JP3904486B2 - 車両用収納装置の荷掛けフック構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネルに配設された収納装置の荷掛けフック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車においては、フロントシートの前方に配設されたインストルメントパネルの助手席側に小物を収納する収納装置を配設するとともに、スーパーマーケット等での買物袋を吊り下げるためのフックを設ける場合がある。
【0003】
このようなフックを設ける場合には、車室内への出っ張りによる居住性の悪化を回避するために、従来、アンダートレイの開口縁部に収納部内側に突出するようにフック部を一体形成した構造が提案されている(特開2000−85439号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来公報のように、アンダートレイの開口縁部の内側にフック部を一体形成した構造を採用した場合には、収納物を出し入れする際にフック部が邪魔になり、大きな収納物を収納できない場合がある。
【0005】
また上記従来構造では、フック部が収納部内側に形成されていることから、乗員側からフック部の位置が分かり難く、このためアンダートレイの室内側表面に別途マーキング等をする必要があり、見栄えを悪化させるとともに、加工費がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、収納物の出し入れの邪魔になったりすることなく、また大型収納物にも対応でき、さらにはマーキングを不要にして見栄えの悪化及び加工費の上昇を回避できる車両用収納装置の荷掛けフック構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、フロントシートの前方に配置されたインストルメントパネルに収納開口を有する収納部を配設した車両用収納装置の荷掛けフック構造において、上記収納部内に仕切り板を着脱可能に装着し、該仕切り板に、小物収納袋を室内側に吊り下げるための荷掛けフック部を設け、上記仕切り板は、上記収納部を構成する前壁及び後壁に車両前後方向に移動不能に係合していることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記荷掛けフック部が、上記仕切り板の収納部内側に一体形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1において、上記荷掛けフック部が、上記仕切り板の収納開口部近傍にて車室側に位置する使用位置と、収納部内側に位置する格納位置との間で回動可能に軸支されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れかにおいて、上記収納開口部には上記仕切り板に当接して上記小物収納袋の荷重を支える補強リブが一体形成されていることを特徴としている。
【0011】
【発明の作用効果】
請求項1の発明にかかる荷掛けフック構造によれば、収納部内に仕切り板を着脱可能に装着し、該仕切り板に小物収納袋を室内側に吊り下げるための荷掛けフック部を設けたので、収納物の出し入れにフック部が邪魔になったり、大型収納物を収納する場合には、仕切り板を取り外すことにより容易に収納することができる。
【0012】
また仕切り板にフック部を設けたので、乗員側からフック部の位置が確認し易くなり、マーキング加工を不要にでき、見栄えの悪化を防止できるとともに、加工コストを低減できる。
【0013】
請求項2の発明では、フック部を仕切り板の収納部内側に一体形成したので、フック部を別体で形成する場合に比べてコストを低減できる。
【0014】
請求項3の発明では、フック部を車室側に位置する使用位置と、収納部内に位置する格納位置との間で回動可能に軸支したので、使用時にはフック部を室内側に位置させることにより荷掛け作業を容易に行なうことができ、また買物袋の大きさに関係なく吊り下げることができる。また格納時には収納部内に位置するので居住性が損なわれたりすることはない。
【0015】
