JP3849612B2 - 弾性継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、弾性継手に係り、特に、二つの回転軸を弾性的に連結せしめて、それら二つの回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、二つの軸部材を相互に連結する継手(カップリング)の一種として、二つの回転軸を弾性的に連結せしめて、それら二つの回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手が、知られている。この弾性継手は、二つの回転軸間において、振動の伝達を抑えつつ、回転駆動力を伝達せしめるのに有効で、例えば、自動車のステアリング軸やプロペラシャフト等の回転軸の連結部等に介装されて、用いられている。
【0003】
ところで、このような弾性継手にあっては、高度な防振性能を得る上において、軸方向のばね特性(軸剛性)が柔らかく、且つ回転力の出力側から入力側への良好な伝達応答性を得る上で、捩り方向のばね特性(捩り剛性)が硬いことが望まれる。また、特に、自動車のステアリング軸の連結部に介装されて、用いられる場合には、優れたステアリングの操作性フィーリング(車両のハンドリング感)を実現するために、より大きな捩り剛性が、要求されるのである。
【0004】
このため、従来においては、二つの回転軸の間に一体回転可能に介装される円盤状の本体ゴム弾性体に対して、入力側回転軸と出力側回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が各々挿通されて取り付けられる入力側挿通孔と出力側挿通孔とが、回転中心軸周りの同一円周上に交互に位置するように複数設けられると共に、それら複数の挿通孔のうち、周方向に隣り合う入力側挿通孔と出力側挿通孔の外周部間に跨って、合成繊維製の長尺なコード部材が何重にも巻回せしめられて構成された、所謂コード入り弾性継手が、自動車のステアリングカップリング等として、多く採用されてきている。このような構造を有するコード入り弾性継手にあっては、引張強度に優れたコード部材が捩り剛性を補強する補強部材として機能することにより、捩り剛性の確保が図られていると共に、本体ゴム弾性体の圧縮乃至は剪断変形により、軸方向における柔らかいばね特性が発揮されるようになっているのである。
【0005】
ところが、かくの如き従来のコード入り弾性継手においては、補強部材の剛性(強度)を確保するために、コード部材を何重にも巻回しなければならないところから、補強部材、ひいては弾性継手の製造作業が、面倒で煩雑なものなっているばかりでなく、コード部材の巻回時に、巻きむらが生じ易く、また、本体ゴム弾性体の加硫時に、合成繊維製のコード部材が熱収縮したり、或いは加硫圧によって巻回状態が乱れたりして、捩り方向のばね特性が不安定となり、その結果、所望の捩り剛性を安定的に確保することが困難となるといった問題が、内在していたのである。
【0006】
そこで、本発明者等が、従来のコード入り弾性継手における問題点を解消すべく、種々検討を行なった課程において、従来の合成繊維製のコード部材に代えて、ばね鋼の単線材を用い、これを屈曲せしめて、弾性継手の捩り剛性を補強する補強部材を形成することを着想したのである。しかしながら、本発明者等が、かかる着想に基づいて、ばね鋼製の補強部材が本体ゴム弾性体に埋設されてなる弾性継手について、更なる検討を加えたところ、ばね鋼の単線材の屈曲形態によっては、繰り返しの使用時に、補強部材の一部に集中応力が作用せしめられて、かかる部位に破損が生じてしまい、その結果、使用耐久性が不十分なものとなるといった新たな問題が惹起されることが、判明したのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、製造が容易で、所望の捩り剛性が安定的に確保され得、しかも使用耐久性に優れた弾性継手を提供することを、その解決課題とするものである。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、第一の回転軸と第二の回転軸との間に、それらと一体回転可能に介装される本体ゴム弾性板に対して、第一の挿通孔と第二の挿通孔とが、該本体ゴム弾性板の回転中心軸周りの同一仮想円の円周上で、周方向に相互に所定距離を隔てて交互に位置するように、それぞれ複数設けられると共に、該本体ゴム弾性板の該回転中心軸回りの捩り剛性を補強するための補強部材が埋設されて構成され、該第一の回転軸と該第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が、該複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれに挿通せしめられて、該本体ゴム弾性板に取り付けられることにより、該第一の回転軸と該第二の回転軸とを弾性的に連結せしめて、それら両回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手において、前記補強部材が、前記複数の第一の挿通孔と前記複数の第二の挿通孔とを外側から取り囲み得るように、ばね鋼の単線材を屈曲せしめてなる屈曲形態を有してなり、且つ該補強部材と前記本体ゴム弾性板における前記複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面との間に、所定厚さのゴム層がそれぞれ形成されるように、それら内周面との間に距離を隔てつつ、該第一及び第二の挿通孔における、少なくとも前記仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲する包囲部と、該仮想円の周方向において互いに隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士を接続するように位置せしめられて、それら包囲部同士が該仮想円の周方向に相対変位せしめられた際に、該相対変位に対して反発するばね力を発揮するばね部とを含んで構成されていることを特徴とする弾性継手を、その基本的構成とするものである。
【0009】
すなわち、この本発明に従う弾性継手にあっては、補強部材の包囲部が、本体ゴム弾性板における回転中心軸周りの同一仮想円の円周上に複数設けられた第一の挿通孔と第二の挿通孔の、少なくとも該仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲して位置せしめられているところから、第一の挿通孔と第二の挿通孔とに、第一の回転軸と第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が各々挿通せしめられた状態下で、それら両回転軸が相対回転せしめられた際に、前記仮想円の周方向に隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士が、両回転軸に固定される取付部材により、それぞれの回転方向に押圧されて、該仮想円の周方向に相対変位せしめられるようになっている。また、その際には、かかる包囲部同士の相対変位に対して反発するばね力が、補強部材の各ばね部にて発揮されることによって、第一の回転軸と第二の回転軸の相対回転により生ずる、本体ゴム弾性板の捩り変形の変形量が可及的に小さく為され、以て、該本体ゴム弾性板の回転中心軸回りの捩り剛性が、有利に補強され得るようになっているのである。
【0010】
そして、このような本発明に従う弾性継手にあっては、本体ゴム弾性板の捩り剛性を補強する補強部材が、ばね鋼の単線材を用いて形成されているため、合成繊維製のコード部材を用いて形成された補強部材が埋設されてなる従来のコード入り弾性継手とは異なって、補強部材の剛性(強度)を確保するために、その形成部材たるばね鋼の単線材を何重にも巻回する必要が皆無ならしめられ得、それによって、補強部材の形成作業の簡素化が有利に図られ得るのである。
【0011】
