JP3893793B2 - MgO蒸着材及びその製造方法 - Google Patents

MgO蒸着材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子又はアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を含む複合セラミックからなるMgO系蒸着材及びその製造方法に関する。更に詳しくは、AC型PDP(Plasma Display Panel)の誘電体層を保護するMgO膜を成膜するのに好適なMgO系蒸着材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ここ数年、平面ディスプレイ、なかでもプラズマ発光を用いた大型ディスプレイパネルの研究開発と実用化はめざましく、その生産も急増している。カラープラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、その開発と実用化の動きが活発化しており、ハイビジョン用大画面壁掛けテレビの最短距離にあり、対角40インチクラス以上のPDPの試作が進められている。
PDPは、電極構造の点で放電空間に金属電極が露出しているDC型と、金属電極が誘電体層で覆われているAC型とに分類される。このAC型PDPの開発の当初は、ガラス誘電体層が放電空間に露出していたため、直接放電にさらされ、イオン衝撃のスパッタリングにより誘電体層表面が変化して放電開始電圧が上昇し、パネル寿命等に安定性が得られなかった。
【0003】
そのため、上記イオン衝撃のスパッタリングで変化しないという、重要な役割を担う種々の酸化物を誘電体層の保護膜とする試みがなされている。即ち、保護膜に求められる特性は、▲1▼低い放電電圧、▲2▼耐スパッタ性、▲3▼速い放電の応答性、▲4▼絶縁性、である。これらの条件を満たす材料として、MgOが挙げられる。このMgOからなる保護膜は、誘電体層表面をスパッタリングから守り、PDPの長寿命化に重要な働きをする。またMgOは材料としての仕事関数が小さく、二次電子を放出し易いため、放電時の駆動電圧が低くなるという利点を有する。
【0004】
現在、AC型PDPの上記保護膜として、単結晶MgOの破砕品を蒸着材とする電子ビーム蒸着法により成膜されたMgO膜が一般的である。なお、単結晶MgOの破砕品は純度が98%以上のMgOクリンカや軽焼MgO(1000℃以下で焼結されたMgO)を電弧炉(アーク炉)で溶融することにより、即ち電融によりインゴットとした後、このインゴットから単結晶部を取り出して破砕することにより製造される。この電子ビーム蒸着法によるMgO膜は1000Å/分程度の速度で成膜されている。
また、成膜されたMgO膜は、低い維持電圧で駆動でき、更に膜中に存在する(111)面の量が増えるほど、二次電子放出比は増大し、駆動電圧も減少すると言われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の単結晶MgOの破砕品を蒸着材として用いた電子ビーム蒸着法では、成膜速度が速い利点がある反面、破砕品であるため、形状が均一でなく、スプラッシュが発生し易い不具合があった。
また、上記従来の単結晶MgOの破砕品を蒸着材として用いた電子ビーム蒸着法では、単一の組成からなるため、異種原料を混合した成膜には適さず、また成膜面積が広いときには、膜厚及び膜組成を均一にすることが難しい問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、電子ビーム蒸着法による成膜時にスプラッシュが発生せず、成膜面積が広くても、膜厚及び膜組成が均一なMgO膜を得ることができる、MgO蒸着材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、電子ビーム蒸着法による成膜後、低い電圧でプラズマを生成しかつ維持することができ、放電時の耐スパッタ性,速い放電の応答性及び高い絶縁性を有するMgO膜を得ることができる、MgO蒸着材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、MgO焼結体のMgOマトリックス粒界の欠陥を低減することができ、かつ強度も向上することができ、またMgO焼結体のMgOマトリックスを均一な組織にすることができる、MgO蒸着材及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子が0.5〜50体積%分散されたMgO蒸着材であって、アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であることを特徴とする。
この請求項1に記載されたMgO蒸着材では、異方性のないMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子を分散して複合化を行うことにより、MgO焼結体の物理的性質を改善できる。
【0008】
例えば、Al23マトリックスにSiC粒子を分散させた場合には、分散粒子の熱膨張係数がAl23マトリックスより2倍以上小さいため、焼結時にこの熱膨張係数の差に起因して焼結過程で分散粒子の周囲や内部に応力が発生する。この応力は1000MPa〜1500MPaに達する程大きいため、Al23マトリックスと分散粒子の界面に亀裂が走る場合がある。従って、これを防ぐには、非常に細かいSiC粒子を分散させなければならない問題点がある。
これに対して本発明では、アルカリ土類金属酸化物粒子が高温で軟化し、その熱膨張係数が高温でMgOマトリックスの熱膨張係数(約14×10-6/℃)の約0.7〜0.9倍になる。MgOマトリックスに対するアルカリ土類金属酸化物粒子の高温時の熱挙動から、焼結時にMgOマトリックスと分散粒子はその界面で強く結合する。この界面での強い結合により、蒸着材として用いた場合に、数千オングストローム/分以上の成膜速度が得られる。
【0009】
上述のように分散粒子であるアルカリ土類金属酸化物粒子は、高温で軟らかくなるために、高温ではマトリックスと分散粒子との熱膨張係数の差は、小さくなる。従って、界面に亀裂を発生させない範囲で大きなアルカリ土類金属酸化物粒子を分散させることが可能で、そのためにマトリックス粒界を締め付けるトータルの領域が大きくなり、粒界の欠陥も少なく、かつ強度も向上する。
