JP3920645B2 - エンジン用マフラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、自動二輪車などに使用するのに好適な、エンジン用マフラ(サイレンサ)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9に、従来のマフラ(図9(a))とそれを備えた自動二輪車の側面図(同(b))および背面図(同(c))を示す。図9(a)のマフラ1’は、円筒状のマフラボディ70の内部に、穴つき板(パンチングメタル)71や仕切板(バッフルプレート)72・73、バッフルパイプ74・75・76等を取り付けることにより複数の膨張室を構成したものである。マフラボディ70は、内外二重の円筒70a・70b(内側の70bはパンチングメタル製)にて形成し、それらの間に吸音材(グラスウール)70cを充填している。一方の端部にある排気導入口77から他方の端部にある排気排出口78にかけて排気が流れる間に、排気音は、各膨張室での排気の膨張とともに、また各室間の仕切板で生じる反射波が進行波と干渉することにより、さらには吸音材に吸収されて、次第に音圧を下げていく。
【0003】
消音効果(排気音の低減機能)にすぐれてエンジン性能(出力)の面でも好ましいマフラを構成しようとする場合、図示の例のようにマフラボディ70の外径を大きくすることが多い。外径を大きくすれば、各膨張室の容積を大きくとれるほか、図のように複数のバッフルパイプ74・75・76を一つの仕切板73上に取り付けることができ、もって消音効果の高い反射波を前後の膨張室で積極的に作り出せるからである。また、各パイプ74・75・76の径を拡大でき、そのために排気への抵抗を小さくしてエンジン性能を低下させにくくすることができるからでもある。
【0004】
なお、一般にマフラには、消音効果とともに、排気抵抗を小さくしてエンジンの性能をできるだけ発揮させるという特性、さらには、コンパクトで配置の容易であること等が求められる。これらの特性をともに向上させることは困難であるため、従来のマフラは、エンジンの用途やそのマフラの設置箇所等に合わせて、各特性をそれぞれ適切な水準に設定しているのが通常である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9(a)のように直径の大きなマフラ1’は、消音効果やエンジン性能との関係では申し分ないが、相当の容積を有するために配置寸法や占有スペースに関する課題を生じがちである。また、図9(b)のように自動二輪車Xに使用する場合などには外観上の課題も付随することが多い。つまり、マフラ1’が大径であると、それを含む車体幅が図9(c)のように大きくなりがちで、車体をコンパクトにし重量部分を重心位置付近に集めるという理想的な車体設計が難しくなる。また、自動二輪車Xにおけるマフラ1’には、それに至るエキゾーストパイプ62やジョイントパイプ64等の排気管とともに自動二輪車Xの外観を印象づける役割もあるが、マフラ1’の径が太いことによって外観上の軽快感が失われる場合もある。
【0006】
また、図9(a)のようなマフラでは、エンジンの用途等に合わせて設定した上記複数の特性を、エンジンの運転状態に応じて適宜に変更することは困難である。たとえば高出力(高負荷)の運転をする場合には、低出力で運転する場合と違ってエンジン性能に関する特性が重要になるのが一般的だが、高出力の際に消音器の特性をエンジン性能の向上に重点をおくように変更することなどは、図9(a)のマフラでは難しい。
【0007】
請求項に係る発明は、コンパクトであって外観上の利点をもたらすほか、消音効果やエンジン性能の面でもすぐれていて、しかもエンジンの運転状態に応じてエンジン性能に関する特性を適宜に変更することが可能なエンジン用マフラを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載したエンジン用マフラは、
a) 一方の端部に排気の導入口および排出口を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとを、一連に(つまり、並列にではなく前者から後者へと順次に排気が流れるように)接続するとともに、第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とを略同心状に重ねて配置し、
b) 第1マフラボディにおける上記壁面部分を有する側の端部に、開度可変のバルブ(すなわち、直接にもしくは遠隔の操作により、手動でまたは自動的に開度が変更し得るバルブ)とともに開口を設けた−ことを特徴とする。
【0009】
このエンジン用マフラは、自動二輪車やATV(四輪バギー車)等の車両のほか、船舶、発電機、各種の作業機・汎用機等のエンジンに接続されて、つぎのような作用を発揮する。
【0010】
・ 排気抵抗を小さくしてエンジンの性能(出力)を高く発揮させる特性を、エンジンの運転状態に応じて適宜に変更することができる。上記b)のとおり、第1マフラボディにおける上記一方の端部に開度可変のバルブと開口とを設けたからである。つまり、そのバルブを閉じれば、排気の全量を第1および第2マフラボディの内部に通すことにより、排気の圧力(背圧)を高くして低回転時のトルクを高くし(同時に消音効果も向上させ)、そのバルブを開けば、排気の一部(または全量)を第1マフラボディのみを経由させて上記開口からスムーズに外部に排出できる。したがってたとえば、低出力での運転時にはバルブを閉じてエンジン性能をいわゆる低回転型にする一方、高出力の運転時にはバルブを開いてエンジン性能を高回転向きにすることが可能である。
【0011】
