JP3865523B2 - 人造米の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、卵白を高濃度含有した栄養価に優れ、かつ炊飯時の保形性及び食味・食感に優れた人造米及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛋白質は、生命の維持、成長及び健康な日常生活を営む上で、組織の新生及び補修をあずかる栄養素の一種である。蛋白質源としては、肉・乳・卵等の動物由来のもの、大豆蛋白等の植物由来のものが挙げられる。しかしながら、これらいずれの蛋白質源も独自の嗜好性を有し、同一形態で長期間喫食することは難しいため、種々の形態に加工したりあるいは調理する必要がある。それで、同一形態でも嗜好性を欠くことなく日常食として喫食可能な高蛋白質食品が切望されている。
【0003】
一方、日本人における日常食としては、主食である米がある。しかしながら、通常喫食している精白米には蛋白質が約7%しか含有しておらず、それだけでは栄養価が不十分であるため、カゼイン蛋白質やホエー蛋白質を酵素分解して得られる蛋白質水解物を含有させた栄養価に優れた人造米が提案されている(特開平4−218347)。
【0004】
しかしながら、ここに提案されている人造米は、蛋白質水解物の含有量が1〜20%と低く栄養価に優れているとは言い難く、仮にこの人造米の蛋白質水解物の含有量を増加させたとしたら、その人造米は、常法で炊飯した時、形状を保つことは難しく、また、炊きあがったとしてもその食感・食味は通常の米飯と異なっており、日常食として喫食するものとは言い難い状況であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、栄養価に優れ、かつ炊飯時の保形性及び食味・食感に優れた人造米及びその製法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸スコアが100と蛋白質としてバランスに優れ、また加熱凝固性を有している卵白を用いることで本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)卵白と米粉を主成分とする食品素材をエクストルーダーで加熱・混練した後これをエクストルーダーの細孔から押し出し、次いで押し出された棒状物を切断して粒状とし、この粒状物を蒸煮した後乾燥する人造米の製法であって、人造米の乾物当たり卵白を乾物換算で25〜50%含有する人造米の製法、(2)卵白が濃縮卵白及び/又は乾燥卵白である請求項1記載の人造米の製法、を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」はすべて「重量%」である。
本発明における「卵白」の原料としては、鶏卵等の家禽卵を割卵し卵黄を除いた生卵白は言うまでもなく、さらに生卵白をパン酵母等により脱糖処理を施した卵白、あるいはこれらの卵白を逆浸透や限外濾過等で処理した濃縮卵白、噴霧乾燥や凍結乾燥により得られる乾燥卵白等が挙げられる。特に、濃縮卵白又は乾燥卵白は生卵白と比べ水分含量が少ないことから、本発明の人造米を製するにあたり作業性や生産性に優れ好ましい。
【0008】
また、本発明の人造米においては、人造米の乾物当たり、卵白を乾物換算で25〜50%であることが好ましい。その含有量が25%より少な過ぎると本発明の目的である栄養価に優れた人造米は得られ難く、また、炊飯した時の食感・食味が通常の米飯とやや異なり違和感を生じ日常食として好ましくなくなる傾向にあり、一方、50%より多くし過ぎても食感・食味が通常の米飯とやや異なり違和感を生じる傾向にあるからである。
【0009】
本発明において「米粉」とは、うるち米、もち米、玄米等を粉砕し粉末状としたものであり、本発明の人造米においては、日常食として食味を向上させるために卵白と同様、主成分として含有させる。
本発明の人造米においては、人造米の乾物当り、米粉を乾物換算で40〜75%であることが好ましい。その含有量が40%より少な過ぎると米の食感が得られないため、食感食味のよい人造米が得にくくなる傾向にあり、一方、その含有量が75%より多過ぎると必然的に卵白の含有量を少なくしなければならないため、栄養価の優れた人造米が得られ難くなるからである。
【0010】
また、本発明の人造米は、上記のように卵白と米粉を主成分として含有しているが、これらの成分以外に、例えば、小麦粉等の穀粉、小麦澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉等の澱粉、澱粉をリン酸架橋等の処理を施した化工澱粉、澱粉を加水分解したデキストリン、グアガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ローカストビーンガム、タマリンドガム等の増粘剤、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、キチン、コラーゲン等の食物繊維、カルシウム等の無機塩、ビタミンA等のビタミン類等を保形性及び食味・食感を損なわない範囲で含有しても良い。
【0011】
本発明の人造米は、後の試験例にも示すように食味・食感に優れており、この人造米をそのまま通常の炊飯方法で飯あるいは粥として喫食することができるが、蛋白質を高含有された栄養価に優れた人造米であることから、この人造米を通常の米を適当な割合で混合し、これを炊飯して喫食することもできる。
【0012】
本発明の人造米を製造するには、卵白と米粉を原料として使用しさえすれば、従来より行われている人造米の製法を用いればよい。得られた人造米は、加熱処理を施すことが好ましい。加熱方法としては、蒸煮等が挙げられる。これにより、卵白中の加熱凝固性を有する蛋白質が人造米の内部及び外部に網の目状のネットワークを形成し、炊飯時における米粉に含まれる澱粉の膨潤を抑えられ保形性及び食感に優れた飯あるいは粥が得られる。尚、人造米に仕上げる工程で原料の加熱処理がされていれば、人造米にあらためて加熱処理をする必要はない。
【0013】
上記とは別に、本発明の人造米は、後の実施例で詳述するように、エクストルーダー処理によって安価に大量生産することができる。
この場合、人造米を粒状に仕上げやすくするために、食品素材として卵白と米粉のほかにジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、タマリンドガム等のガム原料の1種又は2種以上を食品素材(乾物換算)に対して0.3〜1.5%用いるのが望ましい。
また、食品素材をエクストルーダー処理するに当たって、食品素材を加熱・溶融させるのではなく、加熱・混練で留めることが肝要である。加熱・溶融させてしまうと食品素材のうちの卵白が熱変性して保形性を失い食品素材が粒状にならないからである。
【0014】
上記加熱・混練させた食品素材をエクストルーダーの細孔から押し出し、得られた棒状物を切断して粒状とし、これを乾燥させれば本発明の人造米が得られる。
ただし、この製法で得られる人造米は保形性が今一歩であり、水漬けして炊飯すると崩れてカユ状になりやすいので、通常の米と同様に水漬けした後炊飯しても崩れないものにするには、上記エクストルーダー処理で得られる粒状物を1〜10分間程度蒸煮処理するとよい。
【0015】
本発明の人造米は、これを炊飯し、飯あるいは粥にしたとき如何なる理由により食味に優れているかは定かではないが、卵白は他の蛋白資源と比べて構成アミノ酸にメチオニンやシスチン等の含硫アミノ酸を多く含有しており、このアミノ酸がくせのない米粉にマッチして食味に影響したのではないかと推察される。
【0016】
次に、本発明を実施例・試験例に基づき、さらに詳細に説明するが、これらの実施例・試験例は、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【実施例】
実施例1
乾燥卵白400g、上新粉600g及び水370gを均一に混練後、この混練物の適量を厚さ2〜3mm、一辺20cm程度の正方形状に押し広げた。次に、この成形物を蒸し器で10分間蒸煮後、米粒子大に切断し、風乾して人造米を得た。得られた人造米の乾物当たり、卵白が乾物換算で40%であった。
【0017】
実施例2
濃縮卵白1000gと上新粉400gを均一に混合後、この混合物をトレーに厚さ2〜3mmとなるように流し込む。次に、これを蒸し器で10分間蒸煮後、米粒子大に切断し、風乾して人造米を得た。
得られた人造米の乾物当たり、卵白が乾物換算で32%であり、常法により飯に炊き上げた時、その飯は保形性及び食味・食感に優れていた。
【0018】
実施例3
乾燥卵白41.8kg、上新粉57kg、ジェランガム1.2kg及び清水33kgを用意し、各原料を同時にかつ一定量ずつ二軸型エクストルーダー(スクリュー回転数110rpm、バレル温度70℃)へ投入し、圧力5〜20kg/cm2で投入原料を加熱・混練した。
【0019】
次いで、混練原料をエクストルーダーのダイ部に設けた直径2.3mmの孔部から大空中に押し出し、押し出された棒状物を長さ5mmに切断した後得られた粒状物を大気中で乾燥させたところ、人造米90kgを得ることができた。
この人造米2合を水漬け洗米した後6倍容量の清水を加えて炊飯をしたところ、食味・食感のよい粥に仕上げることができた。
【0020】
実施例4
乾燥卵白30kg、上新粉70kg、ジェランガム0.5kg及び清水35kgを用意し、各原料を同時にかつ一定量ずつ二軸型エクストルーダー(スクリュー回転数110rpm、バレル温度70℃)へ投入し、圧力5〜20kg/cm2で投入原料を加熱・混練した。
【0021】
次いで、混練原料をエクストルーダーのダイ部に設けた直径2.0mmの孔部から大空中に押し出し、押し出された棒状物を長さ6mmに切断して粒状とした。
得られた粒状物をスチームボックス中で3分間蒸煮した後大気中で乾燥させたところ人造米88kgを得ることができた。
この人造米2合を水漬け、洗米した後2倍容量の清水を加えて炊飯をしたところ、食味・食感のよい米飯に仕上げることができた。
【0022】
【試験例】
試験例1
試験方法
(1)人造米の調製
実施例1の人造米の調製において、乾燥卵白及び上新粉の割合を変え、水分を除いた組成が表1に示す人造米を実施例1と同様な方法で調製した。
なお、比較品として、乾燥卵白をホエー蛋白質あるいはその酵素分解物に代えて人造米を調製した。
(2)評価
得られた人造米と洗米とを1:4の比で混ぜた150gに清水800gを加え常法により粥を炊き上げた。
なお、保形性及び食味・食感の評価は、それぞれの人造米の組成を隠して5人のパネラーによる3点評価法により行った。すなわち、5人がそれぞれ
0点・・・悪い
1点・・・あまり良くない
2点・・・比較的良好
3点・・・良好
の基準で評点をつけ、その評点の合計が5点未満を×、5点以上10点未満を△、10点以上13点未満を○、13点以上を◎とした。
【0023】
【表1】
【0024】
表1より、卵白を含有した本発明品は、比較品のホエー蛋白質使用のものより食味・食感に優れており、また、ホエー蛋白質の酵素分解物使用のものより保形性及び食味・食感とも優れていることが理解される。
また、本発明品においては、卵白の含有率を25〜50%としたほうが食味・食感とも好ましいことが理解される。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の人造米は、炊飯した時の保形性に優れており、また、蛋白質を高濃度含有し栄養価に優れているにもかかわらず食味・食感に優れている。したがって、これを喫食しているだけで一日に必要な栄養分の摂取が可能であり、また、日常食として違和感なく蛋白質を摂取することができる。
さらに、本発明のエクストルーダーによる人造米の製法によれば、製品を低コストで大量生産でき、またエクストルーダー処理と蒸煮処理を併用すると水漬け、水洗後炊飯しても形崩れのない製品を得ることができる。
Claims (2)
- 卵白と米粉を主成分とする食品素材をエクストルーダーで加熱・混練した後これをエクストルーダーの細孔から押し出し、次いで押し出された棒状物を切断して粒状とし、この粒状物を蒸煮した後乾燥する人造米の製法であって、人造米の乾物当たり卵白を乾物換算で25〜50%含有することを特徴とする人造米の製法。
- 卵白が濃縮卵白及び/又は乾燥卵白である請求項1記載の人造米の製法。
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