JP3914538B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は接着剤組成物に関し、詳しくは特定の合成エマルジョンにアセトアセチル基を導入することで針葉樹に対し優れた接着性を有し、かつホルムアルデヒドを含まない接着剤組成物に関するものである。
従来、木材用の耐水性接着剤組成物として、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤等のホルムアルデヒド樹脂系接着剤が知られている。しかし、前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤は、遊離のホルムアルデヒドが残存しているために、該ホルムアルデヒド樹脂系接着剤を用いて接着した建築材製品等からホルムアルデヒドが放出され、これによる健康障害、いわゆるシックハウス症候群の問題がクローズアップされてきた。
また、前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤のうち、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤の3種の接着剤は、接着の際に加熱圧締する必要があり、厚物材料の接着、特に集成材の接着には適していない。これに対して前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤は前記加熱圧締は必要としないが、雰囲気温度20℃にて16時間という長時間の冷熱圧締を必要とするために、作業能率が低い。さらに、前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤は、接着剤自身が赤褐色であり接着層が同色に着色して製品の商品価値を低減するために、用途が限定されるとの問題がある。
前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤の問題を解決するために、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョン等を主剤とし、該主剤に硬化剤としてイソシアネート化合物を配合した水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物が知られている。前記水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物は、ホルムアルデヒド樹脂を含まないので、遊離のホルムアルデヒドの放出による環境汚染の虞がなく、冷熱圧締が可能であり、接着層が着色することもない。
前記水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物として、例えば、(A)ポリビニルアルコールの水溶液とエチレン含有量が10〜45重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンの存在化に該共重合体系樹脂エマルジョン中の固形分100重量部当たり、酢酸ビニル及び酢酸ビニル100重量部当たり0〜40重量部の他のビニル重合可能な単量体を合計で100〜600重量部をシード重合してなるエマルジョン、(B)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を含む水溶液、(C)イソシアネート化合物と反応する充填剤、(D)多価イソシアネート化合物からなる水系接着剤(特許文献1)、分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物1重量部に対し、ゴムラテックスおよび/または合成樹脂エマルジョンを固形分として10重量部を上限とする範囲で混合して得られる水溶液または水性エマルジョンであるA液、およびアジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物を含む水溶液または分散液であるB液からなる2液性接着剤(特許文献2)、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンの1種または2種以上からなる主剤と、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含む接着剤組成物であって、前記硬化剤の全量に対して、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを0〜40重量%の範囲で含むことを特徴とする高度耐水性接着剤組成物(特許文献3)等多くの提案がなされている。
イソシアネート化合物は、一般に水溶液または水性エマルジョンのように水を含む溶液に直接配合すると、水と激しく反応して、著しく発泡するという性質がある。イソシアネート化合物を疎水性有機溶剤に溶解することにより、該イソシアネート化合物と水との反応を抑制することができ、塗布作業性を改善し、使用可能な時間を延長することができるが、疎水性有機溶剤を使用したために臭気の発生、有機溶剤の揮散に伴う環境汚染の問題が避けられない。
水性であっても高接着強度、優れた耐久性、耐水性及び耐熱水性を有ししかも可使時間の長い接着剤組成物として、(A)多糖類を保護コロイドとして、ラジカル重合性不飽和単量体を乳化重合して得られる合成樹脂エマルジョン、(B)ポリビニルアルコールおよび(C)イソシアネート基を有する化合物を含有してなる接着剤組成物が提案(特許文献4参照)されている。
これらの、前記各公報記載の接着剤組成物の中には、比重の小さな木材からなる合板の接着には有効であるが、カバ材等のように比重の大きな木材からなる集成材の接着では、集成材に関する日本農林規格の浸せきはく離試験を十分に満足できる耐水性が得られないケース、昨今の高度化した接着剤への要求に対し、耐水性、耐熱性及び耐久性に関して満足せしめられないものも見受けられる。
しかし、近年広葉樹資源が不足し入手難になっており、針葉樹を素材とした合板の比率が年々増加している。針葉樹は特にヤニ成分が多いため、酢酸ビニル樹脂系や水性高分子−イソシアネート系接着剤では針葉樹への密着性、耐水性、耐熱水接着性、耐久性、安定性等の点が極めて不十分なものであり、合板に対し厳しい耐煮沸水性が要求されるJAS特類規格には到底合格しないものであった。
特開2001−107006号公報 特開2001ー179714号公報 特開2002−194317号公報 特開2003−313530号公報
