JP3850517B2 - アンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置 - Google Patents

アンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面状況に応じて最適な制動性能を得られるアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急制動あるいは氷雪路など滑りやすい路面での制動時に発生しやすい車輪のロックを防止して方向安定性の維持、操舵性の確保、制動距離の短縮を図るアンチロックブレーキ装置(以下、ABSと略称)が多くの車両に搭載されている。
【0003】
このようなABSが搭載される自動変速機の車両として、例えば特開昭62−187643号公報に、ABS作動時にアップシフトさせることにより変速機の慣性力を減らし、ABS制御の応答性を速くすることにより制動性能を向上したものが示されている。
【0004】
一方、特開昭63−64830号公報では、ブレーキング時にダウンシフトさせることによりエンジンブレーキを増大させ、制動力を増加させる技術が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上記先行例の前者(特開昭62−187643号公報)では、ABS作動状態で、路面が低μ(タイヤと路面との間の路面摩擦係数)路の場合は、タイヤがロックし易く、またロックしたタイヤが路面から受ける力が不足して車輪速の復帰が遅くなる。そのため、ABS作動時にアップシフトして変速機の慣性力を減らしている。
【0006】
一方、高μ路の場合は、上記先行例の後者(特開昭63−64830号公報)に示すように、エンジンブレーキを増加させた方が制動力が増す。
【0007】
このように、ABSを十分に発揮させて最適な制動性能を得るためには、路面状況(路面のμ)によっては相反する制御が必要となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、路面状況(路面のμ)に関わらず最適な制動性能を十分に発揮することができるアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明によるアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置は、車両の制動時に運転状態に応じて車輪のロックを防止する制御を行うアンチロックブレーキ制御手段と、上記アンチロックブレーキ制御手段からの信号に基づきアンチロックブレーキ動作部に信号出力するアンチロックブレーキ出力手段とを有するアンチロックブレーキ装置を備えた車両において、上記アンチロックブレーキ制御手段によるアンチロックブレーキ作動時を検出するアンチロックブレーキ作動検出手段と、運転状態に応じて予め設定したシフトパターンで有段変速の変速位置を決定する変速位置決定手段と、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とを比較し、路面摩擦係数が通常より高い路面か低い路面かを判定する路面摩擦係数判定手段と、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更する一方、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更して変速位置を出力する変速位置補正手段と、上記変速位置補正手段からの信号に基づき変速位置設定部に出力する変速位置出力手段とを備えたものである。
【0010】
また、請求項2記載の本発明によるアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置は、請求項1記載のアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置において、上記路面摩擦係数判定手段は、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とを比較し、路面摩擦係数が通常の路面か、通常より高い路面か、通常より低い路面かを判定し、上記変速位置補正手段は、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数通常の路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は上記変速位置決定手段で定めた変速位置を保持するものである。
【0012】
上記請求項1記載の構成によれば、まず、車両に搭載したアンチロックブレーキ装置で、アンチロックブレーキ制御手段が車両の制動時に運転状態に応じて車輪のロックを防止する制御を行い、アンチロックブレーキ出力手段は、上記アンチロックブレーキ制御手段からの信号に基づきアンチロックブレーキ動作部に信号出力する。
【0013】
一方、アンチロックブレーキ作動検出手段により上記アンチロックブレーキ制御手段によるアンチロックブレーキ作動時は検出され、また、路面摩擦係数判定手段により路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とが比較され、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数が通常より高い路面か低い路面かが判定される。自動変速機の有段変速の変速位置は変速位置決定手段により運転状態に応じて予め設定したシフトパターンで決定される。そして、変速位置補正手段により、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更される一方、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更され変速位置が出力される。変速位置出力手段は上記変速位置補正手段からの信号に基づき変速位置設定部に出力する。
