JP3920953B2 - 3次元fft装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば移動体通信、衛星通信、衛星放送受信、レーダー、電波望遠鏡などに使用可能な3次元FFT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信や電波信号源観測を行う場合においては、方向分析のためにFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を利用することや、周波数分析のためにFFTを利用することが知られている。
【0003】
このような従来より知られていた技術として、上記周波数分析をFFTで実現する方法については、多くの教科書的書物で説明されているので、説明を省略するが、例えば、N次FFTによれば、N個の複素時系列データからN個の周波数区間に分解分析をすることが可能となっている。
【0004】
また、上記FFTにより方向分析を実現する方法については、同時に多方向を観測する(いわゆるマルチビーム化する)ことが容易に実現できるので、相関演算などによる他の方向分析方法(例えばいわゆるビームフォーミング等)と比べて、その観測測定速度を非常に高速化でき、その効果が大きいことが知られている。
【0005】
しかし、2次元的に、しかもマルチビームで方向分析を実現するFFT方向分析法については、その例が少なく、例えば本件出願人らが先に提案している特願昭60−5449号の明細書及び図面に記載の高速フーリエ変換装置や特願昭61−76920号の明細書及び図面に記載の入力波の到来方向測定装置、電子情報通信学会論文誌 A Vol.J71-A No.2に記載された電波望遠鏡用高速並列FFTプロセッサ、電子情報通信学会技術研究報告 DSP91-44に記載されたビデオ信号用DSP−LSIの電波天文用2次元FFTへの応用等があったが、更に3次元に展開する発想は、従来より存在してない。
【0006】
このように3次元に展開する発想がなかったのは、これまで空間を伝搬する電波の方向を3次元的に扱ったり、或いは空間を2次元的に扱った上に周波数についても細かく分解して扱うような用途が少なく、また、例えば通信や電波信号源観測用に使用することを考えた場合、半導体の演算素子が実現できる演算性能のことを考慮すると、非常に高速で多並列の演算が必要になり、且つ非常に大がかりなハードウェアシステムを必要とするため、その実現が極めて困難であったためである。
【0007】
ここで、前記方向分析をFFTにて実現する具体的方法については、上記の明細書及び図面や文献などが参考になるが、以下に簡単に説明する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る3次元FFT装置は、2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、方向分析のための空間軸2次元並列FFT演算を並列的に行う空間軸2次元並列FFT演算手段と、上記空間軸2次元並列FFT演算手段での方向分析結果として出力される方向別分解結果が並列化され且つ時刻順になっている時系列を、一定時間の信号時系列を一組として並列化し、時間と共に方向順に変換して出力する直並列変換手段と、上記直並列変換手段からの出力を受けて、周波数分析のための時間軸並列FFT演算を並列的に行う時間軸並列FFT演算手段とを有することにより、上述の課題を解決する。
【0009】
図3にはFFTの要素回路としてのバタフライ演算回路の構成を示す。FFTというのは、図3のバタフライ演算回路を要素演算として、この要素演算を多数繰り返して実現されるものである。
【0010】
図3のバタフライ演算回路は、複素加算器である演算器113及び114と、複素乗算器である演算器111及び112とを有してなるものであって、これら2個の複素加算器と2個の複素乗算器を使用することで、2つの複素データ(p+jq)と(r+js)が入力されると、2つの複素データ(t+ju) と(v+jw)を出力するものである。また、上記複素乗算器である演算器111入力されるexp(jα)と演算器112に入力される−exp(jα)は回転子と呼ばれ、これは移相量を意味し、当該バタフライ演算回路のFFT処理全体の中における位置により決まる定数である。なお、図3では、1つの複素データを1本の接続線で表現している。
【0011】
ここで、上記複素加算器は、図4に示すように2個の普通の加算器131及び132を用いて表現できるものである。すなわち図4には一つの複素加算器の概略構成を示し、当該複素加算器では、2つの複素データ(a+jb)と(c+jd)とを加算して、複素データ(e+jf)を生成する。なお、図中のa,b,c,d,e,fの関係は、e=a+c,f=b+dとなっている。
【0012】
また、上記複素乗算器は、図5に示すように4個の普通の乗算器141,142,143,144と2個の普通の加算器146,147を用いて表現できるものである。すなわち図5には一つの複素乗算器の概略構成を示し、当該複素乗算器では、2つの複素データ(a+jb)と(c+jd)とを乗算して、複素データ(g+jh)を生成する。図中のa,b,c,d,g,hの関係は、g=ac−bd,h=bc+adとなっている。
【0013】
なお、図4及び図5では1つの実数或いは虚数のデータを1本の接続線で表現している。
【0014】
結局、図3のバタフライ演算回路は、原理的に8個の乗算器と8個の加算器で実現できる。ただし、実際には、回転子の位相により演算が不要になる部分も多い。
【0015】
