JP3860125B2 - オイルポンプロータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナーロータとアウターロータとの間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するオイルポンプのロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオイルポンプは、n(nは自然数)枚の外歯が形成されたインナーロータと、この外歯に噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備えており、インナーロータを回転させることによって外歯が内歯に噛み合ってアウターロータを回転させ、両ロータ間に形成される複数のセルの容積変化によって流体を吸入、吐出するようになっている。
【0003】
セルは、その回転方向前側および後側で、インナーロータの外歯とアウターロータの内歯とがそれぞれ接触することによって、個別に仕切られ、かつ両側面をケーシングによって仕切られており、これによって独立した流体搬送室を構成している。そして、各セルは外歯と内歯との噛み合いの過程の途中において容積が最小となった後、吸入ポートに沿って移動するときに容積を拡大させて流体を吸入し、容積が最大となった後、吐出ポートに沿って移動するときに容積を減少させて流体を吐出する。
【0004】
上記のような構成を有するオイルポンプは、小型で構造が簡単であるため自動車の潤滑油用ポンプや自動変速機用オイルポンプ等として広範囲に利用されている。自動車に搭載される場合のオイルポンプの駆動手段としては、エンジンのクランク軸にインナーロータが直結されてエンジンの回転によって駆動されるクランク軸直結駆動がある。
【0005】
上記のようなオイルポンプについては、ポンプが発する雑音の低減とそれに伴う機械効率の向上を目的として、インナーロータとアウターロータとを組み合わせた状態で噛み合い位置から180°回転した位置におけるインナーロータの歯先とアウターロータの歯先との間に適切な大きさのチップクリアランスが設定されている。
【0006】
チップクリアランスを確保する手段としては、アウターロータの歯形について均等追い込みを行うことで両ロータの歯面間にそれぞれクリアランスを設け、噛み合い状態において両ロータの歯先間にチップクリアランスを確保するもの、サイクロイド曲線の平坦化によるもの等が挙げられる。
【0007】
ところで、インナーロータとアウターロータの歯形を決定するために必要な条件とは、まず、インナーロータriについて、第1外転円ai(直径φai)および第1内転円bi(直径φbi)の転がり距離が1周で閉じなければならない、つまり第1外転円aiおよび第1内転円biの転がり距離の和の整数倍(歯数倍)がインナーロータriの基礎円di(直径φdi)の円周に等しくなければならないことから、
φdi=n・(φai+φbi)
【0008】
同様に、アウターロータroについて、第2外転円ao(直径φao)および第2内転円bo(直径φbo)の転がり距離の和の整数倍(歯数倍)がアウターロータroの基礎円do(直径φdo)の円周に等しくなければならないことから、
φdo=(n+1)・(φao+φbo)
【0009】
つぎに、インナーロータriとアウターロータroとが噛み合うことから、両ロータの偏心量をeとして、
φai+φbi=φao+φbo=2e
【0010】
上記の各式から
(n+1)・φdi=n・φdo
となり、インナーロータriおよびアウターロータroの歯形はこれらの条件を満たして構成される。
【0011】
ここで、クリアランス=sを、噛み合い位置における歯溝と歯先とのクリアランスと、噛み合い位置から180°回転した位置における歯先同士のクリアランス(チップクリアランス)とに振り分けるために、
φao=φai+s/2、φbo=φbi−s/2
を満たすように各外転円および内転円が構成される。
つまり、アウター側の外転円を大きくすることにより、図5に示すように噛み合い位置においてアウターロータroの歯溝とインナーロータriの歯先との間にクリアランスs/2が創成され、内転円はインナー側を小さくすることにより、図6に示すように噛み合い位置においてアウターロータroの歯先とインナーロータriの歯溝との間にクリアランスs/2が創成される(たとえば特許文献1参照)。
【0012】
以上の関係を満たして構成されたオイルポンプロータを図4から図6に示す。このオイルポンプロータは、インナーロータriの基礎円diがφdi=52.00mm、第1外転円aiがφai=2.50mm、第1内転円biがφbi=2.70mm、歯数n=10、アウターロータroの外径がφ70mm、基礎円doがφdo=57.20mm、第2外転円aoがφao=2.56mm、第2内転円boがφbo=2.64mm、歯数n+1=11、偏心量e=2.6mmとなっている。
