本発明は、電子写真方式の画像形成装置等に備えられ、感光体から記録媒体(記録用紙)を剥離するための記録媒体剥離爪に関する。特に、本発明は、剥離爪によって記録媒体に汚れが生じてしまうことを抑制するための対策に関する。
一般に、画像形成装置として、下記の特許文献1に開示されているような電子写真方式のものが知られている。この種の画像記録装置の一般的な構成について図16を用いて説明する。この画像記録装置は、原稿台101上に光を照射してその反射光をミラー102およびレンズ103を介して感光体110に露光する光学系10と、上記感光体110の周りに配設された現像装置111、転写装置112、クリーニング装置113および帯電装置114と、感光体110から転写された用紙上のトナーを定着させる定着装置120と、この定着装置120からの用紙を受ける排紙トレイ130と、上記感光体110に向けて用紙を給紙する給紙装置140とを備えている。
上記構成において、収納カセット141内の用紙は、給紙ローラ142によって給紙され、Uターンガイド143を通って搬送ローラ144により制御ローラ145(PSローラ)の手前まで搬送される。
そして、これと同時タイミングで、原稿台101(テーブルガラス)上の原稿が光露光され、ミラー102およびレンズ103による光路を通り、感光体110上に結像される静電プロセスによって感光体110上に形成された静電像は、現像装置111によりトナー像となる。
また、先に制御ローラ145前で停止していた用紙は、上記トナー像の上に重ね合わせるために、感光体110の回転に合わせて制御ローラ145が回転し、感光体110の表面へ搬送される。そして、感光体110に重ねられた用紙の背面から転写装置112による高圧チャージがなされ、これによって感光体110上のトナー像が用紙へ転写される。このとき、用紙に加わった高圧チャージにより、用紙は感光体110の表面へ静電的に付着されることになり、これを剥離する上で、転写装置112よりも感光体110の回転方向後側(用紙搬送方向の下流側)に用紙剥離機構150が設けられている。なお、図16中、146,147は用紙搬送用のガイド板である。
上記用紙剥離機構150は、感光体110の表面に対して当接または離間可能であって感光体110の表面に当接している状態で用紙を感光体110から剥離する複数の用紙剥離爪151,…を備えている。各用紙剥離爪151は、その用紙進行方向始端(用紙搬送方向の上流側端)において感光体110の表面に当接可能な爪体を有し、この爪体をスプリングの付勢力により感光体110に対し当接させるように付勢している。そして、上記各用紙剥離爪151は、複数のクラッチ機構を介してソレノイドに連結されており、このソレノイドを制御ローラ145と同期して駆動させることで、爪体をスプリングの付勢力に抗して感光体110に対し離間させるように接離方向に揺動自在に支持されている。
また、その他の用紙剥離機構としては、ソレノイドのON/OFF切り換えのみにより感光体に対して用紙剥離爪を接離動作させるようにしたものもあり、感光体に対する用紙剥離爪の接離動作は、プロセス速度、湿度と温度とよりなる設置環境、および用紙の種類に応じて定まる感光体からの剥離性に基づいてソレノイドのON/OFF切り換えを制御するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−27753号公報
特開2002−108110号公報
ところで、用紙剥離爪によって感光体から用紙を剥離するためには、用紙先端が用紙剥離爪の先端(以下、爪先端と呼ぶ)に達するまでに、この爪先端を感光体に当接させておく必要がある。つまり、連続搬送される用紙同士の間の感光体表面(用紙が接触しない感光体表面)に爪先端を予め当接させておく必要がある。ところが、この領域には所謂感光体のカブリ現象(感光体表面の電位が低下したことが原因でトナーが付着する現象)によって微量のトナーが付着している可能性があり、この場合、爪先端がこのトナーを感光体表面から掻き取り、この爪先端にトナーが付着した状態で用紙剥離動作が行われることになる。その結果、用紙を感光体から剥離するべく爪先端が用紙先端に接触した際に、この爪先端のトナーが用紙先端に付着してしまって用紙を汚してしまうことになる。
そして、従来の用紙剥離爪の形状によれば、用紙は、その搬送方向先端部ばかりでなく搬送方向の中央部も爪先端に接触しながら搬送されていくため、用紙中央部にも爪先端からのトナー付着が懸念される状況となっていた。
図17は、従来の一般的な用紙剥離爪151を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。また、図18(a)〜(f)は、この従来構成の用紙剥離爪151によって感光体110から剥離された用紙Pの搬送状態を順に示している。図18(b)は爪先端152が用紙先端に接触して剥離動作を開始するタイミングを示している。図18(c)は、感光体110から用紙Pを剥離した後であっても用紙の一部(用紙先端から所定寸法を存した中央部)が爪先端152に接触している状態を示している(図中に一点鎖線で囲んだ領域I参照)。この状態で爪先端152のトナーが用紙中央部に付着してしまい、この用紙中央部が汚れてしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光体から記録用紙を剥離するに際し、爪先端のトナーが用紙中央部に付着してしまうことを抑制できる記録媒体剥離爪を提供することにある。
