JP3919543B2 - 乾式トナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法に用いられる乾式トナーに関する。更には、該トナーを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力,階調性はもとより色むらのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきた。
【0003】
カラートナーの中でも、マゼンタトナーは、肌色を再現するのに重要であり、さらに、人物像における肌の色調はハーフトーンであることから、優れた現像性も要求される。
【0004】
従来、電子写真方式には熱可塑性樹脂と共に着色剤である顔料と帯電制御剤などとを混練し粉砕したトナーが一般に用いられている。この場合、特にマゼンタトナーにおいては、着色剤である顔料が分散されにくいため、分散粒子が光を散乱させ、トナーの透明性を低下させるという問題を生じやすかった。このため、複数のカラートナーを重ね合わせて形成した多色画像の色再現性が劣り、またオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用の透明シートに転写・定着して形成した画像の投影画像は、暗く、彩度が低くなるという欠点を有していた。さらにマゼンタトナーにおいては、着色度が低い、あるいは色調が理想的なマゼンタ色とはならない等の欠点があった。
【0005】
これらの問題に対しては、主にマゼンタトナーに用いる顔料や染料の改良、顔料や染料の併用による改良が提案されている。例えば特開平1−224777号公報には、キナクリドン系顔料及びキサンテン系染料を併用することにより鮮明なマゼンタ色のトナーが得られ、耐光性が向上することが開示されている。また特開平2−13968号公報には、キナクリドン系顔料及びメチン系顔料を併用することにより定着ローラーを汚染することなく鮮明なカラー画像が得られることが開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの提案おいて、確かに鮮明性、高着色力、透明性において改善は見られたものの、トナー表面に存在する着色剤に由来した、摩擦帯電性の悪化により、現像性や転写性の低下が見られたり、定着特性の低下が見られた。
【0007】
更に、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤(すなわち、外添剤)として無機微粉末を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0008】
例えば、特開平5−66608号公報、特開平4−9860号公報等に疎水化処理を施した無機微粉末あるいは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉末を添加する方法、または特開昭61−249059号公報、特開平4−264453号公報、特開平5−346682号公報に疎水化処理した無機微粉末とシリコーンオイル処理した無機微粉末とを併用添加する方法が開示されている。
【0009】
また、外部添加剤として現像剤に導電性微粉末を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粉末としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するために、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー粒子表面に付着または固着するための外部添加剤として用いられることが広く知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報には、高抵抗磁性トナーに酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粉末をそれぞれ外部添加することが開示されている。また、特開昭56−142540号公報では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立する現像剤が提案されている。更に、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平02−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粉末をトナーに添加することが知られている。
【0010】
しかし何れの場合も、トナー表面近傍に存在する着色剤と外部添加剤との相互作用や定着性について言及されていない。
【0011】
摩擦帯電特性を改良する方法としては、荷電制御剤をトナーに添加する方法が広く知られている。荷電制御剤としては、負帯電性のものとして、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸の金属錯塩、ナフトエ酸の金属錯塩、ジカルボン酸の金属錯塩、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。上記の荷電制御剤の多くは、電荷付与能力としては十分に高いものが多いが、制御性に乏しいため、使用し得る結着樹脂や他の材料に制限があった。
【0012】
一方、特開昭63−184762号公報では、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を構成モノマーとして有する荷電制御樹脂を含有するトナー、また、特開平8−123096号公報では、該荷電制御樹脂と特定のモノアゾ染料のFe錯塩を併用し、且つ、該モノアゾ染料のFe錯塩のトナー中の存在比を規定したトナーに関する技術が開示されている。しかしながら、該荷電制御樹脂は結着樹脂に対する分散性が良好であるため、前者の場合には効率良く荷電制御能力を発揮するには添加量を増やす必要を生じた。また、後者の場合、該モノアゾ染料のFe錯塩のトナー中の存在比を規定することにより画像形成装置とのマッチングがある程度改善されるが、トナーの帯電性自身については使用環境の影響に対して改善の余地があるばかりか、有彩色の荷電制御剤を用いることを必須としているため、カラー用トナーへの適応を非常に困難なものとしている。
【0013】
一方、定着特性を改善する目的でトナー中に離型剤としてワックスを含有させることは広く知られている。例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報等に技術が提案されている。
【0014】
特開平3−50559号公報、特開平2−79860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−217366号公報などにワックス類を含有させることが提案されている。
【0015】
ワックス類は、トナーの低温時や高温時のトナーの耐オフセット性の向上や、低温時の定着性の向上のために用いられているが反面、耐ブロッキング性を悪化させたり、複写機等の昇温などによって熱にさらされると現像性が悪化したり、また長期トナーを放置した際にワックスがトナー表面にマイグレーションして現像性が悪化したりする。
【0016】
従来のトナーでは、これらの面をすべて満足するものは無く、何らかの問題点が生じていた。例えば、耐高温オフセット性や現像性は優れているが低温定着性が今一歩であったり、耐低温オフセットや低温定着性には優れているが、耐ブロッキング性にやや劣り、機内昇温で現像性が低下するなどの弊害があったり、低温時と高温時の耐オフセット性が両立できなかったり、OHP透明性が極度に悪かったりしていた。
【0017】
特にOHPの透明性に関しては、ワックス自身の結晶化を抑制するために、結晶化核剤等をワックスに添加する提案(特開平4−149559号公報、特開平4−107467号公報)や、ワックス自身の結晶化度の小さいワックスを使用する提案(特開平3−091108号公報、特開平3−242397号公報)や、バインダーとの相溶性が良好で、バインダーより溶融粘度が低い物質をバインダー中に添加することにより、定着後のトナー層の表面平滑性を良好にする提案が特開平3−212652号公報などでされている。
【0018】
しかしながら、これらは、いずれもOHPの透明性やヘーズ(曇価)の点から十分に満足されるものではない。
【0019】
また、トナー画像を定着工程に関しても、多数枚のプリントアウトにより、トナーは現像機内でストレスを受けるため、トナー表面の特性が大きく変化する。トナーの表面の変化に伴い、定着特性が大きく低下する傾向があり、定着特性に対しても多数枚のプリントアウトに対して安定したトナーが待望されている。
【0020】
上記問題点を解決させるためにハード面からの対策も要求される。定着装置には、一般には回転加熱部材としての加熱ローラーと、回転加圧部材としての加圧ローラー(以下、両者を合わせて定着ローラーと称す)とを用いた熱ローラー方式の加熱定着手段が用いられているが、画像形成をより高速で行う場合には、高い加圧力を加えながら、瞬時に多くの熱エネルギーを必要とする。このため、定着装置の大型化や起動時の予熱時間が長く必要になるといった好ましくない事態を生じている。これらの観点より、上記の如き画像形成装置に用いられるトナーには、加熱時に高いシャープメルト性を呈することが好ましい。また、この様なトナーは低温定着性だけでなく、フルカラー画像形成時の混色性にも優れるため、得られる定着画像の色再現範囲を広げることも可能となっている。
【0021】
しかしながら、上記の如きトナーは、一般に定着ローラーとの親和性が高いため、定着時に定着ローラー表面に転移するオフセット現象を生じ易い傾向にあり、特に、転写材上にイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーによる複数のトナー層が形成されるカラー画像形成時には顕著に発生する。
【0022】
これに対し、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的で、例えば、定着ローラーの表面材質にシリコーンゴムやフッ素系樹脂の如きトナーに対して離型性の優れた材料を用いた上で、更にオフセット現象と定着ローラー表面の劣化を防止することを目的としてオフセット防止用液体の薄膜で定着ローラー表面を被覆することが行なわれている。
【0023】
しかしながら、上記の如き方法はオフセット現象を防止する点では極めて有効であるものの、(1)オフセット防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑になり、小型で安価な画像形成装置を設計する上での阻害因子となっている;(2)塗布したオフセット防止用液体が加熱時に定着ローラー中に滲み込み、定着ローラーを構成している各層間の剥離を誘発し、結果的に定着ローラーの寿命を短かくしてしまう;(3)得られる定着画像にオフセット防止用液体が付着するため、ベタ付き感を生じたり、特にプレゼンテーション用としてオーバーヘッドプロジェクターに利用されるトランスペアレンシーフィルムを転写材とした場合には透明性が損なわれるため、所望の色再現性が得られない;(4)オフセット防止用液体が画像形成装置内を汚染する、等の弊害を生じてしまう。
【0024】
近年、現像装置自体の小型・軽量化という観点で一成分現像方式が好適に用いられている。一成分現像方式の中でも半導電性の現像ローラーまたは、表面に誘電層を形成した現像ローラーを用いて感光体表面層に押し当てる構成にて現像を行う一成分接触現像方法が広く提案されている。例えば、Japan Hardcopy ’89論文集 25〜28頁、FUJITSU Sci.Tech.J.,284,pp.473−480(December 1992)、特開平5−188765号公報及び特開平5−188752号公報に一成分接触現像に関する技術が記載されている。
【0025】
一成分接触現像方法においては、感光体表面と現像電極が接触しているため、現像のエッジ効果を低減できるなどの利点がある。
【0026】
エッジ効果をより効果的に防止するために、トナー担持体を感光体に押し当て、更に感光体表面移動速度よりもトナー担持体表面移動速度を速くすると、感光体の静電荷潜像に対し、トナー担持体上のトナーが容易に感光体に移行し、静電荷潜像に非常に忠実なエッジ効果のないトナー像を得ることが可能である。
【0027】
一成分接触現像方法は上記のようなメリットがあるものの、感光体表面とトナー担持体表面が接触しているため、トナー担持体表面に存在するトナーにかかるストレスは大きい。従って、多数枚のプリントアウトを行うと、感光体表面やトナー担持体へのトナー融着を生じたり、トナーとの摩擦による傷が発生し、電子写真画像への悪影響を与える場合がある。感光体表面移動速度とトナー担持体表面移動速度の差が大きくなるほどこの傾向は顕著である。
【0028】
感光体のクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング,ファーブラシクリーニング,ローラークリーニング等の手段が用いられていた。該手段は力学的に感光体上の転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと転写残トナーを捕集するものであった。よって、このような手段を構成する部材が感光体表面に押し当てられることに起因し、問題が生じやすかった。例えば、クリーニング部材を強く押し当てることにより感光体表面が摩耗される。
【0029】
従来、特開平5−2287号公報に記載されているように、現像同時クリーニング又はクリーナーレスと呼ばれた技術は、転写残トナーの影響によるトナー像上のポジメモリ,ネガメモリなどに焦点を当てたものであった。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で従来技術は様々な転写材に対し満足するものではなかった。
【0030】
さらには、クリーナーレスに関連する技術の提案を行っている特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報においてはクリーナーレスに好適に使用されるトナーの表面硬さとの関係について言及されていない。
【0031】
また、トナーをキャリアと混合した二成分系現像剤を使用する現像方法は、高画質を要求されるフルカラー複写機又はプリンタに好適に用いられている。
【0032】
この現像方法においては、キャリアは摩擦帯電により適当量の正又は負の帯電量をトナーに付与し、また、該摩擦帯電の静電引力により、その表面にトナーを担持する。
【0033】
トナーとキャリアを有する現像剤は、磁石を内包する現像スリーブ上に現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートされ、磁気力を利用することによって、感光体と該現像スリーブとの間に形成される現像領域に搬送される。
【0034】
感光体と現像スリーブとの間には、ある所定の現像バイアス電圧が印加されており、上記トナーは、該現像領域において、上記感光体上に現像される。
【0035】
上記キャリアに対して要求される特性は種々あるが、特に重要な特性として適当な帯電性、印加電界に対する耐圧性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐スペント性、現像性等が挙げられる。
【0036】
例えば、現像剤を長期使用した場合には、キャリアの表面にスペントトナーと呼ばれる現像に寄与せぬトナーが融着し、トナーフィルミングが起こり、その結果、現像剤の劣化と、それに伴う現像画像の画像劣化が生じる。
【0037】
一般に、キャリアの真比重が大きすぎると、現像剤を上記現像剤層厚規制部材で現像スリーブ上に所定の層厚にする際に、或いは、現像器内での現像剤の撹拌の際に現像剤にかかる負荷が大きくなり、現像剤の長期使用において、(a)トナーフィルミング、(b)キャリア破壊、(c)トナーの劣化が生じ易くなる。その結果、現像剤の劣化と、それに伴う現像画像の画質劣化が生じ易くなる。
【0038】
また、キャリアの粒径が大きくなると、上記と同様に現像剤にかかる負荷が大きくなる為に、上記(a)〜(c)が生じ易くなり、その結果、現像剤の劣化が生じ易くなる。また、(d)現像画像の細線再現性が低下しやすい。
【0039】
従って、上記(a)〜(c)が生じ易いキャリアにおいては、定期的に現像剤を交換する手数を要し、かつ、不経済である為に、現像剤にかかる負荷を減少させるか、或いは、キャリアの耐衝撃性、耐スペント性を改良することにより、上記(a)〜(c)を防止し現像剤寿命を延ばすことが好ましい。
【0040】
キャリアの粒径を小さくすると、(e)静電荷像担持体にキャリアが付着しやすくなる。また、トナー粒径が一定でキャリアのみの粒径を小さくする場合には、(f)トナーの帯電量分布が広がり、特に低湿環境下における現像の際に帯電が高くなりすぎる(チャージアップ)トナーが非画像部へ飛翔して、カブリが発生しやすくなる。
【0041】
上記(a)〜(f)の課題を解決するためのキャリアとして、磁性微粒子分散型樹脂キャリアが挙げられる。このキャリアは、粒子に形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い球状にすることが比較的容易であり、流動性に優れている。更に粒子サイズも広範囲に制御できることから、現像スリーブ又はスリーブ内の磁石の回転数が大きい高速複写機や高速レーザービームプリンタ等に適している。
【0042】
磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、特開昭54−66134号公報、特開昭61−9659号公報に提案がなされている。しかしながら、上記磁性粒子キャリアは、磁性体を多量に含有せしめない場合には、その粒径に対して、飽和磁化が小さく、現像時に静電荷像担持体上にキャリア付着が生じやすく、現像剤の補充、或いは、付着キャリアの回収機構を画像形成装置内に具備する必要がある場合がある。
【0043】
また、磁性微粒子分散型樹脂キャリアにおいて、磁性体を多量に含有せしめた場合には、結着樹脂に対して磁性体の量が増加するために耐衝撃性が弱くなり、現像剤を上記現像剤層厚規制部材でスリーブ上に所定の層厚にする際に、キャリアからの磁性体の欠落が生じ易く、結果として、現像剤の劣化が生じ易くなる。
【0044】
また、上記磁性微粒子分散型樹脂キャリアにおいて、磁性体を多量に含有せしめた場合には、比抵抗の低い磁性体の量が増加する為にキャリアの比抵抗が下がり、その結果、現像時に印加するバイアス電圧のリークによる画像不良が生じ易くなる。
【0045】
特開昭58−21750号公報に、キャリアコアを樹脂で被覆する技術が提案されている。樹脂により被覆されたキャリアは、耐スペント性、耐衝撃性、印加電圧に対する耐圧性を改良することができる。また、被覆する樹脂の帯電特性によりトナーの帯電特性を制御することが可能である為、被覆する樹脂を選択することによりトナーに所望の帯電電荷を付与することができる。
【0046】
しかしながら、上記樹脂被覆キャリアにおいても、被覆樹脂の量が多くキャリアの比抵抗が高い場合には、低湿環境下でトナーのチャージアップ現象が生じ易くなる。また、被覆樹脂の量が少ない場合には、キャリアの比抵抗が低くなりすぎる為に、現像バイアス電圧のリークによる画像不良が生じ易い。
【0047】
また、被覆樹脂によっては、該樹脂で被覆されたキャリアの比抵抗が測定上適正比抵抗と考えられるものでも、現像バイアス電圧のリークによる画像不良が生じ易い、或いは、低湿環境下でのチャージアップ現象が生じ易いものもある。
【0048】
また、耐表面汚染性、耐衝撃性、帯電の環境依存性、帯電の立上がり性及び電荷交換性等を改良したキャリアとして、特開平4−198946号公報には、磁性芯材粒子表面にアミノシランカップリング剤を処理し、それと反応し得る官能基を有する樹脂からなる被覆層を有する磁性キャリアが記載され、特開平7−10452号公報、特開平10−39547号公報、特開平10−39589号公報等には、シランカップリング剤を含有するシリコーン樹脂被覆層を設けた磁性キャリア等が記載されている。しかしながら、上記公報では、シランカップリング剤の反応性を制御することが難しく、結果として、残存官能基、未反応物の影響等で、帯電特性が変動しやすく、更には抵抗も制御しにくくなり、環境変動が少なく、十分な帯電性を安定してトナーに付与するには課題を残している。更に提案されている現像剤においては、被覆樹脂の密着強度が十分でなく、トナー消費量の多い大画像面積を多数枚プリントアウトした場合には、被覆樹脂の欠落が起こりやすく、トナーの帯電量が変化しやすい。
【0049】
この様に、今日求められる厳しい品質上の要求、例えば多数枚のプリントアウトを行っても、画像濃度が安定し、カブリ、転写性も良好で、更には定着性が良好で安定しているトナー及びそれにマッチングした画像形成方法が待望されている。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決した乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0051】
すなわち本発明の目的は、画像濃度が安定し、カブリが少ない乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0052】
また、本発明の目的は、転写性に優れ、転写残トナーが少ない乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0053】
さらに本発明の目的は定着温度において低温から高温にわたって定着性に優れ、定着温度のラチチュードが十分に広く、且つ、多数枚のプリントアウトを行っても安定した定着性能を示す乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0054】
さらに本発明の目的は、一成分方式による現像に適した乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0055】
さらに本発明の目的は、二成分方式による現像に適した乾式トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0056】
【課題を解決するための手段】
本発明は、懸濁重合法によって製造されたトナーであって、
