JP3941184B2 - 光学活性1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、及び光学活性3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法 - Google Patents

光学活性1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、及び光学活性3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールまたは(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、及び(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールまたは(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法に関し、詳しくは微生物を利用した(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールまたは(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールの効率的な製造法及び該化合物の加水分解による(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールまたは(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオール、及び(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールは、種々の医薬品、農薬等に利用される光学活性化合物あるいはこれらの合成中間体の合成原料として有用である。
【0003】
光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールを化学合成により製造する方法については多数の例が報告されている。しかし、いずれの方法も合成工程が複雑であり、収率及び光学純度や原料のコストに問題があるため工業的製法とするには難しい点が多い。
生物学的製法としては、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオールを光学分割する方法(S体:特公平4−73999号公報、特開平3−53886号公報、特開平5−49485号公報、R体:特開昭62−122597号公報、特開昭63−251098号公報、特開平3−191794号公報、特開昭62−69993号公報、特開平3−53886号公報)が知られている。しかし、これらはラセミ体の原料を光学分割する手法であるために取得できる光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールの原料に対するモル収率は50%以下になり経済的に有利な製造法とはなり得ない。
【0004】
また、プロキラルな化合物である1,3−ジクロロ−2−プロパノールから、生物学的製法により光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールを得る方法(S体:特開平5−68587、R体:特開平2−291280、特開平5−219965)及びラセミ体の(R,S)−エピクロロヒドリンに立体特異的なエポキシ開環活性を有する微生物を作用させて(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールを製造する方法(特開平2−283295、特開平5−219965)についての報告がある。しかし、これらの方法で得られる光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールの光学純度は低く、さらに改良の余地がある。
しかも、3−クロロ−1,2−プロパンジオールはその性質として、水溶性大でありなおかつ高沸点しかも溶媒との分離性が悪いため、水溶液中からの高度な精製は困難を極める。公知の製造方法はこの点でも問題のあるものが多かった。
【0005】
光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールの製造方法については、(R)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールについて報告がある。これはラセミ体の1,2−ジアセトキシ−3−クロロプロパンをリパーゼを用いた立体特異的なエステル結合の加水分解反応により(R)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールを製造する例(Iriuchijima,S.,et al.,Agric.Biol.Chem.(1982),46,1153−57,Poppe,L.,et al.,Tetrahedron:asymmetry(1993),4,2211−17)であるが、これらはラセミ体の原料を光学分割する手法であるために取得できる(R)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールの原料に対するモル収率は50%以下になり経済的に有利な製造法とはなり得ない。また、(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールの製造に関する報告はない。
【0006】
一方、微生物の菌体または酵素を用いて対応するカルボニル化合物から不斉還元により光学活性な第二アルコールを得る多数の方法が知られている(Levene,P.A.,et al.,Organic Synthesis Coll.Vol.II(1943),545、Guette,J.P.,et al.,Bull.Soc.Chim.Fr.(1972),4217、Manzocchi,A.,et al.,Synthesis(1987),1007−1009、Manzocchi,A.,et al.,J.Org.Chem.(1988),53,4405−07、Sato,T.,et al.,Tetrahedron Lett.(1989),30,3701−02、宇高正徳ら,有機合成化学協会誌(1991),49,647−656、Tanikaga,R.,et al.,Synthesis(1987),389−90、特開平6−225777号公報)。しかしながら、後述する参考例からも明らかなように、微生物の菌体や酵素による反応は基質の構造に大きく左右されるものであり、基質として1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンを用いて光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを製造した例は全く知られていない。更にはこれを加水分解し、光学活性な3−クロロ−1,2−プロパノールを製造した例は知られていない。