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、記録媒体剥離爪に、感光体から記録媒体(用紙)を剥離するための本来の剥離爪としての機能部分と、この剥離した後の記録媒体が剥離爪の先端に接触し続けることがないように、この剥離爪先端から離間する方向に記録媒体を案内する案内機能部分とを一体的に形成するようにした。
−解決手段−
具体的に、本発明は、感光体表面から記録媒体を剥離するための剥離爪を前提とする。この剥離爪に対し、感光体表面に対して当接または離間する爪体と、この爪体よりも記録媒体搬送方向下流側に設けられた剥離爪接離機構と、これら爪体と剥離爪接離機構との間に設けられた支持部とを備えさせる。そして、上記爪体に、剥離機能部分と通過軌跡規制部分とを一体的に設けている。この剥離機能部分は、記録媒体における搬送方向下流端縁である記録媒体先端縁を感光体から剥離するように感光体表面に接触可能な部分である。また、通過軌跡規制部分は、剥離機能部分よりも記録媒体搬送方向下流側に位置し、記録媒体における上記先端縁以外の部分が上記剥離機能部分に接触しないように、搬送される記録媒体の通過軌跡を規制する部分である。また、上記剥離爪接離機構に拍車を備えさせる。この拍車は、上記爪体の剥離機能部分が感光体表面に接触している状態では、転写部において感光体表面に接し且つこの感光体よりも記録媒体搬送方向下流側に位置する定着用ローラ対のニップ部を通過する直線上にオーバラップする位置にある。そして、この直線上に沿って記録媒体が搬送されてこの記録媒体が拍車に接触することに伴い、上記支持部を揺動中心とする揺動により上記爪体の剥離機能部分が感光体表面から離間する構成としている。
この特定事項により、感光体上のトナー画像を記録媒体に転写した後に、この記録媒体を感光体から剥離する際には、先ず、感光体に接触している剥離機能部分に対して記録媒体の先端縁が当接し、これによって記録媒体は感光体から剥離されていく。その後、記録媒体は、通過軌跡規制部分を通過することになり、この際、記録媒体における先端縁以外の部分が上記剥離機能部分から離間された姿勢となって搬送される。このため、仮に、剥離機能部分にトナーが付着していたとしても、このトナーが記録媒体の中央部に付着してしまうことはなく、記録媒体中央部の汚れを防止することができる。
また、上記剥離爪接離機構によって、記録媒体先端縁が剥離機能部分を通過した直後に爪体の剥離機能部分を感光体表面から離間させることができるので、剥離機能部分が感光体表面に接触している時間を極力少なくすることができ、剥離機能部分が感光体表面に残っているトナー(上記カブリ現象に伴うトナー)を掻き取って汚れてしまうといった状況を抑制でき、その結果、記録媒体の先端縁に対する汚れも抑制できることになる。
記録媒体剥離爪の先端部の形状としてより具体的には以下のものが掲げられる。つまり、上記剥離機能部分は、剥離爪先端部に形成されている一方、通過軌跡規制部分は、剥離爪先端部と上記支持部との間の剥離爪表面に形成された山型形状の突起により形成されている。
このため、剥離機能部分によって感光体から剥離された記録媒体は、通過軌跡規制部分の山型の傾斜面に沿うように搬送され、これによって剥離機能部分から離間された姿勢となる。言い換えると、この通過軌跡規制部分の山型の傾斜面は、記録媒体が感光体から離れる方向に傾斜しており、この傾斜面によって記録媒体の剥離が促進されて、記録媒体は剥離機能部分から離間した姿勢となる。これにより、比較的簡単な形状により記録媒体中央部の汚れを防止することができる。
本発明では、記録媒体剥離爪に、感光体から記録媒体を剥離するための本来の剥離爪としての機能部分と、この剥離した後の記録媒体が剥離爪の先端に接触し続けることがないように、この剥離爪先端から離間する方向に記録媒体を案内する案内機能部分とを一体的に形成している。このため、仮に、剥離機能部分にトナーが付着していたとしても、このトナーが記録媒体の中央部に付着してしまうことはなく、記録媒体中央部に汚れを防止することができて、画像品質の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能を兼ね備えた複合機に本発明を適用した場合について説明する。
−複合機の全体構成の説明−
図1は本形態に係る画像形成機としての複合機1の内部構成の概略を示している。この図1のように、本複合機1は、スキャナ部2、画像形成部としてのプリント部3及び原稿自動給紙部4を備えている。以下、各部について説明する。
<スキャナ部2の説明>
スキャナ部2は、透明なガラス等で成る原稿台41上に載置された原稿の画像や原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22,23,24、結像レンズ25、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)26を備えている。
上記露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22,23,24は、図1に一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
原稿の画像読取動作として、上記原稿台41上に原稿が載置された場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21及び各反射鏡22,23,24が原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21及び各反射鏡22,23,24が図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
