JP3929009B2 - ラチェット機構付鉗子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラチェット機構付の鉗子に関するものであり、特に、内視鏡手術に好適に用いられる鉗子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、胸部や腹部等の疾患を治療するための外科手術においては、切開手術に比較して感染の危険が少なく、また、手術による傷の治癒期間が短縮される理由から、内視鏡手術が行われるケースが増加している。
【0003】
内視鏡手術では、患者の体表面にトロカーによって小さな穴を開けて体腔内にカニューレ管を差し込み、このカニューレ管を通じて内視鏡を体腔内に挿入して手術部位を観察しながら、別のカニューレ管から内視鏡手術用の鉗子やクリップ、自動縫合器等を体腔内に差し込んで患部の切除や縫合等の手術が行われる。
【0004】
図4は、このような内視鏡手術において従来用いられる鉗子の一例を示す斜視図であって、この種の鉗子A1は、先端に内臓や血管等の体組織を掴むための開閉自在な一対のフィンガA2を有する細長い軸部A3と、手で握って保持するハンドル部A4から構成されている。
【0005】
ハンドル部A4には、外科医が手術を行う際に指を差し込んで保持するための指掛けリングA5が形成されており、その後方には操作レバーA6が、ハンドル部A4内に隠れて位置している支軸回りに回動自在に取り付けられている。
【0006】
指掛けリングA5に対する前記支軸回りの操作レバーA6の開閉動作は、軸部A3先端の一対のフィンガA2の開閉動作と連動するように構成されていて、操作レバーA6を指掛けリングA5に接近する方向に回動したときに、一対のフィンガA2は閉じて体組織を掴むようになっている。
【0007】
また、ハンドル部A4の前端側上部に設けられている回転ノブA7を指で回すことにより、軸部A3とともに、一対のフィンガA2の向きを前記軸部A3の中心軸線周りに回転させることができるようになっている。
【0008】
操作レバーA6とハンドル部A4の指掛けリングA5との間には、一対のフィンガA2を開く向きの動作を拘束するための、ラチェット機構A8が組み込まれており、前記ラチェット機構A8によって、操作レバーA6を操作して一対のフィンガA2で組織を掴んだ状態で、操作レバーA6から手を離しても、前記一対のフィンガA2が組織を掴んだ状態が保持されるようになっている。
【0009】
前記ラチェット機構A8は、操作レバーA6からその回動中心を中心とした円周方向に沿って指掛けリングA5側に突出するラチェットバーA9と、指掛けリングA5側に一端側が片持ち状態で固定支持された、弾性撓み変形可能な板バネ状のラチェットA10と、ラチェット解放レバーA11から構成されている。
【0010】
ラチェットA10の自由端側には、ラチェットバーA9に形成されている鋸歯状のラチェット歯Tと対向するように爪tが設けられていて、図5(A)に示すように、ラチェット解放レバーA11を支軸A12を中心に操作レバーA6側に倒している状態では、ラチェットA10は、ラチェット解放レバー11に形成されているカム面cによって上方に持ち上げられ、爪tがラチェットバーA9のラチェット歯Tに押し当てられている。
【0011】
この状態で操作レバーA6を図4に示す一対のフィンガA2が閉じる方向に回動すると、ラチェットA10は弾性的に撓んで爪tがラチェット歯Tを次々と乗り越え、所望の位置で操作レバーA6に加えていた力を緩めると、爪tはバネ性を有するラチェットA10の弾性復元力によってラチェット歯Tの一つと係合し、その位置からの操作レバーA6の逆行を阻止する。
【0012】
次に、一対のフィンガA2を開く場合には、図5(B)に示すように、ラチェット解放レバーA11を支軸A12を中心に操作レバーA6側と反対側に倒す。
【0013】
そうすると、操作レバーA6に形成されているカム面cは、ラチェットA10の下面から離れるので、爪tはラチェットA10の弾性復元力よってラチェットバーA9の歯面Tから離れ、操作レバーA6は一対のフィンガA2を開く方向の回動操作が可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような構成を有する従来のラチェット機構付鉗子においては、ラチェットの爪をラチェット歯から開放する動作を、板バネ状に形成されているラチェットの弾性復元力を利用して行っている。
【0015】
一方、体組織を掴んだ状態の一対のフィンガには、組織の側から常に開く方向の反力が作用しているため、鋸歯状のラチェット歯とラチェットの爪とは互いに強固に噛み込んでいる。
【0016】
その結果、ラチェット機構を解放するために、解放レバーを操作しただけでは、ラチェットの爪がラチェット歯から離れにくく、ラチェットのバネ性が弱まっていたり、一対のフィンガが組織を強固に掴んでいる場合では、一度操作レバーをフィンガが閉じる方向に回動させないと、ラチェット歯からラチェットの爪が外れないという問題があった。
【0017】
また、特に患者の体内に挿入されて体組織を掴んでいる一対のフィンガの部分は、鉗子を操作している外科医には直接見ることができないので、解放レバーを操作してフィンガを解放したつもりで鉗子を患者の体内から引き出そうとすると、実際にはまだ一対のフィンガが体組織を掴んだままなので、体組織を引きずって重大な損傷を与えてしまう恐れがあった。
【0018】
そこで、本発明は、前述したような従来技術における問題を解決し、ラチェット機構を確実に解放することができる、信頼性が高く操作性に優れたラチェット機構付鉗子を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のラチェット機構付鉗子は、前端に体組織を掴むための開閉自在な一対のフィンガが取り付けられた細長い軸部と、前記軸部の後端に連結され下方に向けて延びるハンドル部とを有し、前記ハンドル部に回動自在に軸支されている操作レバーの回動操作に連動して前記一対のフィンガが開閉動作し、前記操作レバーと前記ハンドル部に一対のフィンガの開方向の動きを阻止する構造のラチェット機構が設けられたラチェット機構付鉗子において、前記ラチェット機構は、ハンドル部内に軸により回動自在に軸支され、少なくとも前記軸から前記軸部に向けて突出するカムフォロワ部と、前記軸から前記操作レバー側に向けて突出し爪が設けられたレバー部とを有するラチェットと、前記操作レバーに設けられ、前記ラチェットのレバー部に向けて突出し前記爪と係合する鋸歯状に形成されたラチェット歯と、前記ハンドル部の前端で前記軸部に近接する位置で外部に露出して指による操作が可能な操作部と、前記操作部から後方に延設され前記ラチェットのカムフォロワ部に向けて突出し、前記カムフォロワ部と摺動接触するカム部とを有するラチェット解放スイッチとを備え、前記ラチェット解放スイッチは、前記ラチェットの回動を妨げないで前記爪と前記ラチェット歯との係合状態を維持する第1の位置と、前記カム部が前記ラチェットのカムフォロワ部を押圧して前記爪を前記ラチェット歯から強制的に離間させる第2の位置との間で変位自在にハンドル部に保持され、前記第1の位置と第2の位置の双方の位置で前記操作部と前記ハンドル部との間に指を挿入可能な間隔を有していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のラチェット機構付鉗子においては、前記ラチェット解放スイッチを前記第1の位置と前記第2の位置のそれぞれの位置で前記ハンドル部に弾性的に係合保持し、前記操作部の操作によって係合状態を強制的に解除可能な係合保持手段が設けられ、前記係合保持手段は、前記ハンドル部に設けられたハンドル部側係合部と、前記ラチェット解放スイッチ側に設けられ前記第1の位置と前記第2の位置で前記ハンドル部側係合部に係合するラチェット解放スイッチ側係合部とを備えていることが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のラチェット機構付鉗子は、従来のこの種の鉗子と同様に使用することができ、これを使用する外科医は、トロカーによってあらかじめ患者の胸部や腹部に開けた穴に挿し込んだカニューレ管から軸部を患者の体腔内へ挿入して使用する。
【0023】
カニューレ管に鉗子の軸部を挿入する際は、一対のフィンガーは一度閉じ、これらのフィンガが患者の体内に入っているカニューレ管の先端から突出して掴むべき体組織付近まで届いた位置で、外科医は操作レバーを回動させてフィンガーを開く。
【0024】
次いで、ラチェット解放スイッチをラチェットの回動を妨げない位置(第1の位置)へ切り換えてから操作レバーを操作して一対のフィンガを閉じ、体組織を掴む。
【0025】
この動作においては、ラチェットの爪は操作レバーに設けられた鋸歯状のラチェット歯の上を乗り越えながら移動し、操作レバーの手を離した位置で、ラチェットを付勢しているラチェットバネによって、ラチェット歯の一つと係合して、一対のフィンガは体組織を確実に掴んだ状態で保持される。
【0026】
次に、一対のフィンガを開いて掴んでいる組織を解放し、鉗子を患者の体外へ抜き出す場合には、外科医は先ずラチェット解放スイッチを解放位置(第2の位置)に切り換える。
【0027】
そうすると、ラチェット解放スイッチに設けられているカム部は、ラチェットのカムフォロワ部を押して、ラチェットバネの付勢力に抗してラチェットをその支軸回りに回動させ、爪をラチェット歯から強制的に離脱させる。
【0028】
その結果、操作レバーは自由に回動できるようになり、体組織を掴んでいたフィンガの把持力も消失する。ここで、外科医は一旦、フィンガを開いて体組織を離した後、再びフィンガを閉じることによって、カニューレ管を通して鉗子の軸部を患者の体外に抜き出すことができる。
【0029】
なお、ラチェット解放スイッチは、ハンドル部に対して直線的にスライド変位可能に設けてもよく、また、一つの支軸回りに回動変位可能に設けてもよい。
【0030】
何れの場合にも、ラチェット解放スイッチに設けられているカム部がラチェットのカムフォロワ部に干渉せずに、ラチェットを自由に回動させることができる第1の位置と、カム部がカムフォロワ部に当たって、ラチェットの爪をラチェット歯から離間した状態に保持する第2の位置との間でラチェット解放スイッチが変位可能な構成となっていればよい。
【0031】
なお、ラチェット解放スイッチは、前記第1の位置と第2の位置のそれぞれの位置で弾性的に係合保持され、一方の位置から他方の位置に変位させる場合には、操作部を指で押してそれぞれの位置での係合状態を強制的に解除可能な係合保持手段を設けておくことが望ましい。
【0032】
前記係合保持手段としては、例えばラチェット解放スイッチに、その変位方向と直角方向に弾性撓み変形可能な係止片を一体に形成し、前記係止片の自由端側に突出させた係合部をハンドル部側に形成した係合部に第1の位置側と第2の位置側の両側において係合可能として、一方の位置から他方の位置へラチェット解放スイッチを変位させる場合には、係止片が撓んでハンドル部側の係合部の上を係止片側の係合部が滑って通過する構成とすることができる。
【0033】
また、ラチェット解放スイッチ側には単に係合部を突出させて形成し、ハンドル部側に前記係止片と同様な弾性撓み変形可能な係止片を設けて、係合保持手段を構成してもよい。
【0034】
さらに、ラチェット解放スイッチのカム部や、ラチェットのカムフォロワ部の互いの接触面の何れか一方に他方が落ち込む浅い凹部を形成して、係合保持手段の機能を持たせるようにしてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の1実施例を示す、内視鏡手術において用いられるラチェット機構付鉗子の斜視図であって、ラチェット機構付鉗子(以下、単に鉗子という。)1は、指掛けリング2Aを有する樹脂製のハンドル部2と前記ハンドル部2の前端から前方に突出している金属製の細長い軸部3を有している。
【0036】
軸部3の前端には、一対のフィンガ4が開閉自在に軸着されているフィンガ支持部5が取り付けられていて、これら一対のフィンガ4は、バンドル部2の指掛けリング2Aの後方で回動自在に軸支されている操作レバー6を後方(図中a方向)に回動することにより開き、また、前方(図中b方向)に回動することにより閉じるようになっている。
【0037】
ハンドル部2の前端下部には、後述するラチェット解放スイッチ7が、ハンドル部2に対して略前後方向にスライド自在に設けられている。また、ハンドル部2のラチェット解放スイッチ7の上方には、フィンガ回転ノブ8が取り付けられている。
【0038】
前記フィンガ回転ノブ8は、これを手で回動することにより、軸部3の中心軸線回りに軸部3とフィンガ支持部5とが一体に回動し、一対のフィンガ4の向きを回転させて、様々な向きで体内の組織を掴むことができるようになっている。
【0039】
また、ハンドル部2の頂部には端子9が後方に突出して設けられている。この端子9は一対のフィンガ4と電気的に接続されていて、端子9に図示しない外部電源から通電することにより、これらのフィンガ4が掴んでいる体組織に電流を流し、止血等の処置を行えるようになっている。
【0040】
次に、図2は鉗子1のハンドル部2を分解した状態を示す斜視図であって、ハンドル部2は、指掛けリング2Aの大半を含む右側部分2Bと、残りの左側部分2Cを左右から合わせて構成されており、これらの2つの部分2B、2Cは、それぞれの内側の2カ所の対向位置に形成されているダボ穴10、11に、ダボピン12、13の両端の小径部分を圧入して一体に組み立てられるようになっている。
【0041】
これらのダボピン12、13の両端付近の小径の部分の外周面には、細かいセレーションが形成されてダボ穴10、11の内周面と強固に摩擦係合する構造になっており、ハンドル部2を構成している2つの部分2B、2Cどうしを、通常の使用状態では分離しないように強固に結合している。
【0042】
操作レバー6は、その軸孔6Aにハンドル部2の右側部分2B内側に突出している軸14が嵌挿されて、この軸14回りに回動自在に支持されており、また、軸部3内部を摺動自在に貫通するフィンガ開閉ロッド15の後端に取り付けられている連結ピボット16を回動自在に保持する円形切欠部6Bを有している。
【0043】
フィンガ開閉ロッド15は、前端側が一対のフィンガ4とリンク結合されていて、操作レバー6の軸14回りの回動動作をこれらのフィンガ4に伝達して開閉動作させる役割を有しているとともに、導電板17を介して後端付近が端子9と電気的に連結されており、端子9から一対のフィンガ4への通電導体としての役割を有している。
【0044】
一方、操作レバー6には、軸孔6Aと同心の円周上に鋸歯状に配列されたラチェット歯Tを有するラチェットバー6Cが一体に形成されている。
前記ラチェットバー6Cは、ハンドル部2内に収容され、ラチェット歯Tがラチェット18の爪tに対向するように配置されている。
【0045】
前記ラチェット18は、ハンドル部2の右側部分2B内側に軸14と平行して突出している軸19に回動自在に支持されていて、前記爪tを先端部分に有するレバー部18A、バネ受け部18B、及び、カムフォロワ部18Cが軸19を中心に3方へ放射状に突出した形状をしている。
【0046】
前記バネ受け部18Bとハンドル部2との間には、圧縮コイルバネからなるラチェットバネ20が弾装されていて、前記ラチェットバネ20は、ラチェット18に図3の軸19を中心とした時計回りのモーメントを付加して、爪tがラチェット歯Tに常時係合するように付勢している。
【0047】
また、ラチェット18のカムフォロワ部18C上面は、ラチェット解放スイッチ7に形成されているカム部7Aに対向して配置されている。ラチェット解放スイッチ7は指で操作するためのハンドル部2から露出している操作部7Bと、ハンドル部2の左右の部分2B、2Cの内側に互いに対向して形成されている案内溝Gに両側がスライド自在に係合するガイド部7Cを有している。
【0048】
図3(A)は、ラチェット18の爪tとラチェット歯Tとの係合状態を示しており、この状態においては、ラチェット解放スイッチ7は後退位置にあり、カム部7Aはラチェット18のカムフォロワ部18Cの後方に位置している。
【0049】
また、この状態では、ラチェット18はラチェットバネ20から軸19回りに時計方向のモーメントを受けており、爪tはラチェット歯Tに常時押しつけられていて、操作レバー6は、矢印aの向きには回動可能であるが、矢印bの向きの回動は阻止されている。
【0050】
この構造により、外科医がハンドル部2の指掛けリング2Aを把持して操作レバー6をa方向に操作し、一対のフィンガ4で体組織を掴むと、操作レバー6のb方向の回動がロックされて、フィンガ4の掴持状態を保持することができる。
【0051】
図3(A)に示すように、ラチェット解放スイッチ7が後退位置にあるときには、その後部上面に設けられている弾性変形可能な係止片7Dの自由端側に膨出して形成された係合部7Eがハンドル部2の右側部分2Bの内側に突出している係止ピン21に係合し、ラチェット解放スイッチ7は後退位置に保持されている。
【0052】
次に、一対のフィンガ4を解放する場合には、ラチェット解放スイッチ7の操作部7Bを指で前方に押すと、係止片7Dの自由端側は弾性変形して撓み、係合部7Eが係止ピン21を乗り越えて、ラチェット解放スイッチ7は、図3(B)に示す前進位置へ移動し、この位置に保持される。
【0053】
このとき、ラチェット解放スイッチ7に設けられているカム部7Aは、ラチェット18のカムフォロワ部18Cをラチェットバネ20の付勢力に抗して押し下げるので、ラチェット18は軸19を中心として反時計回りに回動する。
【0054】
その結果、ラチェット18の係止腕18A先端に設けられている爪tが操作レバー6のラチェット歯Tから離れ、操作レバー6はb方向の回動が可能になるので、一対のフィンガ4を開くことができる。
【0055】
なお、本実施例においては、ラチェット解放スイッチ7を図3(A)の後退位置と(B)の前進位置にそれぞれ保持するために、係止片7Dと係止ピン21を用いているが、これらの部材を省略し、代わりに、カム部7Aに図3(B)の位置でカム部7Aがラチェット18のカムフォロワ部18Cを押し下げたときに、カムフォロワ部18Cが嵌入する浅い凹部をカム部7Aに形成して、ラチェット18の解放位置が保持されるようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれは、ラチェット解放スイッチをラチェット解放位置に変位することによって、ラチェット解放スイッチに設けられたカム部がラチェットのカムフォロワ部を押してラチェットの爪を確実に操作レバーのラチェット歯から離脱させることができるため、従来の板バネ状のラチェットを用いた鉗子のように一度操作レバーをフィンガが閉じる方向に回動させないとラチェット歯からラチェットの爪が外れないというようなことがなく、操作性を向上させることができる。
【0057】
また、従来のラチェットの弾性を利用してラチェット歯からの爪の離脱動作を行っている構造の従来のラチェット機構付の鉗子と比較して、ラチェット歯からのラチェットの爪の離脱を確実におこなうことができるため、ラチェットの爪の離脱不良のためにフィンガが開かない状態で、誤って鉗子を引き戻すことにより体組織に損傷を与えるような事故を防止することができる。
【0058】
また、板バネ状のラチェットを用いずに独立したラチェットバネを用いてラチェットの爪をラチェット歯に押し付ける構造であるので、フィンガが組織を掴んだ状態を確実に維持することができ、爪とラチェット歯の係合不良によって手術中にフィンガが開いてしまう恐れもない。
【0059】
また、請求項2記載の発明によれば、係合保持手段を備えたことにより、ラチェット解放レバーがラチェットに作用するラチェットバネの付勢力や振動等で解放位置から動いてしまう恐れがなく、信頼性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のラチェット機構付鉗子の1実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1におけるラチェット機構付鉗子の内部構造を示す分解斜視図である。
【図3】 ラチェット機構の動作を示す図であり、(A)はラチェット係合状態、(B)はラチェット解放状態をそれぞれ示す。
【図4】 従来のラチェット機構付鉗子の一例を示す斜視図である。
【図5】 従来のラチェット機構付鉗子におけるラチェット機構の動作を示す図であり、(A)はラチェット係合状態、(B)はラチェット解放状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 ラチェット機構付鉗子、 2 ハンドル部、 2A 指掛けリング、2B 右側部分、 2C 左側部分、 3 軸部、 4 フィンガ、5 フィンガ支持部、 6 操作レバー、 6A 軸孔、6B 円形切欠部、 6C ラチェットバー、7 ラチェット解放スイッチ、 7A カム部、 7B 操作部、7C ガイド部、 7D 係止片、7E 係合部、 8 回転ノブ、9 端子、 10、11 ダボ穴、 12、13 ダボピン、14 軸 、 15 フィンガ開閉ロッド、 16 連結ピボット、17 導電板、 18 ラチェット、 18A レバー部、18B バネ受け部、 18C カムフォロワ部、 19 軸、20 ラチェットバネ、 21 係止ピン。
Claims (2)
- 前端に体組織を掴むための開閉自在な一対のフィンガが取り付けられた細長い軸部と、前記軸部の後端に連結され下方に向けて延びるハンドル部とを有し、前記ハンドル部に回動自在に軸支されている操作レバーの回動操作に連動して前記一対のフィンガが開閉動作し、前記操作レバーと前記ハンドル部に一対のフィンガの開方向の動きを阻止する構造のラチェット機構が設けられたラチェット機構付鉗子において、
前記ラチェット機構は、ハンドル部内に軸により回動自在に軸支され、少なくとも前記軸から前記軸部に向けて突出するカムフォロワ部と、前記軸から前記操作レバー側に向けて突出し爪が設けられたレバー部とを有するラチェットと、
前記操作レバーに設けられ、前記ラチェットのレバー部に向けて突出し前記爪と係合する鋸歯状に形成されたラチェット歯と、
前記ハンドル部の前端で前記軸部に近接する位置で外部に露出して指による操作が可能な操作部と、前記操作部から後方に延設され前記ラチェットのカムフォロワ部に向けて突出し、前記カムフォロワ部と摺動接触するカム部とを有するラチェット解放スイッチとを備え、
前記ラチェット解放スイッチは、前記ラチェットの回動を妨げないで前記爪と前記ラチェット歯との係合状態を維持する第1の位置と、前記カム部が前記ラチェットのカムフォロワ部を押圧して前記爪を前記ラチェット歯から強制的に離間させる第2の位置との間で変位自在にハンドル部に保持され、前記第1の位置と第2の位置の双方の位置で前記操作部と前記ハンドル部との間に指を挿入可能な間隔を有していることを特徴とするラチェット機構付鉗子。 - 前記ラチェット解放スイッチを前記第1の位置と前記第2の位置のそれぞれの位置で前記ハンドル部に弾性的に係合保持し、前記操作部の操作によって係合状態を強制的に解除可能な係合保持手段が設けられ、
前記係合保持手段は、前記ハンドル部に設けられたハンドル部側係合部と、前記ラチェット解放スイッチ側に設けられ前記第1の位置と前記第2の位置で前記ハンドル部側係合部に係合するラチェット解放スイッチ側係合部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のラチェット機構付鉗子。
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