以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の実施の一形態のチルト装置10を簡略化して示す図であって、一部を拡大して示す左側面図である。図2は、チルト装置10を構成する第1シャーシ11が第2チルト動作している状態を示す斜視図であり、図3は、第1シャーシ11が第2チルト動作している状態を示す右側面図である。チルト装置10は、たとえば電子機器である車載オーディオ装置12に設けられ、車載オーディオ装置12に設けられる可動部をチルト動作させる装置である。本実施の形態では、前記可動部は、表示体によって実現され、具体的には、車載オーディオ装置12の一表面部に設けられるパネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21が適用される。
チルト装置10は、車載オーディオ装置12の装置本体14の予め定める前方X1側の一表面部に設けられるパネルディスプレイ13、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21および第1パネルホルダ21を支持する第2パネルホルダ22を、機械駆動によって第1チルト動作可能に構成するとともに、パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を機械駆動によって第2チルト動作可能に構成する。前記第1チルト動作とは、前記一表面部に沿う基準位置から、パネルディスプレイ13、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21および第1パネルホルダ21を支持する第2パネルホルダ22の一側部が他側部よりも前方X1側に配置されるように角変位させる動作と同義である。換言すると、第1チルト動作は、前記パネルディスプレイ13を基準位置から前記パネルディスプレイ13、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21および第1パネルホルダ21を支持する第2パネルホルダ22の一方側を前方X1に変位させて前記パネルディスプレイ13を傾斜させる動作である。前記第2チルト動作とは、パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を、前記基準位置から、他側部が一側部よりも前方X1側に配置されるように角変位させる動作と同義である。換言すると、第2チルト動作は、前記パネルディスプレイ13を基準位置から前記パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21の他方側を前方X1に変位させて前記パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を傾斜させる動作である。
チルト装置10は、パネルディスプレイ13を支持する第1シャーシ11と、第1シャーシ11と協働してパネルディスプレイ13、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21および第1パネルホルダ21を支持する第2パネルホルダ22を第1チルト動作するとともに、パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を第2チルト動作する第2シャーシ15とを含んで構成される。図1に示すように、第2シャーシ15を構成するプッシュレバー16が予め定める押圧方向P1へスライド変位して、第1シャーシ11を構成する第1パネルホルダ21の押圧部17を押圧することによって、図1で実線で示す基準位置から仮想線で示すように(図2および図3も併せて参照)、第1シャーシ11の第1パネルホルダ21が第2チルト動作して、第1シャーシ11の第1パネルホルダ21の表面部が前方X1に対して下向きになるように角変位する。さらに第2シャーシ15を構成するスライダー18が前方X1へスライド変位すると、第1シャーシ11の下方側部を前方X1へスライド変位させることによって、図1で示す基準位置から、仮想線で示すように第1チルト動作して、第1シャーシ11の表面部が前方X1に対して上向きになるように角変位する。
図3を参照して、第1シャーシ11は、第2チルト動作中の予め定める配置位置で動作を中断できるように構成され、たとえば図3(a)に示すように、第1シャーシ11の第1パネルホルダ21の下方端部の回転軸線まわりの回転方向一方に15度の位置に配置され、図3(b)では10度、図3(c)では5度の位置に配置される。
図4は、車載オーディオ装置12を簡略化して示す斜視図である。図5は、車載オーディオ装置12を簡略化して示す左側面図である。車載オーディオ装置12は、略直方体状に形成される装置本体14が車両の予め定める位置に固定され、第1シャーシ11の第1パネルホルダ21は装置本体14に対して第1チルト動作するとともに第1シャーシ11は装置本体14に対して第2チルト動作する。装置本体14は、予め定める装置本体14の基準軸線(以下、単に「本体軸線」ということがある)方向に延びる略直方体状であって、本体軸線方向一方側の一表面部に、チルト装置10の一部を構成する第1シャーシ11が設けられる。第1シャーシ11は、大略板状であって、基準位置では、その厚み方向が本体軸線方向と略平行になるように設けられ、第1シャーシ11の厚み方向一方側の表面部には、パネルディスプレイ13が一体に設けられる。したがって第1シャーシ11は、パネルディスプレイ13を支持して、第1シャーシ11が動作すると一体となってパネルディスプレイ13も動作する。
以下、第1シャーシ11に関して、基準位置における第1シャーシ11の本体軸線が延びる方向を厚み方向と称することがある。第1シャーシ11の厚み方向に対して垂直な方向のうち、本体軸線に垂直な投影面に投影した場合に厚み方向表面の長辺に沿って延びる方向を長さ方向と称することがある。第1シャーシ11の厚み方向および長さ方向に対してともに垂直な方向を幅方向と称することがある。
さらに装置本体14に関して、本体軸線が延びる方向を前後方向Xと称することがある。前後方向に対して垂直な方向のうち、本体軸線に垂直な投影面に投影した場合に本体軸線表面の長辺に沿って延びる方向を左右方向Yと称することがある。第1シャーシ11の前後方向および左右方向に対してともに垂直な方向を上下方向Zと称することがある。
第1シャーシ11は、図4(b)および図5(b)示すように、装置本体14の前後方向と、第1シャーシ11の厚み方向とが略平行な位置である基準位置から第1チルト動作すると、図4(c)および図5(c)に示すように、厚み方向一方側の表面である前面が、装置本体14の上下方向一方である上方に向かうように角変位する。本実施の形態では、第1シャーシ11の厚み方向が、図4(d)および図5(d)に示すように、装置本体14の上下方向と略平行となるまで角変位可能に構成される。このような第1シャーシ11の厚み方向が前記上下方向と略平行な位置に配置された状態では、装置本体14の前方X1側の一表面部が外方に向かって開放される。この装置本体14の前方X1側の一表面部には、各種記録メディアを挿入自在な挿入部14aが形成され、一表面部が開放された状態で、操作者はこの挿入部14aにメディアを挿入することによって、車載オーディオ装置12に音楽情報および地図情報などの各種情報を与えて、該車載オーディオ装置12を操作者は好適に用いることができる。
第1シャーシ11は、図4(b)および図5(b)に示す基準位置から第2チルト動作すると、図4(a)および図5(a)に示すように、車載装置本体14の上下方向他方である下方に、前面が向かうように角変位する。このような第2チルト動作している状態では、第1シャーシ11に設けられるカバー19(後述する)によって、装置本体14と第1シャーシ11との間が覆われ、ほこりなどの異物の侵入が防がれる。
次にチルト装置10の各部の構成に関して説明する。チルト装置10は、前記第1シャーシ11と、前記第2シャーシ15と、第1および第2シャーシ15を駆動する駆動機構体20(図34参照)とを含んで構成される。先ず、第1シャーシ11に関して説明し、次に第2シャーシ15および駆動機構体20に関して説明する。
図6は、第1シャーシ11を背面から示す斜視図である。図7は、第1シャーシ11を示す正面図である。図8は、第1シャーシ11を示す右側面図である。図9は、第1シャーシ11を示す背面図である。図10は、第1シャーシ11を示す左側面図である。図11は、第1シャーシ11を示す底面図である。図12は、第1シャーシ11を示す平面図である。図2および図3も参照して、第1シャーシ11は、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21と、第1パネルホルダ21の一側部を角変位可能に支持する第2パネルホルダ22と、第1および第2パネルホルダ21,22との間を覆うカバー19と、カバー19に設けられたカバー案内ピン38を案内するカバーガイド23と、第1パネルホルダ21にばね力を与える第2チルト復帰ばね24とを含んで構成される。
