JPH10237636A - MgOを主成分とするターゲット及びその製造方法 - Google Patents

MgOを主成分とするターゲット及びその製造方法

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JPH10237636A
JPH10237636A JP9037371A JP3737197A JPH10237636A JP H10237636 A JPH10237636 A JP H10237636A JP 9037371 A JP9037371 A JP 9037371A JP 3737197 A JP3737197 A JP 3737197A JP H10237636 A JPH10237636 A JP H10237636A
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JP
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mgo
particles
volume
sintered body
sintering
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JP9037371A
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English (en)
Inventor
Takeyoshi Takenouchi
武義 竹之内
Ichiro Shiono
一郎 塩野
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度で高い強度を有し、600オングスト
ローム/分以上の成膜速度で均一なMgO膜を形成し得
るターゲットを得る。スパッタリングにより成膜したと
きに、低い放電電圧、放電時の耐スパッタリング
性、速い放電の応答性、及び絶縁性を有する、AC
型のPDPの誘電体層の保護膜に好適なMgO膜が得ら
れる。 【解決手段】 粒子径0.5〜100μmの結晶粒子を
有するMgOマトリックスの結晶粒内又は上記結晶粒内
とこの結晶粒界にLa粒子、Y粒子及びSc粒子からな
る群より選ばれた1種又は2種以上の粒子を焼結体の1
〜20体積%分散して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MgOマトリック
スにLa、Y、Scを含む複合セラミック焼結体からな
るターゲット及びその製造方法に関する。更に詳しく
は、AC(面放電)型のPDP(Plasma Display Pane
l)の誘電体層を保護するMgO膜をスパッタリングで
成膜するに適したターゲット及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶(Liquid Crystal Display :
LCD)をはじめとして、各種の平面ディスプレイの
研究開発と実用化はめざましく、その生産も急増してい
る。カラープラズマディスプレイパネル(PDP)につ
いても、その開発と実用化の動きが最近活発になってい
る。PDPは大型化しやすく、ハイビジョン用の大画面
壁掛けテレビの最短距離にあり、既に対角40インチク
ラスのPDPの試作が進められている。PDPは、電極
構造の点で金属電極がガラス誘電体材料で覆われるAC
型と、放電空間に金属電極が露出しているDC型とに分
類される。
【0003】このAC型PDPの開発の当初は、ガラス
誘電体層が放電空間に露出していたため、直接放電にさ
らされ、イオン衝撃のスパッタリングにより誘導体層の
表面が変化して放電開始電圧が上昇していた。そのた
め、高い昇華熱を持つ種々の酸化物をこの誘導体層の保
護膜とする試みがなされた。この保護膜は直接放電用の
ガスと接しているために重要な役割を担っている。即
ち、保護膜に求められる特性は、低い放電電圧、放
電時の耐スパッタリング性、速い放電の応答性、及び
絶縁性である。これらの条件を満たす材料として、M
gOが保護膜に用いられる。このMgOからなる保護膜
は、誘導体層の表面を放電時のスパッタリングから守
り、PDPの長寿命化に重要な働きをしている。現在、
AC型PDPのこの保護膜は電子ビーム蒸着法によりM
