JP3919637B2 - 親水性不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性を有する不織布に関する。本発明の不織布は、例えば衛生用品の表面シートや吸収体、スキンケア用品用材料、医療用材料、液の吸収を目的とした清掃シートなどとして好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
合成繊維からなる不織布を親水化する方法として、繊維表面へ親水性油剤を付着させ、不織布の親水性をコントロールすることが知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法では親水性油剤がひとたび水性液体と接触すると溶け落ちてしまうので、繰り返し水性液体と接触した場合には2度目以降の液透過性が低下してしまう。この対策として、水に溶解しにくい親水耐久性の油剤を繊維表面に付着させる方法が提案されているが(特許文献2参照)、溶解する量と耐久性(溶解し難さ)とのバランスをコントロールすることが難しく、繰り返し水性液体と接触した場合に各接触の度に同程度の液透過性を発現するには至っていない。
【0003】
一方、湿式抄紙法によって得られる不織布において、親水化剤を練り込んだ繊維を用いることが提案されている(特許文献3参照)。この方法は、繊維表面に付着させた親水化油剤が抄紙工程において溶け落ちてしまったとしても、繊維に練り込まれた親水化剤を繊維表面にブリードアウトさせることで、親水耐久性を改善しようとするものである。しかしこの方法では、繊維に練り込んだ親水化剤のブリードアウト速度やブリードアウト量のコントロールが難しいので、いつ水性液体と接触するかわからない実用場面への対応として不十分である。また、この不織布はポリエステル系繊維から構成されており、これに起因して硬く、風合いが良好とは言えないので、この不織布を肌に直接触れる用途、例えば衛生用品の表面シートとして用いるには適切でない。
【0004】
同じように親水化剤を繊維に練り込む方法として、分割型の複合繊維に親水化剤を練り込んでおき、水流によって、不織布の形成と同時に繊維を分割・極細化させることが提案されている(特許文献4参照)。しかし、この方法も前述した特許文献3に記載の方法と同様に、親水化剤のブリードアウト速度やブリードアウト量のコントロールが難しい。また繊維が極細化することで繊維間の空隙が小さくなって毛管力が高まるので、液透過速度が低下してしまう。従って、高い液透過速度が必要とされる衛生用品の表面シートとして、この不織布を用いることはできない。
【0005】
従って、本発明は、繰り返し水性液体と接触しても親水性及び液透過性が低下しない不織布を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
特開昭56−58001号公報
【特許文献2】
特開昭63−6166号公報
【特許文献3】
特開平4−222221号公報
【特許文献4】
特開平9−310259号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、互いに異なる樹脂が、繊維の長手方向に連続的に且つ繊維の周方向に交互に配されている複合繊維を含む親水性不織布において、
前記複合繊維には、その構成樹脂の少なくとも1種に親水化剤が練り込まれていると共にその外周面に親水性付与油剤が付着されており、
前記複合繊維の構成樹脂には、前記親水化剤が練り込まれている樹脂と、練り込まれていない樹脂とがあり、該親水化剤が練り込まれている樹脂と練り込まれていない樹脂とが交互に規則的に配されており、
前記不織布は、前記複合繊維が実質的にその全長に亘りその構成樹脂間において分割が生じるような外力を受けない条件下に熱融着法によって形成されており、それによって該不織布の平均細孔径が60〜200μmとなっており、
前記複合繊維が20重量%以上含有されている親水性不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の親水性不織布は、互いに異なる樹脂が、繊維の長手方向に連続的に且つ繊維の周方向に交互に配されている複合繊維を含んでいる。このような形態の複合繊維は一般に分割繊維と呼ばれている。従って、以下の説明においてはこの複合繊維を分割複合繊維という。分割複合繊維は、一般に互いに異なる2種類の樹脂が、繊維の周方向に交互に配されて、例えば6分割、8分割、16分割或いは32分割可能になっている。尤も、分割複合繊維の構成樹脂は2種類に限られず3種類以上でもよく、また分割数も前述の数に限られない。つまり繊維の横断面をみたときに、互いに異なる種類の樹脂が繊維の周方向に交互に配されていればよく、芯鞘構造や中空構造であっても良い。親水性の低下防止の点からは6分割以上が好ましく、生産性の点からは32分割以下が好ましい。特に8〜16分割が好ましい。
