JP6229640B2 - 継目無鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、継目無鋼管、とりわけ、硫化水素を含むサワー環境下における耐硫化物応力腐食割れ性(耐硫化物応力割れ性)に優れ、油井用として好適な低合金高強度継目無鋼管に関するものである。
また、本発明は、上記継目無鋼管の製造方法に関するものである。
石油や天然ガスを採掘する油井においては、腐食性の低い浅井戸の枯渇にともなって、腐食性の高い深井戸へと開発がシフトしつつある。深井戸では、高温、高圧に加え、硫化水素を含むサワー環境にさらされるため、油井管として用いられる継目無鋼管には、高強度であることと同時に、硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking: SSC)に対する耐性、すなわち耐硫化物応力割れ性(耐SSC性)が求められる。
しかし、SSCは、腐食反応で発生する水素に起因する水素脆性破壊の一種であるため、高強度鋼ほど起こりやすい傾向がある。この高強度と耐硫化物応力割れ性という、相反する性質を兼ね備える継目無鋼管を実現するために、種々の研究が行われてきた。
例えば、特許文献1には、耐硫化物応力割れ性に優れた高強度継目無鋼管の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された前記方法では、所定の成分組成を有するビレットを、熱間で穿孔し、ついで、断面圧縮率が40%以上で、仕上り温度:800〜1050℃の仕上げ圧延を施し、その後、850〜1100℃の温度域の温度T(℃)で時間t(h)の再加熱を行って、(T+273)(21+log t)が23500〜26000となるようにしてから直接焼入れを行い、Ac1変態点以下で焼戻すことによって継目無鋼管が製造される。特許文献1では、仕上げ圧延と直接焼入れ処理の間で再結晶処理としての再加熱処理を行うことにより、結晶粒の微細化が可能となり、高強度であっても、良好な靭性と耐硫化物応力割れ性が得られるとしている。
また、特許文献2には、耐硫化物割れ性に優れた高強度油井用鋼材の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された前記方法では、所定の成分組成を有する鋼を素材とし、該素材を1150℃以上に加熱したのち、熱間加工を施し、Ar3点+50℃以上の温度で仕上加工を完了したのち、ただちにAr3点以上の温度から急冷する焼入れ処理を行って、660〜720℃の温度で焼戻を行う。これにより、降伏強度110ksi以上の高強度と優れた耐硫化物応力割れ性を両立させることができるとしている。
また、特許文献3には、耐硫化物応力割れ性に優れた油井用鋼材の製造方法が記載されている。特許文献3に記載された前記方法では、所定の成分組成を有する鋼材を用いて熱間加工により製管した後、冷却することなくそのまま直接焼入れ、若しくはAc3変態点以上の温度に保持した後に焼入れし、ついでAc1変態点以下で焼戻して、鋼材が製造される。これにより、製造プロセスを簡略化し、安価に耐硫化物応力割れ性に優れた高強度の油井用鋼管を安定して製造できるとしている。
また、特許文献4には、所定の成分組成を有するビレットに、熱間で穿孔、圧延を行い、最終圧延温度900〜1100℃の条件で製管して継目無鋼管とし、Ar3点以上の温度域に保持したまま焼入れし、焼戻しすることが記載されている。特許文献4では、鋼の組成および最終圧延温度を調整することにより、強度バラツキが小さく、オーステナイト粒度がASTM規格No.6以上の微細組織を有する継目無鋼管を製造できるとしている。
また、特許文献5には、所定の成分組成を有し、Ca系非金属介在物の組成が、CaSとCaOとの合計が50質量%以上であり、CaとAlとの複合酸化物が50質量%未満であり、かつ鋼の硬さがHRCで21〜30の範囲内で、鋼の硬さおよびCaOとCaSの合計含有量が、特定の関係を満足する耐硫化物応力割れ性に優れた油井管用鋼が記載されている。特許文献5では、耐硫化物応力割れ性を悪化させるCaとAlとの複合酸化物を低減し、Caを無害なCaSやCaOとして存在させることにより、耐硫化物応力割れ性が向上するとしている。
また、特許文献6には所定の成分組成を有し、Mn偏析度、Mo偏析度、Cr偏析度が、それぞれ1.5以下であることを特徴とする耐硫化物応力割れ性に優れた油井用低合金高強度継目無鋼管が記載されている。特許文献6では、Moを1.1%以下程度まで低減し、さらに適正量のCr、V、Nb、Bを必須成分として含有したうえで、偏析低減処理を施したのち、焼入れ焼戻処理を施すことにより、高強度と優れた耐硫化物応力割れ性とを両立させることが可能であるとしている。
特開平08−311551号公報 特開2000−313919号公報 特開2001−172739号公報 特開2000−219914号公報 特開2002−060893号公報 特開2014−012890号公報
しかしながら、耐硫化物応力割れ性に影響を及ぼす要因は極めて複雑であり、高強度鋼管において、安定して耐硫化物応力割れ性を確保するための条件は明確になっていないのが現状である。例えば、特許文献1〜4に記載された技術においては、耐硫化物応力割れ性向上のために有利な形状の非金属介在物を形成するための具体的条件が明確になっていないため、介在物が起点となって生じるSSCによって鋼管が破断することがあった。
また、特許文献5に記載された技術は、丸断面のビレット連続鋳造にて浸漬ノズルの詰まり防止のためにCa添加を行った鋼を対象にした介在物制御に関するものであり、一般的な高強度継目無鋼管において、耐硫化物応力割れ性向上に有利な介在物を形成するための具体的な条件は依然として明らかではなかった。