このようなことから、例えば8次のFFTというのは、図6ような構成により実現されるようになる。当該図6に示す8次FFT回路によれば、8つの複素データI0,I1,I2,・・・,I7(実数部と虚数部に分けると16個のデータI0R,I0I,I1R,I1I,I2R,I2I,・・・,I7R,I7Iとなる)が入力され、8つの複素データO0,O1,O2,・・・,O7(実数部と虚数部に分けると16個のデータO0R,O0I,O1R,O1I,O2R,O2I,・・・,O7R,O7Iとなる)が出力される。なお、各複素データI0R,I0I〜I7R,I7IとO0R,O0I〜O7R,O7Iの下添え字のRとIはそれぞれの複素データの実数部と虚数部であることを示している。すなわちこの図6の構成は、12個バタフライ演算器151〜162を有している。なお、図中Wはexp(jα)を意味し、Wの上添え字の数字がαである。 この図6でも1つの実数或いは虚数のデータを1本の接続線で表現している。
【0016】
次に、図7を用いて電波の方向分析の原理を説明する。
【0017】
この図7においては、アンテナ素子を8個備えている場合の例を示しており、これら8個のアンテナ素子A0〜A7の配列は直線等間隔としている。また、図中の矢印にて示す方向を電波の到来方向であるとすると、電波の波面は図中に示すようにアンテナ配列の法線に対してある角度をなす並行線なっている。
【0018】
このようなアンテナ配列と電波到来方向及び電波の波面の関係を有する場合、上記8個のアンテナ素子A0〜A7への電波の到達時間は少しづつズレるので、ある瞬時の各アンテナ素子A0〜A7での観測波面データを得て8次のフーリエ変換を行うと、標本化時ごとの観測波面の空間周波数、すなわち方向が分析できるのである。
【0019】
ここで、図7の信号処理回路180は、各アンテナ素子A0〜A7にて受信されそれぞれ対応する増幅器170〜177にて増幅された受信信号毎に、高周波増幅、周波数変換、ベースバンド増幅、A/D変換、等化などの処理を行う。当該信号処理回路180では、上記周波数変換の際に直交周波数変換を行い、これにより上記各アンテナ素子A0〜A7からの信号が直交する2つの信号となされ、その2つの信号を実数部と虚数部と見なして複素信号として扱う。なお、上記信号処理回路180の入出力は、各アンテナ素子A0〜A7に対応する信号になっていて、入力信号はアナログ高周波信号であるが、出力信号はA/D変換後であってディジタルの複素時系列信号となる。
【0020】
上記信号処理回路180の出力データB0R,B0I,B1R,B1I,B2R,B2I,・・・,B7R,B7Iを、それぞれ上記図6に示した8次FFT回路へ前記各複素データI0R,I0I,I1R,I1I,I2R,I2I,・・・,I7R,I7Iとして送り、当該図6の8次FFT回路にて前述したように8次のFFT演算を行えば、上記図6の8次FFT回路より出力される8つの複素データO0R,O0I,O1R,O1I,O2R,O2I,・・・,O7R,O7Iから、上記標本化の瞬間ごとの電波の到来方向を8方向に分解分析した複素データが得られることになる。
【0021】
これは、上記配列されたアンテナ素子A0〜A7群での観測波面データの空間周波数が、図7中の矢印で示す電波到来方向の角度(すなわちアンテナ配列方向に対する電波到来方向の角度)によって異なることを利用している。このように、上記8個の各アンテナ素子と8次FFTとにより、8方向の分解分析が可能となる。なお、図7でも図中のRとIはそれぞれの複素データの実数部と虚数部であることを示しており、また1つの実数或いは虚数のディジタルデータを1本の接続線で表現している。
【0022】
次に図8には、縦方向(Y軸方向)に8個且つ横方向(X軸方向)に8個の合計64個のアンテナ素子A00〜A77を2次元配列した例を示している。前記図7の例では8個のアンテナ素子A0〜A7を1次元的に配列していたが、この図8に示す2次元配列アンテナのようにX軸方向とY軸方向に各8列で合計64個のアンテナ素子A00〜A77を2次元的に等間隔に配列すると、X軸方向に対して8方向分の電波到来方向を分解分析でき、さらにY軸方向に対しても8方向分の電波到来方向を分解分析できるため、合計で64方向分の電波到来方向を分解分析可能となる。
【0023】
この図8に示したような2次元配列アンテナに対応するFFT回路としては、図9に示すような構成の2次元並列FFT回路が適用されることになる。すなわちこの図9に示す2次元並列FFT回路は、図8のような2次元配列された64個の各アンテナ素子A00〜A77に対応して電波到来方向を分析するものである。なお、図9においては、前述した図6のように各バタフライ演算器やそれらの接続関係を全て図示すると見にくくなるのでこれらを省略して示しており、前記図6同様の8次FFT回路を一つのブロックとして図示し、これら8次FFT回路を示すブロックをX軸方向用(8次FFT回路X0〜X7)とY軸方向用(8次FFT回路Y0〜Y7)に分けて図示している。また、この図9の各8次FFT回路X0〜X7及びY0〜Y7上には、入出力される複素データI0〜I7及びO0〜O7を示しているが、これら複素データの実数部と虚数部の図示も省略している。
【0024】
ここで、上記図8に示した2次元配列アンテナの各アンテナ素子A00〜A77の出力と上記図9に示した2次元並列FFT回路のX軸方向の8次FFT回路X0〜X7の入力との対応関係では、図8の各アンテナ素子A00〜A77のうちX軸方向の一列をなす各アンテナ素子A00,A10,A20,・・・,A70の出力が図9の8次FFT回路X0に入力される複素データI0,I1,I2,・・・,I7とそれぞれ対応し、図8の各アンテナ素子A00〜A77のうちX軸方向の一列をなす各アンテナ素子A01,A11,A21,・・・,A71の出力が図9の8次FFT回路X1に入力される複素データI0,I1,I2,・・・,I7とそれぞれ対応し、以下同様にして、図8の各アンテナ素子A00〜A77のうちX軸方向の一列をなす各アンテナ素子A07,A17,A27,・・・,A77の出力が、図9の8次FFT回路X7に入力される複素データI0,I1,I2,・・・,IN7にそれぞれ対応する。