また、かかる本発明に従う弾性継手においては、補強部材が、ばね鋼の単線材を、単に、屈曲せしめただけの屈曲形態を有して構成されているため、合成繊維製のコード部材を何重にも巻回することにより補強部材が形成されてなる従来のコード入り弾性継手とは異なって、補強部材の形成時における、ばね鋼の単線材の屈曲形態の形状むらや、本体ゴム弾性板の加硫時におけるばね鋼の単線材の熱収縮、更には加硫圧による屈曲形態の乱れ等の発生が、悉く、有利に解消乃至は低減せしめられ得るのであり、それによって、かかる補強部材が埋設される本体ゴム弾性板の回転中心軸回りの捩り方向のばね特性が、安定的に確保され得るのである。
【0012】
しかも、本発明に係る弾性継手にあっては、本体ゴム弾性板における第一の挿通孔と第二の挿通孔のそれぞれの内周面と、補強部材の包囲部との間に所定厚さのゴム層が形成されているところから、前述せる如く、前記仮想円の周方向に隣り合う包囲部同士が、第一及び第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定されて、第一及び第二の挿通孔に挿通せしめられる取付部材にて押圧されて、該仮想円の周方向に相対変位せしめられる際に、それら第一及び第二の挿通孔の内周面と包囲部との間に形成されるゴム層が弾性変形せしめられ、それによって、第一及び第二の回転軸の各取付部材から各包囲部に作用せしめられる押圧力が有利に減少せしめられて、その減少量に応じた分だけ、包囲部同士の相対変位量が小さく為され得るのである。そして、その結果として、包囲部同士の相対変位時におけるばね部での応力集中が有利に緩和され得、以て、そのような応力集中に起因するばね部の破損が効果的に解消され得て、補強部材の使用寿命の延命化が、有利に図られ得ることとなるのである。
【0013】
従って、かくの如き本発明に従う弾性継手にあっては、補強部材の形成作業が簡素化されている分だけ、製造が容易とされ得ているのであり、また、本体ゴム弾性板の回転中心軸回りの捩り方向のばね特性が安定的に確保されていることによって、所望の捩り剛性が安定的に確保され得、しかも、補強部材の使用寿命の延命化に伴って、使用耐久性の向上が、効果的に図られ得るのである。
【0014】
また、本発明に従う弾性継手においては、第一及び第二の挿通孔に対して、対向する端部にそれぞれ固定された取付部材において挿通せしめられて、連結される第一及び第二の回転軸の相対回転に伴って、それらの挿通孔を包囲する包囲部同士が相対変位せしめられた際に、該第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面と包囲部との間に形成されるゴム層が弾性変形せしめられるようになっているところから、例えば、各挿通孔に、第一及び第二の回転軸のそれぞれの取付部材を挿通せしめた状態下で、それら両回転軸の間に生ずる微振動が、かかるゴム層の弾性変形に基づく緩衝作用によって、有利に吸収せしめられ得、その結果として、より優れた防振特性が発揮され得るといった利点が得られることとなるのである。
【0015】
なお、このような本発明に従う弾性継手の好ましい態様によれば、前記補強部材が、前記仮想円における径方向の外方に向かって凸となり、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも外側に位置せしめられた湾曲凸部と、該径方向の内方に向かって凹陥し、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも内側に位置せしめられた湾曲凹部とを有すると共に、それら湾曲凸部と湾曲凹部とが、該仮想円の周方向に交互に配設された屈曲形態を有して構成されて、前記包囲部が該湾曲凸部にて与えられる一方、前記ばね部が該湾曲凹部にて与えられることとなる。
【0016】
このような構成を有する弾性継手にあっては、第一及び第二の回転軸が、それらの対向する端部にそれぞれ固定される取付部材において第一及び第二の挿通孔に対して挿通されて、連結せしめられてなる状態において、第一及び第二の回転軸が相対回転せしめられて、それら第一及び第二の挿通孔をそれぞれ包囲する包囲部同士が相対変位せしめられた際に、ばね部において、包囲部同士の相対変位に対して反発するばね力が、より確実に発揮され得るのであり、それによって、本体ゴム弾性板の回転中心軸回りの捩り剛性が、更に一層安定的に補強され得るのである。
【0017】
そして、かかる構成を採用する場合には、湾曲凹部にて与えられるばね部における先端部分の湾曲形態の曲率を種々変更することによって、該ばね部のばね力を、容易に変更することが出来るといった利点も得られることとなるのである。
【0018】
また、本発明に従う弾性継手の望ましい別の態様の一つによれば、前記補強部材の前記ばね部が、前記仮想円の周方向において互いに隣り合う前記包囲部の二つを接続するように、該ばね部の先端部分から、該二つの包囲部の各先端部に向かってそれぞれ延出する二つの接続アーム部を有し、且つそれら二つの接続アーム部が、それぞれの延長線上において鋭角に交差するように配置されて、構成される。
【0019】
このような構成を有する弾性継手にあっては、各ばね部が有する二つの接続アーム部が、例えば、それぞれの延長線上において直角に、或いは鈍角に交差するように配置される場合に比べて、二つの接続アーム部の長さを有利に長く為すことが出来、それによって、包囲部同士の相対変位時におけるばね部での応力集中に起因するばね部の破損がより効果的に解消され得、以て補強部材の使用寿命の延命化、更には弾性継手の使用耐久性の向上が、より一層有利に図られ得ることとなるのである。
【0020】
また、本発明に従う弾性継手の有利な態様の一つによれば、前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つにおける前記湾曲凹部からなる前記ばね部の先端部分の曲率が、残りの屈曲体における該ばね部の先端部分の曲率よりも小さくされる。
【0021】
このような構成を有する弾性継手にあっては、補強部材を構成する複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つの屈曲体における先端部分の曲率が小さなばね部において、大きなばね力、即ち硬いばね特性が発揮され得る一方、残りの屈曲体における先端部分の曲率が大きなばね部において小さなばね力、つまり柔らかいばね特性が発揮され得、それによって、一つの本体ゴム弾性板が、捩り方向のばね特性において、小さい捩り角度では、柔らかいばね特性が発揮される一方、捩り角度がある一定の値を超えると、硬いばね特性が発揮されるといった特異なばね特性を具備し得ることとなる。
【0022】
従って、かくの如き弾性継手にあっては、例えば、出力側と入力側の二つの回転軸の間での振動伝達を抑制する上において、小さな捩り角度では、柔らかいばね特性が発揮される一方、優れたステアリングの操作性フィーリング(車両のハンドリング感)を実現するために、捩り角度がある一定の値を超えると、硬いばね特性が発揮されるような捩り方向のばね特性を本体ゴム弾性板が有することが要求される自動車のステアリングカップリング等として、極めて好適に使用され得るのである。
【0023】
さらに、本発明に従う弾性継手の別の望ましい態様の一つによれば、前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つを与える前記ばね鋼の単線材の径が、残りの屈曲体を与える該ばね鋼の単線材の径よりも大きくされる。
【0024】
このような構成を有する弾性継手にあっても、補強部材を構成する複数の屈曲体のうち、大径のばね鋼単線材を用いて形成された、少なくとも何れか一つの屈曲体のばね部において、大きなばね力、即ち硬いばね特性が発揮され得る一方、小径のばね鋼単線材を用いてなる、残りの屈曲体のばね部において、小さなばね力、つまり柔らかいばね特性が発揮され得、それによって、一つの本体ゴム弾性板が、捩り方向のばね特性において、小さい捩り角度では、柔らかいばね特性が発揮される一方、捩り角度がある一定の値を超えると、硬いばね特性が発揮されるといった特異なばね特性を具備し得ることとなるのであり、従って、自動車のステアリングカップリング等として、極めて好適に使用され得るのである。
【0025】
更にまた、本発明に従う弾性継手の好ましい他の態様の一つによれば、前記補強部材が、1本の前記ばね鋼の単線材を複数回巻回せしめてなる巻回体からなり、且つかかる巻回体の各一巻きにおいて、前記包囲部と前記ばね部とが形成されて、構成されることとなる。これによって、補強部材の形成作業、ひいては弾性継手全体の製造作業が、より簡素化され得ると共に、かかる補強部材の取扱性が有利に高められ得るのである。
