JP3938747B2 - 同期発電機の出力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期発電機の出力制御装置に関し、特に、加速性能を良好に維持しつつ適正な発電量を確保するのに好適な同期発電機の出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用発電装置として三相同期発電機が用いられ、この三相同期発電機で発電された交流は、三相全波整流器で整流してバッテリの充電に使用される。特開2000−119095号公報には、低回転域において、固定子巻線に一定の電気角で遅角通電して発電出力を増大させるとともに、出力電圧がレギュレート電圧よりも高くならないように通電デューティを制御する三相同期発電機が開示されている。この同期発電機によれば、低回転域での発電量を確保しながら、レギュレータによる発電停止を回避して負荷変動を防止することができるので、低回転域で内燃機関(以下、「エンジン」という)の回転が不安定になるのを防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記同期発電機では、発電機を駆動するエンジンの加速判断が含まれていない。したがって、エンジンの加速の有無にかかわらず、発電量が変化してしまう。つまり、エンジンに対する負荷が変動する。その結果、エンジンの加速中に発電量の変化に伴う負荷の変動が生じ、滑らかに加速することができない。
【0004】
本発明は、バッテリの状態を良好に維持できる発電量を確保しつつ、円滑なエンジン加速を実現できる同期発電機の出力制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、エンジンで駆動される界磁束発生用磁石手段を有する回転子、および発電出力発生用の固定子巻線が巻回された固定子を有する同期発電機の出力制御装置において、前記固定子巻線の各相に対する通電タイミングを変化させて発電量を制御する制御手段と、エンジンが予定の加速状態にあることを検出する加速判断手段とを備え、前記制御手段が、前記加速判断手段によって検出された前記エンジンの加速状態では、発電量を低減するように通電タイミングを設定する点に第1の特徴がある。
【0006】
第1の特徴によれば、固定子巻線への通電タイミングを変化、つまり遅角もしくは進角させて発電量が制御されるが、エンジンの加速状態においては、発電量を低減するように通電タイミングが設定される。したがって、発電負荷の増大による加速性能の低下を防ぐことができる。
【0007】
また、本発明は、同期発電機で充電されるバッテリを備え、前記制御手段が、該バッテリの電圧が制御電圧値に収斂するように通電タイミングを決定する点に第2の特徴がある。第2の特徴によれば、バッテリ電圧が制御電圧値に維持されるように発電されるので、余剰電力を発生させることなく、効率的に発電できる。
【0008】
また、本発明は、前記制御電圧値が前記エンジンの加速状態と加速状態以外の通常運転状態とで個別に設定されている点に第3の特徴がある。第3の特徴によれば、加速状態時と通常運転状態時とで制御電圧値を持ち替えることで、加速状態の発電量を容易に低減させることができる。
【0009】
また、本発明は、前記制御電圧値が、前記エンジンの加速状態では、通常運転状態より低く設定されている点に第4の特徴がある。第4の特徴によれば、加速状態では、低く設定された制御電圧値に従って発電量が低く抑えられるので、高い加速性能を維持できる。
【0010】
また、本発明は、前記制御電圧値が、エンジン回転数をパラメータとして設定され、通常運転状態では、エンジン回転数が高くなるにつれて高く設定されている点に第5の特徴がる。第5の特徴によれば、負荷の変動による回転の不安定を引き起こしにくい高回転域では大きい発電量でバッテリを適正に充電できるし、低回転域では発電量を抑制して発電負荷の低減による回転の安定性を維持できる。
【0011】
また、本発明は、前記制御電圧値が、エンジン回転数をパラメータとして、エンジン回転数が高くなるにつれて高く設定され、前記加速状態では通常運転状態より変化程度が小さく設定される点に第6の特徴がある。第6の特徴によれば、加速状態ではエンジン回転数の大小にかかわらず、発電量を抑制して高い加速性能を維持できる。
【0012】
また、本発明は、前記制御電圧値が、通常運転状態のアイドル回転数域ではそれ以上のエンジン回転数域と比べてエンジン回転数に対する変化量が小さく設定されている点に第7の特徴がある。第7の特徴によれば、アイドル回転数域では、発電負荷を低くして安定したアイドル運転が行われ、それ以上の回転数域では、回転数が高まるにつれて大きく発電量が増大される。