少なくとも結着樹脂、ワックス成分、スルホン酸基を有する重合体及び下記構造式(1)で示されるモノアゾ系着色剤を含有するトナー粒子と外部添加剤を含有し、
【0057】
【化3】
【0058】
該トナー1gを25mlのメタノールに溶解又は分散させた後、ポアサイズが45nmのフィルターで濾別することにより得られるメタノール溶液又は分散液において、500〜600nmの領域に現れる着色剤由来の最大吸収ピークが示す透過率が76〜98%であることを特徴とする乾式トナーに関する。
【0059】
更には、本発明は、少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;(b)帯電された像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)該静電潜像をトナー担持体の表面に担持されているトナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程;及び(d)該像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程;(e)転写材に転写されたトナー像を加熱加圧することにより、転写材にトナー像を固着させる定着工程;を有する画像形成方法において、
前記加熱加圧手段は、(i)少なくとも加熱体を有する回転過熱部材と、該回転加熱部材と相互厚接してニップ部を形成する回転加圧部材とを有し、(ii)転写材上のトナー画像との接触面に塗布されるオフセット防止用液体の消費量が0〜0.025mg/cm2(転写材の単位表面積基準)に設定されており、(iii)前記ニップ部で転写材上のトナー画像を加熱加圧するものであり、
前記トナーは、懸濁重合法によって製造されたトナーであって、少なくとも結着樹脂、ワックス成分、スルホン酸基を有する重合体及び下記構造式(1)で示されるモノアゾ系着色剤を含有するトナー粒子と外部添加剤を含有し、
【0060】
【化4】
【0061】
該トナー1gを25mlのメタノールに溶解又は分散させた後、ポアサイズが45nmのフィルターで濾別することにより得られるメタノール溶液又は分散液において、500〜600nmの領域に現れる着色剤由来の最大吸収ピークが示す透過率が76〜98%であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0062】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の着色剤を含有するトナーにおいて、該トナーから抽出される着色剤の含有量を透過率で特定することにより、極めて良好な帯電特性と定着特性を有し、画像形成装置とのマッチングに優れたトナーを発明するに至った。
【0063】
まずトナーについて説明する。
【0064】
本発明に用いられる着色剤としては、色彩、耐光性、透明性、現像性、転写性の観点から、下記構造式(1)で示される顔料組成物であることが好ましい。
【0065】
【化5】
(式中、R5〜R8は、−H、−Cl、−CH3、−OCH3、−OC2H5、−NO2、又は−NHCOCH3から選ばれる置換基を示す。)
【0066】
上記構造式で示される顔料組成物のなかでも耐光性や色彩の観点から、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 184、又はC.I.Pigment Red 269 (それぞれカラーインデックス第4版記載の名称による)の群から選ばれることがより好ましい。
【0067】
また、本発明のトナーに用いる着色剤は本発明のトナー用顔料組成物を単独で用いても良いし、必要に応じて、他の着色剤と併用しても良い。併用できる着色剤としては、従来公知の着色剤が併用できるが、例えばキナクリドン系着色剤、チオインジゴ系着色剤、キサンテン系着色剤、ペリレン系着色剤、ジケトピロロピロール系着色剤等が挙げられる。
【0068】
更に、着色剤はロジン化合物で処理されていてもよく、着色剤を好ましく処理できるロジン化合物としては、トール油ロジン酸、ガムロジン酸、ロッドロジン酸等の天然ロジン酸、水添ロジン酸、不均一化ロジン酸、重合ロジン酸等の変性ロジン酸、スチレンアクリルロジン酸等の合成ロジン、更には、上記ロジン酸のアルカリ金属やエステル化合物を挙げることができる。
【0069】
上記の如きロジン酸化合物により、着色剤を処理する方法としては、(1)ロジン酸化合物と着色剤を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法、(2)着色剤製造時の着色剤の合成溶液中にロジン酸のアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はマンガン等のレーキ金属塩を添加し、ロジン酸を不溶化することで着色剤表面に被服処理を施す湿式処理法、等が挙げられる。
【0070】
本発明のトナーに用いられる着色剤にはロジン化合物を着色剤に対して、1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%添加すると良い。ロジン化合物の添加量が1質量%未満では、着色剤の分散効果が発現せず、40質量%を超えると、トナーの帯電特性に悪影響を与える。
【0071】
更に本発明のトナーは、該トナー1gを25mlのメタノールに溶解又は分散させた後、ポアサイズが45nmのフィルターで濾別することにより得られるメタノール溶液又は分散液において、500〜600nmの領域に現れる着色剤由来の最大吸収ピークが示す透過率が70〜98%であることが必須であり、より好ましくは85〜98%である。
【0072】
本発明のトナーにおいて、上記着色剤を添加することによりトナー中の着色剤が存在している部分は適度な硬さを持つ。その理由は必ずしも明らかではないが、トナー中に存在する着色剤はバインダーの一部と弱い分子間の結合を形成しており、着色剤自身が架橋剤として働いているものと考えられる。すなわち、メタノールで抽出される着色剤の溶液又は分散液が98%を超えるときは、着色剤はトナー表面に殆ど存在しないことを表し、トナー表面は着色剤による適度な硬さを得ることができない。そのため、十分な摩擦帯電を得られなかったり、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の外部添加剤が埋没したりして画像濃度の低下やカブリを引き起こす。更には定着工程において高温側で容易にオフセットを生じやすくなる。
【0073】
またメタノールの溶液又は分散液が70%未満の場合、着色剤がトナー表面に偏在していることを表し、トナーの表面が硬くなりすぎる。そのため、摩擦帯電が強く働きすぎ、チャージアップを引き起こしたり、多数枚のプリントアウトを行うとトナー表面の着色剤の影響による帯電不良のため、画像濃度の低下やカブリなどを引き起こす。更には定着工程において低温側で容易にオフセットを生じやすくなる。また後述する二成分現像法において、キャリアとの摩擦帯電により、キャリア表面が着色剤で汚染され、帯電不良を起こす。
【0074】
メタノールで抽出される着色剤の溶液又は分散液の透過率が上記条件を満足するためには、例えばトナーを懸濁重合のような水系媒体中で製造する場合、(1)水系媒体中のpH(2)後述するスルホン酸基を有する重合体中の(メタ)アクリルアミド系モノマーの共重合比(3)後述するワックス成分の添加量及び融点によって決定される。
【0075】
本発明において、メタノールで抽出される着色剤の溶液又は分散液の透過率は以下の方法によって測定した。
【0076】
100mlの三角フラスコに、メタノール25gとトナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。1時間トナーの分散処理を行った後、メンブランフィルター(ポアサイズ:0.45μm)を用いて濾過し、得られた濾液の吸収スペクトルを分光光度計により測定し、500〜600nmでの吸光度の最小値を求める。なお、吸光度の値は、800nmでの透過率を100%とした時の値である。
【0077】
本発明のトナーは外部添加剤を含有させることは、現像性、転写性、帯電安定性、流動性及び耐久性向上のために必須である。
【0078】
本発明のトナーにおいて、外部添加剤の含有量は0.5〜4質量%であることが好ましい。
【0079】
外部添加剤の含有量が0.5質量%未満の場合、流動性が低下し転写性が悪化しやすく、含有量が4質量%を超えると外添剤の遊離により、カブリが悪化する。
【0080】
更に外部添加剤は、少なくとも平均一次粒径が1〜25nmである微粉状無機微粒子と、一次粒子又は二次粒子の状態で存在している平均長径が30〜400nmの粗粉状粒子の2種類以上で構成されていることが好ましい。
【0081】
一般にトナーは、多数枚のプリントアウト中に大きなストレスがかかり、トナー表面の比較的平均一次粒径が小さい微粉状無機微粉体は埋没する傾向がある。しかし本発明のトナーは、前述したようにトナー表面近傍に適量の着色剤が存在し、適度な硬さを保持しているので、微粉状無機微粉体が埋没するのを抑制することができる。更には、トナー表面近傍の着色剤の極性基と微粉体との間に相互作用が存在しており、トナーから外部添加剤が遊離しにくく、多数枚のプリントアウトを行ってもトナーの帯電不良の悪化を抑制することができる。また、適量の粗粉状粒子の存在も、微粉状無機微粉体が埋没するのを抑制する働きがある。
【0082】
本発明のトナーにおいて、微粉状無機微粉体の平均一次粒径が1nm未満の場合、粗粉状粒子が存在していても、埋没しやすくなり、25nmを超えると流動性としての効果が発現しなくなる。また微粉状無機微粉体はメタノール濡れ性が90%以上になるようにシリコーンオイル又は/及びシリコーンワニスにより、メタノール濡れ性が90%以上になるように疎水化処理されていることが好ましい。メタノール濡れ性が90%未満の場合、吸湿に伴うトナーの帯電性の低下が発生する。
【0083】
本発明に係る該微粉状無機微粉体としては公知のものが使用可能であるが、シリカ、アルミナ、チタニアあるいはその複酸化物の中から選ばれることが好ましい。中でも、シリカであることがより好ましい。かかるとしては、シリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ及びアルコキシド、水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残渣の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0084】
粗粉状粒子は平均長径が30〜400nmであることが好ましい。平均長径が30nm未満の場合、微粉状無機微粉体の埋没を抑制することが出来ず、400nmを超えると粗粉状粒子自体が遊離気味となって、多数枚のプリントアウトを行うと、カブリが発生しやすくなる。
【0085】
本発明に係る粗粉状粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニアあるいはその複酸化物の他、有機微粒子を用いることも可能であり、スチレンやアクリル酸等のビニル基を持つモノマーを水系媒体中で乳化重合やソープフリー重合によって製造することができる。粗粉状粒子についてもメタノール濡れ性が75〜95%となるように疎水化処理されていることが好ましい。メタノール濡れ性が75%未満の場合、同様に吸湿に伴うトナーの帯電性の低下が発生し、95%を超えるとチャージアップに伴うトナーの帯電性の悪化が起こる。
【0086】
微粉状無機粒子と粗粉状粒子は7:1〜1:3の割合でトナー中に含有されていることが好ましい。この範囲の割合で微粉状無機粒子と粗粉状粒子が存在している時、微粉状無機微粉体が埋没するのを最も効果的に抑制することができる。
【0087】
本発明のトナーにおいては、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤、また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0088】
本発明のトナーにスルホン酸基を有する重合体を含有させることは、好ましい実施形態の一つである。
【0089】
本発明者の知見によれば、トナー表面に最適に顔料が存在し、且つ、スルホン酸基を有する重合体を含有させることによって、トナーの帯電特性と画像形成装置とのマッチングが著しく改善される。これらの理由については必ずしも明らかではないが、トナー粒子表面では、粒子表面に存在するスルホン酸基を有する重合体の荷電制御効果によって、トナー粒子への帯電付与と逆電荷保持の防止が行われると共に、トナー表面に適度に存在する着色剤と相互的に作用するためトナー表面は適度な硬さと極性基を有しトナー粒子に好ましい帯電特性を付与することができるので、トナー粒子に迅速で均一な帯電特性を付与することが可能となる。更に、定着においても着色剤とスルホン酸基を有する重合体が共存し、トナー表面は良好な硬さとなっているため、多数枚のプリントアウトを行っても、トナーの表面状態は変化することなく、低温側から高温側にわたって安定した定着性を示すことが可能になった。
【0090】
上記の如き効果は、トナー粒子表面にスルホン酸基を有する重合体を容易に存在させることが可能である懸濁重合法を利用して製造されたトナーにおいて顕著である。また、この場合、該重合体がトナー粒子表面に偏在したとしても、本発明の着色剤を共存させることで、トナーの帯電や画像形成装置とのマッチングに関わる問題を未然に防ぐことができる。
【0091】
本発明に好ましく用いられるスルホン酸基を有する重合体としては、側鎖にスルホン酸基を有する高分子型化合物等が挙げられ、特にスルホン酸基含有モノマーを共重合比で1〜10質量%含有し、ガラス転移温度(Tg)が40〜90℃のスチレン及び/又はスチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体であり、且つ、ピーク分子量(Mp)が5000〜50000からなる高分子型化合物を用いた場合、好ましい帯電特性を享受することができる。モノマー比が1質量%未満の場合、トナー中の着色剤はトナーの内部の方へ偏在する傾向があり、トナーの表面が柔らかくなりやすい。また10質量%を超えると、着色剤はトナーの表面の方へ偏在しやすくなり、トナー表面が硬くなりやすい。またスルホン酸基を有する重合体のガラス転移温度及びピーク分子量が上記条件から外れると、帯電悪化に伴うカブリが発生しやすくなる。
【0092】
例えばトナーを懸濁重合法で製造する場合、スルホン酸基を有する重合体として、(メタ)アクリルアミド系モノマーを適度に含有する共重合はトナー表面の着色剤の存在量を容易に制御することが可能である。
【0093】
上記のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、下記一般式で表せるものが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸(AMPS)や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン酸等が挙げられる。
【0094】
【化6】
X=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属
[上記一般式中、R1は水素原子、又はメチル基を示し、R1とR3は、それぞれ水素原子、C1〜C10のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアルコキシ基を示し、nは1〜10の整数を示す。]
【0095】
本発明に係るスルホン酸基を含有する重合体は、トナー製造時にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する無機化合物を添加することによって、スルホン酸基の部分に塩構造が形成されるので、特に上記の如きスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーを用いた高分子型化合物の場合、分子内でのスルホベタイン構造の生成が抑制され、水和を防止しながら本発明の着色剤との相互作用を確保することができるので、環境変動に対するトナーの帯電性が一層良好なものとなる。特に、懸濁重合法によってトナーを製造する際、後述するようなアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する分散安定剤を用いると、スルホン酸基との塩構造を容易に形成することができるので好ましい。
【0096】
上記の如きスルホン酸基と塩構造を形成し得るアルカリ金属、もしくはアルカリ土類金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等が挙げられ、中でもカルシウムが好ましい。
【0097】
本発明のトナーにはワックス成分の添加量に応じても、トナー表面の顔料の存在量を制御することが可能である。例えばトナーを懸濁重合のような水系媒体中で製造する場合、ワックス成分の含有量が少ないと着色剤は水との相互作用により、内部の方へ偏在し、ワックス成分が多いと着色剤は表面の方へ偏在する。
【0098】
本発明に用いられるワックスはトナーに対して5〜18質量%含有されていることが好ましい。含有量が5質量%未満の場合、定着時の離型性が低下し、また着色剤がトナーの中心付近に偏在しすぎることに伴う弊害が生じる。また、18質量%を超える場合は着色剤がトナー表面に偏在しすぎることに伴う弊害が生じる。
【0099】
本発明に用いられるワックス成分としては、「ASTM D3418−82」に準じて測定されたDSC曲線における主体吸熱ピーク温度(融点)が55〜95℃の範囲にある化合物が好ましい。
【0100】
さらに、本発明のトナーは上記ワックス成分と共に、融点が97〜120℃のワックス成分を併用することで高温オフセットも未然に防ぐことが可能である。
【0101】
上記の如き熱特性を呈するワックス成分を用いることにより、トナー表面の着色剤の存在量も良好なものとなる。更には、得られるトナーは、該ワックス成分による離型効果が効率良く発現され、十分な定着温度領域が確保されると共に、従来から知られるワックス成分による現像性、耐ブロッキング性や画像形成装置への悪影響を排除することができる。特に、トナーの粒子形状が球形化するに従い、トナーの比表面積は減少していくので、ワックス成分の熱特性と分散状態を制御することは非常に効果的なものとなる。
【0102】
ワックス成分の主体吸熱ピーク温度(融点)の測定には、例えば「DSC−7」(パーキンエルマー社製)を用いる。装置検出部の温度補正にはイリジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはイリジウムの融解熱を用いる。測定に際しては、測定サンプルをアルミニウム製パンに入れたものと、対照用にアルミニウム製パンのみのもの(空パン)をセットし、20〜180℃の測定領域を昇温速度10℃/minで昇温した時に得られるDSC曲線から主体吸熱ピーク温度(融点)が求められる。なお、ワックス成分のみを測定する場合には、測定時と同一条件で昇温−高温を行って前履歴を取り除いた後に測定を開始する。また、トナー中に含まれた状態のワックス成分を測定する場合には、前履歴を取り除く操作を行わず、そのままの状態で測定を行なう。
【0103】
更に、本発明で用いるワックス成分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定された分子量分布において、数平均分子量(Mn)が200〜2000、重量平均分子量(Mw)が400〜3000、更にMw/Mnが3.0以下であるものを使用することが好ましい。ワックス成分の数平均分子量が200未満、或いは重量平均分子量が400未満であると低分子量成分の比率が多くなり、結果としてトナーの帯電性や画像形成装置とのマッチングに問題を生じるため、好ましくない。また、ワックス成分の数平均分子量が2000を超える場合、或いは重量平均分子量が3000を超える場合には、定着画像表面を適度に平滑化させることが困難となり、混色性低下の点から好ましくなく、また、重合法によりトナー粒子を得る場合においては、水系分散媒体中で造粒・重合を行なうため、主に造粒中にワックス成分が析出してくるので好ましくない。
【0104】
本発明において、ワックス成分の分子量分布は以下の条件で測定される。
【0105】
<GPC測定条件>
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:GMH−HT(東ソ−社製)の2連
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:濃度0.15質量%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用し、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって求めた。
【0106】
本発明に用いられるトナーの結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジェン共重合体が挙げられる。重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独、または、一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。
【0107】
さらに、本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めるために結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
【0108】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0109】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリストールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビズ(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0110】
これらの架橋剤は、前記単量体100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部用いることが良い。