【0025】
さらに、図9の2次元並列FFT回路において、X軸方向の各8次FFT回路X0〜X7とY軸方向の8次FFT回路Y0〜Y7との間の入出力の対応関係では、X軸方向の8次FFT回路X0から出力される複素データO0がY軸方向の8次FFT回路Y0へ入力される複素データI0に対応し、X軸方向の8次FFT回路X1から出力される複素データO0がY軸方向の8次FFT回路Y0へ入力される複素データI1に対応し、以下同様にして、X軸方向の8次FFT回路X7から出力される複素データO0がY軸方向の8次FFT回路Y0へ入力される複素データI7に対応する。また、8次FFT回路X0からの出力複素データO1が8次FFT回路Y1への入力複素データI0に対応し、8次FFT回路X1からの出力複素データO1が8次FFT回路Y1への入力複素データI1に対応し、以下同様にして、8次FFT回路X7からの出力複素データO1が8次FFT回路Y1への入力複素データI7に対応する。以下同じように対応付けられており、8次FFT回路X0からの出力複素データO7が8次FFT回路Y7への入力複素データI0に対応し、8次FFT回路X1からの出力複素データO7が8次FFT回路Y7への入力複素データI1に対応し、以下同様にして、8次FFT回路X7からの出力複素データO7が8次FFT回路Y7への入力複素データI7に対応する。
【0026】
このように図9の2次元並列FFT回路において、X軸方向の各8次FFT回路X0〜X7とY軸方向の8次FFT回路Y0〜Y7との間の入出力が対応付けられることで、Y軸方向の8次FFT回路Y0〜Y7の各出力に、64方向の各方向ごとの複素データ時系列が得られるようになる。この図9に示す2次元並列FFT回路では、上記2次元のFFT演算を並列演算処理しているので、64方向の電波到来方向の分析結果が毎サイクル出力されることになる。
【0027】
上述したような電波到来方向の分析機能は、通信などで活用できる。また、上記64方向の各方向ごとの複素データ時系列に対して、それぞれ例えば自乗積分を施すようにすれば、各方向毎の電波の強度を得ることができ、さらにこれら各方向毎の電波の強度分布を表示することにより、レーダーや電波望遠鏡に利用可能となる。
【0028】
上述した図3,図6,図9の構成は、強力なCPU(中央処理装置)の上に載せるソフトウェアプログラムにて実現できれば、ハードウェアにて実現するよりも構成が簡略化できると共にコストも低減可能となるが、通信や電波源測定の用途に対してそれが実現できるような強力なCPUは当面の半導体技術では無理である。したがって、現状では、上記図3,図6,図9の構成はできる限りの並列化とパイプライン化を施したハードウェア構成にて実現するしかない。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、移動体通信などでは、通信の相手としてできるだけ多くを扱えたほうがよいし、その扱える通信情報量も多いほうがよい。さらに移動体通信などでは、通信の相手との位置関係が時々刻々変化するので、電波到来方向や周波数について、自在に分解して扱えることが望まれる。
【0030】
また、衛星による通信や放送においては、今後衛星が増えたり、放送チャンネルが増えることが予想されるので、やはり電波到来方向や周波数についての自由度が大きいことが望まれる。
【0031】
レーダーや電波望遠鏡においても、その観測や測定を高速に行うためには、同時に多方向を観測し、また周波数分析についても同時に細かく行いたいという要求があり、この場合もやはり電波到来方向や周波数について、自在に分解して扱えることが望まれる。
【0032】
ところが、従来の通信や電波信号源観測においては、電波到来方向の分析についてのみFFTを利用するものや、周波数分析についてのみFFTを利用することは知られていたが、2次元以上でしかもマルチビームで電波到来方向の分析を実現するFFT方向分析法についてはその例が少なく、更にこれを3次元に展開する発想も従来はなかった。また、このような電波到来方向の分析を行い、更にこれを3次元に展開するようなFFTを実現するためには、高速で多並列の演算が必要となり、大規模なハードウェアになってしまう。したがって、構成が簡単な方式が望まれている。
【0033】
そこで、本発明はこの様な実情に鑑みてなされたものであり、電波到来方向の分析を行い、更にこれを3次元に展開するようなFFTを、小規模で且つ安価な構成によって実現することができる3次元FFT装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明の3次元FFT装置は、2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、方向分析のための空間軸2次元FFT演算を行い、この空間軸2次元FFT演算結果を受けて、周波数分析のための時間軸FFT演算を行うことにより、上述の課題を解決する。
【0035】
すなわち、本発明によれば、2次元配列したセンサ素子からの信号に対して、方向分析と周波数分析の両方を行うようにしている。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照にしながら説明する。