第2チルト復帰ばね24は、その一端部が第1パネルホルダ21に連結され、他端部が第2パネルホルダ22に連結され、第2パネルホルダ22に対し第1パネルホルダ21が相対的に近接する第2方向にばね力を与える。したがって第1シャーシ11は、なんら外力が与えられていない定常状態では、第2チルト復帰ばね24のばね力によって、第1パネルホルダ21が第2パネルホルダ22に沿う閉位置に配置される。
第1パネルホルダ21は、第2パネルホルダ22に沿って配置される図6に示す閉位置と、第2パネルホルダ22から離間する図2に示す開位置とにわたって角変位可能である。前記閉位置は、第1および第2パネルホルダ21,22の各一側部が近接するとともに、第1および第2パネルホルダ21,22の各他側部が近接している状態である。前記開位置は、第1および第2パネルホルダ21,22の各一側部の回転軸線まわりに、第1パネルホルダ21の他側部が第2パネルホルダ22の他側部に対して離反する方向に変位し、第1パネルホルダ21が第2パネルホルダに対して角変位した状態である。
カバー19は、パネルディスプレイ13の他側部側である幅方向他方側で、第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22との間を覆い、具体的には、第1パネルホルダ21が閉位置にある場合、第2パネルホルダ22の一表面部に沿って配置されて収納され(図6参照)、第1パネルホルダ21が開位置にある場合、第1パネルホルダ21の他側部側で、第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22との間を覆うように繰出される。カバー19は、第1パネルホルダ21の角変位動作に連動して、前述の繰出および収納動作する(図2および図3参照)。
次に第1パネルホルダ21に関して説明し、順次、第2パネルホルダ22、そしてカバー19に関して説明する。図13は、第1パネルホルダ21を背面から見て示す斜視図である。図14は、第1パネルホルダ21を示す正面図である。図15は、第1パネルホルダ21を示す右側面図である。図16は、第1パネルホルダ21を示す背面図である。図17は、第1パネルホルダ21を示す左側面図である。図18は、第1パネルホルダ21を示す平面図である。図19は、第1パネルホルダ21を示す底面図である。第1パネルホルダ21は、大略的に枠体状に形成され、その厚み方向に垂直な平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。第1パネルホルダ21は、第1パネル底面部25、第1パネル短辺壁部26および第1パネル長辺壁部27を含んで構成される。第1パネル底面部25は、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向と、長辺が延びる長辺方向とを含む仮想平面と略平行に設けられる。第1パネル短辺壁部26は、第1パネル底面部25の長辺方向両端部にそれぞれ一体に連結され厚み方向一方に延びる。第1パネル長辺壁部27は、第1パネル底面部25の短辺方向両端部にそれぞれ一体に連結され厚み方向一方に延びる。
第1パネルホルダ21は、短辺方向一側部側であって長辺方向の両端部側に設けられた第1係合部102が第2パネルホルダ22に設けられた第1係合部材103と係合することによって、第2パネルホルダ22に対し第1係合部材103を支点として、角変位可能に支持される。また、短辺方向他側部側であって長辺方向の両端部側に設けられた第2係合部101とカバー部材19とが第2係合部材104によって係合する。したがって第1パネルホルダ21は、短辺方向一側部側の長辺方向に延びる回転軸線まわりに角変位可能であり、角変位することによって、短辺方向他側部側が第2パネルホルダ22に対して近接、および離反可能に構成される。
第1パネルホルダ21の短辺方向の中央部付近であって、第1パネル短辺壁部26の長辺方向外方部の押圧部取付孔100に押圧部17が取り付けられる。該押圧部17は、第2シャーシ15を構成するプッシュレバー16(図1参照)がスライド変位することによって押圧される。押圧部17は、厚み方向他方に突出する突出部分17a、および、第2パネルホルダ22を案内する案内部分17bを有する(図6参照)。押圧部17は、摩擦抵抗の小さい材料であってたとえば合成樹脂から成り、第2チルト動作する場合に異音の発生が抑制される。少なくとも突出部分17aおよび案内部分17bに摩擦抵抗の低減を図り得るコーティング膜、固体性潤滑膜などを被膜する形態であってもよい。この場合にも、本実施形態と同様の効果を奏する。
次に、第2パネルホルダ22に関して説明する。図20は、第2パネルホルダ22を背面から見て示す斜視図である。図21は、第2パネルホルダ22を示す正面図である。図22は、第2パネルホルダ22を示す背面図である。図23は、第2パネルホルダ22を示す右側面図である。図24は、第2パネルホルダ22を示す左側面図である。図25は、第2パネルホルダ22を示す平面図である。図26は、第2パネルホルダ22を示す底面図である。第2パネルホルダ22は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面に投影した投影形状が略長方形状に形成され、厚み方向および長手方向に平行な仮想平面に投影した投影形状が略U字状に形成される。
第2パネルホルダ22は、第2パネル底面部28と、第2パネル短辺壁部29とを含んで構成される。第2パネル底面部28は、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向と、長辺が延びる長辺方向とを含む仮想平面に略平行に設けられる。第2パネル短辺壁部29は、第2パネル底面部28の長辺方向両端部にそれぞれ連結され厚み方向一方に延びる。第2パネルホルダ22は、短辺方向一側部側であって、長辺方向の両端部側の第3係合部105に第1係合部材103が取り付けられ、第1係合部材103が、第1パネルホルダ21の第1係合部102と係合することにより、第1パネルホルダ21は第2パネルホルダ22に対して、第1係合部材103を支点として角変位可能に支持される。したがって第2パネルホルダ22は、短辺方向一側部側の長辺方向に延びる回転軸線まわりに角変位可能であり、角変位することによって、短辺方向他側部側が第1パネルホルダ21に対して相対的に近接、および離反可能に構成される。
第2パネルホルダ22は、その短辺方向の寸法が、第1パネルホルダ21の短辺方向の寸法よりも小さく形成され、第2パネルホルダ22を第1パネルホルダ21に装着した状態では、第2パネルホルダ22の短辺方向他端部側にカバー19を収納可能なカバー収納空間30を形成する。したがって第1パネルホルダ21が閉位置にある場合、カバー19はカバー収納空間30に第2パネルホルダ22の主に第2パネル底面部28に沿って収納される。
第2パネル短辺壁部29において、その短辺方向の中央部付近には、スライド変位するプッシュレバー16の先端部が挿通可能なプッシュレバー孔31が形成される。第1パネルホルダ21に設けられる押圧部17の突出部分17aが、このプッシュレバー孔31に挿通可能になっている。第1および第2パネルホルダ21,22が閉位置にある場合には、押圧部17の突出部分17aが第2パネルホルダ22の厚み方向他方に突出するように突出部分17aの突出寸法が設定される。
第2パネル短辺壁部29には、短辺方向他側部であって、長辺方向の両端部側に、長辺方向外方に突出する第1シャーシ案内ピン32が取り付けられる第1取付部106を有する。第1シャーシ案内ピン32は、装置本体14に設けられた装置本体14の上下方向に延びる第1シャーシ案内溝33に挿通可能に構成され、該シャーシ案内溝に沿ってスライド変位可能に案内される。
さらに第2パネル短辺壁部29には、短辺方向一側部であって、長辺方向の両端部側に、長辺方向外方に突出するスライダー案内ピン34取り付けられる第2取付部107を有する。これらスライダー案内ピン34は、第2シャーシ15(図1参照)を構成するスライダー18の先端部に角変位可能に支持される。
第2パネル短辺壁部29には、短辺方向中央部付近であって長辺方向内方に突出する第1パネル案内ピン35が取り付けられる第3取付部108を有する。第1パネル案内ピン35は、第2パネルホルダ22が第1パネルホルダ21に装着された状態では、押圧部17が有する案内部分17bに嵌合して、該案内部分17bによって第1パネルホルダ21を開位置から閉位置にわたって案内する。