【0009】
前記分割複合繊維は後述するように親水性のものである。そして本発明の不織布は、斯かる親水性の分割複合繊維を20重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上含んでいる。本発明の不織布が分割複合繊維を20重量%以上含むことによって、繰り返し水性液体と接触しても親水性及び液透過性が低下しなくなる(以下、この性質を親水耐久性ともいう)。本明細書において水性液体とは、人体から排出される各種体液、水、水性洗浄剤、保湿剤、水を含んでなるO/W型やW/O型の乳化系の薬剤などであり、具体的には、本発明の不織布が使い捨ておむつの構成部材として用いられる場合には尿のことであり、生理用ナプキンの構成部材として用いられる場合には経血のことである。また本発明の不織布がスキンケア用品の構成部材として用いられる場合には、洗浄剤、保湿剤、乳化系の薬剤のことである。分割複合繊維の使用量の上限値に制限はなく、分割複合繊維100%から本発明の不織布が構成されていてもよい。或いは、本発明の不織布は分割複合繊維以外の繊維を含んでいてもよい。その場合の分割複合繊維以外の繊維の使用量の上限値は80重量%、特に70重量%であることが好ましい。
【0010】
分割複合繊維はその構成樹脂の少なくとも1種に親水化剤が練り込まれていると共にその外周面に親水性付与油剤が付着されている。これによって分割複合繊維は親水性となされている。本発明者らは意外にも、このような方法で親水化した分割複合繊維を原料として用い、後述する熱融着法によって不織布を形成することで、繰り返し水性液体と接触しても不織布の親水性及び液透過性が低下しなくなることを知見した。この理由は明らかではないが、一つの理由として、分割複合繊維を構成する樹脂に練り込まれた親水化剤が、繊維外周面に付着している親水性付与油剤と弱い結合(アンカー効果)を起こし、繰り返し水性液体と接触しても流れ落ち難くなるためと考えられる。また別の理由として、分割複合繊維の外周面に、親水化剤が練り込まれた樹脂が規則的な間隔で配置されることで、繊維外周面に付着している親水性付与油剤が、親水化剤の練り込まれた樹脂に引き寄せられ、繊維の周方向に規則的な間隔で親水性付与油剤が偏在するためと考えられる。この規則的な偏在によって水性液体との接触確率が高くなり、本発明の不織布の液透過性が高くなり、また繰り返し水性液体と接触しても親水性及び液透過性が低下しなくなると考えられる。繊維表面が単一樹脂からなる繊維に親水性付与油剤を付着させる従来の方法では、親水性付与油剤が繊維の表面に不均一に存在することになり、本発明のような液透過性を発現させることは容易でない。
【0011】
本発明の不織布は、熱融着法によって形成されたものである。熱融着法にはエアスルー法やポイントボンド法などがある。エアスルー法は、ウエブに熱風を吹き付けて、ウエブの構成繊維の交点を融着させる方法である。ポイントボンド法は、所定手段によって形成されたウエブを、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとからなる一対のロール間に通し、熱及び圧力を付与することでウエブの構成繊維を部分的に融着させる方法である。熱融着法は、他の不織布製造法、例えばスパンレース法やニードルパンチ法に比べ、製造過程において、分割複合繊維に実質的にその全長に亘りその構成樹脂間において分割が生じるような外力が加わりにくい方法である。その結果、分割複合繊維には過度の外力が加わらず、分割複合繊維の過度の分割が抑制される。分割複合繊維の分割が進むと、不織布における繊維間距離が小さくなり、毛管力が大きくなってしまう。大きな毛管力は、不織布における液の透過性の妨げになるものである。この観点から、本発明の不織布においては、分割複合繊維は分割していないことが望ましいが、不織布の製造過程において不可避的に分割が生じてしまう。分割複合繊維の分割の程度は本発明において重要な要因であるが、その程度を直接的に数値化することは容易でない。そこで本発明においては、分割複合繊維の分割の程度を不織布の平均細孔径で表すこととした。
【0012】
