JP3914380B2 - 熱成形法、箱状成形体および成形装置 - Google Patents

熱成形法、箱状成形体および成形装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3914380B2
JP3914380B2 JP2000276587A JP2000276587A JP3914380B2 JP 3914380 B2 JP3914380 B2 JP 3914380B2 JP 2000276587 A JP2000276587 A JP 2000276587A JP 2000276587 A JP2000276587 A JP 2000276587A JP 3914380 B2 JP3914380 B2 JP 3914380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frame
shaped
box
molding
plug
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000276587A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002086550A (ja
Inventor
泰治 中川
康彦 羽田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RP Topla Ltd
Original Assignee
RP Topla Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RP Topla Ltd filed Critical RP Topla Ltd
Priority to JP2000276587A priority Critical patent/JP3914380B2/ja
Publication of JP2002086550A publication Critical patent/JP2002086550A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3914380B2 publication Critical patent/JP3914380B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Sink And Installation For Waste Water (AREA)
  • Bathtubs, Showers, And Their Attachments (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱成形法、箱状成形体および成形装置に関する。さらに詳しくは、浴槽、シンク、洗面ボールなどの合成樹脂製容器を製造するための箱状成形体の熱成形法および成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクリル樹脂製浴槽は、所定の温度に加熱軟化させたアクリル樹脂シートを、図12に示されるように真空成形と型押しによって所望の浴槽形状(箱状)に成形させた箱状成形体51に、裏張りの補強材としてガラス繊維強化プラスチック(FRP)または熱可塑性樹脂発泡体などが設けられている。また前記箱状成形体51は、図13に示されるように開口部の周辺に折り返し縁付きフランジ52を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体は、今まで雌型を用いて真空成形法によって生産されている。型材としてアルミニウムが主として使用されるが、精密、かつ高品質の成形体を得るためには、良質のアルミニウム材を用いて、高度な機械加工と熟練工の手仕上げが必要である。型製作に要する日数は1ヵ月半から2ヵ月を要する。したがって、型の製作コストは高価となる。
【0004】
またいくらコストをかけて製作した雌型にも完全に無疵は期し難く、また使用中に発生する疵もある。この型を鋳物で作った場合に鬆が発生しやすく、あと加工でこれを除去しようとしても完全には除去することができない。その上ゴミやホコリが付着した場合、これを挟んで成形すると、それに包まれる空気の膨張により細かいバブルが発生し、とくに透明板を成形したときには、これがアバタ状となって内側より透視できる。また雌型を用いて真空成形した成形体は、図12および図14に示されるように、表面側の底部(奥部)、とくに面と面とが接する稜線のエッジ部53が交差するコーナー部54の肉厚が極端に薄くなり、これを防ごうとして厚い原板を使うとか、複雑な加熱のコントロールなどの方法をとる必要がある。またフランジ52に原板の厚さに近い厚さが残りやすく、同様に複雑な加熱のコントロールなどの方法をとる必要がある。したがって、いずれにしてもコストアップにつながるという問題がある。
【0005】
