JP3912176B2 - 低燐溶銑の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑予備処理として行われる脱燐処理により低燐溶銑を効率的に製造するための方法に関する。
【0002】
【従来技術】
高炉で製造された溶銑から鋼材を製造するには、溶銑に含まれる不純物成分を所定濃度まで低減するとともに、必要な成分を添加して鋼材として要求される成分組成に調整することが必要である。溶銑中に含まれる不純物成分としては、4mass%以上含まれる炭素のほか、燐、硫黄等があり、鋼材の要求成分としては強度や靭性を高めるマンガン、珪素などがある。
【0003】
溶銑から燐や炭素を除くためには、溶銑をスラグと反応させたり、大量の酸素を添加して酸化反応を進行させる方法が採られるが、転炉を用いて炭素・燐を同時に除去していた旧来の方法に対して、最近では溶銑段階で燐だけを事前に除去(溶銑予備脱燐処理)した後、転炉脱炭吹錬を行う方法が普及しつつある。このような溶銑予備脱燐処理を行うことにより、転炉脱炭吹錬において脱燐のために必要であったスラグ分を減らすことが可能になり、このためマンガン鉱石を投入して吹錬終了時点でのスラグからのマンガン還元率を高め、出鋼中または出鋼後に添加されるマンガン合金鉄の使用量を削減できるようになってきた。
【0004】
この溶銑予備脱燐処理は、溶銑鍋、転炉、トーピードなどで行われ、主たる精錬剤である石灰に加えて、脱燐反応の促進に必要な酸化源として焼結粉、スケールなどの固体酸素源や気体酸素が添加される。このようにして行われる溶銑予備脱燐処理は、処理の対象が溶銑であるために低温処理が可能であるなどの点で脱燐には有利であるが、最近では環境保護対策の面から溶銑予備脱燐で発生するスラグを極限まで低減化することが求められている。
【0005】
少ないスラグ量で脱燐を効率的に行う方法としては、溶銑中の珪素濃度を低減させることにより、CaOと反応してカルシウムシリケートを生成する珪酸を少なくする方法や、脱燐反応の酸素ポテンシャルを規定するスラグの酸化鉄濃度を制御する方法などが考えられ、これらによればそれなりの脱燐反応効率の向上効果が期待できる。
【0006】
一方、脱燐反応効率を高めるにはスラグを迅速且つ効率的に生成させることも重要であり、このような観点から、本出願人は先にスラグ生成を効果的に促進できる低燐溶銑の製造方法を特願2001−389696号として提案した。この方法は、精錬剤(粉粒状の石灰等)を容器内の浴面上方からキャリアガスを用いて浴面に吹き付けることにより容器内に添加するとともに、このキャリアガスを用いて浴面に吹き付けられる精錬剤の供給速度と容器内に供給される酸素源の供給速度を所定の範囲に規制したものであり、特にこの方法において、精錬剤を浴面に吹き付けるためのキャリアガスとして気体酸素を用いることにより、気体酸素が浴面に供給される際に生成する酸化鉄によって精錬剤(CaO)を最も迅速に且つ効率的に滓化させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように精錬剤を気体酸素をキャリアガスとして浴面に吹き付ける方法では、浴面に衝突した気体酸素により大量の酸化鉄が生成するため、精錬剤の滓化促進に非常に有利な条件となる。しかし一方において、気体酸素が衝突する浴面領域に酸化反応によって高温場が形成されてしまい、このような高温場の生成は脱燐反応の促進には不利に働くという問題がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、溶銑予備脱燐処理による低燐溶銑の製造方法において、気体酸素の溶銑浴面への供給により精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素が供給される溶銑浴面領域での酸化反応による高温場の形成を効果的に抑制することができ、これによりに高い脱燐反応効率を得ることができる低燐溶銑の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
脱燐反応は温度条件が重要であり、溶銑温度が低い方が脱燐には有利であるが、先に述べたように酸化反応を促進させて精錬剤(CaO)を迅速に滓化させるために溶銑浴面に気体酸素を供給すると、この気体酸素の供給された溶銑浴面領域で溶銑温度が上昇し、これが脱燐反応の阻害要因となる。このような観点から、本発明者は気体酸素が供給される溶銑浴面領域を脱燐反応に有利な温度条件とすることができる方策について検討を行い、その結果、気体酸素が供給される溶銑浴面領域に化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給することにより、気体酸素による精錬剤の滓化促進作用が阻害されることなく、気体酸素が供給される溶銑浴面領域の温度上昇が適切に抑えられ、高い脱燐反応効率が得られることを見い出した。
【0010】
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1]溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行ことにより低燐溶銑を製造する方法において、
珪素濃度が0.2mass%以下の溶銑に脱燐処理を施し、該脱燐処理では、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素を供給するとともに、溶銑浴面の火点に化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質(但し、生石灰に含まれる物質を除く)を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0011】
[ 2 ]上記[ 1 ]の製造方法において、精錬剤を溶銑浴面の少なくとも火点に供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 3 ]上記[ 1 ]又は[ 2 ]の製造方法において、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物、金属の炭酸塩、金属の水酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0012】
