JP3938249B2 - ヒートポンプ式自動車用空気調和装置 - Google Patents

ヒートポンプ式自動車用空気調和装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車室内をエンジン冷却水と冷媒を用いて冷暖房するヒートポンプ式自動車用空気調和装置に関し、特に、フロントユニットとリヤユニットとを有するデュアル型ヒートポンプ式自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高級車や車室内空間が大きいワンボックスカーでは、室内全体が快適な空調状態となるように、車室内の前方領域と後方領域とをフロントユニットとリヤユニットとによってそれぞれ独立に空気調和するいわゆるデュアル型の自動車用空気調和装置が広く採用されている。
【0003】
一般的なデュアル型自動車用空気調和装置では、暖房運転の場合、エンジンにより加熱されたエンジン冷却水を熱源として利用しているが、例えば、冬季の朝のように外気温度が低いときには、起動時にエンジン冷却水の温度も低く、運転開始と同時に暖かい空気が吹き出る状態にはならず、いわゆる即暖性に欠け、暖房性能も不足気味となる虞れがある。特に、ディーゼルエンジンを搭載した車室内空間の大きいワンボックスカーでは、通常のガソリンエンジン車に比し、エンジン冷却水の温度上昇が遅く、しかも広い空間を暖房しなければならないことから、即暖性、暖房性能ともに不足する傾向がある。
【0004】
そこで、エンジン冷却水を用いる温水式暖房方式に、コンプレッサにより圧縮された高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ方式をさらに組み合せたデュアル型ヒートポンプ式自動車用空気調和装置も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、リヤユニットは後席側面の空き空間に設けるのが一般的ではあるが、この空き空間はきわめて狭小であるため、リヤユニットの小型化を図る必要があり、リヤユニットには放熱器(サブコンデンサ)のみを設置して暖房専用ユニットとすることが考えられる。この場合には、フロントユニットはエンジン冷却水を用いた温水式暖房または冷媒を用いたヒートポンプ式冷暖房を行い、リヤユニットは高温高圧冷媒を用いたヒートポンプ式暖房のみを行なうことになる。かかる構成では、温水配管をエンジンルームから後席まで配設する作業の煩雑さを回避できるという利点もある。
【0006】
しかしながら、リヤユニットを暖房専用ユニットとした場合に、ファン風量の増減制御のみでリヤ吹出空気の温度調整(以下、単に「温調」とも言う)を行なったときには、乗員にとって十分快適なレベルにまで温調性能を拡大することが困難である。このため、リヤの温調性能を拡大して、乗員の温感向上を図ることが要請されている。
【0007】
また、エンジン冷却水が十分に昇温した場合には、フロントユニットをヒートポンプ式冷暖房から温水式暖房に切り替え、エンジン負荷の低減を通して低燃費を図ると共に、コンプレッサの耐久性を高めることが望ましい。かかる場合、快適な前後独立暖房を実現すべく、フロントユニットの温水式暖房またはヒートポンプ式暖房、リヤユニットのヒートポンプ式暖房をどのようにして決定すればよいかが問題となる。
【0008】
さらに、暖房運転の場合に、前席優先暖房または後席優先暖房をいかにして制御に採り込めばよいかも問題である。
【0009】
本発明は、上記の要請に応えるべくなされたものであり、リヤの温調性能を拡大して乗員の温感向上を図ることができ、また、快適な前後独立暖房を実現し、さらに、フロント優先暖房またはリヤ優先暖房の考え方を採り込んだヒートポンプ式自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、コンプレッサから吐出された冷媒を、外部コンデンサ、第1流量調整手段、フロント側サブコンデンサ、第2流量調整手段、エバポレータを経て前記コンプレッサに帰還させるメインの冷媒サイクルを備え、前記フロント側サブコンデンサおよび前記エバポレータをユニットケースの風路内に配置すると共にエンジンから流出したエンジン冷却水が流通するヒータコアを前記風路内に配置したフロントユニットと、
前記コンプレッサから吐出された冷媒を、リヤ側サブコンデンサ、冷媒膨張部材を経て前記コンプレッサに帰還させるサブの冷媒サイクルを備え、前記リヤ側サブコンデンサをユニットケースの風路内に配置したリヤユニットと、を有するデュアル型のヒートポンプ式自動車用空気調和装置において、
前記コンプレッサの上流側に配置され、前記フロントユニットの前記エバポレータから流出した冷媒および前記リヤユニットの前記リヤ側サブコンデンサから流出して前記冷媒膨張部材を経た冷媒が内部を流通するサブ熱交換器と、
前記サブ熱交換器の内部を流通する冷媒を加熱するため、エンジンから流出したエンジン冷却水を当該サブ熱交換器に導入する開閉自在な開閉弁と、
前記コンプレッサの作動・停止を切替える切替手段と、
前記コンプレッサから吐出される冷媒圧力を検出する圧力検出手段と、
前記フロントユニットから吹き出されるフロント吹出空気の温度を設定するフロント温度設定手段と、
前記リヤユニットから吹き出されるリヤ吹出空気の温度を設定するリヤ温度設定手段と、
前記圧力検出手段により検出した吐出冷媒圧力に応じて、前記開閉弁の開閉動作と前記切替手段による前記コンプレッサの作動・停止動作とを行う制御手段と
前記エンジン冷却水温度を検出する水温検出手段と、
フロントの優先的な暖房を設定するフロント優先暖房設定手段と、
リヤの優先的な暖房を設定するリヤ優先暖房設定手段と、を有し、
[A]暖房運転の場合において前記制御手段は、前記フロント優先暖房設定手段および前記リヤ優先暖房設定手段による設定状態に基づいてフロント優先暖房であるかリヤ優先暖房であるかを判断し、リヤの優先的な暖房が設定されていると判断した場合には、
[1]前記水温検出手段により検出したエンジン冷却水温度が所定温度以上のときには、前記フロントユニットは前記ヒータコアにて前記エンジン冷却水を熱源として利用する温水式暖房を行ない、前記リヤユニットは前記リヤ側サブコンデンサにて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行ない、
[2]前記エンジン冷却水温度が所定温度に達しておらず、かつ、前記フロントユニットが前記フロント温度設定手段により定まる急速暖房状態のときには、前記フロントユニットおよび前記リヤユニットはともに、前記それぞれのサブコンデンサにて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行ない、
[3]前記エンジン冷却水温度が所定温度に達しておらず、かつ、前記フロントユニットが前記急速暖房状態以外のときには、前記フロントユニットは温水式暖房を行ない、前記リヤユニットはヒートポンプ式暖房を行ない、
前後独立暖房を行なうようにし、
前記リヤユニットのヒートポンプ式暖房を行なうときには、検出した吐出冷媒圧力が、前記リヤ温度設定手段により設定された温度において前記コンプレッサを停止させるべき基準圧力(LPd)よりも小さい基準圧力(KPd)まで上昇したときには前記開閉弁を閉じ、前記基準圧力(KPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記開閉弁を開き、検出した吐出冷媒圧力が、前記基準圧力(LPd)まで上昇したときは前記切替手段により前記コンプレッサを停止し、前記基準圧力(LPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記コンプレッサを作動し、冷媒の温度を調整することによって、前記リヤ側サブコ ンデンサにより加熱されて吹き出される前記リヤ吹出空気の温度を前記リヤ温度設定手段により設定された温度に調整し、
[B]フロントの優先的な暖房が設定されていると判断した場合には、リヤは暖房せずに、
[1]前記水温検出手段により検出したエンジン冷却水温度が所定温度以上のときには、前記フロントユニットは温水式暖房を行ない、
[2]前記エンジン冷却水温度が所定温度に達しておらず、かつ、前記フロントユニットが前記フロント温度設定手段により定まる急速暖房状態のときには、前記フロントユニットはヒートポンプ式暖房を行ない、
[3]前記エンジン冷却水温度が所定温度に達しておらず、かつ、前記フロントユニットが前記急速暖房状態以外のときには、前記フロントユニットは温水式暖房を行ない、