gO膜を成膜している。MgO膜の中で結晶方位が(1
11)面に配向した膜が最も低い維持電圧で駆動でき、
更に膜中に存在する(111)面の量が増えるほど、二
次電子の放出比は増大し、駆動電圧も減少すると言われ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電子ビーム蒸
着法でMgO膜を成膜する場合、成膜速度が速い利点が
ある反面、スプラッシュが発生したり、成膜面積が広い
ときには膜の均一性に欠ける不具合があった。この点を
解決するためにスパッタリング法でMgO膜を成膜する
場合には、製造プロセス上この方法は導入し易いもの
の、ターゲット材料に絶縁性の高いMgO焼結体が要求
され、更に成膜速度を上昇するためには緻密なMgO焼
結体が必要になる。この絶縁性にはMgO焼結体の密
度、純度、結晶粒界や粒内の組織構造が影響する。一般
にMgO焼結体は優れた耐熱性、耐食性、電気絶縁性を
有するが、強度、破壊靭性値、耐熱衝撃性に乏しく、構
造材料として使用するには不十分である。この点を改良
するために種々の焼結助剤を添加してMgO焼結体の高
密度化を図っても、組織的にはこの焼結体のMgO粒子
の粒界には欠陥が存在し、このMgO焼結体をターゲッ
トとしてスパッタリングして成膜されたMgO膜は配向
性に劣り、しかもその成膜速度を粒界の欠陥のために高
めることができなかった。
【0005】本発明の目的は、高密度で高い強度を有
し、600オングストローム/分以上の成膜速度で均一
なMgO膜を形成し得るMgOを主成分とするターゲッ
ト及びその製造方法を提供することにある。本発明の別
の目的は、スパッタリングにより成膜したときに、低
い放電電圧、放電時の耐スパッタリング性、速い放
電の応答性、及び絶縁性を有する、AC型のPDPの
誘電体層の保護膜に好適なMgO膜が得られるターゲッ
トを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
粒子径0.5〜100μmの結晶粒子10を有するMg
Oマトリックスの結晶粒内又はこの結晶粒内とこの結晶
粒界にLa粒子、Y粒子及びSc粒子からなる群より選
ばれた1種の粒子を焼結体の1〜20体積%又は2種以
上の粒子を焼結体の5〜30体積%分散してなるMgO
を主成分とするターゲットである。
【0007】本発明は、異方性のないMgOマトリック
ス結晶粒内又はこの結晶粒内と結晶粒界にLa粒子、Y
粒子、Sc粒子を分散させるという、セラミックスの最
小構成単位である結晶粒の複合化を行うことにより、セ
ラミックスの物理的性質の改善を行うものである。例え
ば仮にAl23のようなマトリックスにSiC、ムライ
ト、Si34のような粒子を分散させた場合には、分散
粒子(SiC等)の熱膨張係数がマトリックス(Al2
3)よりも2倍以上低いため、焼結時にこの熱膨張係
数の差に起因して焼結過程で分散粒子の周囲や内部に発
生する応力は1000〜1800MPaに達する。この
応力が大きくなると、マトリックスと分散粒子の界面に
亀裂が走ることがある。従ってこれを防ぐには、Al2
3マトリックス−SiC粒子の組合せの場合、非常に
細かいSiC粒子しか分散させることができない。
【0008】これに対して、本発明のLa粒子、Y粒
子、Sc粒子からなる分散粒子の熱膨張係数は表1に示
すように高温では軟らかくなるために、MgOの熱膨張
係数(約13×10-6/K)に近似し、1100K(8
27℃)又はそれ以上でほぼ同等の熱膨張係数を示す
か、或いはMgOより僅かながら高い熱膨張係数を示
す。MgOマトリックスに対するこれらの粒子の高温時
の熱挙動から、焼結時にマトリックスと分散粒子はその
界面で強く結合する。この界面での強い結合によって、
ターゲットとして用いたときに600オングストローム
/分以上の成膜速度が得られる高電圧でスパッタリング
しても、ターゲットの割れや異常放電が発生せず、スパ
ッタリングで成膜されたMgO膜は前述した〜の特
性を十分に満たし、AC型のPDPの誘電体層の保護膜
に好適なものとなる。
【0009】またこの界面での強い結合は、高温での強
度などの向上に有効な分散相による転位のピニング効果
を強くするとともに、強度の低下をもたらすキャビテー
ションの発生を著しく抑制する。この効果は特に高温の
強度に関して顕著に現れる。