【0111】
本発明においては、上述の結着樹脂と共にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の如き極性を有する樹脂(以下、「極性樹脂」と称す)を併用することができる。トナー中に極性樹脂を添加することによって、トナー中の着色剤の含有状態を上述の如き特定の状態に制御することが容易となる。
【0112】
例えば、後述する懸濁重合法により直接トナーを製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に上記の如き極性樹脂を添加すると、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系分散媒体の呈する極性のバランスに応じて、添加した極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層を形成したり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在するように制御することができる。この時、着色剤との相互作用を有するような極性樹脂を用いることによって、トナー中への着色剤の存在状態を望ましい形態にすることが可能である。特に酸価が1〜20mgKOH/gを呈する極性樹脂を用いると着色剤の存在状態を制御することが容易となる。
【0113】
上記極性樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜25質量部使用するのが好ましく、より好ましくは2〜15質量部である。1質量部未満ではトナー粒子中での極性樹脂の存在状態が不均一となりやすく、逆に25質量部を超えるとトナー粒子表面に形成される極性樹脂の薄層が厚くなるため、何れの場合も着色剤の含有状態を制御するのが困難になり、その機能を十分に発現することができない。
【0114】
係る極性樹脂として用いられる代表的なポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0115】
ポリエステル樹脂のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(ア)式で表わされるビスフェノール誘導体及び下記(イ)式で示されるジオール類が挙げられる。
【0116】
【化7】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0117】
【化8】
【0118】
また、極性樹脂として反応性ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂を用いた場合には、トナーの帯電特性が向上し、画像カブリや飛び散りが改善されると共に、ドット再現性に優れる高品位な画像を得ることができる。また、トナー粒子に適度な機械的強度を付与することが可能となり、画像形成装置から受けるトナー劣化の影響を最小限にとどめ、多数枚のプリントアウトに対する耐久性や後述する画像形成装置とのマッチングも向上する。更には、トナーの形状分布を達成するためのトナーの球形化処理や重合法によってトナーを直接製造する際の乾燥処理等のトナー製造工程から受ける影響を最小限とすることができる。また、極性樹脂は2種類以上を組み合わせて用いることも可能で、それ自身の有する帯電性を利用することもできる。
【0119】
本発明に係わる反応性ポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、セバシン酸、チオジグリコール酸、ジグリコール酸、マロン酸、グルタン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸の如き多塩基酸と;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如き多価アルコール類とを縮合重合したものであって、得られた縮合重合体の主鎖又は側鎖に反応性基を有するものである。反応性基としては、カルボン酸(又はその塩)、スルホン酸(又はその塩)、エチレンイミノ酸、エポキシ基、イソシアネート基、二重結合、酸無水物、ハロゲン原子が挙げられ、この反応性ポリエステル樹脂をお互いに反応させて、あるいは多官能性の架橋剤(例えば多価アルコール、多塩基酸など)と反応させて、さらに反応性ポリエステルとビニル系単量体を反応(例えばエステル化、共重合など)させてTHF不溶分を得ることができる。例えば重合法によりトナーを得る場合には、反応性ポリエステル樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を用い、これとビニル系単量体(必要に応じてジビニルベンゼン等の架橋剤も含む)を共重合する。この場合には、極性を有する不飽和ポリエステル樹脂は、重合の進行と共にトナー表面付近に移行し、トナー粒子の表面に薄層を形成するため、耐ブロッキング性や耐オフセット性が特に優れたトナーを得ることが可能である。
【0120】
本発明で使用できる反応性ポリエステル樹脂は、前述の如き反応性基を含有していればどんなものでも使用可能であるが、あまり分子量が低すぎると架橋反応にあずからないポリエステル樹脂がトナー表面に存在してしまうことがあり、耐ブロッキング性が低下することがある。逆に、あまり高分子量であると、例えば重合法によりトナーを得る場合には、ビニル系単量体への該反応性ポリエステル樹脂の溶解が困難となるため、製造が困難となる。従って、反応性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、3,000〜100,000程度が特に性能の優れたトナーを得るのに好適である。
【0121】
本発明には、スルホン酸基を有する重合体と共に公知の荷電制御剤を併用することができ、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に、トナー粒子を直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が無く水系分散媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が好ましい。具体的化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;カルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。
【0122】
しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではない。例えば二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、また、一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0123】
本発明のトナーの製造方法において、懸濁重合法で製造する場合、水系分散媒体に添加する分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。具体的には、無機系の分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。また、有機系の分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを用いることができる。
【0124】
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムを用いることができる。
【0125】
本発明のトナーの製造方法においては、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性無機分散剤を用いるとよい。また、本発明においては、難水溶性無機分散剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散剤が重合性ビニル系単量体100質量部に対して、0.2〜2.0質量部となるような割合で使用することが好ましい。また、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して100〜3,000質量部の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
【0126】
本発明において、上記したような難水溶性無機分散剤が分散された水系分散媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよいが、細かい均一な粒度を有する分散剤粒子を得るために、水等の液媒体中で、高速撹拌下、上記したような難水溶性無機分散剤を生成させて調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散剤を得ることができる。
【0127】
また、本発明のトナーを懸濁重合法で製造する場合、用いる重合開始剤としては、具体的には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1,−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2、2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、重合性ビニル系単量体100質量部に対して5〜20質量部用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
【0128】
重合性単量体組成物中には、重合度を制御するため、公知の架橋剤、連鎖移動剤及び重合禁止剤等を更に添加し用いてもよい。これらの添加剤は、前記重合性単量体組成物中に予め添加しておくこともできるし、また、必要に応じて、重合反応の途中で適宜に添加することもできる。
【0129】
次に本発明に好適に用いられる画像形成方法について説明する。
【0130】
本発明の画像形成方法において「加熱加圧手段」とは、転写材上のトナー画像を加熱加圧定着して定着画像を形成するものであり、前記加熱加圧手段は、(i)少なくとも加熱体を有する回転加熱部材と、該回転加熱部材と相互圧接してニップ部を形成する回転加圧部材とを有し、(ii)転写材上のトナー画像との接触面に塗布されるオフセット防止用液体の消費量が0〜0.025mg/cm2(転写材の単位面積基準)に設定されており、(iii)前記ニップ部で転写材を挟持搬送しながら、前記回転加熱部材と回転加圧部材によって転写材上のトナー画像を加熱加圧するものである。
【0131】
加熱定着手段の一部を構成する「回転加熱部材」とは、転写材上のトナー画像を定着するための熱を付与するためのものであって、後述する(i)熱ローラー方式の加熱加圧手段に用いられ、トナー画像に熱を付与する為の加熱体を内部に有する円筒状部材;(ii)フィルム方式の加熱加圧手段に用いられ、トナー画像に熱を付与する為の支持体に固定支持させた加熱体を内部に有し、該加熱体に圧接されながら移動駆動する円筒状の耐熱性エンドレスフィルム状部材;(iii)電磁誘導方式の加熱加圧手段に用いられ、内部に磁界発生手段を有し、該磁界発生手段の作用で電磁誘導発熱することによってトナー画像に熱を付与する為の発熱層を有する円筒状の耐熱性エンドレスフィルム状部材、等である。
【0132】
また、「回転加圧部材」とは、前記回転加熱部材と相互圧接してニップ部を形成し、該ニップ部で転写材を挟持搬送しながら転写材上のトナー画像を加熱加圧するものである。
【0133】
本発明の画像形成方法において、転写材上のトナー画像との接触面に塗布されるオフセット防止用液体の消費量は0〜0.025mg/cm2(転写材の単位面積基準)で、より好ましくは、オフセット防止用液体が全く塗布されない状態に設定される。これによって上記の如きオフセット防止用液体に起因する問題点を未然に解決することができると共に、後述するトナーを用いることで上記の如き加熱加圧手段の性能を長期にわたって維持し、優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0134】
オフセット防止用液体の消費量の測定には、対象となる加熱加圧手段の最大通紙域に対応した一般事務用再生紙(再生パルプの配合率≧70%)を用い、該再生紙を100枚分通紙した際に消費されるオフセット防止用液体の質量(mg)を、用いた再生紙の総面積(cm2)で除した値(mg/cm2)をもって定義される。
【0135】
本発明に係るオフセット防止用液体としては、−15℃から300℃近くまで液状を保ち、離型性に優れるものが用いられる。具体的には、ジメチルシリコーンオイルやメチル基の一部分を他の置換基に置き換えた変性シリコーン、及びこれらを混合したものや界面活性剤を少量添加したもの等が挙げられ、100〜10000cStのものが好ましく用いられる。
【0136】
上記の如きオフセット防止用液体の定着ローラーへの塗布方法としては、従来公知の方法が用いられ、塗布フェルト、フェルトパット、フェルトローラー、ウェブ、ポアフロンロッド等に染み込ませて塗布する方法やオイルパン、汲み上げローラー等により直接塗布する方法が挙げられる。
【0137】
本発明の画像形成方法に用いられる好適な加熱加圧手段を添付図面を参照しながら説明する。
【0138】
図1は、加熱体を内部に有する円筒状の加熱ローラーを回転加熱部材とし、該加熱ローラーの表面に、定着残余のトナーを除去する為のクリーニング部材と転写材の巻き付き防止用の分離部材が配設されていない、熱ローラー方式の加熱加圧手段の一例の概略図である。
【0139】
ヒーター11aの如き加熱体を内部に有する円筒状の加熱ローラー11からなる回転加熱部材と、回転加圧部材としての円筒状の加圧ローラー12とは、相互圧接してニップ部を形成し、作動時には各々は矢印の方向に回転する。
【0140】
未定着トナーTをトナー画像として担持した被加熱材としての転写材Pは、搬送ベルト13によって図面右方(上流側)より搬送され、加熱ローラー11と加圧ローラー12とのニップ部で転写材Pを挟持搬送しながら加熱加圧することによって、転写材P上に定着画像を形成し、図面左方(下流側)に排出される。
【0141】
また、本発明に係る加熱加圧手段では、図2(a)や(b)に示したような、転写材Pを加熱ローラー11や加圧ローラー12から分離する為の分離爪14aや14bを有さない。
【0142】
さらに、図2(a)に図示したような、加熱ローラー11の表面の定着残余のトナーを除去しながらオフセット防止用液体の塗布を行うことを目的としたブラシ状繊維を円筒状に植設したクリーニングローラー15や、オフセット防止用液体を含浸させたフェルト状オイルパッド16、更には、図2(b)に図示したような、オフセット防止用液体を含浸させたクリーニングローラー17を配設した場合には、転写材に対するオフセット防止用液体の消費量が0〜0.025mg/cm2の範囲となるように設定される。
【0143】
従来、オフセット防止用液体は加熱ローラーや加圧ローラーの表面保護の役割も兼ねている為、オフセット防止用液体の消費量を上記の如き範囲に設定した場合には、その役割が十分なものとならず、長期使用によって加熱ローラー11や加圧ローラー12の表面に生じる傷や削れ、更にはそれらに起因する離型性の低下等を生じ易い。このような状態の加熱加圧手段では、加熱ローラーや加圧ローラーへの転写材の巻き付き現象が発生し易く、上記の如き分離爪を排除した場合には重大な問題を生じるが、本発明のトナーを用いることによって上記の如き加熱加圧手段に対する負荷が軽減され、長期にわたって優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0144】
本発明に係る加熱加圧手段に用いられる加熱ローラー11には、例えば、厚み2〜5mm程度のアルミニウムのパイプを芯金とし、この外周面に厚み200〜500μmのシリコーンゴム、或はフッ素ゴムをコーティングしたもの等が用いられる。
【0145】
また、加圧ローラー12としては、例えば、直径10mmのSUSのパイプを芯金とし、その外周面にシリコーンゴムを厚み3mm程度で被覆したものが用いられる。
【0146】
加熱ローラー11の内部に設けられたヒーター11aには、ハロゲンランプなどの管状発熱ヒーターが用いられ、所定の電圧が印加されることによって発熱し、その輻射熱によって加熱ローラー11が加熱される。この際、加熱ローラー11やそれに圧接する加圧ローラー12は比較的緩やかに加熱されていくものの、一般にそれらの熱容量は大きい為、長時間にわたって加熱される場合が多く、加熱ローラー11や加圧ローラー12は熱劣化を受け易い。特に、再生紙を使用したり、オフセット防止用液体の塗布量が少ない場合には、加熱ローラー11や加圧ローラー12に傷や削れが発生し易いので、熱劣化が促進され、ローラー表面の離型性の低下に起因する問題を生じる。しかし、本発明のトナーを用いることによって上記の如き加熱加圧手段に対する負荷が軽減され、長期にわたって優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0147】
図3(a)は、支持体に固定支持させた加熱体を内部に有し、該加熱体に圧接されながら移動駆動する円筒状の耐熱性エンドレスフィルムを回転加熱部材とし、該エンドレスフィルムを介してトナー画像を加熱加圧するフィルム方式の加熱加圧手段の一例の分解斜視図であり、図3(b)は、上記加熱加圧手段の要部の拡大横断面図である。
【0148】
支持体に固定支持させた加熱体31を内部に有する円筒状の耐熱性エンドレスフィルム32からなる回転加熱部材と、耐熱性エンドレスフィルム32を介して回転加圧部材としての円筒状の加圧ローラー33とは、相互圧接してニップ部を形成すると共に、作動時には矢印の方向に回転し、トナー画像を担持した被加熱体としての転写材を耐熱性エンドレスフィルム32に密着させて加熱体31に圧接し、耐熱性エンドレスフィルム32と共に移動駆動させる。
【0149】
固定支持された低熱容量線状加熱体31は、ヒータ基板31a、通電発熱抵抗体(発熱体)31b、表面保護層31c及び検温素子31d等よりなる。
【0150】
ヒータ基板31aには、耐熱性、絶縁性、低熱容量及び高熱伝導性を呈する部材が好ましく、例えば、厚み1mm,巾10mmで、長さ240mmのアルミナ基板である。
【0151】
発熱体31bは、ヒータ基板31aの下面(フィルム32との対面側)の略中央部に長手に沿って、例えば、Ag−Pd(銀パラジウム)、Ta2N,RuO2等の電気抵抗材料を厚み約10μm,巾1〜3mmの線状又は細帯状にスクリーン印刷等により塗工し、その上に表面保護層31cとして耐熱ガラスを約10μmコートしたものである。
【0152】
検温素子31dは、例えば、ヒータ基板31aの上面(発熱体31bを設けた面とは反対側面)の略中央部にスクリーン印刷等により塗工して具備させたPt膜等の低熱容量の測温抵抗体である。尚、低熱容量のサーミスタ等による代用も可能である。
【0153】
加熱体31は、発熱体31bに対して画像形成スタート信号により所定のタイミングにて通電することで発熱体31bを略全長にわたって発熱させる。
【0154】
通電はAC100Vであり、検温素子31cの検知温度に応じてトライアックを含む通電制御回路(不図示)により通電する位相角を制御することにより供給電力を制御している。
【0155】
加熱体31は、ヒータ基板31a、発熱体31b及び表面保護層31cの熱容量が小さいので、発熱体31bへの通電によって加熱体31の表面が所望の定着温度まで急速に温度上昇したり、未使用時には室温付近まで急冷する為、耐熱性エンドレスフィルム32や回転加圧部材としての加圧ローラー33に与える熱衝撃は大きく、離型性のものとなっているが、本発明のトナーを用いることによって上記の如き加熱加圧手段に対する負荷を軽減し、長期にわたって優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0156】
回転加熱部材と回転加圧部材との間に位置する円筒状の耐熱性エンドレスフィルム32には、耐熱性、強度確保、耐久性及び低熱容量の観点から、厚さ20〜100μmの単層、或いは複合層からなる耐熱性シートであることが好ましく、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルホン(PES)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリパラバン酸(PPA)、或いは複合層フィルム、例えば、厚さ20μmのポリイミドフィルムの少なくともトナー画像当接面側に4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、PAF、FEP等のフッ素樹脂やシリコーン樹脂等、更にはそれにカーボンブラック、グラファイト、導電性ウイスカ等の導電材を添加した離型性コート層を厚み10μmに施したもの等が好ましい。
【0157】
また、回転加圧部材である加圧ローラー33は、上記の如き耐熱性エンドレスフィルム32を移動駆動させる為の駆動ローラーを兼ねているので、トナー等に対する離型性に優れるだけでなく、耐熱性エンドレスフィルム32との密着性を有することが好ましく、例えば、シリコーンゴム等のゴム弾性体が用いられる。上述したように加圧ローラー33に加わる熱衝撃は大きく、長期使用による加圧ローラー33の表面劣化は上記の如き加熱加圧手段の駆動機能そのものにも影響を及ぼすが、本発明のトナーを用いることによって上記の如き加熱加圧手段に対する負荷を軽減し、長期にわたって優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0158】
図4は、内部に磁界発生手段を有し、該磁界発生手段の作用で電磁誘導発熱する発熱層を有する円筒状の耐熱性エンドレスフィルムからなる回転加熱部材を有する電磁誘導方式の加熱加圧手段の一例の模式図である。
【0159】
内部に、励磁コイル40、励磁コイル40が巻き付けられるコイル芯材(磁性体)42、及び励磁コイル40を支持しながら耐熱性エンドレスフィルム47の走行をガイドする滑板43からなる磁界発生手段を有し、該磁界発生手段に圧接されながら移動駆動する円筒状の耐熱性エンドレスフィルム47からなる回転加熱部材と、耐熱性エンドレスフィルム47を介して回転加圧部材としての円筒状の加圧ローラー48とは相互圧接してニップ部Nを形成すると共に、作動時には矢印の方向に回転し、トナー画像Tを担持した被加熱体としての転写材Pを耐熱性エンドレスフィルム47に密着させて磁界発生手段に圧接し、耐熱性エンドレスフィルム47と共に移動駆動させる。
