JP3923279B2 - 蒸発燃料処理装置の故障検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を供給する燃料タンク内で発生する蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置の故障検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気管で発生する負圧(大気圧より低い圧力)を蒸発燃料処理装置内に導入して、蒸発燃料処理装置内の減圧を行い、減圧後の蒸発燃料処理装置内の圧力の変化に基づいて、蒸発燃料処理装置の故障を判定する故障検出装置が従来より知られている(例えば特許第2857656号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記故障検出装置によれば、燃料タンクや、蒸発燃料を一時的に貯蔵するキャニスタにおける漏れを検出することができるが、燃料タンクとキャニスタとを接続するチャージ通路に設けられる開閉弁の故障を検出することはできなかった。
【0004】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、燃料タンクとキャニスタとを接続するチャージ通路に設けられる開閉弁の故障を検出することができる、蒸発燃料処理装置の故障検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、燃料タンクと、該燃料タンクで発生する蒸発燃料を捕集するキャニスタと、前記燃料タンクとキャニスタとを接続するチャージ通路と、該チャージ通路に設けられたタンク内圧調整弁と、該タンク内圧調整弁をバイパスするバイパス通路と、該バイパス通路に設けられたバイパス弁と、前記チャージ通路の、前記タンク内圧調整弁と前記燃料タンクとの間、または前記燃料タンクに設けられた圧力センサとを備える蒸発燃料処理装置の故障検出装置において、前記バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態で前記キャニスタ内の圧力を大気圧より低い圧力まで減圧する減圧手段と、該減圧手段による減圧を実行中に、前記圧力センサにより検出される圧力(PTANK)が所定閾値(PATMTKM−DBPSOPN)以下となったとき、前記タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定する診断手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態でキャニスタ内の圧力の減圧が行われ、該減圧中に圧力センサにより検出される圧力が所定閾値以下となったとき、タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定される。バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態で、バイパス弁が正常に閉弁しており、かつタンク内圧調整弁が正常であれば、キャニスタ内圧力の減圧の影響は、圧力センサ出力には表れない。すなわち、圧力センサによる検出圧力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁またはバイパス弁の開弁したままとなっていると考えられる。したがって、減圧中に圧力センサにより検出圧力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置の故障検出装置において、前記タンク内圧調整弁は、前記燃料タンク内の圧力が大気圧より第1所定圧以上高いとき開弁する正圧弁と、前記燃料タンク内の圧力が前記キャニスタ内の圧力より第2所定圧以上低いとき開弁する負圧弁とからなり、前記診断手段は、前記減圧手段による減圧を実行中に、前記圧力センサにより検出される圧力が前記所定閾値以下となったときは、前記バイパス弁の故障または前記タンク内圧調整弁の組み付け不良があると判定することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、タンク内圧調整弁が正圧弁及び負圧弁からなる二方向弁である場合においては、バイパス弁が故障しているか、あるいはタンク内圧調整弁が誤って組み付けられていると判定される。燃料タンクに接続されるべき、タンク内圧調整弁の第1ポートをキャニスタに接続し、キャニスタに接続すべき、タンク内圧調整弁の第2ポートを燃料タンクに接続して取り付けた場合には、キャニスタ内圧力を減圧すると、負圧弁が開弁するため、圧力センサ出力が低下する。