第2パネル短辺壁部29には、短辺方向他側部であって、長辺方向の両端部側に、カバーガイド23が取り付けられる第4取付部109を有する。長辺方向に貫通するカバーガイド23が設けられる。第4取付部109には、長辺方向に貫通し、カバー19に設けられたカバー案内ピン38が挿通可能な溝23bを有する。長辺方向に貫通するカバーガイド23が設けられる。カバーガイド23は、第2パネルホルダ22に沿う収納位置から、繰出されている繰出位置とにわたって、カバー19に設けられたカバー案内ピン38を案内する。カバーガイド23は、摩擦抵抗の小さい材料であってたとえば合成樹脂から成り、第2チルト動作する場合に異音の発生が抑制される。少なくともカバーガイド23のガイド溝23aに沿って、摩擦抵抗の低減を図り得るコーティング膜、固体性潤滑膜などを被膜する形態であってもよい。この場合にも、本実施形態と同様の効果を奏する。第2パネル短辺壁部29の短辺方向中央部から他側部寄りの位置に第2チルト復帰ばね24の他端部が連結される。
次に、カバー19に関して説明する。図27は、カバー19を示す斜視図である。図28は、カバー19を示す正面図である。図29は、カバー19を示す背面図である。図30は、カバー19を示す右側面図である。図31は、カバー19を示す左側面図である。図32は、カバー19を示す平面図である。カバー19は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面に投影した投影形状が略長方形状に形成され、厚み方向および長手方向に平行な仮想平面に投影した投影形状が略U字状に形成される。カバー19は、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向と、長辺が延びる長辺方向とを含む仮想平面に略平行なカバー底面部36、および、カバー底面部36の長辺方向両端部に連結され厚み方向一方に延びるカバー短辺壁部37を含んで構成される。カバー19は、短辺方向他側部であって、長辺方向の両端部側に第1パネルホルダ21を支持する第2係合部材104が取り付けられる第5取付部110を有する。第2係合部材104は、カバー19を第1パネルホルダ21に対して角変位可能に支持する。したがってカバー19は、第1パネルホルダ21に対して、短辺方向他側部の長辺方向に延びる回転軸線まわりに角変位可能であり、角変位することによって、収納位置から繰出位置にわたって配置される。
カバー短辺壁部37には、短辺方向一側部であって、長辺方向の両端部側に、長辺方向外方に突出するカバー案内ピン38取り付けられる第6取付部111を有する。カバー案内ピン38は、その装着状態において、第2パネル短辺壁部29に取り付けられるカバーガイド23のガイド溝23a及び第2パネル短辺壁部29に設けられた溝23bに挿通可能に構成され、カバーガイド23に形成されるガイド溝23aに沿って案内される。またカバー19は、剛性強度の高い部材たとえばステンレス鋼板から成る。
次に第2シャーシ15および駆動機構体20に関して説明する。図33は、第2シャーシ15を示す左側面図である。図34は、第2シャーシ15および駆動機構体20を簡略化して示す平面図である。第2シャーシ15は、駆動機構体20からの駆動力によって第1パネルホルダ21を角変位させるユニット39、駆動機構体20からの駆動力によって第1シャーシ21を角変位させるスライダー18、各部が収納されるボトムケース40を含んで構成される。
先ず、ボトムケース40に関して説明し、順次、駆動機構体20、およびユニット39に関して説明する。図35は、ボトムケース40を示す平面図である。図36は、ボトムケース40を示す右側面図である。図37は、ボトムケース40を示す背面図である。ボトムケース40は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面に投影した投影形状が略長方形状に形成され、厚み方向および長辺方向に平行な仮想平面に投影した投影形状が略U字状に形成される。ボトムケース40は、ボトムケース底面部41およびボトムケース壁部42を含んで構成される。ボトムケース底面部41は、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向と、長辺が延びる長辺方向とを含む仮想平面に略平行に設けられる。ボトムケース壁部42は、ボトムケース底面部41の長辺方向両端部にそれぞれ連結され厚み方向一方に延びる。
ボトムケース底面部41の厚み方向一方側に、ユニット39、駆動機構体20およびスライダー18が装着される。ボトムケース底面部41には、その長辺方向一側部付近に、厚み方向一端部に突出する2本のスライダーピン43が短辺方向に沿ってやや離隔して設けられる。これらスライダーピン43は、スライダー18に係合して、該スライダー18をボトムケース40の短辺方向に案内するために用いられる。
次に、スライダー18に関して説明する。図38は、スライダー18を示す平面図である。図39は、スライダー18を示す正面図である。図40は、スライダー18に設けられるローラピン44を拡大して示す正面図である。スライダー18は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面に投影した投影形状が略U字状に形成され、厚み方向および長辺方向に平行な仮想平面に投影した投影形状が略U字状に形成される。スライダー18は、厚み方向から見て、厚み方向に垂直な幅方向に延びる1つの第1スライド部45と、第1スライド部45の幅方向両側部から厚み方向および幅方向に垂直な長さ方向にそれぞれ延びる第2スライド部46および第3スライド部47とを有する。第2および第3スライド部46,47には、その幅方向外方端部に連結され厚み方向一方にそれぞれ延びる第2スライド壁部48および第3スライド壁部49が設けられる。
第2スライド部46には、厚み方向に貫通して、長さ方向に沿ってのびるスライダー孔50が形成されている。この第2スライド部46は、ボトムケース底面部41への装着状態では、前記スライダー孔50に2本のスライダーピン43がそれぞれ挿通する。したがってボトムケース底面部41へのスライダー18の装着状態では、該スライダー18は、これらスライダーピン43によってボトムケース40に対して幅方向の変位が規制され、長さ方向にスライド変位可能に設けられる。
第2スライド部46には、その幅方向一側部に長さ方向に延びる駆動ラックであるスライドラック51が刻設されている。このスライドラック51は、ボトムケース底面部41への装着状態(単に、装着状態という場合がある)では、駆動機構体20を構成するピニオンギヤ52に噛合する。第2スライド部46の長さ方向中間部であって、厚み方向一端部には、厚み方向一方に突出するスライド突出部53が設けられる。このスライド突出部53は、その厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、かつ厚み方向一方から見て略C字状に形成され、幅方向他方に開放するように形成される。スライド突出部53は、前記ユニット39を構成するリンク66に係合可能であり、リンク66に係合した状態では、スライダー18はリンク66に対する長さ方向の変位が規制される。
第1スライド部45の幅方向他側部には、厚み方向一端部に突出するローラピン44が設けられる。このローラピン44は、スライダー18が長さ方向に関してスライド変位すると、ユニット39に係合する。ローラピン44は、軸線まわりに回転可能に構成され、ユニット39と円滑に接触するように構成される。
第2スライド壁部48の長さ方向一端部には、第2スライド壁部48の厚み方向に貫通するスライダー案内孔54が形成され、スライダー案内孔54は、装着状態では、前述の第2パネル短辺壁部29に設けられるスライダー案内ピン34が挿通可能であり、スライダー案内ピン34が第1シャーシ11を角変位可能に支持する。
次に、駆動機構体20に関して説明する。図41は、駆動機構体20を簡略化して示す平面図である。図42は、駆動機構体20を簡略化して示す正面図である。図42では、駆動機構体20を構成する駆動源であるモータ55のシャフト55aの軸線方向一方から見て示す図である。図41では、理解を容易にするため、スライダー18の一部を仮想的に示す。駆動機構体20は、モータ55、ギヤ列56および機構制御部57を含んで構成される。前記ギヤ列56は、ウォームギヤ58、クラッチ59、中間ギヤ60、ピニオンギヤ52、第1センサギヤ61および第2センサギヤ62を含む。モータ55のシャフト55aにはウォームギヤ58が固着され、ウォームギヤ58はクラッチ59に噛合して、順次、中間ギヤ60、ピニオンギヤ52、第1センサギヤ61、第2センサギヤ62が噛合し、モータ55からの駆動力が伝動される。
ピニオンギヤ52は、前述したように、スライダー18に形成されるスライドラック51に噛合可能である。したがってモータ55の駆動力によって、スライダー18が、その長さ方向に関してスライド変位する。クラッチ59は、その軸線方向の振動を抑制するダンパー機構59aを備え、これによってウォームギヤ58からの駆動力を円滑に、中間ギヤ60に伝動する。
機構制御部57は、モータ55に電力を供給して、モータ55を駆動して、モータ55の回転数を制御し、さらに第2センサギヤ62の角変位量を検出して、第2センサギヤ62の角変位量に基づいて、モータ55のシャフト55aの軸線周りの回転方向および回転量を制御する。したがって機構制御部57は、ピニオンギヤ52によって動力が伝達される噛合対象物の配置状態を制御して、第1チルト動作および第2チルト動作を実行することができる。