上記各反射鏡22,23,24で反射されて結像レンズ25を通過した光は光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
<プリント部3の説明>
プリント部3は、画像形成系31と用紙搬送系32とを備えている。
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31a及びドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、上記光電変換素子26において変換された原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。感光体ドラム31bは、図1中に矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
また、感光体ドラム31bの外周囲には、上記レーザスキャニングユニット31aの他に、現像装置(現像機構)31c、転写機構を構成する転写ユニット31d、クリーニング装置(クリーニング機構)31e、図示しない除電器、帯電ユニット31fが周方向に亘って順に配設されている。現像装置31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ユニット31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての画像形成用紙に転写するものである。クリーニング装置31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するようになっている。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ユニット31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるようになっている。
このため、画像形成用紙に画像を形成する際には、帯電ユニット31fによって感光体ドラム31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射する。その後、現像装置31cが感光体ドラム31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写ユニット31dによって、トナー像が画像形成用紙に転写される。更に、その後、感光体ドラム31bの表面に残留したトナーはクリーニング装置31eによって除去されると共に、感光体ドラム31bの表面の残留電荷が除電器によって除去される。これにより、画像形成用紙への画像形成動作(印刷動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の画像形成用紙に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
一方、用紙搬送系32は、用紙収容部としての用紙カセット33に収容された画像形成用紙を1枚ずつ搬送して上記画像形成系31による画像形成を行わせると共に、画像形成された画像形成用紙を用紙排出部としての排紙トレイ35へ排出するものである。
この用紙搬送系32は、主搬送路36と反転搬送路37とを備えている。主搬送路36は用紙カセット33の排出側に対向していると共に他端が排紙トレイ35に対向している。反転搬送路37は、一端が転写ユニット31dの配設位置よりも上流側(図中下側)で主搬送路36に繋がっていると共に、他端が転写ユニット31dの配設位置よりも下流側(図中上側)で主搬送路36に繋がっている。
主搬送路36の上流端(用紙カセット33の排出側に対向する部分)には断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されている。このピックアップローラ36aの回転により、用紙カセット33に収容されている画像形成用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
この主搬送路36における転写ユニット31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36d,36dが配設されている。このレジストローラ36d,36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と画像形成用紙との位置合わせを行いながら画像形成用紙を搬送するものである。主搬送路36における転写ユニット31dの配設位置よりも下流側には、画像形成用紙に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の定着ローラ39a,39bを備えた定着装置39が配設されている。この定着装置39の詳細については後述する。更に、主搬送路36の下流端には、画像形成用紙を排紙トレイ35に排紙するための排出ローラ36eが配設されている。