【0026】
また、本発明に従う弾性継手の更に別の有利な態様の一つによれば、前記補強部材における前記包囲部と、前記本体ゴム弾性板における前記第一の挿通孔の内周面や、前記第二の挿通孔の内周面との間に形成される前記ゴム層に対して、肉欠部が、該本体ゴム弾性板における厚さ方向の一方の面から他方の面に向かって実質的に連続して延びるように形成される。
【0027】
このような構成を有する弾性継手にあっては、第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面と包囲部との間に形成されるゴム層に、肉欠部による空間が、ゴム弾性板の厚さ方向に連続して延びるように形成されるため、第一及び第二の挿通孔に対して、対向する端部にそれぞれ固定された取付部材において挿通せしめられて、連結される第一及び第二の回転軸の相対回転に伴って、それらの挿通孔を包囲する包囲部同士が相対変位せしめられた際に、かかるゴム層における各回転軸の取付部材と包囲部との間での弾性変形が、肉欠部の内部空間内に余肉部分をはみ出させつつ、圧縮方向乃至は剪断方向に惹起せしめられることとなり、それによって、かかる弾性変形によるばね特性が、より柔らかく為され得、その結果として、前記ゴム層の弾性変形に基づく緩衝作用により発揮される、各取付部材において各挿通孔に挿通せしめられ、連結された両回転軸の間での微振動の低減効果が、更に一層有利に享受され得ることとなるのである。
【0028】
さらに、本発明に従う弾性継手の更に他の望ましい態様の一つによれば、前記本体ゴム弾性板に対して前記補強部材が埋設される際に該補強部材を所定の位置に位置決めして支持するための支持部材の引抜跡からなる穴部が、該本体ゴム弾性板における該補強部材の前記複数の包囲部が埋設される部位にそれぞれ複数個ずつ設けられると共に、該複数の包囲部の埋設部位のうち、同一の埋設部位に設けられた穴部同士を取り囲むように、連続して延びる環状突条が、該本体ゴム弾性板に対して一体的に設けられる。
【0029】
このような構成を有する弾性継手にあっては、例えば、第一の回転軸と第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材を、第一及び第二の挿通孔にそれぞれ挿通せしめて、本体ゴム弾性板に取り付ける際に、例えば、ワッシャ等を、本体ゴム弾性板における補強部材の包囲部の埋設部位に設けられた各穴部を取り囲む環状突部に対して、その全周に亘って接触させつつ、本体ゴム弾性板の各挿通孔の形成部位を両側から挟むようにして、それぞれ配置せしめた状態で、各挿通孔に、各回転軸の、例えばボルト等からなる取付部材をそれぞれ挿通せしめ、更にそれをナット締め等することによって、各穴部が、ワッシャにより閉塞せしめられると共に、環状突部が、ワッシャにて押し潰されるように、それぞれ弾性変形せしめられた状態で、各回転軸が本体ゴム弾性板に取り付けられることとなるのである。
【0030】
それ故、かかる弾性継手においては、上述の如き各回転軸の本体ゴム弾性板に対する取付構造を採用すれば、例えば、各回転軸の相対変位等によって本体ゴム弾性板が弾性変形せしめられた際にも、環状突部が、その復元力に基づいて、ワッシャから離間せしめられることが有利に回避され得るのであり、それによって、ワッシャと環状突部との間から、環状突部にて囲まれた部位に、例えば水等が侵入するようなことが、効果的に防止され得るのである。
【0031】
従って、かくの如き弾性継手にあっては、第一及び第二の回転軸が取り付けられた使用状態下で、本体ゴム弾性板における補強部材の包囲部の埋設部位に設けられた、環状突部にて囲まれる穴部内に水等が侵入して、そのような水が穴部を通じて補強部材の包囲部と接触することにより、かかる包囲部が腐食するようなことが、極めて有利に阻止され得るのであり、その結果として、補強部材の使用寿命の延命化、ひいては弾性継手全体の使用耐久性の向上が、更に一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0032】
また、本発明に従う弾性継手の好ましい別の態様の一つによれば、前記本体ゴム弾性板に対して前記補強部材が埋設される際に該補強部材を所定の位置に位置決めして支持するための支持部材の引抜跡からなる穴部が、該本体ゴム弾性板における該補強部材の前記複数の包囲部が埋設される部位にそれぞれ設けられると共に、それら複数の穴部のそれぞれの周囲に、各穴部をそれぞれ別々に取り囲むように連続して延びる環状突条が、該本体ゴム弾性体に対して一体的に設けられることとなる。
【0033】
このような構成を有する弾性継手においても、例えば、ワッシャ等を、各挿通孔の周りに設けられた穴部をそれぞれ取り囲む環状突部に対して、その全周に亘って接触させつつ、各挿通孔の形成部位を両側から挟むようにして、それぞれ配置せしめた状態で、各挿通孔に、各回転軸の対向する端部に設けられた、例えばボルト等からなる取付部材をそれぞれ挿通せしめ、更にそれをナット締め等するようにした、各回転軸の本体ゴム弾性板に対する取付構造を採用することによって、ワッシャと環状突部との間から、環状突部にて囲まれた穴部内に水等が侵入し、そして、そのような水が穴部を通じて補強部材の包囲部と接触して、かかる包囲部が腐食するようなことが、極めて有利に防止され得るのである。
【0034】
従って、かかる本発明に従う弾性継手にあっても、補強部材の使用寿命の延命化、ひいては弾性継手全体の使用耐久性の向上が、より一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る弾性継手の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0036】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する弾性継手の一実施形態としての自動車のステアリングカップリングが、その正面形態と縦断面形態において、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のステアリングカップリングは、本体ゴム弾性板10と、それに埋設された補強部材12とを有して、構成されている。
【0037】
より具体的には、このステアリングカップリングを構成する本体ゴム弾性板10は、全体として、略厚肉の円盤形状を呈しており、その中心部には、円筒状内面を有する中心孔14が、厚さ方向に貫通して形成されている。また、かかる本体ゴム弾性板10においては、その外周部に、二つの第一の挿通孔16と二つの第二の挿通孔18が、中心軸:P周りに描かれる仮想円:Qの円周上で、周方向に略等間隔を隔てて、つまり、互いに90度の位相差をもって、交互に一つずつ位置するように設けられている。換言すれば、第一及び第二の挿通孔16,18が、該仮想円:Qに内接する正方形の各頂点角部に位置して、周方向に交互に配設されているのである。なお、それら第一及び第二の挿通孔16,18は、何れも、中心孔14よりは小さく、且つ互いに同一の径とされた略円筒状の内面をもって、各軸心(第一及び第二の挿通孔16,18のそれぞれの中心軸)を、本体ゴム弾性板10の中心軸:Pに平行となるように、位置せしめられている。
【0038】
そして、ここでは、図示されてはいないものの、従来と同様に、そのような本体ゴム弾性板10が、第一の回転軸としてのステアリングホイール側シャフトと第二の回転軸としてのステアリングギヤ側シャフトとの間に、中心軸:P回りに一体回転可能に介装された状態で、それら両シャフトの対向する端部にそれぞれ設けられた取付部(36,38)の先端に固設されるボルト(42,42)等が、第一及び第二の挿通孔16,18にそれぞれ挿通固定されることにより、両シャフトが互いに弾性的に連結せしめられて、ステアリングホイールの回転駆動力が、ステアリングギヤに伝達されるようになっており、また、それと共に、本体ゴム弾性板10の弾性変形に基づいて、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトとの間での振動伝達が抑制されるように構成されているのである(図5参照)。
