JP3848361B2 - ハロゲン化炭化水素とクロロペンタフルオロエタンとを含む混合物からペンタフルオロエタンを分離する方法 - Google Patents
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Description
本出願は1994年2月7日受理で、Barry A. MablerおよびRalph N. Miller名義の「Process For Separating Pentafluoroethane From A Mixture Comprising Halogenated Hydrocarbons And Chloro-pentafluoroethane」と題する米国特許出願08/192,664の部分継続出願である。
発明の分野
本発明はペンタフルオロエタンと、クロロペンタフルオロエタンおよびトリフルオロエタンの少なくとも一つとを含む混合物からペンタフルオロエタンを分離する方法に関する。
発明の背景
完全にハロゲン化されたクロロフルオロカーボンが惹起するおそれのある損壊から成層圏オゾン層を保護するために新たな規則が構想されてきた。ペンタフルオロエタン(CHF2CF3またはHFC-125)は、他の用途もあるが特に冷媒、膨張剤、噴射剤、消火剤、殺菌薬担持ガス、として特に価値のある塩素非含有の貴重なフルオロカーボンである。
ペンタフルオロエタンはパークロロエチレン(パークレンまたはCCl2CCl2)をクロロフルオロ化してトリクロロトリフルオロエタン(CF2ClCFCl2またはCFC-113)、ジクロロテトラフルオロエタン(CF2ClCF2ClまたはCFC-114)およびジクロロトリフルオロエタン(CFCl2CHF2またはHCFC-123)からなる混合物を生成しトリクロロトリフルオロエタンを除去した後、残存する混合物をフルオロ化してペンタフルオロエタン(HFC-125)、クロロペンタフルオロエタン(CF3CF2ClまたはCFC-115)および少量の別なフルオロ化化合物例えば1,1,1−トリフルオロエタン(CF3CH3またはHFC-143a)からなる混合物を生成することによって製造できる。このようなクロロフルオロ化の方法は米国特許3,755,477中に記載されている。クロロペンタフルオロエタンとともにペンタフルオロエタンを製造するための他の様々な方法は既知であり、また例えば米国特許3,518,500、3,258,500、日本特許出願公開JP 03/099026、JP 04/029941、欧州特許出願公開0 506 525、および世界知的所有権機構公開WO 91/05752中に記載されている。上記に挙げた特許文書の開示は参照によって本明細書中に加入されている。
いくつかの化合物を抽出蒸留方法が用いられる場合は、所望の分離過程を十分に推進するのに有効である抽出剤を見出すことが常に必要である。
クロロペンタフルオロエタンからペンタフルオロエタンを分離することのできる抽出蒸留剤は、米国特許5,087,329中に開示されており、この特許においてはジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)のようなクロロフルオロカーボンが使用される。しかしながら、こういったCFC化合物は比較的高価であり、またオゾン層の保護に関する規制のためにCFC化合物は商業的製品としてはおそらく次第に廃止されていき、従ってCFCが入手できなくなりあるいは使用するのが非経済的になるであろう。米国特許5,087,329の開示は参照によって本明細書に加入されている。
発明の概要
ペンタフルオロエタンを製造するのに慣用的に用いられる方法ではペンタフルオロエタン(HFC-125)とクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)とを含む混合物が典型的に生成される。このような混合物は共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する可能性がある。ペンタフルオロエタンおよびクロロペンタフルオロエタンの沸点は比較的近接しており、つまりペンタフルオロエタンについては約−48.5℃でありそしてクロロペンタフルオロエタンについては約−38.7℃であり、またこれらの比揮発度は、ペンタフルオロエタンの濃度が約87.5モル%より大きいときは約1.1より低くそして濃度が約95モル%より大きいときは約1.01より低い。上記の沸点および比揮発度は、このような混合物から実質的に純粋なペンタフルオロエタンを慣用的な蒸留により回収することを不可能でないまでも極めて困難であることを示す。「慣用的蒸留」とは混合物中のいくつかの化合物を分離するために、分離されるべき混合物の成分の比揮発度はのみが用いられることを意味する。
混合物中の特定の成分を分離する別な方法は抽出蒸留による。混合物の成分の揮発度が異なるとき、抽出蒸留が用いられるが、このような差異は「慣用的蒸留」を用いて成分を有効に分離するのを可能にするには不十分である。慣用的な抽出蒸留においては、比揮発度が、出発の混合物中の成分の分離を可能とするのに十分となるように、この成分の揮発度の差を拡大させる抽出剤が添加される。「慣用的な抽出蒸留」とは、抽出剤が存在しない時により大きい揮発度を有する、およびより小さい揮発度を有する成分が、抽出剤が存在する時にそれぞれの比揮発度をそのままに保つが、これらの成分の間の揮発度の差異は増加していることを意味する。このような「慣用的な抽出蒸留」においては、抽出剤が存在しない時にCFC-115よりも高い揮発度を有するHFC-125は、CFC-115と抽出剤とが存在する時も依然としてより高い揮発度を有するであろう。このような「慣用的な抽出蒸留」においては、CFC-115は抽出剤とともに蒸留塔の底部から取り出され、またHFC-125は塔頂製品流となって回収されるであろう。
本発明において、クロロペンタフルオロエタンからペンタフルオロエタンを分離するための抽出剤としてメタノールおよびエタノールのような簡単なアルコールが好都合に使用できるということは驚くべきでありまた予想外であった。さらに、本発明の一つまたはそれより多くの抽出剤が存在しない時にCFC-115の揮発度に比べて一層大きい揮発度を有するHFC-125が、本発明の一つまたはそれより多くの抽出剤が存在する時にCFC-115より小さい揮発度を有するので、本発明の一つまたはそれより多くの抽出剤の働き方は一層驚くべきものである。特に、本発明の抽出剤はHFC-125およびCFC-115の予期されるないしは予測される比揮発度を驚くべきことに逆転させ、蒸留塔の底部からHFC-125が抽出剤とともに取り出され、またCFC-115が塔頂製品流となって回収されうる。
本発明はペンタフルオロエタンとクロロペンタフルオロエタンおよびHFC-143a、そして場合によっては1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)および特にクロロジフルオロメタン(HCFC-22)、HCFC-124、124aのようなハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含む第1の混合物からペンタフルオロエタンを分離する抽出蒸留工程を用いることにより慣用的な蒸留方法にまつわる問題を解決するが、この方法は、
(i)第2の混合物をつくるために、大気圧沸点が約64℃より高くそして約100℃より低いアルコールからなる抽出蒸留剤を第1の混合物に添加し、
(ii)抽出蒸留帯内で第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物のクロロペンタフルオロエタンおよびトリフルオロエタンから例えばペンタフルオロエタンを分離し、それによってペンタフルオロエタンを実質的に含まないクロロペンタフルオロエタンと1,1,1−トリフルオロエタンとを含有する流れを塔頂製品として回収し、また抽出剤と、クロロペンタフルオロエタンと1,1,1−トリフルオロエタンとを実質的に含まないペンタフルオロエタンとからなる第3の混合物を回収し、そして
(iii)この第3の混合物中の抽出剤からペンタフルオロエタンを分離してペンタフルオロエタン製品を得る
ことからなる。