本発明の目的は、針葉樹等の難接着合板に対し優れた接着性を有し、さらにホルムアルデヒドを放散せず作業性に優れ、とりわけ可使時間が極めて長いという特徴を有する接着剤組成物を提供することにある。
本発明は、
[1](A)保護コロイドに多糖類を使用しラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られたアセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョン、(B)ポリビニルアルコールおよび(C)ビニルエステルエマルジョンからなる樹脂組成物に(D)イソシアネート基を有する化合物を配合したことを特徴とする接着剤組成物、
[2] (A)合成樹脂エマルジョンに使用するアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体は、全ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して、1〜15重量部の範囲である上記[1]に記載の接着剤組成物、
[3] (A)合成樹脂エマルジョンのゲル分率が、20%以上である上記[1]に記載の接着剤組成物、
[4](A)保護コロイドに多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体およびアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られたアセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、(B)ポリビニルアルコールの固形分2〜300重量部の割合で使用した、上記[1]に記載の接着剤組成物、
[5] (A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して(C)ビニルエステルエマルジョンを固形分として10〜30重量部の割合で配合してなる上記[1]に記載の接着剤組成物、
[6] (D)イソシアネート基を有する化合物が(A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して2〜200重量部の割合で配合してなる上記[1]に記載の接着剤組成物、
[7] 保護コロイドとして多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られた合成樹脂エマルジョンにポリビニルアルコールおよびビニルエステル基を有する化合物のエマルジョンを加えて混合して樹脂組成物を得、これにイソシアネート基を有する化合物を配合することからなる接着剤組成物の製造方法、及び
[8] 保護コロイドとして多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られた合成樹脂エマルジョンにポリビニルアルコールおよびビニルエステル基を有する化合物のエマルジョンを加えて混合して樹脂組成物を得、これにイソシアネート基を有する化合物を配合して製造した接着剤組成物を使用した針葉樹の木質系合板または木質系集成材、
を開発することにより上記の課題を解決した。
本発明によれば、広葉樹のみならず、問題のある針葉樹基材であっても密着性、接着性、耐水性、耐煮沸性が得られ、さらにホルムアルデヒドを放散せず作業性に優れ、可使時間が長いという特徴を有する接着剤組成物が提供できた。
本発明者らは、前記問題点を解決することを目的として鋭意研究を重ねた結果、アセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体を共重合した合成樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコールおよびビニルエステルエマルジョンを混合した樹脂組成物に、使用に先立ってイソシアネート基含有化合物を配合して接着剤組成物としたときに始めて前記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成した。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(A)アセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョン
本発明の接着剤組成物に使用する(A)アセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョンは、多糖類を保護コロイドとして用い、アセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体およびこれらと共重合可能な他のラジカル重合性不飽和単量体とを乳化重合することによって得ることができる。
該合成樹脂エマルジョンを調整するにあたって使用される前記多糖類としては、アラビアゴム、ガッティゴム、トラガカントガム、ダムソンゴム、サクラゴム、セイヨウスモモゴム、グアーガムなどが挙げられる。これらの多糖類は、保護コロイドとしての役割を果たすことができる。多糖類を保護コロイドとして用いたときは、(B)ポリビニルアルコールおよび(C)イソシアネート基を有する化合物と組み合わせた接着剤組成物の可使時間を、通常の乳化重合で使用されるアニオン性、カチオン性、両性、および非イオン性界面活性剤や、各種ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどの多糖類以外の水溶性高分子を用いた接着剤組成物に比べて、飛躍的に長くすることが可能となる(特許文献4参照)。
(A)ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体を乳化重合して合成樹脂エマルジョンを得る際に、保護コロイドとして用いる多糖類の配合量は、全ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。多糖類の配合量が、0.1重量部未満であると、得られた(A)合成樹脂エマルジョンの安定性が悪く、凝集、ゲル化してしまい、20重量部を越えると最終的に得られる接着剤の耐水性が著しく低下するために好ましくない。また、可使時間や接着性能に支障がない範囲で、保護コロイドとして各種ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどを多糖類を併用して用いることも可能である。
ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体を乳化重合して得られる合成樹脂エマルジョンは、アセトアセチル基を含有する単量体、例えばアリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート;2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシプロピルアクリレート、2−アセトアセトキシプロピルメタクリレート、2−シアノアセトアセトキシエチルメタクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸アセト酢酸エステル;2−アセトアセトキシエチルクロトネート、2−アセトアセトキシプロピルクロトネート等のアルキレングリコールのクロトン酸アセト酢酸エステル;N−(アセトアセトキシメチル)アクリルアミド、N−(アセトアセトキシメチル)メタクリルアミド、N−(アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド等のN−アルキロール(メタ)アクリルアミドのアセト酢酸エステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシスチレン等の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体等のアセトアセチル化物が例示され、これらは単独又は2種以上が併用される。
また、アセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体と共重合可能な他のラジカル重合性不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、およびこれと共重合可能な単量体、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸などのα、β−エチレン性不飽和カルボン酸類、スチレン、ビニルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、などが挙げられる。なお該共重合体中のアセトアセチル基を含有する単量体の含有量は全ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部配合する。
さらに、本発明における(A)アセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョンのゲル分率は、20%以上となるように調製する。ゲル分率が20%より小さいと、最終的に得られた接着剤の接着強度は小さく、耐水性は著しく低下してしまい、好ましくない。
ここで、合成樹脂エマルジョンのゲル分率は次の様にして測定したものである。
合成樹脂エマルジョンをガラス板上に流延して、20℃、湿度65%の下で6日間乾燥し、厚さ約0.3mmのフィルムを作成する。この乾燥フィルムを精秤(この時の重量をW1とする)した。次いでこれを金網で包み、20℃のテトラヒドロフラン(フィルム0.5gに対しTHF50mlの割合)中に24時間浸漬してから引き上げて、風乾しフィルムの重量を精秤する(この時の重量をWとする)。
ゲル分率は下式で算出した。
(W/W)×100 =ゲル分率(%)
本発明の接着剤において、(A)アセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョンは通常の乳化重合法に従って製造することができる。重合に際しては、通常一般に用いられている重合開始剤が使用される。具体例としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物または過硫酸塩、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。また、前記重合開始剤は、酒石酸、蟻酸、シュウ酸、酸性亜硫酸ソーダ、ロンガリットなどの還元剤と併用することも通常行われる。重合開始剤の使用量は、全ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜2.0重量部が好ましい。またラジカル重合性不飽和単量体は、これを一括もしくは分割して、あるいは連続的に滴下して反応に供することができる。重合温度は、通常の60〜90℃で行うことができる。
また一般に乳化重合に際して用いられる分子量調整剤として、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエチルアルコール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を用いることが出来る。また、合成樹脂エマルジョンで多用される造膜助剤その他の添加剤も必要に応じて添加することができる。
(B)ポリビニルアルコール
本発明の接着剤組成物に使用する(B)ポリビニルアルコールは、通常の完全ケン化物または部分ケン化物のいずれも使用することができ、またメルカプト基変性品、アセトアセチル基変性品のような変性ポリビニルアルコールも同様に使用することができる。
接着剤組成物
本発明の接着剤組成物において、(A)合成樹脂エマルジョンと(B)ポリビニルアルコールの混合物をもって主剤とし、その配合は、前記(A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、(B)ポリビニルアルコールの固形分が2〜300重量部、より好ましくは5〜200重量部の範囲となるように配合するのがよい。(B)ポリビニルアルコールが2重量部未満では、以下に説明する(D)イソシアネート基を有する化合物を添加した後の、最終的に得られた接着剤組成物の粘度上昇が大きくなるため好ましくない。また、(B)ポリビニルアルコールが300重量部を超えると最終的に得られた接着剤組成物の耐水性が低下するため好ましくない。
(C)ビニルエステルエマルジョン
本発明に使用するビニルエステルは、エポキシ樹脂とα、β−不飽和一塩基酸との反応により得ることができる。エポキシ樹脂は、大別してビスフェノール構造を有するいわゆる「エピ−ビス型」と、ノボラック構造を有する「ノボラックエポキシ型」があり、これ以外にも環状脂肪族構造を有する「グリシジルエーテル型」、ポリエーテルポリオールの「グリシジルエーテル型」、多価アルコールの「グリシジルエーテル型」、等を挙げることが出来るが、何れも本発明に使用可能である。但し、コスト、物性上から「エピ−ビス型」のエポキシ樹脂が有利である。
