JP3908868B2 - トリメチルアミン生成抑制方法とその用途 - Google Patents

トリメチルアミン生成抑制方法とその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリメチルアミンの生成抑制方法に関し、詳細には、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることを特徴とするトリメチルアミン生成抑制方法と該方法によりトリメチルアミンの生成を抑制した魚介類可食物並びにトレハロース及び/又はマルチトールを有効成分とするトリメチルアミン生成抑制剤とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚介類は鮮度の高いものはほとんど無臭であるが、鮮度が低下したり、魚介類に干す、焼く、煮るなどの加工処理を施したりすれば、容易に揮発性の化合物であるトリメチルアミンを生成し、これが魚介類に特徴的で不快な魚臭の主要原因の一つであることが知られている。これを矯臭する方法としては、古くから、唐辛子、胡椒、わさび、山椒、にんにく、しょうがなどの香辛料などを用いて調理する方法が採用されてきた。しかし、この方法は、魚臭の主要原因物質であるトリメチルアミンの生成自体を減少させる方法ではなく、単に強い刺激味や香りを付けてその不快臭をマスクしようとするものであって、しばしば、魚介類が本来持っている好ましい香りや味、色までも変えてしまう欠点を有している。
【0003】
また、近年、シクロデキストリン類の包接作用を利用した矯臭方法も行われるようになってきた。しかし、この方法もせっかく包接した魚臭の原因物質が、包接作用を受け易い他の物質と容易に置換して、再び不快臭を放つ欠点のあることが知られており、その矯臭方法も充分でない。また、近年開示された、特開平7−28926号公報では、魚介類の煮熟工程で生じる煮汁、蒸煮汁等の魚介類エキスが有している生臭みを除去する方法として、魚介類エキスに糖類を添加溶解して、125℃又は130℃の比較的高温に加熱処理して、エキスの生臭みを除去する方法が示されている。しかし、この方法は、処理温度が高すぎて魚介類エキスに焦げ臭がつき易い欠点のあることが示されている。このように、従来の技術レベルは、既に生成してしまった魚臭をいかにして矯臭するか、又はそれを除去するかの工夫にとどまり、所詮その効果も不充分であって、種々の欠点を伴う程度のものに過ぎなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来技術の持つ種々の欠点に鑑み、一旦生成した後の魚臭を矯臭するのではなく、魚臭の原因物質であるトリメチルアミンの生成自体を抑制するという従来にない全く新しい技術思想に基づく魚臭の発生抑制方法と、該方法を採用してトリメチルアミンの生成を抑制した魚介類可食物を提供するとともに、新規なトリメチルアミン生成抑制剤並びにその用途を確立することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、糖質の利用に着目し、鋭意研究を続けてきた。即ち、トリメチルアミンの前駆物質であるトリメチルアミンオキシドと各種糖質とを共存させ、トリメチルアミンオキシドからのトリメチルアミンの生成抑制効果に与える各種糖質の影響を調べた。その結果、意外にも、トレハロース及び/又はマルチトールが他の糖質に比較して著効を示し、トリメチルアミン自体の生成を著しく抑制することを見いだし、加えて、生の魚介類可食部に、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることにより同様にトリメチルアミン自体の生成を著しく抑制できることを確認し、本発明を完成した。つまり、本発明は、魚臭の主要原因とされているトリメチルアミン自体の生成に着目し、その生成を根本的に抑制しようとする技術思想に基づくものである。このような、トリメチルアミン自体の生成を抑制する技術思想は、従来着想されたことがなく、技術課題自体が新規である。しかも、本発明においては、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめてトリメチルアミン自体の生成を抑制するという構成を採用するものであって、先行技術にはそのような構成の開示はおろか、示唆すらもなく、全く新規である。換言すれば、本発明は目的、構成のいずれもが新規であり、それに伴う効果も新規且つ顕著である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の目的は、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることを特徴とするトリメチルアミン生成抑制方法を提供することであり、第二の目的は、生の魚介類可食部に、トレハロース及び/又はマルチトールの共存下で、保存及び/又は加工処理してトリメチルアミンの生成を抑制した魚介類可食物を提供することであり、第三の目的は、トレハロース及び/又はマルチトールを有効成分とするトリメチルアミン生成抑制剤とその用途を提供することである。