチルエーテルから結晶化させた。110〜114℃の融点を有する純粋な目的化合物4.2gが得られた。
【0159】
例 6:
3−[1−(2′−カルボキシ−4′−フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【0160】
3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例5を見よ)4.1gを、4℃の温度で、湿分の遮断下にトリフルオロ酢酸13ml中に溶解した。得られた溶液を、前記の温度で更に3時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を減圧下に濃縮した。トリフルオロ酢酸の完全な除去のために、残分に数回ジクロロメタンを添加し、かつ再度蒸発濃縮させた。次に、得られた残分をジクロロメタン中に溶解し、この溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残分として残留する粗製生成物を、ジクロロメタンから結晶化させた。178〜183℃の融点を有する純粋な目的化合物2.7gが得られた。
【0161】
例 7:
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル。
【0162】
A) 1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸(製造は5のCを見よ)68gおよびL−(−)−α−メチルベンジルアミン23.5mlを、昇温させながらエタノール200ml中に溶解した。この反応混合物を、例3のA)に記載されているのと同様にして後処理した。118〜119℃の融点を有する前記の酸のα−メチルベンジルアンモニウム塩32.2g、比旋光度[α]D 20=+9.2゜(メタノール中でc=0.5)が得られた。酸の遊離のために、前記の塩を、例3のA)に記載された方法により更に処理した。68〜70℃の融点を有する(2′R)−1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸23g、比旋光度[α]D 20=+15.4゜(メタノール中でc=0.5)が得られた。
【0163】
B) 前記により得られた酸60.1gを、(3S)−3−アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例3のB)を見よ)50.3gと、例3のC)に記載された方法により反応させ、かつ得られた反応混合物を例3のC)に記載されたのと同様にして後処理した。フォームとしての目的化合物94.3g、比旋光度[α]D 20=−110.2゜(メタノール中でc=0.5)が得られた。
【0164】
IR−スペクトル(KBr−プレス加工品として):3420cm-1、1743cm-1、1725cm-1、1670cm-1
例 8:
(3S,2′R)−3−[1−(2′−カルボキシ−4′−フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【0165】
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例7を見よ)93gを、例6に記載された方法により、トリフルオロ酢酸を用いて水素化分解し、かつこの反応混合物を、例6に記載されたのと同様にして後処理した。97〜122℃の融点を有する固体のフォームとしての目的化合物63.5g、比旋光度[α]D 20=−136.2゜(メタノール中でc=0.5)が得られた。
【0166】
例 9:
(3S,2′S)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−3′−(2−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,5−ベンズオキシアゼピン−5(2H)−酢酸−ベンジルエステル。
【0167】
A) ジエチルエーテル200ml中の3−ブロムプロピオン酸100gの溶液に、硫酸7mlを添加し、かつこの反応混合物を−20℃に冷却した。次に、液化したイソブテン123mlを添加した。この反応混合物を、室温で数時間、圧力容器中で撹拌した。引き続き、この反応混合物を後処理のために希釈され氷冷却された苛性ソーダ水溶液中に入れた。エーテル相を分離し、かつ水相を再度エーテルを用いて抽出した。合わせた有機相を、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。得られた粗製生成物を、減圧下に蒸留した。3−ブロムプロピオン酸−第三ブチルエステル100g、KP20=75〜77℃が得られた。
【0168】
B) ジイソプロピルアミン50.4mlを、窒素雰囲気下に無水テトラヒドロフラン300ml中に溶解し、かつこの溶液を、−70℃に冷却した。この溶液に、前記の温度で、n−ヘキサン中のブチルリチウムの1.6モルの溶液200mlを滴加した。この反応混合物を、0℃に昇温させ、前記の温度で30分間撹拌し、かつ再度−20℃に冷却した。前記の温度で、無水テトラヒドロフラン30ml中のシクロペンタンカルボン酸16.2mlの溶液を滴加した。次に、この反応混合物を、室温で2時間撹拌した。引き続き、この混合物を−10℃に冷却し、かつテトラヒドロフラン100ml中の3−ブロムプロピオン酸−第三ブチルエステル35gの、−10℃に冷却された溶液に緩徐に滴加した。この反応混合物を、室温で数時間撹拌した。後処理のために、希釈された塩酸水溶液を用いて酸性にし、かつジエチルエーテル375mlを用いて希釈した。有機相を分離し、かつ水相を、更に3回、ジエチルエーテルそれぞれ100mlを用いて抽出した。合わせた有機抽出液を、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残留した残分を、ジエチルエーテル300ml中に溶解した。この溶液を、重炭酸ナトリウム水溶液で6回振盪し、引き続き、10%の炭酸ナトリウム水溶液で4回振盪した。合わせた炭酸ナトリウム溶液を、氷冷却しながら酸性にし、かつ3回、エーテルそれぞれ150mlを用いて抽出した。前記のエーテル抽出液を、エーテル系溶液と合わせ、かつ得られた溶液を、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。得られた粗製生成物を、氷冷却したn−ヘキサンから結晶化させた。78〜81℃の融点を有する純粋な1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−エチル]−1−シクロペンタンカルボン酸7.7gが得られた。