「実質的に含まない」とは、HFC-125が1.0wt%より少ないCFC-115および(または)HFC-143aを含有し、普通は0.05wt%より少ないCFC-115および(または)HFC-143aを含有し、そしてある場合には約10重量ppmより少ないCFC-115および(または)HFC-143aを含有することを意味する。
第1の混合物は任意の適当な製造工程または供給源から得ることができる。例えば第1の混合物は、「Process For The Manufacture of Pentafluoro-ethane」と題する出願番号07/695,900(WIPO公開WO 92/19576に相当する)の一部継続出願である出願番号07/834,798の継続出願である米国特許出願番号07/989,481中に開示されている方法によって製品流として得られる。これの開示は参照によって本明細書中に加入されている。
本発明は抽出剤の存在で通常は沸点がより高いクロロペンタフルオロ−エタンのそしてある場合にはHFC-143aの揮発度が、通常は沸点がより低いペンタフルオロエタンに対して高くなるような方法で実施される。ペンタフルオロエタンと比較してクロロペンタフルオロ−エタンおよび(または)HFC-143aの揮発度を増大することにより、クロロペンタ−フルオロエタンおよび(または)HFC-143aは一層揮発性になり、それによってクロロペンタフルオロエタンおよび(または)HFC-143aを蒸留塔の塔頂から取り出すことが可能になる。換言すると本発明の一つまたはそれ以上の抽出剤は、抽出剤とHFC-125とが塔底から取り出されるように、CFC-115とHFC-125比揮発度のおよび(または)HFC-143とHFC-125との比揮発度の逆転をもたらす。ペンタフルオロエタンおよびクロロペンタフルオロエタンについて、そしてペンタフルオロエタンおよびHFC-143aについて予測される揮発度を逆転させるために抽出剤を使用することはこれまで不可能であったので、上記したような、比揮発度を転換ないしは逆転させる挙動は予期に反している。
本発明で使用する抽出剤は商業的に入手できる。所望ならば本発明のアルコール抽出剤は慣用的な蒸留方法を用いることによりHFC-125から取り出すことができる。例えばエタノールまたはメタノール抽出剤はHFC-125から取り出しそしてCFC-115から追加的な量のHFC-125を分離するために蒸留塔に循環することができる。さらにこれらのアルコールは水中に可溶であり、従って水で抽出または洗浄することにより痕跡量といえども抽出剤をHFC-125から容易に除去することができる。
抽出剤として使用するのに好適な代表的なアルコールは、1〜4個の炭素原子を含みそして約64〜約100℃の間の大気圧沸点を有するもの例えば脂肪族アルコールを含みあるいはそれから実質的になる。このようなアルコールの特定の例は、特にメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、第二−ブタノール、第三−ブタノールからなる群から選択される少なくとも一つを含みあるいはそれから実質的になる。
本発明者は、本発明の方法を用いることにより1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143)もまた、ペンタフルオロエタンからCFC-115と一緒にあるいは別個な操作で同様に除去されうることを見出している。本発明者はまた、特にHFC-143a、HFC-134a、HCFC-22の少なくとも一つを含むHFC-125含有混合物からCFC-115を選択的に除去できることも見出している。
本発明の別な一態様においてはペンタフルオロエタンとHFC-143aとを含む第一の混合物が、HFC-143aとHFC-125との間で共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成させる条件の下で操作される蒸留塔に導入される。このような組成物は蒸留塔から除去されるので、残留するHFC-125が精製される。HFC-143aの量によっては、本発明の抽出蒸留的方法に代えて、その前にそして(あるいは)その後に、共沸蒸留を実施することもまた可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の方法を実施するのに使用できる抽出蒸留系の概略図である。
図2はHFC-125とHFC-143aとから実質的になる共沸混合物および共沸混合物様組成物の温度約−16.9℃でのグラフ表示である。
詳細な説明
典型的に第1の混合物の主要な成分であるペンタフルオロエタンおよびクロロペンタフルオロエタンはこれらが分離されそして純粋な状態でそれぞれ−48.5℃および−38.7℃の沸点を有する。ペンタフルオロエタン/クロロペンタフルオロエタンの大気圧での比揮発度はペンタフルオロエタンの純度が100%に近づくにつれほとんど1.0であることが判った。これらのデータは、慣用的な蒸留手続を用いると第1の混合物からの実質的に純粋な化合物の分離が得られないことを示す。「実質的に純粋な」とは所与の化合物の純度が重量基準で少なくとも約99%であることをいう。
ペンタフルオロエタンとクロロペンタフルオロエタンとの比揮発度を測定するためにいわゆるPTx法を用いた。この手続においては、様々な既知の二元組成物について、容積が既知のセル内の全絶対圧が一定温度下で測定される。PTx法の使用は、Harold R. Nullによって著わされた、1970年、Wiley-Interscience Publisher刊の「Phase Equilibrium in Process Design」の124〜126ページ中に一層詳細に述べられている。これの開示は参照によって本明細書に加入されている。
この測定は液相の非理想性を表わすNon-Random、Two-Liquid(NRTL)式のような活量係数方程式モデルによりセル中で平衡する蒸気および液体の組成と相関することができる。NRTL式のような活量係数方程式をReid、PrausnitzおよびPolingによって著わされたMcGraw Hill刊行の「The Properties of Gases and Liquids」の第4版の241〜387ページ中にそしてStanley M. Walasにより著わされたButterworth Publishers 1985年刊の「Phase Equilibria in Chemical Engineering」中に一層詳細に述べられており、これらの文献のそれぞれの全体的な開示は参照によって本明細書中に加入されている。
PTx測定およびHFC-125とCFC-115とを含有する二元混合物に関する上記の一連の計算の結果を表1〜3に要約する。これらの表は−25℃、0℃および25℃の結果を示す。本発明に関する化合物の二元的な組み合わせについて同様な測定を行ないまた類似の計算を実施した。
何らかの理論または説明によって束縛されるのは好まないが、NRTL式はペンタフルオロエタンとクロロペンタフルオロエタンとの混合物および(または)以下の別な混合物が理想的な挙動をするかいなかを十分に予想することができ、またこのような混合物中の成分の比揮発度を十分に予測することができると考えられる。
「装入物」の欄はPTxセル中に導入されたHFC-125とCFC-115との混合物中にあるCFC-115の量を表わす。「比揮発度」ならびに蒸気中および液体中のCFC-115のモル%は、上記の表に示す温度で測定した圧力から計算したものである。
比較的低い濃度におけるHFC-125に対するCFC-115の比揮発度は慣用的な蒸留方法を用いることによりCFC-115の分離を可能とするのに十分であるが、比揮発度はHFC-125の純度が100%に近づくとほとんど1.0である。比揮発度が1.0に近づくと、慣用的な蒸留を用いることによりHFC-125から低濃度のCFC-115を除去するのが不可能でないまでも困難となるであろう。例えば慣用的蒸留は大型で高価な蒸留塔の使用を必要とするであろう。