本発明で用いるトレハロース及び/又はマルチトールは、トリメチルアミンの生成を抑制できるものであればよく、その由来、性状は問わない。トレハロースとしては、例えば、特開平7−170977号公報、特開平7−213283号公報等に開示される方法で製造されるトレハロースのシラップ、含水結晶又は無水結晶等が適宜採用できる。具体的には、高純度含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)が有利に利用できる。マルチトールとしては、例えば、特公昭47−13699号公報、特公昭63−2439号公報等に開示される方法で製造されるマルチトールのシラップ又は無水結晶等が適宜採用できる。具体的には、無水結晶マルチトール(登録商標「マビット」、株式会社林原商事販売)が有利に利用できる。トレハロース及びマルチトールの混合物としては、市販のトレハロース及びマルチトールを任意の割合で混合しても良いし、例えば、特開平8−73482号公報で開示されているトレハロースとマルトースとの混合物を水素添加して製造したものを利用することも有利に実施できる。また、使用するトレハロース及び/又はマルチトールは必ずしも高純度の製品に限る必要はなく、トリメチルアミンの生成抑制効果に支障がない限り、必要に応じて、他の糖質、例えば、グルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどの還元性糖質、ソルビトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールなどの非還元性糖質、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、又はそれらの糖誘導体などのシクロデキストリン類等の1種又は2種以上と併用することも随意である。
【0007】
また、トレハロース及び/又はマルチトールとともに酸味料を併用して、魚介類可食部を中性乃至酸性側に、望ましくはpH5乃至pH7附近、更に望ましくは、pH6乃至7附近に保ってトリメチルアミンの生成抑制効果を高めることも有利に実施できる。酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸などの公知の有機酸の使用が望ましく、必要ならば、無機酸を用いることもできる。更に必要に応じて、前述の香辛料、アミノ酸系、核酸系旨味料、清酒、みりん、ワイン、ブランディー、アルコール等の酒類、ペクチン、アルギン酸、プルラン等の水溶性多糖類、食塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸塩等の無機塩等から選ばれる1種又は2種以上を併用して矯臭効果を発揮させることも随意である。
【0008】
本発明の魚介類可食物とは、魚介類可食部から成る可食物、又は魚介類可食部を含有する可食物若しくは組成物であって、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることにより、生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成抑制効果が発揮できているものであればよく、望ましくは、生の魚介類可食部に対して、無水物換算で、トレハロース及び/又はマルチトールを、合計で約0.1w/w%(以下、本明細書では、特に断らない限り、w/w%を単に%で示す。)以上、望ましくは、約0.2%以上約30%未満、更に望ましくは、約0.5%以上約20%未満を均一に含有せしめるのが好適である。通常、トレハロース及び/又はマルチトールの含有量が0.1%未満ではトリメチルアミンの生成抑制作用が不充分で、30%以上では、得られる可食物の甘味が強くなり過ぎる。しかし、甘味が付いてもかまわない場合、又は甘味の付くのがむしろ好ましい場合、例えば、魚介類可食部を利用した珍味、スナック食品、菓子風食品等の場合には、30%を越えて含有させることも、更には、この量をできるだけ高めてトレハロース含水結晶及び/又はマルチトール無水結晶を晶出させた吸湿性の低い安定な製品に仕上げることも有利に実施できる。
【0009】
本発明でいう含有せしめるとは、接触共存させることをいい、魚介類可食部にトレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめる場合には、それによって、魚介類可食部からのトリメチルアミンの生成抑制効果が発揮できればよく、含有せしめる方法を問うものではない。望ましくは、生の魚介類可食部に対して、トレハロース及び/又はマルチトールを水性媒体でできるだけ均一に接触させて含有せしめるのがよい。例えば、生の魚介類可食部が、液状乃至ペースト状物のような多汁状態である場合には、これにトレハロース及び/又はマルチトールを粉末、結晶等の固状状態で、できるだけ均一に混合溶解して含有せしめるか、又はシラップ状状態でできるだけ均一に混合して含有せしめればよい。