前記フロントユニットのヒートポンプ式暖房を行なうときには、検出した吐出冷媒圧力が、前記フロント温度設定手段により設定された温度において前記コンプレッサを停止させるべき基準圧力(LPd)よりも小さい基準圧力(KPd)まで上昇したときには前記開閉弁を閉じ、前記基準圧力(KPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記開閉弁を開き、検出した吐出冷媒圧力が、前記基準圧力(LPd)まで上昇したときは前記切替手段により前記コンプレッサを停止し、前記基準圧力(LPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記コンプレッサを作動し、冷媒の温度を調整することによって、前記フロント側サブコンデンサにより加熱されて吹き出される前記フロント吹出空気の温度を前記フロント温度設定手段により設定された温度に調整することを特徴とするヒートポンプ式自動車用空気調和装置である。
【0013】
請求項に記載のように、前記フロント優先暖房設定手段はフロントに配置されたスイッチから構成し、前記リヤ優先暖房設定手段はリヤに配置されたスイッチから構成するとよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るヒートポンプ式自動車用空気調和装置の実施の形態を示す概略構成図であり、図1は暖房運転時の状態を、図2は冷房運転時の状態をそれぞれ示している。なお、図中、白抜き矢印は空気の流れを、実線矢印は冷媒の流れを、破線矢印はエンジン冷却水の流れを示している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のヒートポンプ式自動車用空気調和装置10は、インテークユニット21から選択的に取り入れられた内外気を空気調和して前席を対象に吹き出すためのフロントユニット20と、内気を空気調和して後席を対象に吹き出すためのリヤユニット30とを有する、いわゆるデュアルエアコンである。
【0016】
フロントユニット20は、ケーシング22により形成された風路22f内で、インテークドア(図示せず)、フロントファン23を有する空気導入部であるインテークユニット21から導入された空気の流れ方向の上流側から順に、エバポレータ16、フロント側サブコンデンサ14、ミックスドア24およびヒータコア25が配置されている。エバポレータ16とフロント側サブコンデンサ14は、風路22f内で相互に対向して近接配置されている。また、風路22fの出口側には、調和空気が車室内所定部位に向かって吹き出される各種吹出口26(例えば、デフ吹出口、ベント吹出口、フット吹出口の総称)およびモードドア27が設けられている。
【0017】
なお、当該フロントユニット20には、迂回路29を有するように風路22f内に設けられたヒータコア25の前面にミックスドア24を設け、温風と冷風との比率を調節してヒータコア25の下流域で所定温度の空気を作ったり、あるいはヒータコア25内に空気が流通しないようにしている。
【0018】
また、ヒータコア25には、ウォーターバルブ28を開放することによりエンジンEから流出したエンジン冷却水が導入されるようになっている。
【0019】
一方、リヤユニット30は、ケーシング32により形成された風路32f内に、空気の流れ方向上流側から順にリヤファン33、リヤ側サブコンデンサ34のみが配置されている。風路32fの出口側には、調和空気が後席乗員の足元に向かって吹き出されるフット吹出口35が設けられている。なお、図示例では、小型化のためにリヤユニット30にミックスドアを設けていないが、リヤ側サブコンデンサ34を迂回路を有するように設けると共に当該リヤ側サブコンデンサ34の前面にミックスドアを設けることも可能である。
【0020】
フロントユニット20のエバポレータ16には、例えば、冷房運転時(図2に示す状態)では、コンプレッサ11から吐出された冷媒が、第1電磁弁41→外部コンデンサ12→第2逆止弁52→第1流量調整弁13→フロント側サブコンデンサ14→第2流量調整弁15と流れて流入するようになっている。また、エバポレータ16から流出した冷媒は、第4逆止弁54を経てサブ熱交換器17に流入し、当該サブ熱交換器17を通ってコンプレッサ11に戻され、これによりメインの冷媒サイクルC1を構成している。
【0021】
また、暖房運転時(図1に示す状態)では、コンプレッサ11から吐出された冷媒は外部コンデンサ12をバイパスしてメイン冷媒サイクルC1内を流れる。つまり、コンプレッサ11から吐出された冷媒は、第2電磁弁42→第1逆止弁51→第1流量調整弁13→フロント側サブコンデンサ14→第2流量調整弁15→エバポレータ16→第4逆止弁54→サブ熱交換器17と流れてコンプレッサ11に戻される。第2電磁弁42および第1逆止弁51を配管途上に設けて、外部コンデンサ12をバイパスするバイパス回路Bが形成されている。
【0022】
ここに、第1と第2の流量調整弁13、15は、第1と第2の流量調整手段に相当し、開放状態(略全開状態)と絞り状態(完全閉鎖状態ではなく、多少冷媒通路が開いている状態)とを選択でき2段階に亘って冷媒流量を制御し得る、いわば電磁弁のように機能するものである。冷房運転時には、第1流量調整弁13は絞り状態に、第2流量調整弁15は開放状態に設定される。暖房運転時にはこれとは逆に、第1流量調整弁13は開放状態に、第2流量調整弁15は絞り状態に設定される。開放状態と絞り状態とを選択できる第1と第2の流量調整弁13、15により、後述するように除湿暖房を確実に行なうことができ、内気循環により暖房運転しても、フロントガラスが曇ることがなく、運転の安全性が高められる。
【0023】
なお、フロントでは温水式暖房を行い、リヤではヒートポンプ式暖房を行なう場合には、第1と第2の流量調整弁13、15はともに絞り状態に設定される。
【0024】
リヤユニット30のリヤ側サブコンデンサ34には、暖房運転時では、冷媒は、メイン冷媒サイクルC1の第1逆止弁51から第1流量調整弁13に至る配管から分岐した配管の途上に設けた第4電磁弁44を経て流入するようになっている。また、リヤ側サブコンデンサ34から流出した冷媒は、冷媒膨張部材36にて断熱膨張した後、第5逆止弁55を経て、メイン冷媒サイクルC1の第4逆止弁54からサブ熱交換器17に至る配管の途上に合流される。これによりサブの冷媒サイクルC2を構成している。前記冷媒膨張部材36は、例えば、開度が固定されたオリフィスチューブから構成されている。なお、第4電磁弁44は、冷房運転時では閉じられる。
【0025】
フロントユニット20のエバポレータ16から流出した冷媒およびリヤユニット30のリヤ側サブコンデンサ34から流出してオリフィスチューブ36を経た冷媒が、サブ熱交換器17の内部を流通する。このサブ熱交換器17は、アキュムレータを一体化したサブエバポレータであって、コンプレッサ11の上流側で、フロントユニット20及びリヤユニット30の風路22f、32f外に配置されている。さらに、サブ熱交換器17の内部を流通する冷媒と熱交換を行なって当該冷媒を加熱するため、エンジンEから流出したエンジン冷却水をサブ熱交換器17に導入する開閉自在なウォーターバルブ18(開閉弁に相当する)が設けられている。ウォーターバルブ18を開放すれば、エンジン冷却水がサブ熱交換器17に導入される。
【0026】
このようにすれば、低温のため空気と熱交換しても直ちに暖房用としては使用できないエンジン冷却水であっても、当該サブ熱交換器17において、内部を流通する極めて低温の冷媒と熱交換させることにより、エンジン冷却水が保有する熱を有効に冷媒に取り込むことができる。そして、エンジン冷却水により加熱された冷媒をコンプレッサ11に戻し、再度これを加圧することになるので、当該コンプレッサ11から吐出された冷媒は、高温のエントロピー変化した冷媒となってフロント側サブコンデンサ14やリヤ側サブコンデンサ34に供給されることになる。この結果、フロント側サブコンデンサ14やリヤ側サブコンデンサ34において熱交換された空気は、より高温となり、高い暖房性能を発揮し、即暖性も向上することになる。
【0027】
また、本実施形態のメイン冷媒サイクルC1は、暖房起動時に外部コンデンサ12内に寝込んでいる冷媒をコンプレッサ11に回収する戻し回路Rを有している。通常、冷媒は運転停止後、コンプレッサ11に帰還せず、冷媒サイクルを構成する各構成要素中に寝込んでいることが多く、コンプレッサ11にはあまり存在していない。この状態でコンプレッサ11を作動し、暖房運転を開始すると、多量の冷媒を用いて運転することはできず、暖房性能の低下は否めない。したがって、運転開始時に、外部コンデンサ12などの内部に寝込んでいる冷媒を一旦コンプレッサ11に戻すことが好ましい。
【0028】