約−25℃、0℃および約25℃にある上記の系について作成した式を用いそして約−50℃まで外挿するとき、CFC-115約10モル%およりHFC-125 90モル%の組成をもつ低沸点の共沸混合物または共沸混合物様混合物の存在が示される。このような混合物の存在は、ともにMahlerらの名義であって、「Process For Separating HCl and Halocarbons」と題する同時係属中で共通に依託された1993年4月30日受理の米国特許出願08/055,486および1994年3月9日受理の08/208,526(WIPO公開WO 94/25419)中に一層詳細に述べられている。これの開示は参照によって本明細書中に加入されている。最良の結果を得るために本発明の抽出蒸留方法では、HFC-125/CFC-115共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成を惹起する条件が通常回避される。
ペンタフルオロエタン(HFC-125)を含有する第1の混合物から比較的少量のトリフルオロエタン(HFC-143a)を分離する時には同様な困難が起きる。−16.9℃のHFC-143a/HFC-125系についてのPTx測定値および計算の結果は下記の表4中に一般的に要約し(そして後記に一層詳細に論じる図2にグラフ表示する)ことができる。
HFC-143aの濃度が比較的低い場合のHFC-143aと比較してHFC-125の比揮発度は慣用的な蒸留方法を用いることによりHFC-125からHFC-143aを分離するのに十分であり、例えばHFC-143aの濃度が低い場合のHFC-125とHFC-143aとの比揮発度は1.0より著しく大きい。しかしながら比揮発度は、HFC-125の濃度が約20モル%に近づくにつれて1.0まで低落するが、これは共沸混合物または共沸混合物様組成物が形成されることを示す。共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成は、所与の温度において純粋な成分あるいはこの所与の温度での別なHFC-125/HFC-143a混合物のいずれかより低い蒸気圧を有するHFC-143aとHFC-125との混合物によっても示される(例えば図2を参照)。このような共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成のため、約80モル%より多いHFC-143aを含有するHFC-125混合物から、HFC-143aを実質的に含まないHFC-125を慣用的な方法で生成するのは事実上困難になるであろう。本発明者は様々な温度および圧力においてHFC-125とHFC-143aとの間の共沸混合物は共沸混合物様組成物が形成されることを見出している。例えば、温度が約−50〜約10℃で蒸気圧が約12〜約122psiaである時に、約40〜約95モル%のHFC-125と約60〜約74モル%のHFC-143aとから実質的になる混合物において、共沸混合物または共沸混合物様組成物が形成されるであろう。
本明細書および添付の請求の範囲で用いる場合、下記の用語は以下のように定義することとする。
「共沸混合物」または「共沸混合物的」組成物とは、単一な物質として挙動する二つまたはそれ以上の物質の一定に沸騰する混合物を意味する。共沸混合物的組成物または混合物を特徴づける一つの方法は、液体の部分的な蒸発または蒸留によって生成される蒸気が、それが蒸発または蒸留される液体と同じ組成を有するということ、例えば混合物が組成的な変化なしに留出/還流するということである。一定に沸騰する組成物は、それが同一成分の非共沸的混合物の沸点と比較して最高または最低の沸点を示すので、共沸混合物的であるとして特徴づけられる。共沸混合物的組成物はまた、液体モル分率の関数としてプロットする時に、所与の温度におけるある混合物に関する最高または最低の蒸気圧として特徴づけることができる。
「共沸混合物様」組成物とは、単一な物質として挙動する二つまたはそれより多く物質の一定に沸騰するまたは実質的に一定に沸騰する液状混合物を意味する。共沸混合物様組成物を特徴づける一つの方法は、液体の部分的な蒸発または蒸留によって生成される蒸気が、それが蒸発または蒸留される液体と実質的に同じ組成を有するということ、例えば混合物が実質的な組成的変化なしに留出/還流するということである。共沸混合物様組成物は、液体モル分率の関数として所与の温度での蒸気圧をプロットすることによって示される、最高または最低蒸気圧に隣接する領域によって特徴づけられる。
典型的には、蒸発または留出除去によるなどして50wt%の組成物が取り出された後、もとの組成物と残留する組成物との差がもとの組成物に対して約6%より少なくそして普通は約3%より少ないならば、組成物は共沸混合物様である。
「有効な」量とは、一緒にすると共沸混合物または共沸混合物様組成物の形成に至る本発明の組成物の各成分の量についていうものとする。この定義には、共沸混合物的組成物または共沸混合物様組成物が異なる圧力で存在し続け、おそらくは沸点が異なる限り、組成物に加わる圧力に応じて変化することのある各々の成分の量が包含される。有効な量には、ここに述べるのとは異なる温度または圧力において共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成する本発明の組成物の各成分の、例えば重量百分率として表わされてよい量もまた含まれる。従って、もとの組成物の約50wt%が蒸発もしくは留出除去されて残留する組成物が得られた後、もとの組成物と残留する組成物との差異が典型的にはもとの組成物の約6%より少なくそして通常は約3%以下であるのに有効な量の、HFC-125およびHFC-143aの少なくとも一つから実質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物は本発明に包含される。
実際、選択する条件に関係しつつ多くの形をとって現われうる一定に沸騰する混合物はいくつかの基準によって特徴づけることができる。
*組成物が特にHFC-125(「A」)とHFC-143a(「B」)との共沸混合物として規定されうるのは、「共沸混合物」という用語は規定的であるのと同時に制限的であり、また定沸点組成物でありうる物質のこの独特な組成物について有効な量のA、Bを必要とするからである。
*所与の共沸混合物の組成は異なる圧力において少なくともある程度変化しまた圧力の変化も沸点を少なくともある程度変化させるであろう。従って特にHFC-125(「A」)とHFC-143a(「B」)との共沸混合物は温度および(または)圧力に伴って組成が変化する独特なタイプの関数を表わす。従って共沸混合物を規定するのに、一定した組成ではなく組成の範囲がしばしば用いられる。
*組成物は特にHFC-125(「A」)とHFC-143a(「B」)との特定の重量百分率の関数またはモル百分率の関係として規定されうるが、一方、このような特定の値はただ一つの特定な関係をさし示すにすぎず、実際には圧力および(または)温度によって変化する、A、Bによって表わされる一連のこのような関係が所与の共沸混合物について現実に存在することが認められる。
*特にHFC-125(「A」)とHFC-143a(「B」)との共沸混合物は所与の圧力での沸点によって特徴づけられる共沸混合物として組成物を規定することによって特徴づけられることができ、従って入手できる分析装置によって制約をうけまた分析装置なみの精度しかない特定的な数値的組成によって本発明の範囲を不当に制限することのない同定のための特性が与えられる。
本発明の共沸混合物または共沸混合物様組成物は、本発明の抽出蒸留法を実施する場合、特に混合、一緒にすることを含めて慣用的な任意の方法によって有効量の成分を一緒にして慣用的な蒸留装置を操作することによりつくることができる。例えば一つの方法は所望の成分を秤量し、その後これを適当な容器内で一緒にすることである。
慣用的な蒸留法では、これが特定的な温度および圧力において実施される場合、共沸混合物または共沸混合物様組成物の濃度より大きい濃度のHFC-125を含む、HFC-125とHFC-143aとを含有する混合物を分離することができる。例えば−16.9℃の温度で約20モル%より多いHFC-125を含む混合物を蒸留し、それによって塔底から抜き出される共沸混合物または共沸混合物様組成物をつくることにより、実質的に純粋なHFC-125をつくることができる。実質的に純粋なHFC-125は塔頂製品として蒸留塔から取り出される。換言すると、HFC-125/HFC-143aの共沸混合物または共沸混合物様組成物を形づくることにより、HFC-125とHFC-143aとを含む混合物を蒸留しそしてHFC-125/HFC-143a共沸混合物としてHFC-143aを除去することができよう。共沸混合物または共沸混合物様組成物の一成分としてHFC-143aを除去することにより、実質的に純粋なHFC-125例えば99.99wt%のHFC-125を得ることができる。