本発明は、上記観点からなされたものであり、簡便かつ安価な方法で光学純度の高い1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、及び3−クロロ−1,2−プロパンジオールを製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、微生物の菌体及び/又はそれらの調製物を1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンに作用させることにより光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールが効率的に得られることを見出し、更には得られた光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを酸性条件かアルカリ条件に曝す、またはリパーゼ処理を行うことにより光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、下記式(I):
【0008】
【化8】
Figure 0003941184
【0009】
(式中、Rはアシル基を示す。)で示される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンのカルボニル基を立体特異的に還元する能力を有する微生物の菌体及び/又はそれらの調製物を、前記式(I)で示される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンに作用させて、そのカルボニル基を立体特異的に還元することを特徴とする、下記式(II):
【0010】
【化9】
Figure 0003941184
【0011】
(式中、Rはアシル基を示す。)で示される(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または下記式(III):
【0012】
【化10】
Figure 0003941184
【0013】
(式中、Rはアシル基を示す。)で示される(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールの製造法に存する。
更に本発明は(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールをアルカリ処理、又はリパーゼ処理等により加水分解することを特徴とする下記式(IV):
【0014】
【化11】
Figure 0003941184
【0015】
で示される(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法、及び(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールをアルカリ処理、又はリパーゼ処理等により加水分解することを特徴とする下記式(V):
【0016】
【化12】
Figure 0003941184
【0017】
で示される(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法に存する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、原料として上記式(I)で示される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンを用い、これに微生物の菌体及び/又はそれらの調製物を作用させて、上記式(II)または(III)で示される(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを製造し、更にはそれぞれリパーゼ処理、酸処理、又はアルカリ処理等により加水分解して上記式(IV)または(V)で示される(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオール、または(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールを製造する。
本発明の原料として用いられる1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンは一般式(I):
【0019】
【化13】
Figure 0003941184
【0020】
で示されるが、置換基Rの好ましいアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、及びピバロイル基などのアルカノイル基、ホルミル基、シクロヘキサンカルボニル基などの脂環式アシル基、並びにベンゾイル基、及びトルオイル基などの芳香族アシル基から選ばれる基があげられる。これらアシル基の内、さらに好ましい置換基としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、及びベンゾイル基から選ばれる基があげられる。
【0021】
本発明の光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールの製造方法に用いる微生物としては、1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンのカルボニル基に作用してこれを立体特異的に還元(不斉還元)する能力を有するものであればいずれを用いてもよいが、好ましい属としては例えば、キャンディダ属、シテロマイセス属、サッカロマイコペシス属、ゲオトリカム属、オーレオバシディウム属、ホルタエア属、ロドトルラ属、ピキア属、デバリオマイセス属、ロイコスピリディウム属、クルイヴェロマイセス属、メトシュニコヴィア属、ウィケルハミア属、アンブロジオザイマ属、ステリグマトマイセス属、フィロバシディウム属、クロエケラ属、トリコスポロノイデス属、フェオココマイセス属、チゴサッカロマイセス属、ハンセニアスポラ属、サッカロマイセス属、ロドコッカス属、ノカルディア属、ゴルドナ属、バークホルデリア属、アルスロバクター属、エンテロバクター属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、オーレオバクテリウム属、エルウィニア属、ミクロコッカス属、キサントモナス属、及び、シュードモナス属などを挙げることができる。これらの中でも、ゲオトリカム属、オーレオバシディウム属、ホルタエア属、ロドトルラ属、ピキア属またはハンセニアスポラ属に属する微生物がより好ましい。
【0022】