本発明の不織布は、その平均細孔径が60〜200μmである。分割複合繊維を含む不織布であって、平均細孔径が前記範囲内である不織布は今まで知られておらず、本発明者らが初めて知見したものである。分割複合繊維を含む従来の不織布は、該分割複合繊維の分割に起因して平均細孔径が前記範囲よりも小さい値をとる。本発明の不織布は、その製造方法、即ち熱融着法に起因して、不織布中における分割複合繊維の分割の程度が低く抑えられている。本発明の不織布において、平均細孔径が60μm未満では、毛管力が大きくなってしまい液の透過性を十分に大きくすることが容易でない。平均細孔径が200μm超では、不織布の強度を実用上十分に高いものとすることが容易でない。平均細孔径は、バブルポイント法(ASTM F316−86,JIS K3832)に従いPOROUS MATERIALS INC.社製、細孔径分布測定装置CFP−1200AEXL−ESAによって測定される。
【0013】
液の透過性を十分に高いものとし、且つ実用上十分に高い強度を確保する点から、本発明の不織布の坪量は10〜50g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましい。
【0014】
本発明の不織布に含まれる分割複合繊維は、前述のように構成樹脂の少なくとも1種に親水化剤が練り込まれていると共にその外周面に親水性付与油剤が付着されているものである。この場合、構成樹脂には、親水化剤が練り込まれている樹脂と練り込まれていない樹脂とがあり、親水化剤が練り込まれている樹脂と練り込まれていない樹脂とが交互に規則的に配されていることが、前述したように親水性付与油剤の規則的な偏在の点から必要である。分割複合繊維はその繊度が1〜15dtex、特に2.2〜8dtexであることが、毛管力が過度に大きくなることを防止し十分な液透過性を得る点、及び製造コストの点から好ましい。また、分割複合繊維が完全に分割された状態での個々の繊維の繊度は0.03〜4.0dtex、特に0.1〜1.3dtexであることが、不織布の柔軟性や風合いと、水性液体の透過性との両立の点から好ましい。
【0015】
分割複合繊維の構成樹脂に練り込まれている親水化剤は、その量が分割複合繊維の重量に対して0.2〜1.0重量%、特に0.4〜0.8重量%であることが、親水耐久性及びコストの点から好ましい。一方、分割複合繊維の表面に付着されている親水性付与油剤は、その量が分割複合繊維の重量に対して0.1〜0.5重量%、特に0.2〜0.4重量%であることが、親水性能及びカード機の通過性の点から好ましい。
【0016】
親水化剤は、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン基などの親水基を有する化合物であればよい。例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、アルキコキシ化アルキルフェノール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等の非イオン界面活性剤が挙げられる。これらのうち、特に親水耐久性の点からポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。一方、親水性付与油剤としては、例えば硫酸エステル塩基、C8〜C30のアルキルリン酸エステル塩基、C8〜C12のアルキルリン酸アルカリ金属塩、スルホン酸塩基等を含むアニオン系活性剤、ベタイン活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ソルビタンモノオレートやポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサン、アルキロールアミド型化合物とポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサンとの配合物、ポリグリセリン脂肪酸エステル或いはこれとポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサンとの配合物、ポリエーテルポリエステルブロック共重合体或いはこれとポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサンとの配合物、炭素数28以上の炭化水素基を疎水基とする界面活性剤とポリオキシアルキレン変性オルガノシロキサンとの配合物が挙げられる。これらのうち、特に親水性能、カード機通過性及び静電気防止性の点から、C8〜C12のアルキルリン酸カリウム塩を用いることが好ましい。
【0017】