[ 4 ]上記[ 3 ]の製造方法において、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、熱分解によりCO2又はH2Oを発生する金属の炭酸塩、熱分解によりCO2又はH2Oを発生する金属の水酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 5 ]上記[ 4 ]の製造方法において、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 6 ]上記[1]〜[ 5 ]のいずれかの製造方法において、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、平均粒径5mm以下の粉粒物であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0013】
[ 7 ]上記[1]〜[ 6 ]のいずれかの製造方法において、上吹き送酸ランスを用いて溶銑浴面に気体酸素を供給するとともに、前記上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 8 ]上記[ 7 ]の製造方法において、上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に精錬剤を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 9 ]上記[1]〜[ 8 ]のいずれかの製造方法において、溶銑を保持した容器内に添加される精錬剤(但し、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上が添加される場合はこれを含む。)の50mass%以上を溶銑浴面の火点に供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0014】
[10]溶銑を保持した容器内に酸素源と精錬作用を有する物質を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、
珪素濃度が0.2mass%以下の溶銑に脱燐処理を施し、該脱燐処理では、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素を供給するとともに、溶銑浴面の火点に、CaO源である精錬剤の一部又は全部に代えて、精錬剤生成物質で且つ化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質として、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2 (但し、生石灰に含まれるCaCO 3 、Ca(OH) 2 、CaMg(CO 3 ) 2 を除く)の中から選ばれる1種以上を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0015】
[ 11 ]上記[ 10 ]の製造方法において、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上が、平均粒径5mm以下の粉粒物であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 12 ]上記[ 10 ]又は[ 11 ]の製造方法において、上吹き送酸ランスを用いて溶銑浴面に気体酸素を供給するとともに、前記上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0016】
[ 13 ]上記[ 10 ]〜[ 12 ]のいずれかの製造方法において、溶銑を保持した容器内に添加されるCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上の合計量の50mass%以上を溶銑浴面の火点に供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 14 ]上記[1]〜[ 13 ]のいずれかの製造方法において、溶銑を保持した容器内に添加される酸素源の50%以上(但し、気体酸素換算量)が気体酸素であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0017】
[ 15 ]上記[1]〜[ 14 ]のいずれかの製造方法において、精錬剤がCaF2を実質的に含まないか若しくは精錬剤中に含まれるCaF2量が2kg/溶銑ton以下であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 16 ]上記[1]〜[ 15 ]のいずれかの製造方法において、脱燐処理終了時の溶銑温度が1350℃以上であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
[ 17 ]上記[1]〜[ 16 ]のいずれかの製造方法において、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質(但し、精錬剤生成物質で且つ化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給する場合には、これを含む。)として、固体と気体を用い、前記固体を溶銑浴面領域に供給する際のキャリアガスの一部又は全部として前記気体を用いることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の低燐溶銑の製造方法は、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して脱燐処理を行うに際し、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素を供給する(吹き付ける)とともに、この気体酸素が供給される溶銑浴面領域に化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給する。
なお、精錬剤としては、通常、石灰などのCaO系精錬剤(CaOを主体とした精錬剤)が用いられるので、以下の説明では、CaO源となる精錬剤をCaO系精錬剤という。