したがって、圧力センサ出力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁の組み付け不良またはバイパス弁の故障があると判定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸発燃料処理装置及び内燃機関の制御装置の構成を示す図である。同図において、1は例えば4気筒を有する内燃機関(以下単に「エンジン」という)であり、エンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されている。また、スロットル弁3にはスロットル弁開度(THA)センサ4が連結されており、当該スロットル弁3の開度に応じた電気信号を出力してエンジン制御用電子コントロールユニット(以下「ECU」という)5に供給する。
【0012】
燃料噴射弁6は、吸気管2の途中であってエンジン1とスロットル弁3との間の図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃料噴射弁6は燃料供給管7を介して燃料タンク9に接続されており、燃料供給管7の途中には燃料ポンプ8が設けられている。燃料タンク9は給油のための給油口10を有しており、給油口10にはフィラーキャップ11が取付けられている。
【0013】
燃料噴射弁6はECU5に電気的に接続され、該ECU5からの信号によりその開弁時間が制御される。吸気管2のスロットル弁3の下流側には吸気管内絶対圧PBAを検出する吸気管内絶対圧(PBA)センサ13、及び外気温としての吸気温TAを検出する吸気温(TA)センサ14が装着されている。
【0014】
エンジン1の図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲にはエンジン回転数を検出するエンジン回転数(NE)センサ17が取付けられている。エンジン回転数センサ17はエンジン1のクランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位置でパルス(TDC信号パルス)を出力する。エンジン1の冷却水温TWを検出するエンジン水温センサ18及びエンジン1の排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ(以下「LAFセンサ」という)19が設けれられており、これらのセンサ13〜19の検出信号はECU5に供給される。LAFセンサ19は、排気中の酸素濃度(エンジン1に供給される混合気の空燃比)にほぼ比例する信号を出力する広域空燃比センサとして機能するものである。
【0015】
ECU5にはさらに、大気圧PAを検出する大気圧センサ41及びエンジン1が搭載された車両の走行速度(車速)VPを検出する車速センサ42が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU5に供給される。
燃料タンク9は、チャージ通路31を介してキャニスタ33に接続され、キャニスタ33は、吸気管2のスロットル弁3の下流側にパージ通路32を介して接続されている。
【0016】
チャージ通路31には、二方向弁35が設けられている。二方向弁35は、燃料タンク9内の圧力が大気圧より第1所定圧(例えば2.7kPa(20mmHg))以上高いとき開弁する正圧弁と、燃料タンク9内の圧力がキャニスタ33内の圧力がより第2所定圧以上低いとき開弁する負圧弁とからなる。
【0017】
二方向弁35をバイパスするバイパス通路31aが設けられており、バイパス通路31aには、バイバス弁(開閉弁)36が設けられている。バイパス弁36は、通常は閉弁状態とされ、後述する故障診断実行中開閉される電磁弁であり、その動作はECU5により制御される。
【0018】
チャージ通路31には、二方向弁35と燃料タンク9との間に圧力センサ15が設けられており、その検出信号はECU5に供給される。圧力センサ15の出力PTANKは、キャニスタ33及び燃料タンク9内の圧力が安定している定常状態では、燃料タンク内の圧力(以下「タンク内圧」という)に等しくなるが、タンク内圧の減圧を行うときのような過渡状態においては、実際のタンク内圧とは異なる圧力を示す。
【0019】
キャニスタ33は、燃料タンク9内の蒸発燃料を吸着するための活性炭を内蔵し、大気通路37を介して大気に連通可能となっている。
大気通路37の途中にはベントシャット弁(開閉弁)38が設けられている。ベントシャット弁38は、ECU5によりその作動が制御される電磁弁であり、給油時またはパージ実行中に開弁される。またベントシャット弁38は、後述する故障診断実行時に開閉される。
【0020】