【0037】
図1には、本発明実施例の3次元FFT装置の全体構成を示す。なお、この図1では、1つの実数或いは虚数のディジタルデータをそれぞれ1本の接続線で表現している。
【0038】
この図1おいて、センサ素子としての64個のアンテナ素子A0,A1,A2,・・・,A63は、前記図8のようにY軸方向に8列でX軸方向に8列の2次元的に配列されている。すなわち、図1の64個のアンテナ素子A0〜A63のうち、アンテナ素子A0,A1,A2,・・・,A7は前記図8のアンテナ素子A00,A10,A20,・・・,A70とそれぞれ対応し、図1のアンテナ素子A8,A9,A10,・・・,A15は前記図8のアンテナ素子A01,A11,A21,・・・,A71とそれぞれ対応し、以下同様にして、図1のアンテナ素子A56,A57,A58,・・・,A63は前記図8のアンテナ素子A07,A17,A27,・・・,A77とそれぞれ対応している。これら各アンテナ素子A0〜A63はそれぞれ電波を受信し、アナログ高周波信号を信号処理回路10に送る。
【0039】
上記各アンテナ素子A0〜A63からのアナログ高周波信号は、信号処理回路10の対応する端子に入力される。当該信号処理回路10は、基本的には前述した図7の信号処理回路180と同様な機能を有するものである。ただし、上記64個のアンテナ素子A0〜A63に対応するために、当該図1の信号処理回路10の構成は前記8個のアンテナ素子用であった図7の信号処理回路の8倍の規模となっている。すなわち、当該信号処理回路10には、上記64個のアンテナ素子A0〜A63用として、前記図7と同じ回路が8個独立して用意されている。
【0040】
この信号処理回路10では、各アンテナ素子A0〜A63から供給されたアナログ高周波信号毎に、高周波増幅、周波数変換、ベースバンド増幅、A/D変換、等化など、後段のFFT処理の前処理を行う。また、当該信号処理回路10では、上記周波数変換の際に直交周波数変換を行い、これにより上記各アンテナ素子A0〜A63からの各信号がそれぞれ直交する2つの信号となされ、それら2つの信号を実数部と虚数部と見なして複素信号として扱う。なお、当該信号処理回路10の入出力は、各アンテナ素子A0〜A63に対応する信号になっていて、入力信号はアナログ高周波信号であるが、出力信号はA/D変換後であってディジタルの複素時系列信号となる。
【0041】
当該信号処理回路10の出力データB0,B1,B2,・・・,B62,B63は、空間軸2次元FFT演算手段である2次元並列FFT回路11へそれぞれ入力データI0,I1,I2,・・・,I62,I63として送られる。なお、上記信号処理回路10の出力データB0〜B63及び2次元並列FFT回路11への入力データI0〜I63はそれぞれ複素データであり実数部と虚数部からなるため、これら信号処理回路10と2次元並列FFT回路11との間の接続線はそれぞれ2本で表している。
【0042】
上記2次元並列FFT回路11は、前記図6の8次FFT回路を16個使用する前記図9にて示した2次元並列FFT回路と同様に構成されるものであって、前記2次元配列された各アンテナ素子A00〜A63に対応して電波到来方向を分析するものである。
【0043】
ここで、本実施例における上記64個のアンテナ素子A00〜A63の出力と上記2次元並列FFT回路11の入力との対応関係では、上記アンテナ素子A0,A1,A2,・・・,A7の出力データと2次元並列FFT回路11の入力データI0,I1,I2,・・・,I7とが対応し、上記アンテナ素子A8,A9,A10,・・・,A15の出力データと2次元並列FFT回路11の入力データI8,I9,I10,・・・,I15とが対応し、以下同様にして上記アンテナ素子A56,A57,A58,・・・,A63の出力データと2次元並列FFT回路11の入力データI56,I57,I58,・・・,I63とが対応している。
【0044】
また、当該2次元並列FFT回路11の内部では、前記図9の構成を用いて説明すると、上記2次元並列FFT回路11への入力データI0,I1,I2,・・・,I7(すなわちアンテナ素子A0,A1,A2,・・・,A7の出力)と前記図9の8次FFT回路X0へ入力される複素データI0,I1,I2,・・・,I7とが対応し、2次元並列FFT回路11の入力データI8,I9,I10,・・・,I15(すなわちアンテナ素子A8,A9,A10,・・・,A15の出力)と前記図9の8次FFT回路X1へ入力される複素データI0,I1,I3,・・・,I7とが対応し、以下同様にして、2次元並列FFT回路11の入力データI56,I57,I58,・・・,I63(すなわちアンテナ素子A56,A57,A58,・・・,A63の出力)と前記図9の8次FFT回路X7へ入力される複素データI0,I1,I3,・・・,I7とが対応する。なお、当該2次元並列回路11内部における前記図9の8次FFT回路X0〜X7とY0〜Y7との間の接続関係は前述同様である。
【0045】
このように、当該2次元並列FFT回路11は、前記図9にて説明したようにX軸方向の各8次FFT回路とY軸方向の8次FFT回路とを組み合わせてなり、上記各アンテナ素子A00〜A63にて観測された瞬時瞬時の波面情報としてのディジタル複素信号を上記信号処理回路10から受け取ると、当該ディジタル複素信号を上記瞬時ごとに電波到来方向別に分解分析してディジタル複素データに変換し、電波到来方向毎の複素時系列データとして出力するものである。すなわちこの2次元並列FFT回路11では、上記2次元のFFT演算を並列演算処理しているので、64方向の電波到来方向の分析結果が毎サイクル出力されることになる。言い換えれば、当該2次元並列FFT回路11では、前記8×8個の合計64個を2次元的に配列したアンテナ素子A0〜A63からの信号を、8×8次の2次元並列FFT処理することで、8×8方向(合計64方向)に電波到来方向を分析分解している。