本発明は、叙上の事情に鑑み、従来の成形法で得られる成形体よりも肉厚が均一で、かつ外観が優れた、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を得るための熱成形法および成形装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱成形法は、加熱軟化されたプラスチック板から、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を成形する熱成形法であって、前記箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と底部のコーナー部および折り返し縁付きフランジを賦形するための外枠を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた表面成形用フレーム状プラグと、前記箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と開口部のコーナー部を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた裏面成形用フレーム状プラグとを上下に配置し、ついでクランプ枠で周辺部が固定され、かつ所定の温度に加熱されたプラスチック板を前記表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグのあいだに配置し、つぎにそれぞれのフレーム状プラグを相互にクランプ枠をこえて上下に押し込んで箱状成形体を成形することを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の成形装置は、加熱軟化されたプラスチック板から、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を成形する成形装置であって、前記箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と底部のコーナー部および折り返し縁付きフランジを賦形するための外枠を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた表面成形用フレーム状プラグと、前記箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と開口部のコーナー部を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた裏面成形用フレーム状プラグと、前記表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグのあいだに所定の温度に加熱されたプラスチック板を配置するクランプ枠とを備えてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の熱成形法、箱状成形体および成形装置を説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態にかかわる成形装置を示す部分断面図、図2は図1における表面成形用フレーム状プラグの部分断面斜視図、図3は図1における裏面成形用フレーム状プラグの部分断面斜視図、図4は本発明の熱成形法の一例を説明する図、図5は表面成形用フレーム状プラグの他の実施の形態を示す斜視図、図6は裏面成形用フレーム状プラグの他の実施の形態を示す斜視図、図7は箱状成形体の裏面側の展開図、図8は図7の長手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布、図9は図7の短手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布、図10はグリース塗布成形による図7の長手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布、図11はグリース塗布成形による図7の短手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布である。
【0011】
本発明の一実施の形態にかかわる成形装置は、加熱軟化されたプラスチック板を成形して開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体(図12参照)を得る装置であり、図1〜3に示されるように表面成形用フレーム状プラグ1、裏面成形用フレーム状プラグ2、外枠3およびクランプ枠4を備えている。またこの成形装置は、表面成形用フレーム状プラグ1および外枠3の下降(押し下げ)速度、下降距離、下降タイミング、保持時間などや、裏面成形用フレーム状プラグ2の上昇(押し上げ)速度、上昇距離、上昇タイミング、保持時間などを制御するコントローラーを備えている。
【0012】
前記表面成形用フレーム状プラグ1は、リング状を呈しており、箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部5と底部のコーナー部6を有し、上下に移動自在な可動体7に、たとえば周辺板と基板とからなる支持具または複数の棒状の支持具8などを介して取り付けられている。また該可動体7には、前記箱状成形体のフランジの折り返し部を成形するための外枠3が前記表面成形用フレーム状プラグ1の周辺に、たとえば周辺板と基板とからなる支持具9または複数の棒状の支持具などを介して設けられている。
【0013】
前記裏面成形用フレーム状プラグ2は、箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部10と開口部のコーナー部11および外周部のコーナー部14を有し、上下に移動自在な可動体12に、たとえば周辺板と基板とからなる支持具13または複数の棒状の支持具などを介して取り付けられている。
【0014】
前記表面成形用フレーム状プラグ1および裏面成形用フレーム状プラグ2は、木材、樹脂または金属から作製されており、これらのフレーム状プラグ1、2は継ぎ目なく全部一体に作られたものが好ましいが、ばらばらに作製した複数の部材を組立てて作ることもできる。この場合、継ぎ目が成形体の品質を低下させぬように、たとえば凹凸嵌合などにより密着させる必要がある。試作品などの生産個数が少ない成形の場合は、木片を使って簡単に作れるが、生産個数が多い場合には、硬質の木、ガラス繊維または炭素繊維で補強したポリエステルやエポキシなどの熱硬化性樹脂またはアルミニウムなどの金属で作製するのが好ましい。