特許文献6に記載された技術は、偏析を低減することによって高強度継目無鋼管の耐硫化物応力割れ性を向上させるというものであるが、やはり、耐硫化物応力割れ性向上に有利な介在物を形成するための具体的な条件は明らかではなかった。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高強度とサワー環境下における耐硫化物応力割れ性とを兼ね備え、油井用として好適な低合金高強度継目無鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、継目無鋼管の強度と耐硫化物応力割れ性について検討を行った結果、鋼の成分組成と、鋼中の非金属介在物の両者が後述する特定条件を満たすように制御することにより、本来、相反する性質である優れた強度と耐硫化物応力割れ性とを両立できることを見出した。
上記鋼の成分組成に関しては、(1)C、Si、Mn、Alの含有量を適正範囲とすること、(2)適正量のMo、Cr、V、Nb、Ti,Bを必須成分として含有させること、および(3)P、S、O、Nの濃度を一定以下とすることが必要である。
上記非金属介在物に関しては、(1)酸化物、硫化物、窒化物個数を低減すること、(2)酸化物系介在物組成を、耐硫化物応力割れ性を低下させるCaO含有介在物ではなく、MgO含有Al23系酸化物とすること、および(3)前記酸化物系介在物中のS濃度を低減し、その組成を所定の範囲内とすることが必要である。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.15〜0.50%、
Si:0.10〜1.00%、
Mn:0.30〜1.00%、
P :0.010%以下、
S :0.0010%以下、
Al:0.010〜0.100%、
N :0.0050%以下、
Cr:0.10〜1.70%、
Mo:0.40〜1.10%、
V :0.010〜0.120%、
Nb:0.010〜0.080%、
Ti:0.005〜0.040%、
B :0.0005〜0.0030%、
T.Ca:0.0010%以下、
T.Mg:0.0005%以下、
不可避的不純物、および残部の鉄からなり、
ロックウェル硬さ(HRC)が25〜30であり、
圧延方向に直交する断面100mm2あたりの介在物の数が、
円相当径5μm以上の硫化物系介在物:3個以下、
円相当径5μm以上の酸化物系介在物:30個以下、
円相当径5μm以上の窒化物系介在物:150個以下であり、
Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物を有し、
前記円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるCa、Mg、およびSの平均含有量が質量%で、
Ca:15%以下、
Mg:3〜15%、
S :10%以下、および
Ca:(40−HRC)%以下であることを特徴とする継目無鋼管。
(2)質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:1.00%以下、および
W :2.00%以下
から選ばれる1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする前記(1)に記載の継目無鋼管。
(3)前記(1)または(2)に記載の継目無鋼管を製造するための方法であって、
二次精錬工程と、
連続鋳造工程と、
圧延工程と、
熱処理工程とを少なくとも有し、
前記二次精錬工程においては、加熱攪拌処理と真空脱ガス処理とが少なくとも行われ、
前記二次精錬工程後の鋼におけるS、O、N、およびCaの含有量が、それぞれ質量%で、
S:0.001%以下、
O:0.001%以下、
N:0.005%以下、
T.Ca×S:6×10-7%以下であり、
前記圧延工程においては、マンネスマン法による圧延が少なくとも行われ、
前記熱処理工程においては、焼入れ処理と、焼戻処理とが少なくとも行われることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
(4)前記加熱攪拌処理における処理時間tLFが下記(1)および(2)式の関係を満たし、
前記加熱攪拌処理後のスラグ組成が下記(3)、(4)、および(5)式の関係を満たし、
下記(6)、(7)式で定義される前記真空脱ガス処理における溶鋼の還流回数Nが下記(8)式の関係を満たすように処理時間tRHを確保することを特徴とする前記(3)に記載の継目無鋼管の製造方法。

LF≧1500/ε ……(1)
[tLF:加熱攪拌処理の処理時間(min)、ε:攪拌動力密度(W/ton)]、
ε=(371・GLF/1000/60・TL/W)×{ln(1+(h0/(1.46×10-52)+0.06×(1−TN/TL)} ……(2)
[GLF:吹き込みガス流量(NL/min)、TL:溶鋼温度(K)、W:溶鋼量(ton)、h0:吹き込み深さ(m)、 P2 :雰囲気圧力(Pa)、TN:吹き込みガス温度(K)]、
[CaO]/[SiO2]≧3.0 ……(3)、
1.0≦[CaO]/[Al23]≦3.5 ……(4)、
[MgO]≧3.0 ……(5)、
[[X]:質量%で表した成分Xの含有量]
N=tRH/(W/Q) ……(6)、
[tRH:真空脱ガス処理の処理時間(min)、W:溶鋼量(ton)、Q:還流量(ton/min)]
Q=11.4GRH 1/34/3{Ln(P1/P0)}1/3 ……(7)、
[GRH:還流ガス量(NL/min)、D:浸漬管内径(m)、P1:ガス吹き込み点(浸漬管深さ位置)の圧力(Pa)、P0:真空槽内溶鋼表面圧力(Pa)]
N≧15 ……(8)
本発明によれば、鋼材の成分組成と非金属介在物を適正に制御することで、降伏強さ:110ksi級の高強度と、優れた耐硫化物応力割れ性とを兼ね備え、油井用として好適な低合金高強度継目無鋼管を得ることができる。
なお、110ksi級とは、降伏強さ(YS)が110〜125ksi(kilo pound per square inch)、すなわち758〜862MPaであることを意味する。
まず、本発明の鋼管において、成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.15〜0.50%
