JP3880182B2 - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは金属板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた成形加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保味保香性、耐衝撃性などに優れた金属缶、例えば飲料缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。
【0003】
すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
【0004】
この熱可塑性樹脂フィルムとしては、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保味保香性などの点で、共重合ポリエステルフィルムが適していることが次第に明らかになりつつある。しかしながら、このポリエステルフィルムは緑茶類など極めて微妙な味わいが重要な飲料、さらには無味無臭が要求されるミネラルウォーターを内容物とした場合、必ずしも十分な保味保香性を示さず、臭気や味に対する変化が感知される。
【0005】
これに対し、特開平6―116376号公報では、特定量のアルカリ金属元素とゲルマニウム元素を含有する共重合ポリエステルからなる、フレーバー性を向上せしめた金属板成形加工用ポリエステルフィルムが提案されている。しかし、このフィルムを用いた場合、コールドバックシステムのような内容物をつめた段階で熱のかからない工程では優れた保味保香性を示すが、レトルト処理のような内容物をつめた段階で熱処理が行われる工程においては、必ずしも十分な保味保香性が得られない。
【0006】
また、耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト性、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性が改善されるフィルムが得られるように、ポリエステルの共重合成分を選択すると、成形加工性が悪くなる傾向が認められることもわかってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、共重合ポリエステルフィルムが持っている優れた耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト性を保持しながら、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善し、しかも成形加工性の低下が生じない金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、共重合ポリエステルのなかでも、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、ある特定の融点を有する共重合ポリエステルを用い、特定のガラス転移温度、動的粘弾性、X線回折強度比およびDSCによるサブピーク温度を有するフィルムとすれば、成形加工性を損なうことなく、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる二軸延伸フィルムであって、共重合ポリエステルの共重合成分が少なくとも2,6−ナフタレンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールを含み、延伸倍率は縦方向が2.8〜3.5倍であり横方向が2.9〜3.6倍、縦及び横延伸温度が100〜150℃であって、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)とDSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および下記式(2)を満足し、かつ、X線回折強度比が下記式(3)を満足すると共に、DSCによるサブピーク温度が150〜205℃であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムである。
【0010】
【数3】
Tg≧78 …(1)
Te−Tg≦28 …(2)
(ここで、Tgは、290℃で加熱溶融―急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teは、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
【0011】
【数4】
Figure 0003880182
【0012】
該共重合ポリエステルの共重合成分は、2,6−ナフタレンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールを少なくとも含有する。また、該共重合ポリエステルフィルムをイオン交換水で121℃、2時間抽出処理したときの抽出量が1平方インチ当たり0.5mg以下であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、種々の共重合ポリエステルのなかでも、優れた耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト性を保持しながら、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善できることから、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃である共重合ポリエステルを使用する。
【0014】
本発明における共重合ポリエステルの共重合成分は、ジカルボン酸成分である2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはジオール成分である1,4−シクロヘキサンジメタノールを少なくとも含有する。
【0015】
このジカルボン酸成分としては2,6−ナフタレンジカルボン酸の他に、イソフタル酸、フタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−シクロヘキサンジメタノールのほかに、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0016】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果として、ポリマー融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃の範囲になる割合である。融点が210℃未満では耐熱性が劣ることになる。一方、融点が245℃を超えると、ポリマーの結晶性が大きすぎて成形加工性が損なわれる。
【0017】
ここで、共重合ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0018】
さらに、本発明で用いる共重合ポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合には耐衝撃性が不足することがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超える場合には、成形加工性が損なわれることがある。
【0019】
