JP3903213B2 - 4−ビフェニリル酢酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消炎・鎮痛剤として有用な4−ビフェニリル酢酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−ビフェニリル酢酸は強力な消炎・鎮痛作用を有する化合物として、臨床的に広く使用されている化合物である。この4−ビフェニリル酢酸の製造方法としては、従来より以下の方法が提案されている。
(A):4−ビフェニルアルデヒドを原料とし、これを還元/ハロゲン化/シアノ化/加水分解の各工程に付し、4−ビフェニリル酢酸を製造する方法[German Patent No.658114(1936)]。
(B):ビフェニルを原料とし、無水酢酸と塩化アルミニウムによるフリーデル・クラフツ反応により4−アセチルビフェニルとした後、ウイルゲロット反応により4−ビフェニリル酢酸を製造する方法[ E.Schwenk & D.Papa:J.Org.Chem.,11,798(1946)] 。
(C):ビフェニルを酸化第二鉄および臭化カリウムの存在下にクロル酢酸と反応させ、4−ビフェニリル酢酸を製造する方法[Y.Ogata et al.,:J.Org.Chem.,16,239(1951)] 。
(D):オキサジン化合物とビフェニルのグリニヤ試薬との反応中間体を加水分解し、4−ビフェニリル酢酸を製造する方法[G.Ray Malone et al.,:J.Org.Chem.,39,618(1974)]。
(E):4−ビフェニルアルデヒドを塩基の存在下にN−アシルグリシンと反応させて得られたアズラクトン体を、加水分解/脱炭酸の工程に付し、4−ビフェニリル酢酸を製造する方法(特開昭62−45554号公報)。
【0003】
しかしながら上記の各製造方法にあっては、以下のような問題点が存在する。
(A)の方法は、工程数が多く、また反応収率が必ずしも高いものではなく、しかも猛毒であるシアン化合物を使用する点で、医薬品の工業的製造方法としては好ましいものではない。
(B)の方法は、反応工程で副生成物が多く、したがって高純度の生成物を得難く、必然的に反応収率が良くない。更にウイルゲロット反応で硫黄化合物を使用するため悪臭の問題がある。
(C)の方法は、短い工程で目的とする4−ビフェニリル酢酸を得る点で魅力的な方法ではあるが、反応副生成物が多く、極めて反応収率が低く、しかも反応条件が過酷なものであり、工業的製法としては不向きなものである。
(D)の方法は、グリニヤ試薬の工業的使用に難点があり、しかも原料が高価なものであるという問題点がある。
(E)の方法は、反応工程で副生成物が多く、したがって高純度の生成物を得るためには煩雑な操作を必要としなければならない。
したがって、これらの問題点が解決された、工業的規模での製造が可能な4−ビフェニリル酢酸の製造方法の確立が要求されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の状況に鑑み、4−ビフェニリル酢酸を工業的規模で作業性が良く、かつ収率良く製造し得る方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、4−ビフェニリル酢酸を安価な原料から、かつ収率良く製造する方法を見いだし、本発明を完成させたのである。
すなわち本発明は、次式(II):
【0006】
【化11】
【0007】
で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を還元することを特徴とする次式(I):
【0008】
【化12】
【0009】
で表される4−ビフェニリル酢酸の製造方法の提供にある。
この場合に、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸は、例えば、次式(III):
【0010】
【化13】
【0011】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは1または2の整数を表す。)
で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニルを、金属水酸化物による加水分解に付し得ることができる。更に別法としては、次式(IV):
【0012】
【化14】
【0013】
の4−ビフェニルアルデヒドを、相間移動触媒の存在下に、クロロホルムと金属水酸化物を反応させ、製造することもできる。
したがって、本発明の具体的態様としては、
▲1▼:式(III)で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニルを、金属水酸化物による加水分解に付し、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸とし、次いでこれを還元することによる4−ビフェニリル酢酸の製造方法の提供;
▲2▼:式(IV)の4−ビフェニルアルデヒドを、相間移動触媒の存在下に、クロロホルムおよび金属水酸化物と反応させ、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸とし、次いでこれを還元することによる4−ビフェニリル酢酸の製造方法の提供;
▲3▼:式(III)で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニルを、金属水酸化物による加水分解に付すことによる、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造方法の提供;
にある。
【0014】
これらの本発明の方法を化学式で示せば以下の反応式に記載したようにまとめられる。(なお、反応式中、カッコ内の数字は工程ナンバーを表す。)
【0015】
【化15】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を上記反応式の各工程を説明することにより詳細に説明する。
工程(1)は、式(III)で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニルを、金属水酸化物による加水分解に付し、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を製造する工程である。