また、好ましい種としては例えば、キャンディダ・サケ(Candida sake)、キャンディダ・エチェルシ(Candida etchellsii)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、シテロマイセス・マトリテンシス(Citeromyces matritensis)、サッカロマイコペシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)、ゲオトリカム・フラグランス(Geotricum fragrans)、オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullans)、ホルタエア・ウェルネッキイ(Hortaea werneckii)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotoluraminuta)、キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ・ギレルモンディ(Candida guilliermondii)、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンディダ・ヴァリダ(Candida valida)、キャンディダ・ボイディニ(Candida boidinii)、キャンディダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides)、キャンディダ・ルゴサ(Candida rugosa)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・ファリノーサ(Pichia farinosa)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・シフェリ(Pichia ciferrii)、ピキア・カプスラータ(Pichia capsulata)、デバリオマイセス・ハンセニ(Debaryomyces hansenii)、ロイコスポリディウム・スコッティ(Leucosporidium scottii)、クルイヴェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイヴェロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、メトシュニコヴィア・プルケリマ(Metschnikowia pulcherriama)、メトシュニコヴィア・ロイカウフィ(Metschnikowia reukaufii)、ウィケルハミア・フルオレッセンス(Wickerhamia fluorescens),アンブロジオザイマ・プラティポディス(Ambroziozyma platypodis)、ステリグマトマイセス・エルビエ(Sterigmatomyces elviae)、フィロバシディウム・カプスリゲナム(Filobasidium capsuligenum)、クロエケラ・アピキュラタ(Kloekera apiculata)、クロエケラ・コルティス(Kloekera cortis)、トリコスポロノイデス・メガチリエンシス(Trichosporonoides megachiliensis)、フェオココマイセス・ニグリカンス(Phaeococcomyces nigricans)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・エキシグス(Saccharomyces exiguus)、チゴサッカロマイセス・バイリ(Zygosacchromyces bailii)、ハンセニアスポラ・ギレルモンディ(Hanseniaspora guillermondi)、ハンセニアスポラ・ウバラム(Hanseniaspora uvarum)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス・ロドクラス(Rhodococcus rhodochrous),ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)、ロドコッカス・エスピー(Rhodococcus sp.)、ノカルディア・グロベルラ(Nocardia globerula)、ゴルドナ・テラエ(Gordona terrae)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、アルスロバクター・パラフィネウス(Arthrobacterparaffineus)、アルスロバクター・アトロシアネウス(Arthrobacter atrocyaneus)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・タイロラエ(Enterobacter taylorae)、ブレビバクテリウム・ブタニカム(Brevibacterium butanicum)、ブレビバクテリウム・ケトグルタミカム(Brevibacterium ketoglutamicum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・スタティオノイス(Brevibacterium stationois)、コリネバクテリウム・ヒドロカルボクラスタム(Corynebacterium hydroclastum)、コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)、コリネバクテリウム・ホアギ(Corynebacterium hoagii)、オーレオバクテリウム・バルケリ(Aureobacterium barkeri)、エルウィニア・ラポンチシ(Erwinia rhapontici)、ミクロコッカス・ロセウス(Micrococcus roseus)、キサントモナス・マルトフィラ(Xanthomonas maltophila)、及びシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovolans)などを挙げることができる。
【0023】
上記の微生物の具体的な菌株としては、
キャンディダ・サケ(Candida sake)IFO0435、
キャンディダ・エチェルシ(Candida etchellsii)IFO1592、
キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IAM4147、
キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)IFO1647、
キャンディダ・インターメディア(Candida intermedia)IFO0761、
キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)IFO1856、
キャンディダ・ギレルモンディ(Candida guilliermondii)IFO0566、
キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO1977、
キャンディダ・ヴァリダ(Candida valida)IFO10318、
キャンディダ・ボイディニ(Candida boidinii)IFO10240、
キャンディダ・ゼイラノイデス(Candida zeylanoides)CBS6408、
キャンディダ・ルゴサ(Candida rugosa)IFO0591、