本発明における共重合ポリエステルは、その製法により限定されることはないが、例えば共重合ポリエチレンテレフタレートの場合、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法、あるいはテレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて共重合ポリエチレンテレフタレートとする方法を好ましく挙げることができる。また、上記の方法(溶融重合)により得られた共重合ポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0020】
前記共重合ポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることができる。
【0021】
前記重縮合反応に使用する触媒としては、アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが好ましく挙げられ、なかでも、チタン化合物、ゲルマニウム化合物は、フィルムの保味保香性の点で好ましい。チタン化合物としては、例えばチタンテトラブトキシド、酢酸チタンなどが好ましく挙げられる。また、ゲルマニウム化合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液などが好ましく挙げられる。更に、アンチモン化合物とチタン化合物を組合わせて使用すると、保味保香性の改善と共に、コストを低減することもできるので好ましい。
【0022】
本発明で用いる共重合ポリエステルには、フィルムの巻取り性を向上させる目的で滑剤を添加することが好ましい。滑剤の種類は無機、有機系の如何を問わないが、無機系が好ましい。無機系滑剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが例示でき、有機系滑剤としてはシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子などを例示できる。特に、耐ピンホール性の点で好ましい滑剤は、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2である単分散の滑剤である。このような滑剤としては、真球状シリカ、真球状シリコーン樹脂粒子、球状架橋ポリスチレン等などが例示できる。
【0023】
滑剤の粒径および量は、フィルムの巻取り性と耐ピンホール性および保味保香性から決定するとよい。すなわち、平均粒径1.5μmのシリカであれば0.06重量%以上0.25重量%以下、平均粒径0.8μmのシリカであれば0.1重量%以上0.45重量%以下の範囲で添加することにより、保味保香性を損なうことなく巻取り性を確保することができる。
【0024】
なお、滑剤は上記外部添加粒子に限るものでなく、例えばポリエステル製造時に用いた触媒などの一部または全部を反応工程で析出させた内部析出粒子を用いることもできる。また、外部添加粒子と内部析出粒子を併用することも可能である。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムは、特に食品缶または飲料缶に用いられるものであるから、該フィルムより溶出あるいは飛散する物質が少ないほど良いが、それらの物質を全くなくすることは実質的に不可能である。そこで、食品缶または飲料缶用途に使用するためには、例えばイオン交換水で121℃、2時間抽出したときのフィルム1平方インチ当りの抽出量が0.5mg以下であることが好ましく、0.1mg以下であることが更に好ましい。
【0026】
このように抽出量を少なくするには、ポリエステルフィルムのガラス転移温度を高くすればよい。ポリエステルフィルムのガラス転移温度は、該フィルムを構成するポリマーのガラス転移温度と配向度によって決まるが、配向度を上げると成形加工性が悪化するので、ポリマー(共重合ポリエステル)のガラス転移温度をできるだけ高くするのが好ましい。
【0027】
本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸、熱固定した状態で使用される。このとき、ポリエステルフィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)と、DSC測定におけるガラス転移温度(Tg)は下記式(1)および下記式(2)を満足する必要がある。
【0028】
【数5】
Tg≧78 …(1)
Te−Tg≦30 …(2)
(ここで、Tgは、290℃で加熱溶融―急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teは、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
【0029】
フィルムのTgが78℃未満であると、耐熱性が劣るようになりレトルト後の保味保香性が悪化する。このため、共重合ポリエステルの共重合成分としては、少なくとも1成分に、共重合成分の割合を増加させたときにガラス転移温度が変化しないか、もしくは上昇するような成分を用いることが好ましい。共重合成分の割合を増加させたときにガラス転移温度を上昇させるような成分としては、ジカルボン酸成分としては2,6―ナフタレンジカルボン酸が、ジオール成分としては1,4―シクロヘキサンジメタノールが好ましく例示できる。
【0030】
ここで、ポリエステルのTgは、DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0031】
さらに、Te−Tgの値が30を超えると、フィルムの分子配向性や結晶性が高くなりすぎるために成形加工性が著しく低下する。Teの値は共重合成分および共重合量にもよるが、製膜条件により、特に二軸延伸の倍率または延伸温度で調整する方法が好ましく挙げられる。
【0032】
ここで、Teは動的粘弾性測定装置を用いて測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4cmにて求められる。
【0033】
また、本発明のポリエステルフィルムは、X線回折強度比が下記式(3)を満足する必要がある。
【0034】
【数6】
Figure 0003880182
【0035】
このX線回折強度比が0.10未満であると、成形加工性が不十分となり、一方、X線回折強度比が0.40を超えると耐熱性が劣ったものとなるため、不適当である。
【0036】
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、DSCによるサブピーク温度(Tsm)が150〜205℃であることが必要であり、好ましくは155〜200℃、さらに好ましくは160〜195℃である。サブピークは金属板上に加熱ラミネートした後のフィルム品質の安定性に寄与し、サブピーク温度が150℃未満では金属板との加熱ラミネート温度を上げると缶の底部が脆化し、一方、加熱ラミネート温度を下げると加工時にフィルムの破断が生じ、加熱ラミネート温度の調整によって良好な缶をつくることができない。またサブピーク温度が205℃を越えると、いかなる加熱ラミネート温度にしても製缶時にフィルムの破断が生じ、製缶が不可能となる。
【0037】
なお、サブピーク温度の測定は、前記の融点の測定と同様に、Du PontInstruments 910 DSCを用い、サンプル量20mgで昇温速度を20℃/分としてサブピーク温度を求める方法による。
【0038】
