JP3918385B2 - 圧接端子及びコネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、幹線に分岐線を接続する場合等に用いるコネクタ並びにこのコネクタに使用する圧接端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワイヤハーネスの幹線から分岐線を引き出す部分に用いるコネクタとして、図8に示すようなものが知られている。このものは、コネクタハウジング1内に圧接端子2が左右に2本並んで収容され、この圧接端子2は、タブ3の後方に左右一対の圧接刃4が対向状に設けられた形状であって、圧接刃4を含む後端側が、ハウジング1に形成された開口5を通して外部に開放されている。
そして、2本の幹線6が圧接端子2と直交する向きで配線され、それぞれ対応する圧接端子2の圧接刃4に個別に圧接接続されることで、各幹線6に対して、分岐線側の端子金具と接続可能な圧接端子2が個別に接続された状態となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来のものでは、幹線6を圧接端子2と直交する向きで圧接するようになっていたため、例えば幹線6をハウジング1の後方に向けて取り回したい場合には、同図の鎖線に示すように、幹線6がハウジング1の左右の側面から突出したのち後方に向けて屈曲される状態となり、その左右に突出した分、ハウジング1の特に幅方向に余分なスペースを要するという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、小スペースを持って被覆電線の取り回しができるようにした分岐用のコネクタと、係るコネクタに用いて好適な圧接端子を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明の圧接端子は、相手端子と接続される接続部の後端における幅方向片側領域から長さ方向後方へ連結部が延出して形成されるとともに、その延出端は前記片側とは反対側へ屈曲され、かつこの屈曲部における前後両側縁には被覆電線を前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接可能な圧接部が、前記接続部とは軸線をずらした状態で設けられることで、前記圧接部に対し前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接された被覆電線が前記連結部に沿って折り返し可能とされているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、相手端子と接続される接続部の後端における幅方向片側領域から長さ方向後方へ連結部が延出して形成されるとともに、その延出端は前記片側とは反対側へ屈曲され、かつこの屈曲部における前後両側縁には被覆電線を前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接可能な圧接部が、前記接続部とは軸線をずらした状態で設けられてなる圧接端子と、この圧接端子を前記圧接部が外部に開放された状態で装着可能としたコネクタハウジングとを備え、前記圧接部に対し前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接された被覆電線が前記連結部に沿ってヘアピン状に折り返されて前記コネクタハウジングの後方へ引き出し可能とされているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
圧接部に被覆電線を圧接したのち連結部に沿うようにして後方へ折り返した場合に、圧接部が予め圧接端子の幅方向の中心から側方にずれて形成されているから、行き戻りの電線を圧接端子の幅方向の中心を挟んだ両側に配することができる。
例えば、圧接部が圧接端子の幅方向の中心に形成されていると、圧接されて折り返された電線は側方に大きく出っ張った状態となり、行き戻りの電線を含んだ圧接端子全体の幅が大きくなる。
その点この発明では、上記のように行き戻りの電線が圧接端子の幅方向の中心を挟んだ両側に配されるから、行き戻りの電線を圧接端子の幅内、若しくはそれに近い領域に収めて配線することが可能となり、行き戻りの電線を含んだ圧接端子全体の幅を小さくまとめることができる。
<請求項2の発明>
圧接端子の圧接部に圧接された被覆電線は、ヘアピン状に折り返されたのちコネクタハウジングの後方に引き出される。
コネクタハウジングの回りのスペースを増加することなく、行き戻りの被覆電線をすべてコネクタハウジングの後面側に取り回すことができる。しかも、行き戻りの電線を含んだ圧接端子全体の幅が小さくまとめられるから、電線を含む圧接端子の収容部分が幅狭にでき、コネクタハウジングの幅自体もコンパクトにまとめることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