・ 消音効果にすぐれていて、排気音中の低周波成分と中・高周波成分とを効果的に除去することができる。低周波成分を除去しやすいのは、上記a)のとおり第1マフラボディが、一方の端部に排気の導入口と排出口とを有していて他方の端部に壁面部分を有するからである。つまり、導入口から第1マフラボディに入った排気の排気音がその壁面部分で反射する結果、進行波と反射波とが第1マフラボディ内で効果的に干渉し合うのである。中・高周波成分をも効果的に除去できるのは、やはり上記a)のとおり、第1マフラボディに対し第2マフラボディを一連に接続していて、排気のすべてが、第1マフラボディとともに第2マフラボディの内部をも通過するからである。第2マフラボディは、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室等を有する一般的な構成をもつため、中・高周波成分の除去性能を高めることが容易なのである。
【0012】
・ 全般的に(つまり上記のバルブが閉じているときを含めて)排気の抵抗を小さくしてエンジン性能を高く引き出すことも容易である。上記のとおり消音効果にすぐれるため、排気がスムーズに通過しやすい構成にすることによって、消音効果とエンジン性能とのバランスをとることができるからである。第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とを略同心状に重ねて配置したことによっても、排気の流路に広い断面積をもたせることができ排気の流れを円滑化できる効果がある。
【0013】
・ コンパクトであって配置容易な構成にすることができる。外径の大きなマフラボディ1本に代えて、上記a)のように2本のマフラボディを使用するからである。つまり、それぞれのマフラボディを小径にすることができ、もって各マフラボディおよびマフラ全体の所要スペースを小さくまとめることができる。またそのことから外観上の利点もあり、このマフラが自動二輪車やATV等の車両に取り付けられたとき、軽快な印象がもたらされる。
【0014】
請求項2に記載のエンジン用マフラはとくに、上記b)にいうバルブとして、スプリングの力で開口を閉じるとともに、受圧部に作用する排気の圧力がスプリングの力を上回ったとき開口を開く自動開閉式のものを取り付けたことを特徴とする。
【0015】
このマフラによると、低出力運転の際に上記b)のバルブを閉じてエンジンに低回転トルクを発揮させやすくする(同時に消音効果も高める)一方、高出力運転の際にはバルブを開いて高回転でのエンジン性能を引き出す、という好ましい運転が自動的に行われる。排気の圧力は、エンジンを高出力で運転するとき高くなり低出力運転のとき低くなるのが通常だから、エンジンが高出力で運転されるときには排気の圧力が高くなって受圧部に強く作用し、スプリングの力を上回ることによって開口を開く(もって排気の一部または全量が第2マフラボディを経由させずに排出する)のである。
【0016】
なおこのマフラでは、バルブの構造が簡単であり、低コストで容易に構成される。上記のバルブとしては、開口を塞ぎ得る弁体と、開口を塞ぐよう適当な力で弁体を押し付けるスプリングとを組み合わせ、スプリングの力と対向する向きに排気の圧力を受ける受圧部を弁体中に設けておけば足りるからである。構造が簡単であるために耐熱性を具備させることが容易で、それゆえに、第1マフラボディ内に配置してもすぐれた耐久性を発揮させることができる。
【0017】
請求項3に記載したエンジン用マフラは、さらに、上記のバルブに、上記のスプリングを覆うように防熱カバーを取り付けることを特徴とする。
そのようにすれば、スプリングの耐熱性と耐酸化性が補われ、バルブが長期間使用可能になる。
【0018】
エンジン用マフラには、バルブとともに設けた上記の開口にテールパイプを接続するのも好ましい。たとえば図8に示すマフラ6は、テールパイプ15Eを使用するものである。そのようにしたマフラなら、高出力運転の際などに上記のバルブを開いて排気の一部または全量を第1マフラボディから外部に排出するときも、排気音を十分に低く抑制することができる。上記のバルブを経て外部に排出される排気が、第2マフラボディを経由しないとはいえ、上記の開口に接続したテールパイプの内部を通るからである。テールパイプは、その内径や長さ等にもよるが一般的には排気音を低減させるので、適当な寸法・材料のものを使用することにより排気音のレベルを適正化し得るのである。
【0019】
請求項4に記載したエンジン用マフラは、
a) 一方の端部に排気の導入口および排出口を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとを、一連に(つまり、並列にではなく前者から後者へと順次に排気が流れるように)接続するとともに、第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とを略同心状に重ねて配置し、
c) 第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管(両マフラボディ間の連結管)のうちに、開度可変のバルブ(すなわち、直接にもしくは遠隔の操作により、手動でまたは自動的に開度が変更し得るバルブ)を設けた−ことを特徴とする。
【0020】
このエンジン用マフラも、自動二輪車やATV(四輪バギー車)等の車両のほか、船舶、発電機、各種の作業機・汎用機等のエンジンに接続されて、請求項1に記載のマフラと同様の好ましい作用を発揮する。すなわち、請求項1のマフラと同じく上記a)の特徴を有するために、低周波成分から中・高周波成分までの消音効果にすぐれているほか、排気の抵抗を小さくしてエンジン性能をよく引き出すことができ、しかも全体がコンパクトでその配置が容易である。第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とを略同心状に重ねて配置しているので、排気の流路に広い断面積をもたせることができ、排気の流れを円滑化できる。
【0021】
また、排気抵抗を下げてエンジンの性能(出力)を高く発揮させる特性を、エンジンの運転状態に応じて適宜に変更することができる。上記c)のとおり、第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管に開度可変のバルブを設けているからである。つまり、そのバルブの開度を下げる(閉じ気味にする)と、第1マフラボディから第2マフラボディに至る排気の流路をせまく絞る(いわゆる背圧を上げる)ことになって低回転時のトルクを高くできる(同時に消音効果も向上する)一方、そのバルブの開度を増すと、流路がそこで絞られた状態が解かれる(背圧が下がる)ために排気が通りやすくなり、したがって高回転時にエンジン出力が発揮されやすくなる。