【0010】またこのMgOと分散粒子の間の熱膨張係
数の差が僅かであることは、界面に亀裂を発生させない
範囲で比較的粒子径が大きなLa粒子、Y粒子、Sc粒
子を分散させることが可能で、そのために粒界を締め付
けるトータルの領域が大きくなり、粒界の欠陥も少な
く、高い強度を有する。更にLa粒子、Y粒子、Sc粒
子をそれぞれ単独でも、或いはこれらの粒子を2種又は
3種同時に分散させてもよい。2種以上分散させること
により焼結体の組織構造の制御がより容易になる。
【0011】
【表1】
【0012】請求項2に係る発明は、粒子径0.1〜
5.0μmのMgO粉末にLa、Y及びScの硝酸塩又
は炭酸塩からなる群より選ばれた1種の硝酸塩又は炭酸
塩を上記MgO粉末と上記硝酸塩又は炭酸塩の合計に対
してLa、Y又はSc換算で1〜20体積%の範囲で又
は2種以上の硝酸塩又は炭酸塩を上記MgO粉末と上記
硝酸塩又は炭酸塩の合計に対してLa、Y又はSc換算
で5〜30体積%の範囲で湿式混合する工程と、この湿
式混合した混合粉末を減圧加熱乾燥して乾式混合する工
程と、この乾式混合した混合粉末を成形する工程と、こ
の成形体を1250〜1650℃以上の温度で焼結する
工程とを含むMgOを主成分とするターゲットの製造方
法である。請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明
であって、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気下、14
00〜1650℃で10-2〜10-4Torr又は0.2
〜0.5kg/cm2の圧力で焼結するMgOを主成分
とするターゲットの製造方法である。請求項4に係る発
明は、請求項2に係る発明であって、成形体を還元性ガ
ス雰囲気下,700〜900℃で還元処理し、真空又は
不活性ガス雰囲気下、1250〜1350℃で常圧で一
次焼結した後、1450〜1650℃で常圧で二次焼結
するMgOを主成分とするターゲットの製造方法であ
る。La、Y、Scの出発原料としてこれらの硝酸塩又
は炭酸塩を用いるため、焼結体におけるMgOとLa、
Y、Scの界面は不純物を介さずに直接結合しており整
合性が高い、即ちこれによりMgOとLa、Y、Scの
界面はより一層強い結合界面を形成する。なお、上記作
用及び効果を得るために、本発明におけるマトリックス
MgOは、焼結工程で厳密に焼結される必要があり、こ
の粒子内に分散相のLa、Y、Scの粒子が均一に分散
されることが必要である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明のMgOを主成分とするターゲット
はスパッタリング用のターゲットのみならず、プラズマ
イオンプレーティングに用いられるタブレットと称され
るものをも含む。このターゲットはセラミック焼結体で
あって、マトリックスとしてMgOを用い、分散粒子と
して出発原料が元素周期律表3a族元素であるLa、
Y、Scの硝酸塩又は炭酸塩を用いること、そして焼結
体のMgO結晶粒径が0.5〜100μmであり、分散
粒子の粒子径が1μm以下であって、分散粒子の割合が
1種類の場合に1〜20体積%、2種類以上の場合に5
〜30体積%であることが特徴である。なお、分散粒子
の割合はMgOと分散粒子との合計に対する内割の割合
である。本発明のセラミック焼結体のMgOマトリック
ス粒子径を0.5〜100μmとする理由は、この範囲
が組織制御が可能であるためであり、分散粒子の粒子径
を1μm以下にする理由は、MgOマトリックス結晶粒
内に取り込まれ易いこと、そして残留応力がある限界以
上になってもマイクロクラックが発生しないためであ
る。1μmを越えるとマイクロクラックが発生し易くな
る。
【0014】またその原料として用いるMgOの粒径を
5μm以下の粒子とする理由は、焼結し易いためであ
る。また分散粒子が1種類のときの添加量を1〜20体
積%とし、2種類以上のときの添加量を5〜30体積%
とする理由は、1体積%又は5体積%未満ではセラミッ
ク焼結体の強度が向上せず、20体積%又は30体積%
を越えると、材料組織の制御が困難となり、このターゲ
ットで成膜したMgO膜の耐スパッタリング性、絶縁性
にバラツキを生じ易くなる。添加量が上記の範囲であれ
ば、マトリックス中に分散粒子が均一に取り込まれた組
