JP3931640B2 - 継目無鋼管とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管とその製造方法に関し、特に高強度であり、しかも耐硫化物応力腐食割れ性(以下、耐SSC性ともいう)に優れた継目無鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
過酷な油井環境や高温環境で使用される継目無鋼管は、高い耐SSC性が要求され、近年ではさらなる高強度化と高い耐SSC性との両立が求められている。
【0003】
また、継目無鋼管は、生産効率向上およびコスト低減の観点からビレット連鋳機で鋳造されたビレットから通常製造される。しかし、ビレット連鋳機では浸漬ノズルが小径であり、ノズル閉塞が起こりやすいという問題があり、このノズル閉塞の主原因は、脱酸処理の際に生成されるアルミナ(Al2O3)介在物であることが知られている。このAl2O3介在物によるノズル閉塞を防止する方法としては、溶鋼中にCa含有物を添加してAl2O3介在物を低融点組成のCaO-Al2O3系介在物に形態制御する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、溶鋼にCa含有物を添加した場合には、CaS介在物が生成し易くなり、生成したCaS介在物がノズル閉塞を起こすことが知られている。また、大型介在物であるCaO-Al2O3-CaS系介在物が形成し易く鋼材の靭性、耐食性等を低下させるという問題があることも知られている。この対策として、例えば、特開平1−299742号公報には、大型介在物であるCaO-Al2O3-CaS系介在物の生成を抑制する技術が提案されているが、耐SSC性を向上させるものではない。
【0005】
本発明の目的は、高強度であり、しかも耐SSC性に優れた継目無鋼管とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高強度であり、しかも耐SSC性に優れた継目無鋼管とその製造方法について検討した結果、下記(A)〜(C)の知見を得た。
【0007】
(A)継目無鋼管を高強度化するためには、下記組成(質量%)が必要である。
C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、S:0.005%以下、Al:0.15%以下、Ca:0.0005〜0.0050%。
【0008】
(B)耐SSC性に介在物が深く関与していると考え、介在物組成と耐SSC性との関係について試験を行い調査した。
試験方法および得られた知見は、以下の通りである。
【0009】
(1)鋼中S濃度を0.0002〜0.0020%、鋼中Ca濃度を0.0005〜0.0050%の範囲で変化させ、ビレット鋳造機で鋳造したビレットを用いて様々な組成のCa系介在物を含有した継目無鋼管を試作した。なお、鋼中Ca濃度は溶鋼へのCa−Si合金の添加量を調整することで、S濃度は脱硫処理またはFe−S合金の添加で調整した。
【0010】
(2)試作鋼管から4個の平行部6.25φ×25.4mmの丸棒単軸引張試験片(NACE TM0177 Method A準拠)を採取し、NACE TM0177浴(5%NaCl、100kPa H2S飽和、25℃)を用い、付加応力644MPa、試験時間720時間の条件で耐SSC評価試験を実施した。
【0011】
(3)SSC試験片中の介在物の大きさ、組成をEPMAにて調査した結果、試験片中の介在物の大きさは最大で250μmであり、介在物組成、試験片間で大きな差はなかった。また、介在物組成はCa濃度によって変化し、Ca濃度が0.0005%未満ではMnSが確認された。Ca濃度が0.0005%以上ではCaO-CaS-Al2O3系介在物となった。
【0012】
図1は、3元系の介在物組成と耐SSC試験結果との関係を示すグラフである。
なお、図中の○は4試験片の全てにおいてSSCが発生しなかったときの介在物組成を、●は4試験片中1本でもSSCが発生したときの介在物組成を、黒四角は4試験片の全てにおいてSSCが発生したときの介在物組成をそれぞれ示す。
【0013】
図1に示すように、SSCが発生しない介在物組成の領域があることがわかる。すなわち、SSCが発生しない介在物組成は、下記(1)〜(3)式を満足することが必要である。なお、各式中の(Al2O3)、(CaS)および(CaO)は、鋼中の各化合物の含有量(質量%)を表す。
【0014】
(Al2O3)/(CaS)≦4 …(1)