エポキシ樹脂と反応させてビニルエステルとするためのα、β−不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸(以下両者を一括して「(メタ)アクリル酸」という。)クロトン酸、マレイン酸モノエステル類、フマル酸モノエステル類、イタコン酸モノエステル類などが挙げられ、要求される樹脂の硬化性の遅速により必要に応じて選択される。一般には(メタ)アクリル酸が使用される。
エポキシ樹脂とα、β−不飽和一塩基酸との反応は、通常空気(酸素)気流下で、3級アミン類、4級アンモニウム類、第4級アンモニウム塩類、トリフェニルフォスフィンなどの触媒の存在下、100〜140℃に加熱して行われる。必要に応じて反応性希釈剤、例えば多価アルコール〜(メタ)アクリレートの共存下で反応を行うこともできる。本発明に使用できる反応性希釈剤の種類並びに使用量には特に制限する必要はないが、耐熱水性を要求される木材接着などに使用する場合にはビニルエステルと反応性希釈剤、例えば多価アルコール〜(メタ)アクリレートの合計量に対し、ビニルエステルの配合量は少なくとも10重量%が必要であり、50重量%以上を配合することが好ましい。
この多価アルコール〜(メタ)アクリレートは、多価アルコールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。多価アルコールとしては例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリットなどが挙げられる。
ビニルエステルエマルジョンの配合量は前記(A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して固形分10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部の割合である。ビニルエステルエマルジョンの配合量が10重量部以下の場合は架橋密度が低下し針葉樹基材での耐煮沸性が低下するため好ましくない。
また、ビニルエステルエマルジョンの配合量が30重量部以上の場合は、樹脂配合後のポットライフが短くなるため好ましくない。
(D)イソシアネート基を有する化合物
本発明の接着剤組成物に使用する(D)イソシアネート基を含有する化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に制限はなく、例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族イソシアネート、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−および−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートのような芳香族イソシアネート、およびシクロヘキサン−2,4−および−2,3−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのような脂環族イソシアネートなどが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。また過剰のジイソシアネートまたは多官能ポリイソシアネートとヒドロキシル末端ポリエステルまたはヒドロキシル末端ポリエーテルとの反応により生成されたイソシアネート末端プレポリマー、並びに過剰のジイソシアネートまたは多官能ポリイソシアネートとエチレングリコール、トリメチロールプロパンまたは1,3−ブタンジオールのような単量体ポリオールまたはその混合物との反応により得られる生成物も使用可能である。
(D)イソシアネート基を含有する化合物の配合量は、使用する目的により任意に決定すればよいが、好ましくは(A)合成樹脂エマルジョンと(B)ポリビニルアルコールの組成物(樹脂組成物から(C)成分を除いたもの)の固形分100重量部に対し、固形分で2〜100重量部、好ましくは5〜70重量部の範囲となるように配合するのがよい。(D)イソシアネート基を含有する化合物の配合量が2重量部未満では十分な接着力が得られなくなるため好ましくない。また、(D)イソシアネート基を含有する化合物の配合量が100重量部を超えると配合後の可使時間が短くなり、かつ粘度上昇が大きくなるため好ましくない。
さらに、本発明の接着剤には、必要に応じて炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、木粉などの充填剤、小麦粉などの増量剤、酸化チタン等の顔料あるいはその他、防腐剤、防錆剤などの各種添加剤を適宜添加することができる。
また、本発明の接着剤を使用する場合の塗布方法あるいは接着方法などについては、特に制約はなく、従来行われてきたようなものであれば、いかなる方法によっても行うことができる。例えば、木材などの接着面に接着剤組成物を刷毛塗り等で塗布し、接着面を貼り合わせて圧力を加えて固定する圧締法などに使用することができる。また、本発明の接着剤組成物の乾燥方法は加熱圧締法、常温圧締法のいずれの方法でも十分な接着強度を得ることができる。
本発明の接着剤組成物は、優れた耐久性、耐水性および耐熱水接着力を提供することができ、イソシアネート基を有する化合物を添加した後も粘度の上昇が少なく、発泡もほとんどなく、且つ可使時間を著しく長くして作業性を改善したものである。すなわち、本発明の接着剤組成物は、既に記述したようにきわめて大きな利点と特長を有しているので、広範な用途が期待できる。特に可使時間が長いこと、加熱硬化にとどまらず常温硬化が可能なこと、優れた強度や作業性、ホルムアルデヒドを含有しないこと、最大の特徴はヤニ分の多い針葉樹等の接着にも使用可能であることなどから、特に針葉樹の合板、化粧合板さらには繊維ボード、繊維製品、紙製品など、幅広い用途の接着剤として有用である。
以下、本発明を実施例および比較例により更に具体的に説明するが、本発明は決してこれら例示例にのみ限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準を示すものとする。
(A)合成樹脂エマルジョンの合成