【0014】
また、上記請求項2記載のアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置は、請求項1記載のアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置において、上記路面摩擦係数判定手段は、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とを比較し、路面摩擦係数が通常の路面か、通常より高い路面か、通常より低い路面かを判定し、上記変速位置補正手段は、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数通常の路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は上記変速位置決定手段で定めた変速位置を保持する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図8は本発明の実施の形態1を示し、図1は車両のABS側制御部と自動変速機側制御部の機能ブロック図、図2は自動変速機制御装置側の全体構成の概略の説明図、図3は各レンジのシフト位置に対する各クラッチとブレーキの作動状態の説明図、図4はABSの概略構成図、図5はABSによる制御の一例を示すタイムチャート、図6は走行路状態によって変更される変速位置の説明図、図7は路面摩擦係数判定ルーチンのフローチャート、図8は変速位置補正ルーチンのフローチャートである。
【0017】
尚、本発明の実施の形態1では、車両としてABSを搭載した自動変速機付4輪駆動車を例に説明する。
【0018】
この車両の駆動系は、図2に示すように、エンジン1のクランク軸2がロックアップクラッチ3を有するトルクコンバータ4のポンプ側に連結され、タービン側からの入力軸5が自動変速機20に入力されるようになっている。
【0019】
また、上記自動変速機20からの出力軸6は、上記入力軸5と同軸上の後方に出力し、この出力軸6は、トランスファ装置7の一対のリダクションギヤ8,9を介して自動変速機20の下部に平行配置されたフロントドライブ軸10に連結され、このフロントドライブ軸10が、前輪終減速装置11を介して前輪12に伝動するように構成されている。
【0020】
さらに、上記出力軸6は、トランスファクラッチ13を介してリヤドライブ軸14に連結され、このリヤドライブ軸14からプロペラ軸15,リヤデフ装置16等を介して後輪17に伝動するように構成されている。
【0021】
上記自動変速機20は、2組のフロントシングルプラネタリギヤ21と、リヤシングルプラネタリギヤ22とにより前進4段と後進1段を得る構成になっている。即ち、上記入力軸5が、上記リヤシングルプラネタリギヤ22のサンギヤ22aに、上記フロントシングルプラネタリギヤ21のリングギヤ21b、および、上記リヤシングルプラネタリギヤ22のキャリア22cが上記出力軸6に連結されている。
【0022】
そして、上記フロントシングルプラネタリギヤ21のキャリア21cと一体的な連結要素23とリングギヤ22bとの間に、第1のワンウェイクラッチ24と、フォワードクラッチ25とが直列的に設けられ、上記連結要素23とケース側との間に、第2のワンウェイクラッチ26と、ローリバースブレーキ27とが並列的に設けられている。また、上記連結要素23と上記リングギヤ22bとの間には、オーバランニングクラッチ28がバイパスして設けられている。
【0023】
さらに、サンギヤ21aと一体的な連結要素29には、バンドブレーキ30が設けられ、上記入力軸5と一体的な連結要素31、および上記キャリア21cと一体的な連結要素32との間には、ハイクラッチ33が設けられている。また、上記連結要素29と上記連結要素31との間にはリバースクラッチ34が設けられている。
【0024】
上記各クラッチ、ブレーキの作動は、油圧回路35で行われ、この油圧回路35には、自動変速機側制御部50によりON−OFFされる変速制御用のソレノイドA36,ソレノイドB37や、上記オーバランニングクラッチ28の作動に関わるソレノイドC38、上記トルクコンバータ4のロックアップ制御用の図示しないロックアップソレノイド等の複数のソレノイドと、これらソレノイドにより開閉され油圧経路を所定に形成する複数のバルブが設けられている。
【0025】
上記自動変速機側制御部50は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成されており、この自動変速機側制御部50には、上記出力軸6の回転を検出する車速センサ41,セレクトレバー(図示せず)により設定されているレンジ位置を検出するレンジスイッチ42,エンジン負荷として上記エンジン1のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ43,車体の前後方向の加速度を検出する車体前後加速度センサ44がそれぞれ接続されている。さらに、上記自動変速機側制御部50には、後述するABS側制御部70からの信号が入力されるようになっている。
【0026】