シテロマイセス・マトリテンシス(Citeromyces matritensis)IFO0954、
サッカロマイコペシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)IFO1744、
ゲオトリカム・フラグランス(Geotricum fragrans)IAM12703、
オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullans)IMI062456、
ホルタエア・ウェルネッキイ(Hortaea werneckii)IFO4875、
ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotolura minuta)IFO0387、
ピキア・アノマラ(Pichia anomala)IFO0118、
ピキア・メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)IFO0864、
ピキア・ファリノーサ(Pichia farinosa)IFO1741、
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)IFO1013、
ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)NRRL Y−8162、
ピキア・シフェリ(Pichia ciferrii)IFO0793、
ピキア・カプスラータ(Pichia capsulata)IFO0984、
デバリオマイセス・ハンセニ(Debaryomyces hansenii)IFO0034、
ロイコスポリディウム・スコッティ(Leucosporidium scottii)IFO1212、
クルイヴェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)ATCC10022、
クルイヴェロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)IFO1050、
クルイヴェロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)IFO1780、
メトシュニコヴィア・プルケリマ(Metschnikowia pulcherriama)IFO0863、
メトシュニコヴィア・ロイカウフィ(Metschnikowia reukaufii)IFO1679、
ウィケルハミア・フルオレッセンス(Wickerhamia fluorescens)IFO1116、
アンブロジオザイマ・プラティポディス(Ambroziozyma platypodis)IFO1471、
ステリグマトマイセス・エルビアエ(Sterigmatomyces elviae)IFO1843、
フィロバシディウム・カプスリゲナム(Filobasidium capsuligenum)IFO1185、
フィロバシディウム・カプスリゲナム(Filobasidium capsuligenum)IFO1119、
クロエケラ・アピキュラタ(Kloekera apiculata)IFO0151、
クロエケラ・コルティス(Kloekera cortis)IFO0631、
トリコスポロノイデス・メガチリエンシス(Trichosporonoides megachiliensis)CBS567.85、
フェオココマイセス・ニグリカンス(Phaeococcomyces nigricans)CBS652.76、
ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)IFO0870、
サッカロマイセス・エキシグス(Saccharomyces exiguus)IFO1170、
チゴサッカロマイセス・バイリ(Zygosacchromyces bailii)IFO1611、
ハンセニアスポラ・ギレルモンディ(Hanseniaspora guillermondi)IFO1411、
ハンセニアスポラ・ウバラム(Hanseniaspora uvarum)IFO1755、
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO12628、
ロドコッカス・ロドクラス(Rhodococcus rhodochrous)ATCC17041、
ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)ATCC7698、
ロドコッカス・エスピー(Rhodococcus sp.)IFO13164、
ノカルディア・グロベルラ(Nocardia globerula)ATCC15903、
ゴルドナ・テラエ(Gordona terrae)ATCC25594、
バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)ATCC25416、
アルスロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)ATCC15590、
アルスロバクター・アトロシアネウス(Arthrobacter atrocyaneus)JCM1329、
エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)IFO13534、
エンテロバクター・タイロラエ(Enterobacter taylorae)JCM3943、
ブレビバクテリウム・ブタニカム(Brevibacterium butanicum)ATCC21196、
ブレビバクテリウム・ケトグルタミカム(Brevibacterium ketoglutamicum)ATCC21533、
ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)JCM1305、
ブレビバクテリウム・スタティオノイス(Brevibacterium stationois)IFO12144、
コリネバクテリウム・ヒドロカルボクラスタム(Corynebacterium hydroclastum)ATCC15960、
コリネバクテリウム・フラベセンス(Corynebacterium flavescens)JCM1317、
コリネバクテリウム・ホアギ(Corynebacterium hoagii)JCM1319、
オーレオバクテリウム・バルケリ(Aureobacterium barkeri)JCM1343、
エルウィニア・ラポンチシ(Erwinia rhapontici)MAFF03−01331、
ミクロコッカス・ロセウス(Micrococcus roseus)IFO3764、
キサントモナス・マルトフィラ(Xanthomonas maltophila)ATCC13637、
及び、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovolans)IFO13583、