更にアルカリ土類金属酸化物粒子を添加することにより、MgO焼結体のMgOマトリックスが均一な組織となる。
【0010】
請求項に係る発明は、相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子が合計0.5〜50体積%分散されたMgO蒸着材であって、アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種の元素であり、希土類酸化物粒子中の希土類元素がSc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の元素であることを特徴とする。
【0011】
この請求項2に記載されたMgO蒸着材では、希土類酸化物粒子がアルカリ土類金属酸化物粒子と同様に、高温で軟化し、その熱膨張係数が高温でMgOマトリックスの熱膨張係数(約14×10-6/℃)の約0.7〜0.9倍になる。この結果、MgOマトリックスに対するアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子の高温時の熱挙動から、焼結時にMgOマトリックスと分散粒子はその界面で強く結合する。また分散粒子であるアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子は、高温で軟らかくなるために、請求項1に記載されたMgO蒸着材と同様に、高温ではマトリックスと分散粒子との熱膨張係数の差が小さくなり、界面に亀裂を発生させない範囲で大きなアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を分散させることが可能となる。そのためにマトリックス粒界を締め付けるトータルの領域が大きくなり、粒界の欠陥も少なく、かつ強度も向上する、即ちMgO焼結体の物理的性質を改善できる。
またアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を添加することにより、MgO焼結体のMgOマトリックスが均一な組織となる。
【0012】
上記請求項に係るMgO蒸着材は、MgO粉末とCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアルカリ土類金属の酸化物粉末又は炭酸塩粉末とバインダと有機溶媒とを混合して所定濃度の混合スラリーを調製する工程と、このスラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を得る工程と、この造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する工程と、この成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結する工程とを含む製造方法で製造されることが好ましい。
また上記請求項に係るMgO蒸着材は、MgO粉末とCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種のアルカリ土類金属の酸化物粉末又は炭酸塩粉末とSc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の希土類酸化物粉末とバインダと有機溶媒とを混合して所定濃度の混合スラリーを調製する工程と、このスラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を得る工程と、この造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する工程と、この成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結する工程とを含む製造方法で製造されることが好ましい。
【0013】
なお、上記アルカリ土類金属酸化物粉末はアルカリ土類金属元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製され、希土類酸化物粉末は希土類元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製されることが好ましい。
上記製造方法で製造されたMgO蒸着材では、焼結工程で緻密に焼結され、この蒸着材のMgOマトリックス内に分散相であるアルカリ土類金属酸化物粒子又はアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子が均一に分散される。
【0014】
上記請求項1又は2記載のMgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法によりMgO膜を成膜すると、二相共存、即ちMgOマトリックスと分散粒子とが固溶体や反応物を形成しない状態で蒸発するので、高速で安定な成膜が可能となり、またスプラッシュが発生せず、成膜面積が広くても、膜厚及び膜組成が均一なMgO膜を得ることができる。またこのMgO膜はMgO中にアルカリ土類金属酸化物粒子又はアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子をドーピングした構造、即ちMgO中に上記アルカリ土類金属酸化物粒子等を固溶した構造、或いはスピネル構造であるので、MgO膜の配向性は向上する。この結果、このMgO膜を成膜した基板をPDPに組込むと、低い電圧でプラズマを生成しかつ維持することができ、放電時の耐スパッタ性を向上でき、速い放電の応答性及び高い絶縁性を得ることができる。またMgO膜が蛍光体に悪影響を及ぼすことはなく、青色に関係する輝度も向上することができる。即ち、AC型PDPの誘電体層の保護膜に好適なものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第1の実施の形態を説明する。