そして、上記自動変速機側制御部50は、上記各入力信号に基づき上記各ソレノイド36,37,38に信号出力して上記各クラッチ,ブレーキを作動させ、適切な変速位置を設定する他、さらに必要な入力信号を基に変速タイミング制御、ロックアップ制御等の他の制御が可能になっている。
【0027】
上記自動変速機側制御部50によって上記各ソレノイド36,37,38が予め設定しておいた組み合わせで制御されると、例えば、D,3または2レンジの1速(D1 ,31 ,21 レンジ)では、フォワードクラッチ25が係合し、加速の場合は前記両ワンウェイクラッチ24,26の作用で連結要素23と共に、リングギヤ22bをロックすることで、入力軸5からサンギヤ22a,キャリア22cを介して出力軸6に動力伝達する。
【0028】
このとき、惰行時はワンウェイクラッチ24がフリーになり、オーバランニングクラッチ28を係合してもワンウェイクラッチ26がフリーになってエンジンブレーキは作用しない。
【0029】
また、1レンジの1速(1レンジ)では、ローリバースブレーキ27の係合でオーバランニングクラッチ28を介してリングギヤ22bを常にロックするため、エンジンブレーキが作用する。
【0030】
さらに、D,3または2レンジの2速(D2 ,32 ,22 レンジ)では、フォワードクラッチ25とバンドブレーキ30とが係合し、バンドブレーキ30によりサンギヤ21aをロックする。
【0031】
そこでキャリア21cとリングギヤ22bとが、連結要素23,フォワードクラッチ25,ワンウェイクラッチ24を介して回転し、この分だけ増速した動力が出力する。2レンジの2速では、オーバランニングクラッチ28の係合により連結要素23とリングギヤ22bとを連結状態に保つことで、減速時にはエンジン側に逆駆動力が伝達してエンジンブレーキが作用する。
【0032】
また、Dまたは3レンジの3速(D3 ,33 レンジ)では、フォワードクラッチ25とハイクラッチ33とが係合し、このハイクラッチ33により入力軸5が連結要素31,32,キャリア21c,連結要素23,フォワードクラッチ25,ワンウェイクラッチ24を介してリングギヤ22bに連結する。
【0033】
このため、リヤシングルプラネタリギヤ22は一体化して、入力軸5と出力軸6とは直結する。3レンジの3速では、減速時にオーバランニングクラッチ28の結合でワンウェイクラッチ24の空転を規制することで2レンジの2速と同様にエンジンブレーキが作用する。
【0034】
さらに、Dレンジの4速(D4 レンジ)では、上述に加えてバンドブレーキ30の係合でサンギヤ21aをロックする。このためフロントシングルプラネタリギヤ21でハイクラッチ33によりキャリア21cに入力した動力でリングギヤ21bを増速することになり、これが出力軸6に伝達する。この場合は、ワンウェイクラッチ24,26を介しないため常にエンジンブレーキが作用する。
【0035】
また、リバースレンジ(Rレンジ)では、リバースクラッチ34の結合でサンギヤ21aに入力軸5の動力が入力する。またローリバースブレーキ27の係合で連結要素23と共にキャリア21cをロックするため、フロントシングルプラネタリギヤ21でリングギヤ21bに逆転してギヤ比の大きい動力が出力し、これが出力軸6に伝達するのである。
【0036】
以上、各レンジのシフト位置に対する各クラッチ24,25,26,28,33,34とブレーキ27,30の作動状態を図3に示す。尚、図中、Pはパーキングレンジ、Nはニュートラルレンジである。
【0037】
一方、本車両に搭載されるABSは、ABS側制御部70により前後4輪のブレーキ圧が電子制御される形式のものであり、図4に示すように、マスタシリンダ61から各車輪のホイールシリンダ62に至るブレーキ油圧系の途中にはハイドロリックユニット63およびプロポーショニングバルブ64が介設され、また各車輪12,17にはその回転数をそれぞれ検出する車輪速度センサ65が設けられている。
【0038】
上記ABS側制御部70は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成されており、上記4輪の車輪速度センサ65の検出信号(各車輪回転数)とブレーキスイッチ66からの入力信号に基づいて各車輪の速度、加減速度および疑似的演算車体速度などを演算し、疑似的演算車体速度と車輪速度との比較、車輪の加減速の大きさなどから判断してABS作動の際に増圧、保持、減圧の3つの油圧モードを選択し、選択された所定のブレーキ制御信号を上記ハイドロリックユニット63に出力するようになっている。
【0039】
また、上記ABS側制御部70からの動作信号は、前記自動変速機側制御部50にも出力されるようになっている。
【0040】
上記ハイドロリックユニット63は、各車輪12,17に対応した4個の油圧制御用のマグネットバルブ67を備えており、これら各マグネットバルブ67はそれぞれの各ソレノイド67aに上記ABS側制御部70からのブレーキ制御信号が入力されて、これら信号に応じてABS作動時にブレーキ圧を増圧、保持、減圧するように制御される。
【0041】
また、上記ハイドロリックユニット63は、モータポンプ68を有し、このモータポンプ68のポンプモータ68aは上記ABS側制御部70からの信号により制御されるようになっている。
【0042】
尚、上記プロポーショニングバルブ64は、上記ハイドロリックユニット63と後輪の上記ホイールシリンダ62を結ぶブレーキ配管上に設けられ、リヤブレーキの液圧をフロントブレーキの液圧より低く制御すると共に急制動における後輪の早期ロックを防止している。
【0043】
上記自動変速機側制御部50と上記ABS側制御部70は、図1に示すように、上記自動変速機側制御部50が、車速演算部51,シフトパターン設定部52,変速位置決定部53,アンチロックブレーキ作動検出部54,路面摩擦係数判定部55,変速位置補正部56,変速位置出力部57とから主に構成され、上記ABS側制御部70が、4輪車輪速度演算部71,車輪加減速度演算部72,擬似的演算車体速度演算部73,アンチロックブレーキ制御部74,アンチロックブレーキ出力部75とから主に構成されている。
【0044】
まず、上記ABS側制御部70では、上記4輪車輪速度演算部71は、上記4輪の各車輪速度センサ65から各車輪の回転数信号が入力され、各車輪の速度を演算するように形成されており、この演算した各車輪速度は上記車輪加減速度演算部72,擬似的演算車体速度演算部73,アンチロックブレーキ制御部74にそれぞれ出力されるようになっている。
【0045】
そして、上記車輪加減速度演算部72は、上記4輪車輪速度演算部71から入力された各車輪速度を微分処理して各車輪の加減速度を演算するようになっている。
【0046】
また、上記擬似的演算車体速度演算部73は、上記ブレーキスイッチ66,上記4輪車輪速度演算部71,上記車輪加減速度演算部72からの信号に基づき、ブレーキペダルが踏まれており、かつ車輪速度の減速度が所定値(図5(b)における「−Ga 」)以上の場合は急ブレーキと判断し、その時点の車輪速度を初期値として設定し、それ以降は所定の減速度で減速させて演算した擬似的演算車体速度を設定するものである。そしてこの擬似的演算車体速度は、上記アンチロックブレーキ制御部74に出力される。
【0047】
上記アンチロックブレーキ制御部74は、上記4輪車輪速度演算部71,上記車輪加減速度演算部72,上記擬似的演算車体速度演算部73からの入力を基に、すなわち運転状態として車輪速度,車輪加減速度,擬似的演算車体速度を基に、具体的には、擬似的演算車体速度から所定のスリップ率の速度λ10を設定し、このλ10と車輪速度との比較、車輪加減速度と予め設定しておいたしきい値(「−Ga 」,「+Gb 」,「+Gc 」)との比較を行って、各比較結果の状態から判断して、ABS作動の際に増圧、保持、減圧の3つの油圧モードを選択するとともに、ポンプモータ68a駆動の判定をして、上記アンチロックブレーキ出力部75に信号出力するアンチロックブレーキ制御手段として構成されている。このアンチロックブレーキ制御部74からの信号は、上記自動変速機側制御部50に対しても出力される。
【0048】
また、上記アンチロックブレーキ出力部75は、上記アンチロックブレーキ制御部74からの制御信号に基づきアンチロックブレーキ動作部、すなわち上記ハイドロリックユニット63の各マグネットバルブ67のソレノイド67a,上記モータポンプ68のポンプモータ68aに信号出力するアンチロックブレーキ出力手段として形成されてる。
【0049】
ここで、このABS側制御部70によって行われるABS制御を、図5に示すタイムチャートで詳述する。このタイムチャートは、ブレーキをかけた時を時間軸「0」として制御の一例を示すもので、図5(a)は、車体速度に対して、上記4輪車輪速度演算部71で演算される車輪速度,上記擬似的演算車体速度演算部73で演算される擬似的演算車体速度,上記アンチロックブレーキ制御部74で演算されるスリップ率の速度λ10を示す。図5(b)は、上記車輪加減速度演算部72で演算される車輪加減速度と各しきい値を示す。図5(c)は、上記アンチロックブレーキ制御部74での比較結果で、信号「λ1 」は車輪速度と擬似的演算車体速度との比較結果,信号「−b」は車輪加減速度としきい値「−Ga 」との比較結果,信号「+b1 」は車輪加減速度としきい値「+Gb 」との比較結果,信号「+b2 」は車輪加減速度としきい値「+Gc 」との比較結果を示す。図5(d)は、上記アンチロックブレーキ出力部75からマグネットバルブソレノイド67aに出力されるバルブ信号で、信号「I0 」は通常ブレーキあるいはABS作動時の増圧のバルブ状態、信号「I2 」はABS作動時の保持のバルブ状態、信号「I1 」はABS作動時の減圧のバルブ状態になることを示す。図5(e)は、上記アンチロックブレーキ出力部75からポンプモータ68aへの信号出力を示す。図5(f)は、ホイールシリンダの液圧を示す。
【0050】
そして、ブレーキをかけて車輪の減速が始まり、設定減速度「−Ga 」を越えると、マグネットバルブ67は信号「I1 」になり、ホイールシリンダ液圧は保持される(Phase2)。
【0051】
車輪の減速がさらに進みスリップ率の速度λ10を下回ると、マグネットバルブ67は信号「I2 」になり、ホイールシリンダ液圧は減圧される(Phase3)。同時にモータポンプが起動され次の加圧に備える。
【0052】
ホイールシリンダ液圧を緩めたことで車輪の減速度が緩和され上記設定減速度「−Ga 」以下になると、マグネットバルブ67は信号「I1 」になり、再び保持状態となる(Phase4)。
【0053】
さらに車輪速度が回復し、スリップ率が改善されてくると「+Gc 」、マグネットバルブ67は、加圧と保持の状態をパルス信号により交互に繰り返し、ホイールシリンダの液圧を増加させる(Phase5〜7 )。車輪はブレーキ力が戻ることで再び減速を始め、更には、再度設定減速度「−Ga 」を越え、制御は減圧過程に入る(Phase8)。
【0054】
このように、ホイールシリンダ液圧の加減圧は、車輪の発生する加減速挙動に応じて制御されているため、ABSの制御は、路面状態に応じたブレーキ制御となっている。
【0055】
一方、上記自動変速機側制御部50では、上記車速演算部51は、前記車速センサ41からの信号が入力され、前記出力軸6の回転数を所定に変換して車速を算出し、この車速を、上記変速位置決定部53に出力するように形成されている。