【0013】
このインナーロータの外歯とアウターロータの内歯との間には、図5および図6に示すように、歯先および歯溝の中心における径方向のクリアランスs1だけでなく、各基礎円と歯面との交差部分近傍における周方向のクリアランスs2も形成されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平11−264381号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにアウターロータの第2外転円aoおよび第2内転円boの直径を調節することによりクリアランスsを形成する場合、径方向のクリアランスs1=s/2を確保すると、図5および図6に示すように周方向のクリアランスs2が大きくなってしまい、インナーロータに対するアウターロータのがたつきや歯面間の滑りが大きくなるため、トルク伝達の損失の増大や発熱、両ロータ間の衝撃による騒音の発生が問題となっていた。
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、両ロータが噛み合う過程でのインナーロータの歯形とアウターロータの歯形とを適切な形状に設定するとともに両ロータ間の間隙を適切に設定し、両ロータの歯面間の摺動抵抗やがたつきを低減することでオイルポンプの静粛性の向上を図ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係るオイルポンプロータは、n枚の外歯が形成されたインナーロータと、該外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するときに両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入、吐出することによって流体を搬送するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、インナーロータの歯形が、基礎円Diに外接してすべりなく転がる第1外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接してすべりなく転がる第1内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、アウターロータの歯形が、基礎円Doに外接してすべりなく転がる第2外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接してすべりなく転がる第2内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成されており、インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、第1外転円Aiの直径をφAi、第1内転円Biの直径をφBi、アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、第2外転円Aoの直径をφAo、第2内転円Boの直径をφBo、(φDo−φBo+φAo)−(φDi+φAi+φAi)で表されるインナーロータとアウターロータとの間のクリアランスをt(≠0)とするとき、
φBo=φBiかつ
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
φAo=φAi+t/(n+2)を満たしてインナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴としている。
【0018】
すなわち、インナーロータおよびアウターロータの歯形を決定するにはまず、インナーロータおよびアウターロータの外転円および内転円の転がり距離が1周で閉じなければならないから、
φDi=n・(φAi+φBi)
φDo=(n+1)・(φAo+φBo)
の各式を満たす必要がある。
さらに本発明では、インナーロータの歯溝とアウターロータの歯先との周方向のクリアランスを小さくするために、インナーロータおよびアウターロータの内転円の直径を同じくしている。
φBo=φBi
【0019】
この条件によりアウターロータの内転円は、従来のもの(φBi−t/2)よりも大きくなるので、適正なクリアランスtを確保するためには、アウターロータの基礎円は従来のもの(φDi・(n+1)/n)よりも大きくなる。
φDo=φDi・(n+1)/n+(n+1)・t/(n+2)
基礎円の変更に伴い、外転円および内転円の転がり距離を閉じるために、アウターロータの外転円を調整すると、
φAo=φAi+t/(n+2)
【0020】
この発明によれば、インナーロータの外歯とアウターロータの内歯との径方向のクリアランスは確保され、各ロータの歯面間の周方向のクリアランスは従来よりも小さくなるので、両ロータのがたつきが小さく、静粛性の高いオイルポンプの実現が可能となる。
【0021】
請求項2の発明に係るオイルポンプロータは、請求項1のオイルポンプロータにおいて、
0.03mm≦t≦0.25mm(mm:ミリメートル)
の範囲に設定されたうえでインナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、0.03mm≦tとすることにより圧力脈動やキャビテーション騒音、歯面の摩耗を防止するとともに、t≦0.25mmとすることにより容積効率の低下を防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。図1に示すオイルポンプは、n(nは自然数、本実施形態においてはn=10)枚の外歯が形成されたインナーロータ10と、各外歯と噛み合う(n+1)(本実施形態においてはn+1=11)枚の内歯が形成されたアウターロータ20とを備え、これらインナーロータ10とアウターロータ20とがケーシング50の内部に収納されている。
【0024】
インナーロータ10,アウターロータ20の歯面間には、両ロータ10,20の回転方向に沿ってセルCが複数形成されている。各セルCは、両ロータ10,20の回転方向前側と後側で、インナーロータ10の外歯11とアウターロータ20の内歯21とがそれぞれ接触することによって個別に仕切られ、かつ両側面をケーシング50によって仕切られており、これによって独立した流体搬送室を形成している。そして、セルCは両ロータ10,20の回転に伴って回転移動し、1回転を1周期として容積の増大、減少を繰り返すようになっている。
【0025】
インナーロータ10は、回転軸に取り付けられて軸心Oiを中心として回転可能に支持されており、インナーロータ10の基礎円Diに外接してすべりなく転がる第1外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接してすべりなく転がる第1内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成されている。
【0026】
アウターロータ20は、軸心Ooをインナーロータ10の軸心Oiに対して偏心(偏心量:e)させて配置され、軸心Ooを中心としてケーシング50の内部に回転可能に支持されており、アウターロータ20の基礎円Doに外接してすべりなく転がる第2外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接してすべりなく転がる第2内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成されている。
【0027】
インナーロータ10の基礎円Diの直径をφDi、第1外転円Aiの直径をφAi、第1内転円Biの直径をφBi、アウターロータ20の基礎円Doの直径をφDo、第2外転円Aoの直径をφAo、第2内転円Boの直径をφBoとするとき、インナーロータ10とアウターロータ20との間には以下の関係式が成り立つ。なお、ここでは寸法単位をmm(ミリメートル)とする。
【0028】
まず、インナーロータ10について、第1外転円Aiおよび第1内転円Biの転がり距離が1周で閉じなければならない。つまり、第1外転円Aiおよび第1内転円Biの各転がり距離の整数倍(歯数倍)の和が基礎円Diの円周に等しくなければならないことから、
π・φDi=n・π・(φAi+φBi)
すなわち、φDi=n・(φAi+φBi) …(Ia)
同様に、アウターロータ20について、第2外転円Aoおよび第2内転円Boの各転がり距離の整数倍(歯数倍)の和が基礎円Doの円周に等しくなければならないことから、
π・φDo=(n+1)・π・(φAo+φBo)
すなわち、φDo=(n+1)・(φAo+φBo) …(Ib)
【0029】
つぎにアウターロータ20について、従来技術として説明したアウターロータro(第2外転円ao(直径φao)、第2内転円bo(直径φbo)、基礎円do(直径φdo))を基にして、本実施形態のアウターロータ20の歯形を決定する条件について説明する。
なお、アウターロータroは本実施形態のインナーロータ10に対して偏心させて(偏心量e)で配置され、クリアランスtを有して噛み合い、上述したように
φdo=φDi・(n+1)/n …(II)
かつ
φdo=(n+1)・(φao+φbo) …(III)
φao=φAi+t/2 …(IIIa)
φbo=φBi−t/2 …(IIIb)
を満たすものとする。
なお、アウターロータroに噛み合うインナーロータ10については、一般的な関係式
φai+φbi=φAi+φBi=2e …(1)
φDi=φdo−2e …(2)
を満たしている。
【0030】
本実施形態では、噛み合い位置におけるアウターロータ20の歯先とインナーロータ10の歯溝との間の周方向のクリアランスt2を小さくするとともに径方向のクリアランスt1を確保するために、
φBo=φbi=φBi …(IV)
また、この式(VI)および式(1)から、
φai=φAi …(3)
このようにアウターロータ20の内転円を設定すると、
t=(φDo−φBo+φAo)−(φDi+φAi+φAi)
であるクリアランスtは、式(1)〜(3)および式(IV)から、
t=(φDo−φdo)+(φAo−φai) …(V)
となる。
上記の式(Ib),(III),(IV),(V)から、
t=(φAo−φai)・(n+2) …(VI)
であるから、
φAo=φai+t/(n+2)
となる。
【0031】
ここで、まず基礎円Doの直径φDoを求める。(Ib),(III)から
φDo−φdo=(n+1)・(φAo+φBo)−(n+1)・(φao+φbo)
であって、さらに(IIIa),(IIIb),(IV)により
φDo−φdo=(n+1)・(φAo−φai) …(VII)
(VI)から(VII)は
φDo−φdo=(n+1)・t/(n+2)
となるので、さらに(II)から、φDoは
φDo=(n+1)・φDi/n+(n+1)・t/(n+2) …(A)
【0032】
つぎに、(Ib)から
φAo=φDo/(n+1)−φBo
であるから、(A)により
φAo=φDi/n+t/(n+2)−φBo
さらに(Ia)、(IV)から
φAo=φAi+t/(n+2) …(B)
【0033】
上記の各式をまとめると、アウターロータ20は、
φBo=φbi=φBi …(IV)
φDo=(n+1)・φDi/n+(n+1)・t/(n+2) …(A)
φAo=φAi+t/(n+2) …(B)
を満たして構成される。
【0034】
図1に、以上の関係を満たして構成されたインナーロータ10(基礎円DiがφDi=52.00mm、第1外転円AiがφAi=2.50mm、第1内転円BiがφBi=2.70mm、歯数n=10)およびアウターロータ20(外径がφ70mm、基礎円DoがφDo=57.31mm、第2外転円AoがφAo=2.51mm、第2内転円BoがφBo=2.70mm)がクリアランスt=0.12mm、偏心量e=2.6mmで組み合わされたオイルポンプロータを示す。
【0035】
ケーシング50には、両ロータ10,20の歯面間に形成されるセルCのうち、容積が増大過程にあるセルCに沿って円弧状の吸入ポート(図示せず)が形成されているとともに、容積が減少過程にあるセルCに沿って円弧状の吐出ポート(図示せず)が形成されている。
【0036】
セルCは、外歯11と内歯21との噛み合いの過程の途中において容積が最小となった後、吸入ポートに沿って移動するときに容積を拡大させて流体を吸入し、容積が最大となった後、吐出ポートに沿って移動するときに容積を減少させて流体を吐出するようになっている。
【0037】
なお、クリアランスtが小さすぎると、容積が減少過程にあるセルCから絞り出される流体に圧力脈動が生じてキャビテーション雑音が発生しポンプの運転音が大きくなるとともに、圧力脈動によって両ロータの回転が円滑に行われなくなる。
一方クリアランスtが大きすぎると、流体の圧力脈動が生じなくなり運転音が低減するとともに、バックラッシュが大きくなるので歯面間の摺動抵抗が減少し機械効率が向上するが、その反面、個々のセルCにおける液密性が損なわれ、ポンプ性能、特に容積効率を悪化させてしまう。しかも、正確な噛み合い位置での駆動トルクの伝達が行われなくなり、回転の損失が大きくなるためにやはり機械効率が低下してしまう。
そこでクリアランスtは、0.03mm≦t≦0.25mmを満たす範囲とすることが好ましく、本実施形態では最も好適な0.12mmとしている。
【0038】
ところで、上記のように構成されたオイルポンプロータにおいては、上記式(IV),(A),(B)の関係を満たすことにより、図2に示すように、アウターロータ20の歯先の歯形がインナーロータ10の歯溝の歯形とほぼ等しくなっている。これにより図2に示すように、噛み合い位置における径方向のクリアランスt1は従来と同じt/2=0.06mmが確保されたまま、周方向のクリアランスt2が小さくなるので、回転時に両ロータ10,20が互いに受ける衝撃が小さくなっている。また、噛み合い時の圧力方向が歯面に対して直角となるので、両ロータ10,20間のトルク伝達がすべりなく高効率で行われ、摺動抵抗による発熱や騒音が低減されている。
【0039】
図3に、従来技術によるオイルポンプロータを用いた場合に発生する騒音と、本実施形態によるオイルポンプロータを用いた場合に発生する騒音とを比較するグラフを示す。このグラフから、本実施形態によるオイルポンプロータは、従来よりも騒音が小さく、静粛性が高いことがわかる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るオイルポンプロータによれば、アウターロータの内転円をインナーロータの内転円と同径とすることにより、径方向のクリアランスを確保しつつ周方向のクリアランスを従来よりも小さくすることができるので、両ロータのがたつきが小さく、静粛性の高いオイルポンプの実現が可能となる。
【0041】
請求項2の発明に係るオイルポンプロータによれば、0.03mm≦tとすることにより圧力脈動やキャビテーション騒音、歯面の摩耗を防止するとともに、t≦0.25mmとすることにより容積効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るオイルポンプロータの第1の実施形態を示す図であって、インナーロータとアウターロータとが、
φBo=φBi
かつ
φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
φAo=φAi+t/(n+2)
の関係を満たし、さらにtの値が
t=0.12mm
に設定されて構成されたオイルポンプを示す平面図である。
【図2】 図1に示すオイルポンプの噛み合い部分を示すII部拡大図である。
【図3】 図1に示すオイルポンプによる騒音と従来のオイルポンプによる騒音との比較を示すグラフである。
【図4】 従来のオイルポンプロータを示す図であって、インナーロータとアウターロータとが、
φdi=n・(φai+φbi)、φdo=(n+1)・(φao+φbo)
(n+1)・φdi=n・φdo
φao=φai+s/2、φbo=φbi−s/2
の関係を満たし、さらにsの値が
s=0.12mm
に設定されて構成されたオイルポンプを示す平面図である。
【図5】 図4に示すオイルポンプの噛み合い部分を示すV部拡大図である。
【図6】 図4に示すオイルポンプの噛み合い部分を示し、アウターロータの歯先とインナーロータの歯溝とが噛み合う状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 インナーロータ
11 外歯
20 アウターロータ
21 内歯
50 ケーシング
Ai インナーロータの外転円(第1外転円)
Ao アウターロータの外転円(第2外転円)
Bi インナーロータの内転円(第1内転円)
Bo アウターロータの内転円(第2内転円)
C セル
Di インナーロータの基礎円
Do アウターロータの基礎円
Oi インナーロータの軸心
Oo アウターロータの軸心

Claims (2)

  1. n枚の外歯が形成されたインナーロータと、該外歯と噛み合う(n+1)枚の内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポートおよび流体が吐出される吐出ポートが形成されたケーシングとを備え、両ロータが噛み合って回転するときに両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化により流体を吸入、吐出することによって流体を搬送するオイルポンプに用いられるオイルポンプロータにおいて、
    インナーロータの歯形が、基礎円Diに外接してすべりなく転がる第1外転円Aiによって創成される外転サイクロイド曲線を歯先の歯形とし、基礎円Diに内接してすべりなく転がる第1内転円Biによって創成される内転サイクロイド曲線を歯溝の歯形として形成され、アウターロータの歯形が、基礎円Doに外接してすべりなく転がる第2外転円Aoによって創成される外転サイクロイド曲線を歯溝の歯形とし、基礎円Doに内接してすべりなく転がる第2内転円Boによって創成される内転サイクロイド曲線を歯先の歯形として形成されており、
    インナーロータの基礎円Diの直径をφDi、第1外転円Aiの直径をφAi、第1内転円Biの直径をφBi、アウターロータの基礎円Doの直径をφDo、第2外転円Aoの直径をφAo、第2内転円Boの直径をφBo、(φDo−φBo+φAo)−(φDi+φAi+φAi)で表されるインナーロータとアウターロータとの間のクリアランスをt(≠0)とするとき、
    φBo=φBiかつ
    φDo=φDi・(n+1)/n+t・(n+1)/(n+2)
    φAo=φAi+t/(n+2)を満たしてインナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴とするオイルポンプロータ。
  2. 請求項1記載のオイルポンプロータにおいて、
    0.03mm≦t≦0.25mm(mm:ミリメートル)の範囲に設定されたうえでインナーロータとアウターロータとが構成されていることを特徴とするオイルポンプロータ。
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