【0039】
ところで、本実施形態のステアリングカップリングにおいては、上述の如く、本体ゴム弾性板10に、補強部材12が埋設されているのであるが、この補強部材12が、従来品には見られない極めて特徴的な構造をもって、構成されているのである。
【0040】
すなわち、この補強部材12は、図1及び図3に示されるように、例えば、炭素鋼や合金鋼等のばね鋼からなり、全長に亘って同一の径(太さ)を有する、長尺な1本の単線材を、一巻き目と二巻き目とが上下に接触するように二回巻回せしめてなる巻回体にて構成されている。また、そのような巻回体からなる補強部材12において、上段に位置する一巻き目と、下段に位置する二巻き目とが、それぞれ、全体として、略十字形状を呈するように屈曲せしめられた屈曲形態を有する上側屈曲体20と下側屈曲体22とされている。
【0041】
そして、かかる補強部材12を構成する上下二つの屈曲体20,22にあっては、十字形状の四つの外方への突出部位が、それぞれ、略半円状に湾曲せしめられた先端部分を有する、前記本体ゴム弾性板10の第一及び第二の挿通孔16,18をそれぞれ包囲可能な包囲部24とされており、また、それら十字形状の四つの突出部分の隣り合うもの同士を接続する接続部位が、それぞれ、十字形状の内方に向かって、湾曲形態をもって凹陥するばね部26とされている。更に、このばね部26にあっては、その先端部分から包囲部24の先端部分に向かって延び出して、前記第一及び第二の挿通孔16,18が位置せしめられる前記仮想円:Qの周方向に隣り合う包囲部24同士を接続する部位が接続アーム部27,27とされており、ここでは、それら二つの接続アーム部27,27が、それぞれの延長線上において直角に交差するように配置されている。
【0042】
換言すれば、本実施形態では、補強部材12が、略十字状の屈曲形態を有する上側及び下側屈曲体20,22が、一体的に組み合わされて成っており、また、それら二つの屈曲体20,22のそれぞれが、外方に向かって凸となる湾曲凸部形態を有する四つの包囲部24と、内方に向かって凹陥する湾曲凹部形態を有する四つのばね部26とを有して、構成されている。そして、そのような上側及び下側屈曲体20,22においては、包囲部24とばね部26とが、各屈曲体20,22の巻回方向に交互に一つずつ位置せしめられて、隣り合う包囲部24同士が、それらの間に位置するばね部26にて接続されるように配設されており、また、それら四つの包囲部24のうちの隣り合うもの同士や、四つのばね部26うちの隣り合うもの同士が、それぞれ、互いに90度の位相差をもって、配置されている。これにより、上側及び下側屈曲体20,22において、隣り合う包囲部24同士が、互いに接近乃至は離隔する方向に相対変位せしめられた際に、それら包囲部24同士の間に位置して、それらを接続するばね部26にて、かかる相対変位に対して反発するばね力が発揮され得るように、補強部材12が構成されているのである。
【0043】
また、ここでは、図1から明らかなように、上述の如き構造とされた補強部材12における上側及び下側屈曲体20,22が、前記本体ゴム弾性板10に設けられた第一及び第二の挿通孔16,18の全てを、外側から取り囲み得る大きさとされており、更に、そのような各屈曲体20,22の、湾曲凸部形態を有する包囲部24は、第一及び第二の挿通孔16,18よりも一周り大きな内径を有すると共に、各屈曲体20,22が第一及び第二の挿通孔16,18の全てを外側から取り囲むように配置された際に、前記仮想円:Qの外側に、先端部分が位置せしめられて、該仮想円:Qの径方向外方に位置する、各挿通孔16,18の半周部分を越えた部分を包囲し得るような大きさを有している。また、それら上側及び下側屈曲体20,22の、湾曲凹部形態を有するばね部26は、各屈曲体20,22が第一及び第二の挿通孔16,18の全てを外側から取り囲むように配置された際に、それら第一及び第二の挿通孔16,18が配置される前記仮想円:Qの内側に位置せしめられるような大きさで、凹陥せしめられている。
【0044】
更にまた、本実施形態では、補強部材12における下側屈曲体22の各ばね部26が、上側屈曲体20の各ばね部26よりも緩やかなカーブを描いて湾曲せしめられるように、下側屈曲体22の各ばね部26における先端部分の曲率が、上側屈曲体20の各ばね部26における先端部分の曲率よりも小さくされており、それによって、下側屈曲体22の各ばね部26が、上側屈曲体20の各ばね部26に比して、大きなばね力が発揮され得るように構成されている。
【0045】
そして、かくの如き構造とされた補強部材12が、図1及び図2に示されるように、上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24において、第一の挿通孔16の内周面との間や、第二の挿通孔18の内周面との間に、所定の距離を隔てつつ、それら第一及び第二の挿通孔16,18の、前記仮想円:Qの径方向外方に位置する半周部分を越えた部分をそれぞれ包囲すると共に、上側及び下側屈曲体20,22の各ばね部26を、該仮想円:Qの径方向内側に位置せしめた状態で、本体ゴム弾性板10に埋設されている。
【0046】
かくして、ここでは、図4及び図5に示されるように、上述の如き補強部材12の本体ゴム弾性板10への埋設下において、上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24と、第一の挿通孔16の内周面との間や、第二の挿通孔18の内周面との間に、所定厚さのゴム層28が形成されるようになっているのである。
【0047】
従って、本実施形態のステアリングカップリングにおいては、前述せる如く、下側屈曲体22のばね部26が、上側屈曲体20のばね部26よりも、小さな曲率をもって構成されていることにより、それら下側屈曲体22のばね部26と上側屈曲体20のばね部26との間で異なるばね特性が発揮され得るようになっていることに加えて、上述の如く、上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24と、本体ゴム弾性体10における第一及び第二の挿通孔16,18の各内周面との間にゴム層28が形成されているところから、ステアリングカップリングに入力される捩りトルクとその捩り角度の関係を概略的に表す図6に示されるように、捩り角度の極小さな領域では、ゴム層28に由来する、捩り方向の極めて柔らかいばね特性が発揮され、また、それよりも大きな捩り角度の領域では、上側屈曲体20のばね部に由来する、捩り方向の柔らかいばね特性が発揮され、更に、ある一定の角度よりも大きな捩り角度の領域では、下側屈曲体22のばね部に由来する、捩り方向の硬いばね特性が発揮されるのであり、以て、従来品では得られない、バラエティーに富んだばね特性が発揮され得るようになっているのである。
【0048】
また、ここでは、ゴム層28において、上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24とその両隣りに位置するばね部26,26との接続部分と、第一及び第二の挿通孔16,18との内周面との間に位置する部分に、それら第一及び第二の挿通孔16,18内に向かって開口する、所定幅の溝状の肉欠部30が、本体ゴム弾性板10の一方の面から他方の面に向かって連続して延びるように形成されている。即ち、かかる肉欠部30は、各包囲部24と各挿通孔16,18との間に形成されるゴム層28に対して、それぞれ二つずつ、設けられており、それによって、ゴム層28の弾性変形が、肉欠部の内側空間内に余肉部分をはみ出させつつ、圧縮方向乃至は剪断方向に惹起せしめられて、かかるゴム層28のばね特性が、より柔らかく為され得るようになっているのである。
【0049】
なお、この肉欠部30の長さ方向の中央部等には、本体ゴム弾性板10の成形上の理由から、薄肉のゴム膜が形成されることがあるが、このゴム膜は、肉欠部30の形成によって得られる、上述の如きゴム層28のばね特性の柔軟化を何等妨げるものではない。従って、そのようなゴム膜が形成される場合にあっても、肉欠部30が、本体ゴム弾性板10の一方の面から他方の面に向かって連続して延びるように形成されるものであると、理解されるべきである。
【0050】