【0056】
上記シフトパターン設定部52には、セレクトされたレンジのスロットル開度と車速とによるシフトパターンのマップが記憶されている。
【0057】
上記変速位置決定部53は、前記スロットル開度センサ43からのスロットル開度、前記レンジスイッチ42からのレンジ位置の信号、上記車速演算部51からの車速等が入力され、上記シフトパターン設定部52の該当するパターンのマップを、上記車速とスロットル開度に基づき参照して、上記レンジ位置での変速位置を決定し、上記変速位置補正部56に出力する変速位置決定手段として形成されている。
【0058】
上記アンチロックブレーキ作動検出部54は、上記ABS側制御部70のアンチロックブレーキ制御部74からの信号に基づきアンチロックブレーキの作動中を検出し、その結果を上記路面摩擦係数判定部55と上記変速位置補正部56とに出力するアンチロックブレーキ作動検出手段としてのものである。
【0059】
上記路面摩擦係数判定部55は、前記車体前後加速度センサ44からの信号と上記アンチロックブレーキ作動検出部54からの信号が入力され、アンチロックブレーキ作動の際、車両の減速度が大きいときタイヤと路面との間の路面摩擦係数が通常より高い路面(高μ路)と判定する一方、車両の減速度が小さいときタイヤと路面との間の路面摩擦係数が通常より低い路面(低μ路)と判定し、それ以外を通常μ路と判定して上記変速位置補正部56に出力する路面摩擦係数判定手段として形成されている。
【0060】
具体的には、図7のフローチャートに示すように、まず、S101で車体前後加速度GsとABS作動状態(ABS作動か否か)を読み込んでS102へ進み、ABSが作動していなければルーチンを抜け、ABSが作動していればS103へ進む。
【0061】
このS103では、車体前後加速度Gsと予め設定しておいた値GCHとが比較され、車体前後加速度Gsが設定値GCH以上(Gs≧GCH)の場合はS104に進み、S104で車体前後加速度Gsと予め設定しておいた値GCLとを比較して車体前後加速度Gsが設定値GCL以下(Gs≦GCL)の場合、すなわちGCH≦Gs≦GCLの場合は、通常路と判定する。尚、GCHとGCLは、共に負の値でGCH≦GCLである。
【0062】
また、上記S103で、車体前後加速度Gsが設定値GCHより小さい(設定値GCHを基準として減速度が大きい)場合はS106に進み、高μ路と判定する。
【0063】
さらに、上記S104で、車体前後加速度Gsが設定値GCLより大きい(設定値GCHを基準として減速度が小さい)場合はS107に進み、低μ路と判定する。
【0064】
上記変速位置補正部56は、上記変速位置決定部53,上記アンチロックブレーキ作動検出部54,上記路面摩擦係数判定部55から信号入力されて、所定の変速位置で高μ路を走行中にABSが作動した場合は上記変速位置決定部53で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する方向の変速位置に変更する一方、所定の変速位置で低μ路を走行中にABSが作動した場合は上記変速位置決定部53で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する方向の変速位置に変更して、この変速位置を上記変速位置出力部57に対して出力する変速位置補正手段として構成されている。通常の大きさのμ路の場合には、上記変速位置決定部53からの変速位置をそのまま上記変速位置出力部57に出力する。
【0065】
具体的には、図8のフローチャートに示すように、まず、S201で、変速位置,路面摩擦係数判定結果(通常路,高μ路,低μ路),ABS作動状態(ABS作動か否か)を読み込んでS202へ進み、ABSが作動していなければS205へ進んで、そのまま上記変速位置決定部53からの変速位置を上記変速位置出力部57に出力してルーチンを抜け、ABSが作動していればS203へ進む。
【0066】
上記S203では、高μ路走行か否か判定し、高μ路走行の場合にはS206へ進んで、上記変速位置決定部53からの変速位置を高μ路の変速位置に変更(図6の高μ路の如く変更する)し、さらに上記S205に進んで、この変更した変速位置を上記変速位置出力部57に出力してルーチンを抜ける。
【0067】
一方、上記S203の結果、高μ路走行以外の場合はS204に進み、低μ路走行か否か判定し、低μ路走行の場合にはS207へ進んで、上記変速位置決定部53からの変速位置を低μ路の変速位置に変更(図6の低μ路の如く変更する)し、さらに上記S205に進んで、この変更した変速位置を上記変速位置出力部57に出力してルーチンを抜ける。
【0068】
上記S204の結果、低μ路走行以外の場合(高μ路走行以外、かつ低μ路走行以外)は、S205へ進んで、そのまま上記変速位置決定部53からの変速位置を上記変速位置出力部57に出力してルーチンを抜ける。
【0069】
ここで、走行路状態によって変更される変速位置を図6により説明する。
前述したように、自動変速機20では、1,D4 レンジでは常時、33 ,22 レンジでは減速時にエンジンブレーキが作用するようになっている。従って、D1 ,D2 ,D3 レンジで高μ路走行の場合には、ABS作動時のブレーキ効果が高くなるようにエンジンブレーキを作用させるレンジ、すなわち22 レンジに変速位置を変更する。一方、低μ路走行の場合はそのままのレンジとする。
【0070】