【0160】
この時、上記磁界発生手段によって発生する磁界は、励磁回路(不図示)から10〜500kHzの周波数の交番電流が印加されることによって励磁コイル40の周囲に矢印で示した磁束Hが生成・消滅を繰り返す。この変動する磁界中を移動する耐熱性エンドレスフィルム47中の導電層(誘導磁性材)47bには、電磁誘導によってその磁界の変化を少なくするように矢印で示したような渦電流Aが発生する。この渦電流は導電層の表皮抵抗によってジュール熱に変換され、結果的に耐熱性エンドレスフィルム47中の導電層が発熱層となる。このように耐熱性エンドレスフィルム47の表層近くが直接発熱するので、フィルム基層の熱伝導率、熱容量、及び耐熱性エンドレスフィルムの厚さにも依存しない急速加熱が実現できる。
【0161】
トナー画像Tを担持した被加熱体としての転写材Pは、耐熱性エンドレスフィルム47に密着してニップ部Nを通過することによって、転写材P上に定着画像を得ることができる。
【0162】
本発明に係る加熱加圧手段に用いられる円筒状の耐熱性エンドレスフィルム47は、少なくともフィルム基層47a、導電層47b、及び表面層47cの3層からなるものが好ましく用いられ、例えば、厚み10〜100μmのポリイミド等の耐熱性樹脂をフィルム基層47aとし、その基層47aの外周面上(被加熱体圧接面側)に導電層47bを、例えばNi,Cu,Cr等の金属を厚み1〜100μmでメッキ等の処理によって形成している。更にその導電層47bの自由面に、例えば、PFAやPTFE等のトナー離型の良好な耐熱性樹脂を混合、又は単独で被覆して表面層47cを形成したものである。また、フィルム基層47aに導電層の役割を持たせ2層構成としてもよい。
【0163】
コイル芯材42は、例えば、フェライトパーマロイ等の高透磁率で残留磁束密度の低いもので形成されている。残留磁束密度の低い材質をコイル芯材42に用いることで、芯材自身に発生する過電流を抑制することができるので、コイル芯材42からの発熱がなくなり効率が上がる。また、高透磁率の材質を用いることによって、コイル芯材42が磁束Hの通り道になり、外部への磁束漏れを可能な限り抑えることができる。
【0164】
励磁コイル40は、導線(電線)として一本ずつが各々絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いたもので構成される。また、励磁コイルパターンをガラス入りエポキシ樹脂(汎用電気基板)やセラミック等の非磁性体の基板平面上に多層印刷したシートコイル基板を用いてもよい。
【0165】
滑板43は、液晶ポリマーやフェノール等の耐熱樹脂で構成され、耐熱性エンドレスフィルム47との対向面には耐熱性エンドレスフィルム47との摩擦抵抗を減少させる為に、例えば、PFAやPTFE等の樹脂コート、もしくは滑り性に富むガラスコートが施されている。
【0166】
加圧ローラ48は、芯金の周囲にシリコーンゴムやフッ素ゴム等を巻いて構成される。この加圧ローラ48は、軸受手段と付勢手段(いずれも不図示)により所定の押圧力Fをもって耐熱性エンドレスフィルム47を介して滑板43の下面に圧接させて配設してあり、滑板43との間に耐熱性エンドレスフィルム47を挟持しながらニップ部Nを形成する。
【0167】
ニップ部Nでは、磁界発生手段によって発生する磁界が集中している為、電磁誘導発熱によって耐熱性エンドレスフィルム47の表層付近が急速に直接発熱する。この結果、耐熱性エンドレスフィルム47の表面や加圧ローラー48には大きな熱衝撃が与えられ、トナー等に対する離型性や耐熱性エンドレスフィルム47との密着性が低下することになるが、本発明のトナーを用いることによって上記の如き加熱加圧手段に対する負荷を軽減し、長期にわたって優れた定着画像を得ることが可能となる。
【0168】
次に本発明の画像形成方法において、一成分現像について説明する。
【0169】
まず、帯電工程について説明する。
【0170】
帯電方法としては、コロトロンあるいはスコロトロンなどと呼ばれる公知のコロナ帯電方法が用いられるほか、ピン電極を用いた方法も使用できる。また、感光体表面に帯電部材を当接させて帯電を行う接触帯電法も同様に使用できる。中でも、接触帯電法は、高電圧が不要であり、帯電時のオゾンの発生量が少なく好ましい方法である。
【0171】
本発明において、帯電手段が帯電部材を感光体表面に当接させる接触帯電法の場合に、特に本発明のトナーは効果を発揮する。通常のトナーでは、帯電手段が感光体表面に接することのない非接地コロナ放電に比べて、帯電ローラーが転写残トナーによって汚染される。しかしながら、本発明に係るトナーは、トナー表面が適度な固さを持ち、摩擦帯電も良好であるため、帯電ローラーにトナーが付着しても、速やかにドラムへ吐き出される。そのため、帯電ローラーがトナーで汚染されることもない。さらに、本発明のトナーはトナー表面が適度な硬さを持つため、帯電ローラーにトナー融着や傷が発生することがない。
【0172】
接触帯電部材として帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件としては、帯電ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)、より好ましくは9.8〜392N/m(10〜400g/cm)であり、さらに、転写残余のトナーの極性を感光体の帯電極性と同じ極性に揃え、現像時での回収を容易にするため、直流電圧の印加がよいが、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いたときには、2×Vth(V)〔Vth;直流印加における放電開始電圧(V)〕未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳することが好ましい。
【0173】
この他の接触帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。
【0174】
接触帯電部材としては、ローラーまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレスの如き金属、カーボン分散樹脂、金属あるいは金属酸化物分散樹脂が用いられる。ブレードの場合には、その形状としては棒状、板状のものが使用できる。弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層、抵抗層を設けたものが用いられる。
【0175】
弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム、ブチルゴムの如きゴム又はスポンジや、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマーの如きサーモプラスチックエラストマーを用いることができる。
【0176】
導電層としては、体積抵抗率が107Ω・cm以下、望ましくは106Ω・cm以下のものが好ましく用いられる。例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂が用いられ、具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、鉄の蒸着膜、導電性粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、ニッケル、酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチルの如き樹脂中に分散したものが挙げられる。導電性樹脂としては、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0177】
抵抗層は、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であり、例えば半導性樹脂、導電性粒子分散絶縁樹脂を用いることができる。半導性樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン、カゼインの如き樹脂が用いられる。導電粒子分散樹脂の例としては、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクル酸メチルの如き絶縁性樹脂中に少量分散したものが挙げられる。
【0178】
接触帯電部材としてのブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステルが挙げられる。また導電材としては、これも一般に知られている導電材が使用可能であり、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀の如き金属あるいは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き金属酸化物、さらにはカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電粉は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0179】
本発明の画像形成方法に用いられる現像装置としては、トナー担持体、表面に一成分系現像剤であるトナーを塗布し、トナー層を形成し、このトナー層を像担持体としての感光体表面と接触或いは離して現像を行う一成分現像法が好適に用いられる。
【0180】
一成分現像法においては、トナーは、磁性又は非磁性のいずれで良い。該トナー担持体と感光体表面が接している一成分接触現像の場合、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向するトナー担持体としての弾性ローラーとの間に電界を形成することによって、エッジ効果の抑制された画像を得ることができる。このため、弾性ローラーの低抵抗の芯材の表面に弾性ゴムによって形成される弾性層が中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つこと、または低抵抗の導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設けることもできる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面に対向する表面側を絶縁性物質により被覆した構成、あるいは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない内面側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトの如きフレキシブルなものとした構成も可能である。
【0181】
本発明の一成分現像法では、トナーを担持するためのトナー担持体としての現像ローラー表面と感光体表面とは、同方向に回転していても良いし、逆方向に回転していても良い。その回転方向が同方向である場合には、現像ローラー表面の周速は、感光体の周速に対して、周速比で100%よりも大きいことが好ましい。100%以下であると、ラインの切れが悪いなどの画像品質に問題を残す。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。しかし周速比が300%を超えると飛散が発生しやすくなる。具体的には、トナー担持体表面の移動速度が感光体表面の移動速度に対して、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0182】
本発明においては、転写工程で転写されずに像担持体の表面に存在している転写残余のトナーを除去するためのクリーニング工程を有する場合、このクリーニング工程としては、転写工程後であって現像工程前に像担持体表面にクリーニング部材を当接させてクリーニングを行う「現像前クリーニング方式」を用いることができる。
【0183】
この現像前クリーニング方式においては、転写部と帯電部との間に、像担持体の表面に当接し、かつ像担持体の表面に存在する転写残余のトナーを除去するためのクリーニング部材によるクリーニング部を設けることが、帯電部材に対する転写残余のトナーの影響を少なくできることから好ましい。
【0184】
本発明において、現像前クリーニング方式に用いられるクリーニング部材としては、ブレード、ローラー、ファーブラシ又は磁気ブラシを用いることができる。これらのクリーニング部材の2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0185】
本発明者らは、トナー表面に存在する着色剤の存在量を特定することにより、感光体上の現像トナーの表面の硬さと帯電量を適正に制御できるため、転写残余のトナー融着、トナーによるドラム傷、及びトナーの過剰帯電に起因するクリーニング性の低下を防止し得ることを見出した。
【0186】
すなわち、トナー表面が硬すぎるとドラム傷が発生しやすくなり柔らかすぎると感光体やクリーニングブレードへのトナー融着が発生し画像への悪影響を与える。
【0187】
更に、転写残余のトナーが過剰に帯電してしまうと、感光体への転写残余のトナーの付着力が高いためにクリーニング性が低下しやすい。特に、懸濁重合法の如き重合法によって作製されたトナーのように、トナー粒子の形状が球形に近い場合、クリーニング工程でのスクレイプ性の低下、クリーニング部材からのすり抜けが生じやすく、クリーニングに不利であり、さらに、転写残余のトナーの過剰帯電はクリーニング性を著しく低下させる。
【0188】
転写残余のトナーの帯電状態は、転写バイアス条件、軽写材の抵抗によっても大きく変化する。転写バイアスは一般にトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加されるが、現像が正現像(トナー帯電極性と感光体帯電極性が逆)である場合、転写材が厚紙やOHTフィルムのように高抵抗なものであると、高い帯電を持ったトナー粒子が感光体との強い付着力によって転写されることなく、そのままの帯電極性でクリーニング工程へと進むことから、クリーニングしきれなくなりやすい。
【0189】
したがって、トナーとしては、感光体上の現像されたトナー表面の硬さと帯電量が適正に制御されていることが好ましい。
【0190】
本発明に係るトナーは、トナー表面に適度な硬さと帯電量を付与することができ、クリーニング工程でのクリーニング性が改善される。また、トナーの現像特性も向上する。
【0191】
一方、本発明においては、転写工程で転写されずに像担持体の表面に存在している転写残余のトナーを除去するためのクリーニング工程を現像時に現像工程と同時に行う「現像兼クリーニング方式」を用いた画像形成方法も好ましい態様の一つである。
【0192】
現像が反転現像(トナー帯電極性と感光体帯電極性が同極性)の場合、転写材が薄紙のように電界を通しやすいものであると、転写バイアスによって逆極性に強く帯電されるトナー粒子ができ、この逆極性に強く帯電したトナー粒子は、やはり感光体との強い付着力を持ちクリーニングしきれなくなりやすい。
【0193】
これに対して、本発明に係るトナーは良好な帯電量を保持しているので、過剰に逆帯電したトナー粒子の生成を抑制することが可能となった。また、本発明に係るトナーは適度な硬さを持つことから、ある程度逆極性に帯電したトナーでも良好にクリーニングすることができる。
【0194】
現像兼クリーニング方式の原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと、反転現像方法を用いることにある。
【0195】
例を挙げて説明すると、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率の違い)と画像面積の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることができる。それゆえ、現像時に一様にマイナス極性に帯電したトナー粒子が感光体表面に存在していても、現像方法として反転現像を用いた場合、マイナスに帯電された転写残余のトナーは、トナーの現像されるべき明部電位部には残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられるため、残留しない。
【0196】
しかしながら、現像兼クリーニング方式を用いて、より高速なプロセススピードの画像形成を行おうとする場合には、感光体単位面積あたりの帯電時間の減少に相関して、帯電部材により感光体表面を帯電すると共に、転写残余のトナーの帯電極性を一様に揃えることが困難となる。このため、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべきでない暗部電位上の転写残余のトナーが、現像電界によってトナー担持体の方に引き寄せられ回収することも困難となる。さらに、トナー担持体に摺擦の如き機械的力によって回収されたとしても、転写残余のトナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0197】
帯電工程において、感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像兼クリーニング方式を用いた画像形成方法が成立する。しかし、このように、より高速なプロセススピードの画像形成において、現像兼クリーニング方式を用いた画像形成方法を適用する場合には、転写残余のトナーの帯電極性制御が困難になり現像での回収不良を起こしやすくなり、現像自体も高速化されるため現像工程で回収される転写残余のトナーの帯電が現像特性により大きく影響し、現像性能の低下を招きやすくなるという問題点がある。
【0198】
さらに、高速なプロセススピードの画像形成において、現像兼クリーニング方式を用いた場合には、帯電部材の汚染による帯電不良も起こしやすくなる。
【0199】
本発明者らの検討により、現像兼クリーニング方式を用いた画像形成方法において、現像ローラーのプロセススピードが120mm/sec以上、更には150mm/sec以上である様な高速なプロセススピードの画像形成を行う場合、現像時の転写残余のトナーの回収を行うためには、トナーに適切な硬さを与え、且つ帯電極性制御がより迅速に行われなければならず、現像性能の保持には、帯電部材を通過する際、転写残余のトナーがより確実に、且つ、均一に帯電極性制御されねばならないことが判明した。
【0200】
そこで、本発明者らは、様々なトナーについて鋭意検討を行い、現像兼クリーニング方式を用いた画像形成方法においては、トナーの帯電部材通過時のトナーの表面硬さと帯電制御特性が、これら耐久特性や画像品質特性と密接につながりがあることを見出し、特に本発明のトナーのようにトナー表面が適度な硬さを保持している場合、良好に帯電部材を通過できることを見出した。
【0201】
以下、本発明の画像形成方法に適用可能な転写工程について具体的に説明する。
【0202】
転写工程においては、感光体と転写材を介して転写手段を当接しながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写方式を用いることが好ましい。転写手段の感光体表面に対する当接圧力としては、線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは9.8〜490N/m(10〜500g/cm)である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が高すぎる場合には、感光体表面の劣化やトナーの付着を招き、結果として感光体表面のトナー融着を生じるようになる。
【0203】
また、接触転写工程における転写手段としては、転写ローラーあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラーは少なくとも芯金と導電性弾性層からなり、導電性弾性層はカーボンの如き導電性微粒子を分散させたウレタンやEPDMの如き体積抵抗109〜1010Ω・cm程度の弾性体である。
【0204】
本発明は、感光体の表面が有機化合物である様な画像形成装置において特に有効に用いられる。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が高いことから、転写性がより低下する傾向にあるという技術課題を有している。従って、本発明で用いるトナーによる高い転写性による効果は、より顕著となる。
【0205】
本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら説明する。
【0206】
図5は、本発明の画像形成方法の実施例の一例としてプロセスカートリッジを有する画像形成装置を模式的に示した図であり、現像前クリーニング方式を用いたものである。
【0207】
バイアス印加手段64によりバイアスが印加されている接触帯電手段である帯電ローラー51により感光体56を帯電し、レーザー光60で画像部分を露光して静電潜像を形成する。現像器52に収納されているトナー50をトナー塗布ローラー55及び塗布ブレード53によりトナー担持体54上に塗布し、トナー担持体54上のトナー層を感光体56の表面に接触させて感光体56上の静電潜像を反転現像法により現像し、トナー画像を感光体56上に形成する。トナー担持体54には、バイアス印加手段61により少なくとも直流バイアスが印加される。感光体56上のトナー画像は、搬送されてくる転写材としての記録材58上へ、バイアス印加手段62によりバイアスが印加されている転写手段である転写ローラー57により転写され、記録材上に転写されたトナー画像は、加熱ローラーと加圧ローラーとを有する加熱加圧定着手段63により定着される。
【0208】
画像形成装置は、転写ローラー57による転写部と帯電ローラー51による帯電部との間に、感光体56の表面に当接するブレード状のクリーニング部材59を有している。転写工程後の感光体56上の転写残余のトナーは、クリーニング部材59によって掻き取られクリーナーによって回収される。転写残余のトナーが除去された感光体56は、再度、帯電ローラー51で帯電され、帯電後にレーザー光60の露光により静電潜像が形成される。感光体56上の静電潜像は、トナー担持体54上のトナーにより現像される。現像工程後の感光体56上のトナー画像は、搬送されてくる記録材58上に転写ローラー57により転写される。転写工程後の感光体56は、クリーニング部材により転写残余のトナーの除去が行われた後、帯電ローラー51により再度帯電され、以後同様な工程が繰り返し実施される。