の菌株を挙げることができる。上記微生物は、野生株、UV照射、N−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホネート(EMS)処理、亜硝酸処理、アクリジン処理等による変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。
【0024】
また、上記の菌株は全て公知の菌株であり、それぞれ、(財)発酵研究所(IFO)、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、インターナショナルマイコロジカルインスティテュート(IMI)、農業生物資源研究所(MAFF)、理化学研究所微生物系統保存施設(JCM)、セントラルビューローフォーシュメルカルチャーズ(CBS)、及びアグリカルチュラルリサーチサービスカルチャーコレクション(NRRL)及び微生物微細藻類総合センター(IAM)から容易に入手することができる。
【0025】
本発明の製造方法においては、上述した1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノンのカルボニル基に作用してこれを立体特異的に還元(不斉還元)する能力を有する微生物の1種もしくは2種以上が、菌体及び/又はそれらの調製物のかたちで用いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知の手法により処理したもの、すなわち、アセトン処理したもの、凍結乾燥処理したもの、又は菌体を物理的もしくは酵素的に破砕したもの等の調製物を用いることができる。また、これらの菌体又は調製物から、上記式(I)で表される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンのカルボニル基に作用してこれを立体特異的に還元(不斉還元)して式(II)、もしくは式(III)で表される光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールへ変換する能力を有する酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出して用いることも可能である。さらには、この様にして得られた菌体、調製物、酵素画分等をポリアクリルアミドゲル、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等を用いることも可能である。そこで、本明細書において「菌体及び/又はそれらの調製物」の用語は、上述の菌体、調製物、酵素画分、及びそれらの固定化物全てを含有する概念として用いられる。
【0026】
以下に、本発明の光学活性な1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、及び、光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法では、原料として上記式(I)で表される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンを用い、これに上記記載の微生物の菌体及び/又はそれらの調製物を作用させ、上記式(II)、または式(III)で表される(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを製造する。
【0027】
本発明の製造方法において微生物は、通常、培養して用いられるが、この培養については常法通り行うことができる。培養に使用する培地としては、グルコース、シュークロース、グリセリン、クエン酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、尿素、肉エキス、コーンスティープリカー等の有機窒素源、マグネシウム、カリウム等の無機塩類、リン酸等を適宜組み合わせて含有したものを用いればよい。また、これらの成分以外にも、反応活性を促進するための物質として、無機塩類、微量金属類、アミノ酸類、あるいはビタミン類を添加することも可能である。培養は、培地のpHを3〜10の範囲に調整し、好気条件下に、温度10〜45℃、pH3−10の適当な範囲に制御しつつ、1〜10日の範囲で活性が最大になるまで行うことが好ましい。
【0028】
本発明においては、この様に培養して得られる微生物の菌体及び/又はその調製物と上記式(I)で表される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンとを水性媒体中で接触させて反応させ、反応生成物として上記式(II)で表される(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または上記式(III)で示される(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを得る。ここで用いられる水性媒体としては、水、緩衝液または培養液等が挙げられるが、この水性媒体には、水溶性有機溶媒または脂溶性有機溶媒を適宜含有させることも可能である。また、反応に際して、反応液にグルコース、シュークロース、フルクトース、エタノール、メタノール、及び酢酸等の炭素源をエネルギー源として添加することにより収量が向上したり、立体選択性が反対になることがある。
【0029】
反応液に添加する1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンの量は通常その反応液中の濃度が0.01〜50重量%となる程度の量であり、添加された1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンは反応液中で水性媒体に必ずしも完全に溶解していなくてもよい。また、反応に基質阻害が起こる場合には、反応が進むにつれて消費される1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンを消費された量だけ連続的にあるいは間歇的に添加していくことにより生成物の蓄積量をより向上させることが可能である。反応液に添加する微生物の菌体及び/又はその調製物の量は、菌体を添加する場合は反応液にその菌体濃度が0.01〜20重量%程度となるように添加し、酵素のような調製物を用いる場合には、酵素の比活性を求め、添加したときに上記菌体濃度に相当する酵素濃度になるような量を添加する。この反応における好ましい反応条件は、反応温度が氷点〜70℃、好ましくは10〜40℃、pHが2〜11、好ましくは5〜8、反応時間が1〜100時間程度である。
【0030】
上記反応により反応生成物として(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールが得られるが、反応液から目的生成物である(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールや(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを単離する方法としては、遠心分離もしくは膜分離等にて菌体及び/又はその調製物を除去した後、反応液よりクロロホルム、酢酸エチル等の有機溶媒で(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールや(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを抽出し、蒸留、カラムクロマトグラフィ等の公知の方法を利用して単離する等の方法を挙げることができる。