【0015】
さらにこれらのフレーム状プラグ1、2が、成形時に加熱軟化したプラスチック板Pに最初に接触する際に、その部分のプラスチック板Pの熱を吸収して局部的にプラスチック板Pの有する延伸(エロンゲーション(elongation))を抑制して、ドラッグマークを発生させることがあるので、これらのフレーム状プラグ1、2を作製する素材は熱伝導の低いものを選ぶ必要があり、金属を使用するときは、電熱線を内蔵させてこれを適温にまで加熱して用いるのが好ましい。
【0016】
前記可動体7、12は、ボールねじ、歯車群またはカム機構などを用いた昇降機構と、成形時の圧力を支えるための前記支持具8、9、13を含むケース構造体から構成することができる。このケース構造体の骨組みは、金属のアングル状、チャンネル状またはパイプ状の鋼材を用いて作製することができる。
【0017】
前記クランプ枠4は、前記表面成形用フレーム状プラグ1と裏面成形用フレーム状プラグ2のあいだに所定の温度に加熱されたプラスチック板Pを配置し、固定するものである。
【0018】
本発明の熱成形法は、開口部に折り返し縁付きフランジを有する多面体の箱状成形体を、一枚のプラスチック板で一体に成形する方法であり、雄型および雌型も使用せず、また真空・圧空などの空気圧をも使用しない熱成形法である。すなわち図4に示されるように前記箱状成形体の内側と同形状の稜線のエッジ部とコーナー部を模して作製された前記表面成形用フレーム状プラグ1および外枠3で、成形温度まで加熱軟化したプラスチック板Pを押し下げるとともに、前記箱状成形体の外側と同形状の稜線のエッジ部とコーナー部を模して作製された前記裏面成形用フレーム状プラグ2でプラスチック板Pを押し上げる。このときのフレーム状プラグ2の押し上げのタイミングとしては、フレーム状プラグ1および外枠3が下がりきった後が好ましい。
【0019】
前記プラスチック板Pを押し上げ(押し下げ)の際、プラスチック板Pの有する抗張力を保持した状態で延伸して、プラスチック板Pを表面成形用フレーム状プラグ1の外側を滑らせ、その摩擦抵抗で底部のコーナー部の薄肉化を抑制するとともに、プラスチック板Pを裏面成形用フレーム状プラグ2の外側を滑らせ、フランジの折り返し部の厚肉化を抑制して、箱状成形体全体の厚さの配分を行なっている。
【0020】
本実施の形態におけるフレーム状プラグ1、2および外枠3は、いわばシート成形の場合の型の役目を果たすわけであるが、真空または圧空などの空気圧を全く使用しないため、逆にこのことがプラスチック板Pの有する抗張力を保持した状態で延伸して、フレ−ム状プラグの有する表面の疵や微細な凹凸をコピーせず、美しい平面を原板のまま保持させることができる。
【0021】
また本実施の形態における熱成形法において、図4に示される箱状成形体の内部側Aを密閉系とし、プラスチック板Pのスプリングバック力に見合った空気圧で加圧することにより箱状成形体の稜線のエッジ部と底部のコーナー部を除いた部分、すなわち表面成形用フレーム状プラグ1の形状の無い部分が、プラスチック板Pのスプリングバック力により内側へ湾曲することを防ぐことができる。
【0022】
箱状成形体の内部側Aを密閉系とする方法の一例としては、外枠3の支持具9を複数の棒状ではなく、一つの箱状にすることが考えられる。
【0023】
また本実施の形態における熱成形法において、特定の面だけを曲線にしたいときは、その面のフレーム状プラグの形状を設計通りの曲面とし、同じような工程でフレーム状プラグを作動し、真空を全く使用せずに成形後の冷却を行なえば、この面はフレーム状プラグの形状通りの曲線に成形され、その上空圧が全くかかっていないので、フレーム状プラグの有する微細な凹凸はシートにかかる抗張力によりコピーされず、美しい曲面が得られる。
【0024】
また本実施の形態における熱成形法において、プラスチック板Pとして、マスキングフィルム付きシートを使用する場合、前記フレーム状プラグ1、2および外枠3の表面にシリコーンオイルやパラフィンワックスなどのグリースを塗布して成形することもできる。そして成形後、成形体からマスキングフィルムを剥離して、箱状成形体を得る。このグリースを塗布することにより、フレーム状プラグ1、2および外枠3とマスキングフィルムとのあいだの滑りがよくなるため、箱状成形体にフレーム状プラグ1、2および外枠3の跡がなくなり外観がさらに良好になる。
【0025】
本発明の熱成形法は、成形体の内側の形状と寸法を常に一定に正確に保持した品質を得ることができることにある。それは、この箱状成形体を補強する工程で極めて重要な要素となるからである。すなわち本発明では、プラスチック板の有する抗張力を保持した状態で延伸して、プラスチック板を表面成形用フレーム状プラグの外側を滑らせ、その摩擦抵抗で底部のコーナー部の薄肉化を抑制することにより、厚さを均一にすることができる。
【0026】
これに対し、従来の雌形でプラスチック板に真空成形法を用いて成形する場合には、成形体の外側の形状と寸法は雌型の内側に直接軟化したプラスチック板が密着し冷却されるので、完全に雌型内面の壁面をコピーしたものになるが、これに用いられる材料シートの厚さの誤差、成形条件の誤差による局部的延伸ムラに起因する厚さの配分ムラなどにより、成形品内側の形状や寸法は、完全に安定した状態のものを常時生産することは難しい。
【0027】