織が制御でき、成膜したMgO膜の特性も向上する。
【0015】このような本発明のターゲットは、本発明
の方法に従って、好ましくは、粒子径5μm以下のMg
O粉末及び粒子径1μm以下のLa、Y又はScの硝酸
塩又は炭酸塩とを湿式混合し、これをロータリエバポレ
ータを用いて減圧加熱乾燥した後、乾式混合する。常圧
焼結では、この混合粉末を成形した後、この成形体を1
250〜1350℃で一次焼結し、焼結温度1450℃
以上で二次焼結して製造される。ホットプレス焼結で
は、この混合粉末を黒鉛製ダイスに充填し、アルゴンガ
ス雰囲気中、焼結温度1450℃以上で焼結して製造さ
れる。なお、乾式混合は、Scの酸化を防ぐために、容
器内をアルゴンガスで置換する。
【0016】本発明の常圧焼結では、焼結温度が145
0℃未満であると十分な緻密化を図ることができず、高
特性の焼結体が得られない。焼結は真空又は不活性雰囲
気で常圧焼結、或いはホットプレス焼結にて行うのが好
ましい。本発明のMgOを主成分とするターゲットは、
高機能性セラミックス材料であるAC型のPDPの誘電
体層の保護膜に好適である。
【0017】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り、以下の実施例に限定されるものではない。 <実施例1>MgO粉末(赤穂化成社製3N、平均粒径
0.2μm)とLaとの合計体積に対してLaが1体積
%となるようにLa(NO33を秤量し、これを分散媒
のエタノールとともにMgO粉末に添加して撹拌ミルで
2時間湿式混合した。この混合物をロータリエバポレー
タを用いて減圧加熱乾燥した後、乾式混合した。乾式混
合では、Scの酸化を防ぐために容器内をアルゴンガス
で置換した。得られた混合粉末を金型(内径φ160m
m)に充填し、75kg/cm2で一軸加圧成形した
後、1500kg/cm2でCIP(Cold Isostatic Pr
ess)成形した。得られた成形体を焼結炉(富士電波工
業社製)に入れ、水素ガス雰囲気中、800℃で1時間
還元処理した後、アルゴンガス雰囲気中、1350℃で
1時間保持し、更に昇温して1550℃で2時間常圧焼
結してセラミック焼結体を得た。
【0018】<実施例2>La(NO33の添加割合を
La換算で10体積%にした以外は、実施例1と同様に
常圧焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例3>La(NO33の添加割合をLa換算で1
0体積%にした以外は、実施例1と同様にして得られた
混合粉末を黒鉛ダイス(内径φ130mm)に充填し、
プレス圧15MPa、アルゴンガス雰囲気中、1450
℃で実施例1で用いた焼結炉と同一の焼結炉でホットプ
レス焼結してセラミック焼結体を得た。
【0019】<実施例4>La(NO33の代わりにY
(NO33を用い、このY(NO33の添加割合をY換
算で2体積%にした以外は、実施例3と同様にホットプ
レス焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例5>La(NO33の代わりにY(NO33
用い、このY(NO33の添加割合をY換算で10体積
%にした以外は、実施例3と同様にホットプレス焼結し
てセラミック焼結体を得た。 <実施例6>La(NO33の代わりにY(NO33
用い、このY(NO33の添加割合をY換算で20体積
%にした以外は、実施例3と同様にホットプレス焼結し
てセラミック焼結体を得た。
【0020】<実施例7>La(NO33の代わりにS
c(NO33を用い、このSc(NO33の添加割合を
Sc換算で1体積%にした以外は、実施例1と同様に常
圧焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例8>La(NO33の代わりにSc(NO33
を用い、このSc(NO33の添加割合をSc換算で1
5体積%にした以外は、実施例3と同様にホットプレス
焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例9>La(NO33の代わりにSc(NO33
を用い、このSc(NO33の添加割合をSc換算で2
0体積%にした以外は、実施例3と同様にホットプレス