【0031】
本発明の光学活性な3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造方法において、加水分解される光学活性な1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールは上記の方法により微生物還元の反応液より単離されたものでも、反応液に含まれるものでもよい。なお、加水分解方法としては、希硫酸等の酸による加水分解、アルコールや水性媒体中における水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム等の塩基による加水分解、またはリパーゼによる加水分解等の公知の方法が挙げられる。酸による加水分解では、希硫酸、希塩酸等を用いることが好ましく、温度は0−100℃、好ましくは20−70℃で数時間攪拌する。塩基による加水分解では、溶媒としては水性媒体(水性媒体としては前記のものが挙げられる)、または、メタノール等のアルコールが用いられ、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、または、炭酸カリウム等の塩基性物質を添加することにより、温度0−100℃、好ましくは0−50℃で数時間攪拌することが好ましい。
【0032】
リパーゼによる加水分解では、水、緩衝液、または非水溶性有機溶媒と水性媒体の混合系等の溶媒系が用いられる。リパーゼは酵素そのもの、または公知の方法で固定化したもの両方とも使用できる。反応が進むにつれてpHが変動するので、これを制御することにより反応性をあげることも可能である。温度は0−60℃で、0ー100時間攪拌し、反応を行う。
各反応終了後、必要により遠心操作、または膜分離等公知の方法により、酵素、または固定化酵素を反応液より分離したり、酸または塩基により中和操作等を行った後、カラムクロマトグラフィー、溶媒抽出等公知の方法を用いて、(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールまたは(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールを精製する。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
【0034】
【実施例1】
フィロバシディウム・カプスリゲナム(Filobasidium capsuligenum)IFO1119 をグルコース2.0%、酵母エキス1.0%、ペプトン1.0%を含む培地(pH6.5)100mLに植菌し、30℃で24時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、100mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をグルコース2.0g、及び1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノン0.5gを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.5)100mLに懸濁し、室温で4時間攪拌しつつ反応させた。途中、反応経過2時間後、さらに0.5gの1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノンを添加し反応を進めた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清を高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により分析したところ、保持時間9.16分に主な反応生成物と思われるピークを確認した。
【0035】
【表1】
高速液体クロマトグラフィー分析条件1
カラム:Wakosil−II−HG(φ4.6mm×250mm)
展開液:水/アセトニトリル=80/20(0.1mL/L トリフルオロ酢酸含有)
流速:0.5mL/min.
カラム温度:室温
検出:示差屈折計
【0036】
これを単離すべく、上述反応液上清を酢酸エチル300mLと混合し溶媒抽出操作を行った。分離した酢酸エチル層に少量の無水硫酸ナトリウムを添加し脱水後濾過し、減圧濃縮を行った。得られた油状成分は0.40gであり、さらにKiesgel100(メルク社製シリカゲル)を用いたカラムクロマトグラフィーを行った結果、上記高速液体クロマトグラフィ(分析条件1)の保持時間9.16分の成分に一致する標品を0.22g得た。これをNMRにより分析したところ 1H−NMR(CDCl3 ,500MHz:δ(p.p.m.)=2.05(s,3H),3.54(dd,J=11.0,6.0Hz),3.59(dd,J=11.0,5.0Hz),4.02(m,1H),4.15(m,2H)であり、本生成物が1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールであることを確認した。本標品50mgを2.0mLの100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に溶かし、キトパールリパーゼCV(富士紡績(株)社製)を10mg添加して室温にて攪拌反応させたところ、反応は定量的に進行した。12時間後、薄層クロマトグラフィーにより残存基質がなく、3−クロロ−1,2−プロパンジオールと同じRf値を示すスポットが存在するのを確認した。遠心操作によりリパーゼを除去し、上清2.0mLから酢酸エチル2.0mLにより3度抽出した。合計6mLの酢酸エチル溶液を濃縮し、残存物をイソプロパノールに溶解後、高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により本反応生成物が3−クロロ−1,2−プロパンジオールであることを確認した。さらに、高速液体クロマトグラフィー(分析条件2)により、本化合物の立体及び光学純度を測定したところ、R体85.2%e.e.(保持時間は(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが19.3分、(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが17.6分である。)であることが判明した。
【0037】
【表2】
高速液体クロマトグラフィー分析条件2
カラム:CHIRALCEL OD(φ4.6mm×250mm)
展開液:ヘキサン/イソプロピルアルコール=9/1
流速:0.5mL/min.