分割複合繊維は、短繊維及び連続フィラメントの形態の何れでも用いることができる。何れの形態を用いるかはウエブの製造方法に応じて選択すればよい。例えば、カード法やエアレイド法によってウエブを形成する場合には短繊維を用いればよい。また紡糸口金から分割複合繊維を溶融紡糸してワイヤーメッシュ上に直接堆積させてウエブを形成する場合には連続フィラメントが用いられる。短繊維を用いる場合には繊維長は3〜80mm程度であることが加工性の点から好ましい。特にウエブ形成法としてカード法を用いる場合には繊維長が35〜65mmであることが好ましく、エアレイド法を用いる場合には5〜20mmであることが好ましい。何れの形態の繊維を用いる場合においても、分割複合繊維の製造においては、先ず構成樹脂の少なくとも一つに親水化剤を予め練り込んでおき、公知の方法に従い溶融紡糸を行う。これによって、構成樹脂の少なくとも1種に親水化剤が練り込まれている分割複合繊維が得られる。次いで、この繊維の表面に親水性付与油剤を付着させて、目的とする繊維を得る。
【0018】
分割複合繊維の構成樹脂としては、異なる種類の樹脂の2種以上の組み合わせが用いられる。特に融点差の大きな樹脂の組み合わせを用いることが、効果的に熱融着を起こさせ得る点から好ましい。この観点、及び繊維の剛性が低下することに起因して不織布の風合いが良好になる点から、構成樹脂の少なくとも一つとして融点が100〜150℃のポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを用いることが好ましい。
【0019】
本発明の不織布には、分割複合繊維に加えて他の繊維を配合することもできる。そのような繊維の典型例としては熱融着繊維が挙げられる。熱融着繊維を配合することで、不織布の強度を向上させることが容易となる。熱融着繊維としては、複合型の繊維を用いることが不織布強度の一層の向上の点から好ましい。この場合、熱融着複合繊維の構成樹脂のうち低融点樹脂の当該融点と、分割複合繊維の構成樹脂のうち低融点樹脂の当該融点との差が20℃以内、特に10℃以内であることが、両繊維間での熱融着を効果的に起こさせ得る点から好ましい。同様の理由により、熱融着複合繊維における低融点樹脂が、分割複合繊維における低融点樹脂と相溶性のある樹脂からなることが好ましい。特に、熱融着複合繊維における低融点樹脂が、分割複合繊維における低融点樹脂と同種の樹脂からなることが好ましい。例えば、分割複合繊維における低融点樹脂が前述したポリオレフィン系樹脂からなる場合、熱融着複合繊維における低融点樹脂もポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。これによって、両繊維における低融点樹脂同士が確実に熱融着する。
【0020】
熱融着複合繊維は分割複合繊維と同様に、その外周面に親水性付与油剤が付着されていてもよい。親水性付与油剤としては、前述の分割複合繊維に用いられるものと同様のものが用いられる。熱融着性複合繊維および分割複合繊維に用いられる親水性付与油剤は同種のものでもよく、或いは異種のものの組み合わせでもよい。熱融着複合繊維は、本発明の不織布中に30〜80重量%、特に50〜70重量%配合されることが、不織布の親水耐久性を高めつつ、強度を確保し得る点から好ましい。
【0021】
本発明の不織布は次に述べる方法で好ましく製造される。先ず、所定の方法によって、分割複合繊維を含むウエブを形成する。次に、熱融着法によってウエブを不織布化する。前述の通り、熱融着法は、分割複合繊維に外力が加わりにくく、分割が起こりにくい製造方法である。また熱融着法は、スパンレース法やニードルパンチ法などの他の不織布製造方法に比べ、低坪量で柔らかい不織布を煩雑な工程無しに製造できる点で優れている。更に、生産性や経済性の点でも優れている。熱融着法のうち、エアスルー法を用いることが好ましい。エアスルー法は、熱融着法のうちでも特に分割複合繊維に外力が加わりにくい方法だからである。また低坪量でも嵩高で高空隙の不織布を製造でき、液透過性のコントロールが容易だからである。尤も、エアスルー法を用いても或る程度の外力は加わることから、得られた不織布における分割複合繊維には、その構成樹脂間が長手方向に部分的に分割している部分が存在している。
【0022】
熱融着法は、分割複合繊維が実質的にその全長に亘りその構成樹脂間において分割が生じるような外力を受けない条件下に行われる。具体的な条件は、個々の熱融着法によって異なるが、どのような熱融着法を用いた場合にも、前述した平均細孔径が前述の範囲となるような条件を採用する。そのような条件下に熱融着法を行うと、分割複合繊維は、その全長に対する一部分において構成樹脂間での分割が生じる場合が多い。
【0023】