次に、ユニット39に関して説明する。図43は、ユニット39を簡略化して示す平面図である。図44は、ユニット39を簡略化して示す正面図である。図43および図44では、理解を容易にするため、ユニット39を構成するケーシング部材を仮想的に示す。ユニット39は、スライダー18のローラピン44と係合可能なサブラック63と、ボトムケース40に固定されてサブラック63を案内するラックホルダ64と、サブラック63にばね力を与える作動解除ばね65と、ラックホルダ64に装着され、スライダー18の変位を規制するリンク66と、サブラック63に装着されリンク66を案内するリンクガイド67と、サブラック63に噛合するアイドルギヤ68と、アイドルギヤ68に噛合するセクターギヤ69と、押圧部17を押圧するプッシュレバー16と、プッシュレバー16にばね力を与えるプッシュレバーばね70と、セクターギヤ69およびプッシュレバー16を案内するギヤベース71と、ギヤベース71を覆うカバープレート72と、ラックホルダ64に固定され、ギヤベース71を覆うサイドプレート73とを含んで構成される。ユニット39は、ボトムケース40の長辺方向一側部に装着され、具体的には、長辺方向一側部のボトムケース壁部42に当接し、かつ、ボトムケース底面部41に当接して装着される。
次に、サブラック63に関して説明する。図45は、サブラック63を示す平面図である。図46は、サブラック63を示す右側面図である。図47は、サブラック63を構成する引込レバー74を示す正面図である。図48は、引込レバー74を示す平面図である。サブラック63は、ピニオンギヤ52およびアイドルギヤ68に噛合するサブラック本体75と、サブラック本体75に対して角変位可能に設けられる引込レバー74と、引込レバー74にばね力を与える係止ばね76と、ラックホルダ64に係合するサブラックピン77とを含んで構成される。サブラック本体75は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な仮想平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。サブラック本体75は、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向の一方側部に、ピニオンギヤ52に噛合される駆動入力ラック78が形成され、短辺方向他方側部にアイドルギヤ68に噛合する駆動出力ラック79が形成される。サブラック本体75は、装着状態では、その長辺方向がボトムケース40の短辺方向と略平行になるように設けられる。
サブラック本体75の短辺方向および厚み方向に略直交する長辺方向の一方側部であって、短辺方向中央部付近には、作動解除ばね65の一端部が連結される。作動解除ばね65の他端部は、ラックホルダ64に連結される。サブラック本体75の長辺方向中央部であって、短辺方向中央部には、厚み方向にして、係止ばね76が配置される係止ばね7納空間76aが形成される。係止ばね76は、係止ばね収納空間76aに収納され、その軸線方向一端部がサブラック本体75に連結され、軸線方向他端部が引込レバー74に連結される。
サブラック本体75の短辺方向中央部であって、長辺方向両端部には、厚み方向一方に突出するサブラックピン77が長辺方向に沿って、複数本、本実施の形態では、2本設けられる。各サブラックピン77は、装着状態では、ラックホルダ64に形成されるサブラック案内溝85に挿通し、ラックホルダ64に対して、短辺方向の変位が規制され、長辺方向に沿ってスライド変位可能に設けられる。
図47および図48を参照して、引込レバー74は、装着状態では、ローラピン44を長辺方向他方側から係止する係止位置と、ローラピン44に対して係止解除する係止解除位置とにわたって、係止解除位置から係止位置に向かう係止方向74Aおよび係止位置から係止解除位置に向かう係止解除方向74Bの双方向へ変位可能に設けられる。引込レバー74は、具体的には、ラック移動方向に延びる板状に形成され、その長手方向一端部に設けられた第4係合部113が、サブラック本体75の短辺方向他方側であって、長辺方向中央部付近に取り付けられた第4係合部材112によって角変位可能に支持され、長手方向他端部が、サブラック本体75の長辺方向他方に突出して設けられる。引込レバー74は、長手方向他端部が角変位することによって、係止方向74Aおよび係止解除方向74Bに変位する。
引込レバー74の長手方向中央部付近に、幅方向一方に突出する突出部分74aが形成され、この突出部分74aに係止ばね76の他端部が連結される。これによって引込レバー74は、ばね力が与えられて、外力が作用していない定常状態では、係止位置に配置されている状態が維持される。引込レバー74の長手方向一端部は、厚み方向から見てテーパ状に形成され、具体的には、長手方向一方から他方に向かうにつれて、厚み方向および長手方向に直交する幅方向一方に向かうように形成される。またこのテーパ部分74bの、長手方向他方側の端部は、幅方向他方に凹となる引込凹部74cが形成される。
このように引込レバー74の長手方向一端部が形成されることによって、スライダー18に設けられるローラピン44がサブラック本体75の長辺方向に沿って、長辺方向他方側から長辺方向一方側にスライド変位すると、テーパ部分74bに当接して、係止ばね76のばね力に抗して、引込凹部74cまで変位することができ、反対に、引込凹部74cにローラピン44が配置された状態で、長辺方向一方側から長辺方向他方側にローラピン44を変位させると、係止ばね76のばね力に抗して、スライド変位することができる。スライド変位する方向に対する、引込レバー74の傾斜角度が異なるので、係止位置から係止解除位置させることができる力の大きさが、テーパ部分の方が、引込凹部74cよりも小さい。
次に、リンクガイド67に関して説明する。図49は、リンクガイド67を示す平面図である。図50は、リンクガイド67を示す正面図である。リンクガイド67は、サブラック63に一体に装着され、ラックホルダ64に装着されるリンク66を案内する。リンクガイド67は、ラック移動方向に延びる略板状に形成され、その長手方向一端部がサブラック本体75の長辺方向一端部に、サブラック本体75の長辺方向一方側に突出して、サブラック本体75の長辺方向と、リンクガイド67の軸線方向とが略平行となるように連結される。リンクガイド67は、厚み方向に貫通して、前記長手方向に延びるリンクガイド溝80が形成され、装着状態では、リンクガイド溝80にリンク66を構成するリンクピン81が挿通する。リンクガイド溝80は、その長手方向一端部から他端部にわたって、第1,第2,第3リンクガイド溝部80a,80b,80cを含んで構成される。第1リンクガイド溝部80aは、リンクガイド67の長手方向と略平行に沿って延び、第2リンクガイド溝部80bは、第1リンクガイド溝部80aの長手方向他方側の端部から、長手方向他方に向かうにつれて、幅方向一方に傾斜するように延びる。第3リンクガイド溝部80cは、第2リンクガイド溝部80bの長手方向他方側の端部から、再び、リンクガイド67の長手方向と略平行に沿って延びる。
次に、リンク66に関して説明する。図51は、リンク66を示す正面図である。図52は、リンク66を示す底面図である。リンク66は、スライダー18のボトムケース40に対する前後方向Xの変位を阻止するロック位置と、スライダー18の前後方向Xの変位を許容するロック解除位置とにわたって、変位可能にラックホルダ64に設けられる。
リンク66は、ラック移動方向に延びる略板状に形成される。このリンク66の長手方向一端部には、幅方向一方側であって、厚み方向他方に突出するロックピン82が設けられ、幅方向他方側であって、厚み方向他方に突出するリンクピン81が設けられる。リンク66の長手方向他端部に厚み方向に貫通するリンク支持孔83が形成され、リンク支持孔83にラックホルダ64に設けられるリンク支持ピン84が挿通して、リンク支持ピン84の軸線まわりに角変位可能に支持される。
ロックピン82は、ロック位置に配置された状態では。スライダー18に形成されるスライド突出部53に係合して、スライダー18の変位を阻止する。またリンクピン81は、装着状態では、リンクガイド67に形成されるリンクガイド溝80に挿通し、リンクガイド67が、その軸線方向にスライド変位することによって、リンクピン81をリンク支持ピン84の軸線まわりに角変位させる。
次に、ラックホルダ64に関して説明する。図53は、ラックホルダ64を示す平面図である。図54は、ラックホルダ64を示す左側面図である。ラックホルダ64は、装着状態では、ボトムケース40に固定され、サブラック63をスライド変位可能に支持する。ラックホルダ64は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。ラックホルダ64は、厚み方向に貫通して、厚み方向から見て短辺が延びる方向である短辺方向の中央部であって、長辺が延びる長辺方向に沿って延び、サブラックピン77を案内するサブラック案内溝85が形成される。ラックホルダ64は、その長辺方向と、ボトムケース40の短辺方向とが略平行となる状態で、ボトムケース40に固定される。