パージ通路32のキャニスタ33と吸気管2との間には、パージ制御弁34が設けられている。パージ制御弁34は、その制御信号のオン−オフデューティ比(制御弁の開度)を変更することにより流量を連続的に制御することができるように構成された電磁弁であり、その作動はECU5により制御される。
【0021】
燃料タンク9、チャージ通路31、バイパス通路31a、キャニスタ33、パージ通路32、二方向弁35、バイパス弁36、パージ制御弁34、大気通路37、及びベントシャット弁38により、蒸発燃料処理装置40が構成される。
燃料タンク9の給油時に蒸発燃料が大量に発生すると、二方向弁35が開弁し、キャニスタ33に蒸発燃料が吸蔵(捕集)される。エンジン1の所定運転状態において、パージ制御弁34のデューティ制御が行われ、適量の蒸発燃料がキャニスタ33から吸気管2に供給される。
【0022】
ECU5は各種センサ等からの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)、CPUで実行される演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路のほか、燃料噴射弁6、パージ制御弁34、バイパス弁36及びベントシャット弁38に駆動信号を供給する出力回路等から構成される。
【0023】
ECU5のCPUは、エンジン回転数センサ17、吸気管内絶対圧センサ13、エンジン水温センサ18などの各種センサの出力信号に応じてエンジン1に供給する燃料量制御、パージ制御弁のデューティ制御等を行う。
ECU5は、コネクタ51に接続されており、図2に示すように、コネクタ51を介して外部の故障診断装置70と接続可能に構成されている。故障診断装置70は、故障診断を実行する電子コントロールユニット(以下「故障診断用ECU」という)61と、作業者が必要な情報を入力したり、故障診断の実行を指示するための入力部62と、故障診断結果を表示するための表示部63とを備えている。故障診断用ECU61は、中央演算処理回路(CPU)、CPUで実行される演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路、及びエンジン制御用ECU5との間で情報の伝送を行うインターフェース回路を備えている。
【0024】
故障診断実行時は、故障診断用ECU61は、コネクタ51を介してエンジン制御用ECU5と接続され、バイパス弁36、パージ制御弁34及びベントシャット弁38の駆動指令信号をエンジン制御用ECU5に供給する。エンジン制御用ECU5は、各種センサの検出信号を故障診断用ECU61に供給する。したがって、外部故障診断装置70により、ECU5を介して蒸発燃料処理装置40の故障診断を実行することができる。
【0025】
図3は、外部故障診断装置70による故障診断処理のフローチャートであり、この処理は故障診断用ECU61のCPUで所定時間(例えば80msec)毎に実行される。
ステップS11では、図4に示す実施条件判断処理を実行する。この処理では、故障診断の実施条件が成立すると、モニタ実施フラグFEVPLKM及び実施条件フラグFMCND90Fがともに「1」に設定される。実施条件フラグFMCND90Fは、実施条件が不成立となると「0」に戻されるが、モニタ実施フラグFEVPLKMは、図8に示す圧力復帰処理が完了するまで、「1」に保持される。
【0026】
ステップS12では、モニタ実施フラグFEVPLKMが「1」であるか否かを判別し、FEVPLKM=0であるときは、通常制御を実行する(ステップS13)。すなわち、バイパス弁(BPV)36の閉弁指令信号、ベントシャット弁(VSV)38の開弁指令信号、及びパージ制御弁(PCV)34のデューティ制御信号を出力する。次いで、後述する大気開放処理(ステップS21,図5)で参照されるダウンカウントタイマTPATMDECを所定時間TPATMOFD(例えば30秒)にセットしてスタートさせるとともに、大気開放フラグFPATMDECを「1」に設定する(ステップS14)。大気開放フラグFPATMDECが「1」に設定されると、大気開放処理が実行される。
【0027】
続くステップS15では、ショート減圧フラグFSTKDEC及び圧力復帰フラグFPCNCLを「0」に設定し、本処理を終了する。ショート減圧フラグFSTKDECが「1」に設定されると、ショート減圧処理(図6)が実行される。圧力復帰フラグFPCNCLが「1」に設定されると、圧力復帰処理(図8)が実行される。
【0028】