【0022】
請求項5に記載のエンジン用マフラはとくに、上記c)のバルブとして、索条(ワイヤやロープ・ひも・チェーンなど)を介して操作手段に接続された遠隔操作式のものを取り付けたことを特徴とする。
【0023】
このマフラでは、精密な操作手段(サーボモータなど)を用いてバルブを開閉操作する場合にも、当該手段に十分な耐久性をもたせることができる。バルブには索条を介して操作手段を接続するため、排気のために高温度になるマフラの近傍にその操作手段を配置する必要がないからである。そうして精密・高機能な操作手段を使用すれば、たとえば、エンジンの回転数やスロットル開度等に応じて上記c)のバルブを最適の開度にするという自動制御等も可能になる。
【0024】
請求項6に記載のエンジン用マフラは、上記のマフラにおいて、
b) 第1マフラボディにおける上記壁面部分を有する側の端部に開度可変のバルブとともに開口を設け、かつ、
c) 第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管のうちに開度可変のバルブを設けた−ことを特徴とする。
【0025】
このマフラは、前記したb)およびc)の特徴をともに有することから、排気抵抗を小さくしてエンジンの性能(出力)を高く発揮させる等の特性を、エンジンの運転状態等に応じて一層に柔軟かつ適切に調整することができる。たとえば、上記c)のバルブの開度を適宜設定することにより、低回転でトルクの高い低回転向きの特性にするか、高回転時にエンジン性能が発揮されやすい高回転向きの特性にするかというマフラの基本的な特性を定めるとともに、排気圧力の変化に応じて上記b)のバルブを自動開閉させることによりエンジン出力の急変動に追随できるようにすることが可能である。そのような場合、マフラの基本的性能を自由に設定しながらも、エンジンに出力的な瞬発力をもたせることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての形態を、図1〜図8にしたがって説明する。なお、以下に記載する「右」「左」「前」「後」は、特別に示さない限りいずれも自動二輪車の車体のうち進行方向に向かっていう右・左・前・後をさす。
【0027】
まず図1は、マフラ1についての全体縦断面図(図1(a))とその各部を示す部分詳細図(同(b)〜同(d))であり、図2は、そのマフラ1を取り付けた自動二輪車X1の側面図(図2(a))および背面図(後方から見たもの。同(b))である。
【0028】
図1のマフラ1は、外形を円筒形状にした2本のマフラボディ、すなわち第1マフラボディ10と第2マフラボディ20とを一連に接続することにより構成したものである。
【0029】
第1マフラボディ10は、一方の側の端部11に排気の導入口12と排出口13とを設け、他方の側の端部14には、円盤状の壁面部分を形成するエンドプレート14aと、通常は閉じた状態に保たれるバルブ30とを設けることにより、内部にただ一つの膨張室を形成したものである。この第1マフラボディ10においては、導入口12から入った排気の全量が通常は中ほどで折り返し、図示黒塗り矢印のように進んで排出口13へ進むとともに、排気音も、端部14に到達したうえエンドプレート14aの壁面部分で反射して端部11の側へ戻る。したがって第1マフラボディ10の内部では、排気音の進行波と反射波とが重なり、互いの位相差に基づいて音圧をうち消し合う作用が生じる。しかも、一方の端部11から他方の端部14までの距離が長い(約300mm以上。ただし、低減したい周波数域に合わせて変更する)ため、十分な位相差をとることができて低周波成分を中心に排気音を効果的に低減させることができる。したがって、第1マフラボディ10の直径が小さくても、すぐれた消音性能が発揮される。
【0030】
第1マフラボディ10のより具体的な構造はつぎのとおりである。
まず、円筒状のボディ本体は、ステンレス板からなる円筒10aの内側にグラスウール製の吸音材10cを付けるとともに、さらに内側にステンレス製パンチングメタルよりなる内側円筒10bを挿入して円筒10aと一体化する。
端部14には、エンドプレート14aによって支持させる形で、上記のとおりバルブ30を配置する。バルブ30は開度可変のもので、図1(c)・(d)のとおり構成したものである。すなわち、まず、弁座体34の内部に支軸32を往復動作可能に挿通させるとともに、その一端部(外気側)にパッキン31a付きの円盤型の弁体31を取り付ける。支軸32の他方の端部(マフラボディ10の内側)には係止片32aを固定し、それと弁座体34との間にコイルスプリング33を圧縮して取り付ける。弁座体34には複数の開口35を設け、それらを弁体31によって塞ぎ得るようにする。こうした構成に基づき、バルブ30は、マフラボディ10内の排気の圧力が低い場合にはスプリング33の力で弁体31が弁座体34の開口35を塞ぎ(図1(c)の上半分を参照)、排気の圧力が所定以上に高くなれば、スプリング33の力に抗して弁体31が移動し、開口35を開く(図1(c)の下半分を参照)ことになる。バルブ30より外側には、中央部に短管15を有する仕切板15aを設けているので、開口35が開いたとき、第1マフラボディ10内の排気の一部はこの短管15を経由して外部に排出される。このようにバルブ30を開いて排気を排出するときには、前記した消音上の効果が弱まるものの、排気に対する抵抗が小さくなるのでエンジンに高出力を発揮させやすくなる。なお、バルブ30の構成部品は、ステンレス鋼など耐熱・耐酸化性の高い金属にて構成する。エンドプレート14aおよび仕切板15aもやはりステンレス鋼製とし、溶接によって円筒10a(または10b)の内側に取り付けている。
第1マフラボディ10のもう一方の端部11には、平坦部を有するとともに円筒10a等との溶接が容易なようにU字(またはJ字)形の断面部分を周状に備えた仕切板11aを取り付け、その内側の開口に、排気の導入口12と排出口13とを備えるパイプ64および連結管16(両者を一体化したもの)を挿入し溶接している。
