JP3881804B2 - ロール装置 - Google Patents

ロール装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3881804B2
JP3881804B2 JP09996899A JP9996899A JP3881804B2 JP 3881804 B2 JP3881804 B2 JP 3881804B2 JP 09996899 A JP09996899 A JP 09996899A JP 9996899 A JP9996899 A JP 9996899A JP 3881804 B2 JP3881804 B2 JP 3881804B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
static pressure
core shaft
shoe
pressure shoe
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09996899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000291641A (ja
Inventor
和清 河野
光史 谷本
清 中野
邁 谷口
健太郎 明賀
英人 阿部
照男 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP09996899A priority Critical patent/JP3881804B2/ja
Publication of JP2000291641A publication Critical patent/JP2000291641A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3881804B2 publication Critical patent/JP3881804B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアシャフト上に取り付けられた静圧シューにより、油膜を介して支持されて回転する中空ロールセルを有するロール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種ロール装置の概要について、図6〜図12に基づいて説明する。図6にロール装置の全貌を示し、図7と図8にコアシャフトの傾き角の異なる場合のロール装置の軸方向断面図、図9に静圧シュー上面図、図10に静圧シュー断面図、図11にコアシャフトが変形移動した場合の静圧シューと中空ロールセルの状態、図12に図11のZ方向から見た静圧シューの変形状態を示す。
【0003】
製紙機械に採用されるこの種ロール装置は、同ロール装置とニップを形成する加圧ロール5や別の加圧ロール51との間に紙やフェルトなどの帯状体を所定の圧力で押し付けて通過させることにより、帯状体の脱水や成形などを行うものである。
【0004】
同ロール装置の概略の構造は次のとおりである。
中心構造となるコアシャフト1は、両端を図示省略した外部構造に支持され、その左右両端部に配置した軸受4により中空ロールセル3を回転支持する。
【0005】
中空ロールセル3は、その外面と加圧ロール5とで形成するニップで帯状体8を所定の圧力で押し付けて脱水又は成形しながら帯状体8を搬送する。
ロール7は加圧ロール5の他に、別の加圧ロール51などが配置されて、この別の加圧ロール51との間でもニップを形成して帯状体8の脱水や成形を行うように配列される場合もある。
【0006】
中空ロールセル3の内面は、コアシャフト1に取り付けられた静圧シュー2との間に生じる油膜圧力を受けて、加圧ロール5の押し付け力に対抗する。
コアシャフト1は断面がほぼI型の形状に構成され、その取付け方向は図7に示すように端部に取り付けた静圧シュー2が斜め上方位置となる配置、図8に示すように前記静圧シュー2が真直ぐ上方位置となる配置、あるいは図示していないが同静圧シュー2が下方に向く位置となる配置など、ロール装置に要求される機能や周辺構造配置に応じて様々である。
【0007】
静圧シュー2は、その下部に一体構造としたピストン22を有しており、同ピストン22は、コアシャフト1の上部に形成したピストン溝23に潤滑油シールのためのメタルシール27を介してはめ込まれ、中空ロールセル3の半径方向に移動できる構造になっている。
【0008】
静圧シュー2の上部表面はシュー潤滑面21を形成し、同シュー潤滑面21には潤滑油を溜めるためのシューポケット24が複数に分割して設けられ、また静圧シュー2の内部には絞り25が設けられている。
【0009】
シュー潤滑面21およびピストン22はコアシャフト1の軸方向に真直であり、ピストン22がはめ込まれるピストン溝23も同様に真直である。