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1に実線で示す第1位置とこの第1位置から図中反時計回り方向に回動して反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには画像形成用紙が排紙トレイ35に向けて搬送され、第2位置にあるときには画像形成用紙が反転搬送路37へ供給可能となっている。反転搬送路37には搬送ローラ37aが配設されており、画像形成用紙が反転搬送路37に供給された場合(所謂スイッチバック搬送により画像形成用紙が反転搬送路37に供給された場合)には、この搬送ローラ37aによって画像形成用紙が搬送され、レジストローラ36dの上流側で画像形成用紙が反転されて再び転写ユニット31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、画像形成用紙の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
<原稿自動給紙部4の説明>
次に、原稿自動給紙部4について説明する。この原稿自動給紙部4は、所謂自動両面原稿搬送装置として構成されている。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿載置部としての原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排出部としての原稿排紙トレイ45及び各トレイ43,44,45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
上記原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には原稿ピックアップローラ47a及び捌きローラ47bが配設されている。捌きローラ47bの下側には捌き板47cが配設されており、原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚がこの捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図中B部分)よりも下流側にはPSローラ47e,47eが配設されている。このPSローラ47e,47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、このPSローラ47e,47eは原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、上記タイミングを調整して原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e,47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、上記露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。この際、上記スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。上記原稿押え板42bの背面(上面)には図示しないコイルスプリングによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触しており、原稿が原稿読取部42を通過する際にプラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42a上を通過した原稿が搬送ローラ47f及び原稿排紙ローラ47gを経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙される構成となっている。
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図中実線で示すポジション1とこのポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g,47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
−複合機の基本動作説明−
以上の如く構成された複合機1の動作として、先ず、本複合機1が、プリンタとして機能する場合には、パーソナルコンピュータ等のホスト装置から送信された印刷データ(イメージデータやテキストデータ)を受信し、この受信した印刷データ(プリントデータ)を図示しないバッファ(メモリ)に一旦格納していく。このバッファへのプリントデータの格納と共に、バッファからのプリントデータの読み出しを順次行って、この読み出したプリントデータに基づき、上述したプリント部3の画像形成動作により画像形成用紙に画像形成が行われる。
また、本複合機1がスキャナとして機能する場合には、上記スキャナ部2によって読み取った原稿のスキャン画像データをバッファに一旦格納していく。このバッファへのスキャン画像データの格納と共に、バッファからホスト装置へのスキャン画像データの送信を順次行って、このホスト装置のディスプレイ等に画像表示する。
更に、本複合機1がコピー機として機能する場合には、上記スキャナ機能によって読み取った原稿画像データに基づきプリント部3の画像形成動作によって画像形成用紙に画像形成が行われることになる。
−用紙剥離機構の説明−
本発明の特徴部分である用紙剥離爪を備えた用紙剥離機構について以下に説明する。この用紙剥離機構は、感光体ドラム31bから画像形成用紙を剥離するためのものである。先ず、用紙剥離機構の実施例1について説明する。