(CaS)/(CaO)≦1.5 …(2)
0.43≦(CaO)/(Al2O3)≦9 …(3)
一方、(Al2O3)/(CaS)>4の領域では、CaO-CaS-Al2O3系介在物の他にMnSが認められ、このMnSがSSCの起点となっていることが認められた。(CaO)/(Al2O3)<0.43の領域では、MnSが起点となっていることに加えて、介在物中のCaO含有量が低いため、Al2O3-CaS主体の介在物がSSCの起点となっていることも認められた。また、(CaS)/(CaO)>1.5、(CaO)/(Al2O3)>9の領域では介在物が群落状となっており、この群落状介在物がSSCの起点となっていることが認められた。
【0015】
(C)次に、上記(1)〜(3)式を満足する介在物組成に精度よく制御する方法を、転炉吹錬、真空脱ガス、取鍋精錬、、連続鋳造処理の順番で行う場合について検討し、以下の知見を得た。
【0016】
(1)鋼中Cは、Caの活量を低下させるため、Ca添加時に進行するCaとアルミナ介在物との反応速度を低下させる。本発明で対象とする継目無鋼管はC濃度が0.15〜0.35%と高いため、このCaとアルミナ介在物との反応速度が低下するおそれがあり、この反応進行中、溶鋼中にアルミナ介在物が多数存在するとCaとアルミナ介在物との反応が十分に進まず、目標介在物組成に制御することが難しい。
【0017】
(2)一方、反応速度が遅い分をCa添加量増加で補完した場合には、CaとSとの反応も加速され、CaS含有量が過剰となるおそれがある。
(3)従って、アルミナ介在物の除去は、真空脱ガス装置で成分および温度調整後に環流処理で先ず浮上分離させ、この環流処理後に、別工程である取鍋精錬工程または連続鋳造工程(タンディッシュ工程)でCa添加を行えばよい。このように、真空脱ガス装置によるアルミナ介在物の除去工程と、Ca添加工程とを分離することにより、介在物組成を安定して制御できる。
【0018】
図2は、介在物組成をパラメータとした環流処理時間と取鍋溶鋼中へのCa添加量との関係を示すグラフである。なお、図中の○は前記(1)〜(3)式全てを満足した介在物組成であることを、図中の●は(1)〜(3)式の少なくてもいずれかを満足しない介在物組成であることをそれぞれ表す。
【0019】
同図に示すように、図中の○と●との境界は、二本の曲線:(a)および (b)で表され、 (a)および(b)は以下の式でそれぞれ表される(ただし、tは0.5 min以上である)。
【0020】
曲線(a):WCa=−0.097×ln(t)+0.55
曲線(b):WCa=−0.07×ln(t)+0.3
但し、WCa:Ca含有物のCa純分量(kg/t)、
t:真空脱ガス装置で溶鋼成分および溶鋼温度調整後の環流処理時間
(min);tは0.5 min以上である。
【0021】
従って、介在物組成を安定して確保するためにはCa純分添加量WCaが、下記(4)式を満足することが必要である。
−0.07×ln(t)+0.3≦WCa≦−0.097×ln(t)+0.55 …(4)
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。
【0022】
[1]質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、S:0.005%以下、Al:0.15%以下、Ca:0.0005〜0.0050%を含有し、残部が Fe と不純物からなり、鋼中非金属介在物の組成比が、下記(1)、(2)および(3)式を満足することを特徴とする継目無鋼管。
【0023】
(Al2O3)/(CaS)≦4 …(1)
(CaS)/(CaO) ≦1.5 …(2)
0.43≦(CaO)/(Al2O3)≦9 …(3)
[2]質量%で、C :0.15 〜 0.35% 、 Si:0.1 〜 1.5% 、 Mn:0.1 〜 2.5% 、 S:0.005% 以下、 Al:0.15% 以下、 Ca:0.0005 〜 0.0050% を基本成分とし、 P:0.005 〜 0.009% 、 Cr:0.9 〜 1.1% 、 Mo:0.5 〜 0.7% 、 Nb:0.023 〜 0.027% 、 Ti:0.015 〜 0.020% 、 B:0.001 〜 0.0015% の 1 種または 2 種以上を含有し、残部が Fe と不純物からなり、鋼中非金属介在物の組成比が、下記(1)、(2)および(3)式を満足することを特徴とする継目無鋼管。
(Al 2 O 3 ) / (CaS) ≦ 4 …(1)
