JP3923356B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラック軸と斜交して配置されるモータ装置を備えて構成される電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両において、パワーステアリング装置は、ステアリングホイールを軽く操作するために開発され、その機能を達成すべく各種の改良がなされてきた。そのひとつがモータで駆動する電動パワーステアリング装置となって提供されている。電動パワーステアリング装置は、コンパクト化や製造コスト低減化により、廉価でコンパクトな装置としてさらに改良されている。近年、パワーステアリング装置が標準装備として車両に装着されるようになると、快適さが求められ、例えば、電動パワーステアリング装置から発生する異音の防止対策が検討されるようになってきた。特にモータでアシストされる電動パワーステアリング装置では、モータ軸とラック軸とが歯車で連結されて、モータの駆動をラック軸に伝達するように構成されている。
【0003】
従来、電動パワーステアリング装置の一例は、例えば、特開平8−207796号が知られている。この公報に示されているように、電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイールにラック・ピニオン機構で連結されたラック軸に対してモータが斜交するように配置されている。モータによる回転出力を、ラック軸の周りを囲むように配置されたボールナットに回転伝達することによって、ボールナットを、軸心を中心に回転させ、ボールナットを回転することによってラック軸を軸方向に移動するように構成されている。
【0004】
モータの軸には駆動傘歯車が装着され、ボールナットには従動傘歯車が連結されて、お互いに歯合することによって、モータの回転出力をボールナットに伝達している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般に、歯車の歯合状態は、歯車どうしを回転するためにバックラッシュを形成して歯合されることから、歯合された歯車が回転する際に、バックラッシュが大きいと歯打ち音を発生する。この歯打ち音を防止するために、組付時にバックラッシュをできるだけ小さくするように行なわれるものの、熱変形や歯面誤差を考慮して歯車機構そのものに適度なバックラッシュの形成を必要とするため、組付工程では歯打ち音を皆無にすることは極めて困難である。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、歯打ち音を防止できるように構成した電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、
ステアリングホイールにラック・ピニオン機構を介して連結され、前記ステアリングホイールを回動することによってラック軸を軸方向に移動するとともに、前記ラック軸に歯車機構を介して連結されるモータ装置とを備えて構成される電動パワーステアリング装置であって、
前記歯車機構は、前記モータ装置におけるモータ軸側に装着される第1の傘歯車とラック軸側に装着される第2の傘歯車とを備えて相互に歯合可能に構成され、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車の一方には、回動によって第1と第2の傘歯車の間に、軸方向に縮小する伸縮可能な円環状に形成されるとともにそれぞれ対向する外周面から切り込まれた溝部が複数交互に並設して形成された可撓性部材からなるバックラッシュ形成手段を設け、前記可撓性部材が、一端を前記第2の傘歯車に固着するとともに他端を前記ラック軸上に配置されて前記ラック軸とともに軸方向に移動可能なボールナット側に固着して構成されることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、ステアリングホイールにラック・ピニオン機構を介して連結され、前記ステアリングホイールを回動することによってラック軸を軸方向に移動するとともに、前記ラック軸に歯車機構を介して連結されるモータ装置とを備えて構成される電動パワーステアリング装置であって、