図2〜図4に示すように、用紙剥離機構311は、感光体ドラム31bに対し当接または離間して画像形成用紙Pを感光体ドラム31b上から剥離する2つ用紙剥離爪312,312を備えている。この各用紙剥離爪312は、転写ユニット31dに向かって主搬送路36を搬送される画像形成用紙Pの進行方向に対して直交する方向であって感光体ドラム31bの軸心に沿う方向に併設されている。そして、上記各用紙剥離爪312は、主搬送路36上における各用紙剥離爪312の画像形成用紙P進行方向始端(図2では左端)に設けられ、かつ上記感光体ドラム31bに対して当接または離間する爪体313と、主搬送路36上における各用紙剥離爪312の画像形成用紙P進行方向終端に設けられ、感光体ドラム31bから剥離された画像形成用紙Pを接触させながら案内する剥離爪接離機構を構成する案内部材314と、上記爪体313と案内部材314との間に設けられ、用紙剥離爪312を揺動自在に支持する支持部315とを備えている。この場合、支持部315が爪体313と案内部材314との間に設けられていることにより、各用紙剥離爪312の接離動作が支持部315を支点として無理なく円滑に行えることになる。
上記爪体313は、その先端が感光体ドラム31bの表面に対し隙間無く接するように鋭利な形状に形成され、感光体ドラム31bの表面へ静電的に付着された画像形成用紙Pを感光体ドラム31b上から円滑に剥離できるようになっている。尚、この爪体313の先端部分の形状の詳細については後述する。
また、案内部材314としては、各用紙剥離爪312の画像形成用紙P進行方向終端に回動自在に支持されたスターリング状の拍車314aが適用されている。この場合、案内部材314としてスターリング状の拍車314aが適用されていることにより、画像形成用紙Pを案内する際の画像形成用紙Pに対する接触面積が僅かなものとなり、爪体313が感光体ドラム31bの表面から離間しても搬送中の画像形成用紙P上の未定着トナー画像へ及ぼす影響を可及的に抑制することができることになる。
上記支持部315は、水平方向に延びる軸315aと、この軸315aを回動自在に支持する支持片315bとを有し、支持片315bの基部がクリーニング装置31eの下部の支持部材300に取り付けられている。そして、上記支持部315は、爪体313を感光体ドラム31bに対し自重により当接させるように付勢する一方、拍車314a(案内部材314)が画像形成用紙Pに対し接触しているときに爪体313を自重による付勢力に抗して感光体ドラム31bに対し離間させるように各用紙剥離爪312を揺動自在に支持している。この場合、図5に示すように、拍車314a(案内部材314)の先端は、定着ローラ39aと加圧ローラ39bとのニップ部間と、感光体ドラム31bと転写ユニット31dとの間を結ぶ直線mに対し、この直線mよりも転写ユニット31d側(加圧ローラ39b側)に位置するようにオーバーラップして配置されている。これにより、各用紙剥離爪312は、図3に示すように、感光体ドラム31bから剥離されて主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pに対し拍車314a(案内部材314)が接触していない状態では、自重によって爪体313を感光体ドラム31bに対し当接する位置に保持されている一方、図4に示すように、感光体ドラム31bから剥離されて主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pを拍車314a(案内部材314)によって接触しながら案内している状態では、上記直線m上を通る画像形成用紙Pに対し拍車314aが接触して画像形成用紙P進行方向終端(拍車314a)を感光体ドラム31b側(定着ローラ39a側)に持ち上げるように揺動し、爪体313が感光体ドラム31bに対し離間する位置まで移動するようになっている。
上述したように、各用紙剥離爪312の爪体313は、僅かな自重により感光体ドラム31bに当接しているので、爪体313が感光体ドラム31bに対し軽く押し付けられ、感光体ドラム31bの表面の傷付きを可及的に防止し、感光体ドラム31bの劣化を抑制することができる。しかも、このような各用紙剥離爪312による感光体ドラム31bへの影響は、自重による軽い押し付け力によってほとんど問題とならず、使用するにつれて画像上に現れることもなく、画像形成品位の低下を効果的に防止することができる。加えて、各用紙剥離爪312を感光体ドラム31bに対し接離動作させる専用のソレノイドが不要となり、用紙剥離機構311のコンパクト化を達成することができる。
また、各用紙剥離爪312の爪体313は、感光体ドラム31bから剥離されて主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pに対し拍車314a(案内部材314)が接触しているときに自重による付勢力に抗して感光体ドラム31bから離間するようになっているので、画像形成用紙Pの搬送状態に応じた正確な接離動作が行えることになる。このため、ソレノイドのON/OFF切り換えを制御して用紙剥離爪の爪体を接離動作させるもののように、プロセス速度、設置環境および用紙の剥離性に基づいて制御を行う制御回路が不要となる。その結果、用紙剥離機構311のコストダウンを図ることができる。
また、各用紙剥離爪312は、それぞれの爪体313の感光体ドラム31bに対する接離動作が独立して行われるように、クリーニング装置31e下部の支持部材300の底面略中央位置に支持片315bを介して個別に取り付けられている。
そして、拍車314a(案内部材314)および爪体313は、感光体ドラム31b上の静電潜像を現像するトナーの帯電極性(マイナス帯電極性)と同一のマイナス帯電極性のマイナス帯電系列材料、例えばミューライトD−401(登録商標)などにより形成されている。
