JP3924813B2

JP3924813B2 - 複合容器

Info

Publication number: JP3924813B2
Application number: JP23389296A
Authority: JP
Inventors: 淳佐田
Original assignee: Toppan Inc
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 1996-09-04
Filing date: 1996-09-04
Publication date: 2007-06-06
Anticipated expiration: 2016-09-04
Also published as: JPH1077068A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体内容物を収容するための、紙を主体とした外側容器と、その外側容器の内部に収納されたプラスチック製の内側容器とから成る複合容器に関するものであり、詳しくは金型に装填された前記外側容器内にてブロー成形された内側容器において、その成形時における収縮によって外側容器に発生する不均一な波状の凹凸（波うち）現象のない複合容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から各種飲料や調味料や液体洗剤等を収納する容器としてはポリプロピレン（ＰＰ）製やポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）製やポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）製等のプラスチック容器が広く用いられている。
【０００３】
しかし、近年、廃棄物の増加が大きな社会問題となり、延いては資源保護の問題や省エネルギー・省資源問題とともに地球環境問題となっている中、超薄肉のプラスチック製内側容器とそれを補強するための紙製の外側容器とを組み合わせて複合容器とすることにより、石油資源の節減が図られ、また、廃棄時に容易に潰すこと（廃棄物の減容化）ができ廃棄物の運搬等にも配慮された環境調和型（エコロジカル）の容器として、しかも紙とプラスチックの分別廃棄を可能にし、ぞれぞれのリサイクル化が図られる様にした環境調和型の複合容器が種々提案されている（特願平６−２１２５３７号等）。
【０００４】
その複合容器の製造方法の一つとして、図５（ｂ）、（ｃ）に示す様な板紙（７）の予め上下フラップ（７ａ）、（７ｂ）の内面に接着剤（２２）、（２４）の塗布された紙を主体として構成された外側容器（１２）をブロー金型内に載置し，その中に成形温度に加熱されたプリフォームを導入し，ブロー成形することによって、紙を主体とする外側容器（１２）と一体で且つ無継目にブロー成形により成形されたプラスチック製の内側容器（１０）とを組み合わせた複合容器とする方法がある。
【０００５】
しかし，この容器の場合、内側容器（１０）のブロー成形時、即ち加熱されていたプリフォームにて成形された内側容器（１０）が冷えるとともに収縮が起こり、外側容器（１２）の側壁面に不均一な波うち現象（１Ａ）が発生する問題が起こる。即ち外側容器（１２）が不規則に変形するため、商品としての外観上の品質が低下するという問題が起こる。
ただし、外側容器（１２）となる厚紙を厚く（コートボール紙の場合で３１０ｇ／ｍ²以上）すれば、波うち現象（１Ａ）は軽減されるが、比較的小型の容器においては、経済性や資源の節減等から、コートボール紙の場合で３１０ｇ／ｍ²未満が望ましいため、不均一な波うち現象（１Ａ）の発生という問題が避けられない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、金型内に装填された紙を主体とする筒状の外側容器内にてブロー成形を行うことにより，プラスチック製の内側容器を前記外側容器と一体的に結合させた複合容器において，前記外側容器内にてブロー成形された内側容器の成形時における収縮によって、外側容器に不均一な波状の凹凸（波うち、しわ）現象の発生しない複合容器の提供にある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、請求項１記載の発明では、金型に装填された紙を主体とする上部にフラップ部を設けた筒状の外側容器内にてブロー成形を行うことにより，プラスチック製の内側容器を前記外側容器と一体的に結合させた複合容器において，前記外側容器の上部フラップ部が塗布された接着剤で内側容器と接着され、前記外側容器の下部に、該外側容器の内側に折り込みフラップを折り返した折り込み部を設け、前記内側容器の底部に各角をカットした底部角カット部を設け、前記折り込み部が、前記底部角カット部に接するように設けられていることを特徴とする複合容器としたものである。
【０００８】
