以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施に用いられる現像処理装置(現像処理ユニット)(DEV)24a〜24cを有するLCD基板のレジスト塗布・現像処理システム100を示す平面図である。
レジスト塗布・現像処理システム100は、複数のLCD基板(基板)Gを収容するカセットCを載置するカセットステーション1と、基板Gにレジスト塗布および現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置(図示せず)との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイス部3とを備えており、処理部2の両端にそれぞれカセットステーション1およびインターフェイス部3が配置されている。
カセットステーション1は、カセットCと処理部2との間で基板Gの搬送を行うための搬送機構10を備えている。そして、カセットステーション1においてカセットCの搬入出が行われる。また、搬送機構10はカセットの配列方向に沿って設けられた搬送路10a上を移動可能な搬送アーム11を備え、この搬送アーム11によりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬送が行われる。
処理部2は、前段部2aと中段部2bと後段部2cとに分かれており、それぞれ中央に搬送路12・13・14を有し、これら搬送路の両側に各処理ユニットが配設されている。そして、これらの間には中継部15・16が設けられている。
前段部2aは、搬送路12に沿って移動可能な主搬送装置17を備えており、搬送路12の一方側には、2つの洗浄ユニット(SCR)21a・21bが配置されており、搬送路12の他方側には紫外線照射ユニット(UV)と冷却ユニット(COL)とが2段に重ねられた処理ブロック25、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック26および冷却ユニット(COL)が2段に重ねられてなる処理ブロック27が配置されている。
また、中段部2bは、搬送路13に沿って移動可能な主搬送装置18を備えており、搬送路13の一方側には、レジスト塗布処理ユニット(CT)22および基板Gの周縁部のレジストを除去する周縁レジスト除去ユニット(ER)23が一体的に設けられており、搬送路13の他方側には、加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック28、加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック29、およびアドヒージョン処理ユニット(AD)と冷却ユニット(COL)とが上下に重ねられてなる処理ブロック30が配置されている。
さらに、後段部2cは、搬送路14に沿って移動可能な主搬送装置19を備えており、搬送路14の一方側には、3つの現像処理ユニット(DEV)24a・24b・24cが配置されており、搬送路14の他方側には加熱処理ユニット(HP)が2段に重ねられてなる処理ブロック31、およびともに加熱処理ユニット(HP)と冷却処理ユニット(COL)が上下に重ねられてなる処理ブロック32・33が配置されている。
なお、処理部2は、搬送路を挟んで一方の側に洗浄ユニット(SCR)21a、レジスト塗布処理ユニット(CT)22、現像処理ユニット(DEV)24aのようなスピンナ系ユニットのみを配置しており、他方の側に加熱処理ユニット(HP)や冷却処理ユニット(COL)等の熱系処理ユニットのみを配置する構造となっている。
また、中継部15・16のスピンナ系ユニット配置側の部分には、薬液供給ユニット34が配置されており、さらに主搬送装置17・18・19のメンテナンスを行うためのスペース35が設けられている。
主搬送装置17・18・19は、それぞれ水平面内の2方向のX軸駆動機構、Y軸駆動機構、および垂直方向のZ軸駆動機構を備えており、さらにZ軸を中心に回転する回転駆動機構を備えており、それぞれ基板Gを支持するアームを有している。