【0019】
化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質(以下「吸熱物質」という)の溶銑浴面に対する添加(供給)は、脱燐処理は溶銑温度が低い方が有利であることから、溶銑浴面に供給された気体酸素による発熱よって溶銑温度が過剰に上昇することを抑えるために行われるものであり、このため吸熱物質は気体酸素が供給された溶銑浴面領域に供給する必要がある。また、気体酸素が供給される溶銑浴面領域の中でも、特に上吹き送酸ランスによる送酸により生じる“火点”と呼ばれる領域に供給することが好ましい。この火点は気体酸素ガスジェットが衝突することにより最も高温となる溶銑浴面領域であり、気体酸素による酸化反応(FeOの生成反応)が集中し且つ気体酸素ガスジェットにより強撹拌されている領域であるため、吸熱物質の添加による効果が最も顕著に得られる領域であると言える。
【0020】
また、上吹き送酸ランスを用いて浴面上方から送酸を行う際に、気体酸素が供給される溶銑浴面領域(特に好ましくは、上述した“火点”の領域)にCaO系精錬剤を気体酸素や他のキャリアガスを用いて吹き付ける(投射する)方法は、気体酸素ガスジェットの溶銑浴面への衝突場、つまり気体酸素による酸化反応が集中し、且つ気体酸素ガスジェットによる強撹拌が行われている領域(FeOの主たる生成物)にCaO系精錬剤を直接供給することにより、CaOの滓化が効果的に促進されるとともに、CaOとFeOの接触効率が高まってCaOとFeOとの接触上最適な条件となり、これによって脱燐反応を特に顕著に促進させることができる。したがって、このような方法において、気体酸素による酸化反応が集中し且つ気体酸素ガスジェットにより強撹拌されている上記領域に吸熱物質を直接供給し、その領域での溶銑温度の上昇を抑えることにより、脱燐反応をさらに効果的に促進させることができる。
【0021】
ここで、吸熱物質としては、溶銑に添加された際の化学反応又は熱分解反応若しくはその両方の反応によって溶銑の熱を奪う(吸熱する)物質であれば特別な制限はない。したがって、この吸熱物質は気体、固体のいずれでもよい。
吸熱物質として用いることができる気体としては、例えば二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物(NOx)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。これらの気体吸熱物質は溶銑浴面に供給されることにより主としてFeと反応し(例えば、CO2+Fe→FeO+CO、H2O+Fe→FeO+H2)、その際に溶銑の吸熱を行う。この結果、気体酸素によるFe酸化(Fe+1/2O2→FeO)による発熱に対し、トータルで吸熱になるか若しくは発熱量が大幅に減少する。また、上記気体吸熱物質のなかでも、製鉄所内で多量に発生する二酸化炭素や水蒸気は入手が容易である上、熱的な効果も大きいので特に好適である。また、これらのガスに窒素等が混入することにより純度が多少低くても、脱燐処理は最終製鋼段階(=脱炭処理)ではないため特に問題はない。また、供給された二酸化炭素や水蒸気が還元して生成するCOやH2は脱燐処理時の排ガスの一部として回収され、排ガスカロリーを高める効果もある。
【0022】
また、吸熱物質として用いることができる固体としては、金属の炭酸塩、金属の水酸化物、特に好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。これらの固体吸熱物質は、溶銑浴面に供給されることにより主として熱分解反応を生じ、その際に溶銑の吸熱を行うとともに、熱分解によりCO2又はH2Oを生成し、このCO2又はH2Oが上述したように吸熱物質としてさらに機能するため、特に高い吸熱効果が得られる。このような金属の炭酸塩としては、CaCO3、CaMg(CO3)2、MgCO3、NaCO3、FeCO3、MnCO3、NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)などが挙げられ、また金属の水酸化物としてはCa(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、Al(OH)3 Fe(OH)2、Mn(OH)n、Ni(OH)nなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
【0023】
また、これら固体吸熱物質のなかでもCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2は、入手が容易であるだけでなく、上記熱分解によりCaOが生成し、このCaOが精錬剤として機能するという大きな利点があるので特に好ましい。通常、これらの固体吸熱物質は未焼成又は半焼成の石灰石、ドロマイトの形で添加される。
なお、固体吸熱物質は、その粒度が大きすぎると熱分解等が迅速に進行しないため、平均粒径5mm以下の粉粒物であることが好ましい。
本発明では、以上述べたような気体吸熱物質と固体吸熱物質を併用してもよく、また固体吸熱物質を溶銑浴面に供給する際のキャリアガスの一部又は全部として気体吸熱物質を用いてもよい。
【0024】
吸熱物質(気体又は/及び固体)の添加方法に特別な制限はなく、上吹き送酸ランスや他のランスによる溶銑浴面への吹き付け、上置き装入(固体吸熱物質の場合のシュータなどを利用した装入)などで添加することができるが、吸熱物質を気体酸素が供給された溶銑浴面領域(特に好ましくは“火点”)に確実に供給して先に述べたような効果を得るためには、ランスにより溶銑浴面に供給すること、特に上吹き送酸ランスにより溶銑浴面に供給することが好ましい。
【0025】
また、吸熱物質を上吹き送酸ランスにより溶銑浴面に供給する場合、▲1▼吸熱物質を気体酸素と混合して(固体吸熱物質の場合、気体酸素をキャリアガスとして)、同じランス孔から溶銑浴面に供給する方法、▲2▼吸熱物質と気体酸素を別々のガス供給ラインを通じてランス内に供給して別々のランス孔から溶銑浴面に供給する方法(固体吸熱物質の場合は、吸熱物質の供給には気体酸素以外のキャリアガスが用いられる)、のいずれでもよい。
【0026】