【0046】
なお、上記2次元並列FFT回路11は、光学望遠鏡がレンズによって光の波面をフーリエ変換して、人間の目に画像を結ぶのと同様のことを、ディジタルの電気的なシステムにより実現しているのに他ならない。
【0047】
上記2次元並列FFT回路11の出力データO0,O1,O2,・・・,O62,O63は、直並列変換手段であるシフトレジスタ群12へそれぞれ入力されるデータM0,M1,M2,・・・,M62,M63として送られる。なお、上記2次元並列FFT回路11の出力データO0〜O63及びシフトレジスタ群12への入力データM0〜M63はそれぞれ複素データであり実数部と虚数部からなるため、2次元並列FFT回路11とシフトレジスタ群12との間の接続線はそれぞれ2本として表している。
【0048】
上記シフトレジスタ群12は、直並列変換回路として機能するシフトレジスタ群であり、次段の後述する64次並列FFT回路13で周波数を64区間に分解分析するための準備としてのデータ並べ変えを行うものである。すなわち、当該シフトレジスタ群12は、上記2次元並列FFT回路11での方向分析結果である方向別分解結果が並列化されていて且つそれが時刻順に並んでいる上記複素時系列データ受けて、方向毎に別に用意された64サンプル分のシフトレジスタに蓄積し、それを今度は毎サイクルごとに方向を変えて、順に時系列64サンプル分を一組として並列に出力するものである。言い換えれば、シフトレジスタ群12では、上記2次元並列FFT回路11から供給された方向毎の時系列の入力データM0,M1,M2,・・・,M63を直並列変換し、64サンプル分の時系列データを一組として並列化した出力データN0,N1,N2,...N63を得ている。このように、入力データM0,M1,M2,・・・,M63はそれぞれ方向が違うのであり、出力データN0,N1,N2,・・・,N63はそれぞれ標本化時刻が違うのである。
【0049】
ここで、当該シフトレジスタ群12は、具体的には図2に示すような回路構成にて実現されるものである。ただし、図1のシフトレジスタ群12は、当該図2に示す回路を実数部用と虚数部用の2つ有してなるものであり、その動作は全く同じである。なお、上記実数部用と虚数部用の回路構成は共に同じであるが、図2の例では実数部用のみを図示している。また、この図2でも1つの実数(虚数部用では虚数となる)のディジタルデータを1本の接続線で表現している。
【0050】
この図2において、当該シフトレジスタ群12の実数部用回路は、図中点線で囲む要素回路が64×64個(合計4096個)並べられて構成されている。各要素回路は、2つのレジスタKとLからなる。レジスタKは横方向に64段のシフトレジスタを構成しており、レジスタLは縦方向に64段のシフトレジスタを構成している。レジスタKからレジスタLへの接続においては、全要素回路のKとLの間で、64シフトごとに1回、一斉にデータの移動が行われる。上記レジスタKにより構成されるシフトレジスタとレジスタLにより構成されるシフトレジスタは、普通はそれぞれ所定の方向へシフトを行うものであると考えてよく、したがって例えば各レジスタLは前段のレジスタLの出力を受けるのだが、64サイクルに1回だけ、各レジスタLは要素回路でペアをなすレジスタKの出力を受けるようになっている。すなわち、各レジスタLは、前段のレジスタLの出力を受けるか又はレジスタKの出力を受けるかを選べるように、セレクタが用意されているものである。
【0051】
より具体的に説明すると、当該シフトレジスタ群12においては、各方向毎の時系列データが方向ごとに入力データM0,M1,M2,・・・,M63として供給されており、レジスタKが構成する横方向のシフトレジスタによって標本化周期ごとに右方向シフトを行い、64クロック後には全てのレジスタKに、その時点より過去の64標本化期間分の時系列データが蓄積される。このように全てのレジスタKに時系列データが蓄積されると、これらレジスタKからレジスタLに対して一斉にデータロードが行われ、全てのレジスタKの内容がそれぞれのレジスタKとペアになっているレジスタLに移される。その後、レジスタKからなる全てのシフトレジスタは、次の64クロック期間の時系列データの蓄積を再開する。また、当該レジスタKによって次の64クロック期間の時系列データを蓄積している最中に、レジスタLが構成する縦方向のシフトレジスタは、標本化周期ごとに下方シフトを行う。このとき、レジスタKからなるシフトレジスタもレジスタLからなるシフトレジスタも共に64段であるので、レジスタKの時系列データの蓄積が終わる時には、レジスタLの下方シフトによる次段の64次並列FFT回路13への出力も同じタイミングで終了し、次のレジスタKからレジスタLへの一斉データ移動が行われる。そして、また次のレジスタKからなるシフトレジスタにおける右シフトと、レジスタLからなるシフトレジスタの下方シフトとが開始される。そしてそれが繰り返される。
【0052】
このような動作により、当該シフトレジスタ群12からは、上記レジスタKからレジスタLへの一斉データ移動が行われたタイミングで、先ず最初の入力データM0の方向における64サイクル分の時系列データが並列に出力され、これ以降はレジスタLからなるシフトレジスタの下方シフトにより、クロックごとに順に入力データM1,M2,M3へと方向を変えながら、順にそれぞれの64サイクル分の時系列データを並列に出力する。
【0053】