主搬送装置17は、搬送アーム17aを有し、搬送機構10の搬送アーム11との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、前段部2aの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部15との間で基板Gの受け渡しを行う機能を有している。また、主搬送装置18は搬送アーム18aを有し、中継部15との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、中段部2bの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらには中継部16との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。さらに、主搬送装置19は搬送アーム19aを有し、中継部16との間で基板Gの受け渡しを行うとともに、後段部2cの各処理ユニットに対する基板Gの搬入・搬出、さらにはインターフェイス部3との間の基板Gの受け渡しを行う機能を有している。なお、中継部15・16は冷却プレートとしても機能する。
インターフェイス部3は、処理部2との間で基板Gを受け渡しする際に一時的に基板Gを保持するエクステンション36と、さらにその両側に設けられた、バッファカセットを配置する2つのバッファステージ37と、これらと露光装置(図示せず)との間の基板Gの搬入出を行う搬送機構38とを備えている。搬送機構38はエクステンション36およびバッファステージ37の配列方向に沿って設けられた搬送路38a上を移動可能な搬送アーム39を備え、この搬送アーム39により処理部2と露光装置との間で基板Gの搬送が行われる。
このように各処理ユニットを集約して一体化することにより、省スペース化および処理の効率化を図ることができる。
このように構成されたレジスト塗布・現像処理システム100においては、カセットC内の基板Gが処理部2に搬送され、処理部2では、まず前段部2aの処理ブロック25の紫外線照射ユニット(UV)で表面改質・洗浄処理が行われ、冷却処理ユニット(COL)で冷却された後、洗浄ユニット(SCR)21a・21bでスクラバ洗浄が施され、処理ブロック26のいずれかの加熱処理ユニット(HP)で加熱乾燥された後、処理ブロック27のいずれかの冷却ユニット(COL)で冷却される。
その後、基板Gは中段部2bに搬送され、レジストの定着性を高めるために、処理ブロック30の上段のアドヒージョン処理ユニット(AD)にて疎水化処理(HMDS処理)され、下段の冷却処理ユニット(COL)で冷却後、レジスト塗布処理ユニット(CT)22でレジストが塗布され、周縁レジスト除去ユニット(ER)23で基板Gの周縁の余分なレジストが除去される。その後、基板Gは、中段部2bの中の加熱処理ユニット(HP)の1つでプリベーク処理され、処理ブロック29または30の下段の冷却ユニット(COL)で冷却される。
その後、基板Gは中継部16から主搬送装置19にてインターフェイス部3を介して露光装置に搬送されてそこで所定のパターンが露光される。そして、基板Gは再びインターフェイス部3を介して搬入され、必要に応じて後段部2cの処理ブロック31・32・33のいずれかの加熱処理ユニット(HP)でポストエクスポージャーベーク処理を施した後、現像処理ユニット(DEV)24a・24b・24cのいずれかで現像処理され、所定の回路パターンが形成される。現像処理された基板Gは、後段部2cのいずれかの加熱処理ユニット(HP)にてポストベーク処理が施された後、いずれかの冷却ユニット(COL)にて冷却され、主搬送装置19・18・17および搬送機構10によってカセットステーション1上の所定のカセットに収容される。
次に、現像処理ユニット(DEV)24a〜24cについて詳細に説明する。図2は現像処理ユニット(DEV)24a〜24cの一実施形態を示す平面図であり、図3は図2記載の現像処理ユニット(DEV)24a〜24cにおけるカップ部分の断面図である。図2に示されるように、現像処理ユニット(DEV)24a〜24cはシンク48により全体が包囲されている。
図3に示すように、現像処理ユニット(DEV)24a〜24cにおいては、基板Gを機械的に保持する保持手段、例えば、スピンチャック41がモータ等の回転駆動機構42により回転されるように設けられ、このスピンチャック41の下側には、回転駆動機構42を包囲するカバー43が配置されている。スピンチャック41は図示しない昇降機構により昇降可能となっており、上昇位置において搬送アーム19aとの間で基板Gの受け渡しを行う。スピンチャック41は真空吸引力等により、基板Gを吸着保持できるようになっている。