前記歯車機構は、前記モータ装置におけるモータ軸側に装着される第1の傘歯車とラック軸側に装着される第2の傘歯車とを備えて相互に歯合可能に構成され、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車の一方には、回動によって第1と第2の傘歯車の間に、軸方向に縮小する伸縮可能な円環状に形成されるとともにそれぞれ対向する外周面から切り込まれた溝部が複数交互に並設して形成された可撓性部材からなるバックラッシュ形成手段を設け、前記可撓性部材が、一端を前記第1の傘歯車に固着するとともに他端を前記モータ軸に固着して構成されることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、ステアリングホイールの回動によってモータが作動して駆動軸を回転させると、モータの回転出力は、第1の傘歯車から第2の傘歯車に伝達されて、第2の傘歯車を一方の方向に回転させる。この際、第1の傘歯車と第2の傘歯車とは、バックラッシュ形成手段によってバックラッシュが形成される。つまり、第1の傘歯車と第2の傘歯車とが回動することによって、バックラッシュを形成することができることから、組付時においては、第1の傘歯車と第2の傘歯車とを、極めて小さいバックラッシュを形成するように組み付けておくことができる。バックラッシュを小さく組みつけておくことによって、傘歯車が回転し始める際に、駆動側の第1の傘歯車の歯部が従動側の第2の傘歯車の歯部に衝突する衝撃を小さくするとともに歯打ち音を極めて小さくできることとなる。
【0012】
具体的には、本発明によれば、軸方向に伸縮可能な可撓性部材をラック軸側に装着する。可撓性部材の一端を第2の傘歯車に固着して、他端をボールナット側に固着すれば、バックラッシュが小さく形成された第2の傘歯車が第1の傘歯車によって回転し始めると、可撓性部材は、第2の傘歯車の回転により回転すると同時に軸方向に縮小される。可撓性部材が縮小されることによって第2の傘歯車自体を可撓性部材の縮小方向に移動させることから、第2の傘歯車は第1の傘歯車に対して第2の傘歯車の軸方向に沿って、つまり交点から離隔する方向に向かって移動することとなる。従って、斜交して歯合されている2つの歯面の間には隙間を大きくすることとなって、バックラッシュが形成されることとなる。
【0013】
この作用は、バックラッシュの極めて小さい状態で、第1の傘歯車が第2の傘歯車を押圧して第2の傘歯車を回転させると同時に瞬時に行なわれることになることから、歯打ち音を発生させずに両傘歯車の回転をスムーズに行なうことができる。そして、その後、ボールナットを回転させることとなって、ラック軸を軸方向に移動させる。
【0014】
また、本発明では、上記の可撓性部材を、第1の傘歯車とモータの軸部との間に配置する。これによって、第1の傘歯車の回転と同時に、可撓性部材を縮小させ、歯合されている第1の傘歯車の歯部を第2の傘歯車の歯部に対して、モータ側に向かって移動させる。従って上述と同様に、バックラッシュを形成させることから、上述と同様な効果を達成することができる。
【0015】
そして、本発明では、可撓性部材を、上記のように交互に配置する切りこみ溝を並設して構成していることから、傘歯車の回転と同時に可撓性部材を縮小させることができる。従って、この可撓性部材を、ラック軸側における第2の傘歯車とボールナットとの間、あるいは、モータ装置側における第1の傘歯車とモータ軸との間に装着することによって、バックラッシュ形成手段を構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
実施形態による電動パワーステアリング装置(以下、パワーステ装置という。)1は、図1に示すように、図示しないステアリングホイールに接続するステアリング歯車機構部3と、ステアリング歯車機構部3のピニオン4と係合可能なラック部を有するラック軸5と、モータ12及び傘歯車機構を備えて構成するパワーアシスト部10と、ラック軸5の両端部と前輪との間に設けられる連結機構部7、7とを備えている。
【0018】
ステアリング歯車機構部3は、公知のように、ステアリングホイール側に延設するステアリング軸3aの一端に装着されたピニオン4が、ラック軸5とそれぞれの歯部で係合され、ピニオン4が回転することによってラック軸5が軸線上に沿って移動可能に構成されている。