ラックホルダ64の長辺方向中央部付近であって、短辺方向一方側には、厚み方向に貫通する部分であって、アイドルギヤ68が配置可能なアイドルギヤ配置空間68aが形成される。装着状態では、回転軸線が厚み方向一方側に配置されるアイドルギヤ68と、厚み方向他方側に設けられるサブラック63の駆動出力ラック79とが噛合可能となる。
ラックホルダ64の長辺方向一端部には、作動解除ばね65の他端部が連結され、作動解除ばね65は、厚み方向他方側に配置される。ラックホルダ64の長辺方向他端部には、厚み方向一方に突出するリンク支持ピン84が設けられる。装着状態では、リンク支持ピン84は、リンク66のリンク支持孔83が挿通して、リンク66をラックホルダ64に対して角変位可能に支持する。
ラックホルダ64の長辺方向他端部側には、厚み方向に貫通するリンクピン挿通孔86が形成され、装着状態では、リンクピン81がリンクピン挿通孔86に挿通して、ラックホルダ64の厚み方向他方に突出して、リンクガイド溝80に挿通する。ラックホルダ64の長辺方向他端部側には、ロックピン挿通孔87が形成され、装着状態では、ロックピン82がロックピン挿通孔87に挿通して、ラックホルダ64の厚み方向他方に突出する。
次に、セクターギヤ69に関して説明する。図55は、セクターギヤ69を示す正面図である。図56は、セクターギヤ69を図55のS55−S55切断面線から見た断面図である。セクターギヤ69は、アイドルギヤ68に噛合し、周方向中央部に厚み方向一方に突出するセクターギヤ用ローラピン88が設けられる。セクターギヤ用ローラピン88は、プッシュレバー16に当接して、セクターギヤ69が軸線まわりに回転方向一方へ角変位することによって、プッシュレバー16を押圧方向P1に押圧操作し、回転方向他方へ角変位することによって、プッシュレバー16への押圧力を解除する。
次に、プッシュレバー16に関して説明する。図57は、プッシュレバー16を示す正面図である。図58は、プッシュレバー16を示す平面図である。プッシュレバー16は、セクターギヤ69の角変位に応じて、押圧方向P1へスライド変位可能に支持される。プッシュレバー16は、軸線方向に延びる板状に形成され、軸線方向に延びるプッシュレバー案内溝89が、複数、本実施の形態では2つ、幅方向に間隔をかけて形成される。プッシュレバー案内溝89は、サイドプレート73に設けられるガイドシャフト90が挿通可能に形成される。プッシュレバー16の厚み方向一端面部には、プッシュレバーばね70の一端部が連結される第1連結部114が形成される。プッシュレバーばね70の他端部は、サイドプレート73に形成された第2連結部115に連結され、プッシュレバー16に押圧方向P1の反対方向である押圧解除方向P2に向かうばね力を与える。
プッシュレバー16の幅方向他方には、幅方向内方に凹となるプッシュレバー凹部91が形成され、装着状態では、セクターギヤ用ローラピン88が当接して、セクターギヤ69が回転方向一方へ角変位するときに、常にプッシュレバー凹部91に当接して、プッシュレバーばね70のばね力に抗して、押圧方向P1への押圧力を与える。
次に、サイドプレート73に関して説明する。図59は、サイドプレート73を示す正面図である。図60は、サイドプレート73を示す右側面図である。サイドプレート73は、ギヤベース71と協働して、プッシュレバー16を配置する配置空間を形成し、この配置空間にプッシュレバー16をスライド変位可能に支持する。サイドプレート73は、ボトムケース40に対する位置決め手段として用いられ、装着状態では、ボトムケース40の予め定める位置に固定される。
サイドプレート73は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。サイドプレート73は、長辺方向がボトムケース40の短辺方向と略平行であり、サイドプレート73の短辺方向がボトムケース40の厚み方向と略平行となるように装着される。サイドプレート73は、厚み方向一方に突出するガイドシャフト90が複数、本実施の形態では2つ、短辺方向に略同位置で長辺方向に間隔をあけて設けられ、装着状態では、各ガイドシャフト90が各プッシュレバー案内溝89にそれぞれ挿通する。これによってプッシュレバー16は、サイドプレート73に対して長辺方向一方から他方に向かうにつれて、短辺方向一方に向かうように、傾斜した方向にスライド変位する。サイドプレート73の厚み方向一方一端面部には、プッシュレバーばね70の他端部が連結される第1連結部114が形成される。
次に、ギヤベース71に関して説明する。図61は、ギヤベース71を示す正面図である。図62は、ギヤベース71を示す右側面図である。ギヤベース71は、サイドプレート73に固定されて設けられ、セクターギヤ69およびアイドルギヤ68を角変位可能に支持する。
ギヤベース71は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。ギヤベース71は、長辺方向および短辺方向が、サイドプレート73の長辺方向および短辺方向に、それぞれ略平行となるように、サイドプレート73に固定される。ギヤベース71は、厚み方向一方に突出するセクターギヤ用ギヤシャフト92と、アイドルギヤ用ギヤシャフト93とが設けられる。装着状態では、セクターギヤ用ギヤシャフト92は、セクターギヤ69に挿通して、セクターギヤ69を回転軸線まわりに角変位可能に支持し、アイドルギヤ用ギヤシャフト93は、アイドルギヤ68に挿通して、アイドルギヤ68を回転軸線まわりに角変位可能に支持する。
ギヤベース71には、セクターギヤ用ローラピン88が挿通可能なギヤベース挿通孔94が形成され、セクターギヤ用ローラピン88が挿通して、セクターギヤ69の角変位に伴ってセクターギヤ用ローラピン88の変位を許容する形状に形成され、本実施の形態では、円弧状に形成される。これによってセクターギヤ用ローラピン88は、ギヤベース挿通孔94に挿通した状態で、プッシュレバー16に形成されるプッシュレバー凹部91に当接して、プッシュレバー凹部91を押圧操作することができる。
次に、カバープレート72に関して説明する。図63は、カバープレート72を示す平面図である。図64は、カバープレート72を示す正面図である。カバープレート72は、サイドプレート73およびギヤベース71に固定されて設けられ、ギヤベース71と協働してセクターギヤ69およびアイドルギヤ68を配置可能な配置空間を形成する。
カバープレート72は、大略的に板状に形成され、その厚み方向に垂直な平面に投影した投影形状が略長方形状に形成される。サイドプレート73は、その長辺方向および短辺方向が、ギヤベース71の長辺方向および短辺方向に、それぞれ略平行となるように、サイドプレート73およびギヤベース71に固定される。カバープレート72は、セクターギヤ69およびアイドルギヤ68を覆って各回転軸線方向から覆うように設ける。
次に、第1および第2チルト動作に関して説明する。装置本体14に各構成要素が装着された状態であるので、動作を説明の理解を容易にするため、装置本体14の前後方向X、上下方向Z、および左右方向Yを用いて、各構成要素の動作を説明する。
図65は、チルト動作を説明するための正面図である。図66は、チルト動作を説明するための平面図である。図65および図66は、第1チルト動作中の図である。先ず、各構成要素間の配置関係について説明し、次に、各構成要素の動作に関して説明する。スライダー18は、スライダーピン43とスライダー孔50とによって、前方X1のスライダーピン43がスライダー孔50の後端と当接する伸長位置と、後方X2のスライダーピン43がスライダー孔50の前端と当接する縮退位置とにわたって、縮退位置から伸長位置に向かう前方X1およびその反対方向となる伸長位置から縮退位置に向かう第2方向である後方X2へスライド変位可能である(図1参照)。スライダー18に形成されるスライドラック51は、伸長位置と縮退位置との間の分岐位置から縮退位置寄りにある状態ではピニオンギヤ52に対して噛合解除し、分岐位置よりも伸長位置寄りにある状態では、ピニオンギヤ52に噛合する。
サブラック63は、前方X1のサブラックピン77が、サブラック案内溝85の前端部に当接する非作動位置と、プッシュレバー案内溝89の後端部がガイドシャフト90に当接する最大作動位置とにわたって、最大作動位置から非作動位置に向かう前方X1および非作動位置から最大作動位置に向かう後方X2へスライド変位可能である。
作動解除ばね65および係止ばね76は、ローラピン44が係止位置にある引込レバー74に前方X1側から当接して後方X2へ変位する場合、サブラック63の後方X2への変位を阻止した状態で、引込レバー74の係止解除方向74Bへの変位を許容するばね力にそれぞれ設定されている。