【0169】
C) ジイソプロピルアミン30mlを、窒素雰囲気下に無水テトラヒドロフラン100ml中に溶解し、かつこの溶液を−70℃に冷却した。この溶液に、n−ヘキサン中のブチルリチウムの1.6モルの溶液132mlを滴加し、この反応混合物を、0℃で更に30分間撹拌し、次に、新たに−70℃に冷却した。引き続き、この反応混合物に、順次、無水テトラヒドロフラン100ml中の前記のB)により得られた生成物24.2gの溶液を滴加し、次に、無水テトラヒドロフラン20ml中のメトキシエトキシメチルクロリド14.2mlの溶液を滴加した。この反応混合物を、室温で更に16時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を氷/水混合の中に入れ、硫酸水素カリウム水溶液を用いて酸性にし、かつ3回、酢酸エチルエステルそれぞれ300mlを用いて抽出した。有機相を合わせ、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残留した粗製生成物を、溶離剤としてのジクロロメタン/エーテル(8:2)を使用する、シリカゲル500gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。純粋な1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−3′−(2−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボン酸26.5gが油状物として得られた。
【0170】
D) 前記により得られたラセミ体の酸36.7gを、n−ヘキサン184ml中に溶解し、かつこの溶液に(+)−偽性エフェドリン18.4gを添加した。生じた沈殿物を、還流下で短時間沸騰させることによって再度溶液の中に入れた。次に、この溶液を冷却し、かつ数時間、冷蔵庫の中で放置した。形成された結晶性の沈殿物を吸引濾過し、氷冷却されたn−ヘキサンで洗浄し、かつ更に4回、n−ヘキサンから再結晶化させた。89〜91℃の融点を有する前記の酸の偽性エフェドリンの塩16.2g、比旋光度[α]D 20=+36.5゜(メタノール中でc=1)が得られた。
【0171】
酸の遊離のために、前記の塩16gをn−ヘキサン中で懸濁させ、かつこの反応混合物を氷冷却された硫酸水素カリウム水溶液を用いて酸性にした。有機相を分離し、かつ水相を、更に2回、n−ヘキサンを用いて抽出した。合わせた有機相を、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。この残分を、減圧下に50℃で乾燥させた。油状物としての(2′S)−1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−3′−(2−メトキシ−エトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボン酸9.9g、比旋光度[α]D 20=+2.9゜(メタノール中でc=1)が得られた。
【0172】
E) 水素化ナトリウム(80%のもの)17.2gを、窒素雰囲気下および湿分の遮断下に無水ジメチルホルムアミド400ml中に溶解した。前記の溶液に、0℃で、無水ジメチルホルムアミド50ml中のL−BOC−セリン(=N−(第三ブトキシカルボニル)−セリン)50gの溶液を緩徐に滴加した。この反応混合物を、緩徐に15℃に昇温させ、次に、ジメチルホルムアミド50ml中のo−ニトロフェノール37.4gの溶液を滴加し、かつこの反応混合物を、室温で更に数時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を、氷冷却した硫酸水素カリウム水溶液の上に注ぎ込んだ。次に、数回、酢酸エチルエステルを用いて抽出し、かつ合わせた有機相に、重炭酸ナトリウム水溶液を添加した。この水相を分離し、エーテルで洗浄し、引き続き、硫酸水素カリウムを用いて酸性にし、かつ酢酸エチルエステルを用いて抽出した。この酢酸エチルエステル抽出液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。粗製の(2S)−3−(2−ニトロフェノキシ)−2−(第三ブトキシカルボニルアミノ)−プロピオン酸54.2gが得られ、これを、更に精製せずに更に後処理した。
【0173】
F) 前記により得られた酸54.2gを、メタノール600ml中に溶解した。この溶液に、パラジウム触媒1.8g(Pd5%/炭素)を添加した。次に、1時間で、5バールの水素圧で水素化した。引き続き、触媒を濾別し、かつ濾過された溶液を減圧下に濃縮した。得られた粗製生成物を、氷冷却しながら、メチル−第三ブチルエーテル/n−ヘキサン混合物から結晶化させた。87〜91℃の融点を有する(2S)−3−(2−アミノフェノキシ)−2−(第三ブトキシカルボニルアミノ)−プロピオン酸30.1g、比旋光度[α]D 20=+55.9゜(メタノール中でc=1)が得られた。
【0174】