【0019】
連結機構部7・7は、公知のように、ボールジョイント部7a・7aを備えて、軸線上に沿って移動されたラック軸5に対応して作動される各連結軸部7b・7bが、図示しない前輪を操舵するように構成されている。
【0020】
パワーアシスト部10は、第1の実施形態では、図2に示すように、ラック軸5の軸方向への移動に動力を付与する駆動側のモータ装置11と、モータ装置11からの出力を受けてラック軸5の移動に動力を付与する従動側のラック装置21とから構成されている。
【0021】
モータ装置11は、モータ12と、モータ12の駆動軸13に連結されるとともに、ギヤハウジング20に嵌装されたケース16に軸受15を介して回動可能に支持された伝達軸14と、伝達軸14と一体的に形成されるかあるいは伝達軸14に嵌合固着された駆動傘歯車17とを備え、モータ17の回転出力を駆動傘歯車17に伝達する。
【0022】
ラック装置21は、ラック軸5と、ラック軸5の雄ねじ部5aにボールを介して係合するボールナット部22aを後部(図2中、右端部)に固着したナット装着スリーブ22と、ナット装着スリーブ22の前部に外嵌され駆動傘歯車17に歯合する従動傘歯車23と、従動傘歯車23の軸部外周面とナット装着スリーブ22の外周面に外嵌して、従動傘歯車23に一端をナット装着スリーブ22に他端を固着されたバックラッシュ形成手段としての可撓性部材24とを備えて構成されている。
【0023】
ナット装着スリーブ22は、段つき円筒状に形成され、モータ装置11とラック装置21とを装着したギヤハウジング20によって軸受29を介して回動可能に支持されている。そして、前端部外周面に従動傘歯車23が嵌合され、後端部内周面に雌ねじを形成するとともにラック軸5の雌ねじ部5aとの間にボールを介在することによってボールねじを構成している。
【0024】
従動傘歯車23は、ナット装着スリーブ22の前部(図2中、左端部)に外嵌され、ナット装着スリーブ22と円周方向かつ軸方向に摺動可能に配置されている。駆動傘歯車17から伝達された回転出力が従動傘歯車23に伝達されると、その回転出力は可撓性部材24を介してナット装着スリーブ22に伝達され、ナット装着スリーブ22がラック軸5に対して回転されることとなる。そして、ナット装着スリーブ22の回転によりボールナット部22aとねじ係合するラック軸5が、軸方向に移動することとなる。
【0025】
駆動傘歯車17と、従動傘歯車23とは、所定の角度(図例では、約30°)で斜交して歯合され、バックラッシュは、組付時において駆動傘歯車17と従動傘歯車23とが噛み合っている状態で回転できる程度の最低限の隙間(ほぼ0か、あるいは極小の状態)で組み付けられている。
【0026】
可撓性部材24は、図3〜4に示すように、金属製の円環部材からなり、両端の内周面に被嵌合体(実施形態では、前端に従動傘歯車23、後端にナット装着スリーブ22)に嵌合する内嵌面25・25を有するとともに、中央部内周面は、内嵌面25より小径に形成されるとともにナット装着スリーブ22と遊嵌状態にあり、中央部外周面には、外周面における対向する部位から所定量の深さで切り込まれた溝27がそれぞれに形成されている。この溝27は、可撓性部材24の軸方向に沿って交互に並設するように形成され、切り込まれた反対側にはそれぞれ肉部28が形成されることとなる。これによって、可撓性部材24は、ばね性を備えた弾性体として形成され、一方を固定して他方を回転させると、全体長さが軸方向に縮小し、回転が戻されると、ばね性の弾性力によって元の位置に復帰するように作用される。なお、溝27の切り込み深さは、残された肉部の強度によって設定されるものであるから、材料は、強度の高い金属性の材料であることが望ましい。
【0027】
そして、この可撓性部材24の一端を従動傘歯車23にピン26aにより外嵌固着し、他端をナット装着スリーブ22にピン26bにより外嵌固着することによって、従動傘歯車23の回転出力は、可撓性部材24の前端部から後端部に伝達され、さらに可撓性部材24の後端部からナット装着スリーブ22に伝達されることとなる。
【0028】