ピストン溝23にはコアシャフト1の内部に設置した給油管9より潤滑油が供給され、潤滑油は絞り25を通ってシューポケット24に充満して、中空ロールセル3の内面との間で油膜圧力が発生する。
中空ロールセル3が静止している場合には静圧が作用し、中空ロールセル3が回転する場合はさらに動圧も加わる。
【0010】
静圧シュー2に供給された潤滑油はシュー潤滑面出側26より中空ロールセル3の内部に吐き出され、中空ロールセル3の下部に一旦溜まった後、排油管10により外部に排出され、さらに図示していない給油装置により温度制御されて、再びロール装置に給油される。
【0011】
このように構成された静圧シュー2において、中空ロールセル3の回転時に加圧ロール5との間で押し付け力が安定して発生するためには、シュー潤滑面21と中空ロールセル3の内面の間に数10μmから数100μmの油膜厚さを保持することが必要である。
【0012】
静圧シュー2の油膜厚さはシューポケット24、絞り25、シュー潤滑面21、中空ロールセル3の内面の各部の幾何形状、ロール装置の回転数、押し付け力などの運転条件、供給潤滑油の温度やシュー潤滑面21の温度、加圧ロール5や別の加圧ロール51との位置関係など様々の要因により、次のような影響を受ける。
【0013】
運転条件は、低速で低荷重、高速で低荷重、高速で高荷重など様々であるが、一般的には高速となるほど回転による動的効果により油膜厚さが大きくなり、高荷重であるほど油膜厚さは小さくなる。また、低速では動的効果は小さく純静圧シューとしての挙動を示す。
【0014】
これに対してシューポケット24、絞り25、シュー潤滑面21、中空ロールセル3の内面の各部の幾何形状は、上記必要となる運転条件を満足するように設計して決められる。
【0015】
供給油は、一般的にはその温度が高いほど油粘度が小さくなるため油膜厚さが小さくなり、反対に、温度が低いと油粘度が大きくなり油膜厚さは増大傾向にある。このように供給油の温度は油膜厚さに大きな影響を与えるため、排油された潤滑油は所定の温度範囲に温度管理されて再度供給される。
【0016】
シュー潤滑面21と中空ロールセル3の内面との相対位置関係、とくに中空ロールセル3の回転方向の位置関係が油膜厚さに影響する。
中空ロールセル3は押し付け力などの作用によりある位置に変形するが、静圧シュー2が中空ロールセル3に対して相対的に移動することが問題となる。
【0017】
例えば、図11と図12に示すように、コアシャフト1が中空ロールセル3に対してたわみ変形したときに静圧シュー2の軸方向端部では静圧シュー2と中空ロールセル3の相対位置は大きく変化しないのに対して、軸方向中央部においては静圧シュー2が中空ロールセル3に対して回転方向にずれた位置に移動してシュー潤滑面出側26の油膜厚さは小さくなる。
【0018】
図11に示す中心線01が移動前の静圧シュー2の中心位置、中心線02が移動後の位置である。この中心線01、02の差となるずれ量が許容範囲内であれば、油膜圧力の変化により静圧シュー2にねじり力が作用してシュー潤滑面出側26の油膜厚さを確保することが可能である。
【0019】
しかしながら、このずれ量が許容範囲を超えると油膜厚さを確保できず、静圧シュー2は中空ロールセル3の内面と接触し、静圧シュー2の焼き付きに繋がる。このような問題は、静圧シュー2が軸方向に短い場合は静圧シュー2の全体が回転することにより油膜厚さを確保することが可能である。
【0020】
このような静圧シュー2の中空ロールセル3に対する位置のずれは、次のような場合に起こる。
【0021】
▲1▼図7に示すようにコアシャフト1に取り付けられた静圧シュー2の方向が鉛直方向に対して傾斜している場合は、コアシャフト1の自重によりコアシャフト1が図示の右下方向Xに移動する。
【0022】
▲2▼コアシャフト1の出側の側面であるシャフト出側側面6aと入り側の側面であるシャフト入り側側面6bの温度が異なる場合、この温度差によるバイメタル効果(板の表裏に温度差がある場合に板が反る効果)によりコアシャフト1は軸方向に反る。
【0023】
例えば、シャフト出側側面6aの方がシャフト入り側側面6bに比べて温度が高い時は、コアシャフト1の軸方向中央部では図11に示すX方向に反るために静圧シュー2も移動して油膜厚さはシュー潤滑面出側26の方がシュー潤滑面入り側28に比べて小さくなる。
【0024】
このようなコアシャフト1の温度差は、コアシャフト1の温度と中空ロールセル3の内部の潤滑油温度との差や、中空ロールセル3の内部の潤滑油の複雑な運動状態により変化する。これらの状態は回転速度や押し付け力、あるいは機械の運転時間、停止時間などにより影響を受けるため、この温度差の状況を予測することは非常に難しい。
【0025】
