JP3920159B2 - 印刷機用シータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速搬送手段のバキュームドラム外周面に取り付けられている剥離用突起によりカット紙の後端部を押し下げて、カット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させて瓦積み状態とする印刷機用シータに関し、更に詳しく述べると、剥離用突起の自動進角制御機構によって、印刷機速度に応じてカット紙後端縁に対する剥離用突起の前進量を自動的に調整することにより高速運転にも対応可能とした印刷機用シータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷機用シータは、高速で供給されてくるウエブを取り込み、そのウエブを所定寸法の枚葉に裁断し、裁断したカット紙を、前のカット紙の上に次のカット紙が大部分で重なるような瓦積み状態で低速搬送し、所定の位置にて積み重ねるようにした装置である。この印刷機用シータは、通常、オフセット輪転印刷機の下流側にオンラインで設備され、印刷機と同期運転される。
【0003】
高速搬送手段は、低速搬送手段に対向して該低速搬送手段の上方に位置する回動部材を有する。該回動部材には、その外周に剥離用突起(例えばカムやブラシなど)が回動軸と平行に配列されていて、該剥離用突起によりカット紙の後端部を押し下げることでカット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させ、制動をかけて瓦積み状態を実現するようになっている。
【0004】
剥離用突起によるカット紙の押さえ位置については、例えば低速域では、カット紙の最後端を外すことなく剥離用突起先端で押し込むと、カット紙の後端は低速搬送手段の吸引範囲に落下し良好な制動がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常の印刷作業においては、200〜300rpmで実印刷が開始され、300〜400rpmで見当などのチェック・調整などが行われ、500rpm以上で営業運転される。近年、オフセット輪転印刷機の一層の高速化に伴い、800〜1000rpmで営業運転されることも多くなっており、印刷機用シータにも高速化対応が求められている。しかし、運転速度が上昇するにつれ、カット紙は惰性や制動時間などの関係により、剥離用突起で押し込もうとしても、予定位置よりもかなり前方で落下してしまう。ときには、制動が十分にかからず、カット紙がスタック部へ高速のまま飛び出してしまうこともある。
【0006】
そこで、印刷機の運転速度に応じて、手動操作でハンドルを回し剥離用突起の位置を調整する構造が提案されている(例えば特開平9−328251号公報参照)。しかし従来構造では、機構的にハンドルの回転数に対して剥離用突起の前進量は比例せず、無端ベルトの張力も変化し、安定した調整が難しく、そのままでは自動化が困難であった。また手動のハンドル操作でも、作業が非常に煩雑で不便であり、微調整ができないため、回転速度が変動したときにカット紙の飛び出しを完全に防止することができなかった。
【0007】
その他、印刷機の高速化に伴い、運転開始直後の低速運転から通常時の高速運転まで広い速度範囲にわたる過渡期があり、その過渡期も含めて高速運転に対して安定に且つ正確にカット紙を搬送できるようにする工夫が必要である。また、高速運転に伴うカット紙の折れや汚れを防止する対策も必要となる。
【0008】
高速搬送手段や低速搬送手段にはブロアやバキューム装置が組み込まれているが、従来、送風機や排風機の出力は特に制御されていない。しかし、運転速度の変化域が大きいと、一定出力では低速運転時は必要以上に送風力や吸引力や強すぎ高速運転時は送風力や吸引力が不足し、そのためカット紙がばたついたり、飛び出したり、傷つくなどの不具合が生じ、安定した搬送が行い難い。手動によるダンパなどの調整は煩瑣であり、作業性が悪い。
【0009】
剥離用突起によりカット紙の後端部を押し下げることでカット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させ、制動をかけて瓦積み状態を実現する場合、低速搬送手段にはカット紙を受け取るために多数の吸引孔を有するバキューム手段が用いられる。従来の吸引孔はストレート孔もしくは90°の面取りが一般的である。しかし90°の面取りがあっても、剥離用突起がカット紙を押し付けることもあって汚れが発生する。バキューム手段の表面にゴム被覆を設けることもあるが、耐久性に問題があるのみならず汚れが付着しやすい。特に回転数が高いと、剥離用突起による衝撃で汚れが多発する恐れがある。
【0010】
低速搬送手段のバキューム手段は、従来、上流側のスリット幅を広く下流側のスリット幅を狭くして吸引力を調整しているが、運転速度の変化や紙幅の変化に対応し難いなどの問題がある。
【0011】
本発明の目的は、印刷機の運転速度に合わせてカット紙転移用の剥離用突起の位置を自動的に進退調整でき、それによって高速運転でもカット紙の飛び出しを完全に防止できる印刷機用シータを提供することである。