吸熱物質を気体酸素が供給された溶銑浴面領域に確実に供給するという観点からは上記▲1▼の方法がより好ましいが、上記▲2▼の方法でも所定のランス孔を通じて供給された吸熱物質を、他のランス孔を通じて気体酸素が供給された溶銑浴面領域に供給することができる。具体的には、例えば上吹き送酸ランス先端の中央ランス孔から気体吸熱物質を供給し或いは気体酸素以外のガスをキャリアガスとして吸熱物質を供給し、この中央ランス孔の周囲の他のランス孔から気体酸素を供給するなどの形態が好ましい。キャリアガスとしてはN2やAr等の不活性ガスが好適であり、また、後述するように気体吸熱物質(例えばCO2)をキャリアガスとして用いてもよい。
【0027】
また、上記▲1▼の方法では、複数のランス孔のうち、一部のランス孔からは気体酸素のみを、また他のランス孔からは吸熱物質(場合により、さらにCaO系精錬剤)を混合した気体酸素を、それぞれ溶銑浴面に供給することもできる。
さらに、上記▲1▼、▲2▼のいずれの方法においても、気体酸素又は気体酸素以外のキャリアガス若しくは気体吸熱物質にCaO系精錬剤を単独で又は吸熱物質(気体又は/及び固体)とともに混合して溶銑浴面に供給することもできる。
【0028】
吸熱物質(気体又は/及び固体)又は吸熱物質とCaO系精錬剤を気体酸素と混合した状態で上吹き送酸ランスを通じて溶銑浴面に供給するには、例えば、上吹き送酸ランスの酸素供給ライン(ヘッダー、配管、ランス内の気体酸素流路等)の一部又は全部に吸熱物質を供給し、気体酸素と混合すればよい。
また、吸熱物質(気体又は/及び固体)又は吸熱物質とCaO系精錬剤は、上吹き送酸ランス以外の他の供給手段(例えば、他のランス)を用いて溶銑浴面に供給してもよい。上吹き送酸ランス以外のランスとしては、上吹き送酸ランスと同様に炉内の所定位置に粉粒体を供給できるものであればよく、通常、サンプリングや測温などに用いているサブランス等も炉内での冷却能が問題なければ使用できる。また、シューターや流し込み装置などの上置き投入装置でも、高温での耐用性や投入位置の精度などが問題なければ使用してよい。
【0029】
また、上述したように気体酸素が供給される溶銑浴面領域(特に好ましくは、上述した“火点”の領域)にCaO系精錬剤を気体酸素や他のキャリアガスを用いて吹き付け(投射する)、且つこの領域に吸熱物質を直接供給することにより、脱燐反応を最も効果的に促進させることができる。この場合は、上吹き送酸ランスのランス孔から気体酸素とCaO系精錬剤と吸熱物質(気体又は/及び固体)を混合した状態で溶銑浴面に吹き付ける方法を採ることができるが、それ以外にも、例えば上吹き送酸ランスの複数のランス孔のうち、一部のランス孔から気体酸素のみを、また、他のランス孔から、必要に応じて気体酸素又は気体酸素以外のガス(例えば、窒素やArなどの不活性ガス)をキャリアガスとして、CaO系精錬剤と吸熱物質(気体又は/及び固体)を、それぞれ溶銑浴面に供給することもできる。また、この場合には、ランス先端の中央に主ランス孔を、その周囲に複数の副ランス孔を有する上吹き送酸ランスを用い、副ランス孔から気体酸素を、主ランス孔から、必要に応じて気体酸素又は上述した気体酸素以外のガスをキャリアガスとして、CaO系精錬剤と吸熱物質(気体又は/及び固体)を、それぞれ溶銑浴面に供給することが特に好ましい。また、気体酸素の吹き付けとCaO系精錬剤及び吸熱物質の吹き付けを、異なる上吹きランスを用いて行ってもよい。但し、いずれの場合にも、上述したようにCaO系精錬剤を最も効率的に滓化させるには、CaO系精錬剤と吸熱物質(気体又は/及び固体)は気体酸素とともに溶銑浴面に吹き付けられることが特に望ましい。
【0030】
本発明において使用する気体酸素は、純酸素ガス、酸素含有ガスのいずれでもよい。 また、本発明において溶銑保持容器内に添加される酸素源としては、気体酸素以外に酸化鉄(例えば、焼結粉、ミルスケール)等の固体酸素源を用いることができ、これらを上置き装入や浴中へのインジェクション等の任意の方法で添加することができる。但し、上述したような溶銑浴面への気体酸素の供給(吹き付け)による効率的な溶銑脱燐を行うためには、溶銑保持容器内に添加される酸素源の50%以上、好ましくは70%以上(気体酸素換算量)が気体酸素であることが好ましい。
なお、気体酸素の一部は溶銑浴面への吹き付け以外の方法、例えば溶銑浴中へのインジェクションや底吹き等の方法で浴中に供給してもよい。
【0031】
また、気体酸素とCaO系精錬剤の供給に関して最も好ましい形態は、上述したように上吹き送酸ランスを用いて浴面上方から送酸を行う際に、気体酸素が供給される溶銑浴面領域(好ましくは、上述した“火点”の領域)にCaO系精錬剤を気体酸素や他のキャリアガスを用いて吹き付ける(投射する)形態であり、このため溶銑保持容器内に添加されるCaO系精錬剤或いは固体吸熱物質としてCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上を供給する場合はこれらとCaO系精錬剤の合計量のうちの50mass%以上を気体酸素が供給される溶銑浴面領域(好ましくは、上述した“火点”の領域)に供給すること、特に望ましくは上吹き送酸ランスを用いて気体酸素とともに溶銑浴面に供給することが好ましい。
【0032】
先に述べたように精錬剤としては、通常、石灰などのCaO系精錬剤(CaOを主体とした精錬剤)を用いる。また、上吹きランスを通じて溶銑浴面に吹き付ける精錬剤は粉体を用いる。
また、CaO系精錬剤は、上吹き送酸ランスによる溶銑浴面への吹き付け以外に、一部を上置き装入や浴中へのインジェクションなどにより添加してもよいが、その場合でも、これらの方法により添加する精錬剤の量は精錬剤全体の20mass%以下とすることが望ましい。上吹き送酸ランスによる溶銑浴面への吹き付け以外の方法で添加されるCaO系精錬剤の割合が全体の20mass%を超えると、CaO系精錬剤を気体酸素とともに溶銑浴面に吹き付けることによる脱燐反応促進の効果が低下する傾向がある。
【0033】