モニタ実施フラグFEVPLKMが「1」に設定されると、ステップS12からステップS16に進み、実施条件フラグFMCND90Fが「1」であるか否かを判別する。この答は、通常は肯定(YES)であるので、ステップS21に進み、図5に示す大気開放処理を実行する。次いで図6に示すショート減圧処理を実行し(ステップS22)、圧力復帰フラグFPCNCLが「1」であるか否かを判別する(ステップS23)。圧力復帰フラグFPCNCLは、ステップS22において、ショート減圧処理が完了した時点で「1」に設定される。ステップS23の答が否定(NO)である間は、ステップS25の圧力復帰処理で参照されるダウンカウントタイマTPTCNCLを所定時間TCNCLOF(例えば10秒)にセットしてスタートさせ(ステップS24)、ステップS25に進む。また圧力復帰フラグFPCNCLが「1」に設定されると、ステップS23から直接ステップS25に進む。
【0029】
ステップS25では、図8に示す圧力復帰処理を実行し、その後本処理を終了する。
なお、故障診断の実施条件が不成立となると、実施条件フラグFMCND90Fは「0」に戻されるが、モニタ実施フラグFEVPLKMは「1」に保持される。したがって、ステップS12からステップS16を経由してステップS25に進み、圧力復帰処理が実行される。圧力復帰処理が完了すると、モニタ実施フラグFEVPLKMが「0」に戻され、通常制御に復帰する。
【0030】
図4は、図3のステップS11で実行される実施条件判断処理のフローチャートである。
ステップS41では、エンジン1が停止中か否かを判別し、停止中であるときは、実施条件不成立と判定し、ステップS50で参照されるダウンカウントタイマTDLYOFFを所定時間TMDLYOFF(例えば5秒)にセットしてスタートさせる(ステップS49)。次いで実施条件フラグFMCND90Fを「0」に設定し(ステップS51)、本処理を終了する。
【0031】
エンジン1が作動しているときは、診断許可フラグFOFFBORDが「1」であるか否かを判別する(ステップS42)。フラグFOFFBORDは、図示しない他の処理により、外部故障診断装置による故障診断が許可されると「1」に設定される。
【0032】
FOFFBORD=1であるときは、診断実施指令フラグFGO90Fが「1」であるか否かを判別する(ステップS43)。フラグFGO90Fは、図示しない他の処理により、故障診断の実施が指令されると「1」に設定される。
FGO90F=1であるときは、エンジン1の始動完了後の時間を計測するアップカウントタイマT01ACRの値が所定時間TMOFACR(例えば10秒)以上か否かを判別する(ステップS44)。
【0033】
T01ACR≧TMOFACRであるときは、パージ許可フラグFPGACTが「1」であるか否かを判別する(ステップS45)。フラグFPGACTは、「1」に設定されると、キャニスタ33に貯蔵された蒸発燃料を吸気管2にパージすることが許可されていることを示す。
【0034】
FPGACT=1であるときは、バッテリ電圧VBが所定電圧VBEVCKLO(例えば8V)より高いか否かを判別する(ステップS46)。VB>VBEVCKLOであるときは、吸気温TAが所定上下限値TAOFCNDH(例えば100℃),TAOFCNDL(例えば0℃)の範囲内にあるか否か、及びエンジン冷却水温TWが所定上下限値TWOFCNDH(例えば100℃),TWOFCNDL(例えば0℃)の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS47)。
【0035】
吸気温TAが所定上下限値TAOFCNDH,TAOFCNDLの範囲内にあり、且つエンジン冷却水温TWが所定上下限値TWOFCNDH,TWOFCNDLの範囲内にあるときは、車速VPが「0」であるか否かを判別する(ステップS48)。
【0036】
ステップS42〜S47の何れかの答が否定(NO)であるときは、実施条件不成立と判定して前記ステップS49に進む。ステップS42〜S47の答がすべて肯定(YES)であるときは、ステップS49でスタートしたタイマTDLYOFFの値が「0」であるか否かを判別し(ステップS50)、TDLYOFF>0である間は前記ステップS51に進む。TDLYOFF=0となると、実施条件成立と判定し、実施条件フラグFMCND90Fを「1」に設定するとともに(ステップS52)、モニタ実施フラグFEVPLKMを「1」に設定して(ステップS53)、本処理を終了する。
【0037】
図5は、図3のステップS21で実行される大気開放処理のフローチャートである。
ステップS60では、大気開放フラグFPATMDECが「1」であるか否かを判別する。最初はFPATMDEC=1であるので、ステップS61に進み、バイパス弁36の開弁指令信号、ベントシャット弁38の開弁指令信号、及びパージ制御弁34の閉弁指令信号を出力する。ステップS62では、図3のステップS14でスタートしたタイマTPATMDECの値が「0」であるか否かを判別する。最初はTPATMDEC>0であるので、直ちに本処理を終了する。