この実施形態では、被覆電線からなる2本の幹線18(図6,7参照)にそれぞれ分岐線を接続することに用いるコネクタを例示している。このコネクタは、図1に示すように、圧接端子10と、この圧接端子10を収容するコネクタハウジング20(以下、単にハウジングという)と、このハウジング20の後端側に被着されるカバー30とを備えている。
【0009】
圧接端子10は雄側であって、2本準備されている。2本の圧接端子10は同じ形状に形成され、図2にも示すように、細長い基板11の前端から、相手の雌側の端子金具と接続されるタブ12が突設されているとともに、基板11から金属ランス13が裏面側に切り起こして形成されている。
基板11の後端からは、後方から見て右半分の領域において連結部14が延出して形成され、その延出端が左側に直角に屈曲されている。この屈曲部15の両側縁からは、一対の圧接刃16が前後方向に対向した状態で立ち上がって形成されている。端的には、圧接刃16の軸線は、基板11並びにタブ12の軸線から後方から見た左側にずれた状態となっている。
【0010】
ハウジング20は合成樹脂製であって、前後方向に細長いブロック状に形成され、前端側に設けられたフード部21内に、図示しない相手の雌側のコネクタハウジングが嵌合されるようになっている。ハウジング20のほぼ上半分が、2本の圧接端子10を収容する収容部22となっている。
一方、ハウジング20の下半分には、相手のハウジングとの間のロック機構や、嵌合検知機構が設けられているが、詳しい説明は省略する。
【0011】
収容部22について説明すると、ハウジング20の後端側の上面には、図2にも示すように、左右の側縁から少し内側に入った位置に一対の側壁23が立てられているとともに、その間に仕切壁24が立てられることによって、圧接端子10をそれぞれ後方から挿入可能とする左右2本の端子挿入溝25が形成されている。なお、両側壁23は収容部22の全長にわたって形成されているのに対して、仕切壁24は後端側が切除されている。また、端子挿入溝25の前端側は、圧接端子10の基板11のほぼ同幅に狭めて形成されている。
フード部21の奥壁には、図3にも示すように、端子挿入溝25の前端の溝底と同幅でかつ面一に、扁平な貫通溝27が形成され、この貫通溝27は、前端側が幅狭とされているとともに、底面に、圧接端子10の金属ランス13が係止される係止部28が形成されている。
【0012】
そして圧接端子10は、金属ランス13を撓み変形させて端子挿入溝25の溝底に沿うようにして、端子挿入溝25から貫通溝27に挿入され、図6に示すように、基板11の前縁が貫通溝27の段付部27Aに当たったところで挿入が停止されるとともに、図3に示すように、金属ランス13が復元して係止部28に係止されることによって、タブ12をフード部21内に突出させた状態で抜け止めされて収容されるようになっている。このとき、圧接端子10の圧接刃16は、図6に示すように、端子挿入溝25の長さ方向のほぼ中央において仕切壁24または一方の側壁23に隣接して位置するようになっている。
【0013】
カバー30は同じく合成樹脂製であって、大まかには、両端子挿入溝25の上面から両側壁23の外側を覆うように、背の低い門型に形成されている。
カバー30の左右の側面における前後両端部には、それぞれ係止孔31が形成され、前端側の係止孔31の後側と、後端側の係止孔31の前側とに、それぞれガイド溝32が切られている。
それに対応して、ハウジング20の左右の側壁23の外面には、その前後両端部に、ガイド溝32に嵌まるガイドリブ34と、係止孔31に嵌まる突起35との対が形成されている。突起35の上面はテーパ面36とされている。
【0014】
また、カバー30の後端部における裏面側には突壁38が形成され、この突壁38の下端面には、図4及び図5に示すように、それぞれほぼ半円形断面をなす電線導入溝40Aと電線導出溝40Bとの対が二組、左右に並んで設けられている。
また、カバー30の裏面における電線導入溝40Aの形成位置の奥側には、圧接刃16を逃がす逃がし溝42が形成されている。この逃がし溝42の前後両側には、幹線18の導入部18A側を押さえる電線押さえ43が突設されているとともに、電線導出溝40Bの奥方にも、幹線18の導出部18B側を押さえる電線押さえ44が突設されている。
【0015】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
2本の圧接端子10を、図2の矢線に示すように、端子挿入溝25に挿入して抜け止め状態に収容する。各圧接端子10の圧接刃16は、図6に示すように、それぞれ対応する端子挿入溝25の途中で、後方から見た左側に寄った所に位置する。
次に、図6の鎖線に示すように、幹線18をヘアピン状に折り返し、後方から見た左側の部分(導入部18A側)を対応する圧接端子10の圧接刃16の上に載せ、図示しない治具等を用いて、圧接刃16に向けて押し込むことにより圧接接続される。圧接された各幹線18は、導出部18B側が圧接端子10の連結部14に沿うようにして後方に向けられる。