【0013】
さらに、本発明は、前記制御電圧値が、エンジン回転数の関数としてテーブルに設定されている点に第8の特徴がある。第8の特徴によれば、制御電圧値をテーブルで持つことにより、制御の簡素化ができる。
【0014】
また、さらに、本発明は、回転子がラジエータ冷却用のファンを備えている同期発電機に適用される点に第9の特徴がある。この第9の特徴によれば、冷却風で積極的に冷却されるため、負荷制御とあいまって発熱量が抑制され、放熱性も良いことから小型化が達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の出力制御装置を適用する同期発電機を備えたエンジンの要部断面図、図3は同期発電機の断面図である。この実施例では、同期発電機はエンジンのスタータを兼用する。したがって、以下では、同期発電機をスタータ兼用発電機(以下、「モータACG」という)として説明する。
【0016】
図2において、エンジン1のクランク軸2はクランクケース3に嵌合された軸受4,5で支持される。クランク軸2にはクランクピン6を介してコネクティングロッド7が連結される。軸受5の外方にはVベルト式無段変速機(以下、単に「無段変速機」という)の駆動側プーリ11が設けられる。駆動側プーリ11は固定プーリ片111と可動プーリ片112とを含む。固定プーリ片111はクランク軸2の端部寄りに固定され、クランク軸2に対して回転方向および軸方向のいずれにも移動が規制される。
【0017】
一方、可動プーリ片112はクランク軸2に対して、回転方向の動きは規制されているが、軸方向(スラスト方向)には所定の範囲で移動可能に結合される。可動プーリ片112には、ランププレート12が摺動自在に係合する。ランププレート12はクランク軸2に結合されて一体で回転する。ランププレート12は、可動プーリ片112の内側傾斜(ランプ)との組み合わせで、外周方向に向かって狭くなるローラウェイト13のテーパ状ガイドを形成する。
【0018】
前記駆動側プーリ11と対になって無段変速機を構成する従動側プーリ20が設けられる。変速機ケース14に嵌合された軸受21と図示しない他の一つの軸受によって、従動軸22が回転自在に支持され、この従動軸22に従動側プーリ20が固定される。従動側プーリ20は従動軸22に軸受23,24で回転自在に支持される一方、従動軸22の軸方向には移動を規制された固定プーリ片201を有する。また、固定プーリ片201を介して従動軸22の軸方向に摺動自在に支持された可動プーリ片202を有する。
【0019】
固定プーリ片201には、遠心力で外周方向に偏倚するクラッチシュー25を支持するシュー支持プレート27が設けられる。従動軸22にはクラッチシュー25が当接する内周面を有するカップ状部材28が固定される。このカップ状部材28とクラッチシュー25との組み合わせで遠心クラッチを構成する。前記可動プーリ片202は、このシュー支持プレート27に一端が保持されたコイルバネ33の他端で押圧されて固定プーリ片201側に常時付勢される。
【0020】
駆動側プーリ11と従動側プーリ20はいずれもV字型プーリであり、両者間にはVベルト29が架け渡される。従動軸22は減速ギヤ26を含む減速機を介して駆動輪、例えば自動二輪車の後輪に連結される。無段変速機には、カバー30が被せられ、このカバー30には、キックスタータ31が支持される。
【0021】
図3において、モータACG8は、三相巻線(ステータコイル)が巻回されたステータ50と、エンジン1のクランク軸2の端部に結合されてステータ50の外周を回転するアウタロータ60とを有する。アウタロータ60はクランク軸2に連結されるカップ状のロータケース63と、ロータケース63の内周面に収容されるマグネット62とを有する。マグネット62はロータヨークに円周方向に沿って配置される。
【0022】
アウタロータ60は、ハブ部60aの内周をクランク軸2の先端テーパ部に嵌合させて取り付けられ、ハブ部60aの中心を貫通してクランク軸2の端部ネジに螺挿されるボルト253で固定される。アウタロータ60の内周側に配設されるステータ50はボルト279によってクランクケース3に固定される。アウタロータ60にはボルト246によって固定されたファン280が設けられる。ファン280に隣接してラジエータ282が設けられ、ラジエータ282はファンカバー281によって覆われる。
【0023】
モータACG8は、ラジエータ282に隣接するファン280の冷却風で積極的に冷却されるため、後述の負荷制御とあいまって発熱量が抑制され、放熱性も良いことから小型化が達成される。
【0024】