本発明のMgO蒸着材は、相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μm、好ましくは2〜50μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子が0.5〜50体積%、好ましくは1〜30体積%、更に好ましくは5〜25体積%分散されたものである。この蒸着材はマトリックスとしてMgOを用い、かつ分散相(分散粒子)としてアルカリ土類金属酸化物粒子を用いたセラミック焼結体である。上記アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素としては、Ca,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素が用いられることが好ましい。また分散粒子の平均粒径は3.0μm以下であることが好ましく、分散粒子の含有割合はMgOマトリックス及び分散粒子の合計に対する内割の割合である。
【0016】
上記MgOマトリックスの平均結晶粒径を0.3〜100μmの範囲に限定したのは、この範囲においてMgOマトリックスの組織制御が可能なためである。また分散粒子の平均粒径を3.0μm以下に限定したのは、MgOマトリックスの組織構造を制御し易く、また残留応力がある限度以上になってもマイクロクラックが発生しないためである。なお、分散粒子の平均粒径が3.0μmを越えるとマイクロクラックが発生し易くなる。
【0017】
このように構成された本発明のMgO蒸着材の製造方法を説明する。
平均粒径が0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2μmのMgO粉末に、平均粒径が0.2〜3.0μmのアルカリ土類金属酸化物粉末とバインダとを合計0.2〜2.5重量%添加し、更にエタノールやプロパノール等を分散媒として湿式混合して濃度が40〜70重量%の混合スラリーに調製する。上記アルカリ土類金属酸化物粉末はこのアルカリ土類金属酸化物粉末とMgO粉末との合計体積に対してアルカリ土類金属酸化物粉末が0.5〜50体積%となるように秤量してMgO粉末に加えられる。また上記湿式混合はボールミル又は撹拌ミルにより行われる。上記MgO粉末の粒径を0.1〜5μmの範囲に限定したのは、焼結し易くするためである。また分散粒子の添加量、即ちアルカリ土類金属酸化物粉末の添加量を0.5〜50体積%の範囲に限定したのは、0.5体積%未満ではアルカリ土類金属酸化物粉末を添加した効果が乏しく、50体積%を越えると、材料組織の制御が困難となり、耐スパッタ性や絶縁性にバラツキが生じ、材料の信頼性がなくなるからである。分散粒子の添加量が上記範囲内であれば、MgOマトリックス中に分散粒子が均一に取り込まれかつMgOマトリックスの組織を制御でき、成膜した膜特性も向上する。
【0018】
上記アルカリ土類金属酸化物粉末はアルカリ土類金属元素の水酸化物又は炭酸塩を熱分解することにより作製されることが好ましい。例えば、アルカリ土類金属元素の水酸化物としては水酸化カルシウム、炭酸塩としては炭酸カルシウムが用いられる。また上記混合スラリーの濃度を40〜70重量%に限定したのは、この範囲内であれば混合スラリーの粘度が200ppm以下であり、スプレードライ造粒しても安定して製造できること、更には後述する成形体の密度が高くなり、緻密な焼結体の製造が可能になるためである。混合スラリーの濃度が70重量%を越えると、非水系スラリーであるために、安定した造粒が難しく、40重量%未満では、均一な組織を有した緻密なMgO焼結体が得られない。
【0019】
次に上記混合スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜200μmの造粒粉末を得た後、この造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましく、ペレットの成形には、メカニカルプレス法、タブレットマシン法又はブリケットマシン法のいずれかの金型プレス法を用いて行われることが好ましい。
【0020】
更に上記成形体を1450℃〜1700℃で焼結する。焼結する前に成形体を350〜620℃の温度で脱脂処理することが好ましい。この脱脂処理は、成形体の焼結後の色むらと反りを防止するために行われ、時間をかけて十分に行うことが好ましい。上記成形体の焼結温度を1450℃〜1700℃に限定したのは、1450℃未満では緻密な焼結体が得られず、1700℃を越えると粒成長が著しく速く、特性が低下するからである。また、成形体を不活性ガス雰囲気中で焼結する場合には、不活性ガスとしてアルゴンガスを用いることが好ましい。このようにして相対密度が95%以上の緻密なMgO蒸着材が得られる。
【0021】
上記MgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法によりMgO膜を基板等に成膜すれば、高速で安定な成膜が可能となり、またスプラッシュが発生せず、成膜面積が広くても、膜厚及び膜組成が均一なMgO膜を得ることができる。またこのMgO膜はMgO中にアルカリ土類金属酸化物粒子をドーピングした構造、即ちMgO中に上記アルカリ土類金属酸化物粒子を固溶した構造、或いはスピネル構造であるので、MgO膜の配向性は向上する。この結果、このMgO膜を成膜した基板をPDPに組込むと、低い電圧でプラズマを生成しかつ維持することができ、放電時の耐スパッタ性を向上でき、速い放電の応答性及び高い絶縁性を得ることができる。またMgO膜が蛍光体に悪影響を及ぼすことはなく、青色に関係する輝度も向上することができる。従って、AC型PDPの誘電体層の保護膜に好適であり、また高機能セラミック材料の保護膜などにも適用できる。
【0022】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