(CaS) / (CaO) ≦ 1.5 …(2)
0.43 ≦ (CaO) / (Al 2 O 3 ) ≦ 9 …(3)
[3]質量%で、Ca:0.0010%以上0.005%以下、S:0.0025%以下である上記[1]または[2]に記載の継目無鋼管。
[4]転炉吹錬、真空脱ガス、取鍋精錬、連続鋳造および製管の各工程を経て製造される継目無鋼管の製造方法において、前記取鍋精錬工程から連続鋳造工程までの溶鋼中に下記(4)式を満足するようにCa含有物を添加することを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかに記載の継目無鋼管の製造方法。
【0024】
−0.07×ln(t)+0.3≦WCa≦−0.097×ln(t)+0.55 …(4)
但し、WCa: Ca含有物中のCa純分量(kg/t)、
t:真空脱ガス装置で溶鋼成分および溶鋼温度調整後の環流処理時間(min);tは0.5 min以上である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の継目無鋼管を高強度化するためには、化学組成が質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、S:0.005%以下、Al:0.15%以下、Ca:0.0005〜0.0050%であることが必要である。以下に、その理由を述べる。
C: C 濃度が0.15%(以下、本明細書においては、特にことわりがない限り「%」は、「質量%」を意味する)未満では焼き入れ性が不足し、焼き戻し温度を低下させる。0.35%を越えると焼き割れが生じ、靭性が低下する。好ましくは、0.20〜0.33%である。
【0026】
Si: Si 濃度が0.1%未満では脱酸が不十分となり、1.5%を越えると熱間加工性が著しく低下する。好ましくは、0.2〜0.8%である。
Mn: Mn 濃度が0.1%未満では焼き入れ性が不足し、2.5%を越えて高くなると偏析が増加し靭性を低下させる。好ましくは、0.3〜1.8%である。
【0027】
S:S濃度が高いとCaS系介在物が多数生成し、靭性が低下するので0.005%以下とする。好ましくは、0.0025%以下である。
Al:Alは微量でも大きな脱酸力を発揮するが、Al 濃度は0.002%以上が望ましい。また、0.15%を越えて高くなると靭性が低下する。好ましくは、0.007〜0.070%である。
【0028】
Ca:Ca濃度が0.0005%未満ではMnSが生成し、Ca濃度が0.0050%を越えて高くなると耐火物の溶損が発生する。好ましくは、0.0010〜0.0035%である。
また、本発明の継目無鋼管を、さらに高強度化するためには、下記組成にすることが望ましい。
【0029】
P:0.005〜0.009%、Cr:0.9〜1.1%、Mo:0.5〜0.7%、Nb:0.023〜0.027%、Ti:0.015〜0.020%、B:0.001〜0.0015%。
本発明の継目無鋼管の製造方法について、以下に説明する。
【0030】
転炉吹錬後の転炉から取鍋内へ溶鋼を出鋼した後、取鍋を真空脱ガス装置へ移動する。真空脱ガス装置で真空脱ガス処理、溶鋼成分および温度調整を行う。真空脱ガス装置としては、DH真空脱ガス装置、RH真空脱ガス装置等があるが、RH真空脱ガス装置がスラグの影響を比較的に受けにくい構造のため望ましい。その後、介在物特にAl2O3介在物を浮上分離するために環流処理を5〜15分間程度行う。
【0031】
環流処理完了後に行うCa含有物の添加は、取鍋溶鋼中またはタンディッシュ溶鋼中で行われる。Ca含有物は、金属Caの他、Ca−Si合金、Ca−Al合金などの合金、Ca合金と酸化物の混合物などの形態で使用される。Ca含有物の溶鋼中への添加方法は、ランス等を使用した吹き付けや吹き込み、またはワイヤー法などが使用される。ただし、添加量は前記(4)式を満足することが必要である。
【0032】
また、鋼中の酸素濃度は0.004%以下が望ましい。酸素濃度が0.004%を越えて高いとCa添加量に対する酸素量が過剰と成るおそれがあり(4)式を満足することが困難となるおそれがある。
【0033】
Ca添加された溶鋼は、連続鋳造機で鋳造され、得られたビレット等の鋼材から継目無鋼管が製造される。この継目無鋼管が製造された後、以下の(1)または(2)に示す「インライン熱処理」または「オフライン熱処理」を施して調質することが望ましい。
【0034】