請求項２の発明では、前記接着剤は前記内側容器の成形温度で接着性を発現するホットメルトタイプであることを特徴とする請求項１記載の複合容器としたものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明する。
本発明の複合容器（１）は、図１に示すように、金型内に装填された紙を主体とする筒状の外側容器（１２）内にてブロー成形を行うことにより，プラスチック製の内側容器（１０）を前記外側容器（１２）と一体的に結合させた複合容器（１）において，前記内側容器と外側容器の上部フラップ部（７ａ）のみが接着剤（２２）により接着されていることを特徴とする複合容器であって、図２に示す外側容器（１２）の不均一な波うち現象（１Ａ）を防止したものである。
【００１０】
以下，本発明の複合容器を図面に基づいて詳細に説明する。図１は本発明の実施例の複合容器（１）を示すもので、（ａ）はその斜視図、（ｂ）は側断面図、（ｃ）は外側容器（１２）の展開図を示す。この複合容器（１）は，紙を主体とする矩形断面の筒状の外側容器（１２）と，外側容器（１２）に収容されたプラスチック製の内側容器（１０）とにより構成されている。内側容器（１０）は，予め射出成形等で成形されたプリフォーム（３０）をブロー成形することにより胴部と注ぎ口が一体に成形されている。外側容器（１２）と内側容器（１０）との上部フラップ（７ａ）は上部フラップ接着剤（２２）で接着されていて、胴部側壁面は接着されていない。
複合容器（１）の形状は、ここでは矩形断面の角筒状に形成されているが，円筒断面でもその他の形状でも良い。
【００１１】
内側容器（１０）の材料としては，ポリエチレンテレフタレート樹脂，ポリプロピレン樹脂，高ニトリル樹脂，ポリスチレン樹脂，ポリ塩化ビニル樹脂，ポリカーボネート樹脂，ポリアミド系樹脂，エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂等を用いることができ，それらの単層でも多層構造としてもよい。
【００１２】
この複合容器（１）に用いる接着剤としては，内容物の充填温度では軟化せず，内側容器（１０）の成形温度で接着性の発現するホットメルトタイプの接着剤が望ましい。ホットメルト接着剤としては，エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ），エチレンアクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ），及びオレフィンを主成分とするものなどを用いることができる。
【００１３】
この複合容器（１）の製造方法の一例としては，図１（ａ）（ｂ）（ｃ）に示すように板紙（７）の片面にホットメルト接着剤を上部フラップ接着剤（２２）として、約３０°Ｃに加温されたグラビアシリンダーにてパターン状に塗布する。このホットメルト接着剤は，外側容器（１２）を形成する板紙（７）の上部フラップ（７ａ）の部位のみ塗布し，胴部側壁面にはホットメルト接着剤を塗布しない。ホットメルト接着剤の塗工後は，板紙（７）に罫線付け並びに打ち抜き加工を行い，その後糊しろ（７ｃ）等でサック貼りをして内面に接着剤の塗布された筒状の外側容器（１２）を製造する。
【００１４】
板紙（７）製の外側容器（１２）を製造する一方で射出成形等によりプラスチック製のプリフォーム（３０）を成形する。このプリフォームはあらかじめ多数生産しておかれるものである。外側容器（１２）を複合容器（１）形成用のブロー金型内にセットし，予め約８０°Ｃの成形温度まで加熱されたプリフォームをその中に導入し，ブロー成形を行うことで、上記各ホットメルト接着剤が一旦溶融して内側容器（１０）と外側容器（１２）が接合し、この複合容器（１）が製造される。
【００１５】
この複合容器（１）は，外側容器（１２）と内側容器（１０）との間の領域全体ではなく上部フラップ（７ａ）部位のみパターン状の接着剤が介在することにある。従って，内側容器（１０）がブロー成形後冷却されるにつれて，収縮するが、内側容器（１０）と外側容器（１２）の胴部側壁面がフリーになっているため、図３に示すような不均一な波うち現象（１Ａ）のない、外観上商品価値を損なわない複合容器（１）となる。
【００１６】
図１（ｃ）に外側容器（１２）の展開図が示されている。接着剤として、上部フラップ接着剤（２２）としてパターン状としたものである。
【００１７】
また図２に上記本発明の複合容器（１）の他の発明（請求項２）である実施の形態を示したもので、（ａ）は斜視図、（ｂ）は側断面図、（ｃ）は外側容器（１２）の展開図である。即ち上記複合容器（１）の外側容器（１２）の形態を異にしたもので、下部に該外側容器（１２）の内側に折り込みフラップ（７ｇ）を内側に折り返した折り込み部を設けることによって、複合容器（１）の圧縮強度及び図１に示す外側容器（１２）の板紙端面（７ｄ）の耐水性を向上させた複合容器としたものであり、且つ所望の効果、即ち不均一な波うち現象（１Ａ）のない、商品価値の損なわない複合容器が得られるものである。