つぎに本発明におけるフレーム状プラグの他の実施の形態を説明する。図5に示されるように表面成形用フレーム状プラグ21は、箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部22と底部のコーナー部23を有し、上下に移動自在な可動体に周辺板24aおよび基板24bからなる支持具24を介して取り付けられる。また該支持具24の基板24bには、前記箱状成形体のフランジの折り返し部を成形するための外枠25が前記表面成形用フレーム状プラグ21の周辺における前記基板24bに設けられている。前記表面成形用フレーム状プラグ21は、フレーム状プラグ底部の一部に矩形の開口部26がくりぬかれており、開口部26以外のフレーム状プラグ底部に空気孔27が形成されている。また支持具24の周辺板24aの側面にも、矩形の開口部28がくりぬかれている。
【0028】
また図6に示されるように裏面成形用フレーム状プラグ30は、箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部31と開口部のコーナー部32を有し、上下に移動自在な可動体に基板の支持具33を介して取り付けられる。前記裏面成形用フレーム状プラグ30は、内周面がわずかに内側に傾斜されており、その周辺部の四隅に空気孔34が形成されている。
【0029】
なお、本実施の形態における裏面成形用フレーム状プラグでは、底部が開口する形状に形成されているが、本発明においては、底部が形成された裏面成形用フレーム状プラグとすることもできる。
【0030】
【実施例】
つぎに本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
実施例1〜3
まずつぎの表1に示すような表面成形用フレーム状プラグおよび外枠の上型ならびに裏面成形用フレーム状プラグの下型を作製した。ついでこれらの上型および下型を配置する成形装置を用意した。
【0032】
【表1】
Figure 0003914380
【0033】
そして成形条件として、表面成形用フレーム状プラグを下降速度150〜300mm/secで、180〜200度の温度に加熱された、部分架橋のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂を連続成形した厚さ3mmのキャスト板(PMMA樹脂シート)を押し下げるとともに、表面成形用フレーム状プラグが下がりきった後に、裏面成形用フレーム状プラグを上昇速度150〜300mm/secで前記PMMA樹脂シートを押し上げて、外枠および裏面成形用フレーム状プラグにより開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を成形した。また、比較用として従来の真空成形を行ない箱状成形体を得た(比較例)。
【0034】
この箱状成形体を裏面側から見たときの展開図を図7に示す。図7において、A〜Kは長手方向中央部の測定位置であり、FおよびL〜Uは短手方向中央部の測定位置である。
【0035】
ついで各測定位置の肉厚(mm)を測定した結果を図8〜9に示す。実施例1〜3は、従来技術の比較例と比較して肉厚変動が少ないのがわかる。比較例は最小肉厚0.25mm、最大肉厚2.62mm、その差(範囲)は2.37mmであった。これに対し、実施例2は最小肉厚0.56mm、最大肉厚2.19mm、その差(範囲)は1.63mmであり、肉厚のばらつきは69%(1.63/2.37×100)に減少している。
【0036】
したがって、肉厚が均一で、かつ外観が優れた箱状成形体を得ることができる。
【0037】
実施例4
つぎに前記PMMA樹脂シートにマスキングフィルムを付着させたシートを用いて、前記実施例2の表面成形用フレーム状プラグ、外枠および裏面成形用フレーム状プラグの表面にグリースを塗布して成形した。そして成形後、マスキングフィルムを剥離して、箱状成形品を得た。そして長手方向および短手方向の中央部の肉厚を測定した。その結果と前記実施例2とをあわせて図10〜11に示す。本実施例4は前記実施例2よりもさらに肉厚変動が少なくなっているのがわかる。実施例2の最小肉厚と最大肉厚の差(範囲)が1.63mmであるのに対し、実施例4はそれが1.50mmとなっている。また、グリースを塗布することにより、フレーム状プラグとマスキングフィルムとのあいだの滑りがよくなるため、箱状成形体にフレーム状プラグの跡がなくなり外観がさらに良好になる。PMMA樹脂シートとフレーム状プラグのあいだにマスキングフィルムがあることも外観を良好にすることの助けとなっている。
【0038】
なお、本実施の形態では、表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグを上下に配置しているが、成形設備の相違により、表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグを上下逆にする場合もあり、または加熱方法の違いにより、表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグを左右方向に配置して作動させることもできる。
【0039】
またこれらの箱状成形体は、バスタブ、冷蔵庫の内箱、鏡付き化粧棚または洗面器などに利用されるが、いずれの場合でもプラスチック板より成形した箱状成形体は、そのままでは剛性がなくて使用に耐えないので、これを凹凸の型で挟み凹サイドの型よりウレタンやポリエステルなどの熱硬化性樹脂を注入するか、高圧で熱可塑性樹脂を射出するなどして補強される。
【0040】