また、D4 レンジで高μ路走行の場合には、ABS作動時のブレーキ効果が高くなるようにシフトダウン(33 レンジ)をしてエンジンブレーキを効かせ、低μ路走行の場合はエンジンブレーキの作用がなくなるD3 レンジに変速位置を変更する。
【0071】
さらに、31 ,32 レンジで高μ路走行の場合には、ABS作動時のブレーキ効果が高くなるようにエンジンブレーキを作用させる22 レンジに変速位置を変更し、低μ路走行の場合はそのままのレンジとする。
【0072】
3 レンジで高μ路走行の場合には、ABS作動時のブレーキ効果が高くなるようにシフトダウンをしてエンジンブレーキを効かせ、低μ路走行の場合はエンジンブレーキの作用がなくなるD3 レンジに変速位置を変更する。
【0073】
また、21 レンジで高μ路走行の場合には、ABS作動時のブレーキ効果が高くなるようにエンジンブレーキを作用させる22 レンジに変速位置を変更し、低μ路走行の場合はエンジンブレーキの作用がないそのままの変速位置とする。
【0074】
さらに、22 レンジで高μ路走行の場合には、そのままの変速位置とし、低μ路走行の場合はエンジンブレーキの作用がなくなるD2 レンジに変速位置を変更する。
【0075】
また1レンジで高μ路走行の場合には、そのままの変速位置とし、低μ路走行の場合はエンジンブレーキの作用がなくなるD2 レンジに変速位置を変更する。
【0076】
このように、ABS作動時の路面状況が高μ路走行の場合にはエンジンブレーキを作用させる方向で、低μ路走行の場合にはエンジンブレーキを解除する方向に変速位置を補正するようにして最適な変速位置が設定されるようになっている。
【0077】
また、上記変速位置出力部57は、上記変速位置補正部56からの信号に基づき変速位置設定部である前記油圧回路35のソレノイドA36,ソレノイドB37,ソレノイドC38に所定の作動信号を出力する変速位置出力手段として形成されている。
【0078】
次いで、上記構成の作用について説明する。
ドライバによるセレクトレバーの操作でレンジ位置が設定されて車両が走行すると、車速センサ41により自動変速機20の出力軸6の回転が検出され、レンジスイッチ42によりセレクトレバーにより設定されているレンジ位置が検出され、スロットル開度センサ43によりエンジン負荷としてエンジン1のスロットル開度が検出され、車体前後加速度センサ44により車体の前後方向の加速度が検出されて自動変速機側制御部50に入力される。また、この自動変速機側制御部50にはABS側制御部70から動作信号が入力される。
【0079】
上記自動変速機側制御部50は、上記各入力信号に基づき油圧回路35の変速制御用のソレノイドA36,ソレノイドB37や、オーバランニングクラッチ28の作動に関わるソレノイドC38に信号出力して上記自動変速機20に設けた各クラッチ,ブレーキを作動させ、適切な変速位置を設定する他、さらに必要な入力信号を基に変速タイミング制御、ロックアップ制御等の他の制御を行う。
【0080】
また、車輪速度センサ65により各車輪12,17の回転数がそれぞれ検出され、ブレーキスイッチ66によりブレーキのONが検出されてABS側制御部70に入力される。
【0081】
上記ABS側制御部70では、上記4輪の車輪速度センサ65は、上記ABS側制御部70の4輪車輪速度演算部71に入力され各車輪の車輪速度が演算され、この車輪速度は車輪加減速度演算部72で微分処理され車輪の加減速度が演算される。
【0082】
また、上記車輪速度と車輪加減速度は上記ブレーキスイッチ66からの信号とともに擬似的演算車体速度演算部73に入力され擬似的演算車体速度が演算される。
【0083】
さらに、上記車輪速度と車輪加減速度と擬似的演算車体速度はアンチロックブレーキ制御部74に入力され、上記車輪速度と車輪加減速度と擬似的演算車体速度を基に、擬似的演算車体速度から所定のスリップ率の速度λ10を設定し、このλ10と車輪速度との比較、車輪加減速度と予め設定しておいたしきい値との比較を行って、各比較結果の状態から判断して、ABS作動の際に増圧、保持、減圧の3つの油圧モードを選択するとともに、ポンプモータ68a駆動の判定をして、アンチロックブレーキ出力部75に信号出力する。このアンチロックブレーキ制御部74からの制御信号は上記自動変速機側制御部50に対しても出力される。
【0084】
そして、上記アンチロックブレーキ出力部75は、上記アンチロックブレーキ制御部74からの制御信号に基づき、ABS作動時にはアンチロックブレーキ動作部、すなわち上記ハイドロリックユニット63の各マグネットバルブ67のソレノイド67a,上記モータポンプ68のポンプモータ68aに信号出力する。
【0085】
これによって、上記ハイドロリックユニット63の各車輪12,17に対応した4個の油圧制御用のマグネットバルブ67とモータポンプ68が動作され、各車輪12,17のホイールシリンダ62に対して、それぞれに適したABS制御でブレーキ液圧制御が行われる。
【0086】
一方、上記自動変速機側制御部50では、車速センサ41からの信号は車速演算部51に入力されて車速が演算され、この車速と上記レンジスイッチ42からの信号と上記スロットル開度センサ43からの信号が変速位置決定部53に入力される。
【0087】
上記変速位置決定部53は、シフトパターン設定部52の該当するパターンのマップを、上記車速とスロットル開度に基づき参照して、上記レンジ位置での変速位置を決定する。
【0088】
また、上記ABS側制御部70からの信号はアンチロックブレーキ作動検出部54に入力され、ABSの作動が検出される。
【0089】