(1)インラインで直接焼入れ焼戻しをする場合は、最終圧延温度が950℃未満のときに伸展粒組織となって耐SSC性に異方性が生じるおそれがあり、1150℃を越える最終圧延温度では結晶粒度が粗大化するおそれがあるため、最終圧延温度は950℃以上1150℃以下が望ましい。焼戻し温度は、高い方が耐SSC性に有利なので、680℃以上が望ましく、軟化防止の観点からAc1点未満が望ましい。
【0035】
(2)オフラインで焼入れ焼戻しをする場合は、加熱温度が980℃を越えると、粗粒組織となって耐SSC性が低下するおそれがある。また、Ac3点未満では完全にオーステナイト化しないおそれがある。従って、加熱温度はAc3点以上980℃未満が望ましい。焼戻し温度は、インライン処理の場合と同様に、高い方が耐SSC性に有利なので、680℃以上が望ましく、軟化防止の観点からAc1点未満が望ましい。
【0036】
【実施例】
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tを取鍋内に出鋼し、取鍋をRH真空脱ガス装置に移動し、溶鋼中のS濃度を0.0008〜0.0030%に調整した。また、RH真空脱ガス装置で、合金等を添加し、溶鋼中の元素濃度を、C:0.25〜0.27%、Si:0.21〜0.25%、Mn:0.43〜0.45%、Al:0.015〜0.035%にそれぞれ調整した。また、RH真空精錬後の溶鋼中の酸素濃度は0.0009〜0.0028%であり、溶鋼中のその他の元素濃度を、P:0.005〜0.009%、Cr:0.9〜1.1%、Mo:0.5〜0.7%、Nb:0.023〜0.027%、Ti:0.015〜0.020%、B:0.001〜0.0015%にそれぞれ最終調整し、溶鋼成分・温度調整後10〜15分間環流処理をおこなった。環流処理後、取鍋溶鋼中にCa−Si合金(Ca純分30%)を添加し、溶鋼中のCa濃度を0.0010〜0.0045%に調整した。Ca−Si合金添加量はCa純分で0.05〜0.29kg/溶鋼tとし、本発明例では、溶鋼成分・温度調整後の環流処理時間と前記(4)式から得られる適正範囲を基に適正範囲内のCa添加量とし、比較例では前記(4)式から得られる適正範囲外のCa添加量とした。
【0037】
成分調整後、ビレット連続鋳造機で丸ビレットに鋳造した。鋳造されたビレットを製管機に供給して外径244.5mm、肉厚13.8mmの継目無鋼管を製造し、インライン熱処理またはオフライン熱処理を行った。
【0038】
熱処理後の継目無鋼管から平行部6.25φ×25.4mmの丸棒単軸引張試験片(NACE TM0177 Method A準拠)を採取し、NACE TM0177浴(5%NaCl、100kPa H2S飽和、25℃)を用い、付加応力644MPa、試験時間720時間の条件で耐SSC評価試験を実施した。
【0039】
本発明例1〜11ではP:0.008%、Cr:1.0%、Mo:0.7%、Nb:0.025%、Ti:0.020%、B:0.0012%とした。また、本発明例12、13では、P:0.007%、Cr:0.51%、Mo:0.29%、Nb:0.008%、Ti:0.015%、V:0.20%、B:0.0012%とした。本発明例1〜13の熱処理条件はオフライン熱処理、950℃×30分間水焼入、690℃×30分間空冷とした。
【0040】
本発明例14、15ではP:0.008%、Cr:0.49%、Mo:0.70%、Nb:0.008%、Ti:0.013%、V:0.11%、B:0.0014%とし、熱処理条件はオフライン熱処理(2回焼入)、950℃×30分間水焼入、 920℃×30分間水焼入、690℃×30分間空冷とした。本発明例16、17ではP:0.012%、Cr:0.58%、Mo:0.32%、Nb:0.005%、Ti:0.014%、V:0.05%、B:0.0012%とし、熱処理条件はインライン熱処理(1250℃に加熱して圧延後Ar3点を下回ることなく、さらに900℃×5分の均熱加熱を施して後、水焼入れして、更にインラインで680℃×15分の均熱焼戻を実施)し、外径244.5mm、肉厚13.8mmの継目無鋼管を製造した。
【0041】
なお、比較例18〜24は本発明例1〜11と介在物組成を除いて鋼材成分濃度が同じであり、熱処理条件も同じである。比較例25は本発明例12、13と介在物組成を除いて鋼材成分濃度が同じであり、熱処理条件も同じである。比較例26は本発明例14、15と介在物組成を除いて鋼材成分濃度が同じであり、熱処理条件も同じである。比較例27は本発明例27と介在物組成を除いて鋼材成分濃度が同じであり、熱処理条件も同じである。
