JP3931543B2 - 電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱部品を備えた基板をケーシングに組込んだ、電源装置、温度調節装置、等の各種の電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記電子機器の一例である電源装置としては、例えば、特開平8−37386号公報で開示されたものが知られている。図19は、この電源装置の要部の断面図であり、同図において、50,51はプリント基板であり、各基板50,51には、IC52,ダイオード53およびその他の電子部品が実装されている。プリント基板50の上方および両側方には、天板部54および両側板部55,56からなる熱伝導率が良好な熱伝導部材57が配設されている。発熱部品である前記IC52およびダイオード53が、各側板部56,55に弾性部材58,59の弾性力で面接合されてその発熱を側板部56,57側へ伝導して放熱させるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構造においては、プリント基板50,51に挿入実装される挿入実装型の発熱部品は、放熱板としての側板部55,56に面接合して効率よく直接放熱させることができるのであるが、側板部55,56に接合させることができない表面実装型の発熱部品については直接放熱することができないものであった。
【0004】
本発明は、表面実装型の発熱部品の放熱性を高めることができる電子機器を提供することを主たる目的とし、さらには、挿入実装型の発熱部品の放熱性も高めることができる電子機器を提供し、また、その電子機器の小型化を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0006】
すなわち、本発明の電子機器は、樹脂基板と金属基板とを収容したケーシングの隣接する2つの壁を、L形に屈折形成された板状の金属製の放熱体で構成し、前記放熱体の一方の壁の内面に前記金属基板を面接合するとともに、前記放熱体の他方の壁の内面に面対向して前記樹脂基板を配置し、前記樹脂基板には、電子部品が挿入実装され、前記金属基板には、発熱部品を含む電子部品が表面実装されるものである。
【0007】
ここで、ケーシングとは、樹脂基板と金属基板とを収容するものであり、筺体、ハウンジング等の用語を用いて表現することもできる。
【0008】
また、面接合とは、放熱体と金属基板とが面でつながっていることをいい、直接面接触している状態はもとより、他の熱伝導部材等を介して間接的に面接触している状態を含むものである。
【0009】
本発明によると、金属基板に装着された表面実装型の発熱部品から発生した熱は金属基板から放熱体に伝導され、放熱体の大きい放熱面から機外に効率よく放熱される。しかも、金属基板の裏面側を直接放熱体に面接合して発熱部品から発生した熱を、効率よく機外に放熱できる。また、L形に屈折形成された放熱体は強度の高いものとなり、ケーシング全体の剛性が高まるとともに、放熱面積が大きなものとなる。更に、樹脂基板と放熱体の内面との間隙における熱が広い面積で放熱体に伝達され、機外に放熱される。また、L形に屈折された放熱体の他方の壁に面対向する樹脂基板に電解コンデンサやトランスなどの背の高い部品を搭載する一方、その高さが占有するスペースを利用して樹脂基板に直交するように金属基板を配置することができ、ケーシング内の容積を有効に利用してスペース効率の高い部品搭載を行うことができ、これによって、電子機器の小型化を図ることができる。
【0017】
本発明の他の実施態様においては、前記ケーシングが箱形であり、前記L形に屈折された前記放熱体によって構成される2つ壁面が、ケーシングにおける背壁面と側壁面である。
【0018】
本発明によると、放熱体によって形成される背壁面と側壁面以外のケーシング部分を樹脂成形して、その上壁面や下壁面に多数のスリットを形成することができ、換気放熱の良好なケーシングとすることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施態様においては、前記背壁面が、当該電子機器の支持レールへの取り付け面側となるものであって、前記背壁面の面積が、前記側壁面の面積よりも小さいものである。