▲3▼別の加圧ロール51による押付け力が軸受4を介してコアシャフト1の横方向に作用することにより、コアシャフト1がたわみ、コアシャフト1にはめ込まれた静圧シュー2が中空ロールセル3に対して相対的に移動する。
【0026】
▲4▼中空ロールセル3の回転時にシュー潤滑面21には潤滑油の粘度により回転方向にはせん断力が作用し、このせん断力によりコアシャフト1はその方向に変形を起こして、静圧シュー2が中空ロールセル3に対して相対的に移動する。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように従来のこの種ロール装置においては、シュー潤滑面と中空ロールセル内面の相対位置関係は稼働に際して所定の位置関係からずれる可能性があり、このずれ量が大きくなると静圧シュー油膜厚さは所定の値から減少し、これが許容範囲を超えると、静圧シューの油膜厚さを必要量だけ確保できずに焼き付きなどの事故に繋がる危険がある。
【0028】
本発明は、このような従来のロール装置における問題点を解消し、静圧シューの中空ロールセルに対する位置移動による油膜厚さの減少を低減して、同油膜厚さを必要量確保し、安全かつ正確に作動するようにしたロール装置を提供することを課題とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本出願の各発明は前記した課題を解決すべくなされたもので、その第1の発明は、軸端を固定されたコアシャフト上に取り付けられて中空ロールセルの半径方向に移動可能の静圧シューと、同静圧シューとの間に油膜を介して内面を支持されて回転する前記中空ロールセルを有するロール装置において、前記静圧シューは、前記半径方向と異なり周方向に弓形を形成した反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成したロール装置を提供するものである。
【0030】
すなわち本発明によれば、コアシャフト上に取り付けられた中空ロールセルの半径方向に移動可能の静圧シューは、前記半径方向と異なり周方向に弓形を形成した反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトが反り変形する方向と逆の方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成されているので、同運転状態において、コアシャフトが反り変形を起こしても、同変形と逆方向に向かって予め反り形状に構成した静圧シューと互いの反りが打ち消し合い、作動中に矯正力を加えるような特別な機構は一切必要の無い簡便な構成の下で両者間に相対移動の無い状態を得、静圧シューと中空ロールセル間の油膜厚さを良好な状態に保持し、同静圧シューと中空ロールセル間で焼付き等の発生防止を図るようにしたものである。
【0031】
また、第2の発明は前記第1の発明において、前記静圧シューは半径方向内方に突出するピストンを有し、同ピストンを前記コアシャフトに設けた半径方向に延びるピストン溝と係合させて設置し、かつ前記静圧シューを反り形状に構成することに代えて前記ピストン溝は、前記半径方向と異なり周方向に反らせた反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成したロール装置を提供するものである。
【0032】
すなわち本発明によれば、前記静圧シューは半径方向内方に突出するピストンを有し、同ピストンを前記コアシャフトに設けた半径方向に延びるピストン溝と係合させて設置することに加え、前記第1の発明おける反り形状に構成した静圧シューに代えて、静圧シューのピストンと係合するコアシャフトのピストン溝を、前記半径方向と異なり周方向に反らせた反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うように前記運転状態におけるコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成しているので、前記第1の発明と同様に反りが互いに打ち消し合い、作動中に矯正力を加えるような特別な機構は一切必要の無い簡便な構成の下で両者間に相対移動の無い状態を得て静圧シューと中空ロールセル間の油膜厚さを良好な状態に保持し、同静圧シューと中空ロールセル間で焼付き等の発生防止を図るようにしたものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第1形態について図1乃至図3に基づいて説明する。
なお、説明が冗長になるのを避けるべく、前記した従来のものと同一部分については、図中同一の符号を付して示し、重複する説明は極力省略する。
【0034】
図1は本実施の形態における静圧シュー形状の概要、図2はその静圧シューを上面より見た図、また図3は静圧シューと中空ロールセルの位置関係を示している。
【0035】