このようにして得られた本発明の不織布は親水性及び液透過性を呈する。そして繰り返し液と接触しても親水性及び液透過性は低下しないという優れた特徴を有している。従って本発明の不織布は、衛生用品の表面シートや吸収体、スキンケア用品用材料、医療用材料、液の吸収を目的とした清掃シートなどとして好適に用いられる。特に、エアスルー法で得られた不織布は、前述の通り低坪量でも嵩高で高空隙を有することから、一旦透過した液の逆戻りの防止に有効であり、この点から該不織布は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体における該表面シートとして好適に用いられる。また該表面シートと該吸収体との間に配されるシート(このシートはサブレイヤーシートないしセカンドシートと呼ばれることがある)としても好適に用いられる。
【0024】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されないことは言うまでもない。
【0025】
〔実施例1〕
分割複合繊維として、ポリエチレンテレフタレートと低融点ポリプロピレンとからなる8分割繊維を用いた。この繊維は繊度6.7dtex、繊維長51mmであった。この繊維におけるポリプロピレン部分には、親水化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルが練り込まれていた。親水化剤の量は分割複合繊維の重量に対して0.4重量%であった。またこの繊維の外周面には、親水性付与油剤としてポリオキシエチレンC8アルキルリン酸カリウム塩とC12アルキルリン酸カリウム塩とを主体とする混合物が付着されていた。親水性付与油剤の量は分割複合繊維の重量に対して0.3重量%であった。
【0026】
熱融着複合繊維として、芯がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘が低融点ポリプロピレンからなる芯鞘型複合繊維を用いた。この繊維は繊度6.7dtex、繊維長51mmであった。この繊維の外周面には、親水性付与油剤としてポリオキシエチレンC8アルキルリン酸カリウム塩とC12アルキルリン酸カリウム塩とを主体とする混合物が付着されていた。親水性付与油剤の量は分割複合繊維の重量に対して0.3重量%であった。
【0027】
分割複合繊維40重量%及び熱融着複合繊維60重量%を混合し、カード法によってウエブを形成した。このウエブを温度140℃の熱風炉内に7秒間通して、繊維同士の交点を熱融着させて、坪量32.8g/m2、厚さ2.1mmの不織布を得た。この不織布においては、分割複合繊維は、その全長に亘ってはその構成樹脂間において分割が生じていなかった。
【0028】
〔実施例2〕
分割複合繊維として実施例1と同様のものを用いた。この繊維100%を原料として、実施例1と同様の方法によって、坪量34.4g/m2、厚さ2.3mmの不織布を得た。この不織布においては、分割複合繊維は、その全長に亘ってはその構成樹脂間において分割が生じていなかった。
【0029】
〔比較例1〕
熱融着複合繊維として、芯がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維を用いた。この繊維は繊度2.2dtex、繊維長51mmであった。この繊維の外周面には、親水性付与油剤として、実施例1における熱融着複合繊維に用いた親水性付与油剤と同様のものが付着されていた。親水性付与油剤の量は熱融着複合繊維の重量に対して0.3重量%であった。この繊維100%を原料としてカード法によってウエブを形成した。このウエブを温度140℃の熱風炉内に7秒間通して、繊維同士の交点を熱融着させて、坪量30g/m2、厚さ2.0mmの不織布を得た。
【0030】
〔比較例2〕
熱融着複合繊維として、芯がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維を用いた。この繊維は繊度6.7dtex、繊維長51mmであった。この繊維の鞘部分には、親水化剤として、実施例1における分割複合繊維に用いた親水化剤と同様のものが練り込まれていた。親水化剤の量は熱融着複合繊維の重量に対して0.4重量%であった。またこの繊維の外周面には、親水性付与油剤として、実施例1における分割複合繊維に用いた親水性付与油剤と同様のものが付着されていた。親水性付与油剤の量は熱融着複合繊維の重量に対して0.3重量%であった。この繊維100%を原料としてカード法によってウエブを形成した。このウエブを温度140℃の熱風炉内に7秒間通して、繊維同士の交点を熱融着させて、坪量30g/m2、厚さ1.9mmの不織布を得た。