さらに、かかるステアリングカップリングにおいては、図1及び図5に示されるように、本体ゴム弾性板10における補強部材12の上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24が埋設される部位に、本体ゴム弾性板10の上面と下面とにそれぞれ開口し、それらの開口部を通じて、各包囲部24の一部を外部に露出せしめる穴部32が、各包囲部24の埋設部位毎に、それぞれ二つずつ設けられている。なお、この穴部32は、ステアリングカップリングの製作時において、所定の金型内で、本体ゴム弾性板10を加硫成形する際に、本体ゴム弾性板10内に埋設するために、補強部材12を、かかる金型内で、上下方向の所望の位置において支持するピン等の支持部材を、本体ゴム弾性板10の成形後に引抜いた引抜跡にて形成されるものである。
【0051】
また、そのような穴部32が設けられた本体ゴム弾性板10の両面には、補強部材12の上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24が埋設される部位のそれぞれに、断面山形形状を呈する環状突条34が、各埋設部位に設けられた第一の挿通孔16若しくは第二の挿通孔18と二つの穴部32,32とを取り囲んで、連続して延びるように、一体形成されている。
【0052】
かくして、ここでは、例えば、図5に二点鎖線で示されるように、本体ゴム弾性板10における補強部材12の上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24が埋設される部位のそれぞれにおいて、二つのワッシャ40,40を、それぞれの一方の端面にて、環状突部34の全周にそれぞれ接触しつつ、各包囲部24の埋設部位を両側から挟むようにして、それぞれ配置せしめた状態で、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトの対向する端部にそれぞれ設けられた取付部36,38の先端に一体的に固設されるボルト42,42を、それぞれ、各挿通孔16,18内に挿通せしめ、更に、それら各ボルト42をナット44にて締め付けることによって、各穴部32が、ワッシャ40,40により閉塞せしめられると共に、各環状突部34が、ワッシャ40,40にて押し潰されるように、それぞれ弾性変形せしめられた状態で、各シャフトが本体ゴム弾性板10に取り付けられるようになっているのである。
【0053】
そしてまた、それによって、各シャフトの相対変位等によって本体ゴム弾性板10が弾性変形せしめられた際にも、本体ゴム弾性板10における各包囲部24の埋設部位に設けられた環状突部34が、その復元力に基づいて、ワッシャ40,40から離間せしめられることが阻止されて、ワッシャ40,40と環状突部34との間から、環状突部34にて囲まれた各穴部32,32内に、例えば水等が侵入するようなことが、防止され得るようになっているのである。なお、図5中、46は、各シャフトの取付部36,38におけるボルト42と各挿通孔16,18の内周面との間に介装されるカラーであるが、例えば、このカラー46の一端部に外向きフランジ部を設けて、かかる外向きフランジ部を、ワッシャ40の代わりに、環状突部34に接触位置させるようにしても良い。
【0054】
而して、前述せる如く、本実施形態のステアリングカップリングにあっては、補強部材12が、上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24において、第一及び第二の挿通孔16,18の、前記仮想円:Qの径方向外方に位置する半周部分を越えた部分をそれぞれ包囲すると共に、上側及び下側屈曲体20,24の各ばね部26を、該仮想円:Qの径方向内側に位置せしめた状態で、本体ゴム弾性板10に埋設されているところから、第一及び第二の挿通孔16,18に対して、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトにおける各取付部36,38のボルト42,42が、それぞれ挿通固定せしめられた状態下で、それら両シャフトが相対回転せしめられた際に、仮想円:Qの周方向に隣り合う第一の挿通孔16と第二の挿通孔18とをそれぞれ取り囲む包囲部24同士が、両シャフトにおける各取付部36,38のボルト42,42により、それぞれの回転方向に押圧されて、該仮想円:Qの周方向に相対変位せしめられるようになっている。そして、その際には、かかる包囲部24同士の相対変位に対して反発するばね力が、補強部材12の各ばね部26にて発揮されて、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトとの相対回転により生ずる、本体ゴム弾性板10の捩り変形の変形量が可及的に小さく為され、以て、本体ゴム弾性板10の中心軸:P回りの捩り剛性が、有利に補強され得るようになっているのである。
【0055】
そして、このようなステアリングカップリングにおいては、特に、本体ゴム弾性板10に埋設される補強部材12が、ばね鋼の単線材を、単に、二回巻回せしめることにより、上側屈曲体20と下側屈曲体22が一体的に組み合わされてなる構造をもって構成されているため、合成樹脂製のコード部材を何重にも巻回して形成される従来品とは異なって、極めて簡単に形成され得るのであり、また、かかる補強部材12の形成時における、ばね鋼の単線材の屈曲形態の形状むらや、本体ゴム弾性板10の加硫時におけるばね鋼の単線材の熱収縮、更には加硫圧による屈曲形態の乱れ等が、有利に解消乃至は低減せしめられ得て、このような補強部材12が埋設される本体ゴム弾性板10の中心軸:P回りの捩り方向のばね特性が、安定的に確保され得るのである。
【0056】
従って、かくの如き本実施形態のステアリングカップリングにあっては、製造が容易で、且つ所望の捩り剛性が安定的に確保され得る構造が、有利に実現され得るのである。
【0057】
しかも、かかるステアリングカップリングにおいては、本体ゴム弾性板10における第一及び第二の挿通孔16,18のそれぞれの内周面と、補強部材12における上側及び下側屈曲体20,22の各包囲部24との間に、所定厚さのゴム層28が形成されているため、前記仮想円:Qの周方向に隣り合う包囲部24同士が、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトの各取付部36,38に設けられて、第一及び第二の挿通孔16,18に挿通せしめられるボルト42,42にて押圧されて、該仮想円:Qの周方向に相対変位せしめられる際に、それら両シャフトのボルト42,42と包囲部24との間に挟まれるゴム層28が弾性変形せしめられ、それによって、両シャフトのボルト42,42から各包囲部24への押圧力が低減せしめられて、包囲部24同士の相対変位量が小さく為され得るのである。そして、その結果、包囲部24同士の相対変位時におけるばね部26での応力集中が有利に緩和され得て、そのような応力集中に起因するばね部24の破損が効果的に解消され得、以て、補強部材12の使用寿命の延命化、ひいてはステアリングカップリングの使用耐久性の向上が、有利に図られ得ることとなるのである。
【0058】
また、本実施形態に係るステアリングカップリングにおいては、上述の如きゴム層28の弾性変形に基づく緩衝作用によって、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフト間での微振動の伝達が、効果的に抑制され得るといった利点も得られるのである。
【0059】
さらに、かかるステアリングカップリングにあっては、補強部材12を構成する上側屈曲体20と下側屈曲体22が、何れも、外方に向かって凸となる湾曲凸部形態を有する包囲部24と、内方に向かって凹陥する湾曲凹部形態を有するばね部26とを、ばね鋼の巻回方向において交互に位置せしめてなる、十字状の全体形状を呈する屈曲形態をもって構成され、特に、各屈曲体20,22の本体ゴム弾性板10への埋設下で、ばね部26が、その先端部分を前記仮想円:Qの内側に位置せしめられるようになっているところから、包囲部24同士が相対変位せしめられた際に、ばね部26において、包囲部24同士の相対変位に対して反発するばね力が、より確実に発揮され得るのであり、それによって、本体ゴム弾性板10の中心軸:P回りの捩り剛性が、更に一層安定的に補強され得るのである。