Cは、鋼の強度を増加させる作用を有し、所望の高強度を確保するために重要な元素である。また、Cは焼入れ性を向上させる元素であり、焼戻マルテンサイト相を主相とする組織の形成に寄与する。このような効果を得るためには、鋼が0.15%以上のCを含有する必要がある。一方、含有量が0.50%を超えると、焼戻時に、水素のトラップサイトとして作用する炭化物が多量に析出し、鋼中への過剰な拡散性水素の侵入の要因となるとともに、焼入れ時の割れを抑制できなくなる。このため、C含有量を0.15〜0.50%に限定した。なお、好ましくは、0.20〜0.40%、より好ましくは0.20〜0.30%である。
Si:0.10〜1.00%
Siは、鋼中に固溶して鋼の強度を増加させ、焼戻時の急激な軟化を抑制する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、鋼が0.10%以上のSiを含有する必要がある。一方、含有量が1.00%を超えると、熱間加工性が著しく低下する。このため、Si含有量を0.10〜1.00%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.20〜0.50%、より好ましくは、0.20〜0.30%である。
Mn:0.30〜1.00%
Mnは、焼入れ性を向上させ、その結果として鋼の強度を増加させるとともに、Sと結合してMnSを形成することによって、Sによる粒界脆化を防止する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、鋼が0.30%以上のMnを含有する必要がある。含有量が1.00%を超えると、粒界に析出するセメンタイトが粗大化し、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、Mn含有量は0.30〜1.00%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.40〜0.80%、より好ましくは0.40〜0.70%である。
P:0.010%以下
Pは、固溶状態では粒界等に偏析し、粒界脆化割れ等を引き起こす傾向を示す。したがって、その含有量は極力低くすることが好ましいが、0.010%以下であれば許容される。そのため、本発明ではP含有量を0.010%以下とする。好ましくは0.008%以下である。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低P化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.0010%以下
Sは、鋼中ではほとんどが硫化物系介在物として存在し、延性、靭性や、耐硫化物応力腐食割れ性等の耐食性を低下させる。また、一部は固溶状態で存在し、粒界等に偏析して粒界脆化割れの原因となる。したがって、その含有量は極力低くすることが好ましいが、0.0010%以下であれば許容される。そのため、本発明ではS含有量を0.0010%以下とする。好ましくは0.0008%以下である。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低S化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0003%以上とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合しAlNを形成してオーステナイト結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、鋼が0.01%以上のAlを含有する必要がある。一方、Alが0.10%を超えて含有されると、酸化物系介在物が増加し、靭性が低下する。このため、本発明ではAl含有量を0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.05%である。
N:0.0050%以下
NはTi、Nb、Al等の窒化物形成元素と結合しMN型の析出物を形成する。しかし、これらの析出物は粗大な析出物となり、耐硫化物応力割れ性を低下させる。したがって、その含有量は極力低くすることが好ましいが、0.0050%以下であれば許容される。そのため、本発明ではN含有量を0.0050%以下とする。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、少量のMN型析出物は、鋼素材等の加熱時に結晶粒の粗大化を抑制する効果を有するため、N含有量は0.0015%以上とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.0020〜0.0040%である。
Cr:0.10〜1.70%
Crは、焼入れ性を向上させ、その結果として鋼の強度を増加させるとともに、耐食性を向上させる元素である。また、Crは、焼戻時にCと結合し、M3C系、M73系、M236系等の炭化物を形成し、とくにM3C系炭化物は焼戻軟化抵抗を向上させ、焼戻による強度変化を少なくして、強度調整を容易にする。このような効果を得るためには、鋼が0.10%以上のCrを含有する必要がある。一方、Cr含有量が1.70%を超えると、多量のM73系炭化物、M236系炭化物が形成される。これらの炭化物は水素のトラップサイトとして作用するため、耐硫化物応力割れ性が低下してしまう。このため、本発明ではCr含有量を0.10〜1.70%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.50〜1.50%、より好ましくは1.00〜1.40%である。
Mo:0.40〜1.10%
Moは、炭化物を形成して、析出硬化による強度増加に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して更なる耐硫化物応力割れ性の向上に寄与する。また、Moは、腐食生成物を緻密化し、さらに割れの起点となるピット等の生成・成長を抑制する。このような効果を得るためには、鋼が0.40%以上のMoを含有する必要がある。一方、Mo含有量が1.10%を超えると、針状のM2C型析出物や、Laves相(Fe2Mo)が形成され、耐硫化物応力割れ性が低下する。このため、本発明ではMo含有量を0.40〜1.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.60〜1.10%、より好ましくは0.70〜1.00%である。