【0031】
パイプ64と連結管16とは、それぞれを別々に仕切板11aに挿入するのではなく、図1(a)のとおり、後者の内側に前者を同心状(正確な同心状態でなくてもよい)に含むよう一体化したうえで仕切板11aに(したがってボディ本体内に)挿入している。すなわち、太めの管をU字形に曲げた連結管16の一部に穴16aをあけ、その穴16aの内側にパイプ64を通したうえ穴16aとの間を全周溶接する。そして、パイプ64と連結管16との一体化をさらに安定させるため、図1(b)のように数片の支持材11bを溶接づけしてパイプ64と連結管16とをつなぐ。このように導入口12と排出口13とを同心状に重ねて配置すると、パイプ64を内側に有する部分において連結管16を十分に太いものにする(最大では仕切板11aの直径に一致させる)ことにより、導入口12だけでなく排出口13およびそれにつづく排気の流路に広い断面積をもたせることができ排気の流れを円滑化できる。同時に、上記した同心状の配置をとると、端部11にある仕切板11aに対するパイプ64および連結管16の溶接も容易になる。なお、この例では、パイプ64を内側に有しない部分において連結管16の直径をやや細めて、排出口13以降の開口断面積がほぼ一定になるようにしている。
【0032】
第1マフラボディ10と第2マフラボディ20とをつなぐ上記の連結管16の内部に、図1(a)のとおり、やはり開度可変のバルブ40を設けている。バルブ40は、連結管16の管壁にて支持される支軸42に円板状の弁体41を取り付けたバタフライ形式のものである。連結管16の外部において支軸42にロータリレバー43を取り付け、そのロータリレバー43に操作用の2本のワイヤケーブル45を接続している。ワイヤケーブル45のいずれかを引くと、支軸42とともに弁体41が連結管16内で角度変位を起こし、連結管16内で排気流路の開閉を実現する。ロータリレバー43をスプリングリターン方式にしたうえワイヤケーブル45を1本のみ使用することによっても、同様の開閉操作が可能である。なお、バルブ40を構成する弁体41や支軸42等も、ステンレス鋼など耐熱・耐酸化性の高い金属にて構成している。
排気流路がこのように開閉されると、第1マフラボディ10内の排気の圧力(背圧)がそれに応じて変動するので、マフラ1は、エンジンの出力に関する特性を(同時に消音効果も)運転中にも適宜に変更し調整することができる。たとえば、バルブ40を全開にする場合には、背圧が低くなってエンジンの高出力を発揮させやすくなる。一方、バルブ40を閉じ気味にすると、背圧が上がってそのような特性が弱まるとともに、吸・排気バルブのオーバーラップ時に吸入混合気が排出されにくい等の理由で低回転でのエンジンの出力トルクが増す(同時に消音効果も増す)。それとは別に、第1マフラボディ10内のバルブ30に使用したスプリング33(図1(c))を軟らかく(バネ定数の小さいものに)しておくと、連結管16内のバルブ40を全閉にしたときなど、排気の全量をバルブ30および開口35から低抵抗で排出することになり、高回転域でエンジンの出力が発揮されやすくなる。
【0033】
連結管16を介して第1マフラボディ10の排出口13につながる第2マフラボディ20は、一方の端部21にある排気導入口22(連結管16の下流端)から他方の端部27にある排気排出口28にかけて、バッフルプレート等により複数の膨張室等を形成した一般的な形式のマフラボディである。具体的には、まずボディ本体は、内外二重の円筒20a・20b(ステンレス製。内側の20bはパンチングメタル)にて形成し、それらの間に吸音材(グラスウール)20cを充填している。内側の円筒20bの内側には、図のようにパンチングメタル製の仕切板23や、バッフルパイプ24aを有する仕切板24、数カ所に開口25aを有する仕切板25、バッフルパイプ26aを有するとともに数カ所に開口26bをもつ仕切板26をプラグ溶接等によって固定している。排気の上流側に相当する一方の端部21においては、上記の連結管16を溶接した仕切板21aを円筒20aに溶接固着し、他方の端部27では、パイプ26aの支持を兼ねる仕切板27aをやはり円筒20aに溶接固着している。
【0034】
こうしたマフラボディ20において、排気は、各仕切板の間を膨張室とし、また仕切板26とバッフルパイプ26a・仕切板27a等とに囲まれた空間を共鳴室としながら、排気排出口28(パイプ26aの下流端)から排出される。各膨張室と共鳴室、および吸音材20cの作用によって、中・高周波成分を中心に排気音が低減される。上記のように第1マフラボディ10にて低周波成分がよく除去されるため、第2マフラボディ20も大きめの直径にする必要がない。内部に概ね直線的な排気流れができるようにしたので、第2マフラボディでの排気の圧力損失は比較的小さい。
【0035】
図1のマフラ1は、上記のように排気音中の低〜高周波の成分を効果的に低減し得る点に加え、つぎのような点でもすぐれている。すなわち、第1マフラボディ10における排気の導入口12と排出口13とに大きな開口断面積を与え得ることや、第2マフラボディ20には概ね直線的な排気流れを形成できることなどから、排気への抵抗を小さくしてエンジンの出力を引き出しやすい。また、細めのマフラボディ10・20を組み合わせてなることに基づいて、太めの一本型のマフラよりもレイアウト上の自由度が高く、コンパクトで美観をともなう配置を実現しやすい。開度可変の二つのバルブ30・40を有するため、エンジンの運転状態等に応じてその出力上の特性等を適切に調整することが可能である。
【0036】
図2に示す自動二輪車X1は、上記のような利点をふまえて図1のマフラ1を排気系に使用したものである。すなわち、自動二輪車X1には、燃料タンク67の下方位置に4気筒4サイクルエンジン61を搭載し、その排気口61aにエキゾーストパイプ62やマニホールド63、さらには、ジョイントパイプ64などの排気管をつないだうえ、それらの末端部分にマフラ1を接続している。
【0037】