本発明のMgO蒸着材は、相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μm、好ましくは2〜50μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子が合計で0.5〜50体積%、好ましくは1〜30体積%、更に好ましくは5〜25体積%分散されたものである。この蒸着材はマトリックスとしてMgOを用い、かつ分散相(分散粒子)としてアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を用いたセラミック焼結体である。上記アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素としては、Ca,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種の元素が用いられ、希土類酸化物粒子中の希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の元素が用いられることが好ましい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0023】
このように構成された本発明のMgO蒸着材の製造方法を説明する。
平均粒径が0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2μmのMgO粉末に、平均粒径が0.2〜3.0μmのアルカリ土類金属酸化物粉末及び希土類酸化物粉末と、バインダとを合計0.2〜2.5重量%添加し、更にエタノールやプロパノール等を分散媒として湿式混合して濃度が45〜70重量%の混合スラリーに調製する。上記アルカリ土類金属酸化物粉末及び希土類酸化物粉末はアルカリ土類金属酸化物粉末と希土類酸化物粉末とMgO粉末との合計体積に対してアルカリ土類金属酸化物粉末及び希土類酸化物粉末が0.5〜50体積%となるように秤量してMgO粉末に加えられる。分散粒子の添加量、即ちアルカリ土類金属酸化物粉末及び希土類酸化物粉末の合計添加量を0.5〜50体積%の範囲に限定したのは、0.5体積%未満ではアルカリ土類金属酸化物及び希土類酸化物を添加した効果が乏しく、50体積%を越えると、材料組織の制御が困難となり、耐スパッタ性や絶縁性にバラツキが生じ、材料の信頼性がなくなるからである。
【0024】
上記希土類酸化物粉末は希土類元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製されることが好ましい。例えば、希土類元素の水酸化物としては水酸化ランタン[La(OH)3]、炭酸塩としては炭酸ランタン[La2(CO33]、蓚酸塩としては蓚酸ランタン[La2(C243・10H2O]、有機金属化合物としてはLa(C5823が用いられる。上記以外のMgO蒸着材の製造方法は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0025】
上記MgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法によりMgO膜を基板等に成膜すれば、第1の実施の形態と同様に、高速で安定な成膜が可能となり、またスプラッシュが発生せず、成膜面積が広くても、膜厚及び膜組成が均一なMgO膜を得ることができる。またこのMgO膜はMgO中にアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子をドーピングした構造、即ちMgO中に上記アルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を固溶した構造、或いはスピネル構造であるので、MgO膜の配向性は向上する。この結果、このMgO膜を成膜した基板をPDPに組込むと、低い電圧でプラズマを生成しかつ維持することができ、放電時の耐スパッタ性を向上でき、速い放電の応答性及び高い絶縁性を得ることができる。またMgO膜が蛍光体に悪影響を及ぼすことはなく、青色に関係する輝度も向上することができる。従って、AC型PDPの誘電体層の保護膜に好適であり、また高機能セラミック材料の保護膜などにも適用できる。
【0026】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、混合スラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を得た後に所定の型に入れて所定の圧力で成形したが、転動造粒機を用いて成形体を成形してもよい。即ち、先ずMgO粉末とアルカリ土類金属酸化物粉末等とバインダとを混練し、この混練物を転動造粒機の回転皿に入れた後に、スプレー機でエタノールやプロパノール等の有機溶媒を噴霧することにより上記混練物を造粒して球状の成形体を成形し、回転皿に更に上記混練物を入れかつ有機溶媒を噴霧する作業を繰返すことにより、所定の大きさの球状の成形体を成形してもよい。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結したが、ホットプレス焼結してもよい。即ち、MgO粉末とアルカリ土類金属酸化物粉末等とを湿式混合し、この混合物を減圧加熱して乾燥した後に乾式解砕し、更にこの乾式解砕した混合粉末を所定の型に入れて所定の圧力をかけた状態で不活性ガス雰囲気中で1450〜1650℃に昇温して焼結してもよい。
【0027】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
MgO粉末(岩谷化学社製、平均粒径0.1μm)とCaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)とを加え、更にバインダ(ポリビニールブチラール)を添加し、エタノールを分散媒として、撹拌ミルで1時間湿式混合し、濃度が55%の混合スラリーに調製した。ここで、CaCO3粉末はCaOに換算してMgOとCaOとの合計体積に対しCaOが10体積%になるように秤量した。この混合スラリーをスプレードライヤで噴霧乾燥して造粒することにより造粒粉末を得た。この造粒粉末を金型(内径が100mmで深さが8mmの金型)に充填し、メカニカルプレスで成形して成形体を作製した。この成形体を大気雰囲気中、1650℃に昇温し、焼結炉(広築社製)で3時間焼結することにより直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例1とした。
【0028】
<実施例2>