上記した共沸混合物または共沸混合物様組成物を慣用的な蒸留法に用いることからなる方法に、この共沸混合物または共沸混合物様組成物を用いることによりHFC-125およびHFC-143aをそれぞれ精製できる。例えば慣用的な蒸留塔はこういった共沸混合物の形成を惹き起こす温度および圧力で操作される。共沸混合物または共沸混合物様組成物は最高沸点を有し、そして組成物は塔底物となって収集されよう。例えばHFC-125がHFC-143aとともにその共沸混合物組成を越えて存在する場合、HFC-125とHFC-143aとから実質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物が塔底物となって収集され、それによって実質的に純粋なHFC-125が塔頂製品として塔頂から出る。逆に、HFC-143aがHFC-125とともにその共沸混合物組成を越えて存在する場合、HFC-125とHFC-143aとから実質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物が塔底物となって収集され、実質的に純粋なHFC-143aが塔頂製品として残る。
上記の共沸蒸留法を実施する時、共沸混合物または共沸混合物様組成物中にはかなりの量のHFC-125が残ることがあり得、このような量は出発混合物中のHFC-143aの量に依存する。共沸混合物または共沸混合物様組成物中に残存するHFC-125の量は、出発混合物つまり第1の混合物中のHFC-143aに対するHFC-125の量の関数であり、例えば共沸混合物中に存在するHFC-125の量は出発混合物中のHFC-143aの量の増加とともに増加する。所望ならば共沸混合物または共沸混合物様組成物は例えば冷媒、膨張剤としておよび他の用途に使用するのに有用な製品として回収することができる。実質的に純粋なHFC-143aまたはHFC-125のいずれかを得るのがもしも好ましい場合は、本発明の抽出蒸留法を実施すべきである。つまり、このような組成物の比揮発度は1.0に十分に近いので、慣用的な蒸留を用いて分離するために非実用的なまでに大型の蒸留塔が必要となるであろう。
上記した共沸蒸留法は有用であるが、このような慣用的な蒸留法は実質的に純粋なHFC-125および(または)HFC-143aを高収率でそして費用効果のある仕方で回収するには通常不十分である。
慣用的な蒸留方法にまつわる問題は、本発明の抽出蒸留法を用いることにより克服できる。抽出蒸留では分離すべき一つまたはそれより多くの化合物の比揮発度を増大するためにある種の抽出剤が典型的に使用されるが、本発明ではこのような化合物の比揮発度は正常な比揮発度の逆転をもたらすような仕方で変更される。換言すると本発明の一つまたはそれより多くの抽出剤を添加するとにより、CFC-115および(または)HFC-143aの揮発度がHFC-125の揮発度より一層顕著に増大される。ペンタフルオロ−エタンとクロロペンタフルオロエタンとの、およびペンタフルオロエタンとHFC-143aとの正常な揮発度が与えられると、容易に入手できそして低価格のアルコールを用いる抽出蒸留法によってペンタフルオロエタンとHFC-143aとからなる混合物が分離されうることはやはり驚くべきそして予想外の結果であった。本発明の方法によって正常にはより高い沸点をもつクロロペンタフルオロエタンが蒸留塔内で塔頂製品を形づくる一方、ペンタフルオロエタンとアルコール抽出剤が塔底から取り出されうることは特に予想外であった。ペンタフルオロエタンHFC-143aとの正常な揮発度が与えられると、容易に入手できそして低価格のアルコールを用いる抽出蒸留法によってペンタフルオロエタンとトリフルオロエタンとからなる混合物が分離されうることはやはり驚くべきそして予想外の結果であった。本発明の方法によって正常にはより高い沸点をもつHFC-143aが蒸留塔内で塔頂製品を形づくる一方、ペンタフルオロエタンとアルコール抽出剤が塔底から取り出されうることは特に予想外であった。その上、本発明の一つの態様においては、ペンタフルオロエタン、HFC-143aおよびクロロペンタフルオロエタンを含む混合物からクロロペンタフルオロエタンを選択的に除去されることができ、例えばHFC-125とHFC-143aとから実質的になるほとんど純粋な混合物をつくることができる。
本発明の抽出蒸留は、他の装置的構成要素もあるが特に最低二つの供給点、再沸器、還流を塔に返戻するための塔頂凝縮器を有する多段蒸留塔を包含する連続蒸留装置を操作することによって実施できる例えば一つまたはそれより多くの抽出剤は分離すべき混合物を導入するのに用いる第2の供給点の上方にある第1の供給点に導入できる。蒸留塔の塔頂製品流は第1または第2の供給点の上方にある点から抜出され、また抽出剤は第1または第2の供給点の下方にある位置から抜き出される。
本発明の一態様において、抽出剤例えばメタノールが蒸留塔の上方のつまり第1の供給点に導入されるが、分離を必要とする混合物例えばペンタフルオロエタンと、クロロ−ペンタフルオロエタンおよび1,1,1−トリフルオロエタンの少なくとも一つは塔の比較的低い点つまり第2の供給点に導入される。液状の抽出剤は塔の中央部にある複数の段を通過して下方に流れる。抽出剤が存在している間は、クロロペンタフルオロエタンはペンタフルオロエタンと比較し揮発度がより大きくなり、そのためにペンタフルオロエタンを実質的に含まないクロロペンタフルオロエタンが塔頂を流出することが可能となる。慣用的な還流凝縮器を使用することによってクロロペンタフルオロエタン凝縮できる。この凝縮したクロロペンタフルオロエタンを含む流れの少なくとも一部は還流として塔頂に返戻することができ、そして残りが、実質的に純粋なCFC-115、例えば98wt%純粋なCFC-115として回収される。塔に返戻される凝縮した物質の製品として取り出される物質に対する比率は普通「還流比」と称される。還流比は蒸留塔の物理的特性を規定するであろう。一般に還流比の増大は、他方で、塔頂から流出するCFC-115中の抽出剤濃度を最小化するであろう。還流比を増大するとより大型でより高価な蒸留塔が一般に必要となる。
CFC-115は蒸留塔の塔頂で回収されるが、ペンタフルオロエタンと抽出剤とは塔底から流出する。ペンタフルオロエタンと抽出剤とは、慣用的な蒸留または他の既知の方法を用いるストリッパーまたは蒸留塔に次いで通過することにより分離することができる。ある場合には、分離された抽出剤の少なくとも一部は蒸留塔に循環することができる。ペンタフルオロエタンは次いで実質的に純粋な製品として容易に単離できる。別法として、抽出剤は水で抽出または洗浄することによりHFC-125から除去できる。
本発明を実施するのに使用できる特定の条件は相関しておりまた特に塔の直径、選定した供給点、塔内の分離段の数、還流比のような多くの設計変数に関係する。蒸留系の操作圧力は約15〜350psia、通常は約50〜約300psiaの範囲内であろう。一般に、分離すべき混合物に対して抽出剤の供給量を増加すると回収されるHFC-125の純度は増大するであろう。塔頂凝縮器の温度および伝熱面積は通常、CFC-115を実質的に完全に凝縮するのに十分であるか、あるいは必要なら部分凝縮により所望の還流比を達成するのに十分である。
本発明の方法の所与の工程で用いられる温度は、圧力の、そして蒸留塔の設計上の特徴例えば還流比の関数である。約200psiaの操作圧力を基準とするとこの温度は典型的に約−25〜200℃の範囲にあろう。
第1の混合物つまりHFC-125を含有する分離すべき混合物中のCFC-115の量は、慣用的な蒸留を用いることにより減少できる。慣用的な蒸留法ではCFC-115を実質的に含まないHFC-125を製造するのは通常不可能であるが、第1の混合物中のCFC-115の最初の量を減少するために慣用的な蒸留を用いることはできる。例えば比較的多量のあるいは大部分の量のCFC-115を第1の混合物から除去するために慣用的な蒸留が使用でき、次いでこの第1の混合物はCFC-115を実質的に含まないHFC-125を得るために本発明に従って処理される。第1の混合物中のHFC-125の量によっては、比較的多量のCFC-115を含有する混合物からHFC-125を除去することができ、これによってHFC-125を実質的に含まないCFC-115が得られる。