また本発明の他の目的は、低速から高速へ逆に高速から低速への過渡期も含めて高速運転に対して安定且つ正確にウエブやカット紙を搬送でき、高速運転に伴うカット紙の折れや汚れを防止できる印刷機用シータを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ウエブを取り込むインフィード部と、回転カッタシリンダでウエブを所定寸法の枚葉に裁断するカット部と、該カット部の下流側に設けた高速搬送手段と、裁断したカット紙を瓦積み状態で搬送する低速搬送手段と、カット紙を積み重ねるスタック部を具備し、前記高速搬送手段は、低速搬送手段に対向してその上方に位置する回動部材を有し、該回動部材の外周に剥離用突起が回動軸と平行に配列されていて、該剥離用突起によりカット紙の後端部を押し下げてカット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させ瓦積み状態にする印刷機用シータにおいて、回動部材はカッタシリンダと同期回転するバキュームドラムであり、そのバキュームドラム軸のタイミングプーリを駆動するタイミングベルトが、両端で軸支されている1本の突起送りネジを有するリニア移動機構上で対向配設した突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリに平行に掛かるようにし、印刷機の速度信号を突起移動モータに入力して前記リニア移動機構を駆動し突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリを対として移動させることで前記突起移動モータによる送りネジの移動量と剥離用突起先端の位置がリニアに変化するようにした剥離用突起の自動進角制御機構を有し、印刷機速度に応じてカット紙後端縁に対する剥離用突起の前進量が自動的に進退調整されるようにし、低速搬送手段は、先端プーリと後方のバキュームドラムの間にバキュームベルトを掛け渡し、該バキュームベルトの内側上方にバキュームボックスが位置する構造を有し、バキュームドラムに形成されている多数の吸引孔は、外周面側の開口端に140〜160°の大きな面取りが施され、且つ開口縁が滑らかに整形されており、前記自動進角制御機構による剥離用突起の位置制御によってカット紙後端が低速搬送手段のバキュームドラムの吸引範囲に落下し、吸引によりカット紙に制動が掛かることで安定搬送を可能としたことを特徴とする印刷機用シータである。
【0013】
ここで、高速搬送手段及び低速搬送手段は、カット紙に面する開口からカット紙流れ方向にエアを吹き出してコアンダ効果によりカット紙を引きつけつつ搬送するエアブロー手段、及び回転するバキュームドラムあるいはバキュームベルトによりカット紙を引きつけつつ搬送するバキューム手段を具備し、その送風機及び排風機の出力を印刷機運転速度に応じて自動制御する構成が望ましい。
【0015】
またバキュームボックスの上面にあって、バキュームベルトの直下にスリットプレートが位置し、該スリットプレートは、中央寄りの最小紙幅以内ではスリット幅が広く、最小紙幅から最大紙幅の外寄りの部分ではスリット幅が狭く、且つそれらは流れ方向に沿って均一幅に設定されている形状が好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
印刷機用シータは、通常、オフセット輪転印刷機の下流側にオンラインで設備される。この場合、オフセット輪転印刷機の出力軸と印刷機用シータの入力軸をカップリング等で機械的に直結して運転することが多い。しかし、近年、電気的な制御技術の進歩に伴って、印刷機側に高精度の回転検出エンコーダを取り付け、印刷機用シータ側には独立した駆動系を設置して、前記回転検出エンコーダの信号を受けて回転制御することも行われつつある。いずれにしても、このようにして、印刷機用シータはオフセット輪転印刷機と同期して運転される。
【0017】
オフセット輪転印刷機における印刷は、例えば概略次のような手順で行われ、印刷機用シータにウエブが供給される。
(1)給紙部に装着された巻き取り紙が、適度な張力を与えられて印刷部に送られ、通常、両面同時に印刷される。
(2)次に乾燥部に送られて印刷紙面が加熱され、インクの乾燥が行われる。
(3)続いて冷却部を通ることにより、紙面温度が下げられインクのセットが促進される。
(4)シリコンアプリケータ等により紙面の滑り性を向上すると共に、静電気の発生を防止し、ドラッグローラによって一定のテンションが与えられる。
(5)製品形態が折り出しの場合は折り機内を通過するが、製品形態がシート出しの場合は、通常、折り機上部よりパスロールを経て印刷機用シータの入口にある最初のフリーローラによってウエブを導入する。
【0018】
印刷機用シータは、ウエブを取り込むインフィード部と、回転カッタシリンダでウエブを所定寸法の枚葉に裁断するカット部と、該カット部の下流側に設けた高速搬送手段と、裁断したカット紙を瓦積み状態で搬送する低速搬送手段と、カット紙を積み重ねるスタック部を具備し、前記高速搬送手段は、低速搬送手段に対向してその上方に位置する回動部材を有し、該回動部材には、その外周に剥離用突起が回動軸と平行に配列されていて、該剥離用突起によってカット紙の後端部を押し下げてカット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させ瓦積み状態を実現する構成である。本発明で前記回動部材は、回転カッタシリンダと同期回転するバキュームドラムである。そのバキュームドラム軸のタイミングプーリを駆動するタイミングベルトが、両端で軸支されている1本の突起送りネジを有するリニア移動機構上で対向配設した突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリに平行に掛かるようにしており、印刷機の速度信号を突起移動モータに入力して前記リニア移動機構を駆動して突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリを対として変位させることで前記突起移動モータによる送りネジの移動量と剥離用突起先端の位置がリニアに変化するようにする。このような剥離用突起の自動進角制御機構によって、印刷機速度に応じてカット紙後端縁に対する剥離用突起の前進量が自動的に調整されるように構成される。
【0019】
【実施例】