排気管等の構成はつぎのとおりである。まず、エンジン61からは、気筒数に等しい4本のエキゾーストパイプ62を前方下部へ向けて延ばし、エンジン61の下方位置に設けたマニホールド63にそれぞれを接続する。マニホールド63は、4つの入側開口と2つの出側開口とを有するもので、これを介することにより、4本のエキゾーストパイプ62の下流端を、2本のパイプ(ジョイントパイプ)64に統合するよう接続する。これら2本のパイプ64のうち1本は、図2(a)・(b)のように車体の左側に配置し、他の1本は図1(b)のとおり車体の右側に配置する。左側および右側に1本ずつ配置した各パイプ64に対し、それらの各下流端を図1に示す排気の導入口12として、マフラ1を接続するのである。
【0038】
図2(a)・(b)のように、マフラ1は、第1マフラボディ10を下側にして第2マフラボディ20との双方を平行に並べ、後輪8の側方であってその車軸より上方(運転者シート68および後部シート69よりは下方)の位置に、斜めを向けて(排気排出口28のある後ろ側を上げて)取り付けている。このような位置および姿勢にマフラ1を取り付けたことに加え、各マフラボディ10・20を小径(それぞれの直径を70〜130mm)にしたこと、および図2(b)のようにマフラボディ10・20を車体の側部に近づけ平行に並べて配置したことなどから、この自動二輪車X1には、走行時に十分なバンク(傾斜)をさせ得ることのほか、車幅が小さく重量部分が中央付近に集約されていること等の利点が備わっている。それに関連して、外観的にも軽快感やスピード感が備わっていて好ましい。そして言うまでもなく、自動二輪車X1は、マフラ1自体の構成および機能に基づいて、排気音およびエンジン性能(出力)の面でも良好である。
【0039】
自動二輪車X1では、連結管16内に配置した前述のバルブ40を、サーボモータ50を操作手段として開度制御している。サーボモータ50にてロータリレバー51を回転させ、その変位をワイヤケーブル45を介してバルブ40のロータリレバー43に伝達させることにより、バルブ40(の弁体41)を開閉操作するのである。図2(a)・(b)のとおり、バルブ40のロータリレバー43は連結管16のうち車体中央寄りの面に配置し、それに接続したワイヤケーブル45も車体フレーム(ステップホルダ等)65の内側(車体中央寄り)に通している。サーボモータ50についても運転者用シート68の下に隠れるように配置したので、バルブ40を操作するための機器は外部からはほとんど目に付かず、外観上有利である。精密機器であるサーボモータ50が、熱源の一つであるマフラ1から離して配置できたことも、使用条件として好ましい。
【0040】
サーボモータ50には、自動二輪車X1の速度など走行状態に関する信号に応じた操作信号をインプットし、走行状態に合わせてバルブ40の開度を制御させることとしている。たとえば高速走行時にはバルブ40を全開にしてエンジン61に高出力を発揮させやすくし、低速走行時には、バルブ40をやや閉じ気味にしてエンジン61の低速トルクを発揮させやすく(同時にマフラ1の消音効果を強く)する。またマフラ1には、上記のバルブ40に加えて第1マフラボディ10内に図1(a)および前記のとおりバルブ30を設けているため、エンジン61の出力が急上昇する場合にそのバルブ30が開き、高負荷(高出力)運転の円滑な実現もはかられる。
【0041】
図3には、図1のマフラ1とは一部が異なるマフラ2を示している。すなわちこのマフラ2は、図3(a)のとおり連結管16A内にバルブがない点と、同(b)のとおり、第1マフラボディ10A内のバルブ30Aに防熱カバー37を付設した点とにおいて前述のマフラ1(図1)と相違する。第1マフラボディ10Aおよび第2マフラボディ20A自体の構成、およびそれらへのパイプ64(導入口12A)・連結管16A(排出口13A)の接続形態、バルブ30Aのうち防熱カバー37以外の構成および機能などは図1のものと同じであるため、マフラ2内での排気(進路を図中の黒塗り矢印で示す)および排気音の進み方は図1の場合と相違がない。このようなマフラ2も、自動二輪車等にて使用するに好適であることはもちろんである。
【0042】
バルブ30Aは、上記のとおり図1のバルブ30と概ね同じ構成を有するが、図3(b)のように、弁座体34との間でスプリング33を装着するための係止片32aと一体に、お椀のように平板部と筒状部とを有する防熱カバー37を支軸32上に取り付けている。この防熱カバー37の筒状部がスプリング33の外側を覆うためにスプリング33の耐熱性と耐酸化性が補われ、バルブ30Aが長期間使用可能になる。防熱カバー37における筒状部の長さを適切に設定したので、同(b)のとおり、弁体31が開口35を塞いだとき(図の上半分)にも開いたとき(図の下半分)にもスプリング33の外側が効果的に覆われる。
【0043】
図3(a)に示すとおり連結管16A内にバルブを設けてはいないので、使用中のマフラ2におけるエンジン出力等に関する特性は、第1マフラボディ10A内に設けた上記のバルブ30Aのみによって調整される。バルブ30Aは、前記のバルブ30と同じく、マフラボディ10A内の排気圧力が一定値以上になれば開く自動開閉型のものであるから、エンジン出力が低いときには閉じて低回転トルクを発揮させ、出力の増大時には開いて排気抵抗を減少させ当該エンジンに瞬発的な高出力を発揮させ得る。
【0044】
つづく図4には、図3のマフラ2とはさらに少しの相違点をもつマフラ3を示している。すなわちこのマフラ3では、第1マフラボディ10Bに対する排気の導入口12Bおよび排出口13Bの形成態様が図3(および図1)のものと相違する。つまり、第1マフラボディ10Bの一方の端部11Bに接続するパイプ64と連結管16Bとを同心状に一体化することをせず、それぞれを別々に、仕切板11Baに対し挿入して固定したのである。第1マフラボディ10Bおよび第2マフラボディ20B自体の構成は図3の各マフラボディ10A・20Aと同じであり、それぞれの内部での排気(進路を図中の黒塗り矢印で示す)および排気音の進み方は図3の場合と相違がなく、したがって各マフラボディ10B・20Bにおける排気抵抗(エンジンの出力特性)等に関する機能は図3のマフラ2と同等である。