シュー潤滑面21の中心線は、製作時のシュー中心線30aと稼働時のシュー中心線30bを記入して示すように、軸方向に弓型を形成した反り量δ1だけ反った形状であり、ピストン22は図示のように軸方向に真直、あるいはわずかの量だけ反っていても良い。
【0036】
シュー中心線30a、30bと直角方向断面形状は、従来の静圧シュー2と同じである。反り量δ1の方向は図12で説明した稼働時における静圧シュー2の反り変形方向と逆である。
【0037】
なお、ピストン22には従来の静圧シュー2と同様に図示省略のメタルシールを組込むためのメタルシール用溝を有しており、このメタルシール用溝をコアシャフト1の側面に設ける場合は、ピストン22には溝が無い場合もある。
【0038】
反り量δ1を有する静圧シュー2は、前記した図6で説明するとピストン22を軸方向に真直延びるピストン溝23にはめ込まれており、この様にはめ込まれた状態では、コアシャフト1およびピストン22は軸方向に真直であるが、シュー潤滑面21は軸方向に反った状態となる。
【0039】
この様に構成された本実施の形態において、前記シュー潤滑面21の反り方向および反り量とコアシャフト1との関係はつぎのようである。
【0040】
前記したようにコアシャフト1は、コアシャフト1の自重、コアシャフト1の前後側面の温度差及び加圧ロール5、51の押付け力などにより軸方向に反り変形を起こし、静圧シュー2は中空ロールセル3に対して相対的に移動する。
【0041】
静圧シュー2の反り量δ1の方向は静圧シュー2の中空ロールセル3に対する相対的移動と逆方向であり、その大きさはこの相対的移動量の大きさと関連して決められる。
【0042】
つまり、コアシャフト1の自重や各種運転条件における加圧ロール5、51の押付け力によるコアシャフト1のたわみ変形の大きさや、コアシャフト1の側面の温度差によるコアシャフト1の反り変形量の大きさを考慮した値を用いる。
【0043】
この静圧シュー2の反り形状のパターンは、通常コアシャフト1のような長いはり状の弾性体が軸方向に対称な荷重や温度差を受けた場合には近似的に滑らかな2次から4次の曲線で変形するので、概略2次の曲線や円弧形状を用いることができる。
なお、この反り量δ1の大きさは通常は数mm以内と小さいため厳密な曲線を選定する必要はない。
【0044】
図3に静圧シュー2をコアシャフト1に組込んだときの静圧シュー2の軸方向中央部おける位置の変化状態を示す。なお、同図3では前記図7で説明したように中空ロールセル3に対してコアシャフト1が鉛直方向と斜め方向に設置される場合を示して以下説明する。
【0045】
静圧シュー2がA位置にある場合は、加圧ロール5の押付け力やコアシャフト1の自重またはコアシャフト1の両側面の温度差等による反り変形の全く無い無荷重状態での、静圧シュー2の軸方向中央部における同静圧シュー2と中空ロールセル3との位置関係を示しており、シュー潤滑面21の中空ロールセル3内面に対する隙間の状態は、シュー潤滑面出側26とシュー潤滑面入り側28で対称である。
【0046】
これに対して静圧シュー2がB位置にある場合は、本実施の形態により予め反り量δ1を有する静圧シュー2を組込んだときの無荷重状態における静圧シュー2の位置であり、静圧シュー2は中空ロールセル3に対して図3において左上側寄りに位置する。
【0047】
前記従来のものにおいては、A位置に設置された無荷重状態での静圧シュー2は、運転状態においては加圧ロール5の押付け力、コアシャフト1の自重またはコアシャフト1の両側面の温度差による反り変形が起きるために破線で示すC位置に移動して、シュー潤滑面出側26における油膜厚さが減少する。そして静圧シュー2の移動量が大きい場合には、シュー潤滑面出側26の位置では静圧シュー2は中空ロールセル3の内面と接触する危険がある。
【0048】
これに対して、本実施の形態における静圧シュー2では、無荷重状態ではB位置にあり、シュー潤滑面21と中空ロールセル3の内面との隙間はシュー潤滑面入り側28の方がシュー潤滑面出側26に比べて小さい状態であるが、運転状態ではコアシャフト1が同図3の右下方向に変形するため静圧シュー2はA位置に移動する。この状態ではシュー潤滑面21は中空ロールセル3の内面との間で良好な油膜厚さ状態を保持することができる。
【0049】
このように本実施の形態においては、静圧シュー2のシュー潤滑面21が運転状態におけるコアシャフト1の反り変形方向と逆方向に予め反っているため、運転状態においてコアシャフト1が反り変形を起こしたときに、シュー潤滑面21は中空ロールセル3の内面に対して相対移動の無い位置に移動するため必要な油膜厚さを保持することができ、これにより、静圧シュー2が焼き付きなどの問題に繋がる危険は無くなる。
【0050】