図1に印刷機用シータの一実施例の全体構成を示す。この印刷機用シータは、オフセット輪転印刷機(図示せず)から高速で供給されてくるウエブ10を取り込むインフィード部11と、そのウエブ10を所定寸法の枚葉に裁断するカット部12と、該カット部12の下流側に設けた高速搬送手段13と、裁断したカット紙を瓦積み状態で搬送する低速搬送手段14と、カット紙15を積み重ねるスタック部16を具備し、全体がカバー17で覆われている。高速搬送手段13と低速搬送手段14の詳細を図2に示す。その他、オフセット輪転印刷機の駆動軸を印刷機用シータの入力軸とし、機械的に直結して運転するための入力部が設置されている。
【0020】
インフィード部10は、複数のフリーローラ21a,21b、ドローローラ22a,22b、ニップローラ23a,23bなどからなるウエブ取り込み機構と各種センサ等を有し、輪転印刷機から高速で排出されるウエブ10を適切にカット部12に送り込む部分である。カット部12は、下側の固定刃25と上側のカッタシリンダ26に装着された回転刃27とを有し、輪転印刷機と同速で回転することでウエブ10を所定寸法の枚葉に裁断する部分である。高速搬送手段13は、第1エアブロー28、上第1バキュームドラム29、上第2バキュームドラム30、第2エアブロー31などを具備し、ウエブ10を緊張状態で搬送することによりカット部12での裁断精度を向上させる。低速搬送手段14は、先端プーリ32a、テンションプーリ32b、後方のバキュームドラム33の間にバキュームベルト34を掛け渡し、該バキュームベルト34の内側上部にバキュームボックス35を設置した構造である(図2参照)。
【0021】
高速搬送手段13の上第2バキュームドラム30は、丁度低速搬送手段14のバキュームドラム33の上方に位置し、外周面に剥離用突起(この実施例ではナイロンなどからなる剛性のあるブラシ)36が中心軸と平行に配列されていて、該剥離用突起36によってカット紙後端部を押し下げカット紙を高速搬送手段13から低速搬送手段14に転移させる構成である。これによってカット紙の速度はウエブライン速度の1/10〜1/20程度に減速される。剥離用突起36で押し付けられたカット紙が互いに一部オーバラップして瓦積み状態となり、カット紙後端側の40mm程度がバキュームドラム30とバキュームベルト34に吸着されつつ、カット紙先端部上面を第2エアブロー31によるコアンダ効果で引かれて、次のスタック部16へと順次搬送される。
【0022】
スタック部16は、入口部に立設された2本の棒状の紙ガイド40と、出口部で各紙ガイド40にそれぞれ対向して位置する2個の出口ジョガー41と、カット紙の流れ方向の左右に位置する一対の幅可変方式のサイドジョガー42を具備し、それらによってスタック部16に入ってくるカット紙が揃えられ、下部に位置するパレット43上に積み重ねられる。カット紙は、パレット昇降機構によって昇降可能となっている。このようなスタック部16に近接して、グリッパ機構44及び仮積みフォーク機構45などが付設されメインパイル(積み重ねられたカット紙)の取り出し作業を可能としている。メインパイル取り出し時は、グリッパが前進して数十枚のカット紙後端を掴み支え、その下方に生じる空隙に仮積みフォークを挿入し、グリッパを離して仮積みフォーク上にカット紙を積むようにし、その状態で、メインパイルを取り出す。次に、新たなパレットを設置し上昇させて仮積みフォークに接近させ、仮積みフォークを引き抜く。このようにグリッパを用いることにより、特に非常に熟練を要する高回転域での押し出し損紙の処理作業を無くすることができ、併せて損紙も無くなる。
【0023】
次に、本発明の要部を構成している高速搬送手段13について更に詳しく説明する。前述のように、高速搬送手段13は、カット部12の下流側に位置し、下側に位置する第1エアブロー28、上側に位置する第2エアブロー31、及び上第1バキュームドラム29、上第2バキュームドラム30、上第1バキュームドラム29に近接してその下流側に位置する第1巻き込み防止プレート46、上第2バキュームドラム30に近接してその下流側に位置する第2巻き込み防止プレート47などからなる。
【0024】
第1エアブロー28は、カット部12の固定刃25のすぐ下流側でウエブ又はカット紙の直下3mm程度離れた位置に設けられ、ほぼ水平もしくはウエブ又はカット紙の進行方向に向かって極く僅かに下り傾斜を付けて設けられている。幅方向に8〜10本に分割された角パイプ状のエアブローを僅かな隙間をおいて並べるか、または1つの分割無しの箱状のエアブローとする。カット紙流れ方向に対する長さは、概略、上第1バキュームドラム29と上第2バキュームドラム30の中間位置迄とする。エアブローの上面にはウエブの流れ方向に複数個のエア吹出口48を設けてあり、送風機(図示せず)からダクト49を通じて送風し、各エア吹出口48からカット紙下面の流れ方向に向かってフラットな高速空気流を吹き出す。この高速空気流のコアンダ効果により、カッタシリンダ26によってその回転方向に舞い上がりそうになるウエブの先端を第1エアブロー28に引きつけながら下流方向に搬送する。8〜10本の角パイプ状のエアブローとした場合には1本の角パイプにつき1列のエア吹出口でよく、1つの箱状のエアブローとした場合は10〜12列のエア吹出口を設ける。またカット部12に近い上流側ではエア吹出口48を密に(ピッチを細かく)、下流側では粗に(ピッチを粗く)形成することが効果的である。また上流側上面はカット部に向かって僅かに傾斜を付けること、各稜の面取りをすることは紙詰まりの防止とカット紙への傷や汚れ発生防止のうえで効果がある。
【0025】