V:0.010〜0.120%
Vは、炭化物あるいは窒化物を形成し、鋼の強化に有効な元素である。このような効果を得るためには、鋼が0.010%以上のVを含有する必要がある。一方、0.120%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、本発明ではV含有量を0.010〜0.120%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.020〜0.080%、より好ましくは0.025〜0.050%である。
Nb:0.010〜0.080%
Nbは、オーステナイト(γ)温度域での再結晶を遅延させてγ粒の微細化に寄与し、マルテンサイトの下部組織を微細化する作用を有する元素である。また、炭化物を形成して鋼を強化する作用も有する。このような効果を得るためには、鋼が0.010%以上のNbを含有する必要がある。一方、Nb含有量が0.080%を超えると、粗大な析出物(NbC、NbN)が形成され、耐硫化物応力割れ性が低下する。このため、本発明ではNb含有量を0.010〜0.080%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.020〜0.060%、より好ましくは0.025〜0.040%である。
Ti:0.005〜0.040%
Tiは、炭化物あるいは窒化物を形成して、鋼の強化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、鋼が、0.005%以上のTiを含有する必要がある。一方、Ti含有量が0.040%を超えると、鋳造時に粗大なTiNが形成され、その後の加熱でも固溶しないため、靭性や耐硫化物応力割れ性が低下する。このため、本発明ではTi含有量を0.005〜0.040%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.010〜0.030%、より好ましくは0.020〜0.030%である。
B:0.0005〜0.0030%
Bは、微量の添加で焼入れ性を向上させることのできる元素である。このような効果を得るためには、鋼が、0.0005%以上のBを含有する必要がある。一方、0.0030%を超えて多量に含有しても効果が飽和するとともに、Mo2B、Fe2B等の粗大な硼化物が形成され、熱延時に割れが発生しやすくする。このため、本発明ではB含有量を0.0005〜0.0030%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.0010〜0.0030%である。
O:0.0010%以下
Oは、鋼中では酸化物系介在物として存在し、耐硫化物応力割れ性等の耐食性を低下させる。本発明では酸化物系介在物を低減する必要があることから、O含有量を0.0010%以下にする必要がある。好ましくは0.0008%以下である。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低O化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0001%以上とすることが好ましい。
T.Ca:0.0010%以下
Caは介在物の形態を制御する作用を有する元素であり、MnSのような展伸した硫化物系介在物の形状を粒状にする。しかし、一方でCaは、耐硫化物応力割れ性に対して有害な、CaSやCaO含有酸化物を形成する。そのため、T.Caを0.0010%以下にする必要がある。ここで、T.Caは、鋼中に固溶しているCaと介在物として含まれるCaの合計であるTotal Ca含有量を表す。上記理由により、本発明においては積極的なCaの添加を行わないことが好ましい。最終的に得られる継目無鋼管における非金属介在物が本発明の条件を満たすためには、後述するように、二次精錬後の鋼における、質量%で表されるT.CaとS含有量の積(T.Ca×S)を6×10-7以下とする必要がある。展伸したMnSのような硫化物系介在物については、T.Caを添加することに代えて、S濃度を0.0010%以下にすることにより生成量を低減することが重要である。なお、T.Caの下限については限定されないが、工業的には0%超である。
T.Mg:0.0005%以下
同様の理由により、鋼中に固溶しているMgと介在物として含まれるMgの合計であるTotal Mg含有量(T.Mg)を、0.0005%以下とする必要がある。また、T.Mgの下限については限定されないが、工業的には0%超である。
以上の成分が基本であるが、必要に応じてさらに、Cu:1.00%以下、Ni:1.00%以下、W:2.00%以下のうちから選ばれる1種または2種以上をさらに含有してもよい。
Cu:1.00%以下
Cuは、鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有できる。とくに、厳しい耐硫化物応力割れ性が要求される場合において、Cuの添加は有効である。Cuを含有した場合、緻密な腐食生成物が形成され、さらに割れの起点となるピットの生成・成長が抑制されて、耐硫化物応力割れ性が顕著に向上する。このような効果を得るためには、鋼がCuを0.03%以上含有することが好ましい。一方、1.00%を超えて含有しても効果が飽和するうえ、コストが高騰する。そのため、Cu含有量は1.00%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.03〜0.50%、さらに好ましくは0.03〜0.20%である。
Ni:1.00%以下
Niは、Cuと同様に鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには、鋼がNiを0.03%以上含有することが好ましい。一方、1.00%を超えて含有しても効果が飽和し、コストが高騰する。そのため、Ni含有量は1.00%以下とすることが好ましい。なお、より好ましくは、0.03〜0.25%である。
W:2.00%以下