本実施例では、上記直並列変換回路として上述したシフトレジスタ群12による構成例を示したが、当該直並列変換回路は上記シフトレジスタ群12によらなくても良く、例えば2面構成のメモリを用いることでも実現が可能である。すなわちこの場合は、上記シフトレジスタ群12の場合と同様に64×64個の記憶素子を図9と同様に配置したメモリを2個用意し、これら2個のメモリの同じ位置の記憶素子間で一斉にデータ移動ができるようにしておく。具体的な動作としては、先ず最初に、一方のメモリに対して、例えば横方向から順にデータを書き込んでゆき、上の行の書き込みが終わった後は下の行に対して同様に横方向から順にデータを書き込んでいくことにより、当該一方のメモリが一杯になるまでデータの書き込みを行う。次に、当該一方のメモリが一杯になると、この一方のメモリ内の各記憶素子に記憶された各データを、他方のメモリのそれぞれ対応する記憶素子に一斉に移動する。次いで、当該他方のメモリからは縦方向に順番にデータを読み出すようにし、前の列の書き込みが終わった後は次の列に対して同様に縦方向から順にデータを読み出していくことにより、当該他方のメモリに記憶された全てのデータを読みだしていく。このようにすることで、2面構成のメモリによって上記シフトレジスタ群12と同様の直並列変換が可能となる。
【0054】
上記シフトレジスタ群12の出力データN0,N1,N2,・・・,N62,N63は、時間軸FFT演算手段である64次並列FFT回路13へそれぞれ入力されるデータI0,I1,I2,・・・,I62,I63となる。なお、上記シフトレジスタ群12の出力データN0〜N63及び64次並列FFT回路13への入力データI0〜I63はそれぞれ複素データであり実数部と虚数部からなるため、これらシフトレジスタ群12と64次並列FFT回路13との間の接続線もそれぞれ2本として表している。
【0055】
上記64次並列FFT回路13は、64次の1次元並列FFT回路からなり、64個の各方向毎の周波数を分解分析するものであって、周波数分析する方向をサイクル毎に変える形で処理している。すなわち当該64次並列FFT回路13への入力としては、上記シフトレジスタ群12の実数部用と虚数部用の回路によって同じ方向の64個の実数部時系列データとやはり64個の虚数部時系列データが同じサイクルに得られ、これら64クロック分の複素時系列データがクロックごとに方向を変えながら与えられるので、順に周波数分析のための64次FFT処理を行っていく。これにより、当該64次並列FFT回路13からの出力としては、クロック毎に上記方向を変えながらその方向毎の周波数分析結果が並列に得られることになる。なお、この64次並列FFT回路13における64次のFFT処理については、その原理は既知の通りであるためここでは特に説明しないが、具体的には前記図6に示した8次FFT回路を64次に拡張したものである。
【0056】
上記64次並列FFT回路13の出力データO0,O1,O2,・・・,O62,O63は、それぞれ自乗積分回路14へ送られる。なお、上記64次並列FFT回路13の出力データはそれぞれ複素データであり実数部と虚数部からなるため、上記64次並列FFT回路13と自乗積分回路14との間の接続線もそれぞれ2本として表している。
【0057】
上記自乗積分回路14は、通信などの用途では不要であるが、例えばレーダーや電波望遠鏡のような用途では必要になり、自乗積分を行うことにより、方向毎のパワーを求めるものである。このように自乗積分回路14では、方向と周波数ごとに自乗積分を行うことにより、S/N改善がなされ、非常に微弱な電波源も検出できるようになる。
【0058】
上記自乗積分回路14からのパワーを示す出力データD0,D1,D2,・・・,D62,D63は、本実施例の3次元FFT装置の出力として取り出される。ただし、当該自乗積分回路14を用いない場合、本実施例の3次元FFT装置の出力は、上記64次FFT回路13の各出力となる。上記自乗積分回路14から出力データは、複素データではなく上述のようにパワーを表すためそれぞれ1本で表す出力となっている。
【0059】
本実施例の3次元FFT装置の出力データD0,D1,D1,・・・,D63は、周波数別であってもまた方向別であっても良く、自乗積分回路14内でのデータの並べ方次第である。ここで、上記出力データD0,D1,D1,・・・,D63を例えば上記方向分析別であるとし、それぞれを例えば表示装置の輝度信号として、これら出力データD0,D1,D1,・・・,D63のそれぞれを例えばX軸方向に8個及びY軸方向に8個ずつ並べて8×8の2次元的に配列し、これを上記表示装置のディスプレイ上に表示すれば、周波数区間ごとの電波源観測画像を表示することが可能となる。これにより、方向については64方向、周波数については64周波数区間に分解分析がなされたわけである。
【0060】
上述したように本発明実施例では、各アンテナ素子の配列を8×8個の合計64個とした2次元配列を例に挙げて説明したが、前述したような8個の直線配列であってもよく、また、縦或いは横方向の配列数も上記8個に限定せず、何れの数であってもよい。このように、N×N個のアンテナ素子を用いた場合、図1の2次元並列FFT回路11に対応する部分の構成と前記64次並列FFT回路13に対応する部分の構成は、それぞれに設けられるFFT部が、Nの自乗の次数のFFTを行うものとなされる。また、N×N個のアンテナ素子を用いた場合の上記シフトレジスタ群12に対応する部分の構成は、Nの自乗個のデータ入力とNの自乗個のデータ出力に対応する回路を実数用と虚数用とで2面設けるものとなる。これによって、方向についてはNの自乗方向、周波数についてはNの自乗周波数区間に分解分析を行うことが可能となる。
【0061】