同様に、第1の混合物つまりHFC-125を含有する分離すべき混合物中のHFC-143aの量は、慣用的な蒸留を用いることにより減少できる。慣用的な蒸留法ではHFC-143aを実質的に含まないHFC-125を製造するのは不可能であるが、HFC-125が共沸混合物または共沸混合物様の組成を越えて存在する場合には、第1の混合物中のHFC-143aの最初の量を減少するために慣用的な蒸留を用いることはできる。例えば比較的多量のあるいは大部分の量のCFC-143aを第1の混合物から除去するために慣用的な蒸留が使用でき、次いでこの第1の混合物はHFC-143aを実質的に含まないHFC-125を得るために本発明に従って処理される。第1の混合物中のHFC-125の量によっては、比較的多量のHFC-143aを含有する混合物からHFC-125を除去することができ、これによってHFC-125を実質的に含まないHFC-143aが得られる。
一つまたはそれより多くの抽出剤の有効量は大巾に変化しうる。しかしながら一般に、より多くの抽出剤を使用すると回収されるCFC-115および(または)HFC-143aの純度が増加し(例えばHFC-125の除去割合が増大し)そして回収されるHFC-125の純度が増加するであろう(例えばCFC-115および(または)HFC-143aの除去割合が増加する)。HFC-125に対する抽出剤の比率は典型的に、重量基準で約2:1〜約10:1の範囲にあり、一層困難な分離に対してはより高い比率が必要であろう。
以下、図面を参照するとし、図1は本発明の抽出蒸留工程を操作するために使用できる系を略解的に例示する。HFC-125と、特にCFC-115、HFC-143a、HFC-134a、HCFC-22、HCFC-124の少なくとも一つとを含む第1の混合物は、導管1を経て抽出塔2に供給される。少なくとも一つの液状抽出剤が導管3を経て抽出塔2に供給されそして混合物1の上方の位置において塔2内に導入される。抽出剤、第1の混合物からのHFC-125および痕跡量のHCFC-124のような不純物からなる第2の混合物が塔2から抜き出されそして水蒸気によって加熱される再沸器4に移される。ある場合には再沸器4は抽出塔2に取付けられている。第2の混合物は導管5を経て供給物タンク6に供給される。補助的な液状抽出剤もまた導管7を経て供給物タンク6に供給され、これによって第3の混合物ないしは抽出剤循環物が形づくにれる。ポンプ8は第3の混合物をストリッピング塔9に移送する。ストリッピング塔9は抽出剤をそうでないものから分離する。抽出剤は塔9から抜き出されそして水蒸気によって加熱される第2の再沸器10に供給される。ある場合には再沸器10は塔9に取り付けられている。ポンプ11は抽出剤を再沸器10から冷水冷却器12を経、次いで冷却器13へと移送する。必要ならば、抽出剤が冷却器12に達する以前に、その過剰な量をパージすることができる。典型的に冷却器13は約−25℃の温度で操作される。冷却器13を出た後、抽出剤は導入管3を経て抽出塔2に供給される。
抽出剤ではない流れつまりHFC-125を含む流れはストリッピング塔9の頂部から排ガスとして流出し、そして一般に約−25℃の温度で操作される凝縮器14内に導入される。還流条件下にある時、ホンプ15はHFC-125の一部をストリッピング塔9に返戻する。HFC-125の残りの部分は高純度の製品、例えば実質的に純粋なHFC-125として導管16を経て系から流出する。
抽出塔2からも排ガスが抜き出されるが、ただし塔2からの排ガスは第1の混合物のHFC-125を実質的に含まないCFC-115および(または)HFC-143aの製品を含有する。CFC-115および(または)HFC-143a製品は導管17を経て凝縮器18に移送される。凝縮器18は典型的に約−25℃の温度で操作される。還流条件下にある時、ポンプ19はCFC-115および(または)HFC-143a製品の一部を抽出塔2に返戻する。HFC-125を実質的に含まないCFC-115および(または)HFC-143a製品は導管20を経て系から流出する。
所望ならば第1の混合物は、塔2に導入する前に第3の蒸留塔(図示はしないが構造的には塔2と同等なもの)に導入されてよい。第3の蒸留塔はCFC-115および(または)HFC-143aの大部分を除去するのに使用できる。いくつかの場合、こういった除去は、HFC-143aとHFC-125との間で共沸混合物または共沸混合物様組成物が形成される条件下で第3の蒸留塔を操作することによって達成できる。
以下の実施例は本発明のいくつかの態様を例示するために示されるが、添付の請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することはない。特記ない限り100万部あたりの部(ppm)の濃度は重量基準である。以下の実施例では上記したNRTL相互干渉パラメータが用いられる。すべての実施例は約1000ポンド/時のペンタフルオロエタン供給流量をベースとし、クロロペンタフルオロエタン不純物またはトリフルオロエタン不純物の含有率は約5ポンド/時(4975ppm)または50ポンド/時(4.8%)のいずれかの水準にある。ぞれぞれの蒸留法の性能を助長するために、抽出蒸留が用いられる実施例に対しては、慣用的な蒸留が用いられる比較例とは異なった塔の設計および操作条件が用いられる。
慣用的な蒸留が関与する以下の比較例においては蒸留塔内の段数は101または121段であり、また精製すべきペンタフルオロエタン流は塔の第50段に供給され、塔の凝縮器は第1段に相当する、所望の製品の純度に依存しつつ操作条件が選定されまたこのような製品の収率を最大とするように様々な還流比が試験される。
比較例 1
本比較例においては、1000ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)と5ポンド/時のクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)(濃度としては4975ppmである)のみを含有する供給物流を精製するために、121の理論段を有する蒸留塔内で慣用的な蒸留を用いた。供給物を温度−25℃で導入した。塔の凝縮器の圧力は194.7psiaでありそして塔底圧力はそれより3psi高かった。留出物温度は23.8℃でありまた塔底温度は24.4℃であった。これらの操作条件の下では、製品HFC-125は塔頂物(留出物)流となって塔から流出した。残りのHFC-125はCFC-115とともに塔底物流となり廃棄物として流出した。約50%の供給物が塔頂に行きそして50%が塔底に行くように条件を設定した。
還流比が600/1と比較的高くまた分離段が多数である場合でさえ回収したHFC-125の純度は比較的低かった。
比較例 2
本比較例においては、比較例1と同じ組成をもつ供給物流を精製するための理論段101段を有する塔で慣用的な蒸留を用いた。非常に低い温度で存在することが本発明者によってすでに判っているCFC-115/HFC-125共沸混合物を利用するため、供給物中の少量のCFC-115を除去するための手段として共沸混合物を塔頂物として取得するように蒸留塔の操作条件を変更した。供給物は温度−25℃で導入し、塔頂凝縮器の圧力は19.7psiaに設定した。塔底圧力はそれより3psi高かった。これらの条件の下で留出物の温度は−42℃でありまた塔底温度は−38.8℃であった。これらの操作条件の下で、HFC-125は塔底流となって塔から流出した。CFC-115不純物の水準は500ppmに選んだ。残りのHFC-125は共沸混合物となったCFC-115とともに廃棄物として塔頂から取り出した。
1852/1の還流比において、そしてCFC-115の不純物水準が500ppmである場合、HFC-125製品の収率は約95.5%より低かった。
比較例 3
本比較例においては、製品の純度要求を増加した、つまりCFC-115不純物の水準を500ppmから50ppmに低下したことを除くと条件は同じであった。
1083/1の還流比において、HFC-125の約15%が留出物とともに失われた。