カラム温度:室温
検出:示差屈折計
【0038】
【実施例2】
ホルタエア・ウェルネッキイ(Hortaea werneckii)IFO4875をサッカロース2.0%、酵母エキス2.0%、を含む培地(pH5.5)200mLに植菌し、27℃で45時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、200mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をグルコース4.0g、及び1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノン1.0gを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.5)200mLに懸濁し、室温で5時間攪拌しつつ反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清を高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により分析したところ、保持時間9.16分に主な反応生成物と思われるピークがあり、1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールのパターンと一致した。これを単離すべく、上述反応液上清を酢酸エチル350mLと混合し溶媒抽出操作を行った。分離した酢酸エチル層に少量の無水硫酸ナトリウムを添加し脱水後濾過し、減圧濃縮を行った。得られた油状成分は0.68gであった。さらに本標品に7mLの1M硫酸を添加し60℃で1時間攪拌し反応させた。これを粉末炭酸水素ナトリウムで中和し、濃縮後40mLの酢酸エチルで抽出した。本酢酸エチル溶液を濃縮したところ、残存物は0.42gであった。これをイソプロパノールに溶解後、高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により本反応生成物が3−クロロ−1,2−プロパンジオールであり、全反応工程のモル収率が57.7%であることを確認した。さらに、高速液体クロマトグラフィー(分析条件2)により、本化合物の立体及び光学純度を測定したところ、S体93.8%e.e.であることが判明した。
【0039】
【実施例3】
第1表に示す各種微生物の菌体をそれぞれ、グルコ−ス2.0%、酵母エキス1.0%、ペプトン2.0%を含み、pH6.5とした培地20mlに植菌し、30℃で24〜48時間好気的に振盪培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、10mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)で集菌体を懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)2.0mL、グルコース40mg、及び1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノン20mgに懸濁し、室温で攪拌しつつ2時間反応させた。
【0040】
反応終了後、各反応液から遠心分離により菌体を除去し、この反応液上清を高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により分析し反応収率を求めた。さらにこの反応液上清に酢酸エチル5mLを添加して、生成した1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールを酢酸エチル層に抽出した。濃縮後、残存物を0.5mLの100mMリン酸カリウム緩衝液に溶解し、キトパールリパーゼCVを5mg添加し、室温で一晩反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応終了を確認し遠心操作で酵素を除去した後、3mLの酢酸エチルに反応生成物を抽出した。この酢酸エチル溶液を濃縮後、残存物をイソプロパノールに溶解して、高速液体クロマトグラフィー(分析条件2)により光学純度測定を行うと共に絶対配置を求めた。得られた結果を第1表に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0003941184
Figure 0003941184
【0042】
【実施例4】
第2表に示す各種微生物の菌体をそれぞれ、グルコース1.0%、酵母エキス1.0%、ポリペプトン0.5%、リン酸水素2カリウム0.3%、リン酸2水素カリウム0.1%を含み、pH7.0とした培地5mLに植菌し、30℃で46〜72時間好気的に振盪培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、5mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)で集菌体を懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)5.0mL、グルコース100mg、及び1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノン25mgに懸濁し、室温で攪拌しつつ4時間反応させた。
【0043】
反応終了後、各反応液から遠心分離により菌体を除去し、この反応液上清を高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により分析し反応収率を求めた。さらにこの反応液上清に酢酸エチル8mLを添加して、生成した1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールを酢酸エチル層に抽出した。濃縮後、残存物を0.5mLの100mMリン酸カリウム緩衝液に溶解し、キトパールリパーゼCVを5mg添加し、室温で一晩反応させた。薄層クロマトグラフィーで反応終了を確認し遠心操作で酵素を除去した後、3mLの酢酸エチルに反応生成物を抽出した。この酢酸エチル溶液を濃縮後、残存物をイソプロパノールに溶解して、高速液体クロマトグラフィー(分析条件2)により光学純度測定を行うと共に絶対配置を求めた。得られた結果を第2表に示す。
