JP3886322B2 - 靴底の通気構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明のバックグラウンド】
発明の分野：
本発明は靴底の通気構造に関し、特にランニング、トライアスロン等用運動靴に関するものである。
【０００２】
従来の技術の説明：
靴の内において、足のムレなどを防ぐために、通気や排水を図るための孔を設けた靴底は公知である。
図４は実開平１─１４３９０４号に開示された靴底の構造を示す。
図４において、靴底１０１には多数の通気孔１０２が形成してある。各通気孔１０２は、下方に行くに従いテーパ状に孔径が大きくなっており、小石などの異物１０３が詰まっても、下方に落ち易くなるのを狙っている。しかし、通気孔１０２がテーパ状になっていても、異物１０３は差程容易に落下しない。そのため、通気や排水機能の低下を招く。
【０００３】
【発明の概要】
したがって、本発明の目的は、通気孔の目詰まりを防止して、通気機能や排水機能の低下を防止することである。
【０００４】
前記目的を達成するために、本発明の靴底の通気構造は、靴底に上下に貫通する貫通孔が形成されている。前記貫通孔には、通気用パーツが装着されている。前記通気用パーツは、鍔部と突部とを備えている。前記鍔部は、前記通気用パーツが前記貫通孔から落下しないように靴底の上面に係合する。前記突部は、前記貫通孔内に向って入り込む。前記突部には、上下に貫通して空気を通す通気孔が設けられている。
【０００５】
靴底の下方から貫通孔内に小石などの異物が入り、該異物が貫通孔に詰まると、運動中の着地時に靴底が圧縮され、通気用パーツの下端が前記異物に当接し、該通気用パーツが異物を下方に押し出す。これにより貫通孔の目詰まりを防止する。
【０００６】
【実施例の説明】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものである。本発明の範囲は請求の範囲に基づいて定められる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【０００７】
以下、本発明の一実施例を図１および図２にしたがって説明する。
図１において、靴底１はミッドソール２とアウトソール３とが積層されてなる。前記靴底１の前足部４は、以下に説明する通気構造を備えている。
【０００８】
靴底１には、靴底１を上下に貫通する貫通孔５が複数個形成してある。前記各貫通孔５には、通気用パーツ６が装着されている。
【０００９】
図２（ａ）に示すように、通気用パーツ６は、鍔部６０と突部６１とが一体に形成されてなる。前記鍔部６０は、通気用パーツ６が前記貫通孔５から下方へ落下しないようにミッドソール２の上面２ａに係合する。前記突部６１は鍔部６０から下方に突出しており、前記貫通孔５内に入り込んでいる。前記突部６１の先端部分には複数個の通気孔６２が形成してある。該通気孔６２は、上下に貫通しており、前記貫通孔５を介して、空気を流通させる。すなわち、靴内の湿気を含んだ空気が前記通気孔６２を介して排出されると共に、外気（新気）が前記通気孔６２を介して靴内に導入される。
【００１０】
前記ミッドソール２の上面２ａには、浅い装着凹所２０が前記通気孔５の周囲に形成してある。この装着凹所２０の形状は前記通気用パーツ６の鍔部６０の形状に対応しており、これにより、靴底１の上面に大きな凹凸ができないようにして履き心地が低下しないようにしている。
【００１１】
前記貫通孔５は、上部の円柱部５１、下部の円錐台状のテーパ部５２とを備えている。テーパ部５２は、下方に行くに従いテーパ状に孔径が大きくなっており、下方に向って貫通孔５が開口している。なお、前記通気用パーツ６の突部６１は、前記貫通孔５の円柱部５１に嵌合していると共に、前記テーパ部５２に向って若干突出している。
【００１２】
前記通気用パーツ６は、たとえば、ポリアミドやポリウレタンなどの熱可塑性樹脂で形成されている。一方、前記ミッドソール２はＥＶＡ（エチレン─酢酸ビニル共重合体）やポリウレタンなどの樹脂の発砲体からなる。前記通気用パーツ６はミッドソール２よりもヤング率が大きな材料で形成されている。
【００１３】
図２（ａ）の異物７が貫通孔５のテーパ部５２に噛み込んだ状態で、着用者が着地すると、図２（ｂ）に示すように、ミッドソール２が上下に圧縮される。この際、通気用パーツ６の先端が異物７を下方に押すことになる。そのため、異物７が貫通孔５から落下するので、貫通孔５の目詰まりを防止できる。
【００１４】
図３は通気用パーツ６の変形例を示す。
図３（ａ）のように、通気用パーツ６は、通気孔６２をメッシュ（網状体）で形成してもよい。また、図３（ｂ）のように、通気用パーツ６には通気孔６２を１つだけ設けてもよい。
【００１５】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、通気用パーツは金属で形成してもよい。
また、通気用パーツの鍔部や突部の形状は限定されない。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【００１６】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、異物が貫通孔に嵌まると、該異物が着地時に通気用パーツによって下方に押し出されて落下する。したがって、通気性および排水機能の低下するおそれがない。
【００１７】
特に、請求項２の発明によれば、異物がより一層落ちやすくなる。
【００１８】
また、請求項３の発明によれば、靴底の上面に通気用パーツを設けたことにより、ミッドソール上面部に凹凸が生じないので、履き心地が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は本発明の一実施例にかかる靴底の前足部を示す斜視図である。
【図２】図２（ａ）および図２（ｂ）は、それぞれ、通気用パーツと貫通孔を示す靴底の断面図である。
【図３】図３（ａ）および図３（ｂ）は、それぞれ、通気用パーツの変形例を示す断面図である。
【図４】図４は従来の靴底の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
１：靴底
２ａ：ミッドソールの上面（靴底の上面）
２０：装着凹所
５：貫通孔
５２：テーパ部
６：通気用パーツ
６０：鍔部
６１：突部
６２：通気孔

Claims (4)

1. 靴底に上下に貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔に通気用パーツが装着され、
   前記通気用パーツは、該通気用パーツが前記貫通孔から落下しないように靴底の上面に係合する鍔部と、前記貫通孔内に向って入り込んだ突部とを備え、
   前記突部には、上下に貫通して空気を通す通気孔が設けられ、
   運動中の着地時に靴底が圧縮され、前記通気用パーツの前記突部の下端が前記貫通孔に詰まった異物に当接し、前記通気用パーツが前記異物を下方に押し出すことが可能な靴底の通気構造。
2. 請求項１において、
   前記貫通孔は、上部の円柱部と、下方に行くに従いテーパ状に孔径が大きくなる下部のテーパ部とを有し、前記通気用パーツの突部は、前記貫通孔の前記円柱部に嵌合していると共に、前記テーパ部に向かって若干突出している靴底の通気構造。
3. 請求項１もしくは２において、
   前記靴底の上面には前記鍔部の形状に対応する装着凹所が、前記貫通孔の周囲に形成されている靴底の通気構造。
4. 請求項１ないし３のいずれか１項において、
   前記通気用パーツは、前記鍔部および突部がエラストマーにより一体に成形されていると共に、前記靴底よりもヤング率が大きな材料で形成されている靴底の通気構造。

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