<爪体313の先端部分の形状>
次に、本形態の特徴とする部分である爪体313の先端部分の形状及び用紙剥離爪312による用紙剥離動作について図6〜図8を用いて説明する。図6は、本形態に係る用紙剥離爪312を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。また、図7(a)〜(f)は、この用紙剥離爪312によって感光体ドラム31bから剥離された用紙Pの搬送状態を順に示している。また、図8は、従来の用紙剥離爪151による剥離動作と本実施形態に係る用紙剥離爪312による剥離動作とを比較するための模式図である。
先ず、図6を用いて用紙剥離爪312の爪体313の先端部形状について説明する。ここでは、従来の紙剥離爪との相違点についてのみ説明する。
図6に示すように、本形態の用紙剥離爪312の爪体313の先端部は、感光体ドラム31bに接触する剥離機能部分としての第1エッジ部320と、この第1エッジ部320から用紙搬送方向下流側に所定距離を存した位置に形成された通過軌跡規制部分としての第2エッジ部330とを備えている。また、この第1エッジ部320と第2エッジ部330との間には用紙Pの移動軌跡を案内するためのガイド面340が形成されている。
第1エッジ部320及び第2エッジ部330は共に山型に形成された突起で形成されており、例えば第1エッジ部320は角度80°の山型に形成されている。そして、ガイド面340は、この第1エッジ部320が感光体ドラム31bに接触している姿勢において斜め下方に角度25°(水平方向に対して下向きに25°)をもって傾斜している。そして、このガイド面340の一端縁(用紙搬送方向の下流側端縁)である第2エッジ部330は角度155°の山型で形成されており、この第2エッジ部330よりも用紙搬送方向下流側の面350は、第1エッジ部320が感光体ドラム31bに接触している姿勢において略水平方向に延びている。
以上のように先端部が形成された用紙剥離爪312による用紙剥離動作としては、先ず、図7(b)に示すように、感光体ドラム31bに静電的に付着された用紙Pの先端縁が第1エッジ部320に接触し、これによって用紙Pの先端縁が感光体ドラム31bから剥離される。
その後、用紙Pの搬送が進むと、この用紙Pの先端縁はガイド面340から第2エッジ部330に沿って斜め下方に案内されていく(図7(c)参照)。この案内動作に伴い、用紙Pの先端縁以外の部分は第1エッジ部320から浮き上がることになり(図7(c)において一点鎖線で囲んだ領域II参照)、仮に、この第1エッジ部320にトナーが付着していたとしても、このトナーが用紙Pに付着してしまうことはない。この状態を模式的に示したものが図8(b)であり、用紙Pの先端縁以外の部分が第1エッジ部(用紙先端剥離部)320から浮き上がっている。従来では、図8(a)に示すように、用紙の搬送方向中央部が爪先端に接触しながら搬送されていくため、この用紙中央部に爪先端からのトナー付着が懸念される状況であった。このような用紙剥離動作が行われるため、用紙剥離爪312の先端のトナーが用紙中央部に付着してしまうがなくなり、用紙の汚れを回避することができる。
このようにして用紙Pが搬送されていき、この用紙Pは第2エッジ部330に接触しながら更に下流側に搬送されていくことになる。そして、ある程度の搬送が進むと、用紙Pの剥離された部分(図7(d)で長さL1で示す部分)の自重の作用によって、第1エッジ部320の剥離機能を必要とすることなく用紙Pは感光体ドラム31bから剥離していく(図7(d))。そして、用紙Pが拍車314aに接触する位置まで搬送されると、上述した如く、爪体313が感光体ドラム31bに対し離間することになる。
尚、上記各用紙剥離爪312の拍車314aおよび爪体313は、感光体310b上の静電潜像を現像するトナーの帯電極性(マイナス帯電極性)と同一のマイナス帯電極性のマイナス帯電系列材料(例えばミューライトD−401など)により形成されている。このため、画像形成用紙P上の未定着トナー画像に対し拍車314aが接触しても、拍車314aへのトナーの付着が抑制され、拍車314aに付着したトナーによる画像形成用紙Pの汚染を効果的に防止することができる。
しかも、爪体313がトナーの帯電極性と同一のマイナス帯電極性のマイナス帯電系列材料により形成されていると、感光体ドラム31b上の残留トナーが、静電気的に爪体313に吸着することはなく、爪体313のトナー付着による画像形成用紙Pへの転移汚れを防止することができる。また、画像形成用紙Pが爪体313に当接あるいは近くを通過する際に画像形成用紙P上の未定着トナーを静電気的に引き寄せてしまう現象も防止できる。
なお、上記第1の実施例では、用紙剥離機構311に2つ用紙剥離爪312,312を設けたが、図11に示すように、主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pの進行方向と直交する方向に感光体ドラム31bの軸心に沿って4つの用紙剥離爪312,…を併設する用紙剥離機構510が設けられていてもよい。この場合、感光体ドラム31bの通紙領域の全域に亘るように用紙剥離爪312,…が配置されることになり、主搬送路360上をサイズの異なる画像形成用紙Pが搬送された際に感光体310bの表面からより確実に画像形成用紙Pを剥離することができることになる。
<感光体ドラムの脱着動作>