Wは、炭化物を形成し鋼の強化に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して耐硫化物応力割れ性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、鋼がWを0.03%以上含有することが好ましい。一方、W含有量が2.00%を超えると耐硫化物応力腐食割れ性が低下するため、W含有量は2.00%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.50%である。
本発明の継目無鋼管は、以上の成分に加え、不可避的不純物と残部のFeからなる。本発明では、継目無鋼管を構成する鋼が上記成分組成を有することが重要である。
・ ロックウェル硬さ:25〜30
油井用などの用途に使用される高強度継目無鋼管としては、25以上のHRCが必要とされる。一方、HRCが30を超えると、SSC発生率が高くなる。そのため、本発明では、継目無鋼管のロックウェル硬さ(HRC)を25〜30とする。
次に、本発明の鋼管において、非金属介在物を上記のように限定する理由を説明する。
介在物が耐硫化物応力割れに与える影響を調査するために、介在物形態の異なる試験片を作成し、NACE TM0177 Method Aの規定に準拠して耐硫化物応力割れ性を試験した。耐硫化物応力割れ性試験法の詳細については後述する。
鋼に含まれる非金属介在物の形態は、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)を用いて評価した。SEM−EDXによる測定は、製造された継目無鋼管の圧延方向に直交する断面を研磨した面について行い、SEM像のコントラストに基づいて断面内に存在する介在物(酸化物、窒化物、硫化物)の大きさを求めるとともに、EDXによる定量分析により介在物の組成を測定した。
評価の結果、介在物の個数と、酸化物系介在物の組成の両者を特定の範囲に制御することが、硫化水素を含むサワー環境下における耐硫化物応力腐食割れ性の改善に重要であることが判明した。
・ 介在物の個数について
鋼の表面に介在物が現出していると、介在物が腐食されてピット状になりやすい。また、形成されたピットには応力が集中するため、ピットが硫化物応力割れの起点となる。したがって、耐硫化物応力割れ性を向上させるには、介在物の個数を減少させることが重要である。今回、なかでも、円相当径が5μm以上と比較的大型の介在物の個数を低減することが重要であること、および硫化物系、酸化物系、窒化物系の順序で、介在物個数の影響が大きいことが判明した。
介在物個数の異なる試験片を用いた耐硫化物応力割れ性試験の結果から、圧延方向に直交する断面100mm2あたりの介在物の数を、円相当径5μm以上の硫化物系介在物:3個以下、円相当径5μm以上の酸化物系介在物:30個以下、円相当径5μm以上の窒化物系介在物:150個以下とすることで、耐硫化物応力割れ性を著しく向上できることが分かった。
・ 酸化物系介在物の組成について
鋼には、脱酸剤として使用されるAlが含まれるため、酸化物系介在物の主体はAl23である。この酸化物系介在物には、他に、CaOやCaS、MgOなどが取り込まれ、複合酸化物を形成し得る。この複合酸化物系介在物の組成を、SEM−EDXの測定結果に基づいて詳細に検討した結果、介在物中のCaO濃度またはCaS濃度が高い場合には、耐硫化物応力腐食割れ性が低下することが分かった。鋼の表面に現出している介在物がCaOやCaSを高濃度で含有する場合には、介在物の孔食が発生しやすくなるためである。そのため、本発明では、Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるCaの平均含有量が15%以下であることが重要である。
また、介在物中のCa濃度が耐硫化物応力腐食割れ性に及ぼす影響は、鋼の硬さにも依存することが分かった。鋼の硬さが高いほど、割れが伸展しやすくなるため、耐硫化物応力腐食割れ性へのCa含有介在物の影響が顕著となる。そのため、本発明では、Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるCaの平均含有量を(40−HRC)%以下とする。
一方、上記複合酸化物介在物中のMg平均含有量が3%以上であれば、介在物はMgO−Al23系となる。このMgO−Al23系介在物は、サワー環境下においても腐食を受けにくいという特徴を有している。また、MgO−Al23系介在物は溶鋼段階で粗大化しにくいことから、微細であり、仮に腐食されてピットが形成されてもサイズが小さいためにクラックの起点とはなりにくい。そのため、複合酸化物系介在物をMgO−Al23系介在物とすることにより、耐硫化物応力割れ性を向上させることができる。しかし、複合酸化物系介在物中のMg平均含有量が15%以上では、MgO濃度が高くなりすぎ、粗大なMgO−Al23系介在物が形成されるため、耐硫化物応力割れ性が低下する。そのため、本発明では、Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるMgの平均含有量を3〜15%とすることが重要である。
さらに、上記複合酸化物介在物中のS平均含有量が10%を超えると、複合酸化物系介在物にCaS、MnSが含有され、特に、介在物の表面に形成される傾向にある。このような介在物が鋼の表面に現出した場合、サワー環境下では容易に腐食され、硫化物応力割れの起点となる。これを防止するために、本発明では、Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるSの平均含有量を10%以下とすることが重要である。
次に、本発明の継目無鋼管の製造方法について説明する。
本発明の継目無鋼管は、二次精錬工程、連続鋳造工程、圧延工程、および熱処理工程を少なくとも備える方法によって製造することができる。本発明では、特に、前記二次精錬工程において加熱攪拌処理と真空脱ガス処理とを特定条件で実施し、非金属介在物を低減するとともに、介在物の組成を制御することが重要である。それら以外の処理については特に限定されず、各種公知の方法を用いることができるが、以下、好ましい態様を、処理の順序に従って説明する。