【0045】
こうしたマフラ3には、連結管16Bおよびパイプ64として汎用の管を使用でき、連結管16Bに特殊な加工や溶接を施してパイプ64を通すといった製造過程が不要である、という利点がある。なお、図示の例において第1マフラボディ10B内に配置したバルブ30Bは、図1(c)・(d)に示すバルブ30と同一に構成している。
【0046】
図5は、やはり自動二輪車等に配置できるマフラ4について、第1マフラボディ10Cの一方の端部14Cの付近を示す図である。このマフラ4も、図示のように形成した一方の端部14Cから排気の導入口・排出口(図示省略)を有する他方の端部にかけて筒状に形成された第1マフラボディ10Cと、一方の排気導入口から他方の排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディ(図示省略)とが一連に接続されたもので、マフラボディ10C内に図のように開度可変のバルブ30Cを設けている。
【0047】
バルブ30Cは、まず図5(a)のように、排気音を反射させやすい壁面部分と開口35Cとを有するエンドプレート34Cを円筒10bの内側に溶接にて固定するとともに、そのエンドプレート34Cの外側(外気側)に、開口35Cを塞ぎ得るように板状の弁体31Cを取り付けている。図5(b)のとおり、弁体31Cは、エンドプレート34Cに固定された支軸32Cにより、揺動可能な状態に支えられ、通常状態では開口35Cを閉じるように外側からスプリング33Cでエンドプレート34C上に押さえ付けられている。
【0048】
こうした構成のバルブ30Cも、前述のバルブ30・30A・30Bと同様、第1マフラボディ10C内の排気の圧力に応じて開閉をする。つまり、排気圧力が低い場合にはスプリング33Cの力により弁体31Cにて開口35Cを塞ぎ、排気圧力が一定値以上になれば、スプリング33Cに抗して弁体31Cが変位することにより開口35が開く。バルブ30Cの開口35が開いたとき、マフラボディ10C内の排気の一部は短管15Cをも経由して外部に排出されるので、マフラ4は、使用中、エンジンの運転状態等に応じて出力上の特性等を適切に調整することができるといえる。
【0049】
図6に示すマフラ5は、第1・第2のマフラボディ10D・20Dを備えるなど図1のマフラ1と共通する部分を多く含みながら、マフラボディ10D内のバルブをなくすとともに連結管16D内のバルブの操作機構の一部を変更した例である。各マフラボディ10D・20Dに対するパイプ64(導入口12D)や連結管16D(排出口13D)の接続形態、および第2マフラボディ20Dの構成は図1のマフラ1と全く同じであり、第1マフラボディ10Dについても、内部にバルブがないことを除いて図1のものと相違がない。そのため、マフラ5内での排気(進路を図中の黒塗り矢印で示す)および排気音(マフラボディ10D内の進路を白抜き矢印で示す)の進み方は、基本的には図1の場合(図1のバルブ30が閉じているとき)と同様である。このようなマフラ2も、エンジンの出力等に関して図1の場合と同様の特性を発揮するので、自動二輪車等にて使用するに好適である。
【0050】
しかし、第1マフラボディ10Dの内部には、導入口12Dや排出口13Dがある端部11Dとは反対側の端部14Dにもバルブを設けず、その端部14Dを平坦な壁面部分を含むキャップ15Xを用いて塞いでいる。また、第1マフラボディ10Dから第2マフラボディ20Dに至る連結管16Dの内部には、円板状の弁体41Dと支軸42Dとを含むバタフライ形式の可変バルブ40Dを設けている。バルブ40Dにおける弁体41Dを動かすためには、連結管16Dの外部において支軸42Dにレバー43Dを一体化し、操作用のワイヤケーブル45Dをそれに連結している。このワイヤケーブル45Dを引くことにより弁体41Dを回転変位させ、もって連結管16内の排気流路を開閉する。
【0051】
図6のマフラ5では、前記したマフラ1〜3とは違って第1マフラボディ内にバルブがないため、使用中のマフラ5におけるエンジン出力等に関する特性は連結管16D内のバルブ40Dのみによって調整される。このバルブ40Dは、排気の圧力に応じて自動的に瞬時の開閉を行うものではないのでエンジンの瞬発的な出力変動には追随しないが、ワイヤケーブル45Dを介して適切な遠隔操作をすることにより、エンジン性能を低速向きのものとして発揮させるか高速向きにして発揮させるかというマフラの基本的な特性を適宜に設定・変更することが可能である。
【0052】
図6のマフラ5における、連結管16Dに対するバルブ40Dの取り付け態様は、図7(a)に示すとおりである。連結管16Dは、ステンレス鋼板にて形成した一対の半円管状部材を、長手方向に設けた接合部16a同士を溶接することによって管状に形成したいわゆるモナカ構造であるが、図6および図7(a)の例では、その接合部16aのない部分において連結管16Dに支軸42Dを貫通させ支持させている。弁体41Dはその支軸42Dに取り付けることによって連結管16Dの内部に配置し、支軸42Dには、連結管16Dの外部においてレバー43Dを連結し、レバー43Dにスプリング44Dを係合させることにより弁体41D等に角度の復元性をもたせている。
【0053】
連結管16Dに対するバルブ40Dの取り付けは、たとえば図7(b)または同(c)のように実施してもよい。すなわち、図7(b)は、モナカ構造の連結管16Dにおける接合部16aの間に支軸42Dを通すことにより弁体41D等を支持させる例である。また、図7(c)は、ハイドロフォーム成形や鋳造等によって連結管16Dを一体に形成し、その管壁に支軸42Dを貫通させ支持させた例である。なお、図7(a)〜(c)のようなバルブ40Dの取付け態様は、図6のマフラ5のみならず、他の形式のマフラ、たとえば図1に示すマフラ1にも採用できる。
【0054】