請求項4の発明では、収納開口部に仕切り板に当接する補強リブを形成したので、仕切り板のフック部にかかる買物袋の荷重を補強リブで支えることができ、フック部や収納開口部の変形を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図8は、請求項1,2,4の発明の一実施形態による自動車用収納装置の荷掛けフック構造を説明するための図であり、図1は仕切り板が装着されたフリーラックの断面側面図、図2は仕切り板の脆弱部の要部拡大図、図3,図4は仕切り板の断面図(図1のIII-III 線断面図,IV-IV線断面図)、図5はフック部が形成された仕切り板の斜視図、図6はフリーラックの車幅方向中央部の断面側面図、図7はフリーラックの斜視図、図8はフリーラックが配設されたインストルメントパネルの概略図である。
【0018】
これらの図において、1は自動車のフロントシート(不図示)の前方に配設されたインストルメントパネルを示しており、該インストルメントパネル1の車幅方向中央部1aには空調ユニット,ラジオ等が配設されている。また上記インストルメントパネル1の助手席側にはラック開口1bが形成されており、該ラック開口1b内に樹脂製のフリーラック2が配設されている。
【0019】
上記フリーラック2は、車幅方向に延びかつ底の深い収納部3aを有するラック本体3に幅広の収納開口3bを形成した概略構造となっている。このラック本体3は、前壁4a及び左,右側壁4b,4bを有するインナパネル4と、底壁5a及び後壁5bを有するアウタパネル5とをインテグラルヒンジ6を介して一体形成した構造のものである。即ち、インナパネル4及びアウタパネル5の型抜きを可能とするために、図6の二点鎖線で示すように、アウタパネル5を下方に開いた状態で射出成形し、この後アウタパネル5をインテグラルヒンジ6を介して上方に回動させてインナパネル4に締結ねじ(不図示)等により固定して形成されたものである。そして上記後壁5bの上部にペットボトル7,ノートパソコン8,スプレー缶9等が出し入れ可能な大きさを有する上記収納開口3bが切り欠き形成されている。
【0020】
上記ラック本体3は前壁4aの上縁部4cを上記ラック開口1bの上縁1cに嵌合させるとともにボルト締め固定し、底壁5aに一体形成されたフランジ(不図示)を上記ラック開口1bの下縁1dにボルト締め固定することによりインストルメントパネル1に取付け固定されている。
【0021】
上記ラック本体3内には収納部3aを車幅方向に区分けする樹脂製の仕切り板10が着脱可能に配設されている。この仕切り板10は、上記収納部3aを構成する前壁4a,底壁5a,後壁5bに概ね沿う形状のものからなり、車幅方向の厚さが2mm程度の本体部10aと、該本体部10aの上辺から前辺の下部に渡って延び、車幅方向の厚さが10mm程度の横断面長方形状のフランジ部10bと、上記本体部10aの前辺の下部から底辺及び後辺の上端部に渡って延び、車幅方向の厚さが10mm程度の厚肉部10dとを一体形成して構成されており、該厚肉部10dには外方に拡がるテーパ状の係合溝10cが全長に渡って形成されている。
【0022】
また上記フランジ部10b及び厚肉部10dの上辺は上方に延びて合流しており、該合流部10eは上記後壁5bの上縁部5eに向かって延びる尖り形状となっている。
【0023】
上記ラック本体3内の仕切り板10の装着位置に対応する前壁4a,後壁5bにはそれぞれ上記係合溝10cに係合する凸部4d,5dが形成されている。この前側凸部4dは前壁4aを内方に台形状をなすよう突出させることにより形成されたものであり、後側凸部5dは後壁5bの内面に形成された各横リブ5d′を縦リブ5d″により一体に連結して形成されたものである。
【0024】
また上記後壁5bの上縁部5eは収納部3a内に位置するよう内側に屈曲形成されており、該屈曲部の上縁が上記収納開口3bとなっている。この上縁部5eと後壁5bとの間には補強リブ5fが一体に接続形成されている。この補強リブ5fは上下方向に間隔をあけて形成された複数の横リブ5f′同士を縦リブ5f″で一体に連結した構造となっており、これにより収納開口3b部の剛性を高めている。
【0025】
そして上記上縁部5eの先端面には上記合流部10eの上面に切り欠き形成された嵌合溝10fが係合している。このようにして仕切り板10はラック本体3の前壁4a及び後壁5bに係合して車両前後,左右,上下方向に移動不能に支持されている。
【0026】
ここで仕切り板10をラック本体3に装着するには、前,後凸部4d,5dに係合溝10cを係合させ、この状態で合流部10eを上縁部5eに押し込む、すると上縁部5eが弾性変形して先端面に嵌合溝10fが嵌合する。取り外す場合には、上縁部5eを外側に少し弾性変形されて合流部10eとの嵌合を解除し、この状態で仕切り板10を引き抜く。
【0027】
上記仕切り板10には荷掛けフック部10gが一体形成されている。この荷掛けフック部10gは上記合流部10eの上端に続いて内側に延びる舌辺部10g′を形成した構造となっている。この舌辺部10g′は乗員がフロントシートに着座した状態で収納開口3bから視認可能な位置に形成されている。また上記フック部10gには上縁部5eとともに補強リブ5fが当接しており、これによりフック部10gにかかる荷重を剛性の高い収納開口部で支えるようになっている。
【0028】
上記荷掛けフック部10gに例えば買物袋12を引っかけるとともに室内側に露出するように吊り下げることとなる。この場合、買物袋12の荷重は剛性の高い合流部10e及び上縁部5eの補強リブ5fが負担することとなる。
【0029】
そして上記仕切り板10にはラック本体3の後壁5bに乗員の膝部等による衝撃力Fが加わったときに該ラック本体3から離脱するとともに、座屈する衝撃吸収部が設けられている。
【0030】
上記衝撃吸収部は、上記仕切り板10の本体部10aに形成された多数の六角形を連続形成してなるハニカム状の開口10hと、上記仕切り板10の上辺及び下辺に形成された脆弱部10i,10jと、上記仕切り板10の後辺に形成された複数のスリット10kとから構成されている。
【0031】
上記上辺の脆弱部10iはフランジ部10bを該部分の肉厚が中心部程小さくなるように削り取ることにより形成されたノッチにより構成されている。また上記下辺の脆弱部10jは厚肉部10dをこれの肉厚が上下方向に小さくなるように削り取ることにより形成されたV溝により構成されている。そして各脆弱部10i,10jは仕切り板10の前後方向中央部を通る垂直線上に概ね一致するように形成されている。これにより上,下の脆弱部10i,jを結ぶ線に沿った折れ変形を誘発させるようになっている。
【0032】
上記各スリット10kは後辺下部の厚肉部10dの一部を薄肉10d″を介在させて囲むように形成されており、この各スリット10kにより囲まれた部分が折れ損部10d′となっている。上記折れ損部10d′は車幅方向左側の厚肉部10dにのみ形成されている。これにより後側凸部5dが衝撃力Fにより係合溝10c内に進入すると、折れ損部10d′が外れて後側凸部5dから離脱することとなる。
【0033】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0034】
本実施形態のフリーラック2は、ラック本体3の剛性及び使用性を高める観点から、ラック本体3の収納部3a内に仕切り板10を着脱可能に装着した構造となっている。このため車両の衝突時にフリーラック2に衝撃力Fが加わると、該衝撃力Fの大きさの如何によっては乗員の膝部に影響を与え、衝突安全性を損なうおそれがあった。
【0035】
これに対して本実施形態では、仕切り板10に衝撃力Fによりラック本体3から離脱するとともに座屈する衝撃吸収部を設け、該衝撃吸収部を仕切り板10の本体部10aに形成された多数の六角形を連続形成してなるハニカム状の開口10hと、上記仕切り板10の上辺及び下辺に形成された脆弱部10i,10jと、上記仕切り板10の後辺に形成された複数のスリット10kとから構成したので、フリーラック2に衝撃力Fが加わった場合には、仕切り板10がラック本体3から離脱するとともに座屈することによってラック本体3が変形して衝撃力Fを吸収することとなり、乗員の膝部への影響を抑制できる。
【0036】
一方、通常の使用時では、仕切り板10はラック本体3の前壁4a,後壁5bに形成された凸部4d,5dに係合しており、また仕切り板10の合流部10eの嵌合溝10fに上縁部5eの先端面が嵌合していることから、ラック本体3の外力に対する剛性は確保されており、また仕切り板10としての使用性も確保されている。
【0037】
本実施形態では、仕切り板10にハニカム状の開口10hを形成するとともに、仕切り板10の上辺,下辺に脆弱部10i,10jを形成したので、脆弱部10i,10jが折れを誘発するとともに、各開口10hの角部に応力が集中し、仕切り板10全体が前後に2つに折れ損し易くなり、衝撃力を効果的に吸収することができる。
【0038】