【0010】
又、生の魚介類可食部が固状である場合には、これを水で液状乃至ペースト状物のような多汁状態にした後、前述のように、処理して含有せしめるか、又はトレハロース及び/又はマルチトールをシラップ状態とし、これに生で固状の魚介類可食部を、分散、溶解乃至懸濁し、できるだけ均一に接触するようにして含有せしめればよい。又、魚介類可食部が、生の魚介類可食部組織をそのまま、又はそれを細断したもののような場合には、これにトレハロース及び/又はマルチトールの粉末又は結晶をふりかけ混合して溶解含有させるか又はこれらをトレハロース及び/又はマルチトールを含むシラップ状物に浸漬するなどして、トレハロース及び/又はマルチトールをできるだけ均一に含有せしめればよい。
【0011】
本発明でいう魚介類可食部とは水産動物由来の蛋白質含有可食部を意味する。水産動物としては、例えば、マグロ、カジキ、カツオ、ブリ、サワラ、タラ、カレイ、ヒラメ、カマス、グチ、タイ、サメ、アナゴ、ウナギ、フグ、ママカリ、イワシ、アジ、サバ、ボラ、ニシン、シシャモ、サケ、マス等の魚類、シジミ、アサリ、ハマグリ、カキ、ホタテ、トリガイ、モガイ、ツブ、ニシ、サザエ、アワビ等の貝類、エビ、カニ、シャコ等の甲殻類、タコ、イカ等の軟体動物、ウニ、ナマコ等の棘皮動物等がある。これらの魚介類可食部としては、例えば、肉、内臓、卵、血液、骨、皮等の組織、器官又は、これらを、例えば、細断又は磨砕したような派生物である。
【0012】
本発明は、これら魚介類可食部の生を、そのままで、又は細断、磨砕等を施した後に、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめ、次いで、常法に従って、干す、漬ける、焼く、煮る、蒸す、揚げるなどの加工処理の1種又は2種以上の方法を施すことにより、目的とするトリメチルアミンの生成を抑制した魚介類可食物を製造することができる。また、生の魚肉フィレーやイクラ、カズノコ、タラコ等の魚卵を、トレハロース及び/又はマルチトールと接触させて保存、例えば、望ましくは5℃以下に冷凍乃至冷蔵する際にも、本来生成するトリメチルアミンの生成を著しく抑制し、その鮮度を長期間安定に保持することが判明した。本発明のトレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめてトリメチルアミンの生成を抑制した魚介類可食物としては、例えば、カマス、アジの開き干し、サンマ、フグのみりん干し、イカの一夜干し、するめ等の干物、ちりめん、だしいりこ、干し海老等の煮干し魚介類、ママカリ、小ダイ、サバの酢漬、サワラ、タイのみそ漬、エビのこうじ漬、アミ、イカの塩辛、サケ荒巻、タイの塩蒸等の塩漬、かまぼこ、ちくわ、天ぷら、魚肉ソーセージ、魚肉ハム等の魚肉練製品、さきするめ、ふぐのみりん干し、蒸し貝の干物等の珍味、小魚、貝、するめの佃煮、魚、貝、甲殻類、軟体動物可食部の水煮缶詰、ビン詰、又はこれら魚介類可食部の調味缶詰、瓶詰等がある。更に本発明は、生の魚介類可食部を材料として、例えば、煮物、焼物、蒸物、揚物等の惣菜、更には、汁物、魚すき、水炊き、おでん等の鍋物を調理する際に、トレハロース及び/又はマルチトールを使用することにより、トリメチルアミン自体の生成抑制効果を発揮し、食欲をそそる各種調理品を容易に得ることができる。
【0013】
また、本発明によれば、トレハロース及び/又はマルチトールを有効成分として含むトリメチルアミン生成抑制剤を、生の魚介類可食部に含有せしめてトリメチルアミンの生成を抑制することも有利に実施できる。トリメチルアミン生成抑制剤としてのトレハロース及び/又はマルチトールの含量は、生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成の抑制効果が発揮できればよく、通常、該抑制剤に対して、無水物換算で、合計、約10%以上、望ましくは約20%以上、更に望ましくは、約50%以上が好適である。本発明のトリメチルアミン生成抑制剤は、有効成分であるトレハロース及び/又はマルチトールだけから構成されてもよいし、必要に応じて、前述の還元性糖質、非還元性糖質、シクロデキストリン類、香辛料、酸味料、旨味料、酒類、水溶性多糖類及び無機塩等他の物質から選ばれる1種又は2種以上併用して、トリメチルアミン生成抑制効果に加えて矯臭効果を発揮させることも随意である。更に必要ならば、公知の着香料、着色料、保存料、安定剤等を適量併用することも随意である。