このため、コンプレッサ11と外部コンデンサ12との間に第3電磁弁43および第3逆止弁53を設け、コンプレッサ11の吸込側と外部コンデンサ12とを連結する戻し回路Rを形成してある。したがって、暖房運転の開始時に第3電磁弁43を開くと、コンプレッサ11の吸込側と外部コンデンサ12が戻し回路Rを介して連通されることになり、コンプレッサ11の吸込力により外部コンデンサ12内の寝込み冷媒が、コンプレッサ11に回収され、コンプレッサ11から吐出される冷媒量が増大し、暖房性能の低下が防止される。
【0029】
本実施形態では、第1〜第3の3個の電磁弁41、42、43および第1〜第4の4個の逆止弁51、52、53、54をケース45内に収納し、いわゆる集合弁40の形態としてある。前記ケース45には、コンプレッサ11から吐出された冷媒が流入する第1ポート61、第1電磁弁41の出口側に連通する第2ポート62、第1と第2の逆止弁51、52の出口側に連通する第3ポート63、外部コンデンサ12から流出した冷媒が流入する第4ポート64、第3と第4の逆止弁53、54の出口側に連通する第5ポート65、および、エバポレータ16から流出した冷媒が流入する第6ポート66の6個の出入口ポートが設けられている。これらのポート61〜66と第1〜第3電磁弁41〜43や第1〜第4逆止弁51〜54とをケース45内で配管を介して接続することにより、上述した種々の冷媒経路が構成されている。
【0030】
上記構成の集合弁40を用いることにより、複数の電磁弁や逆止弁を個々に配管に接続する場合に比較すると、配管の接続作業が容易となる。また、振動対策として車両ボディに弁などを固定する場合も、一つの集合弁40を車両ボディに固定すればよいので、固定作業も容易になるという利点がある。
【0031】
図3(A)および(B)は、車室内に設けられるフロント用コントロールパネルおよびリヤ用コントロールパネルを示している。
【0032】
フロント用コントロールパネル70には、同図(A)に示すように、風量を設定するフロントファンスイッチ71、フロントユニット20から吹き出されるフロント吹出空気の温度を設定するフロントテンプレバー72(フロント温度設定手段に相当する)、内気循環を設定するRECスイッチ73、モードスイッチ74(ベントスイッチ74a、バイレベルスイッチ74b、フットスイッチ74c、デフ/フットスイッチ74d、デフスイッチ74eの総称)が設けられている。また、冷房運転を設定するA/Cスイッチ75や、フロント暖房が不足しているときにフロントの優先的な暖房(ヒートアップ暖房)を設定するフロントヒートアップスイッチ76(フロント優先暖房設定手段に相当する)が設けられている。A/Cスイッチ75およびフロントヒートアップスイッチ76は、一つのシーソ式スイッチから構成され、フロントヒートアップスイッチ76をオンしたときには、A/Cスイッチ75は機械的にオフとなる。フロントテンプレバー72にはインジケータ72aが設けられ、また、RECスイッチ73、モードスイッチ74、A/Cスイッチ75およびフロントヒートアップスイッチ76にはオン操作時に点灯するインジケータ73a、74f、75a、76aが設けられている。
【0033】
リヤ用コントロールパネル80には、同図(B)に示すように、風量を設定するリヤファンスイッチ81、リヤユニット30から吹き出されるリヤ吹出空気の温度を設定すリヤテンプレバー82(リヤ温度設定手段に相当する)、リヤの優先的な暖房(ヒートアップ暖房)を設定するリヤヒートアップスイッチ83(リヤ優先暖房設定手段に相当する)が設けられている。リヤユニット30は、リヤヒートアップスイッチ83をオンすると暖房運転となり、オフすると送風運転を行なうようになっている。また、リヤヒートアップスイッチ83にはオン操作時に点灯するインジケータ83aが設けられている。
【0034】
図1を参照して、コンプレッサ11の出口側配管には、コンプレッサ11から吐出される冷媒圧力Pdや冷媒温度Tdを検出するため、吐出冷媒圧力検出センサ85(圧力検出手段に相当する)や、吐出温度検出センサ86が設けられている。また、フロントユニット20の風路22f内には、冷房運転時のエバポレータ16の凍結を防止するため、エバポレータ16出口の空気温度を検出するデフロストサーモセンサ87が設けられている。
【0035】
図4は、本実施形態の自動車用空気調和装置の制御を司る制御手段を示す概略ブロック図である。
【0036】
制御手段としてのオートアンプ90は、CPUを備え、この空調装置を総合的に制御する機能を有している。オートアンプ90には、フロント用コントロールパネル70およびリヤ用コントロールパネル80が接続され、フロントおよびリヤのヒートアップスイッチ76、83やファンスイッチ71、81のオンオフ信号、テンプレバー72、82に設けられた可変レジスタであるPTCの抵抗値に関する信号や、モードスイッチ74による空調モードに関する信号が入力される。また、コンプレッサ11の吐出冷媒圧力Pdや吐出冷媒温度Tdに関する信号が入力される。その他、エンジン冷却水温度を検出する水温検出センサ91(水温検出手段に相当する)や外気温度を検出する外気温度センサなどのセンサ群92から、エンジン冷却水温度Twや外気温度に関する信号も入力される。そして、オートアンプ90内には、運転モード判断部が設けられており、テンプレバー位置や各種センサで検出した情報に基づいて暖房運転か冷房運転かの判断を行う。
【0037】
また、オートアンプ90には、ファンモータM1、M2、流量調整弁13、15や電磁弁41〜44、ヒータコア25用のウォータバルブ28、サブ熱交換器17用のウォータバルブ18、コンプレッサ11の作動・停止を切替える電磁クラッチ11a(切替手段に相当する)が接続され、オートアンプ90からは、これらを作動させる制御信号が出力される。さらに、風路22f内に設けられた各種ドア(たとえば、インテークドア、ミックスドア24、各吹出口を開閉するモードドア27)を駆動する各種アクチュエータ93が接続されている。オートアンプ90は、各種センサなどからの信号を入力し、これらを演算して、種々のアクチュエータ93を作動させて、吸込口の開度や吹出口位置などを総合的に制御している。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
まず、本実施形態のヒートポンプ式自動車用空気調和装置の運転モードを概説すると、冷房運転モード、送風運転モードおよび暖房運転モードがあり、フロントおよびリヤの両方を暖房する運転モードには、(a)フロントは温水式暖房、リヤはヒートポンプ式暖房、(b)フロントおよびリヤがともにヒートポンプ式暖房の2つのモードがある。なお、フロントは温水式暖房およびヒートポンプ式暖房の両者を併用し、リヤはヒートポンプ式暖房を行うモードをさらに加えることもできる。
【0040】
冷房運転は、フロントファンスイッチ71がオン、A/Cスイッチ75がオンにて行なわれる。リヤユニット30については、冷房運転はない。
【0041】
送風運転は、フロントファンスイッチ71がオン、A/Cスイッチ75がオフ、フロントヒートアップスイッチ76がオフにて、フロントの送風運転を行なう。また、リヤファンスイッチ81がオン、リヤヒートアップスイッチ83がオフにて、リヤの送風運転を行なう。
【0042】
暖房運転、特に、フロントおよびリヤのヒートポンプ式暖房は、フロントヒートアップスイッチ76およびリヤヒートアップスイッチ83の操作に応じて設定されるようになっている。
【0043】
リヤをヒートポンプ式暖房する場合、リヤユニット30には放熱器であるリヤ側サブコンデンサ34のみしか設置していないので、リヤ吹出空気の温調は冷媒を用いて行なう必要がある。
【0044】
そこで、本実施形態にあっては、オートアンプ90は、吐出冷媒圧力検出センサ85により検出した吐出冷媒圧力Pdに応じて、サブ熱交換器17用のウォーターバルブ18の開閉動作と電磁クラッチ11aによるコンプレッサ11の作動・停止動作とを行なって、リヤの温調、すなわち、リヤ側サブコンデンサ34により加熱されて吹き出されるリヤ吹出空気の温度をリヤテンプレバー82により設定された温度に調整するようにしてある。
【0045】
かかる温調制御により、リヤのファン風量の増減制御のみでリヤの温調を行なう場合に比べてリヤの温調性能を拡大し、乗員の温感向上を図っている。
【0046】
また、暖房運転の場合において、オートアンプ90は、以下の[1]〜[3]のような制御を行なっている。
【0047】