G) 前記により得られた酸13.3gを、湿分の遮断下に無水ジメチルホルムアミド71ml中に溶解した。この溶液に、氷冷却しながら、ジメチルホルムアミド6ml中のジエチルホスホノシアニド7.8mlの溶液を添加した。10分後に、トリエチルアミン5.7mlを滴加し、かつこの反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、この反応混合物を後処理のために氷水の上に注ぎ込み、かつメチル−第三ブチルエーテルを用いて数回抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残分として残留する粗製生成物を、エタノールから結晶化させた。(3S)−3−(第三ブトキシカルボニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1,5−ベンゾキシアゼピン−4(5H)−オン1.3g、比旋光度[α]D 20=−194゜(メタノール中でc=1)が得られた。
【0175】
H) 前記により得られた生成物16gを、湿分の遮断下にテトラヒドロフラン313ml中に溶解した。この溶液に、順次、テトラヒドロフラン30ml中のカリウム−第三ブチラート7.1gの溶液およびテトラヒドロフラン10ml中のブロム酢酸ベンジルエステル10.9mlの溶液を滴加した。この反応混合物を、室温で1時間撹拌した。引き続き、後処理のために、メチル−第三ブチルエーテルを用いて希釈し、水で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。得られた粗製生成物を、溶離剤としてのn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(3:2)を使用する、シリカゲル500gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。油状物としての純粋な(3S)−(第三ブトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1−,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸ベンジルエステル20.5g、比旋光度[α] D 20=−152゜(メタノール中でc=0.68)が得られた。
【0176】
I) 前記により得られた生成物20gを、ジクロロメタン137ml中に溶解した。この溶液に、トリフルオロ酢酸77mlを添加し、かつ1時間撹拌した。次に、減圧下に濃縮し、残分をジクロロメタン中に溶解し、かつアルカリ性の反応になるまで重炭酸ナトリウム水溶液を添加した。この有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。純粋な(3S)−3−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸ベンジルエステル15.7g、比旋光度[α]D 20=−187.5゜(メタノール中でc=0.536)が得られた。
【0177】
J) 前記により得られた生成物15.7gを、無水ジクロロメタン48ml中に溶解し、かつこの溶液に、室温で、順次、前記のD)により得られた酸1.6g、N−メチルモルホリン0.79mlおよびN−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド−ヒドロクロリド1.83gを添加した。この反応混合物を、室温で更に1時間撹拌した。次に、後処理のために、順次、水、硫酸水素カリウム水溶液、水、重炭酸ナトリウム水溶液および新たに水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に蒸発濃縮させた。残分として得られた粗製生成物を、溶離剤としてのn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(7:3)を使用する、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。油状物としての目的化合物1.8g、比旋光度[α]D 20=−96.3゜(メタノール中でc=0.326)が得られた。
【0178】
例 10:
(3S,2′S)−3−{1−[2′−カルボキシ−3′−(2−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸ベンジルエステル。
【0179】
(3S,2′S)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−3′−(2−メトキシ−エトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸ベンジルエステル(製造は例9を見よ)1.6gを、氷冷却しながらトリフルオロ酢酸5ml中に溶解した。この溶液を、4℃の温度で数時間放置した。引き続き、後処理のために減圧下で蒸発濃縮させ、かつ残分として残留した粗製生成物を、ジクロロメタン/メチル−第三ブチルエーテル/メタノール(85:15:5)を使用する、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥後に、油状物としての目的化合物1.0g、比旋光度[α]D 20=−117.2゜(メタノール中でc=0.42)が得られた。
【0180】
例 11:
(3S,2′S)−3−{1−[2′−カルボキシ−3′−(2−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸。
【0181】