図1(a)〜(e)は、上吹き送酸ランスを用いた気体酸素、CaO系精錬剤及び吸熱物質の溶銑浴面への供給形態の幾つかの例を示している。このうち、図1(a)は、気体酸素とCaO系精錬剤と吸熱物質(気体又は/及び固体)を混合してランス孔から供給する(溶銑浴面に吹き付ける)形態、図1(b)は、一部のランス孔から気体酸素とCaO系精錬剤を、他のランス孔から気体酸素と吸熱物質(気体又は/及び固体)を、それぞれ供給する(溶銑浴面に吹き付ける)形態、図1(c)は、一部のランス孔から気体酸素以外のキャリアガスとCaO系精錬剤を、他のランス孔から気体酸素と吸熱物質(気体又は/及び固体)を、それぞれ供給する(溶銑浴面に吹き付ける)形態、図1(d)は、一部のランス孔から気体吸熱物質とCaO系精錬剤を、他のランス孔から気体酸素と吸熱物質(気体又は/及び固体)を、それぞれ供給する(溶銑浴面に吹き付ける)形態、図1(e)は、一部のランス孔から気体酸素とCaO系精錬剤を、他のランス孔から気体吸熱物質又は気体吸熱物質と固体吸熱物質を、それぞれ供給する(溶銑浴面に吹き付ける)形態である。但し、気体酸素、CaO系精錬剤及び吸熱物質の溶銑浴面への供給形態はこれらに限定されない。
【0034】
上述したように固体吸熱物質のなかでもCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2は熱分解によりCaOが生成し、このCaOが精錬剤として機能するものであり、したがって、本発明ではCaO系精錬剤(主として生石灰)の一部又は全部に代えて上記固体吸熱物質を供給し、この物質から生成するCaOを実質的な精錬剤として脱燐処理を行うこともできる。すなわち、この場合にはCaO系精錬剤の一部又は全部に代えて、気体酸素が供給される溶銑浴面領域に、精錬剤生成物質で且つ化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質として、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上(以下「精錬剤生成・吸熱物質」という)を供給するものである。
【0035】
この方法によれば、溶銑浴面に供給された上記精錬剤生成・吸熱物質が熱分解することによって溶銑の吸熱がなされるとともに、この熱分解によって精錬剤となるCaOと吸熱物質となるCO2又はH2Oとが生成し、このCO2又はH2OがFeと反応してさらなる溶銑の吸熱を行うという利点が得られるとともに、気体酸素が供給される溶銑浴面領域にCaO系精錬剤と吸熱物質をともに供給したと同様の効果が得られ、これらの結果、高い脱燐反応効率を得ることができる。
【0036】
この場合も先に述べたと同様の理由により、上記精錬剤生成・吸熱物質は気体酸素が供給される溶銑浴面領域の中でも、特に上吹き送酸ランスによる送酸により生じる“火点”と呼ばれる領域に供給することが好ましい。
上記精錬剤生成・吸熱物質は、通常、未焼成又は半焼成の石灰石、ドロマイトの形で添加される。精錬剤生成・吸熱物質は、その粒度が大きすぎると熱分解等が迅速に進行しないため、平均粒径5mm以下の粉粒物であることが好ましい。また、上記精錬剤生成・吸熱物質は、先に述べたような気体吸熱物質と併用してもよく、また精錬剤生成・吸熱物質を溶銑浴面に供給する際のキャリアガスの一部又は全部として気体吸熱物質を用いてもよい。
【0037】
精錬剤生成・吸熱物質の添加方法に特別な制限はなく、上吹き送酸ランスや他のランスによる溶銑浴面への吹き付け、上置き装入(シュータなどを利用した装入)などで添加することができるが、精錬剤生成・吸熱物質を気体酸素が供給された溶銑浴面領域(特に好ましくは“火点”)に確実に供給して先に述べたような効果を得るためには、ランスにより溶銑浴面に供給すること、特に上吹き送酸ランスにより溶銑浴面に供給することが好ましい。
【0038】
また、精錬剤生成・吸熱物質を上吹き送酸ランスにより溶銑浴面に供給する場合、▲1▼精錬剤生成・吸熱物質を気体酸素と混合して(気体酸素をキャリアガスとして)、同じランス孔から溶銑浴面に供給する方法、▲2▼精錬剤生成・吸熱物質と気体酸素を別々のガス供給ラインを通じてランス内に供給して別々のランス孔から溶銑浴面に供給する方法(精錬剤生成・吸熱物質の供給には気体酸素以外のキャリアガスが用いられる)、のいずれでもよい。
【0039】
精錬剤生成・吸熱物質を気体酸素が供給された溶銑浴面領域に確実に供給するという観点からは上記▲1▼の方法がより好ましいが、上記▲2▼の方法でも所定のランス孔を通じて供給された精錬剤生成・吸熱物質を、他のランス孔を通じて気体酸素が供給された溶銑浴面領域に供給することができる。具体的には、例えば上吹き送酸ランス先端の中央ランス孔から気体酸素以外のガスをキャリアガスとして精錬剤生成・吸熱物質を供給し、この中央ランス孔の周囲の他のランス孔から気体酸素を供給するなどの形態が好ましい。キャリアガスとしてはN2やAr等の不活性ガスが好適であり、また、後述するように気体吸熱物質(例えばCO2)をキャリアガスとして用いてもよい。
また、上記▲1▼の方法では、複数のランス孔のうち、一部のランス孔からは気体酸素のみを、また他のランス孔からは精錬剤生成・吸熱物質を混合した気体酸素を、それぞれ溶銑浴面に供給することもできる。
【0040】
精錬剤生成・吸熱物質を気体酸素と混合した状態で上吹き送酸ランスを通じて溶銑浴面に供給するには、例えば、上吹き送酸ランスの酸素供給ライン(ヘッダー、配管、ランス内の気体酸素流路等)の一部又は全部に精錬剤生成・吸熱物質を供給し、気体酸素と混合すればよい。
また、精錬剤生成・吸熱物質は、上吹き送酸ランス以外の他の供給手段(例えば、他のランス)を用いて溶銑浴面に供給してもよい。上吹き送酸ランス以外のランスとしては、上吹き送酸ランスと同様に炉内の所定位置に粉粒体を供給できるものであればよく、通常、サンプリングや測温などに用いているサブランス等も炉内での冷却能が問題なければ使用できる。また、シューターや流し込み装置などの上置き投入装置でも、高温での耐用性や投入位置の精度などが問題なければ使用してよい。
【0041】
使用する気体酸素は、純酸素ガス、酸素含有ガスのいずれでもよい。また、溶銑保持容器内に添加される酸素源としては、気体酸素以外に酸化鉄(例えば、焼結粉、ミルスケール)等の固体酸素源を用いることができ、これらを上置き装入や浴中へのインジェクション等の任意の方法で添加することができる。但し、上述したような溶銑浴面への気体酸素の供給(吹き付け)による効率的な溶銑脱燐を行うためには、溶銑保持容器内に添加される酸素源の50%以上、好ましくは70%以上(気体酸素換算量)が気体酸素であることが好ましい。