ここで、サブピークとは、図1に示すように、DSCチャートの融点のピークAの低温側にあらわれる小さいピークBを意味する。
【0039】
X線回折強度比、DSCによるサブピーク温度(Tsm)を調整するには、例えば製膜条件、特に二軸延伸の延伸倍率、延伸温度、熱固定温度を変更すればよい。
【0040】
上記Tg、Te、X線回折強度比およびTsmをあわせ持つポリエステルフィルムを得るには、例えば、共重合ポリエステルを溶融押し出し、急冷して未延伸フィルムを作り、これを二軸延伸する際に、縦延伸倍率を2.8〜3.5倍、縦延伸温度を100〜150℃(好ましくは110〜140℃)、横延伸倍率を2.9〜3.6倍、横延伸温度を100〜150℃(好ましくは110〜140℃)、熱固定温度を150〜210℃(好ましくは155〜205℃)として、上記各特性値が所定の値となる条件を選択すればよい。
【0041】
また、ポリエステルフィルムの厚さ方向の屈折率は1.500〜1.545であることが好ましく、1.505〜1.530であることが更に好ましい。この屈折率が低すぎると成形加工性が不十分となり、一方高すぎると非晶に近い構造となるため、耐熱性が低下することがある。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムは、好ましくは厚みが6〜75μmである。更に8〜75μm、特に10〜50μmであることが好ましい。厚みが6μm未満では加工時に破れなどが生じやすくなり、一方75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である。
【0043】
本発明のポリエステルフィルムが貼合せられる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのポリエステルフィルムの貼合せは、例えば下記▲1▼、▲2▼の方法で行うことができる。
▲1▼ 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼合せた後急冷し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
▲2▼ フィルムに予め接着剤層をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ―エステル系接着剤、アルキッド系接着剤などを用いることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、実施例中の特性は下記の方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0045】
(2)ポリエステルの融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0046】
(3)ポリエステルのガラス転移温度(Tg)
DSC測定用パンに20mgのフィルムサンプルを入れ、290℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0047】
(4)フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)
動的粘弾性測定装置を用いて測定周波数10Hz、動的変位±25×10-4cmにて損失弾性率を求め、このときの最高温ピーク温度をもって示す。
【0048】
(5)X線回折強度比
【0049】
【外1】
Figure 0003880182
【0050】
(6)DSCによるサブピーク温度
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分でサブピーク温度を求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0051】
(7)深絞り加工性
フィルムをポリエステルの融点以上に加熱した板圧0.25mmのティンフリースチールの両面に貼合せ、水冷した後150mm径の円形状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を作成した。この缶について以下の観察および試験を行い、各々下記の基準で評価した。
▲1▼深絞り加工性―1
◎:フィルムにまったく異常なく、加工されたフィルムに白化や破断はまったく認められない。
○:フィルムに異常なく、加工されたフィルムに白化や破断が認められない。
△:フィルムの缶上部に白化が認められる。
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
▲2▼深絞り加工性―2
◎:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定する。以下ERV試験と略す)において0.1mA未満を示す。
○:異常なく加工され、ERV試験において0.1〜0.2mAを示す。
×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が0.2mAを超え、通電個所を拡大観察するとフィルムに粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認められる。
【0052】
(8)耐衝撃性
深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、0℃に冷却した後、各テストにつき10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行った結果、
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるか、あるいは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0053】
(9)耐熱脆化性
深絞り成形が良好であった缶を200℃×5分間加熱保持した後、(8)に記した耐衝撃性評価を行った結果、
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるか、あるいは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0054】
(10)耐レトルト性
深絞り成形が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、50℃で30日間保存した。得られた缶を各テストにつき10個ずつ高さ50cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行った。
【0055】
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mA以上であった。
×:6個以上について0.2mA以上であるかあるいは、落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0056】
(11)保味保香性−1
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、常温下(20℃)30日間保管する。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価する。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
○:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0057】
(12)保味保香性−2
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、常温下(20℃)30日間保管する。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価する。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
○:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0058】
[実施例1〜5および比較例1、2]
表1に示す成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.64、粒径比1.1、平均粒径0.5μmの真球状シリカを0.2重量%含有)を乾燥した後、溶融押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを表1に示す温度および倍率で縦延伸した後、表1に示す温度および倍率で横延伸し、更に170℃で熱固定して二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0059】
得られたフィルムの厚みは、25μmであった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)、損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)、X線回折強度比、DSCによるサブピーク温度(Tsm)、フィルム厚さ方向の屈折率およびイオン交換水による抽出量を表2に、評価結果を表3に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003880182
【0061】
【表2】
Figure 0003880182
【0062】
【表3】
Figure 0003880182
【0063】
表3からも明らかなように、共重合ポリエステルの融点が210〜245℃である本発明の場合(実施例1〜5)は、良好な結果が得られたが、融点が210℃未満の場合(比較例1)は、耐熱性が劣り、レトルト処理後の保味保香性が悪く、245℃を超える場合(比較例2)は、成形加工性が不良であった。
【0064】
[実施例6、7および比較例3、4]
表4に示す成分を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62、粒径比1.1、平均粒径0.5μmの真球状シリカを0.2重量%含有)を溶融押出し、急冷固化して得た未延伸フィルムを、表4に示す条件で延伸、熱固定し、二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0065】
得られたフィルムの厚みは、25μmであった。また、フィルムのガラス転移温度(Tg)、損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)、X線回折強度比、DSCによるサブピーク温度(Tsm)、フィルム厚さ方向の屈折率およびイオン交換水による抽出量は、表5に示す通りであった。
【0066】
評価結果は表6に示す通りであり、Tgが78℃以上、Te−Tgが30℃以下の本発明の場合(実施例6、7)は、良好な結果が得られたが、Tgが78℃未満の場合(比較例3)は、耐熱性が劣り、レトルト処理後の保味保香性が悪く、Te−Tgが30℃を超える場合(比較例4)は、成形加工性が低下した。
【0067】
【表4】
Figure 0003880182
【0068】
【表5】
Figure 0003880182
【0069】
【表6】
Figure 0003880182
【0070】
[実施例8〜11および比較例5〜8]
実施例2において、延伸、熱固定条件を表7に示すように変更し、表8に示す特性を有する(特に、X線回折強度比およびDSCによるサブピーク温度(Tsm)を変更した)二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0071】
結果は、表9に示す通りであり、X線回折強度比が0.10〜0.40で、DSCによるサブピーク温度(Tsm)が150〜205℃である本発明の場合(実施例8〜11)には、良好な結果が得られたが、X線回折強度比が0.10未満(比較例5)では、深絞り加工性が劣り、0.40を超える(比較例6)と、耐熱性が劣り、レトルト後の保味保香性が悪くなった。また、DSCによるサブピーク温度(Tsm)が、150℃未満の場合(比較例7)は、耐衝撃性が劣り、205℃を超える場合(比較例8)は、深絞り加工性が悪化した。
【0072】
【表7】
Figure 0003880182
【0073】
【表8】
Figure 0003880182
【0074】
【表9】
Figure 0003880182
【0075】
【発明の効果】
本発明の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムは、金属板と貼合せた後、製缶加工、例えば深絞り加工して金属缶を成形するにあたり、共重合ポリエステルが持っている優れた耐熱性、耐衝撃性、耐レトルト性を保持しながら、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性が改善され、しかも成形加工性が低下しないものであり、金属容器用のフィルムとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】DSCによるチャートの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
A 融点ピーク
B サブピーク

Claims (2)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる二軸延伸フィルムであって、共重合ポリエステルの共重合成分が少なくとも2,6−ナフタレンジカルボン酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールを含み、延伸倍率は縦方向が2.8〜3.5倍であり横方向が2.9〜3.6倍、縦及び横延伸温度が100〜150℃であって、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(Te)とDSC測定におけるガラス転移温度(Tg)が下記式(1)および下記式(2)を満足し、かつ、X線回折強度比が下記式(3)を満足すると共に、DSCによるサブピーク温度が150〜205℃であることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
    Figure 0003880182
    (ここで、Tgは、290℃で加熱溶融―急冷後のDSC測定におけるガラス転移温度(℃)、Teは、フィルムの損失弾性率の最高温ピーク温度(℃)である。)
    Figure 0003880182
  2. フィルムをイオン交換水で121℃、2時間抽出処理したときの抽出量が1平方インチ当たり0.5mg以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
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