カバー43の外周囲には2つのアンダーカップ44・45が離間して設けられており、この2つのアンダーカップ44・45の間の上方には、主として現像液を下方に流すためのインナーカップ46が昇降自在に設けられ、アンダーカップ45の外側には、主としてリンス液を下方に流すためのアウターカップ47がインナーカップ46と一体的に昇降自在に設けられている。なお、図3において、左側には現像液の排出時にインナーカップ46およびアウターカップ47が上昇される位置が示され、右側にはリンス液の排出時にこれらが降下される位置が示されている。
アンダーカップ44の内周側底部には回転乾燥時にユニット内を排気するための排気口49が配設されており、2つのアンダーカップ44・45間には主に現像液を排出するためのドレイン管50aが、アンダーカップ45の外周側底部には主にリンス液を排出するためにドレイン管50bが、設けられている。
アウターカップ47の一方の側には、図2に示すように、現像液供給用のノズル保持アーム51が設けられ、ノズル保持アーム51には、基板Gに現像液を塗布するために用いられる現像液吐出ノズルの一実施形態であるパドル形成用ノズル80a・80bが収納されている。ノズル保持アーム51は、ガイドレール53の長さ方向に沿ってベルト駆動等の駆動機構52により基板Gを横切って移動するように構成され、これにより現像液の塗布時には、ノズル保持アーム51はパドル形成用ノズル80a・80bから現像液を吐出しながら、静止した基板G
をスキャンするようになっている。
また、パドル形成用ノズル80a・80bは、ノズル待機部115に待機されるようになっており、このノズル待機部115にはパドル形成用ノズル80a・80bを洗浄するノズル洗浄機構120が設けられている。パドル形成用ノズル80a・80bの構造等を含めた現像液供給機構の詳細については後述する。
アウターカップ47の他方の側には、純水等のリンス液吐出用のノズル保持アーム54が設けられ、ノズル保持アーム54の先端部分には、リンス液吐出ノズル60が設けられている。リンス液吐出ノズル60としては、例えば、パイプ状の吐出口を有するもの用いることができる。ノズル保持アーム54は駆動機構56によりガイドレール53の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられており、リンス液吐出ノズル60からリンス液を吐出させながら、基板G上をスキャンするようになっている。
なお、現像処理ユニット(DEV)24a〜24cへは、レジスト塗布・現像処理システム100が配置される場所の天井から清浄なダウンフローが供給されるように、上部に空間が形成されている。また、スピンチャック41に保持された基板Gへ窒素ガス等の乾燥ガスを供給するためのガスブロー機構、スピンチャック41に発生する静電気を除去するためのイオナイザーが、それぞれ基板Gの上空に配設されている。
また、図4に示すように、スピンチャック41を回転させる回転駆動機構42、現像液用のノズル保持アーム51をスライド移動させる駆動機構52、およびリンス液用のノズル保持アーム54をスライド移動させる駆動機構56は、いずれも制御装置70により制御されるようになっている。
続いて、現像液の貯留から基板Gへの塗布に係る現像液供給機構について説明するが、最初にパドル形成用ノズル80a・80bについて詳述することとする。パドル形成用ノズル80a・80bとしては、例えば、図5の斜視図に示すように、スリット状の現像液吐出口85a・85bを有し、現像液吐出口85a・85bから現像液が帯状に吐出される構造を有するものが好適に配設される。現像液吐出口85a・85bは、パドル形成用ノズル80a・80bを保持したノズル保持アーム51をガイドレール53に沿ってスキャンさせた場合に、どちらの方向からスキャンした場合にも、基板Gに対して略垂直に現像液を吐出できるように構成されている。
なお、パドル形成用ノズル80a・80bとしては、例えば、スリット状の現像液吐出口85a・85bを有するノズルに代えて、複数の孔部が1列または複数例で縦列形成された現像液吐出口を有するノズル等を用いてもよく、この場合にも現像液を帯状に基板Gに対して略垂直に吐出させることができる。
また、パドル形成用ノズル80a・80bは、それぞれがエアーシリンダーや電動モータ等の昇降機構58a・58bにより高さ位置を変えることができるように構成されており、現像液の塗布時には、使用する一方のパドル形成用ノズル、例えばパドル形成用ノズル80aを昇降機構58aを伸張させて下方に位置させ、使用しないパドル形成用ノズル80bはノズル保持アーム51の底面に近接するように保持することができるようになっている。