(製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを備えた1リットルセパラブルフラスコに、アラビアゴムの20%水溶液300部とイオン交換水210部を仕込み、窒素ガスを送入しつつ、反応容器内を80℃に昇温した。その後、、メタアクリル酸メチル225部とアクリル酸ブチル225部、2ヒドロキシエチルアクリレート22.5部、アセトアセトキシエチルメタクリレート14.5部との単量体混合液を4時間かけて滴下した。また、過硫酸アンモニウム2部にイオン交換水を加え、全量を50gとした水溶液を、前記単量体混合液と同時に滴下し、乳化重合を行った。
なお、このときフラスコの内温が80〜85℃になるよう外温をコントロールした。滴下終了後、80〜85℃で1時間保持した後、30℃以下に冷却しエマルジョンを得た。得られた水性エマルジョンの不揮発分(105℃−1時間乾燥)は48.5%、粘度(BH型粘度計、No.ローター、10rpm、23℃)は7,000mPa・s、ゲル分率は35%であった。この配合比を表1に示す。
(製造例2−4)
製造例1と同様にして、表1に示す配合比でエマルジョンを作製した。
Figure 0003914538
(実施例1)
製造例1で得られた合成樹脂エマルジョンの固形分100部に対し、ポリビニルアルコールPVA117(クラレ製、完全ケン化)の15%水溶液を固形分が50部、炭酸カルシウム240重量部、60%ビニルエステルエマルジョンを固形分で15重量部を加えて混合したものを主剤とした。主剤100部中の合成樹脂エマルジョンの固形分に対しイソシアネートを含有する化合物、ミリオネートMR−100(日本ポリウレタン製、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)を30部添加し、十分混合して実施例1の接着剤組成物として性能評価を行った。配合比は表2に示す。
(実施例2,比較例1−5)
実施例1と同様にして、表2に示す割合で各種の接着剤組成物を作製した。
(合板による接着試験)
実施例1、2および比較例1〜5で得られた接着剤組成物を用いて針葉樹単板を接着し、合板の引張り剪断強度を測定した。測定方法と測定条件を以下に記す。また、測定結果を表3に示す。
(1)接着条件
基材;カラ松単板(厚さ0.55/1.2/0.55mm クロス貼り3ply)、含水率8%
塗布量;220g/m(片面塗布)
圧締;冷圧 10kg/cm−30分 → 熱圧 120℃×10kg/cm−2分
(2)試験方法
JASによる引張りせん断試験
(3)測定方法
常態接着強度;20℃、65%RH下の標準状態で測定
スチーミング処理試験(JAS特類);室温の水中で2時間以上浸漬した後、120℃で3時間スチーミングし冷めるまで室温の水中に浸漬後、濡れたままの状態で測定
また、配合4時間経過後の粘度上昇率も合わせて測定した。
Figure 0003914538
Figure 0003914538
本発明は、合成エマルジョンにアセトアセチル基を導入することで、広葉樹のみならず樹脂が多くて接着性に問題のある針葉樹基材であっても、密着性、接着性、耐水性、耐煮沸性のある接着剤組成物とすることが出来た。本接着剤組成物は水性エマルジョンであって、原則的に有機溶剤を含まないため、臭気及び環境汚染が少なく、全くホルムアルデヒドを放散せず、作業性に優れ、可使時間が長いという特徴を有する接着剤組成物が提供できた。

Claims (8)

  1. (A)保護コロイドに多糖類を使用しラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られたアセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョン、(B)ポリビニルアルコールおよび(C)ビニルエステルエマルジョンからなる樹脂組成物に(D)イソシアネート基を有する化合物を配合したことを特徴とする接着剤組成物。
  2. (A)合成樹脂エマルジョンに使用するアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体は、全ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して、1〜15重量部の範囲である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. (A)合成樹脂エマルジョンのゲル分率が、20%以上である請求項1に記載の接着剤組成物。
  4. (A)保護コロイドに多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体およびアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られたアセトアセチル基を有する合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、(B)ポリビニルアルコールの固形分2〜300重量部の割合で使用した、請求項1に記載の接着剤組成物。
  5. (A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して(C)ビニルエステルエマルジョンを固形分として10〜30重量部の割合で配合してなる請求項1に記載の接着剤組成物。
  6. (D)イソシアネート基を有する化合物が(A)合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して2〜100重量部の割合で配合してなる請求項1に記載の接着剤組成物。
  7. 保護コロイドとして多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られた合成樹脂エマルジョンにポリビニルアルコールおよびビニルエステル基を有する化合物のエマルジョンを加えて混合して樹脂組成物を得、これにイソシアネート基を有する化合物を配合することからなる接着剤組成物の製造方法。
  8. 保護コロイドとして多糖類を使用し、ラジカル重合性不飽和単量体とアセトアセチル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とを用いて乳化重合して得られた合成樹脂エマルジョンにポリビニルアルコールおよびビニルエステル基を有する化合物のエマルジョンを加えて混合して樹脂組成物を得、これにイソシアネート基を有する化合物を配合して製造した接着剤組成物を使用した針葉樹の木質系合板または木質系集成材。
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