この際、つまり従動傘歯車23が回転し始める際に、ナット装着スリーブ22が回転するまでの間に、駆動傘歯車17と従動傘歯車23との極小のバックラッシュにより、従動傘歯車23に負荷を掛けることによって可撓性部材24にねじれ力を作用させる。このねじれ力によって、可撓性部材24における従動傘歯車23に固着された前端部がナット装着スリーブ22に対してわずかに摺動し、ナット装着スリーブ22に固着された後端部に対してわずかに回転することとなって、可撓性部材24がねじれることとなって可撓性部材24を軸方向に縮小させる。
【0029】
この可撓性部材24の軸方向に対する縮小が、従動傘歯車23を後方に移動させることとなって、斜交して歯合されている駆動傘歯車17と従動傘歯車23とのそれぞれの歯部との間でわずかな隙間を形成することになり、バックラッシュを形成することができる。従って、組付時に、極小の隙間で組み付けられていた駆動傘歯車17と従動傘歯車23との噛み合いは、適度なバックラッシュを形成することによって、スムーズな回転作用を行なうことになる。
【0030】
なお、かかるバックラッシュは、可撓性部材24が、回転方向でばね性を有するので、車両のタイヤ側からのキックバック等による逆入力やハンドル切り返し時にも形成され、歯打ちによる衝撃を緩和できる。
【0031】
次に、第2の実施形態によるパワーアシスト部30の構成について説明する。
【0032】
第2の実施形態によるパワーアシスト部30は、バックラッシュを形成する可撓性部材24を、モータ装置側に装着するものであり、第1の実施形態と同様に使用する部位については同一符号を付記するものとする。
【0033】
図5に示すように、ラック軸5の軸方向への移動に動力を付与する駆動側のモータ装置31と、モータ装置31からの出力を受けてラック軸5の移動に動力を付与する従動側のラック装置41とから構成されている。
【0034】
モータ装置31は、モータ12と、モータ12の駆動軸13に連結されるとともにギヤハウジング50に軸受35を介して回動可能に支持された伝達軸34と、伝達軸34に一端を駆動傘歯車37に他端を固着されたバックラッシュ形成手段としての可撓性部材24とを備え、モータ12の回転出力を駆動傘歯車37に伝達する。
【0035】
なお、モータ軸とは、モータ12の駆動軸13又は伝達軸34を含めるものである。
【0036】
伝達軸34は、先端が駆動傘歯車37を貫通するとともに、後端がモータ12の駆動軸13に連結される連結部34aを有し、連結部34aの先方に軸受35で支持される支持部34bを形成して、さらに先方には可撓性部材24の一端を嵌合する嵌合部34cを形成している。
【0037】
可撓性部材24は、前述の第1の実施形態で説明した構成と同様であり、以下の説明にあたっては、前述と同様の部位については同様の符号を付記するものとする。可撓性部材24の一端は駆動傘歯車37のボス部37aにピン38によって外嵌固着され、他端は伝達軸34の嵌合部34cにピン39によって外嵌固着されている。そして、駆動傘歯車37の回転によりナット装着スリーブ42が回転するとともに、駆動傘歯車37が回転し始めの際、駆動傘歯車37と従動傘歯車43との極小のバックラッシュにより、駆動傘歯車37と従動傘歯車23との間に負荷が掛かり、可撓性部材24にねじれ力を作用させる。このねじれ力によって、可撓性部材24における駆動傘歯車37に固着された前端部が伝達軸34に対してわずかに摺動し、伝達軸34に固着された後端部に対してわずかに回転することとなって、可撓性部材24がねじれて可撓性部材24を軸方向に縮小させる。
【0038】
この可撓性部材24の軸方向に対する縮小が、駆動傘歯車37を後方に移動させることとなって、斜交して歯合されている駆動傘歯車37と従動傘歯車43とのそれぞれの歯部との間でわずかな隙間を形成することになり、バックラッシュを形成することができる。従って、組付時に、極小の隙間で組み付けられていた駆動傘歯車37と従動傘歯車43との噛み合いは、適度なバックラッシュを形成することによって、スムーズな回転作用を行なうことができる。
【0039】
ラック装置41は、ラック軸5と、ラック軸5の雄ねじ部にボールを介して係合するボールナット部42aで後部(図5中、右端部)を固着するナット装着スリーブ42とを備えて構成されている。
【0040】