(3S,2′S)−3−{1−[2−カルボキシ−3−(2′−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンズオキサアゼピン−5(2H)−酢酸ベンジルエステル(製造は例10を見よ)0.95gを、エタノール50ml中に溶解した。この溶液に、パラジウム触媒(Pd/炭素5%)0.2gを添加した。次に、2時間、5バールの水素圧で水素添加した。後処理のために、触媒から濾別し、濾過された溶液を減圧下に蒸留濃縮させ、かつ残留した残分を乾燥させた。フォーム状の生成物としての目的化合物0.7g、比旋光度[α]D 20=−142.6゜(メタノール中でc=0.5)が得られた。
【0182】
例 12:
(3R)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−(4−フルオロフェノキシ)−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4ーオキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル。
【0183】
A) ジメチルホスホノ酢酸−第三ブチルエステル20.5gを、例5のA)に記載された方法により、4−フルオロフェノキシエチルブロミド25gと反応させた。反応混合物を、例5のA)に記載されたのと同様に後処理した。4−(4−フルオロフェノキシ)−2−(ジメチルホスホノ)−n−酪酸−第三ブチルエステル20.4gが得られた。
【0184】
B) 前記により得られた生成物20.4gを、例5のB)に記載された方法によりパラホルムアルデヒド4.8gと反応させた。この反応混合物を、例5のB)に記載されたのと同様に後処理した。粗製生成物として、油状のα−[2−(4−フルオロフェノキシ)−エチル]−アクリル酸−第三ブチルエステル15.3gが得られた。これを、更にクロマトグラフィーにより精製せずに次の工程で更に加工した。
【0185】
C) 前記により得られた生成物15.3gを、例5のC)に記載された方法によりシクロペンタンカルボン酸5.1mlと反応させた。この反応混合物を、例5のC)に記載されたのと同様にして後処理した。58〜63℃の融点を有する1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−(4−フルオロフェノキシ)−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸6.0gおよび更に、なお僅かに汚染された油状の生成物7.6gが得られた。
【0186】
D) エタノール1800ml中の1−フルオロ−2−ニトロベンゾール100mlの溶液に、水550ml中のN−アセチル−L−システイン122.4gおよび炭酸水素ナトリウム181.9gの溶液を添加した。この反応混合物を、還流下に3時間沸騰させ、次に、室温に冷却し、かつ沈殿物から濾別した。この濾液を、約700mlに濃縮し、かつ残留した残分を水1.8lの中に入れた。水相を、ジエチルエーテルを用いて抽出し、引き続き、濃塩酸の水溶液を添加することによってpH1に調節した。黄色の固体が生じ、これを吸引濾過した。粗製のR−(2−ニトロフェニル)−N−アセチル−L−システイン253.6gが得られ、これを、更に精製せずに後処理した。
【0187】
E) 前記により得られた生成物253.6gに、18モルの硫酸825mlおよび水3.3lを添加した。この反応混合物を、還流下に40分間加熱し、次に、0℃に冷却した。濃縮されたアンモニア水溶液1925mlを添加した。この際に生じた固体を吸引濾過し、かつ水から再結晶化させた。R−(2−ニトロフェニル)−L−システイン143gが得られた。
【0188】
F) 前記により得られた生成物100gおよび炭酸カリウム62.2gを、水7リットル中に溶解した。引き続き、3時間で、カルベトキシフタルイミド120gを少量ずつ添加し、この反応混合物を更に5時間撹拌し、かつ更に数時間放置した。引き続き、生じた固体を吸引濾過し、かつ濾液を濃塩酸の水溶液を用いて2〜3のpH値にした。この際に生じた沈殿物を吸引濾過し、水で数回洗浄し、引き続き、エタノール約1lを用いて、僅かに昇温させながら(約40℃)懸濁させた。冷却後に、この固体を吸引濾過し、かつ空気に接して乾燥させた。(2R)−3−(2−ニトロフェニルチオ)−2−フタルイミドプロピオン酸100gが得られ、これを、更に精製せずに後処理した。
【0189】
G) 前記により得られた生成物100gを、メタノール1.5l中で懸濁させた。これに、パラジウム/炭素触媒(5%のもの)を添加し、かつこの反応混合物を5時間水素添加した。引き続き、触媒を分離し、かつ溶剤を減圧下に蒸発濃縮させた。黄褐色の油状物としての粗製(2R)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−フタルイミドプロピオン酸71.6gが得られ、これを、更に精製せずに後処理した。
【0190】
H) 前記により得られた生成物71.6gを、ジメチルホルムアミド中に溶解した。この溶液に、1−[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]−3−エチルカルボジイミド−ヒドロクロリド38.0gを添加し、かつこの反応混合物を、室温で3時間撹拌した。引き続き、この反応混合物を、酢酸エチルエステル1.5lを用いて希釈し、かつ数回、1規定の炭酸水素ナトリウム水溶液それぞれ1.5lを用いて抽出した。引き続き、この有機相を、2回、水それぞれ200mlで洗浄し、かつ減圧下に濃縮して乾燥物にした。この残分を、溶離剤としての酢酸エチルエステル/シクロヘキサン(1:1)を使用する、フラッシュクロマトグラフィーを用いて精製した。(3R)−2,3−ジヒドロ−3−フタルイミド−1,5−ベンゾチアアゼピン−4(5H)−オン46.3g得られた。
【0191】