・ 溶銑予備処理工程
本発明の継目無鋼管の製造方法では、素材となる鋼を製造する際に、転炉による処理に供される溶融銑鉄(溶銑)に対し、あらかじめ、溶銑予備処理を施すことが好ましい。溶銑予備処理では、常法に従って、脱硫処理と脱りん処理を少なくとも実施して、溶銑中のS濃度、P濃度を低下させる。
・ 転炉工程
溶銑予備処理が終了した後、転炉において脱炭と脱りんを行って、C濃度、P濃度を低下させる。転炉の形式は特に限定されないが、純酸素上底吹き転炉を使用することが好ましい。転炉処理終了後の溶鋼中のP濃度は0.010%以下とすることが好ましい。
・ 二次精錬工程
転炉工程で処理された溶鋼は、取鍋へ出鋼された後、次の二次精錬工程において脱ガスおよび最終成分調整を施されて、目標成分に仕上げられる。本発明の二次精錬工程においては、加熱攪拌処理と真空脱ガス処理とが必須の処理として実施される。なお、後述するスラグ組成の制御の観点から、転炉からの出鋼時に取鍋内へ持ち込まれた転炉スラグは、加熱攪拌処理に先だって除滓しておくことが好ましい。
・ 加熱攪拌処理
加熱攪拌処理では、取鍋内の溶鋼にフラックス(媒溶剤)を添加した後、攪拌用ガスを吹込み、溶鋼と溶鋼上に存在するスラグとを攪拌することによって脱硫や脱酸を行うことができる。攪拌用ガスの吹込み方法は特に限定されず、取鍋の底部に設けられたポーラスプラグや、浸漬ランスを用いて行うことができる。
上記加熱攪拌処理は不活性雰囲気中で行われ、攪拌用ガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスを使用することが好ましい。加熱攪拌処理には、アーク加熱式取鍋精錬設備(Ladle Furnace、LF)を用いることができる。アーク加熱式取鍋精錬設備は、黒鉛などからなるアーク発生用の電極を備えており、この電極を用いてサブマージドアーク加熱を行うことで、溶鋼の加熱やフラックスの滓化(スラグ化)が可能である。
本発明の加熱攪拌処理において使用できるフラックスとしては、CaO、Al23、SiO2、MgO、CaF2等が挙げられ、それ以外にもZrO2、Na2Oのほか、FeO、MnO、TiO2、S,P25、Cなど不可避的に入ってくるものがあってもよい。
・ 真空脱ガス処理
次いで、真空脱ガス処理による脱酸、脱窒を行なう。本発明における真空脱ガス処理には、RH式、DH式、VAD式、ASEA−SKF式など、各種方式を使用できるが、RH式の真空脱ガス炉を用いることが好ましい。RHには、スラグ/メタル反応が他の真空精錬炉に比べて進みにくいため、介在物中のCaOとMgOの量を抑制できるという利点がある。
本発明では、上記二次精錬後の鋼におけるS、O、N、およびCaの含有量を、それぞれS:0.001%以下、O:0.001%以下、N:0.005%以下、T.Ca×S:6×10-7%以下とすることが重要である。なお、ここで「T.Ca×S」は、質量%で表したT.CaとS含有量の積を意味する。このように、鋼中のS、O、およびNの含有量を低くすることによって、鋼中の硫化物系、酸化物系、および窒化物系介在物の個数を、それぞれ上記の範囲とし、鋼管の耐硫化物応力割れ性を向上させることができる。また、二次精錬工程後の鋼におけるT.Ca×Sを6×10-7以下とすることにより、耐硫化物応力割れ性に悪影響を及ぼすCaSの形成を抑制することができる。
なお、継目無鋼管における介在物個数と介在物の組成を先に述べた範囲内とするためには、上記二次精錬工程における加熱攪拌処理の処理時間tLFが下記(1)および(2)式の関係を満たし、加熱攪拌処理後のスラグ組成が下記(3)、(4)、および(5)式の関係を満たすように調整する必要がある。

LF≧1500/ε ……(1)
[tLF:加熱攪拌処理時間(min)、ε:攪拌動力密度(W/ton)]、
ε=(371・GLF/1000/60・TL/W)×{ln(1+(h0/(1.46×10-52)+0.06×(1−TN/TL)} ……(2)
[GLF:吹き込みガス流量(NL/min)、TL:溶鋼温度(K)、W:溶鋼量(ton)、h0:吹き込み深さ(m)、 P2 :雰囲気圧力(Pa)、TN:吹き込みガス温度(K)]、
[CaO]/[SiO2]≧3.0 ……(3)、
1.0≦[CaO]/[Al23]≦3.5 ……(4)、
[MgO]≧3.0 ……(5)、
[[X]:質量%で表した成分Xの含有量]
なお、上記(2)式における吹き込み深さh0は、ポーラスプラグを使用する場合には、そのガス吹き出し面の深さとして定義される。また、浸漬ランスを用いる場合には、h0はランスの吹込み孔の深さとして定義される。2本以上の浸漬ランスが使用される場合、それらのランスの吹込み孔の深さの平均値をh0として用いる。
上記(2)式は、ガス吹込みの条件から、溶鋼単位質量あたりの攪拌の仕事率(攪拌動力密度)を算出する式である(「鉄と鋼」、67(1981)、672〜695ページ)。本発明では、前記攪拌動力密度に基づいて、所定の介在物の個数と組成を達成するために必要な加熱攪拌処理の処理時間を上記(1)式により規定している。
また、加熱攪拌処理後のスラグ組成が上記(3)〜(5)式の関係を満たすようにするためには、加熱攪拌処理におけるスラグ組成の変化を考慮して、添加するフラックスの成分と量を決定すればよい。加熱攪拌処理におけるスラグ組成の変化に影響する要素としては、除滓後に取鍋内に残存する転炉スラグ、脱酸や再酸化の際に生成する酸化物の組成と量などが挙げられる。
上記(1)〜(5)式の関係を満たさない場合、鋼中のS濃度を0.0010%以下に低減することができず、また、円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物の組成を目標の範囲に制御することができない。
さらに、上記真空脱ガス処理においては、下記(6)、(7)式で定義される溶鋼の還流回数Nが、下記(8)式の関係を満たすように処理時間tRHを確保する必要がある。真空脱ガス処理では、処理時間の増加とともに酸素濃度、介在物個数、特に、5μm以上の酸化物系介在物個数が減少する。処理時間tRHが短く、還流回数が(8)式の条件を満たさない場合には、鋼中の酸素濃度を0.0010%以下にすることができず、また、円相当径5μm以上の酸化物系介在物の個数を30個/100mm2以下とすることが困難になる。