本実施形態では、仕切り板10の後辺下部の厚肉部10dに各スリット10kによる折れ損部10d′を形成したので、該折れ損部10d′が折れ変形して離脱し易くなり、この点からも衝撃力を効果的に吸収することができる。
【0039】
本実施形態の荷掛けフック構造によれば、ラック本体3内に仕切り板10を着脱可能に装着し、該仕切り板10に買物袋12を室内側に吊り下げるためのフック部10gを一体形成したので、収納物の出し入れにフック部10gが邪魔になったり、大型収納物を収納する場合には仕切り板10を取り外すことにより容易に収納することができる。
【0040】
また上記仕切り板10の上端にフック部10gを一体形成したので、乗員側からフック部10gを確認し易くなり、マーキング加工を不要にでき、見栄えの悪化を防止できるとともに、コストを低減できる。
【0041】
さらに上記フック部10gを収納部3aの内側に位置するように形成したので、車室内の居住性が損なわれたりすることはない。
【0042】
本実施形態では、仕切り板10のフック部10gが当接する上縁部5eと後壁5bとの間に補強リブ5fを形成したので、フック部10gにかかる買物袋12の荷重を補強リブ5fで支えることができ、フック部10gや収納開口3b部が変形したりするのを防止できる。
【0043】
なお、上記実施形態では、仕切り板10にフック部10gを一体形成したが、本発明は、フック部を車室側に位置する使用位置と、収納部内側に位置する格納位置との間で回動可能に軸支してもよく、このようにしたのが請求項3の発明である。即ち、図9,図10,図11に示すように、仕切り板15にこれと別体に形成されたフック部16をピン17により使用位置と格納位置との間で回動可能とした構造である。
【0044】
このように構成した場合には、使用時にはフック部16を室内側に位置させることにより買物袋の荷掛け作業を容易に行なうことができ、また買物袋の大きさに関係なく吊り下げることができる。また格納時には収納部ラック本体3内に位置するので居住性が損なわれたりすることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,2,4の発明の一実施形態による荷掛けフック構造を説明するための仕切り板が装着されたフリーラックの断面側面図である。
【図2】上記仕切り板の脆弱部の要部拡大図である。
【図3】上記仕切り板の断面図(図1のIII-III 線断面図)である。
【図4】上記仕切り板の断面図(図1のIV-IV 線断面図)である。
【図5】上記仕切り板の斜視図である。
【図6】上記フリーラックの車幅方向中央部の断面側面図である。
【図7】上記フリーラックの斜視図である。
【図8】上記フリーラックが配設されたインストルメントパネルの概略図である。
【図9】請求項3の発明の一実施形態による荷掛けフック構造を説明するための分解斜視図である。
【図10】上記フック部の取付け状態の図である。
【図11】上記フック部の回動状態の図である。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル
2 フリーラック(収納装置)
3 ラック本体(収納部)
3b 収納開口
5f 補強リブ
10,15 仕切り板
10g,16 荷掛けフック部
12 買物袋
Claims (4)
- フロントシートの前方に配置されたインストルメントパネルに収納開口を有する収納部を配設した車両用収納装置の荷掛けフック構造において、上記収納部内に仕切り板を着脱可能に装着し、該仕切り板に、小物収納袋を室内側に吊り下げるための荷掛けフック部を設け、上記仕切り板は、上記収納部を構成する前壁及び後壁に車両前後方向に移動不能に係合していることを特徴とする車両用収納装置の荷掛けフック構造。
- 請求項1において、上記荷掛けフック部が、上記仕切り板の収納部内側に一体形成されていることを特徴とする車両用収納装置の荷掛けフック構造。
- 請求項1において、上記荷掛けフック部が、上記仕切り板の収納開口部近傍にて車室側に位置する使用位置と、収納部内側に位置する格納位置との間で回動可能に軸支されていることを特徴とする車両用収納装置の荷掛けフック構造。
- 請求項1ないし3の何れかにおいて、上記収納開口部には上記仕切り板に当接して上記小物収納袋の荷重を支える補強リブが一体形成されていることを特徴とする車両用収納装置の荷掛けフック構造。
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