上記の諸比較例は、高純度のHFC-125が所望であるとき、慣用的な蒸留はHFC-125からCFC-115を分離するための経済的な方法ではないことを示すが、これはこのような蒸留では比較的高い還流比、この高い還流比に見合って必要な塔の大きな直径、塔内を通過するこの大流量の物質を加熱および冷却する高い用役費およびCFC-115を含有する多量の廃棄物質を処分する必要性が求められるからである。このような廃棄物質もまた比較的多量のHFC-125を含有するであろう。
抽出蒸留の関与する以下の諸実施例において、蒸留塔は57段または42段を有した。この場合も塔の凝縮器を第1段とかぞえた。57段の塔の場合、精製すべきペンタフルオロエタンを塔の第40段に導入しそして抽出剤を塔の第15段に供給し、また42段の塔の場合、それぞれ35段および5段に供給した。各例において塔の留出物/供給物の比率(ペンタフルオロ−エタンを基準とする)は、還流比を固定しつつ所望の製品純度と回収率(収率)を得るように変えられた。各実施例で塔の圧力は84.7psiaであった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低いように設定する必要があった。これらの実施例は各々、様々な水準の抽出剤流量での性能測定を含む。
実施例 1
本例においては諸比較例におけるように1000ポンド/時のペンタフルオロ−エタン(HFC-125)と5ポンド/時のつまり4975ppmのクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)とを含有する供給物流を精製するために、57の理論段しかもたない塔内で抽出蒸留を用いた。供給物流とメタノール抽出剤とを10の温度で導入し、塔の凝縮器圧力は84.7psiaに設定した。塔底圧力はそれより3psi高かった。還流物の流量を2,000ポンド/時に保ちつつ、表に示すような様々な流量でメタノールを供給した。留出物の温度は8.0℃でありまた塔底温度は約43.5℃から85.9℃まで変化した。メタノールとHFC-125とは塔底を通って流出し、またCFC-115は塔頂から流出した。
本実施例および後続の各実施例において、慣用的な蒸留法例えばストリッピング塔を使用することにより、あるいは水により洗浄しそして分子篩乾燥器のような慣用的な方法で乾燥することによりHFC-125からメタノールを除去することができた。
下記の表8に示す組成はメタノールを含まない基準による。
実施例1は抽出剤としてメタノールを使用することにより、比較的小さい蒸留塔と少ない抽出剤流量とを用いながらも高純度のHFC-125を高収率で回収できることを示す。
実施例 2
実施例1と実質的に同じ方法で実施例2を実施したが、供給物流は1000ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)と50ポンド/時つまり4.8%のクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)を含有した。留出物の温度は8.4℃でありまた塔底温度は約43.5〜86.0℃で変化した。
実施例2はメタノールを抽出蒸留剤として使用することにより、比較例におけるより約10倍高い不純物(CFC-115)濃度を有する混合物から高純度のHFC-125を高収率で得ることができたことを例示する。
実施例 3
実施例1と実質的に同じ方法で実施例3を実施したが、蒸留塔の長さを57段から42段に減少した。留出物の温度は8.0℃であり、また塔底温度は抽出剤の流量に従って43.5〜85.9℃の範囲にあった。
本実施例はメタノール抽出剤を使用することにより、高純度のHFC-125を得るために比較的短い塔が使用できたことを例証する。
実施例 4
実施例1と実質的に同じ方法で実施例4を実施したが、抽出剤としてエタノールを使用した。留出物温度は2.9℃であり、塔底温度は抽出剤の流量に従って70.6〜94.5℃の範囲にあった。
本実施例は、エタノールがCFC-115とHFC-125とを分離するための有効な抽出剤であったことを例証する。
実施例 5
実施例1と実質的に同じ方法で実施例5を実施したが、使用した抽出剤はn−プロパノールであった。留出物温度は2.7〜2.9℃であり、また塔底温度は抽出剤の流量に従って54.6〜85.2℃であった。
本実施例はプロパノールが、CFC-115とHFC-125とを分離するための有効な抽出剤であることを例証する。
比較例 4
本実施例の目標はHFC-143aが100ppmまたはそれ以下であるHFC-125製品を得ることである。1000pphのペンタフルオロエタン(HFC-125)と5pphのトリフルオロエタン(HFC-143a)とを含有する、HFC-143aの濃度が5000ppmである供給物流を精製するために、62段を有する塔内で慣用的蒸留を用いた。やはり塔の凝縮器を第1段と数えた。供給物を−5℃の温度で第30段に導入し、塔の凝縮器圧力は49.7psiaでありまた塔底の圧力はこれより3psi高かった。留出物温度は−19.6℃であり、そして塔底温度は約−16〜−18℃であった。これらの条件下で、製品HFC-125は塔から塔頂物(留出物)流となって流出した。残りのHFC-125はHFC-143aとともに塔底物流となり廃棄物として流出した。本実施例の結果を表13に示す。
HFC-143aの濃度をHFC-143a 100ppmまで減少するという目標は達成されたが、還流の流量が比較的大きくてもHFC-125の回収率は比較的低いままであった。HFC-125とHFC-143aとの間で共沸混合物または共沸混合物様組成物が形成されるので回収効率は限定されていた。しかしながら本実施例は、例えば、HFC-125を含む混合物からHFC-143aを除去し、それによって第1の混合物中のHFC-143aの濃度を減少することにより実質的に純粋なHFC-125を製造するためにこういった共沸混合物組成物がいかに使用できるかを例示する。
比較例 5
本実施例は比較例4と同様であるが、塔への供給流は100pphのHFC-125と52.63pphのHFC-143aとからなり、HFC-143aは名目上50,000ppmであった。結果を表14に示す。
本比較例は還流の流量が極めて大きくてさえ、製品HFC-125の回収効率を低下することなしには、製品HFC-125中のHFC-143aの所望の低濃度を得ることができなかったことを示す。HFC-125とHFC-143aとの間に共沸混合物または共沸混合物様組成物が形成されるので、回収効率は限定されていた。しかしながら本実施例は、例えば、HFC-125を含む混合物からHFC-143aを除去し、それによって第1の混合物中のHFC-143aの濃度を減少することにより実質的に純粋なHFC-125を製造するためにこういった共沸混合物組成物がいかに使用できるかを示す。
上記の諸実施例は、実質的に純粋なHFC-125が所望であるとき、慣用的な蒸留はHFC-125からCFC-143aを分離するための経済的な方法ではないことを示すが、これはこのような蒸留では比較的高い還流比、この高い還流比に見合って必要な塔の大きな直径、塔内を通過するこの大流量の物質を加熱および冷却する高い用役費およびHFC-143aを含有する多量の副生物質を処分する必要性が求められるからである。このように副生する物質は比較的多量のHFC-125も含有するであろう。
実施例 6
本実施例においては、1000ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)と5ポンド/時のあるいは4975ppmのHFC-143aとを含有する比較例4におけるような供給物流を精製するために、67段を有する蒸留塔内で抽出蒸留を用いた。精製すべきペンタフルオロエタン流を第50段に導入しそしてメタノールを塔の第15段に供給した。供給物流を25℃の温度で導入しそしてメタノールを25℃の温度で導入し、塔の凝縮器の圧力を19.7psiaに設定した。塔底の圧力はそれより3psi高かった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低くなることだけを狙って設定される必要がある。還流の流量を5,000ポンド/時に保ちつつ、メタノールは表15に示す様々な流量で供給した。留出物の温度は−41℃であり、また塔底温度は約38.0〜69.1℃と変化した。メタノールとHFC-125とは塔底を通って流出しまたはHFC-143aは塔頂から流出した。