なお、本実施の形態においては静圧シュー2の反り量δ1の大きさは、実際の運転状態の中で油膜厚さを確保する上で最も厳しくなる条件における値を用いることが理想であるが、運転状態におけるコアシャフト1の変形は前述のように様々の要因により発生するために精度よく予測することは困難である場合には、支配的な要因を選択して決めることもできる。
【0051】
例えば、コアシャフト1の自重による変形量の大きさを採用するとか、あるいはさらに他の加圧ロール51による押付け力によるコアシャフト1の変形の影響も加えた大きさとするなど、設計上適正な値を選択することもできる。
【0052】
また、図1で示したように、シュー潤滑面21のみ反り量δ1を有し、ピストン22は真直の形状として説明したが、ピストン22が反り量δ1と同じ方向、あるいはそれと反対方向にある程度反っていても良い。つまり、静圧シュー2の上面での反り量δ1との差が上記の効果を発揮することになる。
【0053】
前記したような本実施の形態における反り形状の静圧シュー2を得るための加工方法としては、例えばピストン22を真直に固定した状態で、静圧シュー2の上面を反り量δ1を有するようにNC加工機などで切削加工するか、あるいは、ピストン22の軸方向端部を固定支持した状態でその中央部に図1に示す反り量δ1の方向と逆方向に押し力を加えて静圧シュー2に反り量δ1の大きさの曲がり変形を与えた状態で、静圧シュー2の上面を従来静圧シュー2と同様に軸方向に真直形状の加工を行う方法などを採用することができる。
【0054】
後者の方法では、加工後に押し力を除いた状態では、静圧シュー2はピストン22の弾性変形により元の真直に近い形状に戻るために、図1に示すような静圧シュー2の形状を得ることができる。
【0055】
次に本発明の実施の第2形態について、図4及び図5に基づいて説明する。
なお、前記と同様に説明が冗長になるのを避けるべく、前記した従来のもの、及び実施の第1形態と同一部分については、図中同一の符号を付して示し、重複する説明は極力省略する。
【0056】
図4に本実施の形態におけるコアシャフトとこれに設けられたピストン溝の形状概要を、また、図5に静圧シュー形状の概要を示している。
【0057】
従来構造のピストン溝は、破線で示すようにコアシャフト1の軸方向に真直な形状のピストン溝29bであるが、本実施の形態におけるピストン溝は、コアシャフト1の軸方向中央位置で、コアシャフト1の反り変形と逆方向にδ2の量だけ反り形状に構成したピストン溝29aである。
【0058】
このように反り形状に構成したピストン溝29aを有するコアシャフト1には、従来の真直の静圧シュー2あるいは図5に示すようにピストン溝に対してシュー潤滑面21がδ3だけ反った静圧シュー2などを組込ませることができる。
【0059】
従来のものとして説明した真直の静圧シュー2を組込む際は、静圧シュー2を強制的に曲げ変形させてコアシャフト1のピストン溝29aにはめ込む。
図5に示すように反り形状の静圧シュー2の場合は、反り量が同一であれば従来同様にはめ込めば良いし、異なる場合は静圧シュー2に外力により曲げてはめ込めば良い。
【0060】
何れの静圧シュー2を用いるにしても、はめ込まれた状態では、コアシャフト1の曲げ剛性は通常は静圧シュー2に比べて充分大きいため、シュー潤滑面21の中心線はほぼコアシャフト1のピストン溝29aの曲がり量δ2だけ軸方向に反ることになる。
【0061】
メタルシールなどが用いられる場合には、ピストン22とコアシャフト1のピストン溝29aはガタを有するために、静圧シュー2は正確にδ2だけ反り変形を起こさず、反り量はδ2より小さくなるが、前もってδ2の大きさを調整して決めれば所定の値とすることができる。
【0062】
このようなピストン溝29aの反り量δ2の大きさと方向は、前記した実施の第1形態の場合と同様に、運転状態においてコアシャフト1が変形したときに静圧シュー2が軸方向に真直となるように決めれば良い。
また、曲がりのパターンも前記実施の第1形態と同様であり、近似的には2次曲線や円弧形状などを採用すれば良い。
【0063】
かくして本実施の形態においても、図3で説明したと同様に無荷重の状態では静圧シュー2はB位置に有り、運転状態では静圧シュー2はA位置に移動して理想的な油膜状態を保持することができるため、前記実施の第1形態の場合と同様に、静圧シュー2の焼き付きなどの問題に繋がる危険は無くなる。
【0064】
以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】