尚、図9および図10に示すように、上記感光体ドラム31b、用紙剥離機構311(各用紙剥離爪312)およびクリーニング装置31eは、複合機1に対し一体的に脱着されるようにプロセスカートリッジ500に収容されている。また、上記プロセスカートリッジ500は、上記感光体ドラム31b、用紙剥離機構311およびクリーニング装置31eがそれぞれ個別に脱着されるように構成されている。
ここで、上記プロセスカートリッジ500から感光体ドラム31bを脱着する手順について説明する。
先ず、プロセスカートリッジ500から感光体ドラム31bを離脱させる場合には、図9及び図10に示すように、感光体ドラム31bに対しクリーニング装置31eが真下となるようにプロセスカートリッジ500の姿勢を変換する。このとき、各用紙剥離爪312は、自重により感光体ドラム31bに対し爪体313が離間するように付勢されている。
それから、感光体ドラム31bの軸方向一端の固定キャップ500aを回転させて弛め、感光体ドラム31bから固定キャップ500aを矢印方向へ抜き取った後、図10に示すように、感光体ドラム31bを軸方向他端側に押し付けてから、感光体ドラム31bを上方(反クリーニング装置31e側)に引き出すことによって、感光体ドラム31bの離脱を行う。
一方、プロセスカートリッジ500に感光体ドラム31bを装着する場合には、上記とは逆の手順で行う。
次に、本発明の実施例2を図12に基づいて説明する。
この実施例では、各用紙剥離爪の構成を変更している。なお、各用紙剥離爪を除くその他の構成は、上記実施例1の場合と同じであり、同一の部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例では、図12に示すように、各用紙剥離爪520の支持部521は、水平方向に延びる軸521aと、この軸521aを回動自在に支持する支持片521bとを有し、支持片521bの基部がクリーニング装置31e下部の支持部材300に対し取り付けられている。
そして、上記支持部521は、爪体522の感光体31bに対する接離方向への移動量が拍車523の画像形成用紙Pに対する接触による移動量よりも少なくなる位置に設けられている。
具体的には、支持部521の軸521aの軸芯pから拍車523の軸523aの軸芯qまでの距離Hが、支持部521の軸521aの軸芯pから爪体522の先端までの距離Lの2倍に設定されている。
これにより、感光体31bから剥離されて主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pの案内時に拍車523に対して作用する画像形成用紙Pの当接力による拍車523の矢印方向への移動量が微小であっても、爪体522を確実に感光体31bの表面から離間させることができる。
次に、本発明の実施例3を図13に基づいて説明する。この実施例では、各用紙剥離爪の支持部の構成を変更している。なお、支持部を除くその他の構成は、上記実施例1の場合と同じであり、同一の部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例では、図13に示すように、主搬送路36上を搬送される画像形成用紙Pの進行方向と直交する方向であって感光体31bの軸心に沿って4つの用紙剥離爪312,…を併設する用紙剥離機構530が設けられている。
そして、画像形成用紙Pの進行方向と直交する上下方向において互いに隣り合う2つ1組の各用紙剥離爪312の支持部531は、各用紙剥離爪312に対しそれぞれ回転一体に連結された単一の軸531aと、この軸531aの両端を先端部において回動自在に支持する支持片531bとを備えている。
これにより、互いに隣り合う2つ1組の各用紙剥離爪312を支持部531において連結する単一の軸531aによって、各用紙剥離爪312の爪体313の感光体31bに対する接離動作が協働して行われることになり、小サイズの画像形成用紙Pの通紙時に、小サイズ通紙領域Sに対応する用紙剥離爪312の離接動作に伴って、非通紙領域O(小サイズ通紙領域外)の用紙剥離爪312の離接動作も同時に行われ、感光体31bの非通紙領域(通紙領域外)の不要な劣化の進行や感光体31bへの傷付きを効果的に抑制することができる上、2つ1組の用紙剥離爪312,312の協働した接離動作を非常に簡単な構成によって円滑に行うことができる。
なお、上記実施例3では、2つ1組の用紙剥離爪312の接離動作を協働して行うようにしたが、図13に仮想線(二点鎖線)で示すように、4つの用紙剥離爪312,…の全てを支持部531において連結する単一の軸531a’によって、4つの用紙剥離爪312,…の爪体313の感光体31bに対する接離動作が協働して行われるようにしてもよい。
次に、本発明の実施例4を図14に基づいて説明する。この実施例では、クリーニング装置下部の支持部材および各用紙剥離爪の材質を特定している。なお、支持部材および各用紙剥離爪を含むその他の構成は、上記実施例1の場合と同じであり、同一の部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施例では、図14に示すように、各用紙剥離爪312の爪体313の感光体31bに対する接離動作時に、各用紙剥離爪312とこの各用紙剥離爪312に接触する部材としてのクリーニング装置31e下部の支持部材300との静電的な付着を防止する静電付着防止手段601を備えている。この静電付着防止手段601は、帯電防止材料、例えばテクノポリマー社のエクセロイEK10により、支持部材300を成形してなるものである。