この場合、雌型で得た箱状成形体を外側より補強する従来では、補強型の雄型に該箱状成形体をかぶせる際に問題を生じていた。すなわち少し寸法が小さくて入らない、大きすぎて隙間を残すか、または形状が一致しないかという問題が生じ、もし不一致のまま補強型を閉じ、外側より(補強型の雌型側より)補強材を注入(または射出)すれば、箱状成形体を破断するか、またはしわを生ずるなどの問題が発生していた。その際ガラスファイバーを混入して補強するが、とくに射出成形でバックアップする際は、冷却時の収縮を正確に計算し、これを見込んだ正確な内側の形状と寸法が要求されていた。これに対して、本実施の形態におけるフレーム状プラグを使用すると正確な寸法の成形品が得易く、また一部不具合が生じた場合でも、フレーム状プラグの一部を調整して容易に修正が可能である。
【0041】
また従来では雌型によらず、雄型をアルミニウムなどの金属から機械加工で製作して真空成形で該箱状成形体を成形する方法もあるが、この場合箱状成形体の内側の形状と寸法は雌型に比し正確なものを得られるが、空気による予張工程や真空作動のコントロールなどの極めて微妙なコントロールを要し、厚さの制御が困難であるため、普通雄型成形法は採用されていない。また雄型が前記の利点はあるが、同じく真空でシートが金型に密着するので、成形品には疵やゴミがそのままコピーされやすい。これに対して、本実施の形態では、フレーム状プラグで成形されるため、美麗なる成形体が得られやすい。また型製作コストも低下し、製作期間も短くなる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、従来の成形法で得られる成形体よりも肉厚が均一で、かつ外観が優れた、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する成形体を得ることができる。
【0043】
また、本発明によれば、従来の欠陥を除去して、型具費を大幅に引き下げることが可能となるとともに、型具製作に要する日数を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわる成形装置を示す部分断面図である。
【図2】図1における表面成形用フレーム状プラグの部分断面斜視図である。
【図3】図1における裏面成形用フレーム状プラグの部分断面斜視図である。
【図4】本発明の熱成形法の一例を説明する図である。
【図5】表面成形用フレーム状プラグの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】裏面成形用フレーム状プラグの他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】箱状成形体の裏面側の展開図である。
【図8】図7の長手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布である。
【図9】図7の短手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布である。
【図10】グリース塗布成形による図7の長手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布である。
【図11】グリース塗布成形による図7の短手方向中央の肉厚を測定した肉厚分布である。
【図12】従来の箱状成形体を示す斜視図である。
【図13】図12における箱状成形体の要部断面図である。
【図14】従来の成形法による肉厚変動を示す図である。
【符号の説明】
1 表面成形用フレーム状プラグ
2 裏面成形用フレーム状プラグ
3 外枠
4 クランプ枠
5、10 エッジ部
6、11、14 コーナー部
7、12 可動体
8、9、13 支持具
P プラスチック板

Claims (5)

  1. 加熱軟化されたプラスチック板から、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を成形する熱成形法であって、前記箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と底部のコーナー部および折り返し縁付きフランジを賦形するための外枠を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた表面成形用フレーム状プラグと、前記箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と開口部のコーナー部を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた裏面成形用フレーム状プラグとを上下に配置し、ついでクランプ枠で周辺部が固定され、かつ所定の温度に加熱されたプラスチック板を前記表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグのあいだに配置し、つぎにそれぞれのフレーム状プラグを相互にクランプ枠をこえて上下に押し込んで箱状成形体を成形することを特徴とする熱成形法。
  2. 前記表面成形用フレーム状プラグの内部側を密閉系とし、プラスチック板のスプリングバック力に見合った空気圧で加圧することにより、前記箱状成形体を成形することを特徴とする請求項1記載の熱成形法。
  3. 前記表面成形用フレーム状プラグの全部または一部が前記箱状成形体の形状を精密に模すために必要な型状であることを特徴とする請求項1または2記載の熱成形法。
  4. 前記プラスチック板として、マスキングフィルム付きシートを使用し、かつ前記それぞれのフレーム状プラグにグリースを塗布したのち、成形し、ついでマスキングフィルムを剥離する請求項1、2または3記載の熱成形法。