さらに、縦方向と横方向に配列するアンテナ素子の数は異なってもよく、したがって、N×M個に配列したアンテナ素子を用いることも可能である。このようにN×M個のアンテナ素子を用いた場合、前記2次元並列FFT回路11に対応する部分の構成と前記64次並列FFT回路13に対応する部分の構成は、それぞれに設けられるFFT部が、N×M次のFFTを行うものになされる。また、このときの前記シフトレジスタ群12に対応する部分の構成は、N×M個のデータ入力とN×M個のデータ出力に対応する回路を実数用と虚数用とで2面設けたものとなされる。これによって、方向についてはN×M方向、周波数についてはN×M周波数区間に分解分析を行うことが可能となる。なお、N×M個のアンテナ素子配列を想定するときの前記図9に相当する図1の2次元配列FFT回路11の部分の構成としては、N次並列FFTを行う部分をM個と、M次並列FFTを行う部分をN個用意し、これらを直列接続することで実現可能である。一方、前記64次並列FFT回路13に対応する構成としては、FFT部がN×M次の1次元FFTを行うものとなる。
【0062】
また、FFTのバタフライ演算回路の構成方法やその接続構成方法については、いろいろな変形が知られているが、本発明実施例では、特にその変形には無関係であり、どのようなものを採用しても違いはない。本実施例の3次元FFT装置では、前記FFTを行うための構成要素であるバタフライ演算回路として、前記図3に示したようないわゆるラディックス2のものを用いたが、いわゆるラディックス4などでも、或いは一部を時分割処理をしたり、ソフトウェアで実現したものでも、或いはまた一部の回転子をハードウェアで固定したものでもよく、前述同様なことは実現できる。
【0063】
なお、本実施例ではデータのビット数については触れなかった。ビット数については、その用途における演算精度の設定によって個々に異なるが、方式には関係ない。また、本実施例では、電波の受信系のみを説明したが、本実施例手法自体に可逆性があり、受信系の逆操作により、送信系でも受信系と同様に方向と周波数を高速に多数合成して送信することが可能であり、その用途は広い。
【0064】
上述したように、本発明実施例の3次元FFT装置においては、8×8個で合計64個のアンテナ素子を2次元的に配列し、これらアンテナ素子群からの信号を、8×8次の2次元並列FFT処理によって8×8方向(合計64方向)に分解し、その後64次の1次元FFT処理で64周波数区間に周波数を分解している。したがって、ある方向から到来し、ある64周波数区間に集中された信号について見れば、到来方向と周波数とで4096倍(dB)のS/N電力改善が実現されている。見方を変えると、64方向の相手を区別して、同時に扱うことができ、かつ、64周波数区間の相手を区別して同時に扱うことができる。このため、アンテナ素子配列がN×N個の2次元配列であれば、Nの4乗のS/N改善となり、また、アンテナ素子配列がN×M個の2次元配列であれば、N×Mの2乗のS/N改善となる。
【0065】
このように、本実施例によれば、電波到来方向の分析と周波数分析が両方同時に実施され、しかもその方向分析はマルチビームが実現され、同時に多方向を別々に扱うことができている。また、本実施例によれば、方向を分解するだけでなく周波数も分析しており、これらの分析が細かいほどにその回線のS/Nは改善されるので、例えば通信であれば同時に別方向の多数の相手と多数の周波数で別々にS/Nの良い通信が確保される。さらに、電波源測定のような用途では、同時に多方向を観測しながら同時に各方向別に周波数分析も実施してしまうので、非常に効率のよい観測が可能である。別の見方をすると、周波数ごとの観測画像を得るというようなことも、別々の演算処理をすることなく実現している。
【0066】
このように、本発明実施例によれば、移動体通信、衛星通信、衛星放送受信、レーダー、電波望遠鏡などの多くの用途に有効な効果を有する。すなわち、例えば移動体通信などでは、通信の相手としてできるだけ多くを扱えたほうがよいし、その通信の相手との位置関係も時々刻々変化するので、方向や周波数についての自由度が大きく、同時に多数の分解分析ができたほうがよく、また、衛星による通信や放送においては、今後衛星が増えたり、チャンネル数が増加したりすることが考えられ、さらに、レーダーや電波望遠鏡においても、その観測を高速に行うためには、同時に多方向を観測し、また周波数分析についても同時に細かく行いたいという要求があり、本発明実施例によれば、こういった多くの用途で大きな効果を上げることが可能となる。
【0067】
また、図1の2次元配列FFT回路と64次配列FFT回路は、本実施例の説明ではあたかも別々の構成のように述べているが、実際にはこれらを同じハードウェア構成として使用することが可能である。すなわち、図1の2次元配列FFT回路は、前記図9の構成を有しており、この図9のX軸方向のFFT処理部とY軸方向のFFT処理部とを組み合わせた構成は、64次FFT処理を行える構成となっている。より具体的に説明すると、前記図9では8次FFT回路8台によりX軸方向のFFT処理部を実現し、もう一組の8次FFT回路8台によりY軸方向のFFT処理部を実現し、それらを直列に接続しているが、図9の全体を眺めると、その構成は、FFTの原理によって、個々のバタフライ演算器の回転子の与え方は違ってくるものの、それ以外は64次の場合のFFTと同じ構成になっているのである。すなわち、バタフライ演算器の数も、その間の接続のトポロジーも全く同じなのである。一般に、FFTの各バタフライ演算器に与える回転子はハードウェア化せず、全体制御用コントローラからソフトウェアで発生し与えられるため、ハードウェア構成は前記図9の場合と同じものでよいことになるのである。なお、N×M個のアンテナ素子を想定するときの前記2次元並列FFT回路11の2次元FFT処理部は、M台のN次並列FFT処理部とN台のM次並列FFT部とが直列接続されて実現されることになるが、実際にはこれらも回転子を除いてそのハードウェア構成は全く同じで良い。