このようにして得られるトリメチルアミン生成抑制剤は、その形状を問わず、例えばシラップ、粉末、結晶、顆粒、錠剤等いずれの形状であってもよい。このようにして得られたトリメチルアミン生成抑制剤は、これを使用して生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成抑制効果が発揮できればよく、その使用方法は問わない。例えば、前述のトレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめた生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成抑制方法に準じて使用すればよい。即ち、生の魚介類可食部にトリメチルアミン生成抑制剤を含有せしめた後、保存及び/又は加工処理して使用すればよく、具体的には、魚介類可食部に対する有効成分であるトレハロース及び/又はマルチトールの使用量も、また、保存及び/又は加工処理の条件についても、前述と同様に使用すれば、生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成抑制効果を有利に発揮させ、風味良好な各種魚介類可食物を容易に調製することができる。また、本発明のトリメチルアミン生成抑制剤を、例えば、醤油、味噌、食酢、みりん、新みりん、アミノ酸系、核酸系調味料、食塩など各種調味料とともに利用して、生の魚介類可食部からのトリメチルアミン生成抑制効果を発揮させ、風味豊かな惣菜や鍋物等を調製することも有利に実施できる。
【0014】
以上述べてきたように、本発明でいう魚介類可食物は、トレハロース及び/又はマルチトール共存下で、約5℃以下の冷蔵乃至冷凍条件下で保存、又は、干す、漬ける、焼く、煮る、蒸す、揚げる等の加工処理をしてもなお、トリメチルアミンの生成が抑制された魚介類可食部又はそれを含有する可食物若しくは組成物であって、風味良好な可食物である。
【0015】
以下、実験で、本発明を詳細に説明する。
【0016】
【実験1】
〈トリメチルアミンオキシドからのトリメチルアミンの生成抑制効果に及ぼす糖質共存の影響〉
試験糖質として、トレハロース、マルチトール、スクロース及びマルトースを用いて、糖質0乃至5%及び0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)を含む5%トリメチルアミンオキシド水溶液2mlを20ml容バイアル瓶に採取し、100℃で3時間加熱した後、室温まで放冷した。この溶液中のトリメチルアミン量をピクラート法(「食品分析法」、日本食品工業学会・食品分析法編集委員会編、674乃至676頁、1982年)により定量した。
【0017】
結果は表1にまとめた。
【0018】
【表1】
Figure 0003908868
【0019】
表1の結果から明らかなように、トレハロース又はマルチトールを共存させた系では、糖質無しの系と比較して、トリメチルアミンオキシドからのトリメチルアミン生成を著しく抑制することが判明した。スクロース又はマルトースを共存させた系では、その抑制作用がほとんど見られなかった。
【0020】
【実験2】
〈鯖肉水煮におけるトリメチルアミンの生成抑制効果に及ぼす各種糖質共存の影響〉
鯖肉をミンチ機でミンチにし、その10gを50ml容バイアル瓶に採取し、これに5%糖質水溶液5mlを添加して、ブチルゴム栓で密栓後、沸騰水浴中で15分間加熱した。糖質として、トレハロース、マルチトール、グルコース、フルクトース、キシロース、ソルビトール、スクロース、マルトース及びネオトレハロースを用いた。バイアル瓶を室温に放冷の後、予熱したヒートブロック中で80℃、5分間加温し、そのヘッドスペースガス(気相)2mlをガスシリンジにて採取し、ガスクロマトグラフィー(以下、GLCと略称する)により揮発性成分の分析を行った。GLCの装置はGC−14B(株式会社島津製作所製)、分析カラムはキャピラリーカラムTC−FFAP(内径0.53mm×長さ30m、膜厚1μm;ジーエルサイエンス株式会社製)、キャリアーガスは流速10ml/minのヘリウムガス、インジェクション温度は200℃、カラムオーブン温度は40℃に5分保持後、5℃/minの速度で200℃まで昇温、検出は水素炎イオン検出器で行った。また、同じ試料を対象として、熟練したパネラー6名により官能検査を行った。
【0021】
結果は表2にまとめた。
【0022】
【表2】
Figure 0003908868
【0023】
表2の結果から明らかなように、鯖肉ミンチの水煮時にトレハロース又はマルチトールを共存させた系は、糖質無しの系に比べ、トリメチルアミンの生成を著しく抑制しており、その生臭みをよく抑えることが判明した。これに対して、グルコース、フルクトース、キシロース、ソルビトール、スクロース又はネオトレハロースを共存させた系ではその抑制作用は認められなかった。また、マルトースを共存させた系では、その抑制作用は弱かった。