【0031】
〔比較例3〕
分割複合繊維として太さが3.3dtexである以外は実施例1と同様のものを用いた。この繊維100%を原料として、カード法によってウエブを形成した。このウエブをスパンレース法によって水流交絡させ、坪量85g/m2、厚さ0.7mmの不織布を得た。この不織布は、その全面において分割複合繊維の分割がそのほぼ全長に亘り生じていた。
【0032】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布について、前述の方法で平均細孔径を測定した。また以下の方法で水の通過時間を繰り返し測定し、また親水耐久性を測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
【0033】
〔水の通過時間及び親水耐久性の測定方法〕
図1に示すように、不織布上に5.5cm径のN0.101濾紙(TOYOろ紙製)を重ね、この両者を上下から、ゴムパッキンを介して、直径35mmの一対のガラス製シリンダーで挟持固定した状態下に、上側のシリンダーにイオン交換水40gを供給する。イオン交換水の供給開始時から、濾紙及び不織布を通過して下側のシリンダーに溜まったイオン交換水の重量が20gになるまでの時間を測定する。この時間を水の通過時間とする。水の通過時間が180秒以下であれば、不織布を取り出して、含まれているイオン交換水を乾燥除去させた後に、同様の測定を繰り返し行う。前記時間が180秒超となった時点での測定回数nを不織布の親水耐久性とする。
【0034】
【表1】
Figure 0003919637
【0035】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の不織布(本発明品)は、比較例の不織布に比べて、繰り返し水と接触させても透過性が保たれることが判る。特に、分割複合繊維100%からなる実施例2の不織布は、5回の繰り返しにおいて通過時間がほぼ一定に保たれており、親水耐久性に優れていることが判る。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、繰り返し水性液体と接触しても親水性及び液透過性が低下しない不織布が提供される。特に、不織布に配合される分割複合繊維の構成樹脂としてポリオレフィン系樹脂を用いることで、繊維の剛性が低下し且つ熱融着が容易になり、嵩高で柔らかな風合いの不織布となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】親水耐久性の測定方法を示す模式図である。

Claims (6)

  1. 互いに異なる樹脂が、繊維の長手方向に連続的に且つ繊維の周方向に交互に配されている複合繊維を含む親水性不織布において、
    前記複合繊維には、その構成樹脂の少なくとも1種に親水化剤が練り込まれていると共にその外周面に親水性付与油剤が付着されており、
    前記複合繊維の構成樹脂には、前記親水化剤が練り込まれている樹脂と、練り込まれていない樹脂とがあり、該親水化剤が練り込まれている樹脂と練り込まれていない樹脂とが交互に規則的に配されており、
    前記不織布は、前記複合繊維が実質的にその全長に亘りその構成樹脂間において分割が生じるような外力を受けない条件下に熱融着法によって形成されており、それによって該不織布の平均細孔径が60〜200μmとなっており、
    前記複合繊維が20重量%以上含有されている親水性不織布。
  2. 前記熱融着法としてエアスルー法を用いた請求項1記載の親水性不織布。
  3. 前記複合繊維の構成樹脂の少なくとも1種がポリオレフィン系樹脂である請求項1又は2記載の親水性不織布。
  4. 熱融着複合繊維を30〜80重量%含有し、該熱融着複合繊維の構成樹脂のうち低融点樹脂の当該融点と、前記複合繊維の構成樹脂のうち低融点樹脂の当該融点との差が20℃以内である請求項1〜3の何れかに記載の親水性不織布。
  5. 前記熱融着複合繊維における低融点樹脂が、前記複合繊維における低融点樹脂と相溶性のある樹脂からなり、両樹脂が熱融着している請求項4記載の親水性不織布。
  6. 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体における該表面シートとして用いられるか、又は該表面シートと該吸収体との間に配されるシートとして用いられる請求項1〜5の何れかに記載の親水性不織布。
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