サブラック63に形成される駆動入力ラック78は、非作動位置と最大作動位置の間の駆動入力開始位置よりも非作動位置寄りにある状態では、ピニオンギヤ52に対して噛合解除し、駆動入力開始位置から最大作動位置寄りにある状態では、ピニオンギヤ52に噛合する。サブラック63に形成される駆動出力ラック79は、駆動入力開始位置よりも最大作動位置寄りの駆動出力開始位置よりも非作動位置寄りにある状態では、アイドルギヤ68に対して噛合解除し、駆動出力開始位置から最大作動位置寄りにある状態では、アイドルギヤ68に噛合する。
サブラック63は、前方X1へ向かうばね力が作動解除ばね65によって与えられるので、ローラピン44による押圧力が作用していない状態、および、各ラックが各ギヤに噛合解除されている状態では、非作動位置に配置されている状態が維持され、非作動位置から不所望に変位することが防がれる。
プッシュレバー16は、駆動機構体20からの駆動力によって第1パネルホルダ21を角変位させる第2チルト作動部であって、プッシュレバー案内溝89とガイドシャフト90によって、押圧部17を前方X1へ最も押圧する突出位置と、押圧部17の前方X1への押圧が解除される退避位置とにわたって、退避位置から突出位置に向かう押圧方向P1、および突出位置から縮退位置に向かう押圧解除方向P2へ変位可能である。突出位置では、ガイドシャフト90がプッシュレバー案内溝89の後端部に当接して、プッシュレバー16の押圧方向P1への変位が規制され、退避位置では、ガイドシャフト90がプッシュレバー案内溝89の前端部に当接して、プッシュレバー16の押圧解除方向P2への変位が規制される。プッシュレバー16は、プッシュレバーばね70によって、押圧解除方向P2へのばね力が与えられる。
次に、各構成要素の動作に関して説明する。動作を説明するための、初期状態では、スライダー18が伸長位置に配置され、プッシュレバー16は退避位置(図65参照)に配置されている。この状態から、モータ55から駆動力が与えられて、ピニオンギヤ52が回転方向一方R1へ変位して、プッシュレバー16が突出位置に配置されるまでの動作を説明する。
(1)スライダー18が伸長位置にある状態、換言すると、第1シャーシ11の厚み方向と上下方向Zとが略平行である状態(図1参照)でモータ55から駆動力が伝達されて、ピニオンギヤ52が回転方向一方R1に回転すると、スライダー18は、伸長位置にある状態ではスライドラック51がピニオンギヤ52と噛合しているので、後方X2にスライド変位する(図66参照)。スライダー18は、ピニオンギヤ52によって後方X2にスライド変位すると、第1シャーシ案内ピン32が第1シャーシ案内溝33によって上方Z1にスライド変位する。
図67は、チルト動作を説明するための図であって、ローラピン44が引込レバー74に当接した状態を示す図である。(2)スライダー18がさらに後方X2へ変位すると、係止位置にある引込レバー74のテーパ部分74bに前方X1側から当接する。
図68は、チルト動作を説明するための図であって、ローラピン44が操作開始位置に配置された状態を示す図である。(3)さらにスライダー18が後方X2へ変位すると、作動解除ばね65および係止ばね76は、サブラック63の後方X2への変位を阻止した状態で、引込レバー74の係止解除方向74Bへの変位を許容するばね力にそれぞれ設定されているので、引込レバー74だけを、係止解除方向74Bへ変位させて、ローラピン44が引込凹部74c(操作開始位置)に配置され、サブラック本体75に前方X1側から当接する。
(4)スライダー18がさらに後方X2へ変位すると、スライダー18の後方X2の変位に伴ってサブラック本体75を後方X2へ押圧操作する。これによってサブラック63は、ローラピン44から与えられる駆動力によって非作動位置から後方X2へスライド変位する。
(5)サブラック63は、スライド18の変位にともなってスライド変位して、サブラック63が駆動入力開始位置に配置され、ピニオンギヤ52が駆動入力ラック78と噛合する。したがってピニオンギヤ52は、駆動入力ラック78とスライドラック51との両方に噛合している。ピニオンギヤ52に回転すると、サブラック63およびスライダー18が後方X2へ変位して、スライダー18が所定位置である分岐位置に配置される。スライダー18が分岐位置に配置されると、スライドラック51とピニオンギヤ52との噛合解除される。
(6)さらにピニオンギヤ52が回転方向一方R1へ回転すると、サブラック63だけがピニオンギヤ52と噛合しているので、サブラック63が後方X2へスライド変位する。ローラピン44が引込レバー74と係止しているので、サブラック63の後方X2への変位にともなって、スライダー18も後方X2へ変位して、スライダー18が縮***置に配置される。換言すると、引込レバー74によって、スライダー18は、分岐位置から縮***置まで引込まれる。
スライダー18が縮***置に配置されると、第1シャーシ案内ピン32が最も上方Z1寄りの位置に配置され、第1シャーシは11、第1シャーシ11の厚み方向と前後方向Xとが略平行となる基準位置に配置される。
(7)スライダー18が縮***置にある状態から、モータ55から駆動力が伝達されると、スライダー18は、縮***置にある状態ではスライドラック51がピニオンギヤ52に噛合解除されているので、スライダー18はピニオンギヤ52の回転による後方X2へスライド変位は行われないが、サブラック63の駆動入力ラック78はピニオンギヤ52と噛合しているので、サブラック63が後方X2へスライド変位する。さらにピニオンギヤ52が回転すると、サブラック63が後方X2へ変位して、引込レバー74がローラピン44に対して、ばね力に抗して係止解除方向74Bへ変位する。
(8)さらにサブラック63が後方X2へ変位して、駆動出力開始位置に配置されると、駆動出力ラック79がアイドルギヤ68に噛合する。ここから第2チルト動作が開始される。
図69は、チルト動作を説明するための図であって、スライダー18が縮***置に配置され、プッシュレバー16が突出位置に配置された状態を示す平面図である。図70は、チルト動作を説明するための図であって、スライダー18が縮***置に配置され、プッシュレバー16が突出位置に配置された状態を示す正面図である。(9)さらにサブラック63が後方X2へ変位すると、2つの動作が同時に進行する。一方の動作は、スライダー18を縮***置にロックするロック動作であり、他方の動作は、第2チルト動作である。
ロック動作では、リンクガイド67に形成されるリンクガイド溝80によって、リンクピン81がリンク支持ピン84の軸線まわりに角変位し、ロックピン82がロック解除位置からロック位置に配置される。ロックピン82がロック位置に配置されると、ロックピン82がスライド突出部53に係合して、スライダー18の前後方向Xへの変位を規制する。
他方の動作である第2チルト動作では、サブラック63が後方X2へ変位すると駆動出力ラック79によって、アイドルギヤ68が回転し、アイドルギヤ68に噛合するセクターギヤ69が回転する。セクターギヤ69が回転すると、セクターギヤ用ローラピン88が、プッシュレバーばね70のばね力に抗して、プッシュレバー凹部91を押圧操作して、プッシュレバー16を退避位置から押圧方向P1へ変位させて、突出位置まで変位させる。プッシュレバー16の前端部は、押圧部17を押圧して、第2チルト動作する。
図3を参照して、押圧部17がプッシュレバー16によって押圧されると、第2チルト復帰ばね24の後方X2へのばね力に抗して、第1パネルホルダ21が第2パネルホルダ22に沿う閉位置から、第1および第2パネルホルダ21,22の各一側部の回転軸線まわりに、第1パネルホルダ21の他側部が第2パネルホルダ22の他側部に対して離反する方向に角変位する。また押圧部17がプッシュレバー16によって押圧されると、カバー19は、第1パネルホルダ21の角変位動作に連動して、繰出および収納動作する。
このようにスライダー18が伸縮位置に配置されている状態から、ピニオンギヤ52が回転方向一方へ回転して、プッシュレバー16が突出位置に配置され、第1パネルホルダ21が開位置に配置される。プッシュレバー16が、突出位置に配置されている状態から、ピニオンギヤ52が回転方向他方R2へ変位すると、逆の順序で、スライダー18が伸縮位置に配置される。
特に、ローラピン44がサブラック本体75を後方X2へ押圧操作可能な状態で、ピニオンギヤ52を回転方向他方R2へ回転させると、ローラピン44は引込レバー74が係止位置に配置されているので、前方X1への変位が引込レバー74によって規制される。この状態でスライダー18を前方X1へ変位させると、ローラピン44は、引込レバー74を前方X1へ押圧操作するので、サブラック63が非作動位置に配置され、さらにスライダー18を前方X1へ変位させると、引込レバー74が係止解除方向74Bへ変位して、スライダー18が円滑に前方X1へ変位して、かつサブラック63を非作動位置に配置される。このように順次、第2チルト動作から、第1チルト動作に移る。