【0038】
TPATMDEC=0となると、大気開放フラグFPATMDECを「0」に設定するとともに、ショート減圧フラグFSTKDECを「1」に設定する(ステップS63)。大気開放フラグFPATMDECを「0」に設定することにより、次回以降ステップS60の答が否定(NO)となるので、大気開放処理は実質的に実行されない。
【0039】
続くステップS64では、ショート減圧処理で参照される所定リミット圧PTLMTを所定値PTLMTS1(例えば大気圧より6kPa(45mmHg)程度低い圧力値)に設定するとともに、ショート減圧処理で参照されるダウンカウントタイマTSEVPDECを所定時間TSDEC1(例えば3〜5秒程度)に設定してスタートさせる。次いで、その時点の圧力センサ15の出力PTANKを記憶値PATMTKMとして記憶し(ステップS65)、本処理を終了する。。
【0040】
図6は、図3のステップS22で実行されるショート減圧処理のフローチャートである。
ステップS151では、ショート減圧フラグFSTKDECが「1」であるか否かを判別する。FSTKDEC=0であるときは、直ちに本処理を終了する。すなわち、ショート減圧処理は、ショート減圧フラグFSTKDECが「1」に設定されたときに、実質的に実行される。
【0041】
図5のステップS63でショート減圧フラグFSTKDECが「1」に設定されると、ステップS151からステップS153に進み、バイパス弁36の閉弁指令信号、ベントシャット弁38の閉弁指令信号、及びパージ制御弁34のデューティ制御信号(一定デューティ比)を出力する。これにより、吸気管2内の負圧が蒸発燃料処理装置40に導入される。バイパス弁36及びベントシャット弁38の閉弁指令信号が出力されているので、これらの弁が正常に作動しているときは、キャニスタ33内の圧力が減圧される。
【0042】
ステップS155では、圧力センサ出力PTANKが所定リミット圧PTLMTより低いか否かを判別する。通常この答は否定(NO)であるので、ステップS156に進み、ダウンカウントタイマTSEVPDECの値が「0」であるか否かを判別する。最初は、TSEVPDEC>0であるので、ダウンカウンタCBPSOPNに所定値CBPSCHK(例えば2)を設定し(ステップS157)、本処理を終了する。
【0043】
圧力センサ出力PTANKが所定リミット圧PTLMTより低いとき、またはTSEVPDEC=0となったときは、ステップS162に進み、図5のステップS65で記憶した記憶値PATMTKMと、圧力センサ出力PTANKとの差(PATMTKM−PTANK)が、所定差圧DBPSOPN(例えば0.67kPa(5mmHg))以上か否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、圧力センサ15によって検出される圧力PTANKが低下していないことを示すので、バイパス弁36は正常に閉弁しており、かつ二方向弁35の開弁故障も発生していないと判定し、ステップS168に進む。
【0044】
ステップS168では、ショート減圧フラグFSTKDECを「0」に戻すとともに、圧力復帰フラグFPCNCLを「1」に設定し、本処理を終了する。
ステップS162の答が肯定(YES)であるとき、すなわちショート減圧処理により圧力センサ出力PTANKが所定差圧DBPSOPN以上低下したときは、カウンタCBPSOPNの値が「0」であるか否かを判別する(ステップS163)。最初はCBPSOPN>0であるので、カウンタCBPSOPNの値を「1」だけデクリメントして(ステップS164)、本処理を終了する。
【0045】
(PATMTKM−PTANK)≧DBPSOPNである状態が継続し、カウンタCBPSOPNの値が「0」となると、バイパス弁36または二方向弁35の開弁故障(開弁した状態が維持され、閉弁しない故障)、あるいは二方向弁35の組み付けが不良があると判定し、開弁故障フラグFFSD90F2を「1」に設定する(ステップS165)。その後前記ステップS168に進む。
【0046】
二方向弁35が正しく組み付けられた場合には、燃料タンク内の圧力が大気圧より第1所定圧以上高いとき正圧弁が開弁し、燃料タンク内の圧力がキャニスタ内の圧力より第2所定圧以上低くなったとき負圧弁が開弁する。したがって、ショート減圧処理中、正常に組み付けられた二方向弁35は開弁しないが、誤って逆に組み付けられた場合、すなわち燃料タンク9に接続されるべき、二方向弁35のポートがキャニスタ33に接続され、キャニスタ33に接続されるべき、二方向弁35のポートが燃料タンク9に接続された場合には、ショート減圧処理により負圧弁が開弁する。したがって、二方向弁35が誤って組み付けられた可能性も考慮される。