さらに、図6は、パドル形成用ノズル80a・80bへの現像液の送液経路を示した説明図であるが、パドル形成用ノズル80a・80bにはそれぞれ異なる種類および/または濃度の現像液A・Bが供給されるように送液経路A・Bが形成されている。
このような構成により、ノズル保持アーム51を基板G上をスキャンさせながら、パドル形成用ノズル80aの現像液吐出口85aから所定の現像液(現像液A)を基板G上に塗布する際には、使用しないパドル形成用ノズル80bの現像液吐出口85bは基板Gに塗布された現像液Aに触れることはないため、基板G上の現像液パドルに現像液Bが混入したり、パドル形成用ノズル80bが現像液Aによって汚染されるといった問題は生じない。
また、パドル形成用ノズル80a・80bの各々から異なる現像液を基板Gに塗布することが可能であるため、例えば、2つのロットの基板Gにそれぞれ異なる種類のレジストが使用されているために、異なる種類の現像液を用いて現像処理を行わなければならず、しかもそれらのロットを連続して処理しなければならない場合にも容易に対処できる。つまり、1本のパドル形成用ノズル(現像液吐出ノズル)しか配設されていない場合と比較すると、パドル形成用ノズルの清掃を行う必要がなく、パドル形成用ノズル80a・80bの位置調整のみで現像処理を連続的に行うことができることから、処理効率が高められ、生産性が向上する。
なお、図6に示されるように、送液経路A・Bには、それぞれに脱気モジュール59a・59bが設けられている。送液される現像液A・Bには、例えば、現像液A・Bをパドル形成用ノズル80a・80bへ送液するために用いられる高圧の窒素ガス等が溶存しており、現像液を基板Gへ塗布した際に溶存ガスが気泡化して基板Gに付着し、基板Gに現像液で濡れない部分が生じて現像不良を起こす場合がある。そこで、脱気モジュール59a・59bによりこのような溶存ガスを除去する。脱気モジュール59a・59bは、例えば、減圧雰囲気とされた中空糸膜や多孔質樹脂を現像液が通過する構造とすることができる。
また、送液経路A・Bには三方バルブ57a・57bが配設されている。現像液A・Bをパドル形成用ノズル80a・80bへ供給している場合には、真空吸引を行うためのバルブは閉じた状態とし、現像液A・Bの供給が終了した後には、現像液A・Bの供給側のバルブを閉じて真空吸引側のバルブを開け、パドル形成用ノズル80a・80bに残留している現像液を排出するように操作する。こうして、パドル形成用ノズル80a・80bからの現像液の液垂れを防止することができ、特に、使用していない一方のパドル形成用ノズルからの液垂れを防止して、形成中の現像液パドルに別の現像液が混入することを防止することができる。なお、真空吸引を行う時間は任意に設定することができ、これによりパドル形成用ノズル80a・80b内の現像液量を制御することができる。
次に、上述した2本のパドル形成用ノズル80a・80bを有する現像処理ユニット(DEV)24a〜24cを用いた現像処理工程について、あるロット(ロットAとする)の複数枚の基板Gを、図6に従い、パドル形成用ノズル80aを用いて現像液Aにより処理した後に、別のロット(ロットBとする)の複数枚の基板Gを、パドル形成用ノズル80bを用いて現像液Aと異なる別の現像液Bにより処理する場合を例に説明する。図7はこの現像処理工程を示す説明図(フローチャート)である。
まず、インナーカップ46とアウターカップ47とを下段(図3右側位置)に保持する(ステップ1)。この状態として、基板Gを保持した搬送アーム19aを現像処理ユニット(DEV)24a〜24c内に挿入し、このタイミングに合わせてスピンチャック41を上昇させて、基板Gをスピンチャック41へ受け渡す(ステップ2)。
搬送アーム19aを現像処理ユニット(DEV)24a〜24c外に待避させ、基板Gが載置されたスピンチャック41を降下させて所定位置に保持する(ステップ3)。そして、ノズル保持アーム51をインナーカップ46内の所定位置に移動、配置し(ステップ4)、昇降機構58aを伸張させてパドル形成用ノズル80aのみを下方に位置させて保持し(ステップ5)、基板G上をスキャンしながらパドル形成用ノズル80aを用いて所定の現像液Aを基板G上に塗布し、現像液パドルを形成する(ステップ6)。なお、図6に示した三方バルブ57aにおいては、現像液Aを供給するために真空吸引を行うためのバルブは閉じた状態となっている。