第2エアブロー31は上第2バキュームドラム30の下流側でカット紙の上部にあって、その先端はスタック部のほぼ中央部まで伸びている(図1参照)。また、第2エアブロー31の下面は上流側に向かって斜め上方に傾斜し、カット紙の先端が食い込まないようになっている。エア吹出口49は、上流部は数多くしてカット紙の先端の吸引効果を上げ、中間部は数少なく、また下流部は数多くしてカット紙の先端から40mm程度迄の部分のみでの(カット紙は低速搬送手段で瓦積み状に重なるので)吸引搬送効果を上げられるようにしている。第2エアブロー31は、8〜10本の横並び角パイプ方式とし、各エアブロー毎にバルブで流量制御できるようにした方がカット紙の搬送に効果的である。また、第2エアブロー31の下流側を僅かに傾斜させることにより、カット紙先端部の流れが安定することがある。但し、先端を下げたときの下限はサイドジョガー42の上面レベルとする。これは紙幅の狭いカット紙の場合、サイドジョガー42上面と第2エアブロー31が干渉するのを防ぐためである(図1参照)。
【0026】
上第1バキュームドラム29は、カット部12の下流側のウエブ又はカット紙の上部に位置し、回転するバキュームドラム本体50、中空固定軸51、及び軸受ブロックや固定ブラケット(いずれも図示せず)などから構成される。バキュームドラム本体50の表面には多数の吸引孔52が開口しており内側まで貫通している。吸引孔52の開口縁は面取りされており、吸着時のウエブ又はカット紙の傷、汚れの発生を防止している。バキュームドラム本体50の一端はラビリンスシールを挟んでベアリングで中空固定軸51に支持されており、他端は駆動軸と接合されて軸受ブロックにてフレームに支持され、タイミングプーリで回転される。
【0027】
中空固定軸51は、軸方向に一直線上に10数個の通気孔52を貫通させ、その両側に軸方向に平行な溝を2本設けてある。溝の中には波状のスプリング53を介してセパレータ54を入れてある。このセパレータ54と両側のラビリスシールによって1つの空間を形成し、中空固定軸51の一方の開口端に排風機からのダクトを接続する。排風機の作動により中空固定軸51の通気孔52と両セパレータ54の範囲内のバキュームドラム本体50の吸引孔を通じてウエブ又はカット紙を吸着する。通気孔と連通していない大部分の吸引孔からの吸引はない。なお、バキュームドラム本体50及び中空固定軸51など構造は、図3に示す上第2バキュームドラム30の場合とほぼ同様である。両セパレータ54と通気孔52で形成される吸引方向は、中空固定軸51を僅かに回転させて固定ブラケットに固定し直すことによって変えることができ、容易に最適な吸引位置への調整を可能としている。排風機の出力は後述するように印刷機の速度に応じて自動的にしかも滑らかに制御され、安定した搬送を確保している。
【0028】
上第1バキュームドラム29は、駆動タイミングプーリによってライン速度より約1.5%速い周速度で回転する。カット部12を通過したウエブの先端はバキュームドラム本体50に吸着されつつ下流側に送られる。この時、上第1バキュームドラム29の周速度がウエブライン速度より速いのでウエブは緊張する。そこでカット部12で裁断されるのでカット紙の寸法は常に一定となる。カット紙は、上第1バキュームドラム29の周速度がウエブ速度より速いのでカット紙とウエブ先端の距離は少しずつ離れる。これが後述する剥離用突起36によるカット紙転移位置でのカット紙とウエブの干渉を無くしている。
【0029】
またバキュームドラム本体50の外周には巻き込み防止用の凹状溝が20数本設けられており、第1巻き込み防止プレート46と協働してウエブの先端が直進するようにしている。第1巻き込み防止プレート46は、上第1バキュームドラム29のすぐ下流側に位置し、その櫛部先端をバキュームドラム本体50の凹状溝に差し込むことで、ウエブの先端がバキュームドラム本体50に巻付いたまま上方に行くのを防止しつつ第1エアブロー28の高速空気流に乗せてコアンダ効果で上第2バキュームドラム30方向に搬送させる役割を果たす。第1巻込み防止プレート46の櫛部先端の下面は上流側の斜め上方に傾斜が付けられて凹状溝内にあるので、ウエブの先端が少々波打っていても巻き込まれることはない。また櫛部の幅も10mm以上としているので高速回転をした薄紙の場合でもウエブの先端に傷や汚れを生じる事はない。
【0030】
次に上第2バキュームドラム30は、上第1バキュームドラム29の下流側でカット部12の固定刃25からカット紙長さ以内の位置に設けられる。この上第2バキュームドラム30は、図3にも示すように、バキュームドラム本体55、剥離用突起36、中空固定軸56、軸受ブロック、固定ブラケット58などから構成される。バキュームドラム本体55の表面には剥離用突起取り付け位置を除いて多数の吸引孔59が開口しており内側まで貫通している。吸引孔59の開口縁は面取りされており、吸着時のウエブ又はカット紙の傷、汚れの発生を防止している。回転方向で剥離用突起36の後方に位置する部分は吸引孔59の開口密度を多くして吸引力を高めてある。ウエブの先端が丁度この近辺に来るので、より確実に捕捉するためである。剥離用突起(ブラシ)36は、1列植と2列植を交互に配設している。バキュームドラム本体55の外周には、上第1バキューム29と同様、巻き込み防止用の凹状溝61が20本程度形成されている。
【0031】
バキュームドラム本体55は、一端でラビリンスシール62を挟んでベアリング63で中空固定軸56に支持されている。他端は駆動軸と接合されて軸受ブロックでフレームに支持され、タイミングプーリで回転される。中空固定軸56は軸方向に一直線上に十数個の通気孔60を貫通させ、その両側に軸方向に平行な溝を2本設けてある。溝の中には波状のスプリング64を介してセパレータ65を収容してある。このセパレータ65と両側のラビリンスシール62によって1つの空間を形成し、中空固定軸56の一方の開口端に排風機からのダクトを接続する。排風機の作動により中空固定軸56の通気孔60と両セパレータ65の範囲内の吸引孔を通じてウエブ又はカット紙を吸着する。通気孔と連通しない大部分の吸引孔からの吸引は生じない。
【0032】