【0047】
図7は、ショート減圧処理による故障判定を説明するためのタイムチャートである。バイパス弁36及び二方向弁35がともに正常であるときは、実線で示すようにショート減圧処理中の圧力センサ出力PTANKは記憶値PATMTKM近傍にとどまって減少しない。バイパス弁36または二方向弁35の開弁故障、あるいは二方向弁35の組み付け不良があるときは、破線で示すように圧力センサ出力PTANKが低下し、不具合が検出される。
【0048】
図8は、図3のステップS25で実行される圧力復帰処理のフローチャートである。
ステップS421では、圧力復帰フラグFPCNCLが「1」であるか否かを判別する。FPCNCL=0であるときは、実施条件フラグFMCND90Fが「1」であるか否かを判別し、FMCND90F=1であって故障診断の実施条件が成立しているときは、直ちに本処理を終了する。また圧力復帰フラグFPCNCLが「1」であるときまたは実施条件が不成立となった(FMCND90F=0)ときは、バイパス弁36の開弁指令信号、ベントシャット弁38の開弁指令信号、及びパージ制御弁34の閉弁指令信号を出力する(ステップS423)。
【0049】
次いで図3のステップS24でスタートされるタイマTPTCNCLの値が「0」であるか否かを判別する。最初は、TPTCNCL>0であるので、直ちに本処理を終了し、TPTCNCL=0となると、圧力復帰フラグFPCNCL及びモニタ実施フラグFEVPLKMをともに「0」に戻す。これにより、図3のステップS12からステップS13に進んで、通常制御に戻る。
【0050】
以上のように本実施形態では、バイパス弁36の閉弁指令信号を出力している状態で、キャニスタ33内の圧力を大気圧より低い圧力まで減圧するショート減圧処理を実行し、該ショート減圧処理の実行中に、圧力センサ15により検出される圧力PTANKと、記憶値PATMTKMとの差(PATMTKM−PTANK)が所定差圧DBPSOPN以上となったとき、二方向弁35またはバイパス弁36の開弁故障、あるいは二方向弁35の組み付け不良があると判定するようにしたので、バイパス弁36または二方向弁35に関わる不具合を迅速に検出することができる。
【0051】
なお、記憶値PATMTKMは、大気開放処理後の圧力センサ出力値であるから、ほぼ大気圧と等しい。したがって、図6のステップS162における判別は、圧力センサ出力PTANKが、所定閾値(大気圧−DBPSOPN)以下か否かの判別と等価である。
【0052】
本実施形態では、エンジン1、吸気管2、パージ通路32及びパージ制御弁34並びにECU5及びECU61によって減圧手段が構成され、ECU61によって診断手段が構成される。より具体的には、図5のステップS63、図6のステップS153及びS156が、減圧手段の一部に相当し、図6のステップS162〜S165が診断手段に相当する。
【0053】
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態では、チャージ通路31に二方向弁35が設けられ、さらに二方向弁35をバイパスするバイパス通路31aにバイパス弁36が設けられた例を示したが、チャージ通路31に二方向弁に代えてバイパス弁36と同様の電磁式開閉弁のみを設けるようにしてもよい。そのような構成の蒸発燃料処理装置では、チャージ通路31に設けた電磁式開閉弁及びベントシャット弁38を閉弁した状態で、パージ制御弁34のデューティ制御を行うことにより、キャニスタ内に負圧を導入し、そのときの圧力センサ出力PTANKに基づいて上述した実施形態と同様の手法で故障診断を実行する。
【0054】
また、特許第2857656号公報に示されるように、二方向弁をバイパスするバイパス通路が2つ設けられ、それぞれに電磁式開閉弁が設けらた蒸発燃料処理装置にも、上述した故障診断手法を適用することができる。すなわち、2つの電磁式開閉弁(バイパス弁及びパフロス弁)の閉弁指令信号を出力している状態でキャニスタの減圧を行い、その減圧中に圧力センサにより検出される圧力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁または2つの開閉弁のいずれか一方若しくは両方に不具合があると判定するようにすればよい。
【0055】
また、外部故障診断装置70を用いずに、ECU5のCPUによって故障診断処理(図3)を実行するようにしてもよい。