このABSの作動の判定結果は、前記車体前後加速度センサ44からの信号とともに路面摩擦係数判定部55に入力され、図7に示す手順で、アンチロックブレーキ作動の際、車両の減速度が大きいとき高μ路と判定する一方、車両の減速度が小さいとき低μ路と判定し、それ以外を通常μ路と判定される。
【0090】
上記変速位置決定部53で決定した変速位置と、上記アンチロックブレーキ作動検出部54でのABSの作動の判定結果と、上記路面摩擦係数判定部55での路面摩擦判定結果は変速位置補正部56に入力され、図8に示す手順で、図6で示すように、所定の変速位置で高μ路を走行中にABSが作動した場合は上記変速位置決定部53で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する方向に変速位置を変更する一方、所定の変速位置で低μ路を走行中にABSが作動した場合は上記変速位置決定部53で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する方向に変速位置を変更して、この変速位置を上記変速位置出力部57に対して出力する。通常の大きさのμ路の場合には、上記変速位置決定部53からの変速位置をそのまま上記変速位置出力部57に出力する。
【0091】
上記変速位置出力部57は、上記変速位置補正部56からの信号に基づき変速位置設定部である前記油圧回路35のソレノイドA36,ソレノイドB37,ソレノイドC38に所定の作動信号を出力する。
【0092】
次いで、図9および図10は本発明の実施の形態2を示し、図9は車両のABS側制御部と自動変速機側制御部の機能ブロック図、図10は路面摩擦係数判定ルーチンのフローチャートである。尚、本発明の実施の形態2は、前記発明の実施の形態1での自動変速機側制御部の路面摩擦係数判定部をアンチロックブレーキ動作部が作動される頻度で路面摩擦係数の判定をするようにしたもので、他の構成、作用は前記発明の実施の形態1で説明したとおりである。
【0093】
すなわち、図9に示すように、本発明の実施の形態2の自動変速機側制御部80では、前記発明の実施の形態1で説明した車体前後加速度センサからの入力はなく、従って、車体前後加速度センサはこの制御のためには有しない。
【0094】
上記自動変速機側制御部80は、車速演算部51,シフトパターン設定部52,変速位置決定部53,アンチロックブレーキ作動検出部54,路面摩擦係数判定部81,変速位置補正部56,変速位置出力部57とから主に構成されている。
【0095】
上記路面摩擦係数判定部81には、前記ABS側制御部70の前記アンチロックブレーキ制御部74の信号(主に、前記マグネットバルブ67を動作させるための制御信号;前記アンチロックブレーキ出力部75が前記マグネットバルブソレノイド67aに対して出力するバルブ信号「I0 」,「I1 」,「I2 」の発生制御信号)と上記アンチロックブレーキ作動検出部54からの信号(ABS制御作動か否かの信号)が入力される。
【0096】
上記路面摩擦係数判定部81では、これら各入力信号を基にABS制御作動の際、上記アンチロックブレーキ制御部74により上記マグネットバルブ67が作動される頻度が少ないとき高μ路と判定する一方、上記マグネットバルブ67が作動される頻度が多いとき低μ路と判定し、それ以外を通常μ路と判定して上記変速位置補正部56に出力する路面摩擦係数判定手段として形成されている。
【0097】
具体的には、図10のフローチャートに示すように、まず、S301で上記ABS側制御部70の上記アンチロックブレーキ制御部74からの信号(主に、上記マグネットバルブ67を動作させるための制御信号;上記アンチロックブレーキ出力部75が上記マグネットバルブソレノイド67aに対して出力するバルブ信号「I0 」,「I1 」,「I2 」の発生制御信号)と上記アンチロックブレーキ作動検出部54からの信号(ABS制御作動か否かの信号)を読み込んでS302へ進み、ABSが作動していなければルーチンを抜け、ABSが作動していればS303へ進む。
【0098】
上記S303に進むと、上記アンチロックブレーキ制御部74からの信号を基に、上記マグネットバルブソレノイド67aに対して出力されるバルブ信号「I0 」,「I1 」,「I2 」の切換り頻度Fが演算される。
【0099】
次に、S304に進み、上記切換り頻度Fと予め設定しておいた値FLとが比較され、上記切換り頻度Fが設定値FL以上(F≧FL)の場合はS305に進み、S305で上記切換り頻度Fと予め設定しておいた値FHとを比較して上記切換り頻度Fが設定値FH以下(F≦FH)の場合、すなわちFL≦F≦FHの場合は、通常路と判定する。尚、FLとFHは、共に正の値でFL≦FHである。
【0100】
また、上記S304で、上記切換り頻度Fが設定値FLより小さい場合はS307に進み高μ路と判定する。
【0101】
さらに、上記S305で、上記切換り頻度Fが設定値FHよりより大きい場合はS308に進み低μ路と判定する。
【0102】
すなわち、高μ路では車輪がロックしずらく従ってABS制御が作動する頻度も少ないが、低μ路では車輪がロックし易くABS制御が作動する頻度も多くなるため、これを利用してタイヤと路面との間の路面摩擦係数を判定するのである。
【0103】
この本発明の実施の形態2によれば、路面摩擦係数の判定のために車体前後加速度センサを必要とせず、センサにより発生する誤差もなくコストダウンした装置を実現できる。
【0104】
尚、上記各発明の実施の形態で説明したABSは上述の方式のものに限るものではない。