CaCO3粉末をCaOに換算してMgOとCaOとの合計体積に対しCaOが20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加え、実施例1と同様にして混合スラリーを調製した後に造粒粉末を得た。この造粒粉末を2つの金型(内径が100mmで深さが8mmの金型、内径が6mmで深さが3mmの金型)にそれぞれ充填し、メカニカルプレスで成形して成形体をそれぞれ作製し、更にこれらの成形体を実施例1と同様に焼結することにより直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体をそれぞれ得た。上記直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を実施例2とした。
<実施例3>
CaCO3粉末をCaOに換算してMgOとCaOとの合計体積に対しCaOが30体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例3とした。
【0029】
<実施例4>
SrCO3粉末(堺化学社製、平均粒径0.3〜0.5μm)をSrOに換算してMgOとSrOとの合計体積に対しSrOが10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例4とした。
<実施例5>
SrCO3粉末をSrOに換算してMgOとSrOとの合計体積に対しSrOが20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。これらのMgO焼結体を実施例5とした。
<実施例6>
SrCO3粉末をSrOに換算してMgOとSrOとの合計体積に対しSrOが30体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例6とした。
【0030】
<実施例7>
BaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)をBaOに換算してMgOとBaOとの合計体積に対しBaOが10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例7とした。
<実施例8>
BaCO3粉末をBaOに換算してMgOとBaOとの合計体積に対しBaOが20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。これらのMgO焼結体を実施例8とした。
<実施例9>
BaCO3粉末をBaOに換算してMgOとBaOとの合計体積に対しBaOが30体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例9とした。
【0031】
<実施例10>
CaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)及びSc23粉末(三菱マテリアル社製、平均粒径1〜3μm)を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとSc23の合計体積に対し、CaO及びSc23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例10とした。
<実施例11>
CaCO3粉末及びSc23粉末を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとSc23の合計体積に対し、CaO及びSc23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例11とした。
<実施例12>
CaCO3粉末及びSc23粉末を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとSc23の合計体積に対し、CaO及びSc23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例12とした。
【0032】
<実施例13>
CaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)及びY23粉末(信越化学社製、平均粒径0.6〜1.0μm)を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとY23の合計体積に対し、CaO及びY23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例13とした。
<実施例14>
CaCO3粉末及びY23粉末を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとY23の合計体積に対し、CaO及びY23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例14とした。
<実施例15>
CaCO3粉末及びY23粉末を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとY23の合計体積に対し、CaO及びY23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例15とした。
【0033】
<実施例16>
SrCO3粉末(堺化学社製、平均粒径0.3〜0.5μm)及びLa23粉末(信越化学社製、平均粒径0.1〜0.2μm)を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとY23の合計体積に対し、SrO及びY23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例16とした。
<実施例17>
SrCO3粉末及びLa23粉末を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとY23の合計体積に対し、SrO及びY23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例17とした。
<実施例18>
SrCO3粉末及びLa23粉末を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとY23の合計体積に対し、SrO及びY23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例18とした。