以上、本出願の請求項1に記載の発明によれば、軸端を固定されたコアシャフト上に取り付けられて中空ロールセルの半径方向に移動可能の静圧シューと、同静圧シューとの間に油膜を介して内面を支持されて回転する前記中空ロールセルを有するロール装置において、前記静圧シューは、前記半径方向と異なり周方向に弓形を形成した反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状にしてロール装置を構成しているので、ロール装置の運転状態において、コアシャフトが反り変形を起こしても、同変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め反り形状に構成した静圧シューと互いの反りが打ち消し合い、作動中に矯正力を加えるような特別な機構は一切必要の無い簡便な構成の下で両者間に相対移動の無い状態を得、静圧シューと中空ロールセル間の油膜厚さを良好な状態に保持し、同静圧シューと中空ロールセル間で焼付き等の発生防止を図り、正確かつ安全に機能して信頼性の高いロール装置を得ることができたものである。
【0066】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1の発明において、前記静圧シューは半径方向内方に突出するピストンを有し、同ピストンを前記コアシャフトに設けた半径方向に延びるピストン溝と係合させて設置し、これに加えて前記静圧シューを反り形状に構成することに代えて前記ピストン溝を前記半径方向と異なり周方向に反らせた反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うように運転状態における前記コアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状にしてロール装置を構成しているので、前記第1の発明と同様に反りが互いに打ち消し合い、作動中に矯正力を加えるような特別な機構は一切必要の無い簡便な構成の下で両者間に相対移動の無い状態を得て静圧シューと中空ロールセル間の油膜厚さを良好な状態に保持し、同静圧シューと中空ロールセル間で焼付き等の発生防止を図り、以て正確性および安全性に富んだ、信頼性の高いロール装置を得ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係るロール装置における静圧シューの概要を示す説明図である。
【図2】図1の静圧シューを上面より見た状態を示す説明図である。
【図3】図1の静圧シューとロール装置における中空ロールセルの位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の第2形態に係るロール装置におけるコアシャフトとこれに設けられたピストン溝の概要を示す説明図である。
【図5】図4のコアシャフトのピストン溝に取り付けられる静圧シューの概要を示す説明図である。
【図6】従来のロール装置の全貌を示す説明図である。
【図7】図6のロール装置におけるコアシャフトの組み入れ状態の一例を示す説明図である。
【図8】図6のロール装置におけるコアシャフトの組み入れ状態の他の例を示す説明図である。
【図9】図6のロール装置における静圧シューを上面より見た状態を示す説明図である。
【図10】図6のロール装置における静圧シューの断面示す説明図である。
【図11】図6のロール装置におけるコアシャフトが変形移動した場合の静圧シューと中空ロールセルの状態を示す説明図である。
【図12】図11のZ方向から見たときの静圧シューの変形状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コアシャフト
2 静圧シュー
3 中空ロールセル
4 軸受
5 加圧ロール
6a シャフト出側面
6b シャフト入り側面
8 帯状体
9 給油管
10 排油管
21 シュー潤滑面
22 ピストン
23 ピストン溝
24 シューポケット
25 絞り
26 シュー潤滑面出側
27 メタルシール
28 シュー潤滑面入り側
29a、29b ピストン溝 29a
30 シュー中心線
30a、30b シュー中心線
51 加圧ロール

Claims (2)

  1. 軸端を固定されたコアシャフト上に取り付けられて中空ロールセルの半径方向に移動可能の静圧シューと、同静圧シューとの間に油膜を介して内面を支持されて回転する前記中空ロールセルを有するロール装置において、前記静圧シューは、前記半径方向と異なり周方向に弓形を形成した反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成したことを特徴とするロール装置。
  2. 前記静圧シューは半径方向内方に突出するピストンを有し、同ピストンを前記コアシャフトに設けた半径方向に延びるピストン溝と係合させて設置し、かつ前記静圧シューを反り形状に構成することに代えて前記ピストン溝は、前記半径方向と異なり周方向に反らせた反り形状であって、かつ、運転時のコアシャフトの反り変形と打ち消し合うようにコアシャフトの反り変形と逆方向に向かって同コアシャフトの変形量に応じて予め逆反りさせた反り形状に構成したことを特徴とする請求項1に記載のロール装置。