第2の実施形態におけるナット装着スリーブ42は、前部に従動傘歯車43を形成する段つき円筒状に形成され、モータ装置31とラック装置41とを装着したギヤハウジング50によって軸受49を介して回動可能に支持されている。そして後部内周面に雌ねじを形成するとともにラック軸5の雌ねじ部5aとの間にボールを介在することによってボールねじを構成している。
【0041】
なお、従動傘歯車43は、ナット装着スリーブ42と一体的に形成されているが、ナット装着スリーブ42の前部に外嵌するように別体で形成し、ナット装着スリーブ42と、例えば、キー又はピン結合によって固着してもよい。いずれにしても、駆動傘歯車37から伝達された回転出力が従動傘歯車43に伝達されると、その回転出力はナット装着スリーブ42に伝達され、ナット装着スリーブ42がラック軸5に対して回転されることとなる。そして、ナット装着スリーブ42の回転によりナット装着スリーブ42とねじ係合するラック軸5が、軸方向に移動することとなる。
【0042】
次に上記のように構成されたパワーステ装置の作用を第1の実施形態のパワーアシスト部10、第2の実施形態のパワーアシスト部30を含めて説明する。
【0043】
図示しないステアリングホイールを、いずれかの方向に回転させると、これが図示しないトルクセンサにて感知され、モータ12が駆動する。モータ12の駆動によって駆動軸13を回転すると、その回転出力が駆動傘歯車17(又は37)に伝達されて駆動傘歯車17(又は37)及び駆動傘歯車17(又は37)と歯合された従動傘歯車23(又は43)を回転する。この際、組付時に、極小のバックラッシュで組み付けられた駆動傘歯車17(又は37)と従動傘歯車23(又は43)は、回転と同時に、いずれかに装着された可撓性部材24の軸方向の縮小によって、いずれかの歯部が、他方の歯部に対して後方に移動することから、適度なバックラッシュを形成することができ、無理のない作用でモータ12の回転出力を従動傘歯車23(又は43)側に伝達することができ、従動傘歯車23(又は43)に伝達された回転出力は、ナット装着スリーブ22(又は42)を回転させる。そして、ナット装着スリーブ22(又は42)の回転により、ボールナット部22a(又は42a)とねじ結合されたラック軸5が、ボールナット部22a(又は42a)に対して軸方向に移動する。これによって、連結機構部7・7を介して前輪がいずれかの方向に回転するとともに、ラック軸5と係合しているピニオン4を介してステアリングホイールを回転させる動力となってステアリング操作を軽く行なうこととなる。
【0044】
上述のように、実施形態のパワーステ装置1では、パワーアシスト部10・30において、ラック装置21(又は41)あるいはモータ装置11(又は31)のいずれかに、可撓性部材24を装着することによって、駆動傘歯車17(又は37)と従動傘歯車23(又は43)のいずれかを他方の傘歯車に対して後方へ移動させて、駆動傘歯車17(又は37)と従動傘歯車23(又は43)との間にバックラッシュを形成することができる。
【0045】
つまり、可撓性部材24の一端を一方の傘歯車(従動傘歯車23又は43あるいは駆動傘歯車17又は37)に固着して、他端をナット装着スリーブ22(又は42)あるいは伝達軸34に固着すれば、両傘歯車が回転し始めることによって、可撓性部材24は、いずれかの傘歯車の回転により、回転すると同時に可撓性部材24にねじれ力を付与することとなって軸方向に縮小される。可撓性部材24が縮小されることによって可撓性部材24の一端が固着されたいずれかの傘歯車自体を可撓性部材24の縮小方向に移動させることから、駆動傘歯車17(又は37)と従動傘歯車23(又は43)のいずれかを他方の傘歯車に対して移動することとなって両者間にバックラッシュを形成することとなる。
【0046】
従って、組付時においては、駆動傘歯車17(又は37)と従動傘歯車23(又は43)とを、極めて小さいバックラッシュを形成するように組みつけておくことができる。バックラッシュを小さく組みつけておくことによって、傘歯車が回転しだす際に、駆動側の傘歯車の歯部が従動傘歯車23の歯部に衝突する衝撃を小さくするとともに歯打ち音を極めて小さくできることとなり、歯車による騒音防止を図ることができる。
【0047】