以上、動作に関して説明したように、第1チルト動作を実行するための第1チルト機構体は、スライダー18、第1シャーシ案内ピン32、および第1シャーシ案内溝33を含んで実現され、第2チルト動作を実行するための第2チルト機構体は、第1および第2パネルホルダ21,22、カバー19、第2チルト復帰ばね24、プッシュレバー16、セクターギヤ69、およびローラピン44を含んで実現される。第1チルト機構体は、ユニット39を除く残余の構成要素によって動作可能であるので、ユニット39の着脱に拘わらず、駆動機構体20によって駆動される。駆動源からの駆動力を第1チルト機構体に伝える第1駆動系統は、スライドラックによって実現され、駆動源からの駆動力を第2チルト機構体に伝える第2駆動系統は、駆動入力ラックによって実現される。
サブラック63、作動解除ばね65、引込レバー74、係止ばね76、およびリンク66は、駆動機構体20からの駆動力が第1チルト機構体に伝達される第1駆動状態と、駆動機構体20からの駆動力が第2チルト機構体に伝達される第2駆動状態とに、切換える切換部として機能する。換言すると、切換部は、パネルディスプレイ13を基準位置に配置させた状態で、第1駆動系統と第2駆動系統の駆動源との接続を切替える。
チルト装置10は、第1および第2チルト動作は、同時に実行不可能である。第2チルト動作が実行されている状態では、第1チルト動作は実行不可能であり、かつ第1シャーシが基準位置にある状態からは、ピニオンギヤ52を回転方向他方へ回転させることによって、実行可能である。第2チルト動作は、第1チルト動作が実行されている状態では、プッシュレバー16が変位することがないので、実行不可能であり、かつ第1シャーシが基準位置にある状態からは、ピニオンギヤ52を回転方向一方へ回転させることによって、実行可能である。
第2チルト動作中に、第1チルト動作が指示されると、プッシュレバー16を退避位置に配置して、第1パネルホルダ21を基準位置に戻した後、その動作に連続して第1チルト動作を実行し、第1チルト動作中に、第2チルト動作が指示されると、第1シャーシを基準位置に戻した後、その動作に連続して第2チルト動作を実行する。
次に、車載オーディオ装置12の電気的構成に関して説明する。図71は、車載オーディオ装置12の電気的構成を示すブロック図である。図72は、車載オーディオ装置12のパネルディスプレイ13によって表示される操作画面の一例を示す図である。車載オーディオ装置12は、前述したようにチルト装置10と、パネルディスプレイ13と、主制御部95と、メディアを読み込むドライブ96とを含んで構成される。パネルディスプレイ13は、スイッチ97と、タッチパネル98と、液晶ディスプレイ99とが設けられ、操作者がスイッチ97またはタッチパネル98を操作することによって、主制御部95に操作情報が与えられる。液晶ディスプレイ99は、主制御部95から与えられる情報を表示する。ドライブ96は、各種メディアの情報を読取り、その情報を主制御部95に与える。
主制御部95は、マイコンなどの処理回路によって実現され、各部を制御する。主制御部95は、タッチパネル98が操作されて、チルト動作の指令情報が与えられると、チルト装置10に制御情報を与えて、チルト装置10を制御する。主制御部95は、チルト装置10の駆動機構体20が備える機構制御部57から与えられる情報に基づいて、機構制御部57に指令を与え、ピニオンギヤ52を回転させて、配置状態を制御する。したがってパネルディスプレイ13を所望の角度に配置することができる。
以上、説明したように、本実施の形態のチルト装置10によれば、第1チルト動作と第2チルト動作間の動作移行時には、パネルディスプレイ13を基準位置に配置させた後に動作移行先のチルト動作を開始する。したがって第1チルト動作および第2チルト動作は、常に基準位置を動作開始位置として、各動作が開始されるので、不所望にパネルディスプレイ13が変位することを防ぐことができる。これによって所望の位置にパネルディスプレイ13を配置することができ、操作者はパネルディスプレイ13を視認することが容易な位置、たとえば日光が反射しないような位置に配置することができる。
また本実施の形態では、第1および第2チルト動作は、基準位置からいずれか一方の側部を他方の側部に対して角変位させるので、パネルディスプレイ13が装置本体14に対して第1および第2チルト動作を除く残余の動作をすることを防止することができる。したがって既存の技術のように第1および第2チルト動作させる場合、パネルディスプレイ13が装置本体14に対して、たとえば前方X1に沿って変位して装置本体14に対して突出するなどの、不所望の変位を、本発明では防止することができ、これによって安定した動作をさせることができる。
さらにパネルディスプレイ13に対して、第1および第2チルト動作を機械駆動によって実行可能であるので、既存の技術のように手動でチルト動作させるよりも、本発明では安定して動作させることができる。したがってパネルディスプレイ13を操作者の所望する位置に、簡便に配置することができ、また所望の位置から不所望に変位することを防ぐことができる。
また本実施の形態によれば、第1および第2チルト動作は、同時に実行不可能であるので、第1および第2チルト動作が同時に実行されてパネルディスプレイ13が装置本体14に対して、不所望に変位することを防いで、安定して動作させることができる。
さらに本実施の形態によれば、第1および第2チルト動作は、共に基準位置にある状態から実行可能である。換言すれば、各チルト動作は基準位置から実行させ得るので、基準位置から外れた一方のチルト動作中に他方のチルト動作を実行させることを禁止することができる。このように、前述の第1および第2チルト動作を同時に実行不可能であるチルト装置10を実現することができる。
さらに本実施の形態によれば、一方のチルト動作中に他方のチルト動作が指示された場合であっても、パネルディスプレイ13の基準位置を折り返し位置として、第1および第2チルト動作を連続して動作させることができる。したがって、滑らかにパネルディスプレイ13を動作させて所望の位置に配置することができる。
さらに本実施の形態によれば、第1および第2チルト動作をそれぞれ実行するための第1および第2チルト機構体を用いるので、第1および第2チルト動作を個別に実行することができる。
さらに本実施の形態によれば、第2チルト機構体は、第1チルト動作する第1チルト機構体に影響を与えることなく第2チルト動作することができる。さらに第1チルト動作によって第2パネルホルダ22を角変位させることがないので、第2チルト動作させることなく、第1チルト動作可能である。
さらに本実施の形態によれば、カバー19を備えることによって、第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22との間に、ほこりおよび異物などが不所望に侵入することを防ぐことができる。したがって侵入した異物などによって、チルト装置10および車載オーディオ装置12に不具合が生じることを防ぐことができ、保守管理を容易にすることができる。
さらに本実施の形態によれば、カバー19は、剛性の部材から成るので、第2チルト機構体の剛性強度を高くすることができ、外力によってチルト装置10が損傷することを防ぐことができる。さらに第2チルト動作中にパネルディスプレイ13に作用する外力によって、パネルディスプレイ13が不所望に変位することを、カバー19によって防ぐことができる。このようにカバー19によって、異物などの侵入防止効果およびパネルディスプレイ13の変位防止効果を高めることができ、第2チルト機構体の剛性強度を高めるための部材を新たに設ける必要がなくなる。それ故、チルト機構の製作コストの低減を図ることが可能となる。
さらに本実施の形態によれば、少なくとも第1パネルホルダ21が開位置にある場合、第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22との間を、カバー19によって覆うことができる。したがって第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22との間に隙間が生じて、異物が侵入するおそれがあるときだけ、カバー19によって覆うことができ、第1パネルホルダ21が閉位置にある場合、カバー19は収納されるので、第1および第2チルト動作に影響を与えることを防ぐことができる。
さらに本実施の形態によれば、カバー19は、第1パネルホルダ21の角変位動作に連動して、繰出および収納動作するので、第1チルト動作に影響を与えることなく、第1パネルホルダ21と第2パネルホルダ22とに隙間が生じた場合にのみ、隙間を覆うことできる。またカバー19を動作させるための特別な動作をさせることなく、換言すると、カバー19を個別に駆動させることなく、カバー19を第2チルト動作に連動させて動作させることができるので、チルト装置10の構成を簡単にすることができる。