ステータ50の内周にはセンサケース34が嵌め込められ、このセンサケース34内にはアウタロータ60のボスの外周に沿って等間隔でロータ角度センサ(磁極センサ)15およびパルサセンサ(点火パルサ)16が設けられる。ロータ角度センサ15はモータACG8のステータコイル35に対する通電制御を行うためのものであり、モータACG8のU相、V相、W相のそれぞれに対応して1つずつ設けられる。一方、点火パルサ16はエンジンの点火制御のためのものであり、1つだけ設けられる。ロータ角度センサ15および点火パルサ16はいずれもホールICまたは磁気抵抗(MR)素子で構成することができる。
【0025】
ロータ角度センサ15および点火パルサ16のリード線は基板17に接続され、さらに基板17にはワイヤハーネス18が結合される。アウタロータ60のボス60aの外周には、ロータ角度センサ15および点火パルサ16のそれぞれに磁気作用を及ぼすよう2段着磁されたマグネットリング19が嵌め込まれる。
【0026】
ロータ角度センサ15に対応するマグネットリング19の一方の着磁帯には、ステータ50の磁極に対応して、円周方向に30°幅間隔で交互に配列されたN極とS極が形成され、点火パルサ16に対応するマグネットリング19の他方の着磁帯には、円周方向の1か所に15°ないし40°の範囲で着磁部が形成される。
【0027】
上記構成のモータACG8は、始動時には同期モータとして機能し、バッテリから供給される電流で駆動されてクランク軸2を回動させてエンジン1を始動させるとともに、始動後は同期発電機として機能し、発電した電流でバッテリを充電し、かつ各電装部に電流を供給する。
【0028】
モータACG8のモータとしての動作は次の通りである。ロータ角度センサ15で検出される回転角度に従ってステータコイル35に順次電流を供給することにより、マグネット62を備えたアウタロータ60が駆動される。クランク軸2はアウタロータ60に結合されているので、該アウタロータ60の回転によってクランキングされ、着火回転数に達したならばエンジン1は自立運転を開始する。自立運転開始後は制御系統が発電機側に切り換えられ、モータACG8はエンジン発電機として動作する。
【0029】
エンジン回転数が増大するに従ってローラウェイト13は遠心力で外周方向に付勢され、可動プーリ片112は固定プーリ片111側に偏倚させられる。これにより、Vベルト29は駆動側プーリ11に対して巻き径が大きくなる一方、従動側プーリ20に対して巻き径が小さくなる。つまり、減速比が小さくなり従動側プーリ20は増速される。従動側プーリ20の回転が遠心クラッチの接続回転数を超過すると、クラッチシュー25がカップ状部材28に所定圧で当接して従動軸22に回転が伝達される。
【0030】
図4は、モータACG8を適用した自動二輪車の要部電装系統図である。同図において、ECU100にはモータACG8で発生した三相交流を整流する全波整流器36と、全波整流器36の出力を予定のレギュレート電圧(レギュレータ作動電圧:例えば、14.5V)に制限するためのレギュレータ37とが設けられる。さらに、ECU100は、加速状態およびバッテリ電圧等によって発電量を制御する発電制御部38を有する。発電制御部38はCPUの機能として実現される。前記ロータ角度センサ15および点火パルサ16もECU100に接続され、その検出信号がECU100に入力される。
【0031】
ECU100には、点火コイル39が接続され、点火コイル39の二次側には点火プラグ40が接続される。また、ECU100にはスロットルセンサ41、フューエルセンサ42、シートスイッチ43、アイドルスイッチ44、冷却水温センサ45が接続され、各部から検出信号がECU100に入力される。
【0032】
さらに、ECU100には、スタータリレー46、スタータスイッチ47、ストップスイッチ48,49、スタンバイインジケータ51、フューエルインジケータ52、スピードセンサ53、オートバイスタ54、およびヘッドライト55が接続される。ヘッドライト55には、ディマースイッチ56が設けられる。
【0033】
上記の各部にはメインヒュ−ズ57およびメインスイッチ58を介してバッテリ59から電流が供給される。バッテリ59は、スタータリレー46によってECU100に直接接続される一方、メインスイッチ58を介さず、メインヒューズ57だけを介してECU100に接続される回路を有する。
【0034】