また、圧力センサ15は、燃料タンク9に設けるようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態でキャニスタ内の圧力の減圧が行われ、該減圧中に圧力センサにより検出される圧力が所定閾値以下となったとき、タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定される。バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態で、バイパス弁が正常に閉弁しており、かつタンク内圧調整弁が正常であれば、キャニスタ内圧力の減圧の影響は、圧力センサ出力には表れない。すなわち、圧力センサによる検出圧力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁またはバイパス弁の開弁したままとなっていると考えられる。したがって、減圧中に圧力センサにより検出圧力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定することができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、タンク内圧調整弁が正圧弁及び負圧弁からなる二方向弁である場合においては、バイパス弁が故障しているか、あるいはタンク内圧調整弁が誤って組み付けられていると判定される。燃料タンクに接続されるべき、タンク内圧調整弁の第1ポートをキャニスタに接続し、キャニスタに接続すべき、タンク内圧調整弁の第2ポートを燃料タンクに接続して取り付けた場合には、キャニスタ内圧力を減圧すると、負圧弁が開弁するため、圧力センサ出力が低下する。したがって、圧力センサ出力が所定閾値以下となったときは、タンク内圧調整弁の組み付け不良またはバイパス弁の故障があると判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる蒸発燃料処理装置及び内燃機関の制御装置の構成を示す図である。
【図2】外部故障診断装置の構成、及び外部故障診断装置と、内燃機関の制御装置との接続を説明するための図である。
【図3】故障診断処理のフローチャートである。
【図4】故障診断の実施条件を判断する処理のフローチャートである。
【図5】大気開放処理のフローチャートである。
【図6】ショート減圧処理のフローチャートである。
【図7】図6の処理による故障診断の手法を説明するためのタイムチャートである。
【図8】圧力復帰処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関(減圧手段)
2 吸気管(減圧手段)
5 エンジン制御用電子コントロールユニット(減圧手段)
9 燃料タンク
15 圧力センサ
31 チャージ通路
31a バイパス通路
33 キャニスタ
35 二方向弁(タンク内圧調整弁)
36 バイパス弁
38 ベントシャット弁
61 故障診断用電子コントロールユニット(減圧手段、診断手段)
Claims (2)
- 燃料タンクと、該燃料タンクで発生する蒸発燃料を捕集するキャニスタと、前記燃料タンクとキャニスタとを接続するチャージ通路と、該チャージ通路に設けられたタンク内圧調整弁と、該タンク内圧調整弁をバイパスするバイパス通路と、該バイパス通路に設けられたバイパス弁と、前記チャージ通路の、前記タンク内圧調整弁と前記燃料タンクとの間、または前記燃料タンクに設けられた圧力センサとを備える蒸発燃料処理装置の故障検出装置において、
前記バイパス弁の閉弁指令信号を出力している状態で前記キャニスタ内の圧力を大気圧より低い圧力まで減圧する減圧手段と、
該減圧手段による減圧を実行中に、前記圧力センサにより検出される圧力が所定閾値以下となったとき、前記タンク内圧調整弁またはバイパス弁に不具合があると判定する診断手段とを備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置の故障検出装置。 - 前記タンク内圧調整弁は、前記燃料タンク内の圧力が大気圧より第1所定圧以上高いとき開弁する正圧弁と、前記燃料タンク内の圧力が前記キャニスタ内の圧力より第2所定圧以上低いとき開弁する負圧弁とからなり、前記診断手段は、前記減圧手段による減圧を実行中に、前記圧力センサにより検出される圧力が前記所定閾値以下となったときは、前記バイパス弁の故障または前記タンク内圧調整弁の組み付け不良があると判定することを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置の故障検出装置。
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