この場合、式(III)で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニル中の定義Xとしては、塩素、臭素、フッ素、沃素等のハロゲン原子であり、特に塩素が好ましい。またnは1または2の整数を表すが、通常nは1よりも2のほうが好ましい。本工程において好ましく使用されるそのような4−ハロゲン化アセチルビフェニルとしては、例えば、4−ジクロロアセチルビフェニル、4−クロロアセチルビフェニル、4−ジブロモアセチルビフェニル、4−ブロモアセチルビフェニル、4−ジフルオロアセチルビフェニル、4−フルオロアセチルビフェニル等を挙げることができる。
【0017】
本反応は好ましくは適当な溶媒中、式(III)の化合物を金属水酸化物と反応させることにより行われるが、そのような溶媒としては、かかる反応に直接の影響を与えないものであれば任意に選択することができ、具体的には、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、あるいは水が好ましく使用できる。
式(III)の化合物と反応させる金属水酸化物としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)またはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)を挙げることができるが、なかでも本工程においては水酸化リチウムを使用することで好結果を与える。
【0018】
なお、本加水分解の工程においては金属水酸化物に代わる他の各種アルカリ加水分解も理論上可能であるが、例えば炭酸カリウム、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド等のアルカリを用いた加水分解では反応が進行しにくいことが判明した(後記実施例2〜5参照)。
本反応は、通常0℃〜用いる溶媒の沸点付近の温度、好ましくは20℃〜70℃の温度で行われ、反応時間は2〜48時間、通常は8〜24時間程度で完結する。なお、20℃以下の反応温度では反応速度が遅く、また70℃以上の反応温度では副反応が生じ易い。
本加水分解反応により、目的とする式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸は、自体公知の方法により反応溶液より結晶として単離することができる。
【0019】
工程(2)は、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の別の製造工程であり、式(IV)の4−ビフェニルアルデヒドを、相間移動触媒の存在下に、クロロホルムと金属水酸化物を反応させ、式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を製造する工程である。
反応に使用する相間移動触媒としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩、テトラn−ブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩が好ましく用いられる。かかる触媒の使用量は、4−ビフェニルアルデヒドに対して1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%を添加するのが良く、1重量%より少ないと反応が遅く、また20重量%を越えることは経済的でない。
クロロホルムと共に使用される金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物または、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物を挙げることができる。その使用量としては、4−ビフェニルアルデヒド1モルに対して4倍モル以上を必要とし、好ましくは5〜8倍モル用いるのが良い。
反応は、通常反応試薬となるクロロホルムを反応溶媒とし、これに水を加えた混合溶媒中行われるが、希釈溶媒として反応に直接の影響を与えないベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒等の不活性溶媒を一緒に用いることもできる。
反応温度は、好ましくは50℃〜使用溶媒の沸点付近の温度であり、温度が低いと反応速度が遅くなる傾向にある。
本反応においても、目的とする式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸は、自体公知の方法により反応溶液より結晶として単離することができる。
【0020】
工程(3)は、各工程(1)または(2)により製造された式(II)で表される4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を還元し本発明の目的化合物である式(I)で表される4−ビフェニリル酢酸を製造する工程である。
本還元反応は、触媒を用いる接触還元、亜鉛、錫あるいはアルミニウム−ニッケル合金(ラネーニッケル)などの金属試薬を用いる還元で好ましく行うことができる。
接触還元の場合に使用する触媒としては、パラジウム−カーボン、パラジウム黒、白金黒等を挙げることができ、その使用量は4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸に対する重量比で1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲である。なお、あまり触媒を多くするのは経済的ではなく、また触媒量が少ないと反応の完結までに時間がかかる。
反応温度は、一概に限定し得ないが、0℃〜150℃、好ましくは20℃〜120℃であり、反応温度を高くすると、ビフェニル環までも還元されたビシクロヘキシル環を生成するので好ましいものではない。
【0021】
本接触還元における反応圧は、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜10kg/cm2 の範囲内である。あまり反応圧を高くするのは特別な反応設備を必要とし実用的ではなく、しかもビフェニル環までも還元されたビシクロヘキシル環を生成するので好ましいものではない。