I) テトラヒドロフラン300ml中の前記により得られた生成物46.3gの溶液に、粉末にされた水酸化カリウム10.6gおよびテトラブチルアンモニウムブロミド4.8gを添加した。この反応混合物を0℃に冷却し、次に、ブロム酢酸−第三ブチルエステル23.2mlを緩徐に滴加した。この反応混合物を、室温で更に3時間撹拌した。次に、濾過し、かつこの濾液を減圧下に濃縮して乾燥物にした。この残分をジエチルエーテルの中に入れ、かつこのエーテル相を、水および1モルの硫酸水素カリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥させ、引き続き、減圧下に濃縮した。残留した油状の粗製生成物に、酢酸エチルエステルおよびジエチルエーテルを添加した。形成された沈殿物を吸引濾過した。(3R)−5−(第三ブトキシカルボニルメチル)−2,3−ジヒドロ−3−フタルイミド−1,5−ベンゾチアアゼピン−4(5H)−オン34gが固体として得られた。減圧下での母液の濃縮後に、再度、僅かに汚染された油状生成物25gが得られた。
【0192】
比旋光度[α]D 20=−146℃(ジクロロメタン中でc=0.8)
J) 前記により得られた生成物2gに、エタノールアミン7.5mlを添加し、かつこの混合物を80℃で10分間撹拌した。引き続き、熱源を除去し、更に30分間撹拌した。この後、この反応混合物に、後処理のために、5%の塩化ナトリウム水溶液70mlを添加し、かつ得られた混合物を、トルオールを用いて抽出した。この有機相を分離し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮して乾燥物にした。粗製の更にトルオールを含有する(3R)−3−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル1.46gがトルオールを含有する固体として得られた。
【0193】
K) 無水ジクロロメタン100mlに、前記生成物1.45g、C)により得られたシクロペンタンカルボン酸誘導体1.75g、ヒドロキシベンゾトリアゾール0.7gおよびN−メチルモルホリン1.50mlを添加した。次に、この反応混合物を0℃に冷却し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド−ヒドロクロリド1.76gを添加し、かつこの反応混合物を室温で更に5時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物に1モルの硫酸水素カリウム溶液を添加し、この有機相を分離し、1モルの炭酸水素カリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮して乾燥物にした。得られた粗製生成物を、溶離剤としてのn−ヘキサン/酢酸エチルエステル(4:1)を使用する、フラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって精製した。目的化合物1.9gが油状物として得られた。
【0194】
IR−スペクトル(薄膜として):3366cm-1、3059cm-1、2969cm-1、2874cm-1、1727cm-1、1657cm-1、1505cm-1。
【0195】
例 13:
(3R)−3−{1−[2′−カルボキシ−4′−(4−フルオロフェノキシ)−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸。
【0196】
(3R)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−(4−フルオロフェノキシ)−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例12を見よ)1.9gを、例6に記載された方法により、トリフルオロ酢酸を用いて水素化分解した。この反応混合物を、例6に記載されたのと同様にして後処理した。非晶質の固体としての目的化合物0.56g、融点90〜94℃が得られた。
【0197】
例 14:
(3R)−3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−5′−(3,4−ジメトキシフェニル)−ペンチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル
A) トリフェニルホスフィン6.7gを、アセトニトリル200ml中に溶解した。この溶液を0℃に冷却した後に、臭素1.3mlを滴加した。次に、冷却浴液を除去し、かつアセトニトリル80ml中の3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−プロパノール5gの溶液を滴加した。引き続き、この反応混合物を、還流下に加熱し、この場合、水遮断器を用いて、6時間で数回、留出物それぞれ10mlを除去し、かつ除去された量を、新鮮なアセトニトリルで補充した。後処理のために、この溶剤を減圧下に蒸発させ、残留した残分を、ジエチルエーテルの中に入れ、かつ濾過した。この濾液を、減圧下に濃縮し、かつシクロヘキサン/メチル−第三ブチルエーテル(7:2)を使用する、フラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって精製した。3−(3,4−ジメトキシフェニル−1−ブロム−プロパン5.5gが、無色の油状物として得られた。
【0198】
B) 前記により得られた生成物5.5gを、例5のA)に記載された方法により、ジメチル−ホスホノ酢酸−第三ブチルエステル3.8mlと反応させた。この反応混合物を、例5のA)に記載されたのと同様にして後処理した。4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−(ジメチルホスホノ)−吉草酸−第三ブチルエステル6.1gが、無色の油状物として得られた。
【0199】