【0209】
図6は、トナー担持体としての現像スリーブに対するトナーの供給に加えて、現像スリーブからの現像に寄与されたトナーのはぎ取りを、より円滑に行うことができる画像形成装置の他の例を示す。
【0210】
図6において、71は感光ドラムで、その周囲に接触帯電手段である一次帯電ローラー72、現像手段である現像器78、接触転写手段である転写帯電ローラー91、レジスタローラー89が設けられている。そして感光ドラム71は一次帯電ローラー72によって例えば−700Vに帯電される。バイアス印加手段75による印加電圧は直流電圧が例えば−1350Vである。そして、レーザー発生装置76によりレーザー光77を感光ドラム71に照射することによって露光され、デジタルな静電潜像が形成される。感光ドラム71上の静電潜像は、現像器78の有する一成分系トナー85で現像され、転写材としての記録材90を介して感光ドラム71に当接されたバイアス印加手段94でバイアス電圧が印加されている転写ローラー91により、記録材90上へ転写される。トナー画像96をのせた記録材90は、搬送ベルト95により加熱ローラー98及び加圧ローラー99を有する加熱加圧定着器97へ運ばれ、トナー画像は記録材90上に定着される。102は、クリーニング部材101を有するクリーナーであり、転写工程後の感光ドラム上の転写残余のトナーは、クリーニング部材101で掻き取られクリーナー102によって回収される。
【0211】
帯電ローラー72は、中心の芯金74とその外周を形成した導電性弾性層73とを基本構成とするものである。
【0212】
転写ローラー91は、中心の芯金92とその外周を形成した導電性弾性層93とを基本構成とするものである。
【0213】
現像器78は、図9に示すように、感光ドラム71にトナー担持体としての現像スリーブ79上のトナー層が接触し、バイアス印加手段88でバイアスが印加されている芯金80及び弾性層81を有する弾性ローラー79からなるトナー担持体としての現像スリーブが配設されている。現像器78内には、バイアス印加手段87でバイアスが印加されている芯金83と弾性層84を有するトナー塗布ローラー82が配設されている。現像スリーブ79に付着して搬送されるトナー量を規制する部材として、トナー規制ブレード86が配設され、トナー規制ブレード86の現像スリーブ79に対する当接圧により、現像領域に搬送されるトナー量(トナー層厚)が制御される。現像領域では、現像スリーブ79に少なくとも直流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上トナー層は、感光ドラム71表面に接触し、静電潜像に応じて感光ドラム71上に転移してトナー画像を形成する。
【0214】
感光ドラム71の明部電位が0〜250Vであり、暗部電位が300〜1000Vである場合に、バイアス印加手段87により印加される供給バイアス電圧が100〜900Vであり、バイアス印加手段88により印加される現像バイアス電圧が100〜900Vであることが好ましい。
【0215】
さらに、バイアス印加手段87により印加される供給バイアス電圧は、バイアス印加手段88により印加される現像バイアス電圧よりも絶対値で10〜400V大きい方が、トナー85の現像スリーブ79へ供給及びトナーの現像スリーブ79からのはぎ取りが円滑に行われるので好ましい。
【0216】
現像スリーブ79の回転方向に対して、トナー塗布ローラー82は、矢印で示す通りお互いの表面がカウンター方向に移動する(回転方向は同方向)ことが、トナーの供給及びはぎ取りの点で好ましい。
【0217】
上記図5又は図6で示す画像形成装置においては、中間転写体を用いず像担持体上に形成されたトナー画像を直接記録材に転写するタイプの画像形成方法を採用するものである。
【0218】
次に、像担持体上に形成されたトナー画像を転写材としての中間転写体に第1の転写を行い、中間転写体上に転写されたトナー画像を記録材に第2の転写を行う画像形成方法について、図10に示す画像形成装置を用いて説明する。
【0219】
図10において、像担持体としての感光体ドラム111に対向し接触回転する帯電ローラー112により感光体ドラム111上に表面電位を持たせ、露光手段113により静電潜像を形成する。静電潜像は、現像器114,115,116,117によりマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーの4色のトナーによって現像され、フルカラーのトナー画像が形成される。現像時には、各現像器114,115,116及び117のいずれか一つが移動することにより、感光体ドラム111の表面に現像器のトナー担持体が近接又は当接して現像が行われ、現像後に再度元の位置に現像器が移動することにより感光体ドラム111からトナー担持体が離間する。この動作が各現像器ごとに4回繰り返される。該トナー画像は一色ごとに中間転写体118上に転写され、複数回繰り返されることにより、多重トナー像が形成される。
【0220】
中間転写体118はドラム状のものが用いられ、外周面に保持部材を張設したもの、基材上に導電付与部材、例えばカーボンブラック,酸化亜鉛,酸化錫,炭化珪素又は酸化チタンを十分分散させた弾性層(例えばニトリルブタジエンラバー)を有するものが用いられる。ベルト状の中間転写体を用いても良い。
【0221】
中間転写体118は、支持部材119の表面に形成した硬度が10〜50度(JIS K−6301)の弾性層120を有するドラム状のものや、転写ベルトの場合では転写材(記録材)への転写部でこの硬度を有する弾性層を持つ支持部材で構成されていることが好ましい。
【0222】
感光体ドラム111から中間転写体118への転写は、電源126より中間転写体118の支持部材としての芯金119上にバイアスを付与することで転写電流が得られトナー画像の転写が行われる。保持部材又はベルトの背面からのコロナ放電やローラー帯電を利用しても良い。
【0223】
中間転写体118上の多重トナー画像は、転写手段121により記録材S上に一括転写される。転写手段はコロナ帯電器や転写ローラー、転写ベルトを用いた接触静電転写手段が用いられる。
【0224】
トナー画像を有する記録材Sは、加熱体127を内部に有する定着部材としての定着ローラー128と、これと圧接する加圧ローラー129とを有する加熱定着装置130の定着ローラー128と加圧ローラー129との当接ニップ部を、記録材Sが通過することにより、記録材Sにトナー画像の定着が行われる。
【0225】
図10において、123は、第1の転写後に感光体ドラム111の表面上に残存するトナーを除去するためのクリーニング部材122を有するクリーナー(第1のクリーニング手段)であり、クリーニング部材122は、感光体ドラム111の表面に当接している。125は、第2の転写後に中間転写体118の表面上に残存するトナーを除去するためのクリーニング部材124を有するクリーナー(第2のクリーニング手段)である。
【0226】
一方、図7は、本発明の画像形成方法の実施例の一例として、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカートリッジを有する画像形成装置を模式的に示した図である。図面上は、図5中のクリーニングブレード59が存在しない以外は図5と同様である。
【0227】
反転現像方法において、現像兼クリーニングを実施するための好ましい現像条件としては、感光体表面の暗部電位(Vd)と明部電位(V1)とトナー担持体に印加される直流バイアス(VDC)とが、|Vd−VDC|>|V1−VDC|の関係を満足するように設定するのが良い。より好ましくは、|Vd−VDC|の値が|V1−VDC|の値よりも10V以上大きい方が良い。
【0228】
また図8は、トナー担持体としての現像スリーブに対するトナーの供給に加えて、現像スリーブからの現像に寄与されたトナーのはぎ取りを、より円滑に行うことができる画像形成装置の他の例を示す。図面上は、図6中のクリーニング部102が存在しない以外は図6と同様である。
【0229】
ここで、現像兼クリーニングを実施するためには、感光ドラム71の明部電位が0〜250Vであり、暗部電位の絶対値が300〜1000Vである場合に、バイアス印加手段87により印加される供給バイアス電圧の絶対値が100〜900Vであり、バイアス印加手段88により印加される現像バイアス電圧の絶対値が100〜900Vであることが好ましい。さらに、バイアス印加手段87により印加される供給バイアス電圧は、バイアス印加手段88により印加される現像バイアス電圧よりも絶対値で10〜400V大きい方が、非磁性トナー85の現像スリーブ79へ供給及び非磁性トナーの現像スリーブ79からのはぎ取りが円滑に行われるので好ましい。
【0230】
また、図11は、像担持体上に形成されたトナー画像を転写材としての中間転写体に第1の転写を行い、中間転写体上に転写されたトナー画像を記録材に第2の転写を行う画像形成方法であって、図10中のクリーニング部123が存在しない以外は図10と同様である。
【0231】
本発明のトナーは一成分現像剤としても優れた性能を発揮することができるが、以下に述べる磁性キャリアと混合した二成分現像剤として用いることで、さらに優れた画像を提供することができる。
【0232】
本発明に用いられるキャリアは109〜1015Ω・cmと高抵抗キャリアであり、好ましくは磁性微粒子分散型樹脂キャリア(以下「磁性樹脂キャリア」と称す)が挙げられる。高抵抗キャリアを用いることで、本発明の着色剤による帯電性の悪影響を最小限に抑え、良好な帯電性を維持することが可能である。本発明のキャリアの抵抗値について、109Ω・cm未満の場合、電荷がリークしやすくトナーに十分な帯電量を与えることができずカブリやすく、1015Ω・cmを超えるとチャージアップ傾向となりトナーの帯電量分布がブロードとなる為、やはりカブリやすい傾向となる。
【0233】
特に特定のカップリング剤で粒子表面が処理されている複合体粒子で形成されており、無機化合物粒子を分散させてなるものである。
【0234】
本発明における複合体粒子を構成する無機化合物粒子粉末は、水に溶解せず、又は水によって変質・変性しないものであればよい。磁性無機化合物粒子粉末としては、マグネタイト粒子粉末、マグヘマイト粒子粉末、これらにコバルトを被着させ又は含有させた粒子粉末、バリウム、ストロンチウム又はバリウム−ストロンチウムを含むマグネトプランバイト型フェライト粒子粉末、マンガン、ニッケル、亜鉛、リチウム及びマグネシウム等から選ばれた1種又は2種以上を含むスピネル型フェライト粒子粉末等の各種磁性粒子粉末が使用できる。非磁性無機化合物粒子粉末としては、ヘマタイト粒子粉末、含水酸化第二鉄粒子粉末、酸化チタン粒子粉末、シリカ粒子粉末、タルク粒子粉末、アルミナ粒子粉末、硫酸バリウム粒子粉末、炭酸バリウム粒子粉末、カドミウムイエロー粒子粉末、炭酸カルシウム粒子粉末、亜鉛華粒子粉末等が使用できる。
【0235】
無機化合物粒子粉末の粒子形態は、立方体状、多面体状、球状、針状、板状等のいずれの形態の粒子をも使用することができる。平均粒子径は、複合体粒子の平均粒子径よりも小さい粒子であればよく、0.02〜5.0μm、特に、磁性粒子粉末(a)が0.02〜2μm、非磁性粒子粉末(b)が0.05〜5μm、1.5a<bが好ましい。
【0236】
磁性粒子粉末と非磁性粒子粉末との混合割合は、磁性粒子粉末が少なくとも30質量%含有されていることが好ましい。
【0237】
無機化合物粒子粉末は、その全部又は一部が親油化処理剤で処理されている。
【0238】
親油化処理剤としては、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、有機酸基、エステル基、ケトン基、ハロゲン化アルキル基及びアルデヒド基からから選ばれた1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物やそれらの混合物が使用でき、いずれも本発明の目的を達成することができる。これらのうち、官能基を含むカップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好ましい。さらに、好ましい官能基としては、エポキシ基、アミノ基及びメルカプト基が、キャリアの粒度分布がシャープになる点で好ましく、さらには、エポキシ基が、温湿度の影響を受けにくく、キャリアの帯電付与能が安定する点で好ましい。
【0239】
エポキシ基を有する有機化合物としては、エピクロルヒドリン、グリシドール、スチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等がある。
【0240】
エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等がある。
【0241】
アミノ基を有する有機化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、スチレン−(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体等がある。
【0242】
アミノ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0243】
アミノ基を有するチタン系カップリング剤としては、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート等がある。
【0244】
メルカプト基を有する有機化合物としては、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等がある。
【0245】
メルカプト基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0246】
有機酸基を有する有機化合物としては、オレイン酸、ステアリン酸、スチレン−アクリル酸等がある。
【0247】
エステル基を有する有機化合物としては、ステアリン酸エチル、スチレン−メタクリル酸メチル等がある。
【0248】
ケトン基を有する有機化合物としては、シクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルエチルケトン樹脂等がある。
【0249】
ハロゲン化アルキル基を有する有機化合物としては、クロロヘキサデカン、クロロデカン等がある。
【0250】
アルデヒド基を有する有機化合物としては、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等がある。
【0251】
本発明における親油化処理剤の量は、無機化合物粒子粉末に対し0.1〜5.0質量%が好ましい。
【0252】
0.1質量%未満の場合には、樹脂の被覆を複合体粒子表面に密着させることが困難となり、また、親油化処理が不十分なために無機化合物粒子の含有量の高い複合体粒子が得ることができない。
【0253】
5.0質量%を超える場合には、樹脂の被覆を複合体粒子表面に密着させることはできるが、生成した複合体粒子同士の凝集が生じ、複合体粒子の粒子サイズの制御が困難になる。
【0254】
本発明における複合体粒子を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0255】
熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フラン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等があり、これらの樹脂は単独でも2種以上を混合しても構わないが、少なくともフェノール樹脂を含有していることが好ましい。
【0256】
本発明における複合体粒子を構成するバインダー樹脂と無機化合物粒子粉末との割合は、バインダー樹脂1〜20質量%と無機化合物粒子粉末80〜99質量%であることが好ましい。
【0257】
本発明に係る磁性キャリアは、複合体粒子の粒子表面がエポキシ基、アミノ基及びメルカプト基から選ばれた1種又は2種以上の官能基を有するカップリング剤で被覆されている。カップリング剤で被覆することにより、プリントアウトに伴う現像剤のストレスに十分耐えることが可能となる。また、上記官能基を持つカップリング剤を用いると、本発明のトナーとのマッチングが優れ、良好な帯電量を維持することが可能となる。カップリング剤に含まれる官能基は、複合体粒子中の無機化合物粒子粉末を処理している親油化処理剤に含まれる官能基と反応するものを選択することが好ましい。
【0258】
例えば、無機化合物粒子粉末を処理した親油化処理剤に含まれる官能基がアミノ基である場合には、被覆カップリング剤に含まれる官能基はエポキシ基やメルカプト基を選択すればよい。無機化合物粒子粉末を処理した親油化処理剤に含まれる官能基がエポキシ基である場合には、被覆カップリング剤に含まれる官能基はアミノ基が好ましい。
【0259】
なお、被覆カップリング剤に含まれる官能基と無機化合物粒子粉末を処理した親油化処理剤に含まれる官能基が例えばともに同じアミノ基であった場合には、弱い水素結合を形成することによって幾分かの効果を持つが、その結合力は弱いものである。
【0260】
これらの官能基の反応は、シランカップリング剤を例にとると以下の通りである。
【0261】
【化9】
【0262】
被覆カップリング剤の種類は、無機化合物粒子粉末の親油化処理に用いた前述の各種カップリング剤のいずれであってもよいが、特にシラン系カップリング剤が、キャリアの流動性を損わない点で好ましい。
【0263】
カップリング剤による被覆量は、複合体粒子に対し0.001〜5.0質量%が好ましい。0.001質量%未満の場合には、カップリング剤の被覆を複合体粒子表面に密着させることが困難となり、帯電量の耐久性に問題が生じる。5.0質量%を超える場合には、カップリング剤の被覆を複合体粒子表面に密着させることができるが、余剰のカップリング剤の存在に起因して、長時間の使用による帯電量の変化が起きるという問題が生じる。
【0264】
さらに、樹脂被覆する場合には、その使用量は、0.005〜4.0質量%が、樹脂の密着強度を高める上で好ましい。
【0265】
カップリング剤で被覆されている本発明に係る磁性キャリア粉末の粒子サイズは、平均粒子径が10〜200μmが好ましい。平均粒子径が10μm未満の場合は、磁性キャリア粒子自体が感光体に飛んでしまい、画像上の欠陥を生じてしまう所謂、キャリア付着を生じてしまう。200μmを超える場合は、鮮明な画像を得ることが困難となる。
【0266】
特に高画質化、高品位化のためには平均粒子径が10〜50μmの範囲がより好ましく、さらには平均粒子径15〜45μmが、写真原稿等の画像比率の高いトナー消費量の多いオリジナル連続プリントした際も、補給トナーの混合搬送性に優れる点で、より一層好ましい。
【0267】
本発明に係る磁性キャリアは必要により、カップリング剤の被覆の上に更に樹脂を被覆してもよい。
【0268】
被覆する樹脂は、公知の樹脂であればいずれでもよく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂等が拳げられる。モノマーから重合して得られる重合体でもかまわない。本発明のトナーとのマッチングを考慮すればシリコーン樹脂が好ましい。
【0269】
シリコーン樹脂としては、置換基がメチル基である縮合反応型シリコーン樹脂が挙げられ、市販されているものとしては、SR2410およびSR2411(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、KR255およびKR251(信越シリコーン社製)等が挙げられる。また、樹脂変性シリコーンも使用可能であり、例えば、エポキシ変性シリコーン樹脂としては、SR2115およびSR2145(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、ES1001NおよびES1002T(信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0270】
より好ましくは、コア粒子の結着樹脂をフェノール樹脂、磁性微粒子の表面処理剤をエポキシ基含有シランカップリング剤、シリコーンコート樹脂中に含有またはコア剤の前処理剤としてアミノ基を含有するシランカップリング剤とすることで、結着樹脂中に適度に吸着している水分によって、アミノ基を含有するシランカップリング剤が加水分解して、フェノール樹脂の水酸基と水素結合をしつつ、自己縮合し、あるいはシリコーン樹脂中の残存シラノール基と縮合し強固な被覆を形成すると同時に、アミノ基と磁性体微粒子の表面処理剤のエポキシ基とが反応し、シリコーン樹脂の密着性が向上し、被覆樹脂の欠落等が抑制される。
【0271】
樹脂の被覆量は、複合体粒子に対して0.05質量%以上が好ましく、0.05質量%未満の場合には、不十分かつ不均一な被膜となりやすく、帯電量を自由に制御することが困難となる。また、被覆量が多すぎると複合体粒子の電気抵抗が高くなりすぎ画像上の問題が発生してしまう。より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは樹脂被覆時の粒子同士の合一化を防止するために0.2〜5質量%である。
【0272】
樹脂被覆中には、必要によりカップリング剤を樹脂固形分に対し0.1〜20.0質量%含んでいてもよい。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤が好ましい。さらに好ましくはカップリング剤の自己縮合による強度低下を防止するために0.1〜10.0質量%である。
【0273】
本発明の磁性樹脂キャリアは、真比重が2.5〜4.5(好ましくは、3.0〜4.3)であり、真比重がこの範囲にあると、磁性樹脂キャリアとトナーとの撹拌混合においてトナーへの負荷が少なく、キャリア表面におけるトナーによる汚染が抑制され、静電荷像担持体への非画像部へのキャリア付着が抑制されるので好ましい。
【0274】