反応時間は用いる触媒、その触媒量、反応圧力および反応温度により一概に限定し得ないが、通常は2〜24時間で十分である。
本接触還元は溶媒を使用することなく行うこともできるが、反応を円滑に行うためには反応に直接の影響を与えない適切な溶媒中で行うのが好ましい。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、蟻酸、酢酸などの有機酸を挙げることができる。
【0022】
一方、金属試薬の中でも亜鉛、錫などの金属試薬を用いる還元により本工程を実施する場合には、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を適切な溶媒中に溶解させ、鉱酸、好ましくは塩酸の存在下に金属試薬を添加することにより行うことができる。この場合の金属試薬の使用量は、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸1モルに対して1〜10倍モル、好ましくは2〜5倍モル程度用いるのが良い。なお、反応溶液中に存在させる塩酸等の鉱酸の添加量としては、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸1モルに対して1〜100倍モル、好ましくは2〜10倍モル程度の範囲内であるのが良い。
反応に用いられる溶媒としては、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を溶解させる溶媒が好ましく、そのような溶媒としては蟻酸、酢酸などの有機酸類が好ましく使用され、特に蟻酸が好ましい。しかしながら、懸濁状態であっても反応と共に生成される4−ビフェニリル酢酸を徐々に溶解していく溶媒であれば使用し得ることはいうまでもない。反応温度は室温〜反応混合物の還流温度付近で行われるのが良く、好ましくは80℃〜120℃の範囲内で、より好ましくは使用する反応溶媒の沸点付近で行うのが良い。
【0023】
また金属試薬として、アルミニウム−ニッケル合金(ラネーニッケル)の金属試薬を用いる還元の場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、好ましくは水酸化カリウム水溶液に還元すべき4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を溶解させ、この溶解液中にラネーニッケルを少量ずつ添加していくのが良い。この場合のラネーニッケルの使用量は、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸1モルに対して、500〜1,500g程度用いるのが良い。反応温度は一概に限定し得ないが、反応溶液の還流温度付近で行うのが好ましい。
【0024】
以上の反応により生成した4−ビフェニリル酢酸の単離は、反応溶液を濾過して触媒を除去した後、通常の抽出操作、濃縮操作、さらには必要により再結晶等の自体公知の操作により行われ、4−ビフェニリル酢酸を結晶として得ることができる。
【0025】
なお、上記の工程において原料となる式(III)で表される4−ハロゲン化アセチルビフェニルは、例えば塩化アルミニウム、塩化第二錫、四塩化チタン等のルイス酸、好ましくは塩化アルミニウムの存在下、ビフェニルとハロゲン化アセチルハライドとを反応させるフリーデル・クラフツ反応により得ることができるほか、4−アセチルビフェニルを塩素、臭素等でハロゲン化することにより得ることができる(後記製造例を参照)。
【0026】
以下に本発明を製造例ならびに実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【製造例】
製造例1:4−ジクロロアセチルビフェニルの製造:
塩化アルミニウム80.8gを塩化メチレン200ml中に懸濁、撹拌させ、この懸濁液中にビフェニル77.1gおよびジクロロアセチルクロライド88.5gの塩化メチレン200ml溶液を−10℃で滴下した。同温度にて3時間反応させた後、水1000ml中に反応溶液を注入し、撹拌した。塩化メチレン層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、溶媒を減圧乾固した。残留物をイソプロパノールから再結晶し、4−ジクロロアセチルビフェニルを淡褐色結晶として112.5g(収率:84.9%)得た。融点:90〜91℃
IR(KBr,cm-1):3012,1692,1603,1237,798
NMR(270MHz,CDCl3 ),δ:6.70(1H,s,−CH−),7.39−8.17(9H,m,芳香環水素)
【0027】
製造例2:4−クロロアセチルビフェニルの製造:
製造例1において、ジクロロアセチルクロライドの代わりにクロロアセチルクロライドを用い、それ以外は製造例1と同様にして反応、処理し、4−クロロアセチルビフェニルを淡黄色結晶として100.1g(収率:86.8%)得た。
融点:128〜129℃
IR(KBr,cm-1):2945,1691,1604,1215,763
NMR(270MHz,CDCl3 ),δ:4.72(2H,s,−CH2 −),7.37−8.04(9H,m,芳香環水素)
【0028】
製造例3:4−ジブロモアセチルビフェニルの製造:
4−アセチルビフェニル [Loren M.Long, Henry R.Henze:J.Amer.Chem.Soc.,:63,1939(1940) の方法にい従い製造した]98.1gを塩化メチレン500ml中に溶解し、この溶液に臭素159.8gを0℃〜20℃にて滴下した。同温度にて2時間反応を行った後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧濃縮乾固した。残留物をイソプロパノール−トルエン混合溶媒から再結晶し、4−ジブロモアセチルビフェニルを淡褐色結晶として147.6g(収率:83.4%)得た。融点:118〜120℃
IR(KBr,cm-1):3020,1686,1601,1205,695
NMR(270MHz,CDCl3 ),δ:6.73(1H,s,−CH−),7.39−8.19(9H,m,芳香環水素)
【0029】