C) 前記により得られた生成物6gを、例5のB)に記載された方法により、パラホルムアルデヒドと反応させた。この反応混合物を、例5のB)に記載されたのと同様にして後処理した。得られた粗製生成物を、溶離剤としてのメチル−第三ブチルエーテル/シクロヘキサン(1:3)を使用する、フラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって精製した。油状の1−[3−(3,4−ジメトキシフェニル)−プロピル]−アクリル酸−第三ブチルエステル3.4gが得られた。
【0200】
D) 前記により得られた生成物3.4gを、例5のC)に記載された方法により、シクロペンタンカルボン酸1.3mlと反応させた。この反応混合物を、例5のC)に記載されたのと同様にして後処理した。この粗製生成物を、溶離剤としての酢酸エチルエステル/シクロヘキサン(1:3)を使用する、フラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって精製した。油状の1−[2−(第三ブトキシカルボニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ペンチル]−シクロペンタンカルボン酸2.5gが得られた。
【0201】
E) 前記により得られた生成物2.5gを、アセトニトリル50ml中に溶解した。0℃の温度で、湿分の遮断下に、この溶液に、順次、ジイソプロピルエチルアミン4.2ml、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物1.7gおよび(3R)−3−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジアゼピンー5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例12のJ)を見よ)2.5gを添加した。この反応混合物を、0℃で更に30分間撹拌し、かつ室温で2時間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を減圧下で濃縮して乾燥物にし、かつ残留した残分をジクロロメタン中に溶解した。この溶液を、まず、希釈された塩酸水溶液を用いて振盪させ、次に、水を用いて振盪させた。有機相を分離し、かつ水相を、更に2回、ジクロロメタンを用いて抽出した。引き続き、合わせた有機相を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残分として、目的化合物3gが油状物として得られた。
【0202】
シリカゲルによる薄層クロマトグラフィー:Rf−値=0.4(溶離剤、シクロヘキサン/酢酸エチルエステル1:1)
例 15:
(3R)−3−{1−[2′−カルボキシ−5′−(3,4−ジメトキシフェニル)−ペンチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1−,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸
(3R)−3−{1−[2′−第三ブトキシカルボニル)−5′−(3,4−ジメトキシフェニル)−ペンチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾチアアゼピン−5(2H)−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例14を見よ)3gを、ジクロロメタン20ml中に溶解した。この溶液に、トリフルオロ酢酸3mlを添加し、かつこの反応混合物を室温で2日間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を減圧下に濃縮した。トリフルオロ酢酸の完全な除去のために、残分に、数回、トルオールそれぞれ2mlを添加し、かつ再度蒸発濃縮させた。こうして得られた粗製生成物を、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、この場合、溶離剤として、まず、ジクロロメタン/酢酸エチルエステル1:1を使用し、次に、純粋な酢酸エチルエステルを使用した。減圧下での溶離物の濃縮後に、目的化合物1.26gが非晶質の固体として得られた。
【0203】
KBr−プレス加工品としてのIR−スペクトル:3365cm-1、2942cm-1、1726cm-1、1652cm-1。
【0204】
例 16:
3−{1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル。
【0205】
A) 3−アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−第三ブチルエステル(製造は例1のI)を見よ)10.5g、p−トルオールスルホン酸−水和物8.25gおよびベンジルアルコール20.1mlを、トルオール174ml中に入れた。この反応混合物を、水分離器により4時間沸騰させ、この場合、初めに生じた沈殿物を、溶液に緩徐に入れた。この後、トルオールを減圧下に除去し、残留した残分を、メチル−第三ブチルエーテルと一緒に撹拌し、次に、濾別した。こうして得られた固体状の残分を、ジクロロメタン中に溶解し、この溶液を、氷冷却しながら、炭酸ナトリウム水溶液を添加することによってアルカリ性に調節した。この後、ジクロロメタン相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ蒸発濃縮させた。得られた粗製生成物を、精製のために、メチル−第三ブチルエーテルから再結晶化させた。105〜107℃の融点を有する3−アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸ベンジルエステル8.2gが得られた。
【0206】