さらに本実施の形態によれば、カバーガイド23によって案内される部分およびカバーガイド23の少なくともいずれか一方は、摩擦抵抗の小さい材料から成るので、前記各部が当接することによって生じる騒音および衝撃を可及的に抑制することができる。したがって第2チルト動作による騒音によって操作者などに不快感を与えることを防ぐことができる。また円滑に第2チルト動作させることができる。それ故、第2チルト動作させるための駆動源の定格出力を極力小さくすることが可能となり、チルト装置10の小形化、および製作コストの低減を図ることが可能となる。
さらに本実施の形態によれば、ユニット39の着脱に拘わらず、第1チルト機構体は、駆動機構体20によって駆動されるので、第1チルト機構体だけで独立して用いることができる。したがって第1チルト動作が実行可能な機構体に、前記ユニット39を装着させることによって、第1および第2チルト動作が実行可能な機構体にすることができる。
さらに本実施の形態によれば、第1パネルホルダ21を前方X1へ押圧するプッシュレバー16によって、第2パネルホルダ22を閉位置から開位置へ向かって角変位させることができ、プッシュレバー16による押圧力が解除されると、第1パネルホルダ21に後方X2へのばね力を与える第2チルト復帰ばね24によって、第2パネルホルダ22を開位置から閉位置に向かって角変位させることができる。このようにプッシュレバー16と第1パネルホルダ21とを別体で設けることによって、第1チルト機構による第1チルト動作を阻害することがなく、第2チルト動作させることができる。
さらに本実施の形態によれば、プッシュレバー16を単に前方X1へ変位させる場合と比較して、プッシュレバー16の押圧方向P1への変位量に対する第1パネルホルダ21の角変位量を小さくすることができる。これによってプッシュレバー16の変位量が大きくても、第1パネルホルダ21の角変位量は小さいので、プッシュレバー16の変位量を高精度に制御しなくても、第1パネルホルダ21を容易に高精度に位置合わせすることができ、第1パネルホルダ21の位置合せの再現性を高めることができる。このようにプッシュレバー16の変位量を高精度に制御することなく、第1パネルホルダ21の位置決め精度を高めることができる。
さらに本実施の形態によれば、第1パネルホルダ21のプッシュレバー16が当接する部分およびプッシュレバー16の第1パネルホルダ21に当接する部分の少なくともいずれか一方は、摩擦抵抗の小さい材料から成るので、前記各部分が当接することによって生じる衝突音および衝撃を可及的に抑制することができる。したがって前記各部分が当接するころによって生じる衝突音によって操作者などに不快感を与えることを防ぐことができる。また第1パネルホルダ21を閉位置から開位置へ円滑に角変位させることができる。それ故、第1パネルホルダ21を角変位するための駆動源の定格出力を極力小さくすることが可能となり、チルト装置10の小形化、および製作コストの低減を図ることが可能となる。
さらに本実施の形態によれば、駆動力を第1チルト機構体に伝達する第1駆動状態と、前記駆動力を第2チルト機構体に伝達する第2駆動状態とに切換える切換部を備えるので、1つの駆動機構体20からの駆動力によって第1および第2チルト動作を実行することができ、また第1および第2チルト動作を連続して実行することができる。駆動機構体20が1つでよい、つまり駆動機構体20を兼用させることが可能となるので各動作の制御を簡単にすることができ、チルト装置10の構成を簡単にすることができる。駆動機構体20を兼用させることで、チルト装置10全体の小形化を図ることも可能となる。
さらに本実施の形態によれば、スライダー18が分岐位置から縮退位置寄りではピニオンギヤ52と噛合解除されるので、スライダー18が分岐位置付近では不安定な状態であるが、引込レバー74が、サブラック63の後方X2への変位に伴って、ローラピン44を介して、スライダー18を分岐位置から縮退位置にスライド変位させるので、スライダー18が不所望に変位して、各部材の変位に影響を与えることを防ぐことができ、各部を円滑に動作させることができる。
さらに本実施の形態によれば、縮退位置に変位されたスライダー18の前後方向Xの変位を阻止するロックピン82によって、スライダー18が縮退位置に配置された状態から不所望に変位することを防ぐことができる。これによってスライダー18が不所望に変位して、第1および第2チルト動作に不具合が生じることを防ぐことができる。
またユニット39は、各構成要素が略板状に形成され、前方X1から見て、大略的にL字状に構成されるので、装置本体14の隙間スペースを用いて、ユニット39を装着することができる。したがって既存の第1チルト動作のみ実行可能なチルト装置10の構成を、大きく変更することなく、ユニット39を隙間スペースに配置することによって、第2チルト動作を実行可能なチルト装置10を実現することができる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。
前述の実施の形態では、可動部はパネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21によって実現されているがこれに限ることはなく、たとえばパネルディスプレイ13のみ、操作部、操作部を保持する第1パネルホルダおよび操作部のみによって実現してもよい。
また前述の実施の形態では、電子機器は、車載オーディオ装置12によって実現されているがこれに限ることはなく、たとえば車載に限らずオーディオ装置によって実現してもよく、テレビジョン装置などの表示装置にて実現してもよい。
また前述の実施の形態では、前記一表面部に沿う基準位置から第1および第2チルト動作するように構成されているがこれに限ることはない。図73は、本発明の実施の他の形態の車載オーディオ装置200を簡略化して示す側面図である。本実施の形態では、可動体であるパネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21の両側部を支持し、前記パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を角変位可能に支持する第2パネルホルダ22と、第2パネルホルダ22の一方側を前方に変位させ、前記パネルディスプレイ13、パネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21および第1パネルホルダ21を支持する第2パネルホルダ22を傾斜させる第1駆動部(図示せず)と、パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21の他方側を前記第2パネルホルダ22の他方側から離間させ、前記パネルディスプレイ13およびパネルディスプレイ13を保持する第1パネルホルダ21を角変位させる第2駆動部(図示せず)とを含む。
たとえば図73(a)に示すように、第1駆動部を駆動させて、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22が一表面部に沿う基準位置から、図73(b)に示すように、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22の一側部が他側部よりも前方X1側に配置し、第2駆動部を駆動させて、図73(c)に示すように、パネルディスプレイ13および第1パネルホルダ21の他側部を第2パネルホルダ22に対して前方に変位させてもよい。
またたとえば図73(d)に示すように、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22が一表面部に沿う基準位置から、図73(e)に示すように、第2駆動部を駆動させて、パネルディスプレイ13および第1パネルホルダ21の他側部を第2パネルホルダ22に対してよりも前方X1側に配置し、図73(f)に示すように、第1駆動部を駆動させて、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22の一側部を前方X1に変位させてもよい。換言すると、パネルディスプレイ13および第1パネルホルダ21の一側部と他側部とを個別に変位するように構成してもよい。このような構成にする場合、パネルディスプレイ13および第1パネルホルダ21の一側部と他側部とが、個別に変位駆動させるために、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22の第1チルト動作を行う駆動源及び駆動機構、パネルディスプレイ13および第1パネルホルダ21の第2チルト動作を行う駆動源及び駆動機構の少なくとも2つの駆動源及び駆動機構が必要となる。さらに、第2チルト動作を行う駆動源及び駆動機構を装置本体に設けるのではなく、パネルディスプレイ13、第1パネルホルダ21および第2パネルホルダ22に設ける必要がある。このような構成にすることによって、パネルディスプレイ13の配置位置の自由度を向上することができ、操作者のさらに所望の角度位置に配置することができる。