本発明の磁性樹脂キャリアは、比抵抗値が109〜5×1015Ω・cmと比較的高いため、静電荷像担持体へのキャリア付着はしにくいが、キャリア自身のチャージのリークサイトが少なくなるため、印字比率の高いオリジナルを連続プリントアウトした場合等、トナーへの帯電付与能が低下しやすい。それでも本発明の磁性樹脂キャリアは、比較的低抵抗のマグネタイトを分散させた上で高抵抗キャリアとしているため、従来の高抵抗フェライトに比べればキャリア自身のチャージアップがしにくいものの、そのラチチュードは狭いものである。しかしながら本発明においては、トナーの表面に存在する着色剤量特定しているので、キャリアのチャージアップを防止しつつ、トナーの帯電の安定化を達成しているのである。その理由は明確ではないが、トナー表面近傍に存在する着色剤が適度に存在していて比較的水分を吸着しやすく、その水分がキャリアのチャージアップ防止に有効に作用し、長期にわたってトナーの帯電が安定化できるものと推測される。
【0275】
キャリアの抵抗値と磁気特性とを所定の範囲に入るようにするために、キャリアコア中には磁性微粒子に加えて非磁性無機化合物を配合することが好ましい。磁性微粒子と非磁性無機化合物微粒子は、合計量で70〜99質量%(キャリア基準)(より好ましくは、80〜99質量%)含有されていることが、キャリアの真比重の調整と、キャリアの比抵抗値の調整と、キャリアコアの機械的強度との関係で好ましい。
【0276】
さらに、非磁性無機化合物微粒子は、磁性微粒子よりも比抵抗値が大きく、非磁性無機化合物微粒子の個数平均粒径は磁性微粒子の個数平均粒径よりも大きい方が、キャリアの比抵抗値を高め、キャリアの真比重を小さくする上で好ましい。
【0277】
磁性微粒子及び非磁性無機化合物微粒子の総量に対して、磁性微粒子は30〜95質量%含まれていることが、キャリアの磁気力を調整してキャリア付着を防止し、さらに、キャリアの比抵抗値を調整する上で好ましい。
【0278】
磁性樹脂キャリアは、適宜所定のシステムに都合の良いようにその形状が選択される。しかしながら、磁性樹脂キャリアの球形度は、100乃至130(より好ましくは100〜120)が好ましい。磁性樹脂キャリアは、球形度が130を超えると、現像剤としての流動性が劣るようになり、トナーへの摩擦帯電付与能力の低下や現像極において磁気ブラシの形状が不均一になるために高画質な画像が得られにくくなる。
【0279】
キャリアの球形度の測定は、日立製作所(株)社製フィールドエミッション走査電子顕微鏡S−800によりキャリアをランダムに300個以上抽出し、ニレコ社製の画像処理解析装置Luzex3を用いて、次式によって導かれる球形度を求めることで行う。
【0280】
【数1】
〔式中、MXLNGはキャリアの最大径を示し、AREAはキャリアの投影面積を示す。〕
【0281】
ここで、SF−1は100に近いほど球形に近いことを意味している。
【0282】
次に、本発明に係る磁性キャリアの製造方法について述べる。
【0283】
無機化合物粒子粉末の親油化処理剤による処理は、無機化合物粒子粉末にカップリング剤や有機化合物の溶液を添加混合して被覆処理すればよい。
【0284】
複合体粒子は、溶媒中に分散させた無機化合物粒子粉末をバインダー樹脂を構成するモノマーに分散させ、開始剤或いは触媒を添加して重合する、所謂、重合法や、無機化合物粒子粉末を含有したバインダー樹脂を粉砕する、所謂、混練粉砕法等によって製造することが出来る。磁性キャリアの粒径を容易に制御し、シャープな粒度分布にするために重合法が好ましい。
【0285】
バインダー樹脂としてフェノール樹脂を用いた複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にフェノール類とアルデヒド類と親油化処理を行なった無機化合物粒子粉末を分散させ、塩基性触媒を添加して反応させる方法が挙げられる。フェノール類とともにロジン等の天然樹脂や、桐油、亜麻仁油等の乾性油を混合して反応させる、所謂、変性フェノール樹脂を形成させる方法も挙げられる。
【0286】
バインダー樹脂が特にフェノール樹脂である場合には、適度な吸着水を保持しており、カップリング剤の加水分解を促進し、強固な被覆を形成するために好ましい。
【0287】
バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いた複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にビスフェノール類とエピハロヒドリンと親油化処理を行なった無機化合物粒子粉末を分散させ、アルカリ水性媒体中で反応させる方法が挙げられる。
【0288】
バインダー樹脂として、メラミン樹脂を用いた複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にメラミン類とアルデヒド類と、親油化処理を行なった無機化合物粒子粉末を分散させ、弱酸性触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0289】
その他の熱硬化性樹脂を用いた複合体粒子の製造方法としては、例えば、親油化処理を行なった無機化合物粒子粉末を種々の樹脂と混練した後、粉砕し、さらには球形化処理を行なう方法等が挙げられる。
【0290】
親油化処理を行なった無機化合物粒子とバインダー樹脂とからなる複合体粒子は、樹脂をより硬化させるために必要により熱処理を施すことも行なわれる。特に減圧下あるいは不活性雰囲気下で行うことが無機化合物微粒子等の酸化防止のために好ましい。
【0291】
複合体粒子のカップリング剤による被覆処理は、常法によりカップリング剤を水や溶剤に溶解したものに、複合体粒子を浸漬した後、濾過及び乾燥する方法や、複合体粒子を撹拌しながらカップリング剤の水溶液や溶媒液をスプレーし、乾燥する方法等が用いられる。特に複合体粒子の合一化を防止し、均一な被覆層を形成するために、撹拌しながら処理する方法が好ましい。
【0292】
樹脂の被覆は、周知の方法によって行なえばよく、例えば、ヘンシェルミキサーや、ハイスピードミキサー等を用いて複合体粒子と樹脂とを乾式混合する方法、樹脂を含む溶剤中へ複合体粒子を含浸する方法、スプレードライヤーを用いて複合体粒子に樹脂を吹きつける方法等のいずれであってもよい。
【0293】
また、複合体粒子とフェノール類、アルデヒド類、或いはメラミン類及びアルデヒド類とを水性媒体中で反応させフェノール樹脂やメラミン樹脂を被覆する方法や、アクリロニトリルと他のビニル系モノマーとの混合物を水性媒体中で重合させアクリロニトリル系重合体を被覆する方法や、ラクタム類のアニオン重合によりポリアミド樹脂を被覆する方法等もかまわない。
【0294】
ここで、本発明の磁性キャリアに係る用いる特性値の測定方法について述べる。
【0295】
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所株式会社製)により計測した値で示し、また、粒子の粒子形態は、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−800)で観察したものである。
【0296】
真比重は、マルチボリウム密度計(マイクロメリティクス製)で測定した値で示した。
【0297】
体積固有抵抗は、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した値で示した。
【0298】
本発明の磁性樹脂キャリアコアの好ましい態様を説明する。
【0299】
反応は、まず、フェノール類、ホルマリン類、水、エポキシ基を有するカップリング剤で処理された磁性微粒子及び非磁性無機化合物微粒子を反応釜中に仕込み、十分に撹拌した後、塩基性触媒を加えて撹拌しながら昇温し、反応温度を70〜90℃に調整し、フェノール樹脂を硬化させる。この時、球形度の高い球状複合体粒子を得るためにゆるやかに昇温させることが好ましい。昇温速度は、好ましくは0.5〜1.5℃/分、より好ましくは0.8〜1.2℃/分である。
【0300】
硬化後の反応物を40℃以下に冷却し、得られた水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液を分離した後、洗浄して乾燥することにより、磁性微粒子と非磁性無機化合物微粒子とをフェノール樹脂をバインダー樹脂として結合してなる球状のキャリアコア粒子が得られる。キャリアコア粒子の製造は、バッチ式でも連続式製法でもよい。
【0301】
さらに、キャリアコアの表面を樹脂で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁して調製した塗布液をキャリアコア表面に塗布する方法が挙げられる。
【0302】
本発明において、トナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する際、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合にはカブリや機内飛散を生じやすく、現像剤の耐用寿命も低下しやすい。
【0303】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
【0304】
トナーの製造にあたって用いられた、スルホン酸を有する重合体、ワックス、微粉状無機微粉体、及び粗粉状粒子について表1〜4に示す。
【0305】
【表1】
【0306】
【表2】
【0307】
【表3】
【0308】
【表4】
【0309】
トナーの製造例1
四つ口容器中にイオン交換水360質量部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液430質量部を添加し、高速撹拌装置クレアミキサーを用いて15,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1規定の塩酸を10質量部添加した後、1.0モル/リットル−CaCl2水溶液34質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。この時の水媒体中のpHは5.3であった。
【0310】
一方、分散質として、
スチレンモノマー 83質量部
n−ブチルアクリレート 17質量部
ジビニルベンゼン 0.1質量部
赤色顔料PR150[式(1)中、R1=−NH2、R2=−OCH3、R3=−H、R4=−CONC6H5] 8質量部
ポリエステル樹脂(Mw=25,000、酸価15mgKOH/g)5質量部
スルホン酸基を有する重合体(1) 5質量部
ワックス(1) 12質量部
からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
【0311】
次に、前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温60℃のN2雰囲気下で、高速撹拌装置の回転数を15000rpmに維持しつつ、4分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置をパドル撹拌羽を具備したものに換え、200rpmで撹拌しながら同温度に保持し、8時間重合を行った。
【0312】
次いで、冷却後に希塩酸を添加して水系分散媒体のpHを1.2にして難水溶性分散剤を溶解せしめた。更に加圧濾過による固液分離の後、18000質量部の水で洗浄を行った。その後、流動層乾燥装置(大川原製作所)を用いて45℃で4時間乾燥させ、重量平均径が6.5μmのマゼンタ色のトナー粒子を得た。
【0313】
次に上記重合体粒子に微粉状無機微粉体(1)を1.5質量%、粗粉状粒子(1)を0.5質量%添加した。得られたトナーをトナー(A)とする。
【0314】
トナーの製造例2〜12
トナーの製造例1において、微粉状無機微粉体と粗粉状粒子の添加量と種類を表5のように変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーを表5に示したようにトナー(B)〜(L)とする。
【0315】
トナーの製造例13
トナーの製造例1において、ワックス成分をワックス(1)を10質量部、ワックス(2)を5質量部とし、スルホン酸を有する重合体を(2)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(M)とする。
【0316】
トナーの製造例14
トナーの製造例1において、スルホン酸を有する重合体を(3)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(N)とする。
【0317】
トナーの製造例15
トナーの製造例1において、スルホン酸を有する重合体を(4)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(O)とする。
【0318】
トナーの製造例16
トナーの製造例1において、スルホン酸を有する重合体を(5)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(P)とする。
【0319】
トナーの製造例17
トナーの製造例1において、スルホン酸を有する重合体を(6)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(Q)とする。
【0320】
トナーの製造例18
トナーの製造例1において、スルホン酸を有する重合体を(7)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(R)とする。
【0321】
トナーの製造例19
トナーの製造例1において、ワックスの添加量を3質量部に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(S)とする。
【0322】
トナーの製造例20
トナーの製造例1において、ワックスの添加量を30質量部に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(T)とする。
【0323】
トナーの製造例21
トナーの製造例1において、ワックスを(3)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(U)とする。
【0324】
トナーの製造例22
トナーの製造例1において、ワックスを(4)に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(V)とする。
【0325】
トナーの製造例23
トナーの製造例1において,重合時の水系媒体中のpHを11.5に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(W)とする。
【0326】
比較用トナーの製造例1
トナーの製造例1において、重合時の水系媒体中のpHを12.5に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(a)とする。
【0327】
比較用トナーの製造例2
トナーの製造例1において、重合時の水系媒体中のpHを4.1に変更することを除いて、トナーの製造例1と同様にして製造した。得られたトナーをトナー(b)とする。
【0328】
得られたトナーについては表5に詳細を記す。なお、材料の添加量は質量%で記載する。
【0329】
【表5】
【0330】
<実施例1>
画像形成装置として図5に示すような600dpiのレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−8Mark IV)を用意した。この装置を改造し、プロセススピードが80mm/sとなるように変更した。図5に示すように、この装置は直流及び交流成分を印加した帯電ローラー51を用い感光体56を一様に帯電する。このとき、直流成分は定電圧に制御し、交流成分は定電流に制御する。なお、帯電ローラーの導電層は体積抵抗率が102Ω・cm、抵抗層は107Ω・cmのものを用い、当接圧が230N/mとなるように設定した。帯電に次いで、レーザー光60で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、トナー50により可視画像としてトナー画像を形成した後、電圧を印加した転写ローラー(体積抵抗が5・109Ω・cm)57によりトナー画像を転写材58に転写するプロセスを持つ。なお、感光体と転写ローラーとの当接圧力は線圧130N/mとなるように設定した。
【0331】
次に、プロセスカートリッジにおける現像容器52を改造した。トナー供給体としてカーボンブラックを分散して抵抗を調整したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラー(直径16mm)をトナー担持体54とし、感光体56に当接した。トナー担持体54の表面の移動方向及び回転周速は、感光体ドラム表面との接触部分において同方向であり、該感光体ドラムの回転周速に対して150%とになるように駆動する。つまりトナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度80mm/sである。
【0332】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、現像部分に塗布ローラー55を設け、該トナー担持体に当接させた。接触部において、塗布ローラー55表面の移動方向が、トナー担持体の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体上に塗布した。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂コートしたステンレス製ブレード53を取り付けた。クリーニング部材59としたウレタンゴムからなるブレードを用いた。
【0333】
感光体として感光体ドラム1を用い、トナーとしてトナー(A)を用い、以下の現像条件を満足するようプロセス条件を設定した。
感光体暗部電位 −700V
感光体明部電位 −150V
【0334】
また、現像バイアスは直流成分のみで−100〜−900Vの範囲で、初期の画像濃度が1.50となるように設定し、1万枚のプリントアウト評価を行った。
【0335】
加熱ローラーには、アルミニウム製の円筒状の芯金をプライマー処理した後、ジメチルシリコーンゴムの弾性層、更にプライマー層を介して厚さ50μmのPFA製チューブによる表面層を設けたものを用い、一方、加圧ローラーには、SUS製の芯金をプライマー処理した後、ジメチルシリコーンゴムの弾性層を設け、更にプライマー層を介して厚さ50μmのPFAチューブにより表面層を設けたものを用いた。
【0336】
また、加圧ローラーの円筒状の芯金の内部には加圧体としてハロゲンヒーターを配設し、加熱加圧手段の作動時に定着ローラーの表面温度が170℃となるようにし、更に、加熱ローラーと加圧ローラーには245N(25kgf)の当接圧を加え、幅5mmのニップ部が形成されるように設定した。
【0337】
上記条件にて転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)に面積比率4%印字の画像パターンで、1万枚の連続プリントアウト試験を行い、初期、5千枚、及び1万枚時の画像濃度、カブリ、転写性、転写中抜け、低温定着性、及び高温定着性の評価を行った。以下に評価方法を記す。
【0338】
画像濃度
ベタ部分の画像濃度により評価した。尚、画像濃度の測定は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.00以上、1.35未満
D:1.00未満
【0339】
カブリ
「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を用いて、プリントアウト画像の非画像部の反射率(%)を測定する。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。
A:0.5未満
B:0.5以上、1.0未満
C:1.0以上、5.0未満
D:5.0以上
【0340】
転写性
ベタ黒画像形成時の感光体上の転写残余のトナーをマイラーテープによってテーピングして剥ぎ取り、それを紙上に貼ったものの反射濃度を「マグベス販社濃度計 RD918」で測定する。得られた反射濃度から、マイラーテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度を差し引いた数値を用いて評価した。数値が小さい程、転写性が良好であることになる。
A:0.03未満
B:0.03以上、0.07未満
C:0.07以上、0.10未満
D:0.10以上
【0341】
画像中抜け
図15(a)に示した「驚」文字パターンを厚紙(128g/m2)にプリントアウトした際の文字部の中抜け(図15(b)の状態)を目視で評価した。
A:ほとんど発生せず
B:軽微な中抜けが見られる
C:若干の中抜けが見られる
D:顕著な中抜けが見られる
【0342】
低温定着性
初期、5千枚、1万枚のプリントアウト終了時に、転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)にベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像を定着温度を変えて(130〜175℃)で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。
A:130℃以上でオフセットせず
B:150℃以上でオフセットせず、150℃未満ではオフセット発生
C:170℃以上でオフセットせず、170℃未満ではオフセット発生
D:170℃以上でもオフセット発生
【0343】
高温定着性
初期、5千枚、1万枚のプリントアウト終了時に、転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)にベタ画像(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像を定着温度を変えて(175〜220℃)で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。
A:220℃以下でオフセットせず
B:200℃以下でオフセットせず、200℃を超えるとオフセット発生
C:180℃以下でオフセットせず、180℃を超えるとオフセット発生
D:180℃以下でもオフセット発生
【0344】
<実施例2>