B) 前記により得られた生成物12.8gを、例3のC)に記載された方法により、1−[2′−(第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボン酸(製造は例5のC)を見よ)13.7gと反応させた。この反応混合物を、例3のC)に記載されたのと同様にして後処理した。118〜123℃の融点を有する目的化合物19.3gが得られた。
【0207】
例 17:
3−[1−(2′−カルボキシ−4′−フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル。
【0208】
3−{1−[2′−第三ブトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸ベンジルエステル(製造は例16を見よ)15gを、例6に記載された方法により、トリフルオロ酢酸56mlと反応させた。この反応混合物を、例6に記載されたのと同様にして後処理し、かつ得られた粗製生成物を、メチル−第三ブチルエーテルから結晶化させた。86〜90℃の融点を有する目的化合物13.1gが得られた。
【0209】
例 18:
3−{1−[2′−(第三ブチルカルボニルオキシメトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル。
【0210】
3−{1−[2′−カルボキシ−4′−フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル(製造は例17を見よ)2gを、湿分の遮断下に、無水ジクロロメタン20ml中に溶解した。この溶液に、トリエチルアミン0.46mlおよびジメチルアミノピリジン0.1gを添加した。次に、氷冷却しながら、無水ジクロロメタン3ml中のピバル酸クロロメチルエステル0.5gの溶液を滴加した。引き続き、この反応混合を室温で2日間撹拌した。後処理のために、この反応混合物を水に入れ、有機相を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、引き続き、水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、かつ減圧下に濃縮した。残分として残留する粗製生成物を、シリカゲル150gによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、この場合、溶離剤として、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル混合物を、まず、7:3の組成で使用し、次に、1:1の組成で使用した。71〜78℃の融点範囲を有する固体のフォームとしての純粋な3−{1−[2′−(ピバロイルオキシメトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸ベンジルエステル1.1gが得られた。
【0211】
例 19:
3−{1−[2′−(ピバロイルオキシメトキシカルボニル)−4−′フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸。
【0212】
3−{1−[2′−(ピバロイルオキシメトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸−ベンジルエステル(製造は例18を見よ)1.0gを、エタノール100ml中に溶解した。この溶液に、パラジウム/炭素触媒(5%のもの)を添加した。次に、3時間、5バールの水素圧で水素添加した。後処理のために、触媒から濾別し、濾過された溶液を蒸発濃縮させた。得られた残分を、80℃で減圧下に乾燥させた。目的化合物0.7gがガラス状の生成物として得られた。
【0213】
IR−スペクトル(KBr−プレス加工品として):3410cm-1、1750cm-1、1660cm-1
前記の例に記載された方法により、以下の第1表中に記載された式Iの化合物を製造することもできる。
【0214】
【表5】
【0215】
例 I:
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する錠剤
錠剤を、錠剤1個当たりに以下の組成で製造した:
(3S,2′R)−3−{1−[2′−(エトキシカルボニル)−
4′−フェニル−ブチル]−シクロペンタン−1−カルボニルアミ
ノ}−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベ
ンズアゼピン−1−酢酸 20mg
トウモロコシ澱粉 60mg
乳糖 135mg
ゼラチン(10%の溶液として) 6mg
作用物質、トウモロコシ澱粉および乳糖を、10%のゼラチン溶液で濃縮した。ペーストを粉砕し、生じた粒状物を適当な金属箔晩の上に載せ、かつ45℃で乾燥させた。乾燥した粒状物を、粉砕機に導通させ、かつミキサーの中で更に以下の助剤と混合した:
滑石 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
トウモロコシ澱粉 9mg
この後、プレスして240mgの錠剤にした。
【0216】
例 II:
(3S,2′R)−3−[1−(2′−カルボキシ−4′−フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する注射液
5ml当たりに以下の組成を有する注射液を製造した:
(3S,2′R)−3−[1−(2′−カルボキシ−4′−
フェニル−ブチル)−シクロペンタン−1−カルボニルアミノ]
−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベ
ンズアゼピン−1−酢酸 10 mg
Na2HPO4・7H2O 43.24mg
Na2HPO4・2H2O 7.72mg