焼結してセラミック焼結体を得た。
【0021】<実施例10>La(NO33単独の代わ
りにLa(NO33とY(NO33を用い、La(NO
33の添加割合をLa換算で5体積%にし、Y(N
33の添加割合をY換算で2体積%にした以外は、実
施例1と同様に常圧焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例11>La(NO33単独の代わりにLa(N
33とSc(NO33を用い、La(NO33の添加
割合をLa換算で7体積%にし、Sc(NO33の添加
割合をSc換算で5体積%にした以外は、実施例1と同
様に常圧焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例12>La(NO33単独の代わりにLa(N
33とY(NO33を用い、La(NO33の添加割
合をLa換算で20体積%にし、Y(NO33の添加割
合をY換算で10体積%にした以外は、実施例3と同様
にホットプレス焼結してセラミック焼結体を得た。
【0022】<実施例13>La(NO33単独の代わ
りにY(NO33とSc(NO33を用い、Y(N
33の添加割合をY換算で2体積%にし、Sc(NO
33の添加割合をSc換算で5体積%にした以外は、実
施例3と同様にホットプレス焼結してセラミック焼結体
を得た。 <実施例14>La(NO33単独の代わりにLa(N
33とY(NO33を用い、La(NO33の添加割
合をLa換算で5体積%にし、Y(NO33の添加割合
をY換算で7体積%にした以外は、実施例3と同様にホ
ットプレス焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例15>La(NO33単独の代わりにLa(N
33とY(NO33とSc(NO33を用い、La
(NO33の添加割合をLa換算で5体積%にし、Y
(NO33の添加割合をY換算で20体積%にし、Sc
(NO33の添加割合をSc換算で5体積%にした以外
は、実施例3と同様にホットプレス焼結してセラミック
焼結体を得た。
【0023】<実施例16>La(NO33単独の代わ
りにLa(NO33とSc(NO33を用い、La(N
33の添加割合をLa換算で3体積%にし、Sc(N
33の添加割合をSc換算で5体積%にした以外は、
実施例1と同様に常圧焼結してセラミック焼結体を得
た。 <実施例17>La(NO33単独の代わりにLa(N
33とSc(NO33を用い、La(NO33の添加
割合をLa換算で10体積%にし、Sc(NO33の添
加割合をSc換算で5体積%にした以外は、実施例3と
同様にホットプレス焼結してセラミック焼結体を得た。 <実施例18>La(NO33単独の代わりにY(NO
33とSc(NO33を用い、Y(NO33の添加割合
をY換算で5体積%にし、Sc(NO33の添加割合を
Sc換算で20体積%にした以外は、実施例3と同様に
ホットプレス焼結してセラミック焼結体を得た。
【0024】<比較例1>La(NO33、Y(N
33及びSc(NO33を全く添加せずに、実施例1
で用いたMgO粉末のみを実施例3と同様にホットプレ
ス焼結してセラミック焼結体を得た。 <比較例2>La(NO33、Y(NO33及びSc
(NO33を全く添加せずに、実施例1で用いたMgO
粉末のみを実施例1と同様に常圧焼結してセラミック焼
結体を得た。 <比較例3>La(NO33の添加割合をLa換算で4
0体積%にした以外は、実施例1と同様に常圧焼結して
セラミック焼結体を得た。
【0025】<比較例4>La(NO33の代わりにY
(NO33を用い、このY(NO33の添加割合をY換
算で35体積%にした以外は、実施例1と同様に常圧焼
結してセラミック焼結体を得た。 <比較例5>La(NO33の代わりにSc(NO33
を用い、このSc(NO33の添加割合をSc換算で4
0体積%にした以外は、実施例1と同様に常圧焼結して
セラミック焼結体を得た。 <比較例6>市販のMgOターゲットを比較例6とし
た。
【0026】<比較試験と評価> (a) 破壊強度試験 実施例1〜実施例18及び比較例1〜比較例5で得られ
たセラミック焼結体をそれぞれ切り出し、研削・研磨加
工して、JIS R1601に準じた3mm×4mm×
40mmの3点曲げ試験片の大きさとし、密度及び破壊
強度(曲げ強度)を調べた。その結果を表2に示す。な
お、密度はトルエン中、アルキメデス法で測定した。破
壊強度は3点曲げ試験により測定した。
【0027】
【表2】
【0028】表2から明らかなように、比較例1〜比較
例5のセラミック焼結体の曲げ強度が350MPa以下
であったのに対して、実施例1〜実施例18のセラミッ
ク焼結体の曲げ強度は比較例の約2倍強の720〜86
5MPaであった。特にLa、Y、Scを1種類含む実
施例1〜9の方が組織構造がより制御されており、粒界
の欠陥もより少ないため、2種類以上含む実施例10〜
18より高い曲げ強度を示した。更に相対密度は比較例
1〜5が約96〜98%であったのに対して実施例1〜
18は全て99%以上を示し、緻密であることが判っ
た。
【0029】(b) スパッタリング試験 実施例2、実施例5、実施例8、実施例11、実施例1
4、実施例17、比較例3及び比較例4で得られたセラ
ミック焼結体を研削・研磨加工して、直径5インチ、厚
さ6mmに加工し、これら8種類のサンプルをターゲッ
トとした。8種類のターゲットに比較例6の市販のター
ゲットを加えて、それぞれ銅製のバックプレートにそれ
ぞれボンディングした後、厚さ1mmのガラス基板(コ
ーニング#7059ガラス製)上にMgO膜を成膜する
スパッタリング試験を行った。この試験は、先ず9種類
のターゲットをターゲット毎に基板の上方5cmに配置
し、基板温度を300℃に維持し、スパッタリングガス
圧10mTorr、アルゴンガス流量50sccm(st
andard cubic centimeter per minute)、1500Wで
高周波スパッタリングを行って各ターゲットによる成膜
速度(オングストローム/分)を調べた。次いで基板を
交換した後、調べた成膜速度に基づき、同一の成膜条件
でMgO膜がそれぞれ0.7μmの厚さになるように成
膜時間を決めてスパッタリングを行った。スパッタリン
グ後、He−Neレーザ(波長6238オングストロー
ム)により、膜に対して1波長、2入射角(55゜,7
0゜)のエリプソ測定を行い、解析ソフトを用いて膜の
屈折率、吸収係数、膜厚を求めた。特に膜厚は段差計か
らも確認した。その結果を表3に示す。
【0030】(c) MgO膜の放電性試験 上記(b)スパッタリング試験と同じ9種類のターゲット
を用いて9種類のTEG(Test Element Group)基板を
作製し、その放電開始電圧を測定した。図1に示すよう
にTEG基板10は、厚さ1mmのガラス基板(コーニ
ング#7059ガラス製)11上にフォトリソグラフィ
によりInSn複合酸化膜からなる下地電極12を10
0μmの間隔で厚さ1μm、幅100μmに形成し、こ
れらの下地電極12を覆うように反応性DCスパッタリ
ングで厚さ3μmのガラス層13を形成した後、上記
(b)スパッタリング試験と同一の条件で厚さ0.7μm
のMgO膜14を成膜することにより作られた。9種類
のTEG基板をTEG基板毎に図2に示す装置のNe−
5%Xeで500Torrの真空ベルジャー15内に配
置した加熱サンプル台16に載せ、下地電極19(図
1)をパルス電源17に接続し、TEG基板10を熱電
対18で測定しながら一定の温度に制御して、電源電圧
を上昇して行き、放電を開始する電圧を測定した。パル
ス電源17は0〜300Vの範囲で電圧可変であって、
周波数66kHzでパルス幅10μsecのパルスを発生
するようになっている。その放電開始電圧を表3に示
す。
【0031】
【表3】
【0032】表3から明らかなように、比較例3、比較
例4及び比較例6のターゲットが120オングストロー
ム/分以下の成膜速度しか得られなかった上、屈折率が
1.7未満で吸収係数が約0.01であったのに対し
て、実施例2、実施例5、実施例8、実施例11、実施
例14及び実施例17のターゲットは比較例の5倍以上
の700オングストローム/分以上の成膜速度が得ら
れ、しかも屈折率は約1.8で吸収係数が0.001以
下であった。これらのことから実施例のターゲットを用
いれば高速の成膜でしかも結晶性と透過性に優れたMg
O膜が得られることが判った。また上記実施例の放電開
始電圧は、上記比較例の放電開始電圧と比べていずれも
10〜20V程度低いことから、実施例のターゲットで
成膜されたMgO膜は低い放電電圧を有することが判っ