また、中空固定軸56の両セパレータ65と通気孔60で形成されている吸引方向は、中空固定軸56を僅かに回転させて固定ブラケット58に固定し直すことによって変えることができる。これにより、上第2バキュームドラム30としての最適な吸引位置に容易に調整することができる。排風機の出力は後述するように印刷機の速度に対応して自動的にしかも滑らかに制御され、安定した搬送が確保される。
【0033】
上第2バキュームドラム30は、駆動タイミングプーリによってウエブライン速度より約2%速い周速度で回転する。カット部12を通過したウエブ先端は、上第1バキュームドラム29によって吸着されつつ下流側に送られ、次に上第2バキュームドラム30によって吸着されて、更に緊張状態でカット部12で裁断される。上第1バキュームドラム29での中間的な引っ張りと合わせて上第2バキュームドラム30で全体として更に確実に引かれつつ裁断されるので、裁断精度が安定した形で確保される。
【0034】
また上第2バキュームドラム30のすぐ下流側に第2巻込み防止プレート47が位置する。バキュームドラム本体55の凹状溝61に第2巻込み防止プレート47の櫛部66の先端を差し込む。これによって、ウエブ又はカット紙の先端がバキュームドラム本体55に巻付いたまま上方に行くのを防止しつつ第2エアブロー31への受け渡しが円滑にできるようにし、第2エアブロー31の高速空気流に吸引させるコアンダ効果でスタック部上方にカット紙を搬送させる。第2巻込み防止プレート47も櫛部66の先端の下面は上流側の斜め上方に傾斜が付けられて凹状溝内にあるので、ウエブ又はカット紙の先端が少々波打っても巻き込まれることはない。また櫛部66の幅も10mm以上あるので高速回転をした薄紙の場合でもウエブ、又はカット紙の先端に傷、汚れを生じることはない。なお、第2巻込み防止プレート47は第2エアブロー31と共にブラケットによってフレームに支持される。
【0035】
次に、上第2バキュームドラム30における剥離用突起36の自動進角制御機構について説明する。剥離用突起36のカット紙の押さえ位置については、0〜100rpm程度の低回転域においては、図4に示すように、カット紙の最後端部を外すことなく剥離用突起36が押さえ込むと、剥離用突起36の回転に伴って、カット紙の後端は低速搬送手段14のバキュームドラム33の吸引範囲に丁度良く落下し、制動がかかって低速で移動する。図4のAは剥離用突起36の先端がカット紙sに当たった状態(カット紙後端縁からの距離L1 )を示し、Bは回転が進んで剥離用突起36による上第2バキュームドラム30からのカット紙sの剥離がほぼ完了してカット紙sの後端部が低速搬送手段14のバキュームドラム33に転移した状態、Cは回転が更に進んで低速搬送手段14へのカット紙sの転移が完了した状態を示している。そのとき、次のカット紙sの先端部が上第2バキュームドラム30に吸着されている。
【0036】
しかし、この条件のままでは、回転速度が上昇するにつれカット紙の後端縁は慣性や制動時間等の関係より、バキュームドラム33の吸引範囲の入口側セパレータ位置よりも前方に落下してしまう。そのため、時には制動が十分に効かなくてカット紙がスタック部へ高速のまま飛び出してしまうこともある。そこで、高回転域(例えば800rpm程度)では、図5に示すように、剥離用突起36の位置をカット紙sに対して相対的に前進させ、カット紙後端よりもかなり前方位置で剥離用突起先端が押さえ込むようにする。すると、剥離用突起36の回転に伴って、カット紙sの後端は低速搬送手段14のバキュームドラム33の吸引範囲に丁度良く落下し、十分な制動がかかって低速で移動させることができる。図5のAは剥離用突起36の先端がカット紙sに当たった状態(カット紙後端縁からの距離L2 )を示し、Bは回転が進んで剥離用突起36による上第2バキュームドラム30からのカット紙sの剥離がほぼ完了してカット紙sの後端部の一部が低速搬送手段14のバキュームドラム33に接した状態、Cは回転が更に進んで低速搬送手段14へのカット紙sの転移が完了した状態を示している。そのときには、次のカット紙sの先端部は上第2バキュームドラム30に吸着されようとしている。
【0037】
図4と図5を比較すれば明らかなように、高速運転時の距離L2 は低速運転時の距離L1 よりも長い。つまりカット紙後端縁を基準としたとき、高速運転時の剥離用突起の位置は低速運転時の剥離用突起の位置よりも前進(進角:位相が進んでいる)している。このことから分かるように、印刷機の回転速度に合わせて剥離用突起36の前進量を適正に制御すればカット紙後端がバキュームドラム33の吸引範囲に落下し、制動が掛かって安定搬送が可能となる。印刷機回転数と剥離用突起先端前進量の関係を図6に示す。両者はほぼリニアな関係とする。
【0038】
このような剥離用突起の位置制御を実現するための自動進角制御機構の例を図7及び図8に示す。図7は全体構成を示し、図8はその要部の構造を示す。剥離用突起36は、上第2バキュームドラム30のバキュームドラム本体55に取付けられているので、剥離用突起36の進退はバキュームドラム本体55のカッタシリンダ26に対する回転の位相を相対的に変化(前進又は後退)させることで行う。しかし、本来、バキュームドラム本体55は、カッターシリンダ26と同一位相で回転しているものであり、それにもかかわらず剥離用突起36をカット紙後端に対して前進させる必要があるので、バキュームドラム本体55の回転中にその位相をカッターシリンダ26に対してどのような手段で進角させるかが重要になる。
【0039】
カッタシリンダ26及びバキュームドラム29,30などは、輪転印刷機の駆動軸に直結された入力軸で駆動される。図7に示すように、入力軸70からカップリング71a、ギアボックス72a、カップリング71b、クラッチ73、ユニバーサル中間駆動軸74、トルクリミッタ75、ギアボックス72bなどを経て、バキュームドラム駆動用タイミングプーリ76やカッタシリンダ26などを駆動する。また、速度検出エンコーダ77が付設されている。