発電制御部38は、全波整流器4の出力電圧(バッテリ電圧)やエンジン1の加速状態に基づいてモータACG8の各相のステータコイル35に遅角・進角通電して発電量を制御(以下、「ACG 通電制御」という)する。ここで、遅角または進角通電とは、ロータ角度センサ15で検出される着磁帯19の磁極の変化時の検出信号から予定の電気角相当分を遅角または進角させてステータコイル35に通電することをいう。本実施形態では、通常運転時および加速時毎にエンジン回転数に応じた制御電圧値のテーブルをもち、このテーブルで検索した制御電圧値にバッテリ電圧が収斂するようにACG通電制御を行う。
【0035】
図1は、ACG通電制御装置の要部機能を示すブロック図である。同図において、全波整流器36はモータACG8のステータコイル35のU,V,W相にそれぞれ接続されたFET(一般的には固体スイッチング素子)36a,36b,36c,36d,36e,36fを有し、エンジン1の始動時は、ドライバ61によりFET36a〜36fをスイッチングし、モータACG8を同期電動機として駆動してクランク軸2を回転させる。一方、エンジン1の始動後は、逆にアウタロータ60がエンジン1で駆動されて同期発電機として機能し、FET36a〜36fで発電交流を整流してバッテリ59や電装負荷64に給電する。また、エンジン駆動による発電中において、ステータコイル35への遅角または進角通電が行われるようにドライバ65でFET36a〜36fを制御して発電量を増減させる。
【0036】
エンジン回転数判別部66は、例えば、点火パルサ16の検出信号や発電電圧の周波数信号などをもとにエンジン回転数を検出し、検出されたエンジン回転数は、制御電圧値設定部67およびデューティ設定部68に供給される。制御電圧値設定部67には、制御電圧値とエンジン回転数との対応テーブル(図7)が設けられ、デューティ設定部68には通電デューティとエンジン回転数との対応テーブル(図9)が設けられる。制御電圧値とエンジン回転数との対応テーブルは通常運転時と加速時との2種類の制御電圧値が設定される。スロットル開度判別部69はスロットルセンサ41で検出されるエンジンのスロットル開度に基づいて加速判断をし、その判断結果によって二つの対応テーブルの一方が選択される。
【0037】
進角・遅角量設定部70は、バッテリ電圧判別部71で検出されたバッテリ電圧Vbと制御電圧値とに基づいて、バッテリ電圧Vbが制御電圧値に収斂するように進角または遅角のいずれかを決定し、ドライバ65に供給する。バッテリ電圧Vbが制御電圧値より高い場合は進角通電し、バッテリ電圧Vbが制御電圧値より低い場合は、遅角通電する。進角および遅角量はバッテリ電圧Vbと制御電圧値との差に応じて可変してもよいし、一定量を進角または遅角するのであってもよい。
【0038】
ドライバ65は、進角または遅角の指示(進角量および遅角量を含むことができる)と、デューティ設定部68から入力される通電デューティに基づいてステータコイル35に通電するようFET36a〜36fを制御する。ドライバ65はロータ角度センサ15による磁極検出信号に応答して、すなわちアウタロータ60の磁極に対応して形成されているマグネットリング19の着磁帯をセンサ15が検出するたびにオンに立ち上がる信号を検出する。そして、その信号の立上がりから進角または通電遅角量相当分変位させてFET36a〜36fに対するPWM制御信号を出力する。
【0039】
図5は、ACG通電制御の要部処理を示すフローチャート、図6は加速判断のフローチャートである。図5のステップS1では、エンジン1の加速判断を行う。図6の加速判断では、まず、ステップS10において、エンジン回転数が加速制御領域か否かを判断する。加速制御領域は、例えばアイドル回転数以上の領域である。ステップS10が肯定ならば、ステップS11に進み、スロットル開度の上昇率(単位時間あたりのスロットル開度増加量)が設定値以上か否かを判断する。具体的には、前回の判断時から今回までの開度増大量が加速判定のために予め設定された値以上か否かを判断する。ステップS11が肯定ならば、ステップS12に進み、加速判定フラグを「1」にセットする。こうして、エンジン1が予定の加速状態にあると判断されれば、加速判定フラグをセットして加速状態にあることを表示する。
【0040】
ステップS13では、加速判定継続時間が設定値以下か否かを判断する。つまり加速と判定された状態が、予め設定された時間以内に解消したかどうかを判断する。加速状態が予定時間以内に解消していないならば、ステップS14に進み、スロットルが全閉か否かを判断する。スロットルが全閉でないならば、この加速判定処理を終える。この場合は、加速判定フラグは「1」にセットされている。
【0041】
一方、ステップS10もしくはステップS11が否定、またはステップS13もしくはステップS14が肯定ならば、加速操作はされていないと判断してステップS15に進んで加速判定フラグをクリアする。つまり、加速判定フラグを「0」にする。