N=tRH/(W/Q) ……(6)、
[tRH:真空脱ガス処理の処理時間(min)、W:溶鋼量(ton)、Q:還流量(ton/min)]
Q=11.4GRH 1/34/3{Ln(P1/P0)}1/3 ……(7)、
[GRH:還流ガス量(NL/min)、D:浸漬管内径(m)、P1:ガス吹き込み点(浸漬管深さ位置)の圧力(Pa)、P0:真空槽内溶鋼表面圧力(Pa)]
N≧15 ……(8)
・ 連続鋳造工程
二次精錬工程の後、溶鋼を連続鋳造法で鋳込み、鋳片を得る。連続鋳造の方法は特に限定されず、得られる鋳片はブルーム、ビレット、いずれの形状でもよいが、連続鋳造法で鋳込まれる形状が丸ビレットであれば、後述する丸ビレットへの熱間圧延を省略できるため、好ましい。
・ 圧延工程
上記連続鋳造工程で得られた丸ビレットを、加熱炉にて1100〜1300℃の範囲の温度に加熱した後、マンネスマン法により熱間圧延して中空素管を製造する。連続鋳造工程において得られた鋳片が、ブルームなど、丸ビレット以外の形状である場合には、マンネスマン法による圧延に先立って、鋳片を加熱し、圧延等の熱間加工を施して丸ビレットとしておく。マンネスマン法による穿孔の方式は限定されず、管径に応じてマンネスマン−プラグミル方式、マンネスマン−マンドレルミル方式のいずれの方法も用いることができる。
上記工程で得られた中空素管に対し、さらに必要に応じてストレッチレデューサーによる縮径圧延またはサイザーによる定径圧延、矯正、冷却などの処理を施して、所定寸法の継目無鋼管に仕上げる。
・ 熱処理工程
次に、得られた継目無鋼管に対して、熱処理が施される。本発明の熱処理工程においては、1回以上の焼入れ処理と、それに続く焼戻処理が、少なくとも実施される。前記焼入れ処理では、鋼管を所定の焼入れ加熱温度に再加熱したのちに、急冷(水冷)する。前記焼入れ加熱温度は、Ac3変態点以上、1000℃以下とすることが好ましく、940℃以下とすることがより好ましい。また、前記急冷では、好ましくはMs変態点以下、より好ましくは100℃以下の温度域まで鋼管を冷却する。以上の熱処理により、鋼の組織を、微細なγ相から変態した微細なマルテンサイト相を主相とする組織とすることができる。焼入れ加熱温度が、Ac3変態点未満では、オーステナイト単相域にすることができず、その後の冷却で十分なマルテンサイト組織とすることができないため、高強度を確保できなくなる。一方、焼入れ温度を1000℃超の高温とすると、組織の粗大化を招き、靭性および耐硫化物応力割れ性が低下する。
また、上記焼入れ処理は1回でも効果が得られるが、2回以上繰返すことが好ましい。焼入れ処理を2回以上繰返し行うことにより、鋼の組織が微細化し、高強度、高靭性で、かつ耐硫化物応力割れ性に優れた鋼管を得ることができる。なお、焼入れを2回行う場合、2回焼入れ後に焼戻しを行うQQT処理と、焼入れ処理と焼戻処理を交互に繰返して行うQTQT処理のいずれの形態で行ってもよい。
焼入れ処理を施された鋼管は、引続き、焼戻処理を施される。焼戻処理を行うことにより、過剰な転位を減少させて鋼組織を安定化し、鋼管の強度と耐硫化物応力割れ性の両者を向上させることができる。焼戻温度は、630〜730℃の範囲の温度とすることが好ましい。焼戻温度が630℃より低いと、水素トラップサイトとして働く転位を十分に減少させることができず、十分な耐硫化物応力割れ性を得ることができない。一方、焼戻温度が730℃より高いと、鋼組織が軟化して高強度を得られなくなるうえ、針状のM2C型析出物が増加し、耐硫化物応力割れ性が低下する。
以下、実施例に基づいて本発明の構成および作用効果をより具体的に説明する。
はじめに、高炉から出銑された溶銑に対して、溶銑予備処理、転炉処理、加熱攪拌精錬処理(LF)、RH真空脱ガス処理、および連続鋳造を順次施して、鋳片を得た。得られた鋳片の成分組成を表1に示す。また、加熱攪拌処理条件、加熱攪拌処理後のスラグ組成、およびRH真空脱ガス処理条件は、表2に示す。
次に、この鋳片を加熱し、圧延等の熱間加工を施してビレット形状の鋼片とした。得られたビレット鋳片を、通常のマンネスマン−プラグミル方式で圧延して、所定寸法(板厚10〜35mm)の継目無鋼管とし、次いで、表2に示した条件で焼入れ処理、焼戻処理を行なった。焼入れ回数は1回とした。
最終的に得られた継目無鋼管の耐硫化物応力割れ性、降伏強さ、引張強さ、およびロックウェル硬さを試験するとともに、非金属介在物の個数密度および組成を測定した。測定の結果を、表3に示す。なお、各項目の試験、測定方法は、以下の通りとした。
・ 耐硫化物応力割れ性
得られた継目無鋼管から試験片を10本採取し、NACE TM0177 Method Aの規定に準拠した方法で耐硫化物応力割れ性の試験を行った。試験には、H2Sが飽和した0.5%酢酸+5.0%食塩水溶液(液温:24℃)を用い、降伏強さの90%の負荷応力を720時間負荷する定荷重試験を実施した。試験終了後、SSC発生率(=(割れが発生した試験片本数)/(全試験片数)×100(%))を求め、この値に基づいて耐硫化物応力腐食割れ性を評価した。
・ 降伏強さ、引張強さ
鋼管から、管軸方向が引張方向となるように、丸棒引張試験片(平行部6mmφ×G.L.25mm)を作成した。前記試験片に対し、常温(25℃)において引張試験を実施し、降伏強さYSおよび引張強さTSを測定した。なお、降伏強さは0.7%伸びでの強度とした。
・ ロックウェル硬さ
各試験片について、耐硫化物応力割れ性試験後にロックウェル硬さ(HRC)を測定した。HRCの値としては、3点における測定値の平均を用いた。
・ 非金属介在物の個数密度および組成
熱処理後の継目無鋼管から介在物測定用サンプルを切り出し、圧延方向に直交する断面が測定面となるように、樹脂に埋め込んだ後、研磨を行って試料を作成した。SEMによって1試料あたり500mm2の測定面を観察し、得られた画像のコントラストに基づいて介在物を自動検出した。介在物として認識された領域の面積から、その円相当径を算出した。