図8に示す自動二輪車X2には、マフラ5として、第1マフラボディ10Eと第2マフラボディ20Eとを別置きにしたものを取り付けている。すなわち、この自動二輪車X2が有するマフラ6は、図1や図3等のものとそれぞれ同様の構造をもつマフラボディ10E・20Eを有してはいるが、両者を並べて接近配置するのでなく、車体の下部と側部とに引き離して配置したうえ両者間を長い連結管16Eによって接続したのである。具体的には、まず、第1マフラボディ10Eを車体の下部(エンジン61や変速機の下の位置)に設け、その一端部11Eに対し、ジョイントパイプ64と連結管16Eとを同心状に一体化したものを挿入・固定する。そして図8(a)のとおり、上記の連結管16Eを後方へ長く延ばすことによりその下流端に第2マフラボディ20Eを接続する。第2マフラボディ20Eは、後輪8の側方であってその車軸より上方(運転者シート68および後部シート69よりは下方)の位置に、斜めを向けて(排気排出口28Eの側を上げて)取り付ける。
【0055】
図8(b)のとおり、マフラボディ10Eの内部(パイプ64等を接続した端部11Eとは反対側の端部14E)には、開度可変のバルブ30Eを取り付け、それにつづく部分に長いテールパイプ15Eを接続している。バルブ30Eは、図1のものと同様に構成したもので(図3や図5と同様の構成でもよい)、スプリングの力で開口を閉じる一方、排気圧力がスプリング力を超えたとき自動的に開口を開いて排気を外部に流出させるものである。またテールパイプ15Eは、車体の下部に設けた第1マフラボディ10Eの端部14Eから、マフラボディ20Eと並ぶ後輪8の側方にまで、50cm以上の長さを有するステンレス鋼管であり、排気の流れに適当な大きさの抵抗を及ぼすことにより、第2マフラボディ20Dを経ずにバルブ30Eを通って外部に排出される排気に対し適当な消音効果を発揮する。
【0056】
連結管16Eの内部にはバルブを設けていないので、マフラ6における使用中のエンジン出力等に関する特性は、同様のバルブ配置を有する図3のマフラ2と同じように、第1マフラボディ10E内のバルブ30Eの開閉によって自動的に調整される。つまり、図8のこのマフラ6も、エンジンの出力が低い間はバルブ30Eを閉じて低回転トルクを発揮させるよう機能し、エンジン出力が上昇したときには、バルブ30Eを開いて排気抵抗を減少させ、当該エンジンに瞬発的な高出力を発揮させることが可能である。そしてそのような点を含め、マフラ6およびそれを有する自動二輪車X2は、エンジン性能の向上や排気音の低減、車体寸法のコンパクト化、さらには外観の向上という各面ですぐれているといえる。なお、図1のバルブ40や図6のバルブ40Dのような開度可変のバルブを、図8の例において連結管16Eの内部に設けるのも、マフラ6のエンジン出力等に関する特性を柔軟に調整可能とするうえで好ましいことは言うまでもない。
【0057】
以上、図面に沿って幾つかの形態を示したが、発明の実施がこれらに限定されるわけではない。以上に説明したほかに、エンジン性能に関する特性や排気音を変更・調整すること等を目的として、たとえば、
イ) 反射波形成用の上記エンドプレートに適宜に小孔を形成することにより、当該小孔を経て一部の排気がつねに直接外部に排出されるようにする、
ロ) 第1マフラボディ内における排気の導入口の位置(つまり当該導入口を有するパイプの、第1マフラボディ内への挿入長さ等)を適宜に変更する、
ハ) 第1マフラボディ内における排気の導入口と、反射波形成用の上記したエンドプレートとの間に、パンチングメタルやその他の穴つき板(バッフルプレート)、または種々の吸音材を適宜に配置する(それによって第1マフラボディでの中・高周波成分の除去特性を高める)、
ニ) 第1マフラボディまたは第2マフラボディの長さや太さ(および取り付け場所)を、互いに相手側のマフラボディの寸法等に一致させることなく適宜に変更する、
ホ) 図1のマフラ1において連結管16の内部にあるパイプ64に小孔を設けるなどして、排気のうちの限られた一部が第1マフラボディを経由しないで第2マフラボディ内に進むようにする、
ヘ) エンジンの気筒数などに応じて、第1または第2のマフラボディの数を適宜に変更する、
ト) やはりエンジンの気筒数などに応じて、1本のマフラボディに接続するパイプ(図1のパイプ64など)や連結管(図1の連結管16など)の数を適宜に変更する
−といった処置をとるのも好ましいからである。
【0058】
また、発明のマフラには、つぎのような使い方もできる。
チ) 2サイクルエンジンの排気系にも使用することができる。ただしその場合は、2サイクルエンジンに特有の排気効果・掃気効果を得るべく、端部にテーパ状の壁面を有していて内部で反射脈動圧を発生させるチャンバーを、マフラよりも上流側に接続するのが好ましい。
リ) 自動二輪車以外のエンジンの排気系にも使用することができる。
ヌ) 第2マフラボディから第1マフラボディへと排気が流れるように(たとえば図1の例では矢印と逆に排気排出口28から導入口12へ至るように)排気管に接続することもできる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1に記載したエンジン用マフラにはつぎの効果がある。
・ 低出力の運転時に低回転トルクを高く発揮させる一方、高出力の運転時にはバルブを開いてエンジンの高出力を発揮させるなど、エンジンの性能に関する特性をエンジンの運転状態等に応じて適宜に変更することができる。第1マフラボディのうち上記壁面部分のある側の端部に、開度可変のバルブと開口とを設けるからである。
・ 従来のマフラと同様に排気音中の高周波成分を除去することに加え、低周波成分を効果的に除去することができる。第1マフラボディにおいて、導入口から入った排気の排気音が他方の端部にある壁面部分で反射し、進行波と反射波とが効果的に干渉し合うからである。
・ 排気への抵抗を小さくしてエンジンの出力を引き出しやすい。また、細めのマフラボディを組み合わせることに基づいて、レイアウト上の自由度が高く、コンパクトで美観をともなう配置を実現しやすい。
【0060】
請求項2に記載したエンジン用マフラなら、とくに、
・ 低出力運転の際にエンジンに低回転トルクを発揮させやすくする一方、高出力運転時にはエンジン性能を高く発揮させるという好ましい運転を、自動的に行うことができる。
・ バルブの構造が簡単なため、耐久性にもすぐれたものを低コストで容易に構成できる。