【0060】
また、このようなステアリングカップリングにおいては、補強部材12における下側屈曲体22のばね部26の曲率が、上側屈曲体20のばね部26の曲率よりも小さくされて、下側屈曲体22の各ばね部26が、上側屈曲体20の各ばね部に比して、大きなばね力が発揮され得るようになっているところから、下側屈曲体22の各ばね部26におけるばね特性が硬くされる一方、それに比較して、上側屈曲体20の各ばね部26におけるばね特性が柔らかく為され得、それによって、前述せるように、捩り方向のばね特性において、小さい捩り角度では、柔らかいばね特性が発揮される一方、捩り角度がある一定の値を超えると、硬いばね特性が発揮されるといった特異なばね特性を具備し得ることとなる。
【0061】
従って、本実施形態のステアリングカップリングにあっては、ステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトの間での比較的小さな捩り角度での相対回転によって生ずる振動の伝達が、柔らかいばね特性によって、効果的に抑制され得る一方、例えば、ステアリングホイールを回転操作する際等には、本体ゴム弾性板10において硬いばね特性が発揮され得、それによって、優れたステアリングの操作性フィーリング(車両のハンドリング感)が実現され得ることとなるのである。
【0062】
さらに、本実施形態に係るステアリングカップリングにおいては、補強部材12を構成する上側屈曲体20と下側屈曲体22とが、1本の長尺なばね鋼の単線材を二回巻回せしめることにより、一体的に組み合わされた形態で構成されているため、例えば、それら上側及び下側屈曲体20,22を別体にて構成する場合に比して、補強部材12の製造が容易となると共に、その取扱性も、有利に高められ得るのである。
【0063】
更にまた、かかるステアリングカップリングにあっては、補強部材12における包囲部24と、本体ゴム弾性板における第一の挿通孔16の内周面や、第二の挿通孔18の内周面との間に形成されるゴム層28において、各包囲部24とその両隣りに位置するばね部26,26との接続部分と、第一及び第二の挿通孔16,18との内周面との間に位置する部分に、肉欠部30が、本体ゴム弾性板10の一方の面から他方の面に向かって連続して延びるように形成されて、かかるゴム層28のばね特性が、より柔らかくされているところから、ゴム層28の弾性変形に基づく緩衝作用により発揮される、各取付部36,38のボルト42において第一及び第二の挿通孔16,18に挿通せしめられたステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトの間での微振動の低減効果が、更に一層有利に享受され得ることとなるのである。
【0064】
加えて、本実施形態のステアリングカップリングにおいては、本体ゴム弾性板10における補強部材12の各包囲部24の埋設部位のそれぞれに、それら各包囲部24を外部に露呈せしめる穴部32を取り囲む環状突部34が設けられていることによって、本体ゴム弾性板10にステアリングホイール側シャフトとステアリングギヤ側シャフトとが取り付けられた使用状態下で、各穴部32内への水等の侵入が阻止されるようになっているため、各穴部32内に侵入した水が、補強部材12の各包囲部24と接触して、それら各包囲部24が腐食するようなことが極めて有利に防止され得るのであり、その結果として、補強部材12の使用寿命の延命化、更にはステアリングカップリング全体の使用耐久性の向上が、より一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0065】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0066】
例えば、前記実施形態では、1本の長尺なばね鋼の単線材を二回巻回して、上側屈曲体20と下側屈曲体22を形成することにより、補強部材12が構成されていたが、補強部材を構成する屈曲体の個数、換言すれば、ばね鋼の単線材の巻回数は、何等これに限定されるものではなく、巻回数が1回でも3回以上でも良いのであり(つまり、屈曲体の個数が1個でも3個以上でも良いのであり)、本体ゴム弾性板の厚さや大きさ、或いは本体ゴム弾性板に要求されるばね特性等に応じて、適宜に決定され得るのである。
【0067】
また、複数の屈曲体にて補強部材を構成する場合には、それら複数の屈曲体を、それぞれ別体にて形成しても、何等差し支えないのである。
【0068】
さらに、補強部材12を与える屈曲体20,22の全体形状は、前述せる例示のものに、何等限定されるものではなく、本体ゴム弾性板に設けられる第一及び第二の挿通孔を、その内周面との間に距離を隔てつつ、それら各挿通孔における、少なくとも該挿通孔が位置する仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲する包囲部と、該仮想円の周方向において互いに隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士を接続するように位置せしめられて、それら包囲部同士が該仮想円の周方向に相対変位せしめられた際に、該相対変位に対して反発するばね力を発揮するばね部とを含んで構成されておれば、如何なる形状も、採用され得るのである。
【0069】
従って、例えば、一つの屈曲体にて補強部材を構成する場合には、該一つの屈曲体の形状として、前記実施形態で例示される上側屈曲体20と下側屈曲体22のうちの何れかの形状、或いはそれらとは異なる形状が、適宜に採用される。また、複数の屈曲体を組み合わせて補強部材を構成する場合には、上側屈曲体20と同一の形状を有するものを複数組み合わせたり、下側屈曲体22と同一の形状を有するものを複数組み合わせたり、或いはそれらとは異なる形状であって、且つ互いに同一の形状を有するものを複数組み合わせたりして、補強部材を構成することが出来、更には、全て異なる形状を有するものを複数組み合わせたり、若しくは幾つかのものが同一の形状を有し、且つ残りのものがそれらとは異なる形状とされた複数の屈曲体を組み合わせたりして、補強部材を構成することも可能なのである。
【0070】
また、補強部材12を構成するばね鋼の単線材の種類も、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0071】
さらに、補強部材12の上側屈曲体20と下側屈曲体22を、前記実施形態とは異なって、互いに異なる径(太さ)のばね鋼の単線材にて形成しても良い。勿論、その場合にあっては、上側屈曲体20と下側屈曲体22とが、別々のばね鋼の単線材を用いて形成されることとなる。また、三つ以上の屈曲体を組み合わせて補強部材12を構成する場合には、それらの屈曲体を全て異なる径のばね鋼の単線材にて形成したり、或いは幾つかのものを同一の径のばね鋼の単線材にて形成しても良いのである。
【0072】
このように、径の異なるばね鋼の単線材を用いて形成された複数の屈曲体が組み合わされて構成される補強部材にあっては、各屈曲体において、ばね鋼の単線材の径の大きさに応じたばね特性が発揮され得ることとなる。従って、そのような補強部材が埋設された本体ゴム弾性板が、捩り方向のばね特性において、小さい捩り角度では、柔らかいばね特性が発揮される一方、捩り角度がある一定の値を超えると、硬いばね特性が発揮されるといった特異なばね特性を具備し得ることとなり、それによって、自動車のステアリングカップリング等として、極めて好適に使用され得るのである。なお、かかるばね鋼の単線材の径は、優れた捩り特性及び強度を確保しつつ、高度な加工性を得る上において、0.4〜6mm程度とされていることが、望ましい。
【0073】
また、前記実施形態では、補強部材12の各ばね部26における二つの接続アーム部27,27が、それぞれの延長線上において直角に交差するように配置されていたが、例えば、図7に示されるように、それら各ばね部26における二つの接続アーム部27,27を、それぞれの延長線上において鋭角に交差するように配置させることも可能である。このような構成を採用すれば、二つの接続アーム部27,27の長さを有利に長く為すことが出来、それによって、前記仮想円:Qの周方向に隣り合う包囲部24同士の相対変位時におけるばね部26での応力集中に起因するばね部26の破損がより効果的に解消され得、以て補強部材12の使用寿命の延命化、更にはステアリングカップリングの使用耐久性の向上が、より一層有利に図られ得ることとなるのである。