本実施例および後続の各実施例においては、慣用的な蒸留法例えばストリッピング塔を使用することにより、あるいは水で洗浄しそして分子篩乾燥器のような慣用的な方法で乾燥することによりメタノールがHFC-125から除去されてよい。
表15に示す組成はメタノールを含まない基準による。
実施例6は抽出剤としてメタノールを使用することにより、比較的小さい蒸留塔と少ない抽出剤流量とを用いながらも実質的に純粋なHFC-125を高収率で回収できることを示す。
実施例 7
本実施例は実施例6と同様であるが、供給物流は比較例5におけるように1000pphのHFC-125と52.63pphのHFC-143aとからなった。留出物の温度はやはり−41℃であり、また塔底温度は68〜70℃と変化した。本実施例の結果を表16に記す抽出剤の二つの流量について示す。
表16は慣用的な蒸留と比較すると、抽出蒸留により回収割合が増加しまた実質的に純粋なHFC-125が得られることを例示する。本実施例は、実質的に純粋なHFC-143aが塔頂製品として回収されることができ、また実質的に純粋なHFC-125が塔底から同時に取り出されうることも例示する。
実施例 8
本実施例においては、990ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)、5ポンド/時の1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)および5ポンド/時のクロロペンタフルオロ−エタン(CFC-115)を含有する供給物流を精製するために、57段を有する塔において抽出蒸留を用いた。精製すべき、ペンタフルオロエタンを含む流れを第40段に導入しそして抽出剤を塔の第15段に供給した。ペンタフルオロエタン供給物流を−20℃の温度で導入しそしてメタノールを−20℃の温度で導入した。塔の凝縮器の圧力を34.7psiaに設定した。塔底の圧力はそれより3psi高かった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低くなることだけを狙って設定される必要がある。還流の流量を5,000ポンド/時に保ちつつ、メタノールは表17に示す様々な流量で供給した。留出物の温度は−28.8℃であり、また塔底温度は約67.9〜76.7℃と変化した。本実施例では、メタノールとHFC-125とは塔底を通って流出しまたCFC-115とHFC-143aとは塔頂から流出した。
表17に示す塔底物中のCFC-115およびHFC-143aの濃度はメタノールを含まない基準による。
本実施例においては、供給混合物中で供給されるHFC-125の実質的100%が、塔底物流となり、メタノール抽出剤と一緒に流出し、またCFC-115とHFC-143aとが塔の留出物となって除去された。
実施例 9
本実施例においては、990ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)、5ポンド/時の1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)および5ポンド/時のクロロペンタフルオロ−エタン(CFC-115)を含有する供給物流を精製するために、57段を有する塔において抽出蒸留を用いた。精製すべき、ペンタフルオロエタンを含む流れを第40段に導入しそして抽出剤を塔の第15段に供給した。ペンタフルオロエタン供給物流を−20℃の温度で導入しそしてメタノールを−20℃の温度で導入した。塔の凝縮器の圧力を34.7psiaに設定した。塔底の圧力はそれより3psi高かった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低くなることだけを狙って選定される必要がある。還流の流量を5,000ポンド/時に保ちつつ、メタノールは表18に示す様々な流量で供給した。留出物の温度は−18.1℃であり、また塔底温度は約67.7〜76.6℃と変化した。本実施例では、メタノール、HFC-125およびHFC-143aは塔底を通って流出しまたCFC-115とは塔頂から流出した。
表18に示す塔底物中のCFC-115の濃度はメタノールを含まない基準による。
本実施例においては、供給物流中にあるHFC-125およびHFC-143aが100%、塔底物流となりメタノール抽出剤とともに塔から流出した。本実施例は、メタノール抽出剤が存在するとCFC-115とHFC-143aとの比揮発度が、その結果、塔から留出物を取り出す流量を調節することにより例えば留出物流量を実施例8に述べたものより減らすことにより、HFC-143a、HFC-125およびメタノールを塔底から取り出しつつ、CFC-115を選択的に塔頂から除去することが可能とするものであることを示す。従って留出物の除去割合を調節することにより、HFC-143aをCFC-115とともに塔の留出物から(実施例8におけるように)あるいはHFC-125とメタノールとともに塔底物から(実施例9におけるように)選択的に取り出すことができる。
実施例 10
本実施例においては、440ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)、520ポンド/時の1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)、40ポンド/時の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F、つまりHFC-134a)および5.025ポンド/時の、すなわち5000ppmのクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)を含有する供給物流を精製するために、57段を有する塔で抽出蒸留を用いた。精製すべき、ペンタフルオロエタンを含む流れを第40段に導入しそして抽出剤を塔の第20段に供給した。ペンタフルオロエタン供給物流を−20℃の温度で導入しそしてメタノールを−20℃の温度で導入した。塔の凝縮器の圧力を34.7psiaに設定した。塔底の圧力はそれより3psi高かった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低くなることだけを狙って設定される必要がある。還流の流量を5,000ポンド/時に保ちつつ、メタノールは表19に示す様々な流量で供給した。留出物の温度は−18.1℃であり、また塔底温度は約57.0〜69.8℃と変化した。メタノール、HFC-143a、HFC-134aおよびHFC-125は塔底を通って流出しまたCFC-115は塔頂から流出した。
表19に示す塔底物中のCFC-115の濃度はメタノールを含まない基準による。
本実施例はHFC-125を含む混合物からCFC-115を選択的に除去するために抽出蒸留が使用されることを示す。本実施例はまた、HFC-143a、HFC-134aおよびHFC-125を含有する混合物がCFC-115を実質的に含まないように、この混合物をつくることが可能なことも示す。
実施例 11
本実施例においては、465ポンド/時のペンタフルオロエタン(HFC-125)、465ポンド/時の1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)、70ポンド/時のクロロジフルオロメタン(CHClF2またはHCFC-22)および5.025ポンド/時の、すなわち5000ppmのクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)を含有する供給物流を精製するために、57段を有する塔で抽出蒸留を用いた。精製すべき、ペンタフルオロエタンを含む流れを第40段に導入しそして抽出剤を塔の第20段に供給した。ペンタフルオロエタン供給物流を−20℃の温度で導入しそしてメタノールを−20℃の温度で導入した。塔の凝縮器の圧力を34.7psiaに設定した。塔底の圧力はそれより3psi高かった。一般に塔の圧力は、塔底物の温度が個々の成分の臨界温度より低くなることだけを狙って選定される必要がある。還流の流量を5,000ポンド/時に保ちつつ、メタノールは表20に示す様々な流量で供給した。留出物の温度は−18.1℃であり、また塔底温度は約58.8〜70.8℃と変化した。メタノール、HFC-143a、HCFC-22およびHFC-125は塔底を通って流出しまたCFC-115は塔頂から流出した。