【0105】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、走行中の路面がタイヤと路面との間の路面摩擦係数が通常より高い路面か低い路面かを判定して、所定の変速位置でタイヤと路面との間の路面摩擦係数の高い路面を走行中にアンチロックブレーキ作動した場合は変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更する一方、所定の変速位置でタイヤと路面との間の路面摩擦係数の低い路面を走行中にアンチロックブレーキ作動した場合は変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更するようにしたので、路面状況(タイヤと路面との間の路面摩擦係数)に関わらず最適な制動性能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による車両のABS側制御部と自動変速機側制御部の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1による自動変速機制御装置側の全体構成の概略の説明図
【図3】本発明の実施の形態1による各レンジのシフト位置に対する各クラッチとブレーキの作動状態の説明図
【図4】本発明の実施の形態1によるABSの概略構成図
【図5】本発明の実施の形態1によるABSによる制御の一例を示すタイムチャート
【図6】本発明の実施の形態1による走行路状態によって変更される変速位置の説明図
【図7】本発明の実施の形態1による路面摩擦係数判定ルーチンのフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1による変速位置補正ルーチンのフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2による車両のABS側制御部と自動変速機側制御部の機能ブロック図
【図10】本発明の実施の形態2による路面摩擦係数判定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
12 前輪
17 後輪
20 自動変速機
23 連結要素
28 オーバランニングクラッチ
35 油圧回路
36 ソレノイドA
37 ソレノイドB
38 ソレノイドC
41 車速センサ
42 レンジスイッチ
43 スロットル開度センサ
44 車体前後加速度センサ
50 自動変速機側制御部
51 車速演算部
52 シフトパターン設定部
53 変速位置決定部(変速位置決定手段)
54 アンチロックブレーキ作動検出部(アンチロックブレーキ作動検出手段)
55 路面摩擦係数判定部(路面摩擦係数判定手段)
56 変速位置補正部(変速位置補正手段)
57 変速位置出力部(変速位置出力手段)
62 ホイールシリンダ
63 ハイドロリックユニット
65 4輪車輪速度センサ
66 ブレーキスイッチ
67 マグネットバルブ
67a マグネットバルブソレノイド
70 ABS側制御部
71 4輪車輪速度演算部
72 車輪加減速度演算部
73 擬似的演算車体速度演算部
74 アンチロックブレーキ制御部(アンチロックブレーキ制御手段)
75 アンチロックブレーキ出力部(アンチロックブレーキ出力手段)

Claims (2)

  1. 車両の制動時に運転状態に応じて車輪のロックを防止する制御を行うアンチロックブレーキ制御手段と、上記アンチロックブレーキ制御手段からの信号に基づきアンチロックブレーキ動作部に信号出力するアンチロックブレーキ出力手段とを有するアンチロックブレーキ装置を備えた車両において、
    上記アンチロックブレーキ制御手段によるアンチロックブレーキ作動時を検出するアンチロックブレーキ作動検出手段と、運転状態に応じて予め設定したシフトパターンで有段変速の変速位置を決定する変速位置決定手段と、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とを比較し、路面摩擦係数が通常より高い路面か低い路面かを判定する路面摩擦係数判定手段と、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更する一方、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更して変速位置を出力する変速位置補正手段と、上記変速位置補正手段からの信号に基づき変速位置設定部に出力する変速位置出力手段とを備えたことを特徴とするアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置。
  2. 上記路面摩擦係数判定手段は、走行中のタイヤと路面との間の路面摩擦係数に関するパラメータと所定の判定値とを比較し、路面摩擦係数が通常の路面か、通常より高い路面か、通常より低い路面かを判定し、
    上記変速位置補正手段は、タイヤと路面との間の路面摩擦係数高い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを付加する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数低い路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は、所定の変速位置に基づいて上記変速位置決定手段で定めた変速位置をエンジンブレーキを解除する位置に変更し、タイヤと路面との間の路面摩擦係数通常の路面を走行中にアンチロックブレーキが作動した場合は上記変速位置決定手段で定めた変速位置を保持することを特徴とする請求項1記載のアンチロックブレーキ装置付車両の自動変速機制御装置。
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