【0074】
なお、かくの如き構成を採用する場合には、二つの接続アーム部27,27のそれぞれの延長線上における交角は、鋭角であれば、特に、その大きさが限定されるものではないところであるものの、例えば、一般的な大きさを有するステアリングカップリング等では、図7においてmにて示される寸法が2mm程度となるように、二つの接続アーム部27,27のそれぞれの延長線上における交角の大きさを決定することが、望ましいのである。
【0075】
また、本体ゴム弾性板10に設けられる第一の挿通孔16と第二の挿通孔18の形状や、配設個数も、前記例示のものに、決して限定されるものでないことは、勿論である。
【0076】
さらに、前記実施形態では、本体ゴム弾性体10の加硫成形時に、補強部材12を所定の金型内の所望位置に支持するためのピン等の引抜跡からなる穴部32が、本体ゴム弾性板10における補強部材12の各包囲部24の埋設部位にそれぞれ二つずつ設けられ、また、それら各包囲部24の埋設部位毎に、そこに設けられた二つの穴部32と、第一の挿通孔16若しくは第二の挿通孔18とを取り囲む環状突部34が、それぞれ設けられていたが、例えば、図8乃至図10に示されるように、それぞれの穴部32の周囲に、各穴部32をそれぞれ別々に取り囲む環状突部34を設けるようにしても良い。なお、ここでは、穴部32が、補強部材12を、所定の金型内での上下方向の位置と、本体ゴム弾性体10における周方向の位置とを位置決めして支持するピン等の引抜跡からなるもので、本体ゴム弾性板10における補強部材12の各包囲部24の埋設部位に、それぞれ四つずつ設けられている。
【0077】
そして、このように、各穴部32のそれぞれの周囲に、互いに独立した環状突部34が設けられている場合にあっても、例えば、図9及び図10に二点鎖線で示されるように、二つのワッシャ40,40を、それぞれの一方の端面にて、本体ゴム弾性板10の各包囲部24の埋設部位のそれぞれに設けられた各環状突部34の全周にそれぞれ接触しつつ、かかる埋設部位を両側から挟むように配置せしめた状態で、各挿通孔16,18に、各シャフトの取付部36,38の先端に設けられたボルト42をそれぞれ挿通せしめ、更にそれをナット44にて締め付ければ、各穴部32が、ワッシャ40,40により閉塞せしめられると共に、各環状突部34が、ワッシャ40,40にて押し潰されるように、それぞれ弾性変形せしめられた状態で、各シャフトが本体ゴム弾性板10に取り付けられることとなるのであり、それによって、各シャフトの相対変位等によって本体ゴム弾性板10が弾性変形せしめられた際にも、ワッシャ40,40と環状突部34との間から、環状突部34にて囲まれた各穴部32,32内に、水等が侵入することが防止され得るのである。
【0078】
かくして、本実施形態においても、各穴部32内に侵入した水によって、補強部材12の各包囲部24が腐食するようなことが有利に防止され得るのであり、その結果として、補強部材12の使用寿命の延命化、更にはステアリングカップリング全体の使用耐久性の向上が、より一層効果的に図られ得ることとなるのである。
【0079】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車のステアリングカップリングに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車のプロペラシャフト等、様々な回転軸の連結部等に介装される弾性継手の何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
【0080】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う弾性継手にあっては、製造が容易とされ得ると共に、所望の捩り剛性が安定的に確保され得るのであり、しかも、使用耐久性の向上が、効果的に図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有する弾性継手の一例を示す正面説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面説明図である。
【図3】図1に示された弾性継手の本体ゴム弾性体に埋設される補強部材の一例を示す斜視説明図である。
【図4】図2のIV−IV断面における要部拡大説明図である。
【図5】図1のV−V断面における要部説明図である。
【図6】図1に示された弾性継手における捩りトルクと捩り角度の関係を示すグラフである。
【図7】本発明に従う構造を有する弾性継手の別の例を示す図1に対応する図である。
【図8】本発明に従う構造を有する弾性継手の更に別の例を示す図1に対応する図である。
【図9】図8のIX−IX断面における要部説明図である。
【図10】図8のX−X断面における要部説明図である。
【符号の説明】
10 本体ゴム弾性板 12 補強部材
16 第一の挿通孔 18 第二の挿通孔
20,22 屈曲体 24 包囲部
26 ばね部 28 ゴム層
30 肉欠部 32 穴部
34 環状突部

Claims (11)

  1. 第一の回転軸と第二の回転軸との間に、それらと一体回転可能に介装される本体ゴム弾性板に対して、第一の挿通孔と第二の挿通孔とが、該本体ゴム弾性板の回転中心軸周りの同一仮想円の円周上で、周方向に相互に所定距離を隔てて交互に位置するように、それぞれ複数設けられると共に、該本体ゴム弾性板の該回転中心軸回りの捩り剛性を補強するための補強部材が埋設されて構成され、該第一の回転軸と該第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が、該複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれに挿通せしめられて、該本体ゴム弾性板に取り付けられることにより、該第一の回転軸と該第二の回転軸とを弾性的に連結せしめて、それら両回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手において、
    前記補強部材が、前記複数の第一の挿通孔と前記複数の第二の挿通孔とを外側から取り囲み得るように、ばね鋼の単線材を屈曲せしめてなる屈曲形態を有してなり、且つ該補強部材と前記本体ゴム弾性板における前記複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面との間に、所定厚さのゴム層がそれぞれ形成されるように、それら内周面との間に距離を隔てつつ、該第一及び第二の挿通孔における、少なくとも前記仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲する包囲部と、該仮想円の周方向において互いに隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士を接続するように位置せしめられて、それら包囲部同士が該仮想円の周方向に相対変位せしめられた際に、該相対変位に対して反発するばね力を発揮するばね部とを含んで構成されていると共に、
    前記補強部材が、前記仮想円における径方向の外方に向かって凸となり、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも外側に位置せしめられた湾曲凸部と、該径方向の内方に向かって凹陥し、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも内側に位置せしめられた湾曲凹部とを有し、更に、それら湾曲凸部と湾曲凹部とが、該仮想円の周方向に交互に配設された屈曲形態を有して構成されて、前記包囲部が該湾曲凸部にて与えられている一方、前記ばね部が該湾曲凹部にて与えられており、
    また、前記補強部材の前記ばね部が、前記仮想円の周方向において互いに隣り合う前記包囲部の二つを接続するように、該ばね部の先端部分から、該二つの包囲部の各先端部に向かってそれぞれ延出する二つの接続アーム部を有し、且つそれら二つの接続アーム部が、それぞれの延長線上において鋭角に交差するように配置されていることを特徴とする弾性継手。