【0024】
【実験3】
〈トレハロース及び/又はマルチトールを共存させる時期の違いによる鯖肉のトリメチルアミン抑制作用〉
鯖肉の水煮時に、あるいは水煮後にトレハロース及び/又はマルチトールを添加し、それぞれの揮発性成分中のトリメチルアミン量について比較した。鯖肉ミンチ10gを50ml容バイアル瓶に採取し、濃度5%のトレハロース又はマルチトール水溶液5ml(鯖肉重量に対して、それぞれ2.5%に相当する。)を添加して、ブチルゴム栓で密栓後、沸騰水浴中で15分間加熱した。トレハロース及びマルチトールを共に含有させる場合には、濃度5%のそれぞれの糖質水溶液2.5mlずつを用いて同様に処理した。これらを水煮時糖質共存系とした。対照としては、糖質水溶液の代わりに水を同量添加したものを用いた。また、これらとは別に、鯖肉ミンチ10gを50ml容バイアル瓶に採取し、水5mlを添加して、ブチルゴム栓で密栓後、沸騰水浴中で15分間加熱し、室温まで冷却した。これに、トレハロース又はマルチトールの結晶を無水物換算で0.25g(濃度5%の糖質水溶液5mlに相当)添加し、溶解した後、再びブチルゴム栓で密栓して、80℃で30分間加温した。トレハロース及びマルチトールを共に含有させる場合には、それぞれの糖質結晶を無水物換算で、0.125gずつを用いて同様に処理をした。これらを水煮後糖質共存系とした。対照としては、結晶糖質を添加しないものを用いた。それぞれのバイアル瓶のヘッドスペースガスを実験2と同様にGLC分析にかけた。
【0025】
GLC分析の結果を表3にまとめた。
【0026】
【表3】
Figure 0003908868
【0027】
表3の結果から明らかなように、水煮時糖質共存系では、対照の糖質無しと比較して、トレハロース及び/又はマルチトール共存のいずれの場合にも、実験2と同様に、トリメチルアミンの生成を著しく抑制した。水煮後糖質共存系では、対照の糖質無しと比較して、トリメチルアミンの生成抑制効果は弱かった。トレハロース及び/又はマルチトールは、生の鯖肉加熱時のトリメチルアミン生成を抑制することによって、魚特有の生臭みを低下させているものと推察される。以上、実験1、2及び3の結果を合わせ考えると、生の魚肉の水煮におけるトレハロース及び/又はマルチトールの共存による魚臭抑制作用は、シクロデキストリン類の場合にみられるような魚臭成分の包接作用とは違って、魚肉中に含まれるトリメチルアミンオキシドからのトリメチルアミン自体の生成を積極的に抑制することによるものと判断される。また、トレハロース及び/又はマルチトールを共存させる時期は、魚介類可食部がトリメチルアミンを生成する際に予め共存させておくのが、その生成抑制効果を発揮させる上で重要である。換言すれば、一旦生成したものに共存させる場合には、一部マスキング効果が期待できるに過ぎないことが推察される。
【0028】
【実験4】
〈鯖肉からのトリメチルアミンおよびエチルメルカプタンの生成に及ぼす糖質共存の影響〉
鯖肉をミンチ機でミンチにし、その10gを50ml容バイアル瓶に採取し、これに種々の濃度のトレハロース水溶液5ml(トレハロース(含水結晶)を0.5g、1g又は2g含有。このトレハロース量は鯖肉重量に対してそれぞれ5%、10%又は20%に相当する。)を添加して、ブチルゴム栓で密栓後、沸騰水浴中で15分間加熱した。バイアル瓶を室温に放冷した後、80℃に予熱したヒートブロック中で5分間加温し、そのヘッドスペースガスをガスシリンジにて採取し、トリメチルアミン及びエチルメルカプタンの濃度を分析した。トリメチルアミンは、採取したヘッドスペースガス(1ml)を実験2と同様にしてGLCにより分析し、エチルメルカプタンは、採取したヘッドスペースガス(5ml)を成分分析用のガス検知管(商品名ガステックNo.72L:ジーエルサイエンス株式会社販売)に全量を通気して、それら揮発性成分の濃度を測定した。対照として、糖質無しの系、及び比較糖質としてソルビトール(無水結晶)を鯖肉重量に対して10%又は20%になるように添加した系も同様に試験した。
【0029】
結果は表4にまとめた。
【0030】
【表4】
Figure 0003908868
【0031】
表4の結果から明らかなように、トレハロースの共存は、生の魚介類の特異臭であるトリメチルアミンの生成を抑制すると共に、エチルメルカプタンの生成をも著しく抑制し、これらの効果はトレハロースの添加量に応じて高くなることが判明した。
【0032】
以下に、実施例Aでトリメチルアミン生成抑制剤を、実施例Bで魚介類可食物をあげ、本発明をさらに具体的に説明する。
【0033】
【実施例A−1】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