【0034】
<実施例19>
SrCO3粉末(堺化学社製、平均粒径0.3〜0.5μm)及びCe23粉末(信越化学社製、平均粒径0.6〜1.0μm)を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとCe23の合計体積に対し、SrO及びCe23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例19とした。
<実施例20>
SrCO3粉末及びCe23粉末を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとCe23の合計体積に対し、SrO及びCe23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例20とした。
<実施例21>
SrCO3粉末及びCe23粉末を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとCe23の合計体積に対し、SrO及びCe23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例21とした。
【0035】
<実施例22>
BaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜2.0μm)及びNd23粉末(信越化学社製、平均粒径0.7〜1.5μm)を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとCe23の合計体積に対し、BaO及びCe23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例22とした。
<実施例23>
BaCO3粉末及びNd23粉末を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとCe23の合計体積に対し、BaO及びCe23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例23とした。
<実施例24>
BaCO3粉末及びNd23粉末を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとCe23の合計体積に対し、BaO及びCe23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例24とした。
【0036】
<実施例25>
BaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜2.0μm)及びSm23粉末(信越化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとSm23の合計体積に対し、BaO及びSm23がそれぞれ10体積%及び5体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例25とした。
<実施例26>
BaCO3粉末及びSm23粉末を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとSm23の合計体積に対し、BaO及びSm23がそれぞれ20体積%及び10体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例26とした。
<実施例27>
BaCO3粉末及びSm23粉末を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとSm23の合計体積に対し、BaO及びSm23がそれぞれ30体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を実施例27とした。
【0037】
<比較例1>
市販のMgO焼結体(直径が約80mm)を比較例1とした。
<比較例2>
CaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)をCaOに換算してMgOとCaOの合計体積に対しCaOが0.3体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を比較例2とした。
<比較例3>
SrCO3粉末(堺化学社製、平均粒径0.3〜0.5μm)をSrOに換算してMgOとSrOの合計体積に対しSrOが0.2体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を比較例3とした。
<比較例4>
BaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)をBaOに換算してMgOとBaOとSm23の合計体積に対しBaOが60体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。これらのMgO焼結体を比較例4とした。
【0038】
<比較例5>
CaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)及びSc23粉末(三菱マテリアル社製、平均粒径1〜3μm)を、CaCO3粉末をCaOに換算して、MgOとCaOとSc23の合計体積に対し、CaO及びSc23がそれぞれ10体積%及び45体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。これらのMgO焼結体を比較例5とした。
<比較例6>
SrCO3粉末(堺化学社製、平均粒径0.3〜0.5μm)及びLa23粉末(信越化学社製、平均粒径0.1〜0.2μm)を、SrCO3粉末をSrOに換算して、MgOとSrOとLa23の合計体積に対し、SrO及びLa23がそれぞれ20体積%及び50体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例2と同様にして直径が約80mm及び5mmのMgO焼結体を得た。これらのMgO焼結体を比較例6とした。
<比較例7>