[1]水温検出センサ91により検出したエンジン冷却水温度Twが所定温度To以上のときには、エンジン冷却水を熱源として利用して十分な暖房を行い得るので、フロントユニット20はヒータコア25にてエンジン冷却水を熱源として利用する温水式暖房を行ない、リヤユニット30はリヤ側サブコンデンサ34にて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行なう。このとき、フロント吹出空気の温調は、ミックスドア24の開度を制御するエアミックス方式により行なう。また、リヤ吹出空気の温調は、上述したように、ウォーターバルブ18の開閉動作とコンプレッサ11の作動・停止動作とにより行なう。フロントをヒータコア25のみによる温水式暖房とすることで、エンジンEに必要以上の負荷を掛けることがなく、低燃費の暖房運転が可能となる。
【0048】
[2]エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しておらず、かつ、フロントが最大暖房(フロントテンプレバー72のPTC分圧比が100%(フルホットFH))のときには、エンジン冷却水を熱源として利用するには不十分であるため、フロントユニット20およびリヤユニット30はともに、それぞれのサブコンデンサ14、34にて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行なう。フロントおよびリヤの温調は、上述したように、ウォーターバルブ18の開閉動作とコンプレッサ11の作動・停止動作とにより行なう。
【0049】
[3]エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しておらず、かつ、フロントが最大暖房以外のときには、十分に昇温していないエンジン冷却水であっても熱源として利用可能であることから、フロントユニット20は温水式暖房を行ない、リヤユニット30はヒートポンプ式暖房を行なう。このとき、フロントの温調は、エアミックス方式により行ない、リヤの温調は、ウォーターバルブ18の開閉動作とコンプレッサ11の作動・停止動作とにより行なう。
【0050】
上記[1]〜[3]にしたがってフロントユニット20の温水式暖房と、リヤユニット30のヒートポンプ式暖房を決定することにより、低燃費を図ると共にコンプレッサ11の耐久性を高めつつ、快適な前後独立暖房を実現している。
【0051】
なお、上記(2)(3)における「フロントが最大暖房」は、「フロントユニット20がフロントテンプレバー72により定まる急速暖房状態」の一例として挙げたものである。したがって、「急速暖房状態」とは、フロントテンプレバー72がフルホットFHにある場合に限定されるものではなく、例えば、フロントテンプレバー72のPTC分圧比が90%〜100%の範囲を「急速暖房状態」と定めてもよい。
【0052】
オートアンプ90はさらに、暖房運転の場合において次のような制御も行なっている。すなわち、フロントヒートアップスイッチ76およびリヤヒートアップスイッチ83による設定状態に基づいてフロント優先暖房であるかリヤ優先暖房であるかを判断し、それぞれの優先暖房状態においてフロントおよびリヤの暖房方式を決定している。
【0053】
かかる制御により、前席優先暖房または後席優先暖房の考え方を採り込んだヒートポンプ式自動車用空気調和装置としてある。
【0054】
次に、冷房運転、フロントおよびリヤのヒートポンプ式暖房運転、および、リヤのみがヒートポンプ式暖房運転を行うときの作用を説明する。図5には、各電磁弁の作動状態を表わしてある。
【0055】
《冷房運転》
外気温度が比較的高くて冷房運転を行なう場合には、図2に示すように、コンプレッサ11から吐出された冷媒は、集合弁40の第1電磁弁41を介して、直接、外部コンデンサ12に入ることになる。また、第1流量調整弁13は絞られ、第2流量調整弁15は開かれるように作動する。リヤユニット30は放熱器として機能するリヤ側サブコンデンサ34のみを設置してあり、冷房運転を行わないので、第4電磁弁44は閉じられる。
【0056】
この状態でコンプレッサ11を作動すると、吐出された冷媒は、図示するように、外部コンデンサ12に入り、冷却され凝縮する。比較的低温となった高圧冷媒は、絞られている第1流量調整弁13により流量が制限され、ここで断熱膨張され、より低温な低圧冷媒になってフロント側サブコンデンサ14に流入する。さらに流下した冷媒は、開かれている第2流量調整弁15を通ってエバポレータ16に入る。冷媒はエバポレータ16で蒸発しガス状となる。
【0057】
したがって、インテークユニット21から送られてきた空気は、まず、エバポレータ16で除湿されると共にある程度冷却され、その直後に配置されているフロント側サブコンデンサ14によりさらに冷却されてフロントに供給されることになり、いわば多段冷房が行なわれ、高い冷房性能を発揮する。
【0058】
フロント吹出空気の温調は、公知のエアミックス方式でなされ、ヒータコア25前面のミックスドア24の開度を調節し、ヒータコア25側と迂回路29側とに冷風を分岐し、これらを再度ミックスすることにより所定温度にした後に、車室内に吹き出す。
【0059】
《フロントおよびリヤのヒートポンプ式暖房運転》
暖房運転の開始時に、外気温度が低い場合とか、エンジン始動直後、エンジン低負荷時あるいはアイドリング時のようにエンジン冷却水温が暖房用として使用できない程度に低い場合には、集合弁40の第3電磁弁43を所定時間だけ開き、戻し回路Rを介して、外部コンデンサ12内に寝込んでいる冷媒を回収する。第1流量調整弁13は開かれ、第2流量調整弁15は絞られるように作動する。リヤの暖房を行うため、第4電磁弁44は開かれる。さらに、集合弁40の第1電磁弁41を閉じ、第2電磁弁42を開いて、バイパス回路Bを開放する。また、サブ熱交換器17用のウォータバルブ18を開き、サブ熱交換器17にエンジン冷却水を流通させておく。
【0060】
外部コンデンサ12内に寝込んでいる冷媒が回収されるので、コンプレッサ11から多量の高温高圧の冷媒が吐出されることになり、この冷媒は、バイパス回路B、第1流量調整弁13へと流れる。また、冷媒の一部は、第4電磁弁44を通って、サブの冷媒サイクルC2へと流れる。
【0061】
したがって、フロントおよびリヤのサブコンデンサ14、34のそれぞれには、容量の大きな外部コンデンサ12をバイパスした高温高圧状態の冷媒がそのまま流入されるので、ここを通る空気が加熱される。なお、冷媒はここである程度凝縮される。
【0062】
フロント側サブコンデンサ14から流出した冷媒は、第2流量調整弁15およびエバポレータ16に案内される。フロント側サブコンデンサ14から流出した冷媒は、絞られた第2流量調整弁15を通る際に断熱膨張されて低温低圧の冷媒になるので、エバポレータ16を通る空気は除湿され、かつ冷却される。なお、冷媒はエバポレータ16で蒸発しガス状となる。
【0063】
したがって、インテークユニット21から送られてきた空気は、エバポレータ16で冷却され、その直後に配置されているフロント側サブコンデンサ14により加熱されることになる。このように除湿暖房運転が行なわれるので、内気循環モードにより暖房してもフロントガラスが曇ることはない。
【0064】
リヤ側サブコンデンサ34から流出した冷媒は、オリフィスチューブ36により流量が制限され、ここで断熱膨張されて低温低圧の冷媒になる。この冷媒は、エバポレータ16から流出した冷媒に合流し、さらに流下した冷媒は、サブ熱交換器17を流通する間に、エンジン冷却水から熱を汲み上げる。
【0065】
ここでは、エンジン冷却水が低温なため暖房用の熱源として使用できない場合でも、比較的短時間の内に高温高圧状態になる冷媒をフロントおよびリヤのサブコンデンサ14、34に流すことにより空気を加熱するので、高い暖房性能を発揮する。しかも、サブ熱交換器17では、エンジン冷却水から熱を汲み上げているため、即暖性も向上することになる。
【0066】
このようにサブ熱交換器17においてエンジン冷却水が保有する熱を有効に冷媒に取り込むことができるので、この冷媒をコンプレッサ11に戻し、再度圧縮すれば、当該コンプレッサ11から吐出された冷媒は、より高温の冷媒となり、再度、フロントおよびリヤのサブコンデンサ14、34において空気を加熱するとき、相当高温の空気にすることができ、高い暖房性能を発揮することができる。
【0067】
また、サブ熱交換器17を流れる冷媒はここで加温されて蒸発しガス状となるので、コンプレッサ11に液冷媒が帰還する虞はなく、コンプレッサ11が液圧縮することによる弁などの破損を防止できる。
【0068】
フロント側サブコンデンサ14において加熱された空気は、風路22f内を流下し、ヒータコア25の部分に至る。ここにおいて、ヒータコア25は、エンジンEの始動によりある程度温度上昇したエンジン冷却水が流通するが、この時点のエンジン冷却水はまだ十分温度上昇していない状態であるため、暖房用として使用することは好ましくない。したがって、暖房初期では、ウォーターバルブ28を閉じ、ヒータコア25にエンジン冷却水が流入しないようにするか、あるいはミックスドア24により空気がヒータコア25内を通過しないようにする。これによりインテークユニット21から風路22f内に導入された空気は、フロント側サブコンデンサ14により加熱された相当高温の空気となって車室内に吹き出される。また、車室内空気は、リヤ側サブコンデンサ34で加熱されるので、リヤユニット30においても、相当高温の空気となって車室内に吹き出される。