【００１８】
また上記接着剤による内側容器（１０）と外側容器（１２）の接着で、複合容器（１）の物理的強度、例えば落下試験による耐衝撃強度や座屈強度を満足するものであり、且つ、使用後において内側容器（１０）と外側容器（１２）を意識的な剥離（プラスチックから成る内側容器（１０）面での層間剥離）分別を容易にし、リサイクルも可能とするものである。さらに、外側容器（１２）の胴部側壁面のジッパー切り込み線（ｆ）によるジッパー（５２）を付加することによって、剥離分別をさらに容易にすることができる。
【００１９】
また図３に前記請求項１の発明を示したもので、（ａ）はその平面図、（ｂ）は複合容器の底部の側断面図である。即ち底部の各角をカットした底部角カット部（５０）を備えた内側容器（１０）に、前記折り込みフラップを備えた外側容器（図２（ｃ））を適用したものである。これは、底部角カット部（５０）を備えた内側容器（１０）の底部の強度が向上し、成形機構も容易となるものである。
【００２０】
更にまた図４に前記請求項１の発明のバリエーションとして、複合容器の底部の側断面図を示したものである。即ち図２（ｃ）に示す外側容器（１２）の矩形状側壁面の縦寸法を略折り込みフラップ分短くした外側容器としたものである。これは折り込み底部板紙端面（７ｅ）の耐水性を更に向上させたものである。
【００２１】
ここで外側容器（１２）と内側容器（１０）の厚さ及びその比率について具体的に説明する。
まず外側容器（１２）の材料である厚紙の厚さは、内側容器（１０）の材料であるプラスチックの厚さの２．５倍以上、好ましくは２．５乃至５倍がよいと言われている。これは、外側容器（１２）の厚みが内側容器（１０）の厚みの２．５倍以下である場合、例えば内側容器（１０）が厚すぎる場合には、内側容器（１０）の剛性が大きく、廃棄時、潰す等による減容化が困難となり、外側容器（１２）の厚みが内側容器（１０）の厚みの５倍を越える場合、すなわち、内側容器（１０）が薄すぎる場合には、容器の機械的強度が得られないためである。
【００２２】
次に外側容器（１２）及び内側容器（１０）の適正厚さは、ボトル内容量により決まるが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂の内側容器（１０）の場合の肉厚で、内容量１０００ｍｌで約０．１７ｍｍ、２０００ｍｌで約０．２５ｍｍとすることが目的の薄肉化と各種物理的強度も達成できる値である。
なおポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）ボトルの一般的な肉厚は、内容量１０００ｍｌで約０．７ｍｍ、２０００ｍｌで約１．０ｍｍであることから、本発明に係わる複合容器（１）は樹脂量の少ない省資源型容器であることが伺える。
【００２３】
【実施例】
次に本発明を実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
＜実施例１＞
まず板紙マニラボール紙２７０ｇ／ｍ²、厚さ０．６ｍｍに、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）系ホットメルト接着剤を約３０°Ｃに加温されたグラビアシリンダーにて、図１（ｃ）に示すパターン状に塗布した。即ち上部フラップに則したパターン状に塗布した。その塗布厚は約１．２ｇ／ｍ²とした。
【００２４】
次に、接着剤が塗布された上記板紙に図１（ｃ）に示す展開図に従った打ち抜き刃と折り目罫をもった打ち抜き機にて、折り目罫線（ｄ）付け並びに打ち抜き加工を行い，その後糊しろ（７ｃ）等でサック貼りをして内面に接着剤の塗布された筒状の外側容器（１２）を製造し、ブロー成形機の金型内に載置した。
【００２５】
次いで、予めポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて射出成形により成形したプリフォームを赤外線ヒーターで約８０°Ｃに加熱し、前記筒状の外側容器（１２）内に挿入し、二軸延伸ブロー成形を行い、図１（ａ）に示す内側容器（１０）の胴部側壁面平均肉厚０．１７ｍｍ、内容量１０００ｍｌの複合容器（１）を作製した。
【００２６】
この複合容器（１）は、胴部側壁面には不均一な波うち（しわ）もなく、商品価値のあるものであった。
また内側容器（１０）と外側容器（１２）は、使用後容易に剥離分別ができ、また、内側容器（１０）は容易に押し潰し減容化することができた。
更に落下試験や座屈試験結果も問題のない複合容器であった。
【００２７】
＜実施例２＞
実施例１と同様の板紙マニラボール紙２７０ｇ／ｍ²、厚さ０．６ｍｍに、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）系ホットメルト接着剤を約３０°Ｃに加温されたグラビアシリンダーにて、図２（ｃ）に示すパターン状に塗布した。即ち上部フラップに則したパターン状に塗布した。その塗布厚は約１．２ｇ／ｍ²とした。