BaCO3粉末(関東化学社製、平均粒径1.0〜1.5μm)及びNd23粉末(信越化学社製、平均粒径0.7〜1.5μm)を、BaCO3粉末をBaOに換算して、MgOとBaOとNd23の合計体積に対し、BaO及びNd23がそれぞれ40体積%及び20体積%になるように秤量して、MgO粉末に加えたことを除いて、実施例1と同様にして直径が約80mmのMgO焼結体を得た。このMgO焼結体を比較例7とした。
【0039】
<比較試験と評価>
(a) 相対密度と強度試験
実施例1〜27及び比較例1〜7で得られたMgO焼結体(直径80mmのMgO焼結体)を切り出し、研削・研磨加工して、JIS R1601に準じた3×4×40mmの3点曲げ試験片の大きさとし、相対密度、曲げ強度を測定した。これらの結果を表1に示す。なお、相対密度はトルエン中、アルキメデス法で測定した。破壊強度は3点曲げ試験により測定した。
【0040】
【表1】
Figure 0003893793
【0041】
表1から明らかなように、比較例1の市販のMgO焼結体の相対密度96%であるのに対して、実施例1〜27のMgO焼結体の相対密度は96%以上と緻密になっている。また実施例1〜27のMgO焼結体の曲げ強度は比較例1〜7の2倍以上の高強度を示した。これは、実施例1〜27では結晶粒界面に亀裂を発生させない範囲内でアルカリ土類金属酸化物粒子又はアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を分散でき、結晶粒界の欠陥も少なく強度が改善できるためであり、比較例2〜7では分散粒子の添加割合の過多により、結晶粒界に欠陥が生じたためであると考えられる。
【0042】
(b) MgO膜の特性試験
実施例2,5,8,11,14,17,20,23及び26と比較例1及び4〜6の直径5mmのMgO焼結体を電子ビーム蒸着法によりガラス基板に成膜して10種類のTEG(Test Element Group)基板を作製した。なお、上記比較例1の直径5mmのMgO焼結体は直径が約80mmのものを直径が5mmで厚さが2.5mmに機械加工することにより作製した。図1に示すようにTEG基板10は、厚さ1mmのガラス基板(コーニング#7059ガラス)11上にフォトリソグラフィによりInSn複合酸化膜からなる下地電極12を100μmの間隔で厚さ0.2μm、幅100μmに形成し、これらの下地電極12を覆うようにSiの反応性DCスパッタリングで厚さ2μmのガラス層13を形成した後、上記電子ビーム蒸着法により同一の成膜条件で厚さ0.5μmのMgO膜14を成膜することにより作られた。なお、MgO膜の成膜条件は、到達圧力が4×10-4Pa、酸素分圧が1×10-2Pa、基板温度が200℃であった。
【0043】
先ず上記MgO膜14の屈折率及び吸収係数を測定した。MgO膜の屈折率と吸収係数は、He−Neレーザ(波長6238オングストローム)により、膜に対し1波長、2入射角(55°、70°)のエリプソ測定を行い、解析ソフトを用いて求めた。
次に上記MgO膜の放電開始電圧を以下の方法で測定した。上記13種類のTEG基板をTEG基板毎に図2に示す装置のNe−5%Xeで500Torrの真空ベルジャー15内に配置した加熱サンプル台16に載せ、下地電極19(図1)をパルス電源17に接続し、TEG基板10を熱電対18で測定しながら一定の温度に制御して、電源電圧を上昇して行き、放電を開始する電圧を測定した。パルス電源17は0〜300Vの範囲で電圧可変であって、周波数30kHzでパルス幅10μsecのパルスを発生するようになっている。上記方法で求めたMgO膜の屈折率、吸収係数及び放電開始電圧を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0003893793
【0045】
表2から明らかなように、比較例1及び比較例4〜6のMgO焼結体を用いて成膜されたMgO膜の屈折率は1.65以下で吸収係数は0.008以上(但し、比較例1の吸収係数は0.002)であったのに対して、実施例2,5,8,11,14,17,20,23及び26のMgO焼結体を用いて成膜されたMgO膜の屈折率は1.70以上で吸収係数は0.005以下であった。これらのことから、実施例のMgO焼結体を用いれば、結晶性と透過性に優れたMgO膜が得られることが分かった。
また上記実施例の放電開始電圧は上記比較例の放電開始電圧と比べて、いずれも20〜50V程度低いことから、実施例のMgO焼結体を用いて成膜されたMgO膜は低い電圧でのプラズマの生成と維持が可能なことが分かった。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子を0.5〜50体積%分散することにより、MgO蒸着材を構成したので、MgO焼結体の物理的性質を改善できる。即ち、MgO焼結体におけるMgOマトリックスと分散粒子であるアルカリ土類金属酸化物粒子はその界面で強く結合するので、蒸着材として用いた場合に、数千オングストローム/分以上の成膜速度が得られる。また分散粒子であるアルカリ土類金属酸化物粒子とMgOマトリックスの熱膨張係数の差は小さいので、界面に亀裂を発生させない範囲で大きなアルカリ土類金属酸化物粒子を分散させることが可能となる。この結果、マトリックス粒界を締め付けるトータルの領域が大きくなり、粒界の欠陥も少なく、かつ強度も向上でき、MgOマトリックスの組織を均一にすることができる。
また上記MgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子を合計0.5〜50体積%分散しても、上記と同様の効果が得られる。
【0047】
またMgO粉末と,アルカリ土類金属の酸化物粉末等又はアルカリ土類金属の酸化物粉末等及び希土類酸化物粉末と,バインダと,有機溶媒とを混合して所定濃度の混合スラリーを調製し、このスラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を作製し、この造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形し、更にこの成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結することが好ましい。上記アルカリ土類金属酸化物粉末をアルカリ土類金属元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製し、上記希土類酸化物粉末を希土類元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製することが更に好ましい。