現像液パドルが形成された後、所定の現像処理時間(現像反応時間)が経過するまでの間に、パドル形成用ノズル80aを昇降機構58aを縮ませて上方の位置に戻して保持し(ステップ7)、ノズル保持アーム51をインナーカップ46およびアウターカップ47から待避させ(ステップ8)、代わりにノズル保持アーム54を駆動して、リンス液吐出ノズル60が基板G上の所定位置に保持する(ステップ9)。続いて、インナーカップ46とアウターカップ47を上昇させ、上段位置(図3の左側位置)に保持する(ステップ10)。この上段位置は、基板Gの表面の水平位置がほぼインナーカップ46のテーパー部の位置に合う高さとする。
基板Gを低速で回転させて基板G上の現像液を振り切る動作に入るのとほぼ同時にリンス液吐出ノズル60からリンス液を吐出し、さらにこれらの動作とほぼ同時に、排気口49による排気動作を開始する(ステップ11)。つまり、現像反応時間の経過前には排気口49は未動作の状態とすることが好ましく、これにより、基板G上に形成された現像液パドルには、排気口49の動作による気流発生等の悪影響が発生しない。
基板Gの回転が開始され、基板Gからその外周に向けて飛散する現像液およびリンス液は、インナーカップ46のテーパー部や外周壁(側面の垂直壁)に当たって下方へ導かれ、ドレイン管50aから排出される。このとき基板Gの回転開始から所定の時間が経過するまでは、主に現像液からなる現像液濃度の高い処理液がドレイン管50aから排出されるために、このような排出液はドレイン管50aに設けられた切替バルブを操作して回収し、再利用に供することが好ましい。
基板Gの回転開始から所定時間経過後には、リンス液を吐出しながら、また基板Gを回転させたままの状態でインナーカップ46とアウターカップ47を降下させて下段位置に保持する(ステップ12)。下段位置では、基板Gの表面の水平位置がほぼアウターカップ47のテーパー部の位置に合う高さとする。そして、現像液の残渣が少なくなるように、基板Gの回転数を現像液を振り切るための回転動作開始時よりも大きくする。この基板Gの回転数を上げる操作は、インナーカップ46とアウターカップ47の降下動作と同時にまたはその前後のいずれの段階で行ってもよい。こうして、基板Gから飛散する主にリンス液からなる処理液は、アウターカップ47のテーパー部や外周壁に当たってドレイン管50bから排出される。
次に、リンス液の吐出を停止してリンス液吐出ノズル60を所定の位置に収納し(ステップ13)、基板Gの回転数をさらに上げて所定時間保持する。すなわち高速回転により基板Gを乾燥するスピン乾燥を行う(ステップ14)。このスピン乾燥時には、基板Gの上方からガスブロー機構を用いて、乾燥した窒素ガス等を基板に供給しながら行うことが好ましい。
図8は、基板Gへのガス供給の一実施形態を示す説明図である。窒素ガスを吐出するノズル98は、図8(a)に示すように、スピン乾燥時以外の使用しない場合にはインナーカップ46とアウターカップ47上で略水平に保持されているが、スピン乾燥を行う際には、図8(b)に示すように、配管99の関節部分99aが折れてノズル98の先端が基板Gへ向き、窒素ガスを基板Gに向けて供給する。これにより乾燥時間が短縮される。スピン乾燥が終了した時点で、窒素ガスの供給を停止し、再び関節部分99aを元の位置に戻してノズル98と配管99の全体を略水平に保持して待機状態に入る。
こうしてスピン乾燥が終了した後には基板Gの回転を停止し、スピンチャック41を上昇させ(ステップ15)、そのタイミングに合わせて搬送アーム19aを現像処理ユニット(DEV)24a〜24c内に挿入して、基板Gの受け渡しを行い、その後にイオナイザーを用いてスピンチャック41に発生した静電気の除去(除電)を行う(ステップ16)。この除電は、先にスピン乾燥時にガスブロー機構を用いて窒素ガスを基板Gに吹き付けた方法と同様にして、イオナイザーを用いてイオン化させたガスを基板Gに供給することにより行うことができる。
上述したステップ1からステップ16までの一連の工程が終了した後のスピンチャック41上に基板Gがない状態では、インナーカップ46とアウターカップ47は下段位置にあることから、ステップ1の状態が満足されていることになる。また、次に処理すべき基板Gが搬送アーム19aにより現像処理ユニット(DEV)24a〜24c内に搬送されれば、ステップ2以降の前述した工程に従って基板Gの現像処理を継続して行うことができる。
こうして、ロットAの全ての基板Gについての現像処理を終了した後には、送液経路Aに設けられた三方バルブ57a(図6参照)において、現像液Aの供給側のバルブを閉じて真空吸引側のバルブを開け、パドル形成用ノズル80aに残留している現像液Aを排出するように操作する(ステップ17)。こうして、パドル形成用ノズル80aからの現像液Aの液垂れが防止される。その後は、上述したステップ1からステップ16と同様にして、ロットBの基板Gについて、パドル形成用ノズル80bを用いた現像液Bによる現像処理を行う(ステップ18)。このようにして、異なる現像液A・Bを用いた現像処理を連続的に行うことができる。
ロットBの全ての基板Gについて現像処理が終了した後には、送液経路Bに設けられた三方バルブ57b(図6参照)において、現像液Bの供給側のバルブを閉じて真空吸引側のバルブを開け、パドル形成用ノズル80bに残留している現像液Bを排出し(ステップ19)、全ての処理が終了する。
次に、現像処理ユニット(DEV)24a〜24cについて、現像液供給機構の構成を違えた別の実施の形態について説明する。図5では、2本の同じ構造を有するパドル形成用ノズル80a・80bをノズル保持アーム51に配設した形態を示したが、現像液の吐出形態の異なる別の現像液吐出ノズルを配設することも可能である。例えば、図9は、ノズル保持アーム51にパドル形成用ノズル80aと、所定の強さで現像液を基板Gに向けて吹き付け供給するスプレーノズル80cを配設した形態を示している。パドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cは、昇降機構58a・58cにより上下に別個に位置調節が可能となっている。
ノズル保持アーム51にパドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cを配設した場合には、前記した図6の場合とは異なり、例えば、図10に示すようにパドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cに同一の現像液が供給されるように現像液の送液経路A・Cを構成し、そして最初にパドル形成用ノズル80aを用いて現像液パドルを形成した後に、スプレーノズル80cを用いて形成された現像液パドルの上からさらに現像液を塗布する。
スプレーノズル80cに形成された略楕円状の現像液吐出口85cからは現像液が略扇形平面状にして吐出されるようになっており、こうして吐出された現像液の吐出勢いは、パドル形成用ノズル80aを用いた場合よりも大きい。このようにして圧力(インパクト)を与えながら基板Gに現像液を塗布することにより、先に形成された現像液パドルが撹拌され、現像反応がより均一に進行するようになる。こうして現像特性が向上し、より明瞭で均一なパターンが得られ、しかも現像時間が短縮される。
なお、現像液吐出口85cの形状は、図9に示すような略楕円形状に限定されるものではなく、円形や長円形等であってもよい。また、現像液吐出口85cから吐出される現像液の形態も略扇形平面状に限定されるものではなく、円錐状等であっても構わない。さらに、現像液吐出口85cは、図9に示すように一直線上にあるように配設しなければならないものではなく、例えば、千鳥状に配設してもよい。
また、各送液経路A・Cには、脱気モジュール59a・59c、三方バルブ57a・57cが配設されており、パドル形成用ノズル80a内の現像液とスプレーノズル80c内の現像液を個別に排出することができるようになっている。但し、パドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cからは同じ現像液が供給されることから、例えば、一方のノズルの使用中に他方の使用していないノズルから液垂れが生じても、現像特性に与える影響は無視することができる。
上述したパドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cを用いて同一の現像液を基板Gに塗布する場合の現像処理工程は、図11のフローチャートに示す通りである。図11に示した現像処理工程においては、先に図7のフローチャートを参照しながら説明したように、2本のパドル形成用ノズル80a・80bをノズル保持アーム51に配設して、異なるロットの基板Gに対して異なる現像液A・Bを用いて連続的に処理を行うという現像処理工程は採らない。しかし、図11に示したステップ1からステップ6およびステップ8からステップ16までの工程は、図7に示した現像処理工程のステップ1からステップ6およびステップ8からステップ16までと同様である。
従って、ステップ6からステップ8に至る工程を詳しく説明すると、ステップ6においてパドル形成用ノズル80aを用いて基板G上に現像液パドルを形成した後には、パドル形成用ノズル80aを昇降機構58aを駆動させて上方に保持し(ステップ7−1)、代わりにスプレーノズル80cを昇降機構58cを駆動させて下方位置に保持する(ステップ7−2)。そして、スプレーノズル80cを用いてパドル形成用ノズル80aによって形成された現像液パドルの上からさらに現像液を塗布し(ステップ7−3)、現像処理を進行させる。
なお、ステップ7−3の工程においては、基板Gを所定の低い回転数で回転させながら、スプレーノズル80cから現像液を吐出させても構わず、ステップ7−3以降は基板Gを回転させたままステップ9へ移行してもよい。基板Gを回転させて基板Gから一部の現像液を排出しながら一方で新しい現像液を塗布することによって、現像反応の進行を早め、処理時間を短縮することができる。
スプレーノズル80cによる現像液の塗布が終了したら、スプレーノズル80cを昇降機構58cを駆動させて上方に保持し(ステップ7−4)、ノズル保持アーム51を待避させる(ステップ8)。さらにステップ9以降の処理を行うが、ここで、ステップ16において、スピンチャック41から搬送アーム19aへの基板Gの受け渡しが全ての基板Gについて終了した場合には、三方バルブ57a・57cにおける現像液供給側のバルブを閉じて、真空吸引側のバルブを開けることにより、パドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80c内の現像液を排出する(ステップ17a)。こうして、現像処理が終了する。
次に、現像液供給機構の別の実施の形態について図12の平面図を参照しながら説明する。図12に示した現像処理ユニット(DEV)24a〜24cは、現像液の供給のためのノズル保持アーム51を有しており、ノズル保持アーム51は駆動機構52によってガイドレール53に沿って駆動されるようになっている。
ノズル保持アーム51には、パドル形成用ノズル80a、スプレーノズル80c、プレリンスノズル60aの3本のノズルが配設されている。従って、パドル形成用ノズル80a、スプレーノズル80c、プレリンスノズル60aの吐出口の高さ位置を調節する機構が、ノズル保持アーム51とそれぞれのノズルとの間に設けられる。
なお、プレリンスノズル60aは、例えば、リンス液吐出ノズル60と同様に、直管状のノズルを用いて構成され、基板Gへのスプレーノズル80cを用いて所定の現像液を基板Gに塗布した直後に、引き続いて所定のリンス液を基板Gに供給し、現像反応を停止させる役割を果たす。こうして、スプレーノズル80cを用いて均一な現像反応を進行させた後、すぐにプレリンスノズル60aからリンス液を吐出して現像反応を停止させることにより、現像液が基板G上に滞留する時間が短くなり、現像反応の均一性をより高めることができ、優れた形状精度を有するパターンを得ることが可能となる。
図12に示した現像処理ユニット(DEV)24a〜24cでは、プレリンスノズル60aに加えてリンス液吐出ノズル60も配設されており、プレリンスノズル60aによる現像反応の停止後は、リンス液吐出ノズル60を用いたリンス処理を行う。もちろん、プレリンスノズル60aにリンス液吐出ノズル60の役割を担わせることは可能である。
しかしながら、その場合には、現像液を吐出するパドル形成用ノズル80aとスプレーノズル80cもまたリンス処理時に基板G上にあることとなり、例えば、リンス処理が終了してスピン乾燥処理へ移行ためにノズル保持アーム51を基板Gから待避するように移動させたときに、パドル形成用ノズル80aまたはスプレーノズル80cから基板G上への現像液の液垂れ等が発生するおそれがある。こうした現像液の液垂れにより基板Gに現像不良が発生することが懸念されることから、リンス処理の最終段階ではリンス液のみを吐出するノズルが基板G上にあり、リンス液を供給している形態を採ることが好ましい。
ノズル保持アーム51に配設されたパドル形成用ノズル80a、スプレーノズル80c、プレリンスノズル60aを用いた現像処理工程のフローチャートを図13に示す。図13に示したステップ1からステップ3およびステップ9からステップ16までの工程は、図7および図11に示した現像処理工程と同様である。従って、ステップ4からステップ8に至る工程を詳しく説明すると、ステップ3に従って、スピンチャック41を降下させて基板Gを所定位置に保持した後、ノズル保持アーム51を駆動させて、パドル形成用ノズル80aによる現像液パドル形成を行う(ステップ4a)。このときには、パドル形成用ノズル80aの現像液吐出口85aがスプレーノズル80cの現像液吐出口85cとプレリンスノズル60aのリンス液吐出口よりも下方に位置するように、高さ位置を調整しておく。