【0020】
この実施態様によると、箱形のケーシングの側壁面と背壁面とを、板状のL形の放熱体で構成し、当該電子機器の支持レールに対する取り付け面側となる背壁面の面積を、側壁面の面積よりも小さくしているので、左右の横幅が薄く奥行きが大きい外形形状の電子機器とすることができ、配電盤や制御盤などの限られたスペース内に並列設置する際に便利に使用できる、利便性の高い電子機器を得ることができる。
【0023】
本発明のさらに他の実施態様においては、前記放熱体の一部を内方に切り起し、この切起し片に、前記樹脂基板に挿入実装された発熱部品を面接合させている。
【0024】
本発明によると、樹脂基板の任意の箇所に実装する発熱部品の熱を、切起し片を介して放熱体から効率よく機外に放熱することができる。
【0025】
本発明の好ましい実施態様においては、前記樹脂基板に挿入実装された発熱部品と前記放熱体の切り起し片とをクランプ金具で弾性挟持あるいはネジ連結して、発熱部品を切起し片に面接合させている。
【0026】
本発明によると、発熱部品と切起し片とを確実に密着させて効率的な放熱を図ることができる。
【0027】
本発明の他の実施態様においては、前記放熱体の外面に支持レールへの取付け機構を装着している。
【0028】
本発明によると、金属製の強度の高い放熱体の任意の箇所に取付け機構を装着することが可能となり、支持レールに対する取り付け方向の自由度が高まる。
【0029】
本発明のさらに他の実施態様においては、前記取付け機構を金属材で構成している。
【0030】
本発明によると、放熱体に伝えられた熱は取付け機構を介して金属製の支持レールに伝えられ、一層放熱性を高めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電源装置に適用した実施態様を図面に基づいて説明する。図1に本発明に係る電子機器の一例である電源装置Aを前方から見た全体の斜視図が、また、図2にその背部から見た全体の斜視図が、また、図3にその縦断側面図が、さらに、図4にその横断平面図がそれぞれ示されている。
【0032】
この電源装置Aは、例えば、左右の横幅が数十mm、奥行き幅が100数十mm、高さが100数十mm程度の大きさに構成された横幅の薄い箱形のケーシング1の内部に、樹脂基板2とアルミ板からなる金属基板3とが組込まれ、樹脂基板2に挿入実装型の所要の電子部品4群、金属基板3に表面実装型の所要の電子部品5群がそれぞれ装着されて、図18に示す入力フィルタ部、整流部、アクティブフィルタ部、DC/DC部、出力平滑部および出力制御部を有する電源装置が構成されている。なお、図18の回路図中の各部品に付記した記号(d)は挿入実装型、(s)は表面実装型であることを示す。
【0033】
ケーシング1の前端上部と下部に、外部配線接続用の端子台6,7が露出して配備されている。なお、樹脂基板2と金属基板3との回路の接続には、図5に示される樹脂基板2に挿入されてハンダ付けされるピン8aと金属基板3の回路パターンにハンダ付けされる接続片8bを備えたピン端子8群が利用されている。
【0034】
ケーシング1は、前壁面、上壁面、下壁面、および、右側壁面を一体形成した樹脂製のケーシング本体11(図8参照)と、アルミ板をL形に屈曲して背壁面と左側壁面を一体形成した放熱体としてのシャーシ12(図6参照)とから構成されて、図2に示すように、ケーシング本体11における上壁面および下壁面の端辺から延出した取付け片11aを介してケーシング本体11がシャーシ12に4本のネジ13で結合されている。そして、ケーシング本体11の上壁面、下壁面、および、右側壁面には多数のスリット14が形成されて、ケーシング内の換気放熱が行われるとともに、シャーシ12はそれ自体が大きい放熱面を有する放熱板として機能する。
【0035】
挿入実装型の電子部品4群を装着した樹脂基板2は、図7にも示されるようにシャーシ12における左側壁面に、小間隔をもって面対向するようにスペーサ15を介してネジ16で連結固定されており、この樹脂基板2の上下の前端角部に端子台6,7が装着支持されている。
【0036】