【0040】
ギアボックス72a,72bは、印刷機との速度比を調整する減速機と回転軸を直角に曲げる必要のある際に使用する。速度検出エンコーダ77から得られるパルス信号は、シーケンサで処理された上で剥離用突起36の自動進角制御、及び後述する各バキュームドラム、エアブローなどの送風機や排風機の出力自動制御に使用される。なおトルクリミッタ75は、クラッチ73の下流側に設けられ、一定の過負荷で接続が切れ、紙詰まりなどの際に印刷機用シータ各部を損傷から守る機能を果たす。
【0041】
剥離用突起の自動進角制御機構78では、図7及び図8に示すように、ギアボックス72bの軸にバキュームドラム駆動タイミングプーリ76を設け、上第2バキューム軸にもタイミングプーリ79を設けて、両方にまたがるタイミングベルト80をかける。両方のプーリ76,79間に、突起位置変更第1及び第2タイミングプーリ81a,81bを、アイドラプーリ82a,82b,82c,82d及びテンションプーリ83、上第1バキュームドラム駆動タイミングプーリ84を配して構成する。突起位置変更第1及び第2タイミングプーリ81a,81bは、両端が軸支されている1本の突起送りネジ85を有するリニア移動機構86上で対向配置されており、前記タイミングベルト80が平行に掛かるように構成する。ここで速度検出エンコーダ77の信号を演算の上、突起移動モータ87に入力する。突起移動モータ87はギアを介して突起送りネジ85を回転させ突起位置変更第1及び第2タイミングプーリ81a,81bを一緒に同じ距離だけ前進方向又は後退方向に移動させる。その量は突起移動量検出エンコーダ88でフィードバックする。これによって同一タイミングベルト系内にある上第2バキュームタイミングプーリ79は、カッタシリンダ軸のバキュームドラム駆動タイミングプーリ76に対して前進又は後退をしつつ共に回転する。
【0042】
このとき突起位置変更第1及び第2タイミングプーリ81a,81bにかかるタイミングベルト80を平行に掛かるようにしているので、突起位置変更第1タイミングプーリ81aと突起位置変更第2タイミングプーリ81bのそれぞれの移動によって生じるタイミングベルト80の伸びと縮みの量が同一であり、タイミングベルト80の張力は一定に維持される(つまり弛み等は生じない)。また突起移動モータ87による送りネジ85の移動量と剥離用突起先端の位置がリニアに変化する。これによって印刷機の回転速度に対応して剥離用突起先端の位置(進角)変化が滑らかに行われ、カット紙の効果的な制動と安定した受け渡しを実現できる。
【0043】
次に低速搬送手段について説明する。低速搬送手段14は、前述のように、高速搬送手段13の上第2バキュームドラム30及び第2エアブロー31の下部に設けられている。図9はその平面図である。バキュームドラム33は、外周側で回転するバキュームドラム本体90、内側に位置する中空固定軸91、それらを支える軸受ブロック92及び固定ブラケット93等から構成される。バキュームドラム33は、カット紙オーバラップ調整変速機94(図7のA参照)を介してタイミングプーリ95で駆動されておりウエブライン速度の約1/15で運転される。このバキュームドラム33も、他のバキュームドラムと同様、一端でラビリンスシールを挟んでベアリングで中空固定軸に支持され、他端は駆動軸と接合されて軸受ブロックにてフレームに支持されタイミングプーリーで回転される。
【0044】
図10に詳細に示すように、バキュームドラム本体90の表面には多数の吸引孔96が開孔しており内側まで貫通している。吸引孔96の外周面側の開口端には約150°の大きな面取り、内側には90°の面取りが施され、且つ開口縁などはバフ研磨などによって滑らかに整形されている(図10の拡大図参照)。これによって、剥離用突起36が高速で接触したときでもカット紙の傷、汚れの発生を防止できる。また、剥離用突起36の接触圧の調整範囲が広がりゆとりが生じ、面取りが大きいため面積が増加し、吸着効果が高まり高速でのカット紙の飛び出し防止にも有効となる。
【0045】
中空固定軸91は軸方向に一直線上に10数個の通気孔97を貫通させ、その両側に軸方向に平行な溝を2本設けてある。溝の中には波状のスプリングを介してセパレータを入れてある。このセパレータと両側のラビリンスシールによって1つの空間を形成し、中空固定軸の一方の開口端に排風機よりのダクトを接続する。排風機の作動により、中空固定軸91の通気孔97と両セパレーターの範囲内のバキュームドラムの吸引孔を通じてカット紙を吸着する。また、中空固定軸の両セパレーターと通気孔で形成されている吸引方向は中空固定軸をわずかに回転させて固定ブロックに固定し直すことによって変えることができる。これにより、バキュームドラム33として最適な吸引位置に容易に調整できる。排風機の出力は、後述するように、印刷機の速度に対応して自動的にしかも滑らかに変化し、安定した搬送を確保する。
【0046】
バキュームボックス35は鋳造品で全体として上部開放の箱状となっており、その上部開口はスリットベースプレートで覆われ、その上にスリットプレート98が位置する。スリットベースプレートにはカット紙の流れ方向に10数列のスリット状の開口部が設けてあり、このスリット状の開口部に合わせるように、それぞれスリットプレート98が取付けられる。バキュームドラム本体90にはバキュームベルト装着用凹部99が十数本形成され、バキュームベルト34がずれないようにする。
【0047】