マルトース高含有シラップ(登録商標「マルスター」、株式会社林原商事販売)に水を加えて濃度約40%とし、これに特開平7−170977号公報で開示したマルトース・トレハロース変換酵素をマルトースグラム当たり2単位加え、35℃、pH7.0で16時間反応させた後、常法に従って、加熱失活し脱色精製し濃縮して、シラップ当たりトレハロース約20%とともにグルコース、マルトース等還元性糖質を含有する水分約30%、DE42のシラップ状製品を得た。本品は、室温で安定、取扱い容易であり、シラップ状トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に有利に利用できる。
【0034】
【実施例A−2】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
とうもろこし澱粉を濃度約30%の澱粉乳とし、これにα−アミラーゼを作用させて、DE15の液化溶液を得、次いで、特開平7−213283号公報で開示した非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり5単位及びトレハロース遊離酵素を澱粉グラム当たり10単位及びイソアミラーゼを澱粉グラム当たり50単位加え、pH6.0、温度40℃で24時間反応させ、次いで、β−アミラーゼを澱粉グラム当たり10単位加えて10時間反応させた。本反応液を加熱して酵素を失活させた後、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、濃縮して、シラップ当たりトレハロース約22%とともにグルコース、マルトース、マルトトリオース等還元性糖質を含有する水分約30%、DE約38のシラップ状製品を得た。本品は、室温で安定、取扱い容易であり、シラップ状トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に有利に利用できる。
【0035】
【実施例A−3】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
実施例A−2の方法で得たシラップ状製品をオートクレーブに入れ、ラネーニッケル10%を添加し、撹拌しながら温度を90乃至120℃に上げ、水素圧を20乃至120kg/cmに上げて水素添加を完了させた後、ラネーニッケルを除去し、次いで、常法に従って、脱色、脱塩して精製し、濃縮して、シラップ当たりトレハロース約21%とともにソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール等非還元性糖質を含有する水分約30%、DE1.0未満のシラップ状製品を得た。本品は、実質的に還元性を示さず、きわめて安定、取扱い容易であり、トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に有利に利用できる。
【0036】
【実施例A−4】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
水100重量部に、含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)20重量部、ソルビトール10重量部、塩化カルシウム0.1重量部及びクエン酸0.2重量部を溶解混合し、容器に充填、加熱殺菌し、更に冷却して、シラップ状製品を得た。本品は、トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に有利に利用できる。
【0037】
【実施例A−5】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
無水結晶トレハロース(株式会社林原商事販売)50重量部及び食塩50重量部を均一に混合して粉末製品を得た。本品は、トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に、とりわけ、低塩度塩漬用材料に有利に利用できる。
【0038】
【実施例A−6】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)20重量部、β−シクロデキストリン含有粉末(登録商標「デキシパール」、株式会社林原商事販売)2重量部、及びプルラン1重量部を均一に混合した後、常法に従って、造粒機で造粒して顆粒製品を得た。本品は、トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料に有利に利用できる。
【0039】
【実施例A−7】
〈トリメチルアミン生成抑制剤〉
含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)25重量部、無水結晶マルチトール(登録商標「マビット」、株式会社林原商事販売)25重量部、プルラン1重量部、酒石酸0.1重量部及びリンゴ酸0.1重量部を均一に混合し、常法に従って、打錠機で打錠して、直径8mm、厚さ4.5mmの錠剤を得た。本品は、トリメチルアミン生成抑制剤として、生の各種魚介類可食部の保存及び/又は加工処理材料、とりわけ、生の魚介類可食部を調理して、惣菜、鍋物等を調製する際に有利に利用できる。