絶縁処理およびプリント配線された内表面に面実装型の電子部品5群を搭載した金属基板3は、金属面が露出された外面がシャーシ12における背壁面の内面に全面的に面接合されるようにネジ17によって連結され、面実装型の電子部品群から発生した熱が金属基板3を介してシャーシ12に直接に伝導され、広い面積のシャーシ12全体から機外に効率よく放散されるようになっている。
【0037】
また、シャーシ12における背壁面の一部を切り起こして形成した切起し片21が、左側壁面からケーシング内方に向けて片持ち状に突出され、樹脂基板2の部品装着面側に貫通突出されている。そして、樹脂基板2に装着された発熱部品の一つであるアクティブフィルタ部のIC素子22が切起し片21の表面に沿って配置されるとともに、ばね板材からなるU形のクランプ金具23で切り起し片14とIC素子22とが弾性挟持されることで両者21,22が密着して面接合されている。これによって、IC素子22から発生した熱が切起し片21に直接に伝導されるとともに、シャーシ12を介して機外に効率よく放散されるようになっている。
【0038】
本発明に係る電子機器の一例である電源装置Aの本体は以上のように構成されており、配電盤や制御盤への装着形態を以下に説明する。
【0039】
図9、図10、および、図11に示すように、シャーシ12における背壁面の外面には、汎用的なディンレール用の取付け機構30が装着固定されている。この取付け機構30は、配電盤や制御盤に横架固定された支持レールとしてのディンレール31の上向きフランジ31aに上方から係合する溝部32aを備えた板金製の本体32と、ディンレール31の下向きフランジ31bに下方から係合する爪部33aを上端に備えた板金製のスライド係合片33と、このスライド係合片33を上方にスライド付勢するバネ34から構成されており、本体32がネジ35によってシャーシ12に締付け固定されている。
【0040】
このようにケーシング1の背面に取付け機構30を装備した場合、図12に示すように、複数台の電源装置Aを横方向スペース少なくディンレール31に並べて装着することができる。
【0041】
なお、ディンレール31に対する電源装置Aの脱着は以下のように行う。装着に際しては、先ず、電源装置Aをディンレール31に対してやや前上がり傾斜姿勢で接近させて、溝部32aを上向きフランジ31aに上方から係合させる。次に、電源装置Aを振り下げるようにディンレール31に押し付けることで、スライド係合片33が下向きフランジ31bに当接して一旦押し下げられた後、上方に付勢スライドして、爪部33aが下向きフランジ31bに乗り越え係合することになり、これで電源装置Aをディンレール31の任意の位置に装着固定できる。また、電源装置Aを取り外す場合は、ケーシング1より下方に突出しているスライド係合片33の下端に形成した操作孔36に、ドライバ−等を差し入れてスライド係合片33をバネ34に抗して引き下げ、下向きフランジ31bに対する係合を解除した後、上記手順と逆の操作を行えばよい。
【0042】
前記取付け機構は、図13に示すように、シャーシ12における左側壁面の外面にネジ止め装着することもできる。この場合は、図14に示すように、電源装置Aをその右側壁面が前面となる状態でディンレール31に並列装着することができる。
【0043】
図15および図16は、電源装置Aを配電盤や制御盤、あるいは、その他の設備のフレームや壁面に直接ネジ止めできるようにした例であり、強度の高いシャーシ12の上辺および下辺に取付け座12aを突設し、ネジ37およびスペーサ38を用いて所望の箇所に設置することができる。
【0044】
なお、本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
(1)樹脂基板2と金属基板3との回路の接続には、上記のようにピン端子8を利用する他に、図17中に示すように、屈曲形成したバラピン39を利用することもできる。
(2)図17中に示すように、金属基板3をシャーシ12に面接合する簡易な手段として、ばね板材からなるU形のクランプ金具40で両者3,12を弾性挟持するもよい。
(3)切起し片21に発熱部品をネジ連結して両者を面接合させてもよい。
(4)樹脂成形部材で構成した取付け機構を装着して実施することもできる。
(5)上述の実施の形態では、挿入実装型の発熱部品を、シャーシの切り起こし片に面接合させたけれども、L形のシャーシの金属基板が面接合されている壁面の内、金属基板が面接合されていない領域に、挿入実装型の発熱部品を、直接あるいは伝熱部材を介して面接合させてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、金属基板に搭載した表面実装型の発熱部品の発熱を、大きい放熱面を有する放熱体を介して効率よく放熱することができるようになった。
【0046】
また、本発明によれば、L形に屈曲した放熱体は大きい放熱面を有するとともに、ケーシングの剛性を高める機能をも発揮し、放熱性に優れ、かつ、耐久性の高い電子機器を構成することができる。
【0047】
また、本発明によれば、樹脂基板と金属基板とを直交状態に配備でき、背の高い部品をケーシング内に無駄なく収容でき、スペース効率の高いコンパクトな電子機器を構成する上で有効となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源装置の前面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る電源装置の背面側から見た斜視図である。
【図3】電源装置全体の縦断側面図である。
【図4】電源装置全体の横断平面図である。
【図5】内部構造の一部を示す斜視図である。
【図6】シャーシ単体の斜視図である。
【図7】基板を装着したシャーシの斜視図である。
【図8】ケーシング本体の斜視図である。
【図9】背面に取付け機構を備えた電源装置の斜視図である。
【図10】背面に取付け機構を備えた電源装置の背面図である。
【図11】背面に取付け機構を備えた電源装置の取付け状態を示す側面図である。
【図12】背面に取付け機構を備えた電源装置のディンレール取付け例を示す斜視図である。
【図13】側面に取付け機構を備えた電源装置の斜視図である。
【図14】側面に取付け機構を備えた電源装置のディンレール取付け例を示す斜視図である。
【図15】他の取付け手段を備えた電源装置の背面側から見た斜視図である。
【図16】他の取付け手段を備えた電源装置の背面側から見た斜視図である。
【図17】別実施形態における内部構造の一部を示す斜視図である。
【図18】電源装置の回路図である。
【図19】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 樹脂基板
3 金属基板
12 シャーシ
21 切起し片
23 クランプ金具
30 取付け機構
31 ディンレール
Claims (7)
- 樹脂基板と金属基板とを収容したケーシングの隣接する2つの壁を、L形に屈折形成された板状の金属製の放熱体で構成し、前記放熱体の一方の壁の内面に前記金属基板を面接合するとともに、前記放熱体の他方の壁の内面に面対向して前記樹脂基板を配置し、前記樹脂基板には、電子部品が挿入実装され、前記金属基板には、発熱部品を含む電子部品が表面実装されることを特徴とする電子機器。
- 請求項1に記載の電子機器であって、
前記ケーシングが箱形であり、前記L形に屈折された前記放熱体によって構成される2つ壁面が、ケーシングにおける背壁面と側壁面であることを特徴とする電子機器。 - 請求項2に記載の電子機器であって、
前記背壁面が、当該電子機器の支持レールへの取り付け面側となるものであって、前記背壁面の面積が、前記側壁面の面積よりも小さいことを特徴とする電子機器。 - 請求項1ないし3のいずれか記載の電子機器であって、
前記放熱体の一部を内方に切り起し、この切起し片に、前記樹脂基板に挿入実装された発熱部品を面接合させてあることを特徴とする電子機器。 - 請求項4に記載の電子機器であって、
前記樹脂基板に挿入実装された発熱部品と前記放熱体の切り起し片とをクランプ金具で弾性挟持あるいはネジ連結して、発熱部品を切起し片に面接合させてあることを特徴とする電子機器。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の電子機器であって、
前記放熱体の外面に支持レールへの取付け機構を装着してあることを特徴とする電子機器。 - 請求項6に記載の電子機器であって、
前記取付け機構を金属材で構成してあることを特徴とする電子機器。
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