なお、気体酸素の一部は溶銑浴面への吹き付け以外の方法、例えば溶銑浴中へのインジェクションや底吹き等の方法で浴中に供給してもよい。
【0042】
また、上述したと同様の理由から、溶銑保持容器内に添加されるCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上の合計量のうちの50mass%以上を気体酸素が供給される溶銑浴面領域(好ましくは、上述した“火点”の領域)に供給すること、特に望ましくは上吹き送酸ランスを用いて気体酸素とともに溶銑浴面に供給することが好ましい。
【0043】
以上述べたような本発明の種々の形態の脱燐処理において、脱燐反応効率をさらに向上させるためには溶銑をガス撹拌することが好ましい。このガス撹拌は、例えばインジェクションランスや底吹きノズルなどを通じて窒素やArなどの不活性ガスを溶銑中に吹き込むことにより行われる。このような撹拌ガスの供給量としては、十分な浴撹拌性を得るために0.02Nm3/min/溶銑ton以上とし、また、浴の撹拌が強すぎると生成したFeOを溶銑中のCが還元する速度が大きくなり過ぎるためのため0.3Nm3/min/溶銑ton以下とすることが好ましい。
本発明法が実施される容器としては、フリーボードが十分に確保できるという点から転炉型容器が最も好ましいが、例えば、溶銑鍋やトーピードなどの任意の容器を用いることができる。
【0044】
溶銑の脱燐は、基本的には溶湯中の燐を酸化させ、これにより生成した酸性酸化物を塩基性の精錬剤(CaO系精錬剤)で固定することによりなされる。このような脱燐反応を効率的に生じさせるためには、供給される酸素源(気体酸素、固体酸素源)によりスラグの高い酸素ポテンシャルが維持されるとともに、生成した燐酸を安定化させることができる塩基度の高いスラグ(=脱燐能が高いスラグ)を生成させることが好ましい。特に後者については、CaO系精錬剤の投入量で制御することになるが、生成する珪酸量が少ない方が少ないCaO系精錬剤で高い塩基度を確保することができ、またスラグ発生量も少なくすることができる。ここで、生成する珪酸量を少なくするには、脱燐処理される溶銑中の珪素濃度を低減させておくことが必要であり、具体的には、脱燐処理される溶銑の珪素濃度は0.2mass%以下、望ましくは0.1mass%以下とする。
【0045】
溶銑は高炉等の溶銑製造設備から供給されるが、製造される溶銑の珪素濃度を低める方法としては、溶銑製造用の原料の予備処理等で珪酸分の全装入量を低減したり、高炉等の炉内での珪酸還元反応を抑制するための低温操業やコークスの偏在装入などの方法が有効である。したがって、高炉等で製造された溶銑の珪素濃度が0.2mass%以下、望ましくは0.1mass%以下の場合には、これら溶銑に対して下記のような脱珪処理を施すことなく、脱燐処理してもよい。
【0046】
一方、高炉等で製造された溶銑の珪素濃度が上記珪素濃度のレベルよりも高い場合には、脱燐処理に先立ち高炉鋳床や溶銑鍋などで脱珪処理を実施し、脱燐処理前の溶銑中Si濃度を0.2mass%以下、望ましくは0.1mass%以下とした上で脱燐処理を行う。
通常、溶銑の脱珪処理は固体酸素源や気体酸素を溶銑に添加することにより行われ、例えば、焼結粉やミルスケール等の固体酸素源を溶銑浴面への上置き装入や浴中への吹き込みにより添加し、或いは気体酸素を溶銑浴面への吹き付けや浴中への吹き込みにより添加する方法が採られる。
【0047】
また溶銑の脱珪処理は高炉鋳床や溶銑鍋以外に、例えば高炉鋳床から溶銑鍋などの搬送容器への溶銑流に対して酸素源を添加することにより行うこともできる。また、脱珪効率を高めるために容器内の溶銑中に撹拌ガスを吹き込んだり、焼石灰などのCaO源を添加してスラグの塩基度を調整することにより脱珪スラグ中の酸化鉄を極力低減させ、還元効率を高めるようにすることもできる。
溶銑の脱珪処理を経て脱燐処理を行う場合には、事前に脱硅スラグなどのスラグを排滓し、珪酸分の混入を極力抑制することが、効率的な脱燐処理を行う上で好ましい。このため脱燐処理前に機械式排滓装置や手作業により、溶銑からスラグを分離した後、脱燐処理を行う。
【0048】
従来の脱燐処理では、CaO系精錬剤の滓化を促進させるためにCaF2(ホタル石)を添加することが事実上必須であったが、近年Fが環境に及ぼす影響を考慮し、鋼の精錬においてもCaF2の使用を抑えることが要請されつつある。この点、本発明法はCaF2を実質的に添加しない(すなわち、精錬剤中に不可避的不純物として含まれる以外のCaF2を添加しない)若しくは少量のCaF2を添加するだけで高い脱燐効率が得られる。したがって、CaOの滓化を促進するためにCaF2を添加する場合でも、その添加量は2kg/溶銑ton以下、好ましくは1kg/溶銑ton以下とすることが望ましい。
【0049】
脱燐反応は溶銑温度が低い方が有利であり、効率的な処理を行うことができるが、一方において、脱燐処理後の溶銑温度が低いと次工程での熱余裕の面で問題を生じる。この点、本発明法によれば脱燐処理温度が高目でも高い脱燐反応効率が得られるため、低位安定した処理後燐濃度を確保しつつ、脱燐処理終了時の溶銑温度を従来技術では難しかった1350℃以上とすることができ、また、さらに高温の1400℃以上とすることも可能であり、このため次工程での熱余裕を十分を確保することができる。
【0050】
【実施例】
[実施例1]
高炉から出銑された珪素濃度が0.22〜0.35mass%の溶銑(150トン)を鋳床で脱珪処理した後、これを溶銑鍋に受銑してこの溶銑鍋内で脱珪処理し、次いで転炉を用いて脱燐処理した。鋳床での脱珪処理では、焼結鉱粉を上置き投入により添加して溶銑と反応させた。また、溶銑鍋での脱珪処理では、浸漬ランスから溶銑中に0.02Nm3/min/溶銑tonの撹拌ガスを吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、上吹き送酸ランスから0.2Nm3/min/溶銑tonの気体酸素を吹き付けて脱珪を行った。脱珪処理後の溶銑の珪素濃度は0.05〜0.20mass%であった。脱珪処理終了後、排滓してから脱燐処理に供するための300トン転炉に溶銑を装入した。
【0051】