【0068】
上述したように図1の2次元並列FFT回路11と64次並列FFT回路13のハードウェアが全く同じでよいというということは、図1の全体構成を非常にわかり易く、且つ作り易くする効果がある。すなわち同じ回路部品を使用でき、同じFFT回路が使えるため、コストアップを防ぐことも可能となる。
【0069】
なお、FFTはよく知られているディジタル信号処理技術であるが、よく利用されるのは、あるひとつの信号時系列を一定時間記憶回路に蓄積し、その時系列について、その信号標本数をその変換次数に対応させたFFTを施し、時間軸データを周波数軸データに変換して周波数を分析するだけの用途である。これに対して、本発明実施例では、2次元配列したアンテナ素子(センサ)で電波を捕らえ、各アンテナ素子における同時刻の標本化データを使って2次元FFTし、これによって空間的な信号分布(波面)を空間的な映像に変換して方向を分解分析し、その2次元FFTの出力について、今度はその各方向ごとに時系列を一定時間記憶回路に蓄積し、その各時系列についてその信号標本数を変換次数に対応させた1次元FFTを施し、時間軸データを周波数軸データに変換して周波数を分析することにより、方向と周波数を高速に多数分解分析し、通信や信号源検出の性能を大きく改善している。このように、本発明実施例では、空間で2次元、時間で1次元の計3次元のFFT処理をしている。
【0070】
【発明の効果】
本発明においては、2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、方向分析のための空間軸2次元FFT演算を行い、この空間軸2次元FFT演算結果を受けて、周波数分析のための時間軸FFT演算を行うことにより、電波到来方向の分析を行い、更にこれを3次元に展開するようなFFTを行うこと、すなわち方向と周波数を同時に分析することを、小規模で且つ安価な構成によって実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の3次元FFT装置の全体構成を示すブロック回路図である。
【図2】シフトレジスタ群の具体的構成を示す回路図である。
【図3】FFTの要素回路としてのバタフライ演算回路の構成を示す回路図である。
【図4】複素加算回路の構成を示す回路図である。
【図5】複素乗算回路の構成を示す回路図である。
【図6】8次の並列FFT回路の構成を示すブロック回路図である。
【図7】電波の方向分析の原理を説明するための図である。
【図8】8×8の2次元配列されたアンテナ素子を示す図である。
【図9】64個のアンテナ素子を2次元配列した2次元配列アンテナに対応する方向分析2次元並列FFT回路の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
0〜A63 アンテナ素子、 10 信号処理回路、 11 2次元並列FFT回路、 12 シフトレジスタ群、 13 64次並列FFT回路、 14 自乗積分回路

Claims (5)

  1. 2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、方向分析のための空間軸2次元FFT演算を並列的に行う空間軸2次元並列FFT演算手段と、
    上記空間軸2次元並列FFT演算手段での方向分析結果として出力される方向別分解結果が並列化され且つ時刻順になっている時系列を、一定時間の信号時系列を一組として並列化し、時間と共に方向順に変換して出力する直並列変換手段と、
    上記直並列変換手段からの出力を受けて、周波数分析のための時間軸FFT演算を並列的に行う時間軸並列FFT演算手段と
    を有することを特徴とする3次元FFT装置。
  2. 上記空間軸2次元並列FFT演算手段は、N×M個に2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、上記方向分析のためのN×M次の空間軸2次元並列FFT演算を行い、
    上記時間軸並列FFT演算手段は、当該空間軸2次元並列FFT演算手段からの出力を受けて、上記周波数分析のためのN×M次の時間軸並列FFT演算を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の3次元FFT装置。
  3. 上記空間軸2次元並列FFT演算手段と上記時間軸並列FFT演算手段とは、同一のハードウェア構成によってなることを特徴とする請求項記載の3次元FFT装置。
  4. 上記空間軸2次元並列FFT演算手段は、N×N個に2次元配列したセンサ素子からの信号を受けて、上記方向分析のためのN×N次の空間軸2次元並列FFT演算を行い、
    上記時間軸並列FFT演算手段は、当該空間軸2次元並列FFT演算手段からの出力を受けて、上記周波数分析のためのNの自乗次の時間軸並列FFT演算を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の3次元FFT装置。
  5. 上記空間軸2次元並列FFT演算手段と上記時間軸並列FFT演算手段とは、同一のハードウェア構成によってなることを特徴とする請求項記載の3次元FFT装置。
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