表20に示す塔底物中のCFC-115の濃度はメタノールを含まない基準による。
本実施例はHFC-125を含む混合物からCFC-115を選択的に除去するために抽出蒸留が使用されることを示す。本実施例はまた、HFC-143a、HCFC-22およびHFC-125を含有する混合物がCFC-115を実質的に含まないように、この混合物をつくることが可能なことも示す。
実施例 12
本実施例はHFC-125とHFC-143aとから実質的になる二元混合物の間に共沸混合物および共沸混合物組成物が存在することを例証する。
二元的な組の各々の比揮発度を測定するためにいわゆるPTx法を用いた。この手順においては二元的な組の各々について既知の容積のPTxセル内の全絶対圧を既知の様々な二元組成に関して一定温度で測定した。次に、これらの測定値をNRTL式を用いてセル中の平衡気液組成に変換した。
HFC-125/HFC-143a系について、PTxセル内の組成に対して測定した蒸気圧を図2に示す。実験的なデータポイントを図中の黒点として示しまたコンピュータモデリングにより曲線を描いた。
ここで図2を参照すると、この図は−16.9℃で組成の範囲にわたって最低の圧力を有する約27.2モル%のHFC-125と72.8モル%のHFC-143aとの混合物によって示されるように、HFC-125とHFC-143aとから実質的になる共沸混合物および共沸混合物様組成物が−16.9℃で形成されることをグラフによって例示する。この知見に基づいて、約41.1モル%のHFC-125と58.9モル%のHFC-143aとの共沸混合物または共沸混合物様組成物が−50℃および12.5psiaにおいて形成され、また約5.2モル%のHFC-125と94.8モル%のHFC-143aとの共沸混合物または共沸混合物様組成物が10℃および122.1psiaで形成されることが計算される。従って本発明により、約5〜約41モル%のHFC-125と約95〜約59モル%のHFC-143aとから実質的になる共沸混合物または共沸混合物様組成物が提供され、この組成物は12psiaでの約−50℃から122psiaでの約10℃までの沸点を有する。
ある種の抽出剤を使用することを特に強調してきたが、本発明の方法では混合抽出剤を有効に使用できる。例えば、抽出剤の混合物を使用することにより、抽出剤の費用を最小にしつつ所望の純度を有するHFC-125を得るように本発明の方法を最大化することができる。あるいはまた、本発明の方法の有効性を最大化するために、一つまたはそれより多くの化学的に類似のあるいは異なる一連の抽出剤を使用できる。さらに前記に例示した共沸蒸留方法は単独であるいは本発明の抽出蒸留方法と組み合わせて用いることができる。
本発明のいくつかの局面について特に詳細に述べてきたが、当技術に関係する者なら、他の態様および変改が添付の請求の範囲によって包含されることを理解するであろう。
Claims (15)
- クロロペンタフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタンおよびペンタフルオロエタンからなる第1の混合物に、64℃より高くそして100℃より低い大気圧沸点を有する脂肪族アルコールまたはその混合物からなる抽出剤の少なくとも一つを添加して第2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内でこの第2の混合物を抽出蒸留することにより第2の混合物からクロロペンタフルオロエタンおよび1,1,1−トリフルオロエタンを分離し、それによってクロロペンタフルオロエタンおよび1,1,1−トリフルオロエタンを回収しそして抽出剤とペンタフルオロエタンを含む第3の混合物をつくり、そして
この第3の混合物から抽出剤を分離してペンタフルオロエタンを得る
工程を包含する上記の第1の混合物からクロロペンタフルオロエタンおよび1,1,1−トリフルオロエタンを分離する方法。 - 1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとからなる第1の混合物に、64℃より高い大気圧沸点を有し、弗素を実質的に含まない少なくとも一つのアルコール含有抽出剤を添加して第2の混合物をつくり、
抽出蒸留帯内でこの第2の混合物を抽出蒸留することにより1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとを分離し、それによって1,1,1−トリフルオロエタンを回収しそして抽出剤とペンタフルオロエタンとを含む第3の混合物をつくり、そして
この第3の混合物から抽出剤を分離してペンタフルオロエタンを得る
工程を包含する上記の第1の混合物から1,1,1−トリフルオロエタンを分離する方法。 - 脂肪族アルコールが1〜4個の炭素原子を有する請求項1記載の方法。
- 抽出剤がメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、第2−ブタノールおよび第3−ブタノールからなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1または2記載の方法。
- 第3の混合物中のペンタフルオロエタンを蒸留して実質的に純粋なペンタフルオロエタンを得る請求項1または2記載の方法。
- 第3の混合物中のペンタフルオロエタンを洗浄して回収し実質的に純粋なペンタフルオロエタンを得る請求項1または2記載の方法。
- 第3の混合物中のペンタフルオロエタンを水で洗浄してアルコールを除去し、それによって実質的に純粋なペンタフルオロエタンを得る請求項1記載の方法。
- 抽出蒸留帯が蒸留塔内にあり、また第3の混合物が蒸留塔の塔底から回収される請求項1または2記載の方法。
- 抽出蒸留帯が蒸留塔内にあり、また第2の混合物が蒸留塔の塔頂から回収されるクロロペンタフルオロエタンを含む請求項1記載の方法。
- 得られるペンタフルオロエタンが実質的に純粋である請求項1または2記載の方法。
- 第2の混合物が、ペンタフルオロエタンを実質的に含まずに回収されるクロロペンタフルオロエタンを含む請求項1記載の方法。
- 少なくとも一つの抽出剤を添加する前に第1の混合物を蒸留することをさらに包含する請求項1または2記載の方法。
- 少なくとも一つの抽出剤を添加する前に、1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとの間の共沸混合物または共沸混合物様組成物を形成するのに十分な条件の下で蒸留が実施される請求項2記載の方法。
- 1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとからなる第1の混合物を、1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとの間の共沸混合物または共沸混合物様組成物からなる第2の混合物を形成するのに十分な条件の下にある蒸留帯内に導入し、
第1の混合物を蒸留し、第1の混合物から1,1,1−トリフルオロエタンの少なくとも一部を分離し、
蒸留塔の塔底からこの組成物を回収しそしてペンタフルオロエタンを塔頂製品として回収し、そして
1〜4個の炭素原子を含み64℃より高くそして100℃より低い大気圧沸点を有する脂肪族アルコールまたはその混合物からなる抽出剤を塔頂製品に添加して第3の混合物をつくりそして抽出蒸留帯内でこの第3の混合物を抽出蒸留することにより、1,1,1−トリフルオロエタンとペンタフルオロエタンとを分離し、それによって1,1,1−トリフルオロエタンを回収し、そして抽出剤とペンタフルオロエタンとを含む第4の混合物をつくり、そしてこの第4の混合物から抽出剤を分離して実質的に純粋なペンタフルオロエタンを得る
工程を包含する上記の第1の混合物から1,1,1−トリフルオロエタンを分離する方法。 - 共沸混合物または共沸混合物様組成物が5〜41モル%のペンタフルオロエタンと95〜59モル%の1,1,1−トリフルオロエタンとからなり、この組成物が−50〜10℃の沸点と12psia(82.7kPa)〜122psia(841.0kPa)の蒸気圧を有する請求項13または14記載の方法。
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