【0040】
【実施例B−1】
〈魚卵加工品〉
実施例A−4の方法で得たシラップ状トリメチルアミン生成抑制剤を容器にとり、水で5倍希釈液とし、これに新鮮カズノコをざるに入れて浸漬し、1時間経過後ざるを上げて液切りして製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、冷蔵保存に変化が少なく、冷凍保存して解凍時のドリップが少なく、いずれの場合も、その鮮度をよく保持した。また、本品を、常法に従って、調理加工しても、トリメチルアミンのみならずエチルメルカプタンの臭気は低く、風味良好で、食感も良かった。
【0041】
【実施例B−2】
〈干物〉
生フグのフィレー100重量部に実施例A−5の方法で得た食塩含有トリメチルアミン生成抑制剤3重量部を均一にまぶして薄塩をし、次いでロール掛けして厚さ約8mmに延ばし、更に実施例A−4の方法で得たシラップ状トリメチルアミン生成抑制剤200重量部に30分間浸漬し、液切りし、一夜乾燥して製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、その鮮度をよく保存した干物であった。また、本品を、常法に従って、あぶってもトリメチルアミンのみならずエチルメルカプタンの臭気が低く、風味良好で食感もよかった。
【0042】
【実施例B−3】
〈煮干し〉
大釜に水100重量部を沸かし、これに実施例A−6の方法で得た顆粒状トリメチルアミン生成抑制剤2重量部を溶解し沸騰させ、次いで、これに生カタクチイワシ10重量部をざるに入れて浸漬して茹で上げ、ざるから取り出し、常法に従って乾燥させて製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、だしもよく取れ、その色調、風味も良好である。
【0043】
【実施例B−4】
〈煮干し〉
実施例B−3の方法で茹で上げたカタクチイワシを、更に、水100重量部に含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)60重量部を溶解し沸騰させた大釜に5分間浸漬し、次いで、ざるから取り出し、常法に従って乾燥させ、トレハロースの含水結晶を晶出させた製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、だしも早く取れ、その色調、風味も良好である。また、本品は、吸湿性が低く安定で甘味を有し、珍味、スナック食品、菓子風食品、健康食品等としても有利に利用できる。
【0044】
【実施例B−5】
〈アサリのむき身〉
大釜に水100重量部を沸かし、これに、実施例A−3の方法で得たシラップ状トリメチルアミン生成抑制剤3重量部を混合して沸騰させ、次いで、これに生アサリ10重量部をざるに入れて浸漬して茹で上げ、ざるから取り出し、常法に従って、アサリの水煮むき身を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、色、艶も良く、風味良好であった。本品を、更に佃煮にすることも、シーフードカレー、五目御飯などの調味材料に利用することも有利に実施できる。
【0045】
【実施例B−6】
〈茹でダコ〉
生タコ10重量部を実施例A−5の方法で得た食塩含有トリメチルアミン生成抑制剤を用いて、常法に従って塩もみし、これを、実施例A−7の方法で得たトリメチルアミン生成抑制剤3重量部を水100重量部に溶解し沸かした大釜に入れ茹で上げ、茹でダコを得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、色、艶も良く、風味良好であった。本品を、適当な大きさの切り身にし、寿司ネタに使うことも、酢の物、おでん等の惣菜に用いることも有利に実施できる。
【0046】
【実施例B−7】
〈ニシンの酢漬〉
生ニシンのフィレーを、実施例A−5の方法で得た食塩含有トリメチルアミン生成抑制剤を用いて、常法に従って薄塩し、室温で1時間経過後、これを食酢100重量部に実施例A−1の方法で得たトリメチルアミン生成抑制剤5重量部及びコンブ出し1重量部を溶解した調味液につけ、室温で5時間保ってニシンの酢漬を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、色、艶も良く、風味良好であった。本品を、適当な大きさの切り身にし、寿司のネタに使うことも、酢の物等の惣菜に用いることも有利に実施できる。
【0047】
【実施例B−8】
〈ブリの煮付け〉
生ブリの切り身100重量部を鍋に取り、これに実施例A−2の方法で得たトリメチルアミン生成抑制剤10重量部、醤油10重量部及びみりん5重量部及び水10重量部を加えて常法に従って煮付けた。本品はトリメチルアミンの生成をよく抑制し、色、艶も良く、風味良好であった。
【0048】
【実施例B−9】
〈魚肉練製品〉
解凍したスケソウすり身4,000重量部に対し、実施例A−6の方法で得たトリメチルアミン生成抑制剤80重量部、グルタミン酸ナトリウム80重量部、馬鈴薯澱粉200重量部、氷水300重量部、トリポリリン酸ナトリウム12重量部、食塩120重量部およびソルビトール10重量部とを溶解しておいた水溶液100重量部を擂潰し、約120gずつを定形して板付した。これらを、30分間で内部の品温が約80℃になるように蒸し上げた。続いて、室温で放冷した後、4℃で24時間放置して製品とした。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、風味良好で、肌面が細やかで、艶やかな光沢を有しており、食感も良好であった。
【0049】
【実施例B−10】
〈小イワシの揚物風製品〉
頭部と内臓を取り除き薄塩をした生の小イワシ1重量部を、水5重量部に含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)20重量部を加熱溶解し沸騰している温度107℃のシラップ(濃度約75%)に投入し、その温度が約114℃になるまで約40分間煮沸濃縮を続けてフライ様に加熱脱水処理を行い、これをざるを上げ、50℃で5時間通風乾燥して、表面にトレハロース含水結晶の付着した小イワシの揚物風製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、風味良好で、惣菜、珍味、つまみ等に好適であった。
【0050】
【実施例B−11】
〈エビの揚物風製品〉
外皮を取り除き適量のカレー粉をふりかけた生のエビ1重量部を、水10重量部に含水結晶トレハロース(登録商標「トレハオース」、株式会社林原商事販売)40重量部を加熱溶解し煮沸している温度約110℃のシラップ(濃度約80%)に投入し、温度が約114℃になるまで約5分間煮沸濃縮を続けてフライ様に加熱脱水処理を行い、次いでこれをざるに上げ、35℃で一夜通風乾燥して表面にトレハロース含水結晶の付着したエビの揚物風製品を得た。本品は、トリメチルアミンの生成をよく抑制し、風味良好で、惣菜、珍味、おやつ等に好適であった。
【0051】
【発明の効果】
上記したように、本発明は、従来技術とは全く違って、トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることにより、生の魚介類可食部からのトリメチルアミン自体の生成を抑制する方法とこの方法で得られた風味良好な魚介類可食物を提供するものであり、併せて、トレハロース及び/又はマルチトールを有効成分とするトリメチルアミン生成抑制剤とその用途を提供するものである。また、本発明は、トレハロース及び/又はマルチトールが、非還元性の糖質で安定であることから、生の魚介類可食部を保存及び/又は加工処理するに際して、それに含まれるビタミン、アミノ酸、ペプチド等の栄養成分、旨味成分を破壊することが少なく、得られる魚介類可食物が風味良好であるばかりでなくその栄養価も高い特徴を有している。従って、本発明の確立は、魚介類可食部の新たな保存及び/又は加工処理手段を提供するのみならず、利用面においても新たなシーフード資源を開拓することとなり、これが与える影響は広く、とりわけ、水産品、飲食品、健康食品、更には、シーフードを扱うレストラン等の業界に与える産業的意義は極めて高い。

Claims (7)

  1. トレハロース及び/又はマルチトールを含有せしめることを特徴とするトリメチルアミン生成抑制方法。
  2. 生の魚介類可食部を、トレハロース及び/又はマルチトールの共存下で、保存及び/又は加工処理することを特徴とするトリメチルアミン生成抑制方法。
  3. 保存が、約5℃以下の冷蔵乃至冷凍条件下で保存する方法である請求項2記載のトリメチルアミン生成抑制方法。
  4. 生の魚介類可食部における、エチルメルカプタンの生成をも抑制する請求項2又は3記載のトリメチルアミン生成抑制方法。
  5. トレハロース及び/又はマルチトールを有効成分とするトリメチルアミン生成抑制剤。
  6. トレハロース及び/又はマルチトールとともに還元性糖質、非還元性糖質、シクロデキストリン類、香辛料、酸味料、旨味料、酒類、水溶性多糖類及び無機塩から選ばれる他の物質の1種又は2種以上を含有せしめた請求項5記載のトリメチルアミン生成抑制剤。
  7. トリメチルアミンとともにエチルメルカプタンの生成をも抑制する請求項5又は6記載のトリメチルアミン生成抑制剤。
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