実施例1において、トナー(A)をトナー(B)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、概ね良好な結果となった。これは微粉状無機微粉体の平均一次粒径が小さかったためであると考えられる。
【0345】
<実施例3>
実施例1において、トナー(A)をトナー(C)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、転写性、及び転写中抜けが悪化したが、問題ないレベルであった。これは微粉状無機微粉体の平均一次粒径が大きかったためであると考えられる。
【0346】
<実施例4>
実施例1において、トナー(A)をトナー(D)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが、問題ないレベルであった。これは微粉状無機微粉体のメタノール濡れ性が小さかったため、トナーの帯電性が悪化したためであると考えられる。
【0347】
<実施例5>
実施例1において、トナー(A)をトナー(E)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、転写中抜けが悪化したが、問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子の平均長径が小さかったためであると考えられる。
【0348】
<実施例6>
実施例1において、トナー(A)をトナー(F)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、カブリが悪化したが、問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子の平均長径が大きかったためであると考えられる。
【0349】
<実施例7>
実施例1において、トナー(A)をトナー(G)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び転写中抜けが悪化したが問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子の濡れ性が小さかったためであると考えられる。
【0350】
<実施例8>
実施例1において、トナー(A)をトナー(H)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子の濡れ性が大きかったためであると考えられる。
【0351】
<実施例9>
実施例1において、トナー(A)をトナー(I)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これは微粉体量が多かったためであると考えられる。
【0352】
<実施例10>
実施例1において、トナー(A)をトナー(J)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、転写性、及び転写中抜けが悪化したが問題ないレベルであった。これは微粉体量が少なかったかめであると考えられる。
【0353】
<実施例11>
実施例1において、トナー(A)をトナー(K)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、転写性、及び転写中抜けが悪化したが問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子に対する微粉状無機微粒子の割合が小さかったためであると考えられる。
【0354】
<実施例12>
実施例1において、トナー(A)をトナー(L)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これは粗粉状粒子に対する微粉状無機微粒子の割合が大きかったためであると考えられる。
【0355】
<実施例13>
実施例1において、トナー(A)をトナー(M)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び低温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これは2−アクリルアミド−2−メチルプロパノンスルホン酸の含有量が少ない重合体を用いたため、やや帯電性が悪化したためである。
【0356】
<実施例14>
実施例1において、トナー(A)をトナー(N)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び低温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これは2−アクリルアミド−2−メチルプロパノンスルホン酸の含有量が多い重合体を用いたため、やや帯電性が悪化したためである。
【0357】
<実施例15>
実施例1において、トナー(A)をトナー(O)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これはガラス転移温度が低いスルホン酸含有の重合体を用いたためであると考えられる。
【0358】
<実施例16>
実施例1において、トナー(A)をトナー(P)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これはガラス転移温度が高いスルホン酸含有の重合体を用いたためであると考えられる。
【0359】
<実施例17>
実施例1において、トナー(A)をトナー(Q)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これはピーク分子量が小さいスルホン酸含有の重合体を用いたためであると考えられる。
【0360】
<実施例18>
実施例1において、トナー(A)をトナー(R)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、及びカブリが悪化したが問題ないレベルであった。これはピーク分子量が大きいスルホン酸含有の重合体を用いたためであると考えられる。
【0361】
<実施例19>
実施例1において、トナー(A)をトナー(S)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び高温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これはワックス成分の含有量が少なかったためであると考えられる。
【0362】
<実施例20>
実施例1において、トナー(A)をトナー(T)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び低温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これはワックス成分の含有量が多かったためであると考えられる。
【0363】
<実施例21>
実施例1において、トナー(A)をトナー(U)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、高温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これはワックス成分の融点が低かったためであると考えられる。
【0364】
<実施例22>
実施例1において、トナー(A)をトナー(V)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、低温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これはワックス成分の融点が高かったためであると考えられる。
【0365】
<実施例23>
実施例1において、トナー(A)をトナー(W)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び高温定着性が悪化したが問題ないレベルであった。これはメタノールで抽出された着色剤の分散液の透過濃度が低かったためであると考えられる。
【0366】
<比較例1>
実施例1において、トナー(A)をトナー(a)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び低温定着性の著しい悪化が見られた。これはメタノールで抽出された着色剤の分散液の透過濃度が低くすぎるためであると考えられる。
【0367】
<比較例2>
実施例1において、トナー(A)をトナー(b)に代えることを除いて実施例1と同様にして評価した。その結果、画像濃度、カブリ、及び高温定着性の著しい悪化が見られた。これはメタノールで抽出された着色剤の分散液の透過濃度が高すぎるためであると考えられる。
【0368】
<実施例24>
実施例19で用いた加熱加圧手段の加熱ローラーにオフセット防止用液体の塗布機構としてジメチルシリコーンオイルを含浸させたローラーを当接させ、転写材上のトナー画像との接触面に塗布されるオフセット防止用液体の消費量が0.015〜0.020mg/cm2となるように設定することを除いては、実施例10と同様に評価した。その結果、得られた画像には若干の光沢があるものの、高温定着性に若干の改善が見られた。
【0369】
実施例1〜24及び比較例1、2の評価結果を表6に示す。
【0370】
【表6】
【0371】
<実施例25>
実施例1の評価用画像形成装置において、定着装置として分離爪やオフセット防止用液体の塗布機構が配設されていない図3に示したフィルム方式の加圧加熱手段を用いた。
【0372】
耐熱性エンドレスフィルムには、転写材との接触面にPTFEに導電性物質を分散させた低抵抗の離型層を有する厚さ60μmのポリイミドフィルムを用い、加圧ローラーにはSUS製の芯金をプライマー処理した後、ジメチルシリコーンゴムの発泡体の弾性層、更にプライマー層を介しながらジメチルシリコーンゴムの弾性層と厚さ20μmのPTFEの表面層を設けたものを用いた。
【0373】
また、耐熱性エンドレスフィルムの内部には、加熱体としてヒータ基板に発熱抵抗体をスクリーン印刷し、耐熱性の表面保護層を設けた低熱容量線状加熱体を配設し、耐熱性エンドレスフィルムを介して上記加熱体と加圧ローラーには96N(10kgf)の当接圧を加え、幅5mmのニップ部が形成されるように設定した。
【0374】
この定着装置を用いてトナー(A)について、低温及び高温定着性の評価を行った。その結果概ね良好な結果となった。
【0375】
<実施例26>
実施例25において、トナー(A)をトナー(S)に変えることを除いて、実施例25と同様に評価した。その結果、高温定着性はやや劣るものの問題ないレベルであった。
【0376】
<比較例3>
実施例25において、トナー(A)をトナー(a)に変えることを除いて、実施例25と同様に評価した、その結果、著しい悪化が見られた。
【0377】
<比較例4>
実施例25において、トナー(A)をトナー(b)に変えることを除いて、実施例25と同様に評価した、その結果、著しい悪化が見られた。
実施例25、26及び比較例3、4の評価結果を表7に示す。なお、評価方法は前記方法と同様にして行われた。
【0378】
【表7】
【0379】
<実施例27>
実施例1の評価用画像形成装置において、分離爪やオフセット防止用液体の塗布機構が配設されていない図4に示した電磁誘導方式の加熱加圧手段を用いた。
【0380】
耐熱性エンドレスフィルムには、厚み50μmの円筒状のニッケルフィルム材を電磁誘導発熱する抵抗層とし、その外周面をジメチルシリコーンゴムからなる弾性層とPFAからなる離型層で被覆した3層構造のものを用い、一方、加圧ローラーにはSUS製の芯金をプライマー処理した後、ジメチルシリコーンゴムの発泡体の弾性層、更にプライマー層を介しながらジメチルシリコーンゴムの弾性層と厚さ50μmのPFAチューブによる表面層を設けたものを用いた。
【0381】
また、円筒状の耐熱性エンドレスフィルムの内部には磁界発生手段を配設し、耐熱性エンドレスフィルムを介して上記磁界発生手段と加圧ローラーには245N(25kgf)の当接圧を加え、幅6mmのニップ部が形成されるように設定した。
【0382】
この定着装置を用いてトナー(A)について、低温及び高温定着性の評価を行った。その結果概ね良好な結果となった。
【0383】
<実施例28>
実施例27において、トナー(A)をトナー(S)に変えることを除いて、実施例27と同様に評価した。その結果、高温定着性はやや劣るものの問題ないレベルであった。
【0384】
<比較例5>
実施例27において、トナー(A)をトナー(a)に変えることを除いて、実施例27と同様に評価した、その結果、著しい悪化が見られた。
【0385】
<比較例6>
実施例27において、トナー(A)をトナー(b)に変えることを除いて、実施例27と同様に評価した、その結果、著しい悪化が見られた。
実施例27、28及び比較例5、6の評価結果を表8に示す。なお、評価方法は前記方法と同様にして行われた。
【0386】
【表8】
【0387】
<実施例29>
下記以外は実施例1と同様にして行った。
【0388】
トナー担持体の表面の移動方向が、感光体ドラム表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し200%となるように駆動した。該トナー担持体の周速は160mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
【0389】
また、現像バイアスは直流成分のみとし、初期の画像濃度が1.50となるように設定した。
【0390】
1万枚のプリントアウト評価を行ったところ、トナー担持体の回転周速が感光ドラムの回転周速に対して200%にアップしたため、より厳しい条件となるため、実施例1と比較するとやや劣るものの、概ね良好な結果が得られた。
【0391】
<実施例30>
下記以外は実施例1と同様にして行った。
【0392】
トナー担持体の表面の移動方向が、感光体ドラム表面との接触部分において同方向であり、プロセススピードが140mm/sとなるように変更した。このとき該トナー担持体の周速は210mm/sとし、該感光体回転周速に対し150%となるようにした。また、現像バイアスは直流成分のみとし、初期の画像濃度が1.50となるように設置した。
【0393】
1万枚のプリントアウト評価を行ったところ、プロセススピードが140mm/sとアップし、より厳しい条件となるため、実施例1と比較するとやや劣るものの、概ね良好な結果が得られた。
【0394】
<実施例31>
実施例1で用いた画像形成装置において、現像容器52中のトナー塗布ローラー55として、単層構造のスポンジローラーを用い、このトナー塗布ローラー55に図示されていないバイアス印加手段からバイアス電圧を印加するように変更することを除いては、実施例1と同様にして画像形成を行い評価を行った。
【0395】
この現像時の現像ローラー54には現像バイアス電圧として、直流成分のみとし、初期の画像濃度が1.50となりように設定し、その後、千枚おきに再調整した。また、トナー塗布ローラー55には塗布バイアス電圧として直流成分のみを−450V印加した。
【0396】
実施例1と同様に評価したところ、概ね良好な結果が得られた。
【0397】
<実施例32>
トナー(A)を図10に示す画像形成装置の現像器117に用いて画像形成を行った。
【0398】
画像形成装置には、図10に示す通り、第1の転写工程後、感光体表面に残存するトナーを除去するための第1のクリーニング手段として、感光体表面に当接するクリーニング部材を有するクリーナーが第1の転写部と感光体を帯電する帯電部との間に設けられており、さらに、第2の転写工程後、中間転写体表面に残存するトナーを除去するための第2のクリーニング手段として、中間転写体表面に当接するクリーニング部材を有するクリーナーが第2の転写部より下流側であり、第1の転写部よりも下流側に設けられている。
【0399】
現像器117としては、図9に示す現像器78の構成のものを用いた。
【0400】
カーボンブラックを分散して抵抗を調整したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラー(直径16mm)をトナー担持体79とし、感光体に当接した。トナー担持体79の表面の移動方向及び回転周速は、感光体表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動する。つまり、トナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
【0401】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、単層構成のスポンジローラーを塗布ローラー82として設け、該トナー担持体に当接させた。接触部において、塗布ローラーの表面の移動方向がトナー担持体の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体上に塗布した。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂をコートしたステンレス製ブレード86を取付けた。
【0402】
トナーとしてはトナー(A)を用い、以下の現像条件及び転写体を満足するよう画像形成条件を設定した。
感光体暗部電位:−700V
感光体明部電位:−150V
【0403】
現像ローラーに印加する現像バイアスは直流成分のみで画像濃度が1.50となるように設定した。
トナー塗布ローラーに印加するバイアス:−300V(直流成分のみ)
第1の転写工程で中間転写体に印加する転写バイアス:300V(直流成分のみ)
第2の転写工程で転写ローラーに印加する転写バイアス:1000V(直流成分のみ)
【0404】
上記の画像形成条件によって、記録材上に転写されたトナー画像は、以下の加熱定着装置によって、記録材に加熱定着した。
【0405】
加熱定着装置130は実施例1で用いたものと同一なものを用いた。
【0406】
上記の構成の画像形成装置を用いて、1万枚の連続プリントアウト試験を行ったところ、概ね良好な結果が得られた。
【0407】
<実施例33>
図7に示す画像形成装置として600dpiレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−860)を用意し、プロセススピードは、94mm/sに改造した。
【0408】
プロセスカートリッジにおけるクリーニングゴムブレードを取りはずし、装置の帯電方式をゴムローラーを当接する接触帯電とし、印加電圧を直流成分(−400V)とした。プロセススピードを速めている分、感光体の均一な帯電には厳しい条件となっている。
【0409】
次に、プロセスカートリッジにおける現像部分を改造した。トナー担時体であるステンレススリーブの代わりに発泡ウレタンからなる中抵抗ゴムローラー(直径16mm、硬度ASKER C45度、抵抗105Ω・cm)を用いて、感光体に当接させた。該トナー担持体の表面の移動方向は、感光体表面の移動方向と同方向であり、該感光体回転周速に対し130%となるように駆動する。
【0410】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、現像部分に塗布ローラーを該トナー担持体に当接させて設けた。さらに、該トナー担持体上にトナーのコート層制御のために樹脂をコートしたステンレス製ブレードを取り付けた。現像時のトナー担持体に対して印加する現像バイアス電圧をDC成分のみとし、画像濃度が1.50となるように電圧を調整した。
【0411】
これらのプロセスカートリッジの改造に適合するよう画像形成装置の改造及びプロセス条件設定を行った。
【0412】
感光体帯電電位は、暗部電位を−800Vとし、明部電位を−150Vとした。転写材としては75g/m2の紙を用いた。
【0413】
トナー(A)を用い、実施例1と同様に評価したところ概ね良好な結果が得られた。
【0414】
<実施例34>
実施例18で用いた画像形成装置において、現像容器52中のトナー塗布ローラー55として、単層構造のスポンジローラーを用い、このトナー塗布ローラー55に図示されていないバイアス印加手段からバイアス電圧を印加するように変更することを除いては、実施例17と同様にして画像形成を行い、評価を行った。
【0415】
この現像時の現像ローラー54には現像バイアス電圧として、直流成分のみを−300Vを印加し、トナー塗布ローラー55には塗布バイアス電圧として直流成分のみを−480V印加した。
【0416】
実施例18と同様に評価したところ、概ね良好な結果が得られた。
【0417】
<実施例35>
トナー(A)を図11に示す画像形成装置の現像器117に用いて画像形成を行った。
【0418】
画像形成装置には、図11に示す通り、転写工程後感光体表面に存在するトナーを除去するための第1のクリーニング部材を有するクリーナーは、第1の転写部と現像部との間に設けられておらず、第2の転写工程後、中間転写体表面に残存するトナーを除去するためのクリーニング手段として、中間転写体表面に当接するクリーニング部材を有するクリーナーが第2の転写部より下流側であり、第1の転写部よりも下流側に設けられている。
【0419】
現像器117としては、図9に示す現像器78の構成のものを用いた。第1の転写後感光体ドラム表面に残存するトナーは、帯電部で帯電バイアスの印加により、トナーの帯電極性を負極性にそろえた後、現像時に現像部で非画像領域に存在するトナーのみ現像器中に回収させる構成にした。
【0420】
カーボンブラックを分散して抵抗を調整したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラー(直径16mm)をトナー担持体79とし、感光体に当接した。トナー担持体79の表面の移動方向及び回転周速は、感光体表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動する。つまり、トナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
【0421】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、単層構成のスポンジローラーを塗布ローラー82として設け、該トナー担持体に当接させた。接触部において、塗布ローラーの表面の移動方向がトナー担持体の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体上に塗布した。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂をコートしたステンレス製ブレード86を取付けた。