この支持部材300(帯電防止材料)の表面固有抵抗は、3×1011Ωに設定されている。具体的には、下記表1に示すように、支持部材300(帯電防止材料)の表面固有抵抗は、支持部材の材料を問わず、各用紙剥離爪312と支持部材300との静電付着を防止する上で、1013Ω以下に設定しておく必要があることが判る。
この場合、各用紙剥離爪312が帯電防止材料により成形されていないと、感光体31b上のトナー像が画像形成用紙Pに対し転写されることによって帯電する画像形成用紙Pが各用紙剥離爪313の爪体313近傍を通過するに従いその爪体313自体(各用紙剥離爪312)が帯電されることになり、各用紙剥離爪312の帯電による電荷が高くなると、クリーニング装置31e下部の支持部材300との接触部位aに静電付着した状態(図14に示す状態)となって、画像記録用紙Pの通過後も爪体313の感光体31bへの接触が行われないことになり、この状態では、次の画像記録用紙Pが搬送されて来ると、各用紙剥離爪312の爪体313の先端が画像記録用紙Pの搬送路上に位置して通紙を妨げ、画像記録用紙Pが爪体313の下方に潜り込んでジャムを発生しやすい状況となる。
したがって、本実施例では、各用紙剥離爪312の爪体313の感光体31bに対する接離動作時に各用紙剥離爪312が接触するクリーニング装置31e下部の支持部材300を帯電防止材料により成形する静電付着防止手段601によって、各用紙剥離爪312と支持部材300との静電的な付着が防止されることになり、各用紙剥離爪312の爪体313の感光体31bに対する接離動作を安定して行えて、各用紙剥離爪312による確実な用紙剥離性を実践することができる。
なお、上記実施例4では、帯電防止材料として、テクノポリマー社のエクセロイEK10(表面抵抗3×1011Ω)を適用したが、ポリプラスチック社のジュラコンES5(表面固有抵抗5×102Ω、体積抵抗1×102Ω・cm)を帯電防止材料として適用してもよく、この場合においても、同様の作用・効果が得られる。
また、上記実施例4では、支持部材300を帯電防止材料により成形したが、支持部材の表面に帯電防止剤、例えば近江技術研究所のオーミレックス♯9−1を塗布してなる静電付着防止手段が構成されていてもよく、この場合においても、同様の作用・効果が得られる。これに対し、図15に示すように、各用紙剥離爪312とこの各用紙剥離爪312に接触する支持部材300との接触部分a近傍に取り付けられた除電ブラシ600(除電部材)によって静電付着防止手段601が構成されていてもよく、この場合には、各用紙剥離爪312にたまった電荷を除電ブラシ600との接触による気中放電により除電することで、各用紙剥離爪312と支持部材300との静電付着を防止することができる。
更に、上記各実施例では、案内部材314としてスターローラ状の拍車314a(523)を適用したが、感光体から剥離された主搬送路上の画像形成用紙との接触部分が案内に適した形状(例えば円弧状など)であればよく、特に限定されるものではない。
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、複写機、プリンタ装置及びファクシミリ装置としての機能を兼ね備えた多機能型の複合機1に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、その他の画像形成機についても適用可能である。
また、用紙剥離爪312としては、先端部の形状として上記第1エッジ部320、第2エッジ部330、ガイド面340を備えておればよく、その他の箇所の形状については任意に変更可能である。
実施形態に係る複合機の内部構成の概略を示す図である。
実施例1に係るプロセスカートリッジの内部構成を示す斜視図である。
感光体ドラムに剥離爪が当接した状態を示す側面図である。
感光体ドラムから剥離爪が離間した状態を示す側面図である。
用紙剥離爪の拍車の動きを説明するための側面図である。
実施例に係る用紙剥離爪を示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
用紙剥離爪によって感光体ドラムから剥離された用紙の搬送状態を順に示す図である。
(a)は従来の用紙剥離爪による剥離動作を示し、(b)は実施例に係る用紙剥離爪による剥離動作を示す模式図である。
プロセスカートリッジから感光体ドラムを離脱させる場合の最初の作業手順を説明するための斜視図である。
プロセスカートリッジから感光体ドラムを離脱させる場合の次の作業手順を説明するための斜視図である。
実施例1の変形例に係るプロセスカートリッジの内部構成を示す斜視図である。
実施例2に係る用紙剥離爪の支持構造を示す側面図である。
実施例3に係るプロセスカートリッジの内部構成を示す斜視図である。
実施例4に係る用紙剥離爪と支持部材との静電付着状態を示す側面図である。
実施例4の変形例において用紙剥離爪が感光体ドラムから離間した状態を示す側面図である。
従来例に係る用紙剥離機構を備えた複写機の内部構成の概略を示す図である。
従来の用紙剥離爪を示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
従来の用紙剥離爪によって感光体ドラムから剥離された用紙の搬送状態を順に示す図である。
符号の説明
31b 感光体ドラム(感光体)
312,520 用紙剥離爪
314 案内部材(剥離爪接離機構)
315a 軸(回動軸)
320 第1エッジ部(剥離機能部分)
330 第2エッジ部(通過軌跡規制部分)
P 用紙(記録媒体)