【0069】
《リヤのみヒートポンプ式暖房運転》
フロントは温水式暖房とし、リヤのみをヒートポンプ式暖房する場合は、第1と第2の流量調整弁13、15はともに絞られるように作動している点を除き、基本的には、前述したフロントおよびリヤのヒートポンプ式暖房運転の場合と同様である。第1と第2の流量調整弁13、15がともに絞られているので、フロントユニット20側に流れる冷媒流量は相当程度制限され、その分、リヤユニット30側に流れる冷媒流量が増し、リヤの暖房性能が高められる。
【0070】
次に、図6〜図13のフローチャートを参照しつつ、暖房運転時の制御について説明する。
【0071】
図6は、暖房運転時のフロント優先暖房かリヤ優先暖房かを決定する手順を示すフローチャート、図7は、リヤ優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順(温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするか)を示すフローチャート、図8は、フロント優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順(温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするか)を示すフローチャート、図9は、リヤ優先暖房時におけるヒートポンプ式暖房(フロント、リヤともにヒートポンプ式暖房)の温調制御を示すフローチャート、図10は、リヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御を示すフローチャート、図11は、フロント優先暖房時におけるフロントのヒートポンプ式暖房の温調制御を示すフローチャート、図12は、フロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房の温調制御を示すフローチャート、図13は、システムを停止するとき停止制御を示すフローチャートである。
【0072】
《フロント優先暖房かリヤ優先暖房かの決定(図6)》
図6を参照して、フロント優先暖房とするか、リヤ優先暖房とするかの決定手順について説明する。
【0073】
本実施形態のヒートポンプ式自動車用空気調和装置では、暖房運転時の制御に前席優先暖房または後席優先暖房の考え方を採り込んであり、このルーチンは、暖房運転の場合にフロントを優先的に暖房するか、リヤを優先的に暖房するかを決定するものである。
【0074】
まず、ステップS11にて、フロントヒートアップスイッチ76がオンされているか否かを判断し、オフであると判断したとき(S11:N)には、フロント優先暖房であると決定し、フロント優先暖房の温調制御ルーチン(図12)に進む。
【0075】
フロントヒートアップスイッチ76がオンであると判断したとき(S11:Y)には、リヤヒートアップスイッチ83がオンされているか否かを判断する(S12)。オフであると判断したとき(S12:N)には、リヤユニット30は少なくとも暖房運転されていない(送風運転されていることはある)ので、フロント優先暖房であると決定し、エンジン冷却水温度Twのオン・オフ判断、つまり、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しているか否かを判断する(S14)。この判断は、図14に示すように、温度上昇時にはエンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達したときにオン判断からオフ判断に変化し、温度下降時にはエンジン冷却水温度Twが所定温度Toから数度低い温度になるとオフ判断からオン判断に変化する。なお、前記所定温度Toの一例を挙げれば50℃であるが、この値はエンジンEの種類つまりエンジン冷却水の昇温特性の違いなどに応じて適宜設定されるものである。また、ヒステリシスの大きさも適宜設定されるものである。
【0076】
そして、ステップS14での判断がオン判断のとき(S14:Y)は、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していないときであり、後述するフロント優先暖房時におけるフロント暖房方式の決定ルーチン(図8)に進む。
【0077】
一方、ステップS14での判断がオフ判断のとき(S14:N)は、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しているときであり、後述するフロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房の温調制御ルーチン(図12)に進む。
【0078】
ステップS12で、リヤヒートアップスイッチ83がオンであると判断したとき(S12:Y)には、リヤ優先暖房であると決定し、次いで、エンジン冷却水温度Twのオン・オフ判断、つまり、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しているか否かを判断する(S13)。この判断も、図14に示したように、温度上昇時にはエンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達したときにオン判断からオフ判断に変化し、温度下降時にはエンジン冷却水温度Twが所定温度Toから数度低い温度になるとオフ判断からオン判断に変化する。なお、このステップS12における判断で用いる所定温度Toの値およびヒステリシスの大きさは適宜設定されるものである。
【0079】
そして、ステップS13での判断がオン判断のとき(S13:Y)は、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していないときであり、後述するリヤ優先暖房時におけるフロント暖房方式の決定ルーチン(図7)に進む。
【0080】
一方、ステップS13での判断がオフ判断のとき(S13:N)は、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達しているときであり、後述するリヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御ルーチン(図10)に進む。
【0081】
《リヤ優先暖房時におけるフロント暖房方式の決定(図7)》
図7を参照して、リヤ優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順について説明する。このルーチンは、リヤ優先暖房の場合、すなわち、リヤヒートアップスイッチ83がオンのとき(S12:Y)であって、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していないとき(S13:Y)に、フロントの暖房方式を温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするかを決定するものである。
【0082】
リヤファン33がオン(S15:Y)、リヤテンプレバー82がフルホットFH(S16:Y)、フロントが最大暖房(フロントファン23がオン(S17:Y)、フロントテンプレバー72がフルホットFH(S18:Y))のときには、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していないことを考慮し、フロントはヒートポンプ式暖房を行なうと決定し、後述するリヤ優先暖房時におけるヒートポンプ式暖房(フロント、リヤともにヒートポンプ式暖房)の温調制御ルーチン(図9)に進む。
【0083】
また、ステップS16でリヤテンプレバー82がフルホットFHでない(S16:N)と判断し、フロントが最大暖房(フロントファン23がオン(S19:Y)、フロントテンプレバー72がフルホットFH(S20:Y))のときにも、同じ温調制御ルーチン(図9)に進むが、リヤテンプレバー82の位置に応じた温調制御がなされる。
【0084】
また、フロントが最大暖房以外(フロントファン23がオフ(S17、S19:N)、フロントテンプレバー72がフルホットFHでない(S18、S20:N))のときには、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していなくともフロントを暖房し得ることを考慮し、フロントは温水式暖房を行なうと決定し、後述するリヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御ルーチン(図10)に進む。