【0042】
図5に戻り、ステップS2では、加速判断に基づいて決定された加速判定フラグが「1」か否かを判別する。ステップS2が肯定ならば、エンジンは加速状態であると判断されるので、ステップS3に進んで、加速時の制御電圧値テーブル(図7のV1)からエンジン回転数に対応する制御電圧値を検索する。ステップS2が否定ならば、エンジンは加速していない通常運転時と判断されるので、ステップS4に進んで、通常運転時の制御電圧値テーブル(図7のV2)からエンジン回転数に対応する制御電圧値を検索する。
【0043】
ステップS5では、前記制御電圧値に対する現在のバッテリ電圧値の偏差に基づいて進角値または遅角値を計算する。すなわち、バッテリ電圧が低い場合は、ステータコイル35に遅角通電して発電量を増大させ、バッテリ電圧が高い場合はステータコイル35に進角通電して発電量を低減させる。ステップS6では、エンジン回転数に応じた通電デューティをデューティ値テーブル(図9)から検索する。ステップS7では、上記遅角値または進角値および通電デューティ値に従ってステータコイル35に通電する。
【0044】
図7は、制御電圧値テーブルであり、同図において、制御電圧V2は通常運転時、制御電圧V1は加速時の制御電圧をそれぞれ示す。同図に示すように、加速時は通常運転時よりも制御電圧値が低く設定されている。これによって、加速時はバッテリ電圧が極端に低くない限り発電量を増大させるように動作しないので、発電フリクションが抑えられ、加速応答性が高められる。
【0045】
また、通常運転時の制御電圧値V2は、エンジン回転数が高くなるほど制御電圧値は高く設定されている。その結果、エンジン回転数が高くて、発電フリクションの増加に鈍感な領域では、発電量の増大が図られる。特に、アイドリング領域R1では、エンジン回転数に対する制御電圧値V2の変化量は実質的にゼロであり、アイドリング領域R1を超えた半クラッチ領域R2では、制御電圧値V2の変化量が大きい。走行状態で制御電圧値を急に変化させると、走行の安定さを維持するために制御が煩雑となるが、実質的に車両が走行していない半クラッチ状態では、走行の安定性を考慮しなくてもよいので、制御電圧値を大きく変化させても不都合はない。
【0046】
図8は、ACG通電制御時にステータコイル35の各相に流れる電流(相電流)とロータ角度センサ15の出力とのタイミングを示す図である。図に示すように、ACG通電制御が行われない通常(遅角通電なし)の場合には、ロータ角度センサ15の検出出力の正負(NS)の変化に応答してステータコイル35のU,V,W各相に電流が供給される。
【0047】
これに対して、遅角通電制御を行った場合には、ロータ角度センサ15の検出出力の正負(NS)の変化時から、ステップS5で計算された遅角量dだけ遅れてステータコイル35のU,V,W各相に電流が供給される。
【0048】
また、進角通電制御を行った場合には、ロータ角度センサ15の検出出力の正負の変化時に先立ち、ステップS5で計算された進角量pだけ位相が進められたタイミングでステータコイル35のU,V,W各相に電流が供給される。
【0049】
図8において、デューティチョッピングによる通電角Tは180°であるが、デューティ設定部68からドライバ65へ供給される通電デューティによって180°以内で決定することができる。
【0050】
図9はエンジン回転数つまり発電機の回転数をパラメータとして設定した通電デューティのテーブルである。エンジン回転数を検出し、前記ステップS6では図8を参照してエンジン回転数に応じた通電デューティを決定する。
【0051】
上記実施形態では、アウタロータ/インナロータ方式で、アウタロータに界磁束発生用磁石手段として永久磁石を配置した。しかし、本発明は、インナロータに界磁束発生用磁石手段を設けた発電機や、界磁束発生用磁石手段として電磁石を採用した発電機にも同様に適用できる。また、本発明は、自動二輪車のモータACGに限らず、汎用のエンジン駆動発電機等にも適用できるのはもちろんである。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、請求項1〜請求項8の発明によれば、通電の進角と遅角との双方を適用して発電量の制御を行ったので、効率的な発電ができる。特に、請求項2の発明では、バッテリ電圧に従って発電量を決定するので、適正な充電が行える。請求項3の発明によれば、加速状態と通常運転状態とで、容易に発電量を切り替えることができる。
【0053】
請求項4の発明によれば、制御電圧値の設定によって容易に加速状態の発電量を低減することができる。請求項5の発明によれば、エンジンの高出力が得られる高回転域で大きい発電量が得られ、低出力である低回転域では発電量を抑制してエンジン回転の安定性を図ることができる。