次に、円相当径5μm以上の介在物のそれぞれについて、EDXによる組成分析を行い、得られた各介在物の平均組成に基づいて介在物を分類した。S濃度の高いものは硫化物系介在物、Ti、または、Nb濃度が高いものは窒化物系介在物、Al、T.Mg、T.Ca濃度が高いものは酸化物系介在物とした。その結果に基づいて、円相当径が5μm以上の介在物を、酸化物系、硫化物系、窒化物系の3種に分類して、それぞれの個数密度を求めた、ここで、個数密度とは、測定面100mm2あたりに存在する円相当径5μm以上の介在物の個数(個数密度)とする。また、円相当径5μm以上の酸化物系介在物に関しては、その平均組成からT.Ca、T.Mg、およびSの平均含有量を求めた。
Figure 0006229640
Figure 0006229640
Figure 0006229640
表1〜3に示したように、鋼の組成、介在物の個数密度、酸化物系介在物のすべてについて、本発明の条件を満たす継目無鋼管(発明例)は、いずれも、110ksi(758MPa)以上の高い強度でありながら、硫化物応力割れの発生率が0%であり、強度と耐硫化物応力割れ性という、相反する性質を兼ね備えていた。一方、鋼の組成、介在物の個数密度、酸化物系介在物の一つでも本発明の条件を満たさない継目無鋼管では、耐硫化物応力割れ性の試験において、全ての試験片で割れが発生した。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.15〜0.50%、
    Si:0.10〜1.00%、
    Mn:0.30〜1.00%、
    P :0.010%以下、
    S :0.0010%以下、
    Al:0.010〜0.100%、
    N :0.0050%以下、
    Cr:0.10〜1.70%、
    Mo:0.40〜1.10%、
    V :0.010〜0.120%、
    Nb:0.010〜0.080%、
    Ti:0.005〜0.040%、
    B :0.0005〜0.0030%、
    T.Ca:0.0010%以下、
    T.Mg:0.0005%以下、
    不可避的不純物、および残部の鉄からなり、
    ロックウェル硬さ(HRC)が25〜30であり、
    圧延方向に直交する断面100mm2あたりの介在物の数が、
    円相当径5μm以上の硫化物系介在物:3個以下、
    円相当径5μm以上の酸化物系介在物:30個以下、
    円相当径5μm以上の窒化物系介在物:150個以下であり、
    Ca(O,S)とAl23とMgOを含有する円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物を有し、
    前記円相当径5μm以上の複合酸化物系介在物におけるCa、Mg、およびSの平均含有量が質量%で、
    Ca:15%以下、
    Mg:3〜15%、
    S :10%以下、および
    Ca:(40−HRC)%以下であることを特徴とする継目無鋼管。
  2. 質量%で、
    Cu:1.00%以下、
    Ni:1.00%以下、および
    W :2.00%以下
    から選ばれる1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の継目無鋼管。
  3. 請求項1または2に記載の継目無鋼管を製造するための方法であって、
    二次精錬工程と、
    連続鋳造工程と、
    圧延工程と、
    熱処理工程とを少なくとも有し、
    前記二次精錬工程においては、加熱攪拌処理と真空脱ガス処理とが少なくとも行われ、
    前記二次精錬工程後の鋼におけるS、O、N、およびCaの含有量が、それぞれ質量%で、
    S:0.001%以下、
    O:0.001%以下、
    N:0.005%以下、
    T.Ca×S:6×10-7%以下であり、
    前記圧延工程においては、マンネスマン法による圧延が少なくとも行われ、
    前記熱処理工程においては、焼入れ処理と、焼戻処理とが少なくとも行われることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
  4. 前記加熱攪拌処理における処理時間tLFが下記(1)および(2)式の関係を満たし、
    前記加熱攪拌処理後のスラグ組成が下記(3)、(4)、および(5)式の関係を満たし、
    下記(6)、(7)式で定義される前記真空脱ガス処理における溶鋼の還流回数Nが下記(8)式の関係を満たすように処理時間tRHを確保することを特徴とする請求項3に記載の継目無鋼管の製造方法。

    LF≧1500/ε ……(1)
    [tLF:加熱攪拌処理の処理時間(min)、ε:攪拌動力密度(W/ton)]、
    ε=(371・GLF/1000/60・TL/W)×{ln(1+(h0/(1.46×10-52)+0.06×(1−TN/TL)} ……(2)
    [GLF:吹き込みガス流量(NL/min)、TL:溶鋼温度(K)、W:溶鋼量(ton)、h0:吹き込み深さ(m)、 P2 :雰囲気圧力(Pa)、TN:吹き込みガス温度(K)]、
    [CaO]/[SiO2]≧3.0 ……(3)、
    1.0≦[CaO]/[Al23]≦3.5 ……(4)、
    [MgO]≧3.0 ……(5)、
    [[X]:質量%で表した成分Xの含有量]
    N=tRH/(W/Q) ……(6)、
    [tRH:真空脱ガス処理の処理時間(min)、W:溶鋼量(ton)、Q:還流量(ton/min)]
    Q=11.4GRH 1/34/3{Ln(P1/P0)}1/3 ……(7)、
    [GRH:還流ガス量(NL/min)、D:浸漬管内径(m)、P1:ガス吹き込み点(浸漬管深さ位置)の圧力(Pa)、P0:真空槽内溶鋼表面圧力(Pa)]
    N≧15 ……(8)
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