ここでスリットプレート98には2種類あり、中央部の最小紙幅範囲内に取り付けるものはスリット幅が3〜4mm、最小紙幅の外側に取り付けるものはスリット幅が0.75〜1mmとする。なお、スリットベースプレートのスリット幅は5mm程度と大きくする。このようにして、無端のバキュームベルト34をかけて回動させ、排風機を動作させてバキュームボックスより吸引を行う。スリットとバキュームベルトの穴を通じてカット紙は吸引されつつ低速でスタック部に搬送される。中央部はスリット幅が大きいのでバキュームベルト穴を通じて十分に吸引され、カット紙は安定して搬送される。カット紙幅が狭い場合には、両側のスリットはカット紙で閉じられない。もし両側のスリット幅も十分に広いと、そこから空気が自由に入りバキュームボックス内の真空圧が低下してしまう。つまり、カット紙の安定が低下する。印刷機が高速回転するとカット紙が左右にズレてしまうことになる。しかし、前記のように両側のスリット幅を中央の1/3〜1/5にしているので、真空圧の低下を防止することができる。また、カット紙幅が広い場合には、より真空圧が高まるので、両側の狭いスリットでも吸着効果が上げられ共に安定搬送に役立つ。特に印刷機が高回転化して運転効率を上げたい機種では安定して高速運転を維持出来る上記の構成は非常に重要である。
【0048】
なお、低速搬送手段14のバキュームドラム33の吸引圧は20kpa程度で他のバキュームドラム29,30の吸引圧の約5倍以上となっている。これは高速で搬送されるカット紙を瞬時に約1/15まで減速するためである。図9及び図10に示す吸引孔96の形成個数及び形成位置から分かるように、バキュームドラム33におけるカット紙後端をとらえての減速効果の約3/4は、カット紙後端が直接バキュームドラム33に接触することで得られている。また、バキュームベルト34の主な役目は、カット紙後端をとらえての減速と合わせて、前記スリットプレート98を通じての吸引によってカット紙を瓦積み状にしつつ安定に搬送することである。
【0049】
なお、低速搬送手段14にはスタック部にて必要な機能も装備されている。それは扁平開口を有するエアノズル100であり、バキュームボックス35の下流側の先端プーリ間でスタック部入口側に面して設置されている。全体で8〜10個で構成され、レギュレーター、流量コントロールバルブを経てバキュームボックスのノズルマニホールドに供給され、そこから各エアノズルに配管される。ノズル断面は上下に薄く、水平方向に幅広くできており、スタック部上部から落下しつつジョガーで揃えられつつあるカット紙に対して、スタック部入口側より出口側に向かって空気を吹きつける。フラットな空気流は、カット紙とカット紙の間に入り易く、カット紙を乱すことが少ない。これによりカット紙は密着することなく、ジョガー効果も上がって綺麗に揃えられる。
【0050】
更に本実施例では、印刷機シータの入力軸70の速度を検出する速度検出エンコーダ77を用いて輪転印刷機の回転数を常時検出し、制御回路に取り込み、回転数に応じ予め設定した出力を送風機及び排風機に指令し、送風制御及び排風制御を行う。もし従来のように吸引力が一定だと、低速回転時は必要以上に強すぎて早めに吸引されたり、逆に、高速回転時は吸引力が不足して安定に搬送できないからである。出力制御は、インバータ制御(周波数による送風機、排風機の回転数制御)で行うことが簡便且つ有効である。これは、上バキュームドラムと下バキュームユニット間の吸引力のバランス、並びにカット紙が高速から低速に移行するときの慣性力、エアブローの強さとカット紙の浮揚力と速度などについては、印刷機の回転数と送風機・排風機の出力との関係は手動では対応しきれない部分があるからである。印刷機速度と送風機・排風機の出力の関係を図11に示す。
【0051】
図11のAに示すように、上第1バキュームドラムは、低速域より印刷速度までは徐々に吸引力を上げていき、営業運転速度域では強すぎない吸引力で一定とする。上第2バキュームドラムは、低速域より比較的強くし、下バキュームユニットの影響を受けないようにし、営業運転速度域では更に僅かに吸引力を強くして一定にする。これが、カット長の安定に望ましい。
【0052】
図11のBに示すように、下バキュームドラムは、低速域ではやや吸引力を低くしてカット紙後端の早期落下を防止し、その後は急激に吸引力を強力にしてそのまま営業運転速度域まで保つ。下バキュームボックスは、極く低速域ではカット紙の先端部が早期落下しないように出力を抑え、カット紙に速度慣性力がついてきたら強力にしてカット紙の低速安定性を増すようにする。
【0053】
図11のCに示すように、第1エアブローは、低速域より比較的緩やかに吹き出し力を強めていき、高速域ではカット部よりでてくるウエブ先端が上方に舞い上がるのを防止する。第2エアブローは、低速域より高速域まで徐々に出力を上げる。強すぎないことが望ましい。
【0054】
なお、各送風機・排風機の出力(周波数)は操作パネルにより容易に設定・変更できるようになっている。このようにすることで、印刷機の回転数に見合った最適の条件で送風機や排風機の出力を、手動による煩瑣な調整を必要とせず、全回転域にわたって自動制御することができる。これによって、低速域から高速域にわたる全回転域で、カット紙のばたつき、傷の発生、飛び出しなどの不具合発生を防止でき、特に高速安定性が向上する。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上記のように、リニア移動機構上で対向配設した突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリにタイミングベルトが平行に掛かるようにし、突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリを対として移動させる剥離用突起の自動進角制御機構が組み込まれているため、印刷機の運転速度に合わせてカット紙転移用の剥離用突起の位置を自動的に進退調整でき、それによって高速運転でもカット紙の飛び出しを完全に防止できる。
【0056】