【0054】
請求項6の発明によれば、加速状態では、エンジン回転数の高低にかかわらず、発電量が低めに抑えられて加速特性を良好に維持できる。請求項7の発明によれば、アイドル運転時の発電負荷を低減して適正なアイドル運転が行われる。請求項8の発明によれば、制御電圧値をテーブルで持つようにしたので、エンジン回転数毎のきめ細かな制御を比較的簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る出力制御装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】 本発明の出力制御装置を有する発電機を搭載した自動二輪車の要部断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るモータACGの断面図である。
【図4】 本発明の出力制御装置を有する自動二輪車の要部電装系統図である。
【図5】 ACG発電制御のフローチャートである。
【図6】 加速判定のフローチャートである。
【図7】 エンジン回転数をパラメータとする制御電圧値のテーブルである。
【図8】 発電制御時のステータコイルの相電流とロータ角度センサの出力とのタイミングを示す図である。
【図9】 エンジン回転数をパラメータとする通電デューティのテーブルである。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…クランク軸、 3…クランクケース、 8…モータACG、 11…駆動側プーリ、 14…変速機ケース、 15…ロータ角度センサ、16…点火パルサ、 20…従動側プーリ、 35…ステータコイル、 36…全波整流器、 38…発電制御部、 52…バッテリ電圧判別部、 60…アウタロータ、 62…マグネット、 65…ドライバ、 66…エンジン回転数判別部、 67…制御電圧値設定部、68…デューティ設定部、 69…スロットル開度判別部、 70…遅角・進角量設定部
Claims (8)
- エンジンで駆動される界磁束発生用磁石手段を有する回転子、および発電出力発生用の固定子巻線が巻回された固定子を有する同期発電機の出力制御装置において、
前記固定子巻線の各相に対する通電タイミングを変化させて発電量を制御する制御手段と、
エンジンが予定の加速状態にあることを検出する加速判断手段と、
同期発電機で充電されるバッテリとを備え、
前記制御手段が、前記エンジンの加速状態と加速状態以外の通常運転状態とで個別に設定されている制御電圧値に前記バッテリの電圧が収斂するように通電タイミングを決定し、かつ、前記加速手段によって検出された前記エンジンの加速状態では、発電量を低減するように通電タイミングを設定するとともに、
前記制御電圧値が、エンジン回転数をパラメータとして、エンジン回転数が高くなるにつれて高く設定され、前記加速状態では通常運転状態より変化程度が小さく設定されることを特徴とする同期発電機の出力制御装置。 - 前記制御電圧値が、前記エンジンの加速状態では、通常運転状態より低く設定されていることを特徴とする請求項1記載の同期発電機の出力制御装置。
- 前記制御電圧値が、エンジン回転数をパラメータとして設定され、通常運転状態では、エンジン回転数が高くなるにつれて高く設定されることを特徴とする請求項2記載の同期発電機の出力制御装置。
- 前記制御電圧値が、通常運転状態のアイドル回転数域ではそれ以上のエンジン回転数域と比べてエンジン回転数に対する変化量が小さく設定されていることを特徴とする請求項1または3記載の同期発電機の出力制御装置。
- 前記制御電圧値が、エンジン回転数の関数としてテーブルに設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の同期発電機の出力制御装置。
- 回転子がラジエータ冷却用のファンを備えている同期発電機に提供される請求項1〜5のいずれかに記載の同期発電機の出力制御装置。
- バッテリ電圧が前記制御電圧値よりも低い場合は、遅角通電をして発電量を増大させ、前記バッテリ電圧が前記制御電圧値よりも高い場合は、進角通電をして発電量を低減させることを特徴とする請求項1記載の同期発電機の出力制御装置。
- 前記制御電圧値が、通常運転状態の半クラッチ回転数域では、それ以外の回転数域と比べてエンジン回転数に対する変化量が大きく設定されていることを特徴とする請求項1記載の同期発電機の出力制御装置。
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