  5. 加熱軟化されたプラスチック板から、開口部の周辺に折り返し縁付きフランジを有する箱状成形体を成形する成形装置であって、前記箱状成形体の表面側の内部形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と底部のコーナー部および折り返し縁付きフランジを賦形するための外枠を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた表面成形用フレーム状プラグと、前記箱状成形体の裏面側の形状と寸法を精密に模すために必要な稜線のエッジ部と開口部のコーナー部を有し、上下に移動自在な可動体に取り付けられた裏面成形用フレーム状プラグと、前記表面成形用フレーム状プラグと裏面成形用フレーム状プラグのあいだに所定の温度に加熱されたプラスチック板を配置するクランプ枠とを備えてなることを特徴とする成形装置。
JP2000276587A 2000-09-12 2000-09-12 熱成形法、箱状成形体および成形装置 Expired - Fee Related JP3914380B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000276587A JP3914380B2 (ja) 2000-09-12 2000-09-12 熱成形法、箱状成形体および成形装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000276587A JP3914380B2 (ja) 2000-09-12 2000-09-12 熱成形法、箱状成形体および成形装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002086550A JP2002086550A (ja) 2002-03-26
JP3914380B2 true JP3914380B2 (ja) 2007-05-16

Family

ID=18762022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000276587A Expired - Fee Related JP3914380B2 (ja) 2000-09-12 2000-09-12 熱成形法、箱状成形体および成形装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3914380B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103549899B (zh) * 2013-11-11 2015-10-07 佛山市浪鲸洁具有限公司 一种带裙边的亚克力浴缸成型方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002086550A (ja) 2002-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1295694B1 (en) Method of producing a male mold for use in making a vacuum forming tool
JP3914380B2 (ja) 熱成形法、箱状成形体および成形装置
CA1317078C (en) Method for producing decorative seams on films shaped by drawing method, and apparatus for performing the method
TWI641565B (zh) Molded three-dimensional glass mold and mold forming method
US5554331A (en) Method of making a large decorative panel
TWI277464B (en) 3-D forming method and device for metallic plate
JP2003095671A (ja) プランジャ及びガラス食器の成形方法
US2838791A (en) Molds for forming plaques
US2530043A (en) Method and apparatus for drawing plastic sheet material
JP2962779B2 (ja) 表皮付き深絞り樹脂成形体の製造法
JP2003001700A (ja) 樹脂フィルムのエンボス成形方法
JPH06190912A (ja) 発泡ポリエチレンテレフタレートシートの成形方法
JP2005041014A (ja) シボを有する熱硬化性樹脂成型品の製造方法
JP2962778B2 (ja) 表皮付き深絞り樹脂成形体の製造法
ES2921019T3 (es) Procedimiento para la producción de una herramienta para una piel negativa
JP2022128103A (ja) 成形品を成形するための金型、該金型を用いた成形品の製造装置、成形品の製造方法
KR20170104197A (ko) 장식용 기념품
JPH0552256B2 (ja)
JP2006334848A (ja) 真空成形品の製造方法
JPS641050Y2 (ja)
JP4013410B2 (ja) 樹脂パネルの製造方法
JPH08300380A (ja) 加飾表皮材により部分的に加飾されたシート状樹脂成形体の製造方法
JPS63114625A (ja) 自動車用内装品の製造方法
JPS61266232A (ja) レンズシ−トの製造方法
JPH10217326A (ja) 真空成形装置と真空成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160209

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees