JP3891727B2 - エンドミル - Google Patents
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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- B23C5/00—Milling-cutters
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- B23C5/10—Shank-type cutters, i.e. with an integral shaft
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- Mechanical Engineering (AREA)
- Milling Processes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンドミルに係り、特に、軸方向へ段階的に移動させながら軸心と直角方向へ切削加工を行ってポケット穴や立ち壁などを切削加工するステップ加工に好適に用いられるエンドミルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
比較的深いポケット穴や高さが高い立ち壁などを切削加工する際に、刃長の長いロング刃のエンドミルを用いると、剛性が低下したり切削抵抗が大きくなったりするため、加工精度が低下したり加工条件が制限されたりする問題がある。このため、刃長の短いエンドミルを用いて、軸方向へ段階的に移動させながら軸心と直角方向へ切削加工を行い、何段もつなぎ合わせて目的の高さを切削加工するステップ加工が提案されている。
【0003】
図2は、このようなステップ加工に用いられるエンドミルの一例で、このエンドミル100は、シャンク102および切れ刃部104を軸方向に連続して一体に備えているとともに、切れ刃部104には、シャンク102よりも径寸法が大きいとともに軸心Oまわりに捩じれた複数の外周切れ刃106が設けられている。また、切れ刃部104の先端には、外周切れ刃106に連続して底刃108が設けられている。図2の軸心Oよりも右側半分は、軸心Oに対して直角な方向から見た正面図で、左側半分は切れ刃部104の外周切れ刃106を軸心Oと平行に示した断面図であり、その左側半分の外周形状は切れ刃部104の回転軌跡形状104R、すなわち切削形状と同じである。
【0004】
図3は、図2のエンドミル100を用いてワーク110の立ち壁112をステップ加工する場合の一例を説明する図で、(a) の第1工程では略垂直なエンドミル100を軸心まわりに回転させつつ軸心と直角方向、具体的には立ち壁112と平行で且つ略水平な方向へ平行移動させて第1ステップ加工面114aを切削加工し、(b) の第2工程では、エンドミル100を軸方向の先端側へ所定寸法だけずらして同じく軸心まわりに回転させつつ軸心と直角方向、具体的には立ち壁112と平行で且つ略水平な方向へ平行移動させて第2ステップ加工面114bを切削加工する。このようなステップ加工を繰り返すことにより、目的とする高さ寸法の垂直面を切削加工できる。なお、図3とは逆に下から上方へエンドミル100を段階的に移動させつつステップ加工を行うことも勿論可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、切削加工時には工具の撓み変形で切れ刃部104の後端104a側がワーク110側へ食い込むため、第1ステップ加工面114aと第2ステップ加工面114bとの境界116に段差が生じる。加工条件などにより段差は小さくなるが、数μm程度(例えば1〜2μm)の段差が生じることは避けられず、手で触っただけでは分からなくても、視覚的に境界116部分に筋ができてしまうのである。特開平6−8029号公報には、切れ刃部104の後端104aに、外周切れ刃106に連続して所定角度で傾斜した後方切削刃を設けたエンドミルが記載されているが、傾斜角度が10°程度でもコーナ(外周切れ刃と接続する角部)が角張っていると、視覚的に筋が付いてしまう。また、この後方切削刃は、単にテーパ面まで溝を形成してすくい面および切れ刃を設けただけであり、逃げ面が設けられていないため、加工面粗さが悪く、この点でも他の加工面部分と反射特性が相違して視覚的な筋が生じ易い。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、エンドミルを軸方向へ段階的に移動させながらステップ加工を行う場合に加工面の境界に視覚的な筋が発生することを防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、円柱形状の軸部と、その軸部の一端に連続して設けられるとともにその軸部よりも大きい一定の外径寸法の外周切れ刃を備えている切れ刃部と、を同心に一体に有し、軸方向へ段階的に移動させながら軸心と直角方向へ切削加工を行うステップ加工に用いられるエンドミルにおいて、(a) 前記外周切れ刃の前記軸部側の端部には、軸心まわりの回転軌跡のその軸心を含む断面形状において、その外周切れ刃の回転軌跡であるその軸心と平行な直線からその軸心側へ向かう円弧を形成するとともに、その直線と繋がる接続点におけるその円弧の接線がその直線と一致するようにその直線に滑らかに接続される後端切れ刃が、その外周切れ刃に連続して設けられているとともに、(b) その後端切れ刃には、刃先から周方向へ向かうに従って軸方向の先端側へ逃げる逃げ面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明のエンドミルにおいて、前記外周切れ刃は軸心まわりに捩じれたねじれ刃で、その外周切れ刃の刃数をN、その外周切れ刃の外径寸法が等しい実質切削長さ(軸方向の長さ)をB、その外周切れ刃の外径をD、その外周切れ刃のねじれ角をβとした時、次式(1) で表されるnが自然数であることを特徴とする。
n=B・N・tan β/(π・D) ・・・(1)
【0009】
【発明の効果】
このようなエンドミルにおいては、切れ刃部の後端の後端切れ刃が、軸心まわりの回転軌跡の軸心を含む断面形状において、外周切れ刃の回転軌跡である軸心と平行な直線からその軸心側へ向かう円弧を形成するとともに、その直線と繋がる接続点におけるその円弧の接線がその直線と一致するようにその直線に滑らかに接続されるように設けられているため、ステップ加工を行った場合に加工面の境界部分に生じる段差の面形状が上記円弧に対応する湾曲面になり、面の向きの急な変化が緩和される。また、後端切れ刃には軸方向の逃げ面が設けられているため加工面粗さが向上し、外周切れ刃によって加工される他の加工面部分との反射特性の相違が小さくなる。このように、段差部分の面の向きの急な変化が緩和され、且つその段差部分の面粗さが向上することにより、段差部分に生じる視覚的な筋の発生が抑制される。
【0010】
また、(1) 式のnが自然数になるように外周切れ刃の各部の諸元N、B、D、βが定められる第2発明では、実質切削長さBの範囲内において軸方向に存在する外周切れ刃の刃数が軸心まわりのどの位置でも自然数nになるため、軸心まわりの回転に拘らず切削に関与する外周切れ刃の刃数が一定(=n)になり、切削抵抗(負荷)の変動が抑制されて軸部(回転ホルダから切れ刃部までの長さ)が長い場合でも高い加工精度が得られるようになる。すなわち、上記ステップ加工を行う場合、工作機械のホルダから切れ刃部までの長さ(軸部)が長くなるため、切削抵抗の変動で切れ刃部が振れてビビリ振動が生じ易いが、切削抵抗の変動が抑制されることから切れ刃部の振れが軽減されるのである。
【0011】
なお、自然数は1以上の整数であるが、例えば実際の切削加工は後端切れ刃の一部を含んで行われるし、ステップ加工では軸方向にオーバーラップして切削加工が行われるため、厳密にnが自然数となるように設定する必要はない。
【0012】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明のエンドミルは、軸方向へ段階的に移動させながらステップ加工を行う場合に、加工面の境界に視覚的な筋が発生し難いといった所望の効果が得られるが、後端切れ刃が設けられていることから、例えばエンドミルを軸方向の後端側(シャンク側)へ連続的に移動させつつ所定の内周面に沿って移動させてポケット穴をヘリカル加工することもできるなど、通常のエンドミルの使用形態を含めて種々の態様で使用できる。
【0013】
円柱形状の軸部は、主にシャンクを想定したものであるが、シャンクと切れ刃部との間に首部が設けられる場合は、外周切れ刃は少なくとも首部よりも大径であれば良い。
【0014】
後端切れ刃の回転軌跡の軸心を含む断面形状の円弧は、例えば一定の曲率中心を中心とする一定の曲率半径の円弧であっても良いが、楕円の円弧のように連続的に変化しているものでも良い。円弧の曲率半径は、視覚的な筋の発生を防止する上で0.01mm以上が良く、0.02mm以上が望ましい。また、軸部と外周切れ刃との直径寸法の差Δdに対して、例えば一定の曲率中心を中心として一定の曲率半径Δd/2で円弧が形成されるようにすれば、切れ刃部の後端に1/4円弧が形成される。Δd/2以上の曲率半径で円弧が形成されるようにしても良い。なお、外周切れ刃と底刃とのコーナにも、必要に応じて所定の曲率半径のRを設けることができることは勿論である。
【0015】
後端切れ刃の逃げ面は、軸方向の先端側へ逃げているだけでなく、径方向にも所定の逃げを設けることが望ましい。また、前記(1) 式において、刃数Nおよび自然数nは何れも2以上が望ましい。
【0016】
次に、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の(a) は、本発明の一実施例であるエンドミル10を軸心Oと直角方向から見た図で、シャンク12の一部を切り欠いた正面図であり、(b) は先端側から見た底面図で、(c) は軸心Oの左側半分が切れ刃部14の回転軌跡形状(左外周形状は軸心Oを含む断面形状と同じ)14Rを示す図で、右側半分が外周切れ刃16を軸心Oと平行に図示した断面形状を示す図である。シャンク12は円柱形状で、その一端に連続して切れ刃部14がシャンク12と同心に一体に設けられている。切れ刃部14には、シャンク12よりも径寸法が大きい一定の外径寸法で軸心Oまわりに捩じれた複数(本実施例では4枚)の外周切れ刃16が設けられているとともに、切れ刃部14の先端には、それ等の外周切れ刃16に連続して底刃18が設けられている。また、切れ刃部14の後端、すなわちシャンク12側の端部には、外周切れ刃16に連続して後端切れ刃20が設けられている。外周切れ刃16および後端切れ刃20は、共通のねじれ溝22に沿って設けられており、底刃18は、ねじれ溝22の先端に設けられたギャッシュ24に沿って設けられている。なお、シャンク12は軸部に相当する。
【0017】
ここで、上記外周切れ刃16の刃数をN、外周切れ刃16の外径寸法が等しい実質切削長さ(軸方向長さ)をB、外周切れ刃16の外径をD、外周切れ刃16のねじれ角をβとした時、それ等の諸元は前記(1) 式で表されるnが自然数となるように設定されている。本実施例では、n=2になるように、N=4、B≒20mm、D≒14mm、β≒48°に設定されている。
【0018】
一方、前記後端切れ刃20は、図1(c) の左側半分に示す切れ刃部14の回転軌跡形状(断面形状)14Rにおいて、曲率中心が一定で曲率半径が1mmの円弧20Rが形成されるように設けられており、且つ、その円弧20Rの曲率中心は、外周切れ刃16の回転軌跡である軸心Oと平行な直線に対して、その直線との接続点における円弧20Rの接線がその直線と一致するように滑らかに接続され、軸心O側へ向かって湾曲するように設定されている。本実施例ではシャンク12と切れ刃部14との直径寸法の差Δdが2mmで、断面形状における段差Δd/2=1mmであり、後端切れ刃20の回転軌跡断面形状における円弧20Rの曲率半径と同じであることから、回転軌跡形状14Rの後端に半径1mmの1/4円弧が形成される。
【0019】
後端切れ刃20にはまた、刃先から周方向へ向かうに従って軸方向の先端側へ逃げる逃げ面28が設けられている。この逃げ面28は、軸方向の先端側へ逃げているだけでなく、径方向にも所定の逃げが設けられている。
【0020】
また、外周切れ刃16と底刃18とのコーナ26には、図1(c) の左側半分に示す切れ刃部14の回転軌跡形状(断面形状)14Rにおいて、曲率中心が一定で曲率半径が1mmの円弧26Rが形成されるように、R面取りが施されている。曲率中心は、R面取りの円弧26Rが外周切れ刃16の回転軌跡である軸心Oと平行な直線に対して接線で繋がるように設定されている。なお、回転軌跡形状14R(円弧20R、26Rを含む)は、切れ刃部14の切削形状を表している。
【0021】
このような本実施例のエンドミル10においては、切れ刃部14の後端の後端切れ刃20が、軸心Oまわりの回転軌跡の軸心Oを含む断面形状(14R)において、外周切れ刃16の回転軌跡である直線からその軸心O側へ向かう円弧20Rを形成するとともに、その直線と繋がる接続点における円弧20Rの接線がその直線と一致するようにその直線に滑らかに接続されるように設けられているため、例えば図3に示すようなステップ加工を行った場合に加工面114aと114bとの境界部分116に生じる段差の面形状が上記円弧20Rに対応する湾曲面になり、面の向きの急な変化が緩和される。また、後端切れ刃20には逃げ面28が設けられているため加工面粗さが向上し、外周切れ刃16によって加工される他の加工面部分との反射特性の相違が小さくなる。このように、段差部分(境界部分)116の面の向きの急な変化が緩和され、且つその段差部分116の面粗さが向上することにより、段差部分116に生じる視覚的な筋の発生が抑制され、優れた加工面品質が得られるようになる。
【0022】
また、前記(1) 式のn=2となるように外周切れ刃16の各部の諸元N、B、D、βが定められているため、実質切削長さBの範囲内において軸方向に存在する外周切れ刃16の刃数が軸心Oまわりのどの位置でもnすなわち「2」であるため、軸心Oまわりの回転に拘らず切削に関与する外周切れ刃16の刃数が一定(n=2)になり、切削抵抗(負荷)の変動が抑制されてシャンク12(厳密にはホルダから切れ刃部までの長さ)が長い場合でも高い加工精度(面粗さなど)が得られるようになる。すなわち、上記ステップ加工を行う場合、工作機械のホルダから切れ刃部14までの長さが長くなるため、切削抵抗の変動で切れ刃部14が振れてビビリ振動が生じ易いが、切削抵抗の変動が抑制されることから切れ刃部14の振れやビビリ振動が軽減されるのである。
【0023】
なお、図3とは逆に、エンドミル10を軸方向のシャンク12側へ段階的に移動させながらステップ加工を行う場合も同様の効果が得られる。また、図3は立ち壁112を加工する場合であるが、ポケット穴の内周面加工などにもステップ加工を適用できる。
【0024】
また、後端切れ刃20が設けられていることから、例えばエンドミル10を軸方向の後端側(シャンク12側)へ連続的に移動させつつ所定の内周面に沿って移動させてポケット穴をヘリカル加工することもできるなど、通常のエンドミルの使用形態を含めて種々の態様で使用できる。
【0025】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるエンドミルを説明する図である。
【図2】従来のエンドミルの一例を示す一部を切り欠いた図である。
【図3】従来のエンドミルを用いて立ち壁をステップ加工する場合の一例を説明する図である。
【符号の説明】
10:エンドミル 12:シャンク(軸部) 14:切れ刃部 16:外周切れ刃 20:後端切れ刃 28:逃げ面
Claims (2)
- 円柱形状の軸部と、該軸部の一端に連続して設けられるとともに該軸部よりも大きい一定の外径寸法の外周切れ刃を備えている切れ刃部と、を同心に一体に有し、軸方向へ段階的に移動させながら軸心と直角方向へ切削加工を行うステップ加工に用いられるエンドミルにおいて、
前記外周切れ刃の前記軸部側の端部には、軸心まわりの回転軌跡の該軸心を含む断面形状において、該外周切れ刃の回転軌跡である該軸心と平行な直線から該軸心側へ向かう円弧を形成するとともに、該直線と繋がる接続点における該円弧の接線が該直線と一致するように該直線に滑らかに接続される後端切れ刃が、該外周切れ刃に連続して設けられているとともに、
該後端切れ刃には、刃先から周方向へ向かうに従って軸方向の先端側へ逃げる逃げ面が設けられている
ことを特徴とするエンドミル。 - 前記外周切れ刃は軸心まわりに捩じれたねじれ刃で、該外周切れ刃の刃数をN、該外周切れ刃の外径寸法が等しい実質切削長さをB、該外周切れ刃の外径をD、該外周切れ刃のねじれ角をβとした時、次式で表されるnが自然数である
n=B・N・tan β/(π・D)
ことを特徴とする請求項1に記載のエンドミル。
Priority Applications (1)
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JP14927799A JP3891727B2 (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | エンドミル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP14927799A JP3891727B2 (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | エンドミル |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP14927799A Expired - Lifetime JP3891727B2 (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | エンドミル |
Country Status (1)
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