  2. 前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つにおける前記湾曲凹部からなる前記ばね部の先端部分の曲率が、残りの屈曲体における該ばね部の先端部分の曲率よりも小さくされている請求項に記載の弾性継手。
  3. 前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つを与える前記ばね鋼の単線材の径が、残りの屈曲体を与える該ばね鋼の単線材の径よりも大きくされている請求項1又は請求項に記載の弾性継手。
  4. 第一の回転軸と第二の回転軸との間に、それらと一体回転可能に介装される本体ゴム弾性板に対して、第一の挿通孔と第二の挿通孔とが、該本体ゴム弾性板の回転中心軸周りの同一仮想円の円周上で、周方向に相互に所定距離を隔てて交互に位置するように、それぞれ複数設けられると共に、該本体ゴム弾性板の該回転中心軸回りの捩り剛性を補強するための補強部材が埋設されて構成され、該第一の回転軸と該第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が、該複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれに挿通せしめられて、該本体ゴム弾性板に取り付けられることにより、該第一の回転軸と該第二の回転軸とを弾性的に連結せしめて、それら両回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手において、
    前記補強部材が、前記複数の第一の挿通孔と前記複数の第二の挿通孔とを外側から取り囲み得るように、ばね鋼の単線材を屈曲せしめてなる屈曲形態を有してなり、且つ該補強部材と前記本体ゴム弾性板における前記複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面との間に、所定厚さのゴム層がそれぞれ形成されるように、それら内周面との間に距離を隔てつつ、該第一及び第二の挿通孔における、少なくとも前記仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲する包囲部と、該仮想円の周方向において互いに隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士を接続するように位置せしめられて、それら包囲部同士が該仮想円の周方向に相対変位せしめられた際に、該相対変位に対して反発するばね力を発揮するばね部とを含んで構成されていると共に、
    前記補強部材が、前記仮想円における径方向の外方に向かって凸となり、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも外側に位置せしめられた湾曲凸部と、該径方向の内方に向かって凹陥し、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも内側に位置せしめられた湾曲凹部とを有し、更に、それら湾曲凸部と湾曲凹部とが、該仮想円の周方向に交互に配設された屈曲形態を有して構成されて、前記包囲部が該湾曲凸部にて与えられている一方、前記ばね部が該湾曲凹部にて与えられており、
    また、前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つにおける前記湾曲凹部からなる前記ばね部の先端部分の曲率が、残りの屈曲体における該ばね部の先端部分の曲率よりも小さくされていることを特徴とする弾性継手。
  5. 前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つを与える前記ばね鋼の単線材の径が、残りの屈曲体を与える該ばね鋼の単線材の径よりも大きくされている請求項に記載の弾性継手。
  6. 第一の回転軸と第二の回転軸との間に、それらと一体回転可能に介装される本体ゴム弾性板に対して、第一の挿通孔と第二の挿通孔とが、該本体ゴム弾性板の回転中心軸周りの同一仮想円の円周上で、周方向に相互に所定距離を隔てて交互に位置するように、それぞれ複数設けられると共に、該本体ゴム弾性板の該回転中心軸回りの捩り剛性を補強するための補強部材が埋設されて構成され、該第一の回転軸と該第二の回転軸の対向する端部にそれぞれ固定される取付部材が、該複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれに挿通せしめられて、該本体ゴム弾性板に取り付けられることにより、該第一の回転軸と該第二の回転軸とを弾性的に連結せしめて、それら両回転軸間で、回転力を伝達するようにした弾性継手において、
    前記補強部材が、前記複数の第一の挿通孔と前記複数の第二の挿通孔とを外側から取り囲み得るように、ばね鋼の単線材を屈曲せしめてなる屈曲形態を有してなり、且つ該補強部材と前記本体ゴム弾性板における前記複数の第一及び第二の挿通孔のそれぞれの内周面との間に、所定厚さのゴム層がそれぞれ形成されるように、それら内周面との間に距離を隔てつつ、該第一及び第二の挿通孔における、少なくとも前記仮想円の径方向外方に位置する半周部分をそれぞれ包囲する包囲部と、該仮想円の周方向において互いに隣り合う第一の挿通孔と第二の挿通孔とをそれぞれ包囲する包囲部同士を接続するように位置せしめられて、それら包囲部同士が該仮想円の周方向に相対変位せしめられた際に、該相対変位に対して反発するばね力を発揮するばね部とを含んで構成されていると共に、
    前記補強部材が、前記屈曲形態を有する屈曲体の複数を組み合わせてなり、且つそれら複数の屈曲体のうちの少なくとも何れか一つを与える前記ばね鋼の単線材の径が、残りの屈曲体を与える該ばね鋼の単線材の径よりも大きくされていることを特徴とする弾性継手。
  7. 前記補強部材が、前記仮想円における径方向の外方に向かって凸となり、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも外側に位置せしめられた湾曲凸部と、該径方向の内方に向かって凹陥し、且つ先端部分が湾曲形態をもって該仮想円の円周よりも内側に位置せしめられた湾曲凹部とを有すると共に、それら湾曲凸部と湾曲凹部とが、該仮想円の周方向に交互に配設された屈曲形態を有して構成されて、前記包囲部が該湾曲凸部にて与えられている一方、前記ばね部が該湾曲凹部にて与えられている請求項に記載の弾性継手。
  8. 前記補強部材が、1本の前記ばね鋼の単線材を複数回巻回せしめてなる巻回体からなり、且つかかる巻回体の各一巻きにおいて、前記包囲部と前記ばね部とが形成されている請求項1乃至請求項の何れかに記載の弾性継手。
  9. 前記補強部材における前記包囲部と、前記本体ゴム弾性板における前記第一の挿通孔の内周面及び前記第二の挿通孔の内周面との間に形成される前記ゴム層に対して、肉欠部が、該本体ゴム弾性板における厚さ方向の一方の面から他方の面に向かって連続して延びるように形成されている請求項1乃至請求項の何れかに記載の弾性継手。
  10. 前記本体ゴム弾性板に対して前記補強部材が埋設される際に該補強部材を所定の位置に位置決めして支持するための支持部材の引抜跡からなる穴部が、該本体ゴム弾性板における該補強部材の前記複数の包囲部が埋設される部位にそれぞれ複数個ずつ設けられると共に、該複数の包囲部の埋設部位のうち、同一の埋設部位に設けられた穴部同士を取り囲むように、連続して延びる環状突条が、該本体ゴム弾性板に対して一体的に設けられている請求項1乃至請求項の何れかに記載の弾性継手。
  11. 前記本体ゴム弾性板に対して前記補強部材が埋設される際に該補強部材を所定の位置に位置決めして支持するための支持部材の引抜跡からなる穴部が、該本体ゴム弾性板における該補強部材の前記複数の包囲部が埋設される部位にそれぞれ設けられると共に、それら複数の穴部のそれぞれの周囲に、各穴部をそれぞれ別々に取り囲むように連続して延びる環状突条が、該本体ゴム弾性体に対して一体的に設けられている請求項1乃至請求項の何れかに記載の弾性継手。
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