また本発明で高速搬送手段や低速搬送手段の送風機及び排風機の出力を印刷機運転速度に応じて自動インバータ制御するように構成すると、ウエブやカット紙がばたついたり、飛び出したり、傷つくなどの不具合が生じることがなく、安定した搬送を行うことができる。また手動によるダンパなどの煩瑣な調整も不要であり、作業性は極めて良好となる。
【0057】
更に本発明で、低速搬送手段のバキュームドラムに形成されている多数の吸引孔が、外周面側の開口端に140〜160°の大きな面取りが施され且つ開口縁が滑らかに整形されていると、剥離用突起が高速で接触したときでもカット紙の傷、汚れの発生を防止できる。また、剥離用突起の接触圧の調整範囲が広がりゆとりが生じ、面取りが大きいため面積が増加し、吸着効果が高まり高速でのカット紙の飛び出し防止にも有効となる。
【0058】
また本発明で、低速搬送手段のバキュームボックスの上面にあって、バキュームベルトの直下に位置するスリットプレートを、中央寄りの最小紙幅以内ではスリット幅が広く、最小紙幅から最大紙幅の外寄りの部分ではスリット幅が狭く、且つ流れ方向に沿って均一幅に設定すると、中央部はスリット幅が大きいのでバキュームベルト穴を通じて十分に吸引され、カット紙幅が狭い場合でも、両側のスリット幅を中央の1/3〜1/5にしているので、真空圧の低下を防止することができる。また、カット紙幅が広い場合には、より真空圧が高まるので、両側の狭いスリットでも吸着効果が上げられる。従って、カット紙幅の広狭にかかわらず安定搬送に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷機用シータの一実施例を示す全体構成図。
【図2】その高速搬送手段と低速搬送手段の説明図。
【図3】上第2バキュームドラムの部分説明図。
【図4】低速運転時における剥離用突起の位置を示す説明図。
【図5】高速運転時における剥離用突起の位置を示す説明図。
【図6】印刷機回転数に対する突起先端前進量の関係を示すグラフ。
【図7】入力部の機構を示す説明図。
【図8】剥離用突起の自動進角制御機構の説明図。
【図9】低速搬送手段の平面図。
【図10】低速搬送手段のバキュームドラムの部分説明図。
【図11】送風機・排風機の出力変化を示すグラフ。
【符号の説明】
10 ウエブ
11 インフィード部
12 カット部
13 高速搬送手段
14 低速搬送手段
16 スタック部
28 第1エアブロー
29 上第1バキュームドラム
30 上第2バキュームドラム
31 第2エアブロー
36 剥離用突起
76 バキュームドラム駆動タイミングプーリ
78 剥離用突起の自動進角制御機構
79 タイミングプーリ
80 タイミングベルト
81a 突起位置変更第1タイミングプーリ
81b 突起位置変更第2タイミングプーリ
82a,82b,82c,82d アイドラプーリ
83 テンションプーリ
84 上第1バキュームドラム駆動タイミングプーリ
85 突起送りネジ
86 リニア移動機構
87 突起移動モータ
88 突起移動量検出エンコーダ

Claims (3)

  1. ウエブを取り込むインフィード部と、回転カッタシリンダでウエブを所定寸法の枚葉に裁断するカット部と、該カット部の下流側に設けた高速搬送手段と、裁断したカット紙を瓦積み状態で搬送する低速搬送手段と、カット紙を積み重ねるスタック部を具備し、前記高速搬送手段は、低速搬送手段に対向してその上方に位置する回動部材を有し、該回動部材の外周に剥離用突起が回動軸と平行に配列されていて、該剥離用突起によりカット紙の後端部を押し下げてカット紙を高速搬送手段から低速搬送手段に転移させ瓦積み状態にする印刷機用シータにおいて、
    回動部材はカッタシリンダと同期回転するバキュームドラムであり、そのバキュームドラム軸のタイミングプーリを駆動するタイミングベルトが、両端で軸支されている1本の突起送りネジを有するリニア移動機構上で対向配設した突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリに平行に掛かるようにし、印刷機の速度信号を突起移動モータに入力して前記リニア移動機構を駆動し突起位置変更用の第1及び第2のタイミングプーリを対として移動させることで前記突起移動モータによる送りネジの移動量と剥離用突起先端の位置がリニアに変化するようにした剥離用突起の自動進角制御機構を有し、印刷機速度に応じてカット紙後端縁に対する剥離用突起の前進量が自動的に進退調整されるようにし、低速搬送手段は、先端プーリと後方のバキュームドラムの間にバキュームベルトを掛け渡し、該バキュームベルトの内側上方にバキュームボックスが位置する構造を有し、バキュームドラムに形成されている多数の吸引孔は、外周面側の開口端に140〜160°の大きな面取りが施され、且つ開口縁が滑らかに整形されており、前記自動進角制御機構による剥離用突起の位置制御によってカット紙後端が低速搬送手段のバキュームドラムの吸引範囲に落下し、吸引によりカット紙に制動が掛かることで安定搬送を可能としたことを特徴とする印刷機用シータ。
  2. 高速搬送手段及び低速搬送手段は、カット紙に面する開口からカット紙流れ方向にエアを吹き出してコアンダ効果によりカット紙を引きつけつつ搬送するエアブロー手段、及び回転するバキュームドラムあるいはバキュームベルトによりカット紙を引きつけつつ搬送するバキューム手段を具備し、その送風機及び排風機の出力を印刷機運転速度に応じて自動制御する請求項1記載の印刷機用シータ。
  3. バキュームボックスの上面にあって、バキュームベルトの直下にスリットプレートが位置し、該スリットプレートは、中央寄りの最小紙幅以内ではスリット幅が広く、最小紙幅から最大紙幅の外寄りの部分ではスリット幅が狭く、且つそれらは流れ方向に沿って均一幅に設定されている請求項1又は2記載の印刷機用シータ。
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