た。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、La、Y、ScがM
gOに対して高温時でほぼ同等の熱膨張係数を有するた
め、本発明のMgOを主成分とするターゲットはMgO
マトリックスとLa粒子、Y粒子、Sc粒子等の分散粒
子はその界面で強く結合し、この界面での強い結合によ
って高密度で高い強度を有し、ターゲットとして用いた
ときに600オングストローム/分以上の成膜速度が得
られる高電圧でスパッタリングしても、ターゲットの割
れや異常放電が発生せず、高い生産性で高性能に成膜す
ることができる。特に本発明のターゲットを用いてスパ
ッタリングで成膜されたMgO膜は低い放電電圧、
放電時の耐スパッタリング性、速い放電の応答性、及
び絶縁性を有し、このMgO膜はAC型のPDPの誘
電体層の保護膜に好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターゲットで成膜したMgO膜を有す
るTEG基板の断面図。
【図2】図1に示すTEG基板の放電開始電圧を測定す
る装置の構成図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】このAC型PDPの開発の当初は、ガラス
誘電体層が放電空間に露出していたため、直接放電にさ
らされ、イオン衝撃のスパッタリングにより誘体層の
表面が変化して放電開始電圧が上昇していた。そのた
め、高い昇華熱を持つ種々の酸化物をこの誘体層の保
護膜とする試みがなされた。この保護膜は直接放電用の
ガスと接しているために重要な役割を担っている。即
ち、保護膜に求められる特性は、低い放電電圧、放
電時の耐スパッタリング性、速い放電の応答性、及び
絶縁性である。これらの条件を満たす材料として、M
gOが保護膜に用いられる。このMgOからなる保護膜
は、誘体層の表面を放電時のスパッタリングから守
り、PDPの長寿命化に重要な働きをしている。現在、
AC型PDPのこの保護膜は電子ビーム蒸着法によりM
gO膜を成膜している。MgO膜の中で結晶方位が(1
11)面に配向した膜が最も低い維持電圧で駆動でき、
更に膜中に存在する(111)面の量が増えるほど、二
次電子の放出比は増大し、駆動電圧も減少すると言われ
ている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子径0.5〜100μmの結晶粒子を
    有するMgOマトリックスの結晶粒内又は前記結晶粒内
    とこの結晶粒界にLa粒子、Y粒子及びSc粒子からな
    る群より選ばれた1種の粒子を焼結体の1〜20体積%
    又は2種以上の粒子を焼結体の5〜30体積%分散して
    なるMgOを主成分とするターゲット。
  2. 【請求項2】 粒子径0.1〜5.0μmのMgO粉末
    にLa、Y及びScの硝酸塩又は炭酸塩からなる群より
    選ばれた1種の硝酸塩又は炭酸塩を前記MgO粉末と前
    記硝酸塩又は炭酸塩の合計に対してLa、Y又はSc換
    算で1〜20体積%の範囲で又は2種以上の硝酸塩又は
    炭酸塩を前記MgO粉末と前記硝酸塩又は炭酸塩の合計
    に対してLa、Y又はSc換算で5〜30体積%の範囲
    で湿式混合する工程と、 前記湿式混合した混合粉末を減圧加熱乾燥して乾式混合
    する工程と、 前記乾式混合した混合粉末を成形する工程と、 前記成形体を1250〜1650℃の温度で焼結する工
    程と を含むMgOを主成分とするターゲットの製造方法。
  3. 【請求項3】 成形体を真空又は不活性ガス雰囲気下、
    1400〜1650℃で10-2〜10-4Torr又は
    0.2〜0.5kg/cm2の圧力で焼結する請求項2
    記載のMgOを主成分とするターゲットの製造方法。
  4. 【請求項4】 成形体を還元性ガス雰囲気下、700〜
    900℃で還元処理し、真空又は不活性ガス雰囲気下、
    1250〜1350℃で常圧で一次焼結した後、145
    0〜1650℃で常圧で二次焼結する請求項2記載のM
    gOを主成分とするターゲットの製造方法。
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