【0061】
請求項3に記載したエンジン用マフラによればさらに、
スプリングの耐熱性と耐酸化性が補われ、上記のバルブが長期間使用可能になる。
【0062】
請求項4に記載したエンジン用マフラにも、請求項1に記載のマフラと同様、つぎのような効果がある。すなわち、
・ 排気抵抗に基づくエンジン性能に関する特性を、エンジンの運転状態等に応じて適宜に変更することができる。第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管に開度可変のバルブを設けているからである。
・ 低周波成分から中・高周波成分までの消音効果にすぐれているほか、排気の抵抗を小さくしてエンジン性能をよく引き出すことができ、しかも全体がコンパクトでその配置が容易である。
【0063】
請求項5に記載のエンジン用マフラによれば、とくに、
・ 精密な操作手段を用いてバルブを開閉操作する場合にも、当該手段に十分な耐久性をもたせることができる。上記のバルブを遠隔操作式にするので、高温度になるマフラの近傍には操作手段を配置する必要がないからである。
【0064】
請求項6に記載のエンジン用マフラなら、
・ 好ましい2箇所にバルブを設けたため、排気抵抗を小さくしてエンジンの性能(出力)を高く発揮させる等の特性を、エンジンの運転状態等に応じて一層に柔軟かつ適切に調整することができる。たとえば、マフラの基本的性能を自由に設定しながらも、エンジンに出力的な瞬発力をもたせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態であるマフラ1を示す図であって、図1(a)はマフラ1の全体縦断面図、同(b)は同(a)中のb矢視を示す部分詳細図、同(c)は同(a)のマフラ1における端部14付近の断面詳細図(上半分はバルブ30が閉じた状態を、下半分はバルブ30が開いた状態を示す)、同(d)は同(c)におけるd−d矢視を示す詳細図である。
【図2】図1のマフラ1を取り付けた自動二輪車X1を示す図であって、図2(a)は側面図、同(b)は背面図(後方から見たもの)である。
【図3】図3(a)は、発明の一実施形態であるマフラ2を示す全体縦断面図である。また同(b)は、同(a)のマフラ2における端部14A付近の断面詳細図(上半分はバルブ30Aが閉じた状態で、下半分はバルブ30Aが開いた状態)である。
【図4】発明の一実施形態であるマフラ3を示す全体縦断面図である。
【図5】図5(a)は、発明の一実施形態であるマフラ4の一部(端部14C付近)を示す縦断面図である。また同(b)は、同(a)におけるb−b矢視図である。
【図6】発明の一実施形態であるマフラ5を示す全体縦断面図である。
【図7】図7(a)〜(c)のそれぞれは、図6のマフラ5におけるバルブ40Dの取り付け態様を示す断面図(図6におけるVII−VII断面図)である。
【図8】図8(a)は、発明の一実施形態であるマフラ6を自動二輪車X2とともに示す側面図であり、同(b)は、同(a)における矢視bを示す詳細図である。
【図9】図9(a)は従来のマフラ1’を示す縦断面図、同(b)はそのマフラ1’を備えた自動二輪車Xの側面図、同(c)はその自動二輪車Xの背面図である。
【符号の説明】
1〜6 マフラ
10・10A・10B・10C・10D・10E 第1マフラボディ
12・12A・12B・12D 導入口
13・13A・13B・13D 排出口
14a・34C エンドプレート(壁面部分)
16・16A・16B・16D・16E 連結管(管)
20・20A・20B・20D・20E 第2マフラボディ
22 排気導入口
28・28B・28E 排気排出口
30・30A・30B・30C・30E バルブ
33・33C スプリング
35・35C 開口
40・40D バルブ
45・45D ワイヤケーブル(索条)
50 サーボモータ(操作手段)
X1・X2 自動二輪車

Claims (6)

  1. 一方の端部に排気の導入口および排出口を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとが一連に接続されていて、
    第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とが略同心状に重ねて配置されていること、
    および、第1マフラボディにおける上記壁面部分を有する側の端部に、開度可変のバルブとともに開口が設けられていることを特徴とするエンジン用マフラ。
  2. 上記のバルブが、スプリングの力で開口を閉じるとともに、受圧部に作用する排気の圧力がスプリングの力を上回ったとき開口を開く自動開閉式のものであることを特徴とする請求項1に記載のエンジン用マフラ。
  3. 上記のバルブが、上記のスプリングを覆うように防熱カバーを取り付けられたものであることを特徴とする請求項2に記載のエンジン用マフラ。
  4. 一方の端部に排気の導入口および排出口を有していて他方の端部に壁面部分を有する筒状の第1マフラボディと、一方の端部にある排気導入口から他方の端部にある排気排出口にかけて複数の膨張室を有する筒状の第2マフラボディとが一連に接続されていて、
    第一マフラボディにおける上記の導入口と排出口とが略同心状に重ねて配置されていること、
    および、第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管のうちに、開度可変のバルブが設けられていることを特徴とするエンジン用マフラ。
  5. 上記のバルブが、索条を介して操作手段に接続された遠隔操作式のものであることを特徴とする請求項4に記載のエンジン用マフラ。
  6. 第1マフラボディにおける上記壁面部分を有する側の端部に開度可変のバルブとともに開口が設けられ、かつ、第1マフラボディの排出口から第2マフラボディの排気導入口に至る管のうちに開度可変のバルブが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエンジン用マフラ。
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