脱燐処理では、転炉の炉底部からの約0.1Nm3/min/溶銑tonの撹拌ガス(窒素)を吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、上吹き送酸ランスを用いて浴面上方から酸素ガスと石灰粉(CaO系精錬剤)、さらに一部の比較例を除き気体吸熱物質を溶銑浴面に供給した。なお、石灰の滓化促進効果が期待できる蛍石(CaF2)は添加しなかった。
【0052】
上吹き送酸ランスは、ランス孔として1つ中心孔と3つの周囲孔を有するものを用いた。
石灰粉は粒径3mm以下に粉砕調整されたものを用い、これを切り出し装置から酸素ガスをキャリアガスとして切り出し、配管内を搬送して上吹き送酸ランスに供給し、中心孔から酸素ガスとともに溶銑浴面に供給されるようにした。一方、別の配管ラインを通じて酸素ガスを上吹き送酸ランスに供給し、周囲孔から溶銑浴面に供給されるようにした。トータルの送酸量は1.5Nm3/min/溶銑tonとした。
【0053】
上記両方の酸素ガスラインにはそれぞれ所定濃度になるように気体吸熱物質を添加した。この気体吸熱物質としては二酸化炭素と水蒸気を用い、酸素ガスに対する混合比を10〜40体積%(酸素ガス100に対する外数)とした。脱燐処理前後の溶銑温度は、脱燐処理開始前:1283〜1305℃、脱燐処理終了後:1310〜1327℃であった。
【0054】
溶銑成分(脱燐処理前の珪素濃度、脱燐処理前後の燐濃度)、吸熱物質の添加条件、精錬剤(石灰)使用量、脱燐時間等を表1に示す。同表に示されるように、酸素ガスが供給された溶銑浴面領域に吸熱物質(二酸化炭素、水蒸気)を供給することにより、少ない精錬剤使用量でも短時間で低燐溶銑を製造できることが判る。なお、No.11及びNo.12は、脱燐処理前の溶銑中Si濃度が高い例である。これらの実施例では、吸熱物質を添加したことによる効果は得られているが、処理時間が長く、また処理後の溶銑中燐濃度は高目である。この結果からして、脱燐処理前の溶銑中Si濃度は0.2mass%以下が好ましいことが判る。
【0055】
【表1】
【0056】
[実施例2]
高炉から出銑された珪素濃度が 0.20〜0.33mass%の溶銑(150トン)を取鍋に受銑してこの取鍋内で脱珪処理した。浸漬ランスから溶銑中に0.02Nm3/min/溶銑tonの攪拌ガスを吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、上吹き送酸ランスから0.2Nm3/min/溶銑tonの気体酸素を吹き付けて脱珪を行った。脱珪処理後の溶銑の珪素濃度は0.06〜0.16mass%であった。脱珪処理終了後、排滓し、引き続き取鍋内で脱燐処理を行った。
【0057】
この脱燐処理では、1本の浸漬ランスから溶銑中に毎分3Nm3の窒素を吹き込んで溶銑を撹拌しつつ、上吹き送酸ランスを用い浴面上方から酸素ガスと石灰粉(CaO系精錬剤)、吸熱物質を以下のような形態で供給した。なお、石灰の滓化促進効果が期待できる蛍石(CaF2)は添加しなかった。
▲1▼ 本発明例:上吹き送酸ランスで酸素ガス、石灰粉、CO2を供給する。
▲2▼ 本発明例:上吹き送酸ランスで酸素ガス、石灰粉、CaCO3(石灰石)又はCa(OH)2(消石灰)を供給する。
▲3▼ 本発明例:上吹き送酸ランスで酸素ガス、石灰粉、CO2、CaCO3(石灰石)を供給する。
▲4▼ 本発明例:上吹き送酸ランスで酸素ガス、CaCO3(石灰石)又はCa(OH)2(消石灰)を供給する。
▲5▼ 比較例:上吹き送酸ランスで酸素ガス、石灰粉を供給する。
【0058】
石灰粉、CaCO3(石灰石)、Ca(OH)2は粒径1mm以下に粉砕調整されたものを用い、これらを切り出し装置から酸素ガスをキャリアガスとして切り出して配管内を搬送するとともに、上吹き送酸ランス入口で他の配管を通じて供給された酸素ガスと合流させ、上吹き送酸ランス先端の3つのランス孔から酸素ガス噴流とともに浴面に供給した。トータルの送酸量は毎時6000Nm3とした。
CO2については、酸素ガスに対する混合比を25体積%(酸素ガス100に対する外数)とした。また、石灰粉、CaCO3(石灰石)、Ca(OH)2はCaO換算量で毎分70〜80kgとなるよう添加した。脱燐処理前後の溶銑温度は、脱燐処理前が1280〜1310℃、脱燐処理後が1305〜1325℃であった。
【0059】
溶銑成分(脱燐処理前の珪素濃度、脱燐処理前後の燐濃度)、吸熱物質の添加条件、精錬剤(石灰)使用量、脱燐時間等を表2に示す。同表に示されるように、酸素ガスが供給された溶銑浴面領域に吸熱物質(二酸化炭素、CaCO3、Ca(OH)2)を供給することにより、少ない精錬剤使用量でも短時間で低燐溶銑を製造できることが判る。
【0060】
【表2】
【0061】
[実施例3]
実施例2と同様のプロセスを用い、取鍋での脱燐処理後の溶銑温度を上昇させた場合について、吸熱物質添加の効果を調べた。取鍋での脱燐条件は、浸漬ランスによる溶銑の撹拌条件、上吹き送酸ランスによる酸素ガス、石灰粉(CaO系精錬剤)の供給条件ともに実施例2と同様とした。
本発明例では吸熱物質としてCaCO3(石灰石)を2kg/溶銑ton添加し、一方、比較例では吸熱物質は添加しなかった。また、一部の実施例については、精錬剤の一部として蛍石(CaF2)を1kg/溶銑ton添加した。
【0062】
溶銑成分(脱燐処理前の珪素濃度、脱燐処理前後の燐濃度)、吸熱物質の添加条件、精錬剤(石灰)使用量、脱燐時間等を表3に示す。
同表に示されるように、本発明例では脱燐終了後の溶銑温度が高くても短時間で低燐溶銑を製造できることが判る。このように溶銑温度を高めた溶銑を次工程に供給することができることは、次工程での熱余裕を増加させ、鉄鉱石やマンガン鉱石の使用の自由度が拡がるばかりでなく、スクラップなどの鉄源の使用量を増大することも可能となり、歩留の向上や環境対策上も効果的である。
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の低燐溶銑の製造方法によれば、気体酸素の溶銑浴面への供給により精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素が供給される溶銑浴面領域での酸化反応による高温場の形成を効果的に抑制することができ、これによりに高い脱燐反応効率を得ることができる。このため少ない精錬剤使用量で且つ短時間に低燐溶銑を製造することができ、精錬処理の効率化、低燐溶銑の製造コストの低減化、発生スラグ量の削減等を図ることができる。また、CaF2の添加量を従来に較べて大幅に削減し或いはCaF2を添加することなく、効率的な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図