【0085】
ステップS15において、リヤファン33がオフ(S15:N)されている場合には、リヤを暖房運転または送風運転する必要はなく、フロントが最大暖房(フロントファン23がオン(S21:Y)、フロントテンプレバー72がフルホットFH(S22:Y))のときには、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していないことを考慮し、フロントはヒートポンプ式暖房を行なうと決定し、リヤ優先暖房時におけるヒートポンプ式暖房(フロント、リヤともにヒートポンプ式暖房)の温調制御ルーチン(図9)に進む。但し、このときは、冷媒はリヤ側サブコンデンサ34に導入されるが、リヤファン33がオフ状態であるので、リヤは暖房されない。
【0086】
また、フロントテンプレバー72がフルホットFHでない(S22:N)ときには、エンジン冷却水温度Twが所定温度Toに達していなくともフロントを暖房し得ることを考慮し、フロントは温水式暖房を行なうと決定し、リヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御ルーチン(図10)に進む。このときにも、冷媒はリヤ側サブコンデンサ34に導入されるが、リヤファン33がオフ状態であるので、リヤは暖房されない。
【0087】
リヤファン33がオフ(S15:N)され、かつ、フロントファン23もオフ(S21:N)されている場合には、空気調和装置を作動させていないときであり、システム停止時の制御ルーチン(図13)に進む。
【0088】
《フロント優先暖房時におけるフロント暖房方式の決定(図8)》
図8を参照して、フロント優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順について説明する。このルーチンは、フロント優先暖房の場合、フロントヒートアップスイッチ76はオンされているがリヤヒートアップスイッチ83がオフのとき(S11:Y、S12:N)に、フロントの暖房方式を温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするかを決定するものである。
【0089】
フロントが最大暖房(フロントファン23がオン(S25:Y)、フロントテンプレバー72がフルホットFH(S26:Y))のときには、フロントはヒートポンプ式暖房を行なうと決定し、後述するフロント優先暖房時におけるフロントのヒートポンプ式暖房の温調制御ルーチン(図11)に進む。
【0090】
また、フロントテンプレバー72がフルホットFHでない(S26:N)ときには、フロントは温水式暖房を行なうと決定し、フロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房の温調制御ルーチン(図12)に進む。このとき、温調はエアミックス方式によりなされる。
【0091】
ステップS25において、フロントファン23がオフ(S25:N)されている場合には、フロントユニット20が作動していないときであり、システム停止時の制御ルーチン(図13)に進む。リヤファン33がオンされていれば、リヤは送風運転となる。
【0092】
《リヤ優先暖房時におけるヒートポンプ式暖房の温調制御(図9)》
図9を参照して、リヤ優先暖房時におけるフロント、リヤをともにヒートポンプ式暖房を行なうときの温調制御について説明する。
【0093】
まず、第4電磁弁44を開いて、サブの冷媒サイクルC2を開く(S31)。フロントはヒートポンプ式暖房であるので、ミックスドア24を作動させる必要はなく、ミックスドア24をヒータコア25の前面を閉塞するフルクールFCに移動する(S32)。また、ヒータコア25用のウォータバルブ28も閉じる(S33)。
【0094】
次いで、コンプレッサ11の吐出冷媒圧力Pdに応じて、サブ熱交換器17用のウォーターバルブ18の開閉動作と電磁クラッチ11aによるコンプレッサ11のオン(作動)・オフ(停止)動作とを行なって、ヒートポンプ式暖房の温調制御を行なう(S34〜S39)。
【0095】
ウォータバルブ18の開閉制御は、図15(A)に示すように、リヤテンプレバー82のPTC分圧比に対するウォータバルブ18の閉特性線図に基づいてなされ、同図(B)に示すように、吐出冷媒圧力Pdの圧力上昇時には、前記PTC分圧比にて定まる基準圧力KPdに達したときに開判断から閉判断に変化し、圧力下降時には基準圧力KPdから若干低い圧力になると閉判断から開判断に変化するように設定されている。
【0096】
また、コンプレッサ11のオン・オフ制御も、図15(A)に示すように、リヤテンプレバー82のPTC分圧比に対するコンプレッサ11のオフ特性線図に基づいてなされ、同図(C)に示すように、吐出冷媒圧力Pdの圧力上昇時には、前記PTC分圧比にて定まる基準圧力LPdに達したときにオン判断からオフ判断に変化し、圧力下降時には基準圧力LPdから若干低い圧力になるとオフ判断からオン判断に変化するように設定されている。
【0097】
図15(A)に示す特性線図から明らかなように、コンプレッサ11がオン・オフするよりも早いタイミングで、サブ熱交換器17用のウォータバルブ18を開閉して、温調を行なうようにしている。このため、コンプレッサ11がオン・オフする回数自体が減るため、コンプレッサ11の耐久性が向上し、また、コンプレッサ11のオン・オフ時に乗員が感じるショックも少なくなり、ドライバビリティーの向上を図ることができる。
【0098】
なお、基準圧力の一例を挙げれば、PTC分圧比が0%(フルクールFC)のときは、KPd=8kg/cm2G、LPd=11kg/cm2Gであり、PTC分圧比が100%(フルホットFH)のときは、KPd=20kg/cm2G、LPd=23kg/cm2Gである。但し、これら基準圧力は諸条件(搭載する車両の種類や、使用するコンプレッサ11の型式など)により適宜変更されるものである。また、ヒステリシスの大きさ(例えば、3kg/cm2G)も適宜設定されるものである。さらに、簡便化のために、リヤテンプレバー82の位置変化に対してリニアに変化する特性線図を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、所望の特性を付与することができることは言うまでもない。
【0099】
図9を参照して、ステップS34では、上述したように、吐出冷媒圧力Pdと基準圧力KPdとに基づいて、ウォータバルブ18の開閉判断がなされる。
【0100】
そして、ステップS34でのウォータバルブ18の開閉判断が開判断のとき(S34:Y)は、設定温度に対して十分な暖房性能を発揮する程度にまで吐出冷媒圧力Pdが上昇していないときである。このため、ウォータバルブ18を開き(S35)、サブ熱交換器17の内部を流れる冷媒を加熱しつつコンプレッサ11の運転を継続し(S36)、十分な暖房性能を発揮させるべく、吐出冷媒圧力Pdを上昇させて冷媒の温度を上昇させる制御を行なう。
【0101】
一方、ステップS34でのウォータバルブ18の開閉判断が閉判断のとき(S34:N)は、設定温度に対して十分な暖房性能を発揮する程度にまで吐出冷媒圧力Pdが上昇しているときである。このため、ウォータバルブ18を閉じ(S37)、引き続き、ステップS38では、上述したように、吐出冷媒圧力Pdと基準圧力LPdとに基づいて、コンプレッサ11のオン・オフ判断がなされる。オン判断のとき(S38:Y)は、コンプレッサ11の運転を継続し、オフ判断のとき(S38:N)は、コンプレッサ11吐出冷媒圧力Pdが上昇しすぎているので、電磁クラッチ11aを作動させてコンプレッサ11の運転を停止する(S39)。
【0102】
《リヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御(図10)》
図10を参照して、リヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房を行なうときの温調制御について説明する。
【0103】
まず、第4電磁弁44を開いて、サブの冷媒サイクルC2を開く(S41)。フロントは温水式暖房であるので、ミックスドア24を作動させてエアミックス温調を行なう(S42)。このエアミックス温調は広く一般になされているものと同様であり、図16に示すように、フロントテンプレバー72の位置に応じてミックスドア24開度を変化させることによりなされている。つまり、フロントテンプレバー72がフルクールFCにあるときはミックスドア24はヒータコア25の前面を閉じる位置(開度0%)に回動し、フルホットFHにあるときはミックスドア24はヒータコア25の前面を全開にして迂回路29を閉じる位置(開度100%)に回動し、フルクールFCおよびフルホットFH以外の中間位置にあるときはミックスドア24は適宜開度に回動する。そして、ミックスドア24位置に応じて、ヒータコア25を通過した温風量と迂回路29を通過した冷風量との比率が調整され、フロント吹出空気が所望の温度に温調される。
【0104】
ヒータコア25用のウォータバルブ28は、フロントテンプレバー72がフルクールFCにあるときには閉じられ、フルクールFC以外のときには開かれる(S43)。
【0105】
リヤのヒートポンプ式暖房を行なうときの温調制御(S44〜S49)は、図9のステップS34〜S39と同様に行なわれるので、説明は省略する。
【0106】
《フロント優先暖房時におけるフロントのヒートポンプ式暖房の温調制御(図11)》
図11を参照して、フロント優先暖房時におけるフロントのヒートポンプ式暖房を行なうときの温調制御について説明する。
【0107】
この温調制御時には、多量の冷媒をメインの冷媒サイクルC1内を循環させて暖房性能を高めるのが好ましいことから、まず、第4電磁弁44を閉じて、サブの冷媒サイクルC2を閉じる(S51)。フロントはヒートポンプ式暖房であるので、ミックスドア24を作動させる必要はなく、ミックスドア24をフルクールFCに移動する(S52)。また、ヒータコア25用のウォータバルブ28も閉じる(S53)。
【0108】
以後のフロントのヒートポンプ式暖房を行なうときの温調制御(S54〜S59)は、図15(A)に示したウォータバルブ18の閉特性やコンプレッサ11のオフ特性がフロントテンプレバー72のPTC分圧比に対して定められている点を除いて、図9のステップS34〜S39と同様に行なわれるので、説明は省略する。
【0109】
《フロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房の温調制御(図12)》
図12を参照して、フロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房を行なうときの温調制御について説明する。
【0110】
この温調制御時には、ヒートポンプは停止しているので第4電磁弁44を閉じて、サブの冷媒サイクルC2を閉じる(S61)。また、温水式暖房であるので、エアミックス温調を行なう(S62)。このエアミックスによる温調制御は、前述したように、フロントテンプレバー72の位置に応じてミックスドア24開度を変化させることによりなされる(図16)。
【0111】
ヒータコア25用のウォータバルブ28は、フロントテンプレバー72がフルクールFCにあるときには閉じられ、フルクールFC以外のときには開かれる(S63)。
【0112】
また、コンプレッサ11はオフされ(S64)、サブ熱交換器17用のウォータバルブ18も閉じられる(S65)。
【0113】
《システム停止時の制御(図13)》
図13を参照して、システム停止時の制御について説明する。
【0114】
ヒートポンプが停止するので第4電磁弁44を閉じて、サブの冷媒サイクルC2を閉じる(S71)。ミックスドア24は、次の暖房運転に備えるという観点から、フロントテンプレバー72の位置に応じた開度に停止しておく(S72)。
【0115】
また、ヒータコア25用のウォータバルブ28は開かれ(S73)、コンプレッサ11はオフされ(S74)、サブ熱交換器17用のウォータバルブ18も閉じられる(S75)。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒートポンプ式暖房運転におけるリヤ吹出空気の温調を、コンプレッサ11の吐出冷媒圧力Pdに応じて、サブ熱交換器17用のウォーターバルブ18の開閉動作と電磁クラッチ11aによるコンプレッサ11の作動・停止動作とにより行なうため、リヤのファン風量の増減制御のみで温調を行なう場合に比べてきめ細かく調整できる。したがって、リヤの温調性能を乗員にとって十分快適なレベルにまで拡大することができ、乗員の温感向上を達成できる。
【0117】
また、暖房運転の場合に、エンジン冷却水温度Tw、フロントユニット20が最大暖房状態であるか否かに応じて、上述した[1]〜[3]の3種の前後独立暖房を行なうので、低燃費を図ると共にコンプレッサ11の耐久性を高めつつ、快適な前後独立暖房を実現できる。
【0118】
さらに、フロントヒートアップスイッチ76およびリヤヒートアップスイッチ83による設定状態に基づいてフロント優先暖房であるかリヤ優先暖房であるかを判断し、それぞれの優先暖房状態においてフロントおよびリヤの暖房方式を決定しているので、より一層快適な前後独立暖房を実現できる。
【0119】
なお、フロントおよびリヤの優先暖房設定手段をともにヒートアップスイッチ76、83から構成した場合を図示したが、例えば、フロント優先暖房設定手段としてのフロントヒートアップスイッチ76だけを設け、リヤ優先暖房設定手段は、他のスイッチやテンプレバー位置との組み合わせからリヤの優先的な暖房を判断および設定する構成とすることもできる。具体的には、リヤファンスイッチ81がオン、A/Cスイッチ75がオフ、フロントヒートアップスイッチ76がオン、リヤテンプレバー82のPTC分圧比が30%〜100%(フルホットFH)にて、リヤのヒートアップ暖房運転を設定するようにしてもよい。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ヒートポンプ式暖房運転におけるリヤ吹出空気の温調を、リヤのファン風量の増減制御のみで温調を行なう場合に比べて、乗員にとって十分快適なレベルにまで拡大することができ、乗員の温感向上を達成できる。
【0121】
また、暖房運転の場合に、エンジン冷却水温度およびフロントユニットが急速暖房状態であるか否かに応じた3種の前後独立暖房を行なうので、低燃費を図ると共にコンプレッサの耐久性を高めつつ、快適な前後独立暖房を実現できる。
【0122】
また、請求項および請求項に記載の発明によれば、フロント優先暖房またはリヤ優先暖房の考え方を採り込んで、それぞれの優先暖房状態においてフロントおよびリヤの暖房方式を決定しているので、より一層快適な前後独立暖房を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヒートポンプ式自動車用空気調和装置の実施形態の暖房運転時における状態を示す概略構成図である。
【図2】 同実施形態の冷房運転時における状態を示す概略構成図である。
【図3】 図3(A)および(B)は、車室内に設けられるフロント用コントロールパネルおよびリヤ用コントロールパネルを示す正面図である。
【図4】 本実施形態の自動車用空気調和装置の制御を司る制御手段を示す概略ブロック図である。
【図5】 各電磁弁の作動状態を表わす図表である。
【図6】 暖房運転時のフロント優先暖房かリヤ優先暖房かを決定する手順を示すフローチャート
【図7】 リヤ優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順(温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするか)を示すフローチャート
【図8】 フロント優先暖房時におけるフロントの暖房方式の決定手順(温水式暖房とするか、ヒートポンプ式暖房とするか)を示すフローチャート
【図9】 リヤ優先暖房時におけるヒートポンプ式暖房(フロント、リヤともにヒートポンプ式暖房)の温調制御を示すフローチャート
【図10】 リヤ優先暖房時におけるリヤのヒートポンプ式暖房およびフロントの温水式暖房の温調制御を示すフローチャート
【図11】 フロント優先暖房時におけるフロントのヒートポンプ式暖房の温調制御を示すフローチャート
【図12】 フロント優先暖房時におけるフロントの温水式暖房の温調制御を示すフローチャート
【図13】 システムを停止するとき停止制御を示すフローチャートである。
【図14】 エンジン冷却水温度のオン・オフ判断を示す図である。
【図15】 図15(A)は、ヒートポンプ式暖房時の温調制御に用いられるサブ熱交換器のウォータバルブの閉特性線図およびコンプレッサのオフ特性線図、同図(B)は、サブ熱交換器のウォータバルブの開閉判断を示す図、同図(C)は、コンプレッサのオン・オフ判断を示す図である。
【図16】 フロントユニットの温水式暖房時のエアミックス温調制御に用いられるミックスドアの作動特性線図である。
【符号の説明】
10…デュアル型のヒートポンプ式自動車用空気調和装置
11…コンプレッサ
11a…電磁クラッチ(切替手段)
12…外部コンデンサ
13…第1流量調整弁(第1流量調整手段)
14…フロント側サブコンデンサ
15…第2流量調整弁(第2流量調整手段)
16…エバポレータ
17…サブ熱交換器
18…サブ熱交換器用のウォーターバルブ(開閉弁)
20…フロントユニット
22、32…ユニットケース
22f、32f…風路
23…フロントファン
24…ミックスドア
25…ヒータコア
28…ヒータコア用のウォーターバルブ
30…リヤユニット
33…リヤファン
34…リヤ側サブコンデンサ
36…オリフィスチューブ(冷媒膨張部材)
40…集合弁
72…フロントテンプレバー(フロント温度設定手段)
76…フロントヒートアップスイッチ(フロント優先暖房設定手段)
82…リヤテンプレバー(リヤ温度設定手段)
83…リヤヒートアップスイッチ(リヤ優先暖房設定手段)
85…吐出冷媒圧力検出センサ(圧力検出手段)
90…オートアンプ(制御手段)
91…水温検出センサ(水温検出手段)
C1…メインの冷媒サイクル
C2…サブの冷媒サイクル
E…エンジン
Pd…吐出冷媒圧力
Tw…エンジン冷却水温度
To…所定温度

Claims (2)

  1. コンプレッサ(11)から吐出された冷媒を、外部コンデンサ(12)、第1流量調整手段(13)、フロント側サブコンデンサ(14)、第2流量調整手段(15)、エバポレータ(16)を経て前記コンプレッサ(11)に帰還させるメインの冷媒サイクル(C1)を備え、前記フロント側サブコンデンサ(14)および前記エバポレータ(16)をユニットケース(22)の風路(22f)内に配置すると共にエンジン(E)から流出したエンジン冷却水が流通するヒータコア(25)を前記風路(22f)内に配置したフロントユニット(20)と、
    前記コンプレッサ(11)から吐出された冷媒を、リヤ側サブコンデンサ(34)、冷媒膨張部材(36)を経て前記コンプレッサ(11)に帰還させるサブの冷媒サイクル(C2)を備え、前記リヤ側サブコンデンサ(34)をユニットケース(32)の風路(32f)内に配置したリヤユニット(30)と、を有するデュアル型のヒートポンプ式自動車用空気調和装置において、
    前記コンプレッサ(11)の上流側に配置され、前記フロントユニット(20)の前記エバポレータ(16)から流出した冷媒および前記リヤユニット(30)の前記リヤ側サブコンデンサ(34)から流出して前記冷媒膨張部材(36)を経た冷媒が内部を流通するサブ熱交換器(17)と、
    前記サブ熱交換器(17)の内部を流通する冷媒を加熱するため、エンジン(E)から流出したエンジン冷却水を当該サブ熱交換器(17)に導入する開閉自在な開閉弁(18)と、
    前記コンプレッサ(11)の作動・停止を切替える切替手段(11a)と、
    前記コンプレッサ(11)から吐出される冷媒圧力を検出する圧力検出手段(85)と、
    前記フロントユニット(20)から吹き出されるフロント吹出空気の温度を設定するフロント温度設定手段(72)と、
    前記リヤユニット(30)から吹き出されるリヤ吹出空気の温度を設定するリヤ温度設定手段(82)と、
    前記圧力検出手段(85)により検出した吐出冷媒圧力(Pd)に応じて、前記開閉弁(18)の開閉動作と前記切替手段(11a)による前記コンプレッサ(11)の作動・停止動作とを行う制御手段(90)と
    前記エンジン冷却水温度を検出する水温検出手段(91)と、
    フロントの優先的な暖房を設定するフロント優先暖房設定手段(76)と、
    リヤの優先的な暖房を設定するリヤ優先暖房設定手段(83)と、を有し、
    [A]暖房運転の場合において前記制御手段(90)は、前記フロント優先暖房設定手段(76)および前記リヤ優先暖房設定手段(83)による設定状態に基づいてフロント優先暖房であるかリヤ優先暖房であるかを判断し、リヤの優先的な暖房が設定されていると判断した場合には、
    [1]前記水温検出手段(91)により検出したエンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)以上のときには、前記フロントユニット(20)は前記ヒータコア(25)にて前記エンジン冷却水を熱源として利用する温水式暖房を行ない、前記リヤユニット(30)は前記リヤ側サブコンデンサ(34)にて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行ない、
    [2]前記エンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)に達しておらず、かつ、前記フロントユニット(20)が前記フロント温度設定手段(72)により定まる急速暖房状態のときには、前記フロントユニット(20)および前記リヤユニット(30)はともに、前記それぞれのサブコンデンサ(14、34)にて高温高圧の冷媒を熱源として利用するヒートポンプ式暖房を行ない、
    [3]前記エンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)に達しておらず、かつ、前記フロントユニット(20)が前記急速暖房状態以外のときには、前記フロントユニット(20)は温水式暖房を行ない、前記リヤユニット(30)はヒートポンプ式暖房を行な い、
    前後独立暖房を行なうようにし、
    前記リヤユニット(30)のヒートポンプ式暖房を行なうときには、検出した吐出冷媒圧力(Pd)が、前記リヤ温度設定手段(82)により設定された温度において前記コンプレッサ(11)を停止させるべき基準圧力(LPd)よりも小さい基準圧力(KPd)まで上昇したときには前記開閉弁(18)を閉じ、前記基準圧力(KPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記開閉弁(18)を開き、検出した吐出冷媒圧力(Pd)が、前記基準圧力(LPd)まで上昇したときは前記切替手段(11a)により前記コンプレッサ(11)を停止し、前記基準圧力(LPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記コンプレッサ(11)を作動し、冷媒の温度を調整することによって、前記リヤ側サブコンデンサ(34)により加熱されて吹き出される前記リヤ吹出空気の温度を前記リヤ温度設定手段(82)により設定された温度に調整し、
    [B]フロントの優先的な暖房が設定されていると判断した場合には、リヤは暖房せずに、
    [1]前記水温検出手段(91)により検出したエンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)以上のときには、前記フロントユニット(20)は温水式暖房を行ない、
    [2]前記エンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)に達しておらず、かつ、前記フロントユニット(20)が前記フロント温度設定手段(72)により定まる急速暖房状態のときには、前記フロントユニット(20)はヒートポンプ式暖房を行ない、
    [3]前記エンジン冷却水温度(Tw)が所定温度(To)に達しておらず、かつ、前記フロントユニット(20)が前記急速暖房状態以外のときには、前記フロントユニット(20)は温水式暖房を行ない、
    前記フロントユニット(20)のヒートポンプ式暖房を行なうときには、検出した吐出冷媒圧力(Pd)が、前記フロント温度設定手段(72)により設定された温度において前記コンプレッサ(11)を停止させるべき基準圧力(LPd)よりも小さい基準圧力(KPd)まで上昇したときには前記開閉弁(18)を閉じ、前記基準圧力(KPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記開閉弁(18)を開き、検出した吐出冷媒圧力(Pd)が、前記基準圧力(LPd)まで上昇したときは前記切替手段(11a)により前記コンプレッサ(11)を停止し、前記基準圧力(LPd)よりも低い圧力まで下降したときには前記コンプレッサ(11)を作動し、冷媒の温度を調整することによって、前記フロント側サブコンデンサ(14)により加熱されて吹き出される前記フロント吹出空気の温度を前記フロント温度設定手段(72)により設定された温度に調整することを特徴とするヒートポンプ式自動車用空気調和装置。
  2. 前記フロント優先暖房設定手段(76)はフロントに配置されたスイッチから構成され、前記リヤ優先暖房設定手段(83)はリヤに配置されたスイッチから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式自動車用空気調和装置。
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