【００２８】
次に、接着剤が塗布された上記板紙に図２（ｃ）に示す展開図に従った折り込みフラップ（７ｇ）を備えた打ち抜き型と折り目罫をもった打ち抜き機にて、折り目罫線（ｄ）付け並びに打ち抜き加工を行い，その後糊しろ（７ｃ）等でサック貼りをして内面に接着剤の塗布された筒状の外側容器（１２）を製造し、図２（ｂ）に示すように折り込みフラップを内側に折り返し、折り込み部を形成した形でブロー成形機の金型内に載置した。
【００２９】
以下実施例１と同様の操作で、図２（ａ）に示すような内容量１０００ｍｌの複合容器（１）を作製した。
【００３０】
この複合容器（１）は、胴部側壁面には不均一な波うち（しわ）もなく、商品価値のあるものであった。
また実施例１で得られた複合容器（１）に比べ、圧縮強度及び外側容器（１２）の底部板紙端面（７ｅ）の耐水性の向上がみられるものであった。
また内側容器（１０）と外側容器（１２）は、使用後容易に剥離分別ができ、さらに、外側容器（１２）の胴部側壁面のジッパー切り込み線（ｆ）によるジッパー（５２）の付加で、剥離分離がさらに容易なものであった。且つ、内側容器（１０）は容易に押し潰し減容化することができた。
更に落下試験や座屈試験結果も問題のない複合容器であった。
【００３１】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、金型内に装填された紙を主体とする筒状の外側容器内にてブロー成形を行うことにより，プラスチック製の内側容器を前記外側容器と一体的に結合させた複合容器において、外側容器の上部フラップ部が塗布された接着剤で内側容器と接着されていることにより、内側容器のブロー成形時の収縮にもかかわらず、外側容器の胴部側壁面に不均一な波うち（しわ）がなく商品価値のある複合容器を提供する効果がある。
また前記外側容器の下部に折り目フラップを設け、外側容器の内側に折り返した折り込み部を設け、前記内側容器の底部に各角をカットした底部角カット部を設け、前記折り込み部が、前記底部角カット部に接するように設けられていることにより、前記複合容器よりも圧縮強度及び外側容器の底部板紙端面の耐水性の向上と、内側容器の底部の強度の向上が見られる複合容器を提供する効果がある。
なお本来の目的であるところの紙製の外側容器とプラスチック製の内側容器を組み合わせることにより、プラスチック製の内側容器の薄肉化とそれによる石油資源の節減が図られ、また、廃棄時に容易に潰すこと（廃棄物の減容化）ができ廃棄物の運搬等にも配慮された環境調和型（エコロジカル）の複合容器を提供する効果があることは言うまでもない。しかも、外側容器と内側容器とを無接着若しくはそれにより近い状態とすることにより、紙とプラスチックの容易なる分別廃棄が可能になり、それぞれのリサイクル化を容易にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す斜視図である。
（ｂ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す側断面図である。
（ｃ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す外側容器の展開図である。
【図２】（ａ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す斜視図である。
（ｂ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す側断面図である。
（ｃ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す外側容器の展開図である。
【図３】（ａ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す平面図である。
（ｂ）は本発明の請求項１における実施の形態を示す側断面図である。
【図４】本発明の請求項１における他の実施の形態を示す側断面図である。
【図５】（ａ）は従来例を斜視図で表した説明図である。
（ｂ）は従来例を側断面図で表した説明図である。
（ｃ）は従来例の形態を示す外側容器の展開図である。

Claims

金型に装填された紙を主体とする上部にフラップ部を設けた筒状の外側容器内にてブロー成形を行うことにより，プラスチック製の内側容器を前記外側容器と一体的に結合させた複合容器において，前記外側容器の上部フラップ部が塗布された接着剤で内側容器と接着され、前記外側容器の下部に、該外側容器の内側に折り込みフラップを折り返した折り込み部を設け、前記内側容器の底部に各角をカットした底部角カット部を設け、前記折り込み部が、前記底部角カット部に接するように設けられていることを特徴とする複合容器。
前記接着剤は前記内側容器の成形温度で接着性を発現するホットメルトタイプであることを特徴とする請求項１記載の複合容器。