Claims (17)
- 溶銑を保持した容器内に酸素源とCaO源である精錬剤を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、
珪素濃度が0.2mass%以下の溶銑に脱燐処理を施し、該脱燐処理では、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素を供給するとともに、溶銑浴面の火点に化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質(但し、生石灰に含まれる物質を除く)を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。 - 精錬剤を溶銑浴面の少なくとも火点に供給することを特徴とする請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物、金属の炭酸塩、金属の水酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、熱分解によりCO2又はH2Oを発生する金属の炭酸塩、熱分解によりCO2又はH2Oを発生する金属の水酸化物の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質が、平均粒径5mm以下の粉粒物であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 上吹き送酸ランスを用いて溶銑浴面に気体酸素を供給するとともに、前記上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に、化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に精錬剤を供給することを特徴とする請求項7に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 溶銑を保持した容器内に添加される精錬剤(但し、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上が添加される場合はこれを含む。)の50mass%以上を溶銑浴面の火点に供給することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 溶銑を保持した容器内に酸素源と精錬作用を有する物質を添加して、溶銑予備処理である脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、
珪素濃度が0.2mass%以下の溶銑に脱燐処理を施し、該脱燐処理では、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素を供給するとともに、溶銑浴面の火点に、CaO源である精錬剤の一部又は全部に代えて、精錬剤生成物質で且つ化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質として、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2 (但し、生石灰に含まれるCaCO 3 、Ca(OH) 2 、CaMg(CO 3 ) 2 を除く)の中から選ばれる1種以上を供給することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。 - CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上が、平均粒径5mm以下の粉粒物であることを特徴とする請求項10に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 上吹き送酸ランスを用いて溶銑浴面に気体酸素を供給するとともに、前記上吹き送酸ランスの酸素供給ラインの一部又は全部に、CaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上を供給することを特徴とする請求項10又は11に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 溶銑を保持した容器内に添加されるCaCO3、Ca(OH)2、CaMg(CO3)2の中から選ばれる1種以上の合計量の50mass%以上を、溶銑浴面の火点に供給することを特徴とする請求項10、11又は12に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 溶銑を保持した容器内に添加される酸素源の50%以上(但し、気体酸素換算量)が気体酸素であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 精錬剤がCaF2を実質的に含まないか若しくは精錬剤中に含まれるCaF2量が2kg/溶銑ton以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 脱燐処理終了時の溶銑温度が1350℃以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15に記載の低燐溶銑の製造方法。
- 化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質(但し、精錬剤生成物質で且つ化学反応又は/及び熱分解反応により溶銑の熱を吸熱する物質を供給する場合には、これを含む。)として、固体と気体を用い、前記固体を溶銑浴面領域に供給する際のキャリアガスの一部又は全部として前記気体を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16に記載の低燐溶銑の製造方法。
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