次に、パドル形成用ノズル80aをノズル保持アーム51に近づくように上昇させて高さ位置を調整し、その代わりにスプレーノズル80cの現像液吐出口85cが最も下方に位置するようにして、基板G上に形成されている現像液パドルの上からさらに現像液を塗布する(ステップ5a)。スプレーノズル80cによる現像液の塗布の終了後には、スプレーノズル80cをノズル保持アーム51に近づくように上昇させて高さ位置を調整し、代わりにプレリンスノズル60aのリンス液吐出口が、スプレーノズル80cの現像液吐出口85cよりも低い位置にくるように、プレリンスノズル60aの位置調節を行う(ステップ6a)。その後、プレリンスノズル60aからリンス液の吐出を始めるとほぼ同時に、基板Gの回転を開始し、また、排気口49からの排気動作を開始する(ステップ7a)。プレリンスノズル60aからのリンス液の吐出終了後は、基板Gを回転させたままノズル保持アーム51を待避して、代わりにリンス液吐出ノズル60を駆動し(ステップ9)、以降のリンス処理に入る。
なお、スプレーノズル80cによる現像液の塗布終了からプレリンスノズル60aによるリンス液の吐出開始までの時間をできるだけ短くすることにより、現像反応の均一性を確保した状態で現像反応を停止することができ、こうして均一で形状精度に優れたパターンを得ることが可能となる。
また、上記説明ではステップ7aにおいて基板Gの回転を開始したが、スプレーノズル80cによる現像液の塗布(ステップ5a)を基板Gを所定の低い回転数で回転させながら行い、基板Gを回転させた状態でプレリンスノズル60aによるリンス液の吐出を開始することも好ましい。この場合には、基板Gを回転させながら現像を行うことによって発生する渦巻状の現像跡の発生を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明が上記形態に限定されるものでなく、種々の変形が可能である。例えば、図5に示したように、1本のノズル保持アーム51に2本のパドル形成用ノズル80a・80bを配設した場合に、さらにノズル保持アーム51にプレリンスノズル60aを配設して、個々のノズルに昇降機構を設けて処理液の吐出口の位置を調節できるように構成する。この場合に、現像液パドルの形成時間を長く取り、その代わりに現像液パドルを放置して現像反応時間をかけることなく、現像液パドル形成後は即座にプレリンスノズル60aからリンス液を吐出させて、現像反応を停止させるといった現像処理を行うことができ、これにより明瞭な現像パターンを得ることができるようになる。
また、ノズル保持アーム51を2本配設して、それぞれのアームにパドル形成用ノズル80a、スプレーノズル80c、プレリンスノズル60aを1本ずつ配設し、アーム毎に異なる種類および/または濃度の現像液が吐出できるように構成しておくと、使用する現像液の異なるロットの基板Gに対する現像処理に容易に対応することができるようになる。
ノズル保持アーム51に配設することができるノズルの数は任意であり、例えば、1本のノズル保持アーム51に3本以上のパドル形成用ノズル80a(80b)またはスプレーノズル80cを配設し、さらにプレリンスノズル60aを配設してもよい。また、1台の現像処理ユニット(DEV)24a〜24cに配設されるノズル保持アーム51の数は2本以上を配設することも可能である。
基板Gを保持する手段としては、上記実施形態のように、基板Gを吸着力により保持するスピンチャック41に限定されず、例えば、基板Gよりも大きなスピンプレート上に凸に形成された複数の固定ピン上に基板Gを載置して、基板Gを回転させた際に基板Gの位置がずれないように、基板Gの端面の所定位置、例えば、4隅において基板Gを別のピン等で保持するメカニカルな方法を用いることもできる。
また、現像処理工程においては、インナーカップ46とアウターカップ47とを昇降させて現像液の振り切り、リンス処理、スピン乾燥時の位置調節を行ったが、インナーカップ46とアウターカップ47を固定として、スピンチャック41を昇降させて所定位置に保持しながら、現像液の振り切り等の処理を行うことも可能である。さらに、上記実施形態では、LCD基板を被処理基板として説明してきたが、半導体ウエハ、CD基板等の他の基板についても用いることが可能である。