【実施例】
実施例1:4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造:
製造例1で得た4−ジクロロアセチルビフェニル7.95gをトルエン40mlに溶解し、水酸化リチウム一水和物9.44gの水40ml溶液を加え、60℃にて24時間反応させた。反応終了後、析出した4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸のリチウム塩を濾取し、塩酸にて遊離酸とした後メチルエチルケトンで抽出した。抽出液を減圧濃縮乾固し、メチルエチルケトン−n−ヘキサンから再結晶して、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を白色結晶として5.28g(収率:77.1%)得た。融点:196〜198℃
IR(KBr,cm-1):3415,1706,1062
NMR(270MHz,DMSO−d6 ),δ:5.08(1H,s,−CH−),5.89(1H,s,−OH),7.33−7.73(9H,m,芳香環水素),12.66(1H,br,−COOH)
【0030】
実施例2〜5:4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造:
実施例1において、水酸化リチウム一水和物に代えて下記の各種アルカリを用い、実施例1と同様に反応処理し、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の白色結晶を得た。
それらの結果を以下にまとめる。
【0031】
実施例6:4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造:
実施例1において、4−ジクロロアセチルビフェニルの代わりに、4−クロロアセチルビフェニル6.92gを用い、それ以外は実施例1と全く同様に反応処理を行い、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の白色結晶を3.30g(収率:48.2%)得た。
このものの物性値は、実施例1で得たものと完全に一致した。
【0032】
実施例7:4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造:
実施例1において、4−ジクロロアセチルビフェニルの代わりに、4−ジブロモアセチルビフェニル10.62gを用い、それ以外は実施例1と全く同様に反応処理を行い、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の白色結晶を3.66g(収率:53.5%)得た。
このものの物性値は、実施例1で得たものと完全に一致した。
【0033】
実施例8:4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸の製造:
4−ビフェニルアルデヒド91.1gをクロロホルム500ml中に溶解させ、さらにテトラn−ブチルアンモニウムブロマイド16gを加え、この溶液中に50%水酸化ナトリウム水溶液20gを56℃で滴下した。同温度にて4時間反応させた後、濃塩酸30mlを注入して酸性とし、メチルエチルケトン500mlで抽出した。抽出液を減圧濃縮乾固し、メチルエチルケトン−n−ヘキサンから再結晶して、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸を白色結晶として83.3g(収率:73.0%)得た。
このものの物性値は、実施例1で得たものと完全に一致した。
【0034】
実施例9:4−ビフェニリル酢酸の製造:
500mlのオートクレーブに、4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸22.8g、イソプロパノール200mlおよび5%パラジウム−カーボン1.0gを仕込み、水素圧0.3kg/cm2 とし、80℃にて8時間還元反応を行った。反応終了後、触媒を濾過して除き、濾液を濃縮乾固した後、残留物をメチルエチルケトンから再結晶し、4−ビフェニリル酢酸を白色結晶として14.1g(収率:66.4%)得た。融点:163〜164℃
IR(KBr,cm-1):3426,1690,1259,929
NMR(270MHz,DMSO−d6 ),δ:3.61(2H,s,−CH2 −),7.31−7.66(9H,m,芳香環水素),12.29(1H,br,−COOH)
【0035】
実施例10:4−ビフェニリル酢酸の製造:
4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸22.8gを蟻酸400mlに溶解させ、亜鉛末32.6gを加え、この溶液に濃塩酸200mlを100℃にて2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて2時間反応させ、メチルエチルケトン500mlを注入して不溶物を濾過した。有機層を水洗した後減圧乾固し、残留物をメチルエチルケトンから再結晶し、4−ビフェニリル酢酸を白色結晶として16.7g(収率:78.7%)得た。
このものの物性値は、実施例9で得たものと完全に一致した。
【0036】
実施例11:4−ビフェニリル酢酸の製造:
4−ビフェニル−α−ヒドロキシ酢酸22.8gを水酸化カリウム561gの水600ml溶液に溶解させ、この溶液にラネーニッケル100gを90℃にて徐々に添加した。発泡が収まった後、100℃にて2時間反応を行った。反応終了後、不溶物を濾過して除き、濾液に濃塩酸120mlを注入し、析出した結晶を濾取し、4−ビフェニリル酢酸を白色結晶として18.0g(収率:84.8%)得た。
このものの物性値は、実施例9で得たものと完全に一致した。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は優れた消炎・鎮痛作用を有する4−ビフェニリル酢酸を容易に、かつ収率良く、工業的に製造し得る方法を提供するものであり、4−ビフェニリル酢酸の価格低減に大きく寄与する点で有用性が高く、産業上の利用価値は多大なものである。
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