NaCl 30.0 mg
純粋な水 4948.0 mg
固体を水中に溶解し、この溶液を、滅菌処理し、かつそれぞれ5mlの割合でアンプルに充填した。
Claims (7)
- 一般式I:
R1は、低級アルコキシ基が低級アルコキシ基によって置換されている低級アルコキシ低級アルキル基か、フェニル環中で低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子によって置換されていてもよいかまたは置換されていないフェニル低級アルキル基またはフェニルオキシ低級アルキル基またはナフチル低級アルキル基を表し、
Aは、CH2、OまたはSを表し、
R2は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R3は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R4は、水素原子または、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルによってかまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基、オキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC 2 〜C 6 −アルカノイルオキシメチル基から選択される生物活性エステルを形成する基を表し、
R5は、水素原子または、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルによってかまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基、オキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC 2 〜C 6 −アルカノイルオキシメチル基から選択される生物活性エステルを形成する基を表す〕
で示される化合物または式Iの酸の生理学的に認容性の塩。 - R4および/またはR5が1個の生物活性エステルを形成する基を表す、請求項1に記載の化合物。
- R4が1個の生物活性エステルを形成する基であり、R5が水素原子である請求項1から2までのいずれか1項に記載の化合物。
- AがCH2である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物。
- R1がフェネチル基またはナフチルエチル基であり、R2が水素原子である、請求項4に記載の化合物。
- 医薬品において、請求項1に記載の化合物の薬理学的有効量および常用の製薬学的助剤および/または担持剤を含有する医薬品。
- 一般式I:
R1 は、低級アルコキシ基が低級アルコキシ基によって置換されている低級アルコキシ低級アルキル基か、フェニル環中で低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン原子によって置換されていてもよいかまたは置換されていないフェニル低級アルキル基またはフェニルオキシ低級アルキル基またはナフチル低級アルキル基を表し、
Aは、CH2、OまたはSを表し、
R2は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R3は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
R4は、水素原子または、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルによってかまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基、オキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC 2 〜C 6 −アルカノイルオキシメチル基から選択される生物活性エステルを形成する基を表し、
R5は、水素原子または、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルによってかまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基、オキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC 2 〜C 6 −アルカノイルオキシメチル基から選択される生物活性エステルを形成する基を表す〕
で示される化合物または式Iの酸の生理学的に認容性の塩を製造するための方法において、一般式II:
望ましい場合には、それぞれ、遊離する酸基を、一般式Vのアルコールまたは一般式Va:
R6−OH(V)、R6−X(Va)
〔式中、R6は、低級アルキル基、フェニル環中で低級アルキルによってかまたは2個の隣接した炭素原子に結合した低級アルキレン鎖によって置換されているかまたは置換されていないフェニル基またはフェニル低級アルキル基、ジオキソラン環中で低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないジオキソラニルメチル基、オキシメチル基に接して低級アルキルによって置換されているかまたは置換されていないC 2 〜C 6 −アルカノイルオキシメチル基から選択される1個の生物活性エステルを形成する基を表し、Xは、ハロゲン及び有機スルホン酸基から選択される脱離可能な反応性基を表す〕で示される相応する反応性誘導体を用いてエステル化し、
望ましい場合には、得られた式Iの酸を、該酸の生理学的に認容性の塩に変えるかまたは式Iの酸の塩を遊離酸に変えることによって特徴付けられる、一般式Iの化合物または式Iの酸の生理学的に認容性の塩の製造法。
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