【0042】
試験結果を表1および表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
なお、表2中の「Ca添加量欄」の○は、前記(4)式から得られる適正範囲(下限〜上限)内であることを示し、「Ca添加量欄」の×は、適正範囲外であることをそれぞれ示す。また、「介在物組成欄」の○は、前記(1)〜(3)式を全て満足することを、「介在物組成欄」の×は、前記(1)〜(3)式を1つ以上満足しないことを示す。さらに、「SSC試験欄」の○は、720時間を超えて破断したことを、「SSC試験欄」の×は、720時間以内で破断したことをそれぞれ示す。
【0046】
表1の本発明例および比較例に示すように、継目無鋼管を高強度化するためには、化学組成が質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、S:0.005%以下、Al:0.15%以下、Ca:0.0005〜0.0050%であれば、高強度(降伏応力:700MPa以上、引張強さ:800MPa以上および硬さ:25(HRC)以上)が得られた。しかしながら、表2の本発明例に示すように、「Ca添加量欄」が○であれば、「介在物組成欄」は○となり、「SSC試験欄」に記載の通り、試験鋼材は720時間を超えるまで破断しなかった。一方、表2の比較例に示すように「Ca添加量欄」が×であれば、「介在物組成欄」は×となり、試験鋼材は720時間以内に破断した。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、高強度であり、しかも耐SSC性に優れた継目無鋼管とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3元系の介在物組成と耐SSC試験結果との関係を示すグラフである。
【図2】介在物組成をパラメータとした環流処理時間と取鍋溶鋼中へのCa添加量との関係を示すグラフである。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.15〜0.35%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、S:0.005%以下、Al:0.15%以下、Ca:0.0005〜0.0050%を含有し、残部が Fe と不純物からなり、鋼中非金属介在物の組成比が、下記(1)、(2)および(3)式を満足することを特徴とする継目無鋼管。
(Al2O3)/(CaS)≦4 …(1)
(CaS)/(CaO) ≦1.5 …(2)
0.43≦(CaO)/(Al2O3)≦9 …(3) - 質量%で、C :0.15 〜 0.35% 、 Si:0.1 〜 1.5% 、 Mn:0.1 〜 2.5% 、 S:0.005% 以下、 Al:0.15% 以下、 Ca:0.0005 〜 0.0050% を基本成分とし、 P:0.005 〜 0.009% 、 Cr:0.9 〜 1.1% 、 Mo:0.5 〜 0.7% 、 Nb:0.023 〜 0.027% 、 Ti:0.015 〜 0.020% 、 B:0.001 〜 0.0015% の 1 種または 2 種以上を含有し、残部が Fe と不純物からなり、鋼中非金属介在物の組成比が、下記(1)、(2)および(3)式を満足することを特徴とする継目無鋼管。
(Al 2 O 3 ) / (CaS) ≦ 4 …(1)
(CaS) / (CaO) ≦ 1.5 …(2)
0.43 ≦ (CaO) / (Al 2 O 3 ) ≦ 9 …(3) - 質量%で、Ca:0.0010%以上0.005%以下、S:0.0025%以下である請求項1または2に記載の継目無鋼管。
- 転炉吹錬、真空脱ガス、取鍋精錬、連続鋳造および製管の各工程を経て製造される継目無鋼管の製造方法において、前記取鍋精錬工程から連続鋳造工程までの溶鋼中に下記(4)式を満足するようにCa含有物を添加することを特徴とする請求項1から 3 のいずれかに記載の継目無鋼管の製造方法。
−0.07×ln(t)+0.3≦WCa≦−0.097×ln(t)+0.55 …(4)
但し、WCa: Ca含有物中のCa純分量(kg/t)、
t:真空脱ガス装置で溶鋼成分および溶鋼温度調整後の環流処理
時間(min);tは0.5 min以上である。
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