【0016】
次に、カバー30が被せられる。具体的には、まず各幹線18の導出部18B側が、ハウジング20の後端部付近で導入部18A側に寄せられる。係る状態で、4箇所のガイド溝32を対応するガイドリブ34に合わせてカバー30を押し込む。カバー30は、突起35に乗り上げて左右の側面を広げつつ押し込まれ、左右の側壁23の外側の裾部23Aに当たるまで押し込まれると、突起35が係止孔31に嵌まってカバー30が取り付けられる。
それに伴い、各幹線18の導入部18A側が電線導入溝40Aに、また導出部18B側が電線導出溝40Bに収められる。また、電線押さえ43が圧接刃16の前後両側で導入部18Aを押さえ、電線押さえ44が導出部18Bを押さえて、幹線18の浮き上がりを防止する。
【0017】
これにより各幹線18は、図7に示すように、ハウジング20の後面の電線導入溝40Aから内部に導入され、圧接端子10に圧接された後、ヘアピン状に折り返されて電線導出溝40Bから同ハウジング20の後方へ引き出される。
以上のように組み付けられたコネクタは、相手のコネクタと嵌合されると、両圧接端子10が、相手の分岐線の端末に設けられた端子金具と接続される。これにより、各幹線18からそれぞれ分岐線が引き出された状態とされる。
【0018】
以上説明したように本実施形態によれば、圧接端子10の圧接刃16に圧接された幹線18は、ヘアピン状に折り返されたのちハウジング20の後方に引き出されるから、ハウジング20の回りのスペースを増加することなく、行き戻りの幹線18をすべてコネクタハウジング20の後面側に取り回すことができる。
しかも圧接端子10では、圧接刃16が圧接端子10の幅方向の中心から側方にずれた位置に形成されていることから、行き戻りの幹線18を圧接端子10の幅方向の中心を挟んだ両側に配することができる。これは、圧接刃16が圧接端子10の幅方向の中心に設けられて、圧接後にその側方に折り返された場合と比較すると、行き戻りの幹線18が引き出される部分を含む圧接端子10の幅が小さくまとめられる。その結果、端子挿入溝25の溝幅を狭く抑え、ひいてはハウジング20の幅も小嵩にまとめることができる。
【0019】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)雌側の圧接端子を用いる場合にも、本発明は適用可能である。
(2)幹線の数、すなわち回路数は3以上であってもよい。その場合も、すべて同じ形状の圧接端子を用いることができる。
(3)カバーに対して圧接用の治具の機能を持たせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の分解斜視図
【図2】圧接端子の挿入動作を示す一部切欠平面図
【図3】同一部切欠側面図
【図4】カバーの底面図
【図5】その背面図
【図6】圧接端子の挿入後の一部切欠平面図
【図7】カバー装着後の平断面図
【図8】従来例の一部切欠平面図
【符号の説明】
10…圧接端子
11…基板
12…タブ(接続部)
14…連結部
15…屈曲部
16…圧接刃(圧接部)
18…幹線(被覆電線)
18A…導入部
18B…導出部
20…ハウジング
25…端子挿入溝
Claims (2)
- 相手端子と接続される接続部の後端における幅方向片側領域から長さ方向後方へ連結部が延出して形成されるとともに、その延出端は前記片側とは反対側へ屈曲され、かつこの屈曲部における前後両側縁には被覆電線を前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接可能な圧接部が、前記接続部とは軸線をずらした状態で設けられることで、前記圧接部に対し前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接された被覆電線が前記連結部に沿って折り返し可能とされていることを特徴とする圧接端子。
- 相手端子と接続される接続部の後端における幅方向片側領域から長さ方向後方へ連結部が延出して形成されるとともに、その延出端は前記片側とは反対側へ屈曲され、かつこの屈曲部における前後両側縁には被覆電線を前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接可能な圧接部が、前記接続部とは軸線をずらした状態で設けられてなる圧接端子と、
この圧接端子を前記圧接部が外部に開放された状態で装着可能としたコネクタハウジングとを備え、
前記圧接部に対し前記接続部の軸線と平行な姿勢で圧接された被覆電線が前記連結部に沿ってヘアピン状に折り返されて前記コネクタハウジングの後方へ引き出し可能とされていることを特徴とするコネクタ。
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