【0044】
【表4】
Figure 0003941184
【0045】
【実施例5】
第3表に示す各種微生物の菌体をそれぞれ、グルコ−ス0.5%、酵母エキス1.0%、ニュートリエントブロス0.5%、リン酸水素2カリウム0.3%、リン酸2水素カリウム0.1%、硫酸鉄(II)7水塩50ppm、塩化マンガン6水塩10ppm、塩化コバルト6水塩10ppm、及びモリブデン酸アンモニウム4水塩10ppmを含み、pH7.0とした培地20mlに植菌し、30℃で24〜48時間好気的に振盪培養した。培養終了後、実施例3に記載の方法により、2時間反応させた。
反応終了後、実施例3に記載の方法により反応収率、光学純度測定、及び絶対配置を求めた。得られた結果を第3表に示す。
【0046】
【表5】
Figure 0003941184
【0047】
【参考例】
ホルタエア・ウェルネッキイ(Hortaea werneckii)IFO4875を実施例2に記載の方法に従い培養して集菌した。その菌体をグルコース4.0g、及び1−アセトキシ−2−プロパノン(特開平6−225777号公報に記載の基質)1.0gを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.5)200mLに懸濁し、室温で5時間攪拌しつつ反応させた。しかし、薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60 F254 (MERCK社製)、展開液:酢酸エチル/酢酸=70/1、染色:10% リンモリブデン酸ナトリウム エタノール溶液)において、1−アセトキシ−2−プロパノール(Rf0.70)、またはプロパンジオール(Rf0.35)を検出することはできなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、特定の微生物を1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノンに作用させることにより光学活性な(S)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールまたは(R)−1−アシロキシ−3−クロロ−2−プロパノールを効率的に製造することが可能であり、またさらにそれら加水分解することにより光学活性な(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールまたは(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールを効率的に製造することが可能であり、工業的に極めて有利である。

Claims (2)

  1. 式(I):
    Figure 0003941184
    (式中、Rはアセチル基を示す。)で示される1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノンのカルボニル基を立体特異的に還元する能力を有する微生物の菌体及び/又はそれらの調製物を、前記式(I)で示される1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノンに作用させて、そのカルボニル基を立体特異的に還元することを特徴とする、式(II):
    Figure 0003941184
    (式中、Rはアセチル基を示す。)で示される(S)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または式(III):
    Figure 0003941184
    (式中、Rはアセチル基を示す。)で示される(R)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールの製造法であって、前記微生物がキャンディダ属、シテロマイセス属、サッカロマイコペシス属、ゲオトリカム属、オーレオバシディウム属、ホルタエア属、ロドトルラ属、ピキア属、デバリオマイセス属、ロイコスポリディウム属、クルイヴェロマイセス属、メトシュニコヴィア属、ウィケルハミア属、アンブロジオザイマ属、ステリグマトマイセス属、フィロバシディウム属、クロエケラ属、トリコスポロノイデス属、フェオココマイセス属、チゴサッカロマイセス属、サッカロマイセス属、ハンセニアスポラ属、ロドコッカス属、ノカルディア属、ゴルドナ属、バークホルデリア属、アルスロバクター属、エンテロバクター属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、オーレオバクテリウム属、エルウィニア属、ミクロコッカス属、キサントモナス属、またはシュードモナス属に属することを特徴とする製造法
  2. 請求項1記載の方法により製造した式(II):
    Figure 0003941184
    (式中、Rはアセチル基を示す。)で示される(S)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノール、または式(III)
    Figure 0003941184
    (式中、Rはアセチル基を示す。)で示される(R)−1−アセトキシ−3−クロロ−2−プロパノールのエステル結合を加水分解することによる式(IV):
    Figure 0003941184
    で示される(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオール、または式(V)
    Figure 0003941184
    で示される(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの製造法。
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