これらの方法で製造された蒸着材は、焼結工程で緻密に焼結され、この蒸着材のMgOマトリックスの粒子内に分散相のアルカリ土類金属酸化物粉末や希土類酸化物粉末が均一に分散される。この結果、上記方法で製造されたMgO蒸着材は、高純度で緻密なMgO焼結体となる。
【0048】
また上記MgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法によりMgO膜を成膜すれば、二相共存、即ちMgOマトリックスと分散粒子とが固溶体や反応物を形成しない状態で蒸発するので、高速で安定な成膜が可能となり、またスプラッシュが発生せず、成膜面積が広くても、膜厚及び膜組成が均一なMgO膜を得ることができる。更にこのMgO膜はMgO中にアルカリ土類金属酸化物粒子又はアルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子をドーピングした構造、即ちMgO中に上記アルカリ土類金属酸化物粒子等を固溶した構造、或いはスピネル構造であるので、MgO膜の配向性は向上する。この結果、このMgO膜を成膜した基板をPDPに組込むと、低い電圧でプラズマを生成しかつ維持することができ、放電時の耐スパッタ性を向上でき、速い放電の応答性及び高い絶縁性を得ることができる。またMgO膜が蛍光体に悪影響を及ぼすことはなく、青色に関係する輝度も向上することができる。従って、AC型PDPの誘電体層の保護膜に好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法で成膜したMgO膜を有するTEG基板の断面図。
【図2】図1に示すTEG基板の放電開始電圧を測定する装置の構成図。

Claims (7)

  1. 相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子が0.5〜50体積%分散されたMgO蒸着材であって、
    前記アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であることを特徴とするMgO蒸着材
  2. 相対密度が95%以上のMgO焼結体であって、平均結晶粒径が0.3〜100μmの結晶粒子を有するMgOマトリックス中に、アルカリ土類金属酸化物粒子及び希土類酸化物粒子が合計0.5〜50体積%分散されたMgO蒸着材であって、
    前記アルカリ土類金属酸化物粒子中のアルカリ土類金属元素がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種の元素であり、前記希土類酸化物粒子中の希土類元素がSc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の元素であることを特徴とするMgO蒸着材
  3. 請求項1に記載されたMgO蒸着材の製造方法であって、
    MgO粉末とCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアルカリ土類金属の酸化物粉末又は炭酸塩粉末とバインダと有機溶媒とを混合して所定濃度の混合スラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を得る工程と、
    前記造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する工程と、
    前記成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結する工程と
    を含むことを特徴とするMgO蒸着材の製造方法。
  4. 請求項2に記載されたMgO蒸着材の製造方法であって、
    MgO粉末とCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種のアルカリ土類金属の酸化物粉末又は炭酸塩粉末とSc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の希土類酸化物粉末とバインダと有機溶媒とを混合して所定濃度の混合スラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを噴霧乾燥して所定粒径の造粒粉末を得る工程と、
    前記造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する工程と、
    前記成形体を脱脂した後に1450〜1700℃の温度で焼結する工程と
    を含むことを特徴とするMgO蒸着材の製造方法。
  5. アルカリ土類金属酸化物粉末がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアルカリ土類金属元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製された請求項記載のMgO蒸着材の製造方法。
  6. アルカリ土類金属酸化物粉末がCa,Sr及びBaからなる群より選ばれた1種のアルカリ土類金属元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製され、希土類酸化物粉末がSc,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Tb,Yb及びDyからなる群より選ばれた1種の希土類元素の水酸化物,炭酸塩,蓚酸塩又は有機金属化合物のアルコキシドを熱分解することにより作製された請求項記載のMgO蒸着材の製造方法。
  7. 請求項1又は2記載のMgO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法により成膜するMgO膜の製造方法。
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