【0422】
トナーとしては、トナー(A)を用い、以下の現像条件及び転写体を満足するように画像形成条件を設定した。
感光体暗部電位:−700V
感光体明部電位:−150V
【0423】
現像ローラーに印加する現像バイアスは直流成分のみで画像濃度が1.50になるように設定した。
トナー塗布ローラーに印加するバイアス:−300V(直流成分のみ)
第1の転写工程で中間転写体に印加する転写バイアス:350V(直流成分のみ)
第2の転写工程で転写ローラーに印加する転写バイアス:1000V(直流成分のみ)
【0424】
上記の画像形成条件によって、記録材上に転写されたトナー画像は、以下の加熱定着装置によって、記録材に加熱定着した。
【0425】
加熱定着装置130にはオイル塗布機能のない熱ロール方式の定着装置を用いた。この時上部ローラー128、下部ローラー129共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラーの直径は60mmであった。また、定着温度は150℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0426】
上記の構成の画像形成装置を用いて、連続1万枚のプリントアウト試験を行ったところ、概ね良好な結果が得られた。
【0427】
<実施例36>
市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)のプロセスカートリッジを図12に示すように非磁性一成分ジャンピング現像用に改造し、前記トナー(A)を逐次補給しながら1万枚分のプリントアウト試験を行い、得られたプリントアウト画像を評価した。
【0428】
また、図12に記載のプロセスカートリッジを用いた画像形成方法について以下に説明する。
【0429】
図12において、静電潜像担持体である感光体ドラム20には、電子写真プロセス手段、又は静電記録手段により潜像形成がなされる。非磁性スリーブからなるトナー担持体14の略右半周面はトナー容器21内のトナー溜りに常時接触している。トナー容器21内のトナーTは、トナー塗布ローラーであるトナー供給部材22によってトナー担持体24上に供給される。該トナー塗布ローラーの表面の移動方向は、トナー担持体24の移動方向と逆方向に設定されており、トナー担持体24上へのトナー供給と併せて、現像後の未現像トナーの剥ぎ取りも行う。トナー担持体24上に供給されたトナーは弾性ブレードからなるトナー層厚規制部材23によって薄層且つ均一に塗布される。感光ドラム20とトナー担持体24との間隙αは180μmに設定されている。
【0430】
一方、トナー担持体14にはバイアス電源16によって感光体ドラム20との間に現像バイアスが印加されている。
【0431】
トナー担持体24の表面の移動方向及び回転周速は、感光体表面において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動する。つまり、トナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
【0432】
以下の現像条件を満足するように画像形成条件を設定した。
感光体暗部電位:−700V
感光体明部電位:−150V
【0433】
現像ローラーに印加する現像バイアスは直流成分に交流成分を重畳して、画像濃度が1.50になるように設定した。
トナー塗布ローラーに印加するバイアス:−300V(直流成分のみ)
【0434】
上記の画像形成条件によって、記録材上に転写されたトナー画像は、実施例1と同一の加熱定着装置によって、記録材に加熱定着した。
【0435】
実施例1と同様のプリントアウト画像評価を行った結果、概ね良好な結果が得られた。
【0436】
実施例29〜36の評価結果を表9に示す。なお、評価方法は前記方法と同様にして行われた。
【0437】
【表9】
【0438】
現像用キャリアの製造例1
水媒体中にフェノール/ホルムアルデヒドモノマー(50:50)を混合分散した後、モノマー質量に対して、アルミナで表面処理したマグネタイト粒子をイソプロポキシトリイソステアロイルチターネートで疎水化処理した磁性粉600質量部、イソプロポキシトリイソステアロイルチターネートで疎水化処理した非磁性ヘマタイト粒子400質量部を均一に分散させ、アンモニアを適宜添加しつつ、モノマーを重合させ、磁性粒子を内包した球状磁性樹脂キャリア芯材を得た。
【0439】
一方、トルエン20質量部、ブタノール20質量部、水20質量部、氷40質量部を四つ口フラスコにとり、撹拌しながらCH3SiCl3と(CH3)2SiCl2とのモル比で3:2の混合物40質量部および触媒を加え、更に30分間撹拌した後、60℃で1時間縮合反応を行なった。その後シロキサンを水で十分に洗浄し、トルエン−メチルエチルケトン−ブタノール混合触媒に溶解し固形分10%のシリコーンワニスを調製した。
【0440】
このシリコーンワニスに、シロキサン固形分100質量部に対して2.0質量部のイオン交換水および2.0質量部の下記硬化剤
【0441】
【化10】
と、2.0質量部の下記アミノシランカップリング剤
【0442】
【化11】
を同時添加し、キャリア被覆溶液Iを作製した。
【0443】
この溶液Iを塗布機(岡田精工社製:スピラコータ)により、前述のキャリア芯材100質量部に、樹脂コート量が1質量部となるように塗布し、現像用キャリア(1)を得た。
【0444】
現像用キャリアの製造例2
フェノールの代わりに尿素を用いることを除いて現像用キャリアの製造例2と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(2)とする。
【0445】
現像用キャリアの製造例3
疎水化処理されたマグネタイト及びヘマタイトの代わりにMg−Mn−Feフェライトを添加することを除いて現像用キャリアの製造例1と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(3)とする。
【0446】
現像用キャリアの製造例4
キャリア表面に用いるコート剤としてポリフッ化ビニリデンを用いることを除いて、現像用キャリアの製造例3と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(4)とする。
【0447】
現像用キャリアの製造例5
キャリア表面をコートしないことを除いて、現像用キャリアの製造例3と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(5)とする。
【0448】
現像用キャリアの製造例6
現像用キャリアの製造例1において、重合条件を変えること以外は、現像用キャリアの製造例1と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(6)とする。
【0449】
現像用キャリアの製造例7
現像用キャリアの製造例1において、重合条件を変えること以外は、現像用キャリアの製造例1と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(7)とする。
【0450】
現像用キャリアの製造例8
現像用キャリアの製造例1において、重合条件を変えること以外は、現像用キャリアの製造例1と同様にして製造した。得られたキャリアをキャリア(8)とする。
【0451】
上記現像用キャリアの製造方法で得られたキャリアについての重量平均径、SF−1及び体積抵抗値を表10に記す。
【0452】
【表10】
【0453】
<実施例37>
トナー(A)、現像用キャリア(1)とをトナー濃度8質量%で混合して現像剤を調製した。次に、市販の複写機GP55(キヤノン製)の現像装置を図13に示す如く改造した。感光体13に対して反対方向に感光体の周速に対して120%の周速で帯電ローラを回転させ、直流/交流電界を初期の画像濃度が1.50となるように重畳印加し、感光体13を帯電させた。現像コントラスト200V、カブリとり反転コントラスト−150Vに設定し、図14の交流電界を使用し、前述の現像剤を使用して現像を行ない、転写材に転写し、転写材上の未定着のトナー画像は、実施例1と同一の加圧加熱ローラによって転写材に定着した。現像剤中のトナー濃度は、コイルのインダクタンスを利用して透磁率変化を検知する手段によって、8質量%を維持するように設定した。
【0454】
上記条件にて転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)に面積比率4%印字の画像パターンで、1万枚の連続プリントアウト試験を行い、初期、5千枚、及び1万枚時の画像濃度、カブリ、転写性、転写中抜け、低温定着性、及び高温定着性の評価を行った。
【0455】
その結果、各項目において良好な結果が得られた。
【0456】
<実施例38>
実施例37において現像用キャリア(2)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これは尿素樹脂の硬度が若干、劣るためにトナースペントが生じやすくなったためと考えられる。
【0457】
<実施例39>
実施例37において現像用キャリア(3)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これはMg−Mn−Fe粒子を用いたためと考えられる。
【0458】
<実施例40>
実施例39において現像用キャリア(4)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これは、コート材がポリフッ化ビニリデンであるために、帯電量が低下したためと考えられる。
【0459】
<実施例41>
実施例37において現像用キャリア(5)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。キャリア表面がコート材で覆われていないため、現像剤の帯電量が低下したためと考えられる。
【0460】
<実施例42>
実施例37において現像用キャリア(6)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これはキャリアのSF−1の値がやや大きすぎるためと考えられる。
【0461】
<実施例43>
実施例37において現像用キャリア(7)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これはキャリアの抵抗が大きいためであると考えられる。
【0462】
<実施例44>
実施例37において現像用キャリア(8)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、カブリは若干、悪化した。これはキャリアの抵抗が小さいためであると考えられる。
【0463】
<比較例7>
実施例38においてトナー(a)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果、全ての項目において著しく悪化した。これはメタノールで抽出された着色剤の分散液の透過濃度が低すぎため、外部添加剤が遊離したり、キャリア表面が着色剤で汚染されたためであると考えられる。
【0464】
<比較例8>
実施例38においてトナー(b)を使用すること以外は同様にして、評価を行った。その結果全ての項目において著しく悪化した。これはメタノールで抽出された着色剤の分散液の透過濃度が高すぎたため、初期の段階から、外部添加剤トナー表面に埋没してしまったためであると考えられる。
【0465】
実施例37〜44及び比較例7、8の評価結果を表11に示す。なお、評価方法は前記方法と同様にして行われた。
【0466】
【表11】
【0467】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トナー中に特定のモノアゾ系着色剤を含有とトナー粒子と微粉体を含有する乾式トナーであって、トナー中からメタノールで抽出される着色剤の量を特定することにより、画像濃度、転写性、及び定着性が極めて良好なトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱ローラー方式の加熱加圧手段の一例の概略図である。
【図2】熱ローラー方式の加熱加圧手段の一例の概略図である。
【図3】フィルム方式の加熱加圧手段の一例の概略図である。
【図4】電磁誘導方式の加熱加圧手段の一例の概略図である。
【図5】プロセスカートリッジを有する画像形成装置の模式図である。
【図6】画像形成装置の他の例を示す模式図である。
【図7】画像形成装置の他の例を示す模式図である。
【図8】画像形成装置の他の例を示す模式図である。
【図9】現像器の説明図である。
【図10】中間転写体を有する画像形成装置の模式図である。
【図11】中間転写体を有する画像形成装置の模式図である。
【図12】実施例で用いた画像形成装置の説明図である。
【図13】実施例で用いた画像形成装置の説明図である。
【図14】実施例の装置で使用した交流電界の説明図である。
【図15】画面中抜けの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
11 加熱ローラー
12 加圧ローラー
31 加熱体
32 フィルム
54 トナー担持体
56 感光体
78 現像器
Claims (27)
- 該スルホン酸基を有する重合体は、スルホン酸基を有する重合性単量体を構成成分の一部とするスチレン又はスチレン−アクリルの共重合体であり、該トナーは該共重合体を1〜10質量%含有しており、該共重合体のガラス転移温度(Tg)は40〜90℃であり、且つ、ピーク分子量(Mp)が5000〜50000であることを特徴とする請求項1に記載の乾式トナー。
- 乾式トナー中のワックス成分の含有量は5〜18質量%であって、
且つ、該ワックス成分は、少なくともDSCで測定したときの主体吸熱ピーク温度(融点)が55〜95℃であるワックス成分で構成されていること特徴とする請求項1又は2に記載の乾式トナー。 - 少なくとも(a)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;(b)帯電された像担持体に露光によって静電潜像を形成する露光工程;(c)該静電潜像をトナー担持体の表面に担持されているトナーによって現像し、トナー像を形成する現像工程;及び(d)該像担持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体を介して、又は介さずに転写材に転写する転写工程;(e)転写材に転写されたトナー像を加熱加圧することにより、転写材にトナー像を固着させる定着工程;を有する画像形成方法において、
前記加熱加圧手段は、(i)少なくとも加熱体を有する回転過熱部材と、該回転加熱部材と相互厚接してニップ部を形成する回転加圧部材とを有し、(ii)転写材上のトナー画像との接触面に塗布されるオフセット防止用液体の消費量が0〜0.025mg/cm2(転写材の単位表面積基準)に設定されており、(iii)前記ニップ部で転写材上のトナー画像を加熱加圧するものであり、
前記トナーは、懸濁重合法によって製造されたトナーであって、少なくとも結着樹脂、ワックス成分、スルホン酸基を有する重合体及び下記構造式(1)で示されるモノアゾ系着色剤を含有するトナー粒子と外部添加剤を含有し、
- 支持体に固定支持させた加熱体を内部に有し、該加熱体に圧設されながら移動駆動する円筒状の耐熱性エンドレスフィルムを回転部材とし、該エンドレスフィルムを介してトナー画像を加熱加圧する、フィルム方式の加圧過熱手段を用いることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
- 磁界発生手段を内部に有し、該磁界発生手段の作用で電磁誘導発熱する発熱層を有する円筒状の耐熱性エンドレスフィルムからなる加熱体を回転加熱部材とする電磁誘導方式の加熱加圧手段を用いることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
- 現像工程は、一成分系トナー担持体表面に担持されているトナーにより形成されるトナー層が該像担持体の表面に接触することにより、該静電潜像の現像が行なわれることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
- 転写工程後に、該像担持体表面に残存しているトナーの回収を該現像工程において該現像装置が兼ねて行なう現像兼クリーニング方式により、像担持体のクリーニングが行なわれることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
- 現像工程において、現像領域におけるトナー担持体の表面の移動速度が、像担持体の表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度に設定されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成方法。
- 現像工程において、該トナー担持体に担持されているトナーにトナー層厚規制部材を当接させることにより、該トナー担持体の表面にトナー層厚が規制されたトナー層が形成されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、現像器中に保有されており、該現像器中に保有されているトナーは、該トナー担持体にトナーを供給するためのトナー供給部材によって該トナー担持体に供給されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナー供給部材は、トナー担持体の表面に当接するトナー塗布ローラーであり、該トナー塗布ローラーの表面の移動方向は、該トナー担持体の表面の移動方向と逆方向に設定されていることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナー担持体には、該静電潜像の現像時に現像バイアス電圧が印加されており、該トナー塗布ローラーには、該トナー担持体へのトナー供給時に塗布バイアス電圧が印加されていることを特徴とする請求項7乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナー塗布ローラーに印加する塗布バイアス電圧は、該トナー担持体に印加する現像バイアス電圧よりも絶対値で大きく設定されており、該トナー塗布ローラーは、該トナー担持体の表面にトナーを供給し、且つ、現像後に該トナー担持体の表面に残存するトナーをはぎ取ることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該像担持体上の静電潜像の明部電位が絶対値で0〜250Vを有し、暗部電位が絶対値で300〜10000Vを有し、該トナー塗布ローラーに印加する塗布バイアス電圧が絶対値で100〜900Vを有し、該トナー担持体に印加する現像バイアス電圧が絶対値で100〜900Vを有し、該塗布バイアス電圧は、該現像バイアス電圧よりも絶対値で10〜400V大きく設定されており、該トナー塗布ローラーは、該トナー担持体の表面にトナーを供給し、且つ、現像後に該トナー担持体の表面に残存するトナーをはぎ取ることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該転写工程において、外部から電圧が印加された転写部材を、該転写材を介して該像担持体に当接させることによって、該像担持体に形成されている該トナー像を該転写材に転写することを特徴とする請求項7乃至15のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該帯電工程において、外部から電圧が印加された帯電部材を該像担持体に当接させることによって、該像担持体の帯電が行われることを特徴とする請求項7乃至16のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該帯電工程において、直流電圧が該帯電部材に外部から印加されることを特徴とする請求項7乃至17のいずれかに記載の画像形成方法。
- 現像剤は少なくともトナーとキャリアとを有する二成分現像剤であって、静電潜像を担持体の表面に担持されている二成分現像剤によって現像し、トナー像を形成し、且つ、該二成分現像剤のトナー濃度はコイルのインダクタンスを利用して透磁率変化を検知することにより制御することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
- キャリアが、少なくとも無機化合物粒子とバインダー樹脂とを含有する複合体粒子を有している磁性微粒子分散型樹脂キャリアであることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
- 球形磁性粉分散型キャリアが、結着樹脂としてフェノール樹脂を含有していることを特徴とする請求項19又は20に記載の画像形成方法。
- 球形磁性粉分散型キャリアが、非磁性金属酸化物を有していることを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
- 球形磁性粉分散型キャリアが、磁性粉を分散させた樹脂粒子をキャリア芯材粒子として、その表面を樹脂でコートしたキャリアであることを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
- キャリア芯材粒子の表面をコートする樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
- 球形磁性粉分散型キャリアの形状係数SF−1が、100〜130であることを特徴とする請求項19乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
- 球形磁性粉分散型キャリアの体積抵抗値が、109〜1015Ωcmであることを特徴とする請求項19乃至25のいずれかに記載の画像形成方法。
- トナーが請求項2又は3に記載のトナーであることを特徴とする請求項4乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
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