そして、可撓性部材24に切り込み溝27を対向する面から交互に並設するように形成することによって、ばね性を有することとなって、傘歯車の回転と同時に、軸方向への伸縮を可能とする。
【0048】
従って、この可撓性部材24を、ラック軸5側における従動傘歯車23とナット装着スリーブ22との間、あるいは、モータ装置31側における駆動傘歯車37と伝達軸34との間に装着することによって、バックラッシュ形成手段を構成することができる。
【0049】
なお、本発明の電動パワーステアリング装置は、上記の形態に限定するものではない。例えば、ラック装置21(又は41)とモータ装置11(又は31)との斜交角度は、ラック装置21(又は41)とモータ装置11(又は31)とが平行に配置されていない限り、適宜設定されてもよく、また、バックラッシュ形成手段における可撓性部材24は、駆動傘歯車17(又は37)、あるいは従動側傘歯車23(又は43)の回転と同時に軸方向に縮小されるように形成され、さらにその後にばね性により復帰できるものであれば、どのように形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリング装置の概要を示す一部断面図である。
【図2】本発明の電動パワーステアリング装置の第1の形態のパワーアシスト部10を示す一部断面図である。
【図3】図2における可撓性部材24を示す斜視図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】第2の形態のパワーアシスト部10を示す一部断面図である。
【符号の説明】
1 電動ステアリング装置
4 ピニオン
5 ラック軸
10、30 パワーアシスト部
11、31 モータ装置
12 モータ
13 駆動軸
14、34 伝達軸
17 駆動傘歯車(第1の傘歯車)
21、41 ラック装置
22、42 ナット装着スリーブ
22a、42a ボールナット部
23、43 従動傘歯車(第2の傘歯車)
24 可撓性部材(バックラッシュ形成手段)
26a、26b、38、39 ピン
27 切り込み溝
Claims (2)
- ステアリングホイールにラック・ピニオン機構を介して連結され、前記ステアリングホイールを回動することによってラック軸を軸方向に移動するとともに、前記ラック軸に歯車機構を介して連結されるモータ装置とを備えて構成される電動パワーステアリング装置であって、
前記歯車機構は、前記モータ装置におけるモータ軸側に装着される第1の傘歯車とラック軸側に装着される第2の傘歯車とを備えて相互に歯合可能に構成され、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車の一方には、回動によって第1と第2の傘歯車の間に、軸方向に縮小する伸縮可能な円環状に形成されるとともにそれぞれ対向する外周面から切り込まれた溝部が複数交互に並設して形成された可撓性部材からなるバックラッシュ形成手段を設け、前記可撓性部材が、一端を前記第2の傘歯車に固着するとともに他端を前記ラック軸上に配置されて前記ラック軸とともに軸方向に移動可能なボールナット側に固着して構成されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - ステアリングホイールにラック・ピニオン機構を介して連結され、前記ステアリングホイールを回動することによってラック軸を軸方向に移動するとともに、前記ラック軸に歯車機構を介して連結されるモータ装置とを備えて構成される電動パワーステアリング装置であって、
前記歯車機構は、前記モータ装置におけるモータ軸側に装着される第1の傘歯車とラック軸側に装着される第2の傘歯車とを備えて相互に歯合可能に構成され、前記第1の傘歯車と前記第2の傘歯車の一方には、回動によって第1と第2の傘歯車の間に、軸方向に縮小する伸縮可能な円環状に形成されるとともにそれぞれ対向する外周面から切り込まれた溝部が複数交互に並設して形成された可撓性部材からなるバックラッシュ形成手段を設け、前記可撓性部材が、一端を前記第1の傘歯車に固着するとともに他端を前記モータ軸に固着して構成されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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