JP09996899A 1999-04-07 1999-04-07 ロール装置 Expired - Fee Related JP3881804B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09996899A JP3881804B2 (ja) 1999-04-07 1999-04-07 ロール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09996899A JP3881804B2 (ja) 1999-04-07 1999-04-07 ロール装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000291641A JP2000291641A (ja) 2000-10-20
JP3881804B2 true JP3881804B2 (ja) 2007-02-14

Family

ID=14261480

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09996899A Expired - Fee Related JP3881804B2 (ja) 1999-04-07 1999-04-07 ロール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3881804B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000291641A (ja) 2000-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100807889B1 (ko) 동압유체베어링
CA1292494C (en) Bearing support
US6726365B2 (en) Foil type fluid bearing
EP0068387B1 (en) Fluid foil bearing
US5911511A (en) Tilting pad foil thrust and journal bearings
JPS5913369Y2 (ja) 円筒ころ軸受
US4497587A (en) Three-pad journal bearing
JP5321332B2 (ja) 動圧気体軸受
CA1168687A (en) Roll
CN102192241A (zh) 具有折叠突片的无键/无槽箔片轴承
CN1143582A (zh) 安全带导向装置
US6394658B1 (en) Bearing systems having reduced noise and axial preload
GB2329942A (en) Synthetic resin cage for roller bearing
JP3881804B2 (ja) ロール装置
KR20100039327A (ko) 코팅 롤의 베어링 구조, 및 도포 장치
JPH0535214Y2 (ja)
US20140064650A1 (en) Bearing arrangement with a back-up bearing, in particular for mountnig a rapidly rotating shaft
JPH09273548A (ja) 自動車用円すいころ軸受
WO1998036184A1 (en) Hydrostatic glide bearing for a roll or equivalent
JP6651397B2 (ja) フォイル軸受
CN216951265U (zh) 径向波箔、动压气浮径向轴承、电机、空气压缩机
EP0021711B1 (en) Fluid-lubricated foil bearings, and foils for such bearings
JP5556324B2 (ja) 密封装置及び転がり軸受
US20100166354A1 (en) Roller bearing
JP3810578B2 (ja) 静圧シュー用断熱シャフト

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050905

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060516

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060714

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061113

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees