JP3854822B2 - ビーム加工方法及びその装置、並びにタッチパネル基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルスレーザービーム等のパルス状のエネルギービームを用いて樹脂、セラミック、金属等の加工対象物を加工するビーム加工方法及びその装置、並びにタッチパネル基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のビーム加工方法として、Qスイッチを有するYAGレーザから出射されるパルス状のレーザービームを用い、加工対象物であるワークを切断したり穴開けしたりする加工方法が知られている。このビーム加工方法では、XYテーブル上にワークをセットし、各加工要素について、パルス状のレーザービームの照射方向と交差する方向にワークを移動させながら、ワークに各パルス状のレーザビームを連続的に照射していく。このレーザビームの照射は、隣り合う照射スポット同士の重なり合いの程度(ラップ率)が一定になるように、照射スポットLsのピッチを一定に維持するように行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のビーム加工方法を用いて所定の長さを有する加工要素を加工する場合、上記照射スポットLsのピッチPがある一定の値に設定されているため、加工部分が狙いの領域からはみ出してしまったり、逆に加工部分の長さが足りなかったりするという問題があった。例えば、図14に示すように、照射スポットLsを図中の矢印方向に相対移動させながらレーザビームを一定のピッチPで照射することによりライン状の加工要素を加工する場合がある。この場合に、加工要素の設計上の長さLdと照射スポットLsのピッチPがうまく対応していないと、実際に加工される加工部分の長さLmが設計上の長さLdよりも長くなってしまい、狙いの加工ができないおそれがあった。
【0006】
なお、以上のような問題は、パルス状のエネルギービームとしてレーザービームを用いるビーム加工方法及びその装置において発生するものであるが、電子ビームや荷電粒子ビームなどの他のエネルギービームを用いるビーム加工方法及びその装置においても発生し得る。
また、上記問題は、パルス状のエネルギービームの照射ポイントを固定した状態でワークを移動させる場合だけでなく、ワークを固定配置した状態でパルス状のエネルギービームの照射ポイントを走査するように移動させる場合や、パルス状のエネルギービームの照射ポイント及びワークの両者を移動させる場合にも発生し得る。
【0007】
本発明は以上の背景の下でなされたものであり、その目的とするところは、パルス状のエネルギービームを用いて加工する場合に、加工対象物上の加工要素を設計上の狙いの長さで均一に加工できるビーム加工方法及びその装置、並びにタッチパネル基板の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、加工制御データに基づいて、ビーム源から繰り返し出射されるパルス状のエネルギービームを加工対象物に照射しながら該加工対象物と該加工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させることにより該加工対象物を加工するビーム加工方法において、上記加工対象物上に加工される互いに長さが異なる複数種類の加工要素ごとに、該加工要素の実際に加工される加工長が設計上の狙いの長さと一致するように上記エネルギービームの照射スポットのピッチPを計算して求め、上記加工対象物上の加工要素の加工の際には、上記エネルギービームの照射スポットが、その加工要素について上記計算して求めた一定のピッチPで並ぶように、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、パルス状のエネルギービームを繰り返し出射するビーム源と、該ビーム源から出射されたエネルギービームを加工対象物に案内して照射するビーム照射手段と、該加工対象物と該加工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させる相対移動手段と、加工制御データに基づいて該ビーム源及び該相対移動手段を制御する制御手段とを備えたビーム加工装置において、上記加工対象物上に加工される互いに長さが異なる複数種類の加工要素ごとに、該加工要素の実際に加工される加工長が設計上の狙いの長さと一致するように上記エネルギービームの照射スポットのピッチPを計算して求め、上記加工対象物上の加工要素の加工の際には、上記エネルギービームの照射スポットが、その加工要素について上記計算して求めた一定のピッチPで並ぶように、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御する照射タイミング制御手段を備えたことを特徴とするものである。
ここで、上記「加工対象物」には、エネルギービームが照射される面が平面のものだけでなく、エネルギービームが照射される面が円筒面などの曲面であるものも含まれる。他の請求項においても同様である。また、所定の長さを有する加工要素としては、有限長からなる直線や曲線などの加工要素のほか、三角形や四角形などの2次元的に比較的広い面積を有する加工要素なども含まれる。
【0009】
請求項1のビーム加工方法及び請求項4のビーム加工装置においては、加工対象物上に加工される互いに長さが異なる複数種類の加工要素ごとに、該加工要素の実際に加工される加工長が設計上の狙いの長さと一致するように上記エネルギービームの照射スポットのピッチPを計算して求める。そして、加工対象物上の加工要素の加工の際には、エネルギービームの照射スポットが、その加工要素について上記計算して求めた一定のピッチPで並ぶように、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御する。これにより、加工要素の狙いの長さと、実際に加工される部分の長さとを一致させるとともに、加工要素を均一に加工する。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4のビーム加工装置において、上記加工制御データに基づいて、各加工要素について上記ピッチPを制御するためのピッチ制御データを生成するピッチ制御データ生成手段を備え、上記照射タイミング制御手段を、該ピッチ制御データ生成手段で生成したピッチ制御データを用いて各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御するように構成したことを特徴とするものである。
【0023】
請求項5のビーム加工装置においては、上記加工制御データに基づいて、各加工要素について上記ピッチPを制御するためのピッチ制御データを生成しているので、ビーム加工装置に入力される加工制御データにピッチ制御データが含まれていない場合でも、上記生成したピッチ制御データを用いて各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御し、加工対象物上の照射スポットのピッチを変えることができる。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1のビーム加工方法において、上記ビーム源が、Qスイッチを有するYAGレーザであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5のビーム加工装置において、上記ビーム源が、Qスイッチを有するYAGレーザであることを特徴とするものである。
【0025】
請求項2のビーム加工方法及び請求項6のビーム加工装置においては、Qスイッチを介して、エネルギービームの出射タイミングを制御するための繰り返し周波数を比較的広い範囲で変化させた場合でも安定したエネルギービームを得ることができるため、上記エネルギービームの照射タイミングの制御が容易となる。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1又は2のビーム加工方法において、上記加工対象物が、絶縁性基板上に形成された透明導電膜であり、該透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行うことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5又は6のビーム加工装置において、上記加工対象物が、絶縁性基板上に形成された透明導電膜であり、該透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行うことを特徴とするものである。
【0027】
請求項3のビーム加工方法及び請求項7のビーム加工装置においては、絶縁性基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工の際に、絶縁性基板とエネルギービームの照射ポイントとの間の相対移動の速度が変化する場合でも、上記相対移動の方向においてエネルギービームの各照射スポットが上記計算して求めた一定のピッチPで絶縁性基板上の透明導電膜に照射される。これにより、上記エネルギービームで透明導電膜が除去されたスリットの形状が均一になる。
【0028】
請求項8の発明は、絶縁性透明基板上に透明電極が形成されたタッチパネル基板を製造するタッチパネル基板の製造方法であって、絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し、次いで、請求項3のビーム加工方法を用いて、該絶縁性透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去することにより、該絶縁性透明基板上に透明電極を形成することを特徴とするものである。
請求項9の発明は、絶縁性透明基板上に透明電極が形成されたタッチパネル基板を製造するタッチパネル基板の製造方法であって、絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し、次いで、請求項7のビーム加工装置を用いて、該絶縁性透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去することにより、該絶縁性透明基板上に透明電極を形成することを特徴とするものである。
【0029】
請求項8及び9のタッチパネル基板の製造方法においては、絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成した後、上記エネルギービームで透明導電膜の一部がスリット状に除去されるので、絶縁透明基板上に形成される透明電極間のスリットの形状が均一になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、ハイブリッド型のタッチパネルの絶縁性透明基板上に形成された透明導電膜の一部を、スリット状に除去して透明電極を形成する透明導電膜のビーム加工方法及びその装置に適用した実施形態について説明する。
【0031】
図2は、本発明に係るビーム加工装置の概略構成図である。本ビーム加工装置は、パルス状のエネルギービームとしてのパルスレーザ光を繰り返し出射するビーム源としてのYAGレーザ装置1と、YAGレーザ装置1から出射されたパルスレーザ光を加工対象物に案内して照射するビーム照射手段2と、加工対象物と加工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させる相対移動手段としてのXYテーブル5と、加工制御データに基づいてYAGレーザ装置1及びXYテーブル5を制御する制御手段しての制御システム6とを備えている。
【0032】
上記YAGレーザ発信装置1は、YAGロッド101a及びQスイッチ101bを内蔵したレーザヘッド101と、Qスイッチ101bを駆動するQスイッチ駆動部102と、レーザヘッド101内のYAGロッド101aにレーザ発振用の駆動電流を供給するレーザ電源103とを有している。上記Qスイッチ駆動部102は、制御システム6から送られてきたレーザ制御信号に基づいて、レーザヘッド101内のQスイッチ101bを駆動する。Qスイッチ101bをオンすると、レーザヘッド101から近赤外光(波長λ=1064nm)からなるパルスレーザ光が出射される。上記Qスイッチ駆動部102に入力するパルス状のレーザ制御信号の繰り返し周波数は20Hz〜20kHz(周期=50msec〜0.05msec)の範囲で変化させることができ、また、上記レーザ制御信号のパルス幅は80〜500nsecの範囲で変化させることができる。このQスイッチ駆動部102でレーザヘッド101内のQスイッチ101bを駆動することにより、上記繰り返し周波数が500Hz〜5kHzの範囲内で、レーザヘッド101からパルスレーザ光を出射することができる。
【0033】
上記レーザヘッド101内のYAGロッド101aは、希土類元素のNd(ネオジウム)をドープしたYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)結晶であり、フラッシュランプや半導体レーザ等の図示しない励起源で励起される。この励起源は、レーザ電源103から駆動電流が供給されることにより駆動される。
【0034】
上記ビーム照射手段2は、パルスレーザ光をガイドするステップインデックス型の光ファイバ201と、光ファイバ201でガイドされてきたパルスレーザ光を集光して加工対象物に照射するレーザ照射ヘッド202とを用いて構成されている。
【0035】
ITO(インジウム酸化スズ)からなる加工対象物としての透明導電膜4が表面に形成された透明ガラスや透明プラスチック材(例えばPET、ポリカーボネート)からなる透明絶縁性基板3は、XYテーブル5のリニアモータ502(例えば、サーボモータやステッピングモータ)で駆動される載置台501上に、図示しない吸引及び機械的なクランプ機構等によって固定される。この透明絶縁性基板3が固定された載置台501を駆動するリニアモータ502を制御システム6で制御することにより、上記透明導電膜4が形成された透明絶縁性基板3を、上記パルスレーザ光の照射方向に垂直な仮想面内で互いに直交するX方向及びY方向(図中の紙面に垂直な方向)に2次元的に移動させることができる。
【0036】
また、加工速度、XYテーブルの加速度、加工精度をより向上させるために、XYテーブル5については、発泡チタン合金、マグネジウム合金、酸化アルミナ系セラミック、アルミニウム合金などの高強度軽量素材で形成することが好ましい。
【0037】
また、載置台501の内部に貫通孔を形成して軽量化を図ってもよい。この貫通孔は、絶縁性透明基板3と透明導電膜4との一体物がシート状のものである場合の真空チャック用の気流経路を兼ねることもできる。
載置台501については、絶縁性透明基板3の少なくともパルスレーザ光が照射される部分の下側に凹部を形成し、絶縁性透明基板3の下面と載置台501の上面との間の距離をできるだけ長くするように構成することが好ましい。かかる構成により、絶縁性透明基板3を通過して載置台501の表面で反射した反射レーザーが透明導電膜4にあたることによってその加工に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、上記XYテーブル5に、移動距離検出パルス信号生成手段としてのリニアスケール503が取り付けられている。このリニアスケール503は、X方向及びY方向の2方向のそれぞれについて設けられ、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501のX方向及びY方向の一定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成する。この移動距離検出パルス信号をカウントすることにより、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の移動距離がわかる。本実施形態では、この移動距離検出パルス信号に基づいて、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の移動距離に同期させて各パルスレーザ光の照射タイミングを制御している。
【0039】
本実施形態では、上記リニアスケール503としては、目盛格子が互いに形成されたスケールと走査板とを非接触対向させて組み合わせることにより0.5μm〜1.0μm程度の分解能が得られるもの(例えば、ハイデンハイン株式会社製のオープンタイプ測長システム:商品名)を用いている。ここで、例えばリニアスケール503の分解能が1μmのときは1μmごとに1パルス出力されるので、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の移動速度が1m/secの場合は、1MHzの周波数(周期=1μsec)で移動距離検出パルス信号が出力される。
なお、上記リニアスケール503は、加工精度や加工速度等の条件に応じて最適なものを適宜選択して用いられる。また、上記移動距離検出パルス信号生成手段は、X方向及びY方向の2方向のそれぞれについて上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の一定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成するものであればよく、上記特定のリニアスケールに限定されるものではない。
【0040】
上記制御システム6は、ビーム加工装置全体を監視するとともに加工制御データとしてのCAM(Computer Aided Manufacturing)データに基づいて各部に制御指令を出す上位コンピュータ装置601と、テーブル駆動制御装置(シーケンサ)602と、同期連動型運転用の制御回路基板603とを用いて構成されている。
【0041】
上記CAMデータは、CAD(Computer Aided Design)のデータに基づいてビーム加工装置の装置パラメータを考慮して生成されたものであり、装置パラメータのデータ、レーザ発射座標データとピッチデータとが組み合わされた照射条件データ、及びテーブル移動座標データを含んでいる。上記装置パラメータのデータは、例えばXYテーブル5の加速度及び減速度、加速減速域の加工の有無、自動ピッチ計算の有無、XYテーブル5の加速減速マージン、加工最低周波数、加工時の最高速度、移動時の最高速度、照射パワー、ビーム径、並びに加工対象物の厚み及びX,Y方向の大きさのデータである。また、上記照射条件データは、例えば各加工要素に対する始点X座標、始点Y座標、終点X座標、終点Y座標およびピッチのデータである。また、上記テーブル移動座標データは、例えば各加工要素に対する移動X座標及び移動Y座標のデータである。
【0042】
ここで、上記CAMデータは、外部のコンピュータ装置で生成したものをビーム加工装置に入力するようにしてもいいし、ビーム加工装置を構成する上位コンピュータ装置601内で生成するようにしてもよい。後者の場合は、上位コンピュータ装置601が、各加工要素について上記ピッチ制御データを生成するピッチ制御データ生成手段としても機能する。
【0043】
上記テーブル駆動制御装置602は、上位コンピュータ装置601から送られてきた制御指令に基づいて、リニアモータ502の駆動を制御するものである。このテーブル駆動制御部602は、例えばリニアモータ502がサーボモータのときはサーボコントローラを用いて構成され、またリニアモータ502がパルスモータのときはパルスコントローラを用いて構成される。
【0044】
図1は、上記制御回路基板603の一構成例を示すブロック図である。この制御回路基板603は、透明導電膜4上に形成される加工要素の種類に応じて、パルスレーザ光が照射される透明導電膜4上の照射スポットのピッチを変えるピッチ可変手段(照射条件可変手段)、特に、加工制御データとしてのCAMデータに基づいて、パルスレーザ光の照射タイミングを制御する照射タイミング制御手段として機能するものである。
【0045】
この制御回路基板603は、CPU603aと、I/Oインタフェース603b、パルスカウンタ603cと、比較回路603dと、パルス幅整形回路603eと、スイッチ回路603fと、図示しないメモリ(RAM、ROM等)を用いて構成されている。
【0046】
上記I/Oインタフェース603bは、CPU603aと外部の上位コンピュータ装置601との間でデータ通信を行うための信号処理を行う。
【0047】
上記パルスカウンタ603cは、リニアスケール503で生成された移動距離検出パルス信号Smのパルス数をカウントする。このパルスカウンタ603cによるカウント値Nmは、比較回路603dにおいてCPU603aから送られてきた基準値Nrefと比較され、両方の値が一致したとき比較回路603dからパルス信号が出力される。上記基準値Nrefは、加工条件に応じて任意に設定することができる。また、上記パルスカウンタ603cに入力される移動距離検出パルス信号Smは、上記XYテーブル5の載置台501の移動方向に応じて切り替えられる。例えば、載置台501をX方向に移動させるときは、X方向用のリニアスケール503から出力される
【0048】
上記パルス幅整形回路603dは、上記比較回路603cから出力された移動距離検出パルス信号Spのパルス幅を上記Qスイッチが動作可能なパルス幅まで広げる回路である。このパルス幅整形回路603dを調整することにより、YAGレーザ装置1から出射されるパルスレーザ光のパルス幅を変更することができる。
【0049】
上記スイッチ回路603eは、CPU603aからの制御指令に基づいて、連続加工と断続加工とを適宜切り替えて実行できるように、パルス幅整形回路603dから上記Qスイッチ駆動部102に出力されるレーザ制御信号をオン/オフ制御する回路である。
【0050】
図3及び図4は、上記構成のビーム加工装置を用いた加工例として図5に示すような透明導電膜4に長さLmが6600μmのX方向に延在する線分形状の加工要素であるスリット4a(X)を形成するときの、上記制御回路基板603の各部の信号の一例を示すタイムチャートである。この図3及び図4は、透明導電膜4上に照射されるパルスレーザ光の照射スポットの半径rが220μm、照射スポットのピッチPが330μm、照射スポットのラップ率αが0.25(=25%)であり、上記リニアスケール503の分解能が0.5μmであって0.5μmごとに一つのパルス信号Smを出力する場合について示している。
【0051】
ここで、上記照射スポットのラップ率αは下記の(1)式で定義される。図6(a)及び(b)はそれぞれラップ率αが0(0%)及び0.25(25%)のときの照射スポットの重なり状態を示している。
また、スリット(加工要素)の長さLm(図14参照)と照射スポットのピッチPとの関係は下記の(2)式で表され、Lm=6600μm及びP=330μmを代入すると、上記スリット4a(X)を形成するために必要な照射スポットの総数nは21個となる。
更に、上記基準値Nrefと照射スポットのピッチPとリニアスケール503のパルス出力間隔Lpとの関係は下記の(3)式で表され、P=330μm及びLp=0.5μmを代入すると、上記基準値Nrefは660となる。また、上記XYテーブル5の載置台501の移動速度は、2m/secに設定している。
【数1】
α=(2r−P)/2r ・・・(1)
【数2】
P×(n−1)=Lm ・・・(2)
【数3】
Nref=P/Lp ・・・(3)
【0052】
図3に示すように、上記XYテーブル5の載置台501の移動に伴ってリニアスケール503から繰り返し周波数f=4MHz(周期=0.25μsec)で移動距離検出パルス信号Smが出力される。この移動距離検出パルス信号Smがパルスカウンタ603cでカウントされる。そして、660個の移動距離検出パルス信号Smがカウントされるたびに、すなわち上記載置台501が330μm移動するたびに、比較器603dからパルス状のレーザ制御信号Spが出力される。そして、パルス幅整形器603eにより、比較器603dから出力されたレーザ制御信号Spの幅が、上記YAGレーザ発信装置1のQスイッチ101bの駆動に必要な幅まで広げられる。
次に、図4に示すように、所定のパルス幅に整形されたレーザ制御信号Sp'は、CPU603aで制御されるスイッチ回路603fにより、加工制御データに基づいてオン/オフ制御される。このスイッチ回路603fでオン/オフ制御されたレーザ制御信号Sp"が、Qスイッチ駆動部102に入力され、これにより、透明絶縁性基板3の移動距離に同期した所定のタイミングで、上記YAGレーザ発信装置1からパルスレーザ光が出射し、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に照射される。
このようにXYテーブル5の載置台501に固定された透明絶縁性基板3の移動距離に同期するように制御されたパルスレーザ光が、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に照射されることにより、図5に示すように、透明導電膜4に照射されるパルスレーザ光の照射スポットLp(X)がX軸方向に一定のピッチで並ぶ。これにより、図5に示すように透明導電膜4が均一な加工幅でスリット状に除去される。
【0053】
上記スリットの加工において、スリット4a(X)の長さLmを変えるときは、加工長Lmがちょうど狙いの長さと一致するように、上記比較器603dに入力する基準値Nrefの値を変更する。例えば、スリット4a(X)の長さLmが上記例よりも100μmだけ長い6700μmのときには、上記(2)式により、照射スポットのピッチPが335μmとなり、これを上記(3)式に代入すると、上記基準値Nrefは670となる。すなわち、基準値Nrefを660から670に変更すればよい。また、スリット4a(X)の長さLmが上記例よりも100μmだけ短い6500μmのときには、上記(2)式により、照射スポットのピッチPが325μmとなり、これを上記(3)式に代入すると、上記基準値Nrefは650となる。すなわち、基準値Nrefを660から650に変更すればよい。
【0054】
以上、本実施形態によれば、XYテーブル5の載置台501の移動距離に同期するようにパルスレーザ光の照射タイミングを制御しているので、載置台501の移動速度が何らかの理由により変化した場合でも、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に照射されるパルスレーザ光の照射スポットのピッチが変化しないので、加工幅が一定の均一なスリット加工が可能となる。
そして、上記基準値Nrefの変更により、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に形成するスリットの長さを、設計上の狙いの長さに一致させるように、加工することができる。
【0055】
また、XYテーブル5の載置台501の移動距離に同期するようにパルスレーザ光の照射タイミングを制御しているので、載置台501の加速域及び減速域においても上記均一なスリット加工が可能となる。例えば、従来の加工装置ではスリット加工の前後において加工を行わずに載置台を移動させる加速域及び減速域を必要としていたのに対し、本実施形態では、図7に示すように加速域の途中(図中のX1点)からスリット加工を開始し、減速域の途中(図中のX2点)までスリット加工を続けることができるため、載置台501の全体移動量を短縮することができる。このことにより、上記透明導電膜4の均一なスリット加工を達成しつつ、従来のエッチング加工と同等もしくはそれ以上の加工速度でスリット加工が可能となる。
【0056】
なお、上記実施形態では、スリットの加工長にかかわらず実際に加工されるスリットの長さが狙いどうりの長さになるように、加工制御データに基づいて上記照射スポットのピッチを変えているが、この照射スポットのピッチを変える制御は、重複加工領域を発生させることなく上記透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に格子状のスリットを形成する場合にも適用することができる。
例えば、図8(a)に示すように、2つのスリットの交差部Pcに対応する位置で照射スポットのピッチが2倍になるように上記スイッチ回路603fを制御する。この制御により、交差部Pcへのパルスレーザ光の照射をスキップして、透明絶縁性基板3をX軸方向に移動しつつパルスレーザ光を照射し、図8(b)に示すように所定の隙間を介して所定長のX軸方向のスリット4a(X)を形成する。次に、上記交差部Pcを通過するように、透明絶縁性基板3をY軸方向に移動しつつパルスレーザ光を照射する。これにより、図9(a)に示すように、透明導電膜4に照射されるパルスレーザ光の照射スポットLp(Y)がY軸方向に一定のピッチで並ぶ。その結果、図9(b)に示すようにY軸方向においても透明導電膜4が均一な加工幅でスリット状に除去され、X軸方向のスリット4a(X)とY軸方向のスリット4a(Y)とが交差した格子状のスリットを形成することができる。
この格子状のスリットの加工例では、上記交差部Pcにおいても他の照射ポイントと同様にパルスレーザ光が1回(ラップ部では2回)しか照射されないので、上記交差部Pcにおける過剰なレーザ照射による損傷の発生などの不具合を防止することができる。なお、図8及び図9の加工例では、X軸方向のスリット4a(X)のほうを上記交差部Pcを避けながら形成し、Y軸方向のスリット4a(Y)のほうを連続的に形成しているが、X軸方向のスリット4a(X)のほうを連続的に形成し、Y軸方向のスリット4a(Y)の形成の途中に照射スポットのピッチを2倍に変化させて上記交差部Pcを避けるようにしてもよい。また、照射スポットのピッチを変化させる代わりに、上記交差部Pcに対する照射パワーを下げるように照射条件を変えてもよい。
【0057】
また、上記照射スポットのピッチを変える制御は、上記透明絶縁性基板3の四隅に、光学的に検知して基板の位置合わせに用いる位置合せ用の基準マークを形成するときにも採用することができる。この透明絶縁性基板3に形成される基準マークは、上記スリットと同じ加工条件で加工すると、光学センサで検知されにくく、基板の位置合わせを正しく行えないおそれがある。そのため、基準マークとその周囲の部分との間の光学的なコントラストが高まるように、上記スリットの場合よりも加工の程度を高めて加工表面を粗面にするように基準マークを形成することが望ましい。
【0058】
上記スリットの場合よりも強めの加工条件で基準マークを形成する方法としては、例えばスリット用のCADデータに基づいて作成したCAMデータを用いてスリットを形成し、その後、手動で上記YAGレーザ発信装置1の駆動電流を変えてパルスレーザ光の照射パワーを高め、基準マーク用のCADデータに基づいて作成したCAMデータを用いて基準マークを形成する方法を採用することができる。
また、スリットと基準マークとを含むCADデータに基づいて作成した一つのCAMデータを用い、1回の加工プロセスの途中で上記YAGレーザ発信装置1の駆動電流を自動的に変化させて上記スリットに対する加工条件(照射条件)と上記基準マークに対する加工条件(照射条件)とを変え、基準マークを高照射パワーで加工する方法を採用することもできる。
【0059】
特に、上記実施形態の加工装置においては、上記透明絶縁性基板3の透明導電膜4に所定のスリットを形成した後、透明絶縁性基板3の四隅に、上記照射スポットのピッチを短くした条件で基準マークを連続して加工するように制御する方法が好ましい。例えば、上記スリットの形成時には、上記比較器603dに入力する基準値Nrefの値を660にし、その後に続けて加工する基準マークの形成時には、基準値Nrefの値を220に変更する。これにより、スリットについては低いラップ率(=0.25)で加工し、基準マークについては高いラップ率(0.75)で加工し、パルスレーザ光の照射回数が2回となるラップ部の割合を増加させ、全体として基準マークのコントラストを高めることができる。しかも、この制御は、上記パルスレーザ光の照射パワーを変更することなく、上記比較器603dに入力する基準値Nrefの値を変更するだけで済むため、パルスレーザ光の照射条件を手動で変更する作業が必要なく、また上記駆動電流を変化させる場合とは異なり照射パワーの安定化のための待ち時間を確保する必要もないので、効率よい加工が可能となる。
なお、上記照射スポットのピッチを短くする制御の代わりに、又はその制御に加えて、上記基準マークの加工の際に、パルスレーザ光のスキャン回数を通常の加工時よりも多くするように制御したり、上記各パルスレーザ光の時間パルス幅(図1及び図3におけるパルス幅整形回路の出力Sp’)を通常の加工時よりも長くするように制御したりしてもよい。
【0060】
図10は、本ビーム加工装置での透明導電膜4の加工によって電極パターンが形成されるタッチパネル基板を用いて構成されたタッチパネルの断面図である。また、図11(a)及び(b)はそれぞれ、同タッチパネルの分解斜視図及び平面図である。
図10に示すように、タッチパネルは、各透明導電膜4からなる透明電極が通常状態で接触しないように1組の上下タッチパネル基板7、8を所定の高さ(例えば9〜12μm)のスペーサ9を介して対向させた構造になっている。そして、このタッチパネルを図10中の上方から押圧すると、上タッチパネル基板7が2点鎖線で示すように変形し、上下のタッチパネル基板7、8の透明電極同士が接触する。この接触による上下透明電極間の抵抗の変化から、押圧されたか否か及び押圧された位置を知ることができる。また、このタッチパネルは、図11(a)及び(b)に示すように上下のタッチパネル基板7、8のそれぞれに、互いに直交するスリット7a、8aが各透明導電膜4に形成されている。
【0061】
本実施形態のビーム加工装置は、図11(a)及び(b)に示すスリット7a、8aを、透明導電膜4に形成するものである。真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等によって表面に透明導電膜4(厚さ=約500オングストローム)が形成された絶縁性透明基板3は、透明導電膜4側の上方に向けて載置台501上にセットされる。セットされた絶縁性透明基板3上の透明導電膜4は、所定のスポット径に絞られたパルスレーザ光が照射されながらXYテーブル5によって一方向に移動させられる。この移動の過程で、幅500〜1000[μm]程度のパルスレーザ光の照射部分が蒸発して透明導電膜4から除去され、各電極領域を絶縁するスリット7a、8aが形成される。
【0062】
本実施形態のビーム加工装置では、エッチング処理を伴うフォトリソグラフィー法を用いることなく、透明導電膜4を加工して絶縁性透明基板3上に複数の透明電極を形成することができる。このため、フォトレジストの現像液やエッチング液の廃液によって環境を汚すことなく、上下のタッチパネル基板7、8を製造することができる。また、透明電極のパターン形状を変える場合でも、フォトリソグラフィー用の遮光マスクを用いることなくCAMデータで透明導電膜4を加工してパターンに応じた複数の透明電極を形成することができる。このため、異なった電極パターンのタッチパネル基板7、8についてそれぞれ専用の遮光パターンの遮光マスクを用意しなければならず他品種少量生産が困難になったり、残留レジスト液によってワークを汚したりなどフォトリソグラフィー法による不具合が起こらず、リードタイムを短縮化してオンデマンドの要求に対しても十分に対応することができる。
【0063】
一方、フォトリソグラフィー法を用いた電極加工では、フォトレジストの現像液やエッチング液等の廃液が発生して環境を汚してしまうという不具合がある。また、透明電極のパターンを変える場合は、フォトリソグラフィー用の遮光マスクを新規に作成しなければならないため、加工効率が悪く、他品種少量生産への対応及び低コスト化が難しかった。特に、アナログ方式のタッチパネルのように透明導電膜4に数本のスリットを形成するような場合でも、数百本のスリットを形成するデジタル方式のタッチパネルの場合と同じフォトリソグラフィー工程が必要になってくるため、加工部分が少ないにもかかわらず廃液の低減及び低コスト化を図ることが難しかった。
【0064】
なお、上記実施形態では、XYテーブル5の載置台501をX軸方向あるいはY軸方向に移動させながら加工する場合について説明したが、本発明は、X軸方向及びY軸方向に交差する斜め方向に載置台501を移動させながら加工する場合にも適用できるものである。この斜め移動の場合は、CPU603aから比較器603dに送る基準値として、下記の数1に示す基準値Nref(X)又は数2に示す基準値Nref(Y)を用いる。式中の演算子「INT」は、かっこ内の数値に最も近い整数を求める演算子である。また、式の右辺の「Nref」はX軸方向あるいはY軸方向に移動する場合の基準値である。また、式中の「θ」は、図12に示すように移動方向とX軸方向とのなす角度であり、加工制御データから求められる。
【数4】
Nref(X)=INT(Nref×cosθ)
【数5】
Nref(Y)=INT(Nref×sinθ)
【0065】
ここで、例えばX軸方向のリニアスケール503から出力された移動距離検出パルス信号Sm(X)を用いる場合は、上記基準値として数1に示す基準値Nref(X)を用いる。一方、Y軸方向のリニアスケール503から出力された移動距離検出パルス信号Sm(Y)を用いる場合は、上記基準値として数2に示す基準値Nref(y)を用いる。
なお、上記載置台501の移動距離を精度よく検出するという観点から、載置台501の移動方向がX軸に近い場合は、上記X軸方向のリニアスケール503からの移動距離検出パルス信号Sm(X)と上記基準値Nref(X)とを組み合わせて用い、載置台501の移動方向がY軸に近い場合は、上記Y軸方向のリニアスケール503からの移動距離検出パルス信号Sm(Y)と上記基準値Nref(Y)とを組み合わせて用いのが好ましい。このような組み合わせを切り替えて用いることにより、上記パルスレーザ光の照射スポットのピッチに対応した移動距離検出パルス信号の数が極端に少なくなることがないので、上記載置台501の斜め方向の移動距離をX軸方向あるいはY軸方向に移動させる場合と同様に精度よく検出することができる。
【0066】
また、上記実施形態においては、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4の一部を除去する加工を行なう場合について説明したが、本発明は、このような加工に限定されることなく適用することができるものである。
例えば、図13に示すように透明絶縁性基板3上の透明導電膜4の表面に形成された導電性ペースト(例えば銀ペースト)からなる配線パターン13の周囲に配線間絶縁用のスリット14を形成する場合にも用いることができ、同様な効果が得られるものである。
【0067】
また、本発明は、樹脂板にハーフエッチング加工や穴開け加工を行う場合にも適用できるものである。この場合は、加工部の深さも均一にすることができる。さらに、本発明は、上記スリット形成加工、ハーフエッチング加工、穴開け加工だけでなく、樹脂、セラミック、金属、フォトリソ用の感光層などの加工対象物に表面処理加工、フォトレジストへの露光を行う場合にも適用できるものである。
【0068】
また、上記実施形態では、Qスイッチを有するNd:YAGレーザから出射されたパルス状の近赤外レーザビーム(波長λ=1064nm)を用いた場合について説明したが、本発明は、このレーザビームに限定されることなく適用できるものである。例えば、Qスイッチを有する、Nd:YLFレーザ(波長λ=1047nm)、Nd:YVO4レーザ(波長λ=1064nm)、CO2レーザ、銅蒸気レーザ等のパルスレーザを用いる場合にも適用することができる。
また、本発明は、非線形光学結晶を用いて上記各種レーザの出力を波長変換したレーザビームを用いる場合にも適用することができる。例えば、Nd:YAGレーザと、LiB3O5(LBO)、KTiOPO4、β−BaB2O4(BBO)、CsLiB6O10(CLBO)等の非線形光学結晶とを組み合わせると、波長が355nm、266nmの紫外領域のレーザビームを得ることができる。また、上記透明導電膜を主にアブレーションで除去する紫外領域のレーザビームとしては、KrFエキシマレーザー等から出射されるパルス状の紫外光レーザビームを用いることもできる。
さらに、本発明は、レーザ光以外のパルス状の光ビーム、荷電粒子ビーム等の他のパルス状のエネルギービームを用いた場合にも適用が可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、パルスレーザ光の照射経路をレーザ照射ヘッド202で固定し、加工対象物を互いに直交するX方向及びY方向に移動させる場合について説明したが、本発明は、加工対象物を固定してセットし、レーザ等のエネルギービームをX方向及びY方向に移動させる場合や、エネルギービーム及び加工対象物の両方を移動させる場合にも適用できるものである。
【0070】
【発明の効果】
請求項1乃至9の発明によれば、パルス状のエネルギービームを用いて加工する場合に、加工対象物上の加工要素を設計上の狙いの長さで均一に加工できるという効果がある。
【0075】
特に、請求項5の発明によれば、ビーム加工装置に入力される加工制御データにピッチ制御データが含まれていない場合でも、加工対象物上の照射スポットのピッチを変えて加工要素の種類に応じた加工が可能となるという効果がある。
【0076】
特に、請求項2及び6の発明によれば、上記エネルギービームの照射タイミングを制御するための繰り返し周波数を比較的広い範囲で変化させた場合でもビーム出力が安定したQスイッチを有するYAGレーザを用いているので、上記エネルギービームの照射タイミングの制御が容易となるという効果がある。
【0077】
特に、請求項3及び7の発明によれば、導電性薄膜が形成された透明基板とレーザビームとの間の相対移動の速度が変化する場合でも、エネルギービームで導電性薄膜が除去されたスリットの形状が均一になるという効果がある。
【0078】
請求項8及び9の発明によれば、絶縁透明基板上に形成される透明電極間のスリットの形状が均一となったタッチパネル基板を製造することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るビーム加工装置に用いた制御回路基板のブロック図。
【図2】同ビーム加工装置の概略構成図。
【図3】リニアスケールの出力、比較器の出力及びパルス整形回路の出力を示すタイムチャート。
【図4】パルス整形回路の出力、スイッチ回路のオン/オフ制御及び出力を示すタイムチャート。
【図5】パルスレーザ光の照射によって形成された透明導電膜のスリットの説明図。
【図6】(a)及び(b)は、パルスレーザ光の照射スポットのラップ率の説明図。
【図7】透明絶縁性基板が載置された載置台の移動距離と移動速度との関係を示すグラフ。
【図8】(a)は、他の実施形態における透明絶縁性基板上の透明導電膜に照射されるパルスレーザ光の照射スポットの説明図。
(b)は、パルスレーザ光の照射によって形成された透明導電膜のスリットの説明図。
【図9】(a)は、透明絶縁性基板上の透明導電膜に照射されるY軸方向のパルスレーザ光の照射スポットの説明図。
(b)は、パルスレーザ光の照射によって形成された透明導電膜の格子状のスリットの説明図。
【図10】タッチパネルの拡大断面図。
【図11】(a)はタッチパネルの分解斜視図。
(b)は同タッチパネルの平面図。
【図12】透明絶縁性基板が載置された載置台の移動方向の傾き角度θの説明図。
【図13】タッチパネルの周端部の配線パターン及びその周囲のスリットの説明図。
【図14】照射スポットのピッチなどの説明図。
【符号の説明】
1 YAGレーザ装置
2 ビーム照射手段
3 透明絶縁性基板
4 透明導電膜
5 XYテーブル
6 制御システム
101 レーザヘッド
101a YAGロッド
101b Qスイッチ
102 Qスイッチ駆動部102
103 レーザ電源
201 光ファイバ
202 レーザ照射ヘッド
501 載置台
502 リニアモータ
503 リニアスケール
601 上位コンピュータ装置
602 テーブル駆動制御装置
603 制御回路基板
603a CPU
603b I/Oインタフェース
603c パルスカウンタ
603d 比較回路
603e パルス幅整形回路
603f スイッチ回路
Claims (9)
- 加工制御データに基づいて、ビーム源から繰り返し出射されるパルス状のエネルギービームを加工対象物に照射しながら該加工対象物と該加工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させることにより該加工対象物を加工するビーム加工方法において、
上記加工対象物上に加工される互いに長さが異なる複数種類の加工要素ごとに、該加工要素の実際に加工される加工長が設計上の狙いの長さと一致するように上記エネルギービームの照射スポットのピッチPを計算して求め、
上記加工対象物上の加工要素の加工の際には、上記エネルギービームの照射スポットが、その加工要素について上記計算して求めた一定のピッチPで並ぶように、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御することを特徴とするビーム加工方法。 - 請求項1のビーム加工方法において、
上記ビーム源が、Qスイッチを有するYAGレーザであることを特徴とするビーム加工方法。 - 請求項1又は2のビーム加工方法において、
上記加工対象物が、絶縁性基板上に形成された透明導電膜であり、
該透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行うことを特徴とするビーム加工方法。 - パルス状のエネルギービームを繰り返し出射するビーム源と、該ビーム源から出射されたエネルギービームを加工対象物に案内して照射するビーム照射手段と、該加工対象物と該加工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させる相対移動手段と、加工制御データに基づいて該ビーム源及び該相対移動手段を制御する制御手段とを備えたビーム加工装置において、
上記加工対象物上に加工される互いに長さが異なる複数種類の加工要素ごとに、該加工要素の実際に加工される加工長が設計上の狙いの長さと一致するように上記エネルギービームの照射スポットのピッチPを計算して求め、上記加工対象物上の加工要素の加工の際には、上記エネルギービームの照射スポットが、その加工要素について上記計算して求めた一定のピッチPで並ぶように、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御する照射タイミング制御手段を備えたことを特徴とするビーム加工装置。 - 請求項4のビーム加工装置において、
各加工要素について上記ピッチPを制御するためのピッチ制御データを生成するピッチ制御データ生成手段を備え、
上記照射タイミング制御手段を、該ピッチ制御データ生成手段で生成したピッチ制御データを用いて各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制御するように構成したことを特徴とするビーム加工装置。 - 請求項4又は5のビーム加工装置において、
上記ビーム源が、Qスイッチを有するYAGレーザであることを特徴とするビーム加工装置。 - 請求項4、5又は6のビーム加工装置において、
上記加工対象物が、絶縁性基板上に形成された透明導電膜であり、
該透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行うことを特徴とするビーム加工装置。 - 絶縁性透明基板上に透明電極が形成されたタッチパネル基板を製造するタッチパネル基板の製造方法であって、
絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し、
次いで、請求項3のビーム加工方法を用いて、該絶縁性透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去することにより、該絶縁性透明基板上に透明電極を形成することを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。 - 絶縁性透明基板上に透明電極が形成されたタッチパネル基板を製造するタッチパネル基板の製造方法であって、
絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し、
次いで、請求項7のビーム加工装置を用いて、該絶縁性透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去することにより、該絶縁性透明基板上に透明電極を形成することを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。
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