JP3847909B2 - 脱気装置及び脱気方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は脱気装置及び脱気方法に係り、その目的は、1台の脱気装置で、様々な処理液量、処理液の種類、処理液の性状、処理液の供給方法に柔軟に対応可能な脱気装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、熱交換器における熱交換エレメントや溶液中の溶存ガスの除去等に使用される脱気装置は、フッ素樹脂製の接合部材とフッ素樹脂製チューブを接合せしめた脱気エレメントをプラスチック製や金属製、或いは、ガラス製の真空チャンバー内に固定治具を用いて一体化することにより製造される。
このような脱気装置の例としては、例えば、図4に示すものが存在する。この脱気装置の構成は、フッ素樹脂製の気体透過性チューブからなる脱気エレメント(A)を接合部材(B)により真空チャンバー(C)内部に接続固定してなるものであり、脱気処理される液は継ぎ手(D)を介して脱気装置に接続されたフッ素樹脂製チューブから供給される。
このような脱気装置の運転方法としては、吸引口(E)に接続された真空ポンプ等の減圧装置により真空チャンバー(C)内を減圧した状態で、フッ素樹脂製チューブ内に処理液を加圧送液する方法が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような脱気装置では、処理液の供給量が多い場合には脱気効率を良くするために複数の脱気装置を並列或いは直列に接続しなければならなかった。
一方、処理液の供給量が多い場合でも高い脱気効率を得ることができる脱気装置として、図5に示すような複数の嵌合部を有する接合部材(B)を真空チャンバー(C)に固定し、複数の脱気エレメント(A)を各嵌合部にそれぞれ取り付けた脱気装置も使用されている。
この脱気装置によれば、1台の装置で多量の処理液を効率良く脱気処理することができるものの、以下に述べるような課題が存在していた。
先ず、一度に一種類の液体しか脱気処理することができないため、液の性状(例えば、粘度、密度、水系と溶剤系の別)が異なる2種類以上の液体を同時に脱気処理しようとした場合には、結局2台以上の脱気装置を接続して使用しなければならなかった。
また、高粘度の液体を脱気処理する場合には、チューブ径を太くしたり、チューブ長さを短くしたり、チューブ本数を増やしたりする必要があるが、これらの変更を柔軟且つ容易に行うことができなかった。
さらに、例えば処理液の供給元が1箇所で排出先が複数箇所の場合には1台の脱気装置では対応することができず、2台以上の脱気装置を接続して使用しなければならなかった。
本発明の解決課題は、1台の脱気装置で、様々な処理液量に対応することが可能で、複数種類の処理液を同時に脱気処理することができ、しかも処理液の性状の違いに柔軟に対応可能で、さらには処理液の様々な供給方法、取り出し方法に適応することができる汎用性に優れた脱気装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明では1つの真空チャンバー内に、両端部に継手が接続された接合部材が設けられてなる1本又は2本以上の気体透過性チューブからなる脱気エレメントが2つ以上配設されてなる脱気装置であって、2つ以上の脱気エレメントの液入口同士が並列に接続され、液出口同士は接続されずにそれぞれ独立してなることを特徴とする脱気装置とした。
【0005】
請求項2の発明では、1つの真空チャンバー内に、両端部に継手が接続された接合部材が設けられてなる1本又は2本以上の気体透過性チューブからなる脱気エレメントが2つ以上配設されてなる脱気装置であって、3つ以上の脱気エレメントの液出口同士が接続されずにそれぞれ独立して設けられ、液入口は単独のものと並列に接続されているものが設けられてなることを特徴とする脱気装置とした。
【0006】
請求項3の発明では、各脱気エレメントに供給する処理液が同じであることを特徴とする請求項1又は2記載の脱気装置とした。
【0007】
請求項4の発明では、請求項1又は2記載の脱気装置を使用し、各脱気エレメントに同じ処理液を供給して脱気処理を行うことを特徴とする脱気方法とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱気装置及び脱気方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る脱気装置に共通する基本構成を説明するための参考例を示す断面図である。
図1に示した参考例の脱気装置(1)は、1つの真空チャンバー(2)と該真空チャンバー(2)内に配設される2つ以上の脱気エレメント(3)から構成される。
本発明に係る脱気装置(1)においては、真空チャンバー(2)の材質は特に限定されるものではなく、金属、プラスチック、ガラス等、適宜任意の素材を用いることができるが、耐久性や耐薬品性の点から、金属材料を用いる場合はステンレス鋼を、プラスチック材料を用いる場合はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)等を用いることが好ましい。
また真空チャンバー(2)の形状及び大きさについても、真空ポンプ等の減圧手段と接続可能な吸引口(21)と脱気エレメント(3)に処理液を通過させるための入液口及び出液口を有し且つ所要数の脱気エレメント(3)をその内部に収めることが可能な大きさであれば特に限定されない。
【0009】
脱気エレメント(3)は、1本の気体透過性チューブ又は2本以上の気体透過性チューブが端部において熱融着性を有するフッ素樹脂粉末を介して融着により接合一体化されてなる気体透過性チューブ束からなる。
気体透過性チューブの材質の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、熱融着性を有するフッ素樹脂粉末についても特に限定されるものではないが、具体的には、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等の粉末を好適な例として例示することができる。
【0010】
脱気エレメント(3)は、接合部材(5)を介して真空チャンバー(2)内に固定される。
脱気エレメント(3)と接合部材(5)は、脱気エレメント(3)両端部の接合片(10)をフェルール等の嵌合片(6)を介して嵌合部(51)に嵌合し、袋ナット(7)を雄ねじ部(52)に螺合させることにより接続固定され、また接合部材(5)と真空チャンバー(2)はナット(8)を雄ねじ部(55)に螺合させて鍔部(53)とナット(8)で真空チャンバー(2)の上壁をOリングを介して挟み込むことにより固定される。
脱気装置(1)内に処理液を送り込むためのチューブ(図示せず)接続用の継手(9)は接合部材(5)に螺着され、継手(9)と接合部材(5)の間には図示の如くOリングが介装される。このとき、接合部材(5)の膨らみを防止するために接合部材(5)の外周には筒状の膨らみ防止具(4)が嵌着される。
【0011】
なお、本発明に係る脱気装置においては、脱気エレメント(3)と接合部材(5)及び接合部材(5)と真空チャンバー(2)との接続固定方法は、図示例に何ら限定されるものではなく、接続部の気密性に優れ且つ真空チャンバー(2)内に脱気エレメント(3)を確実に固定することができれば、適宜任意の方法を採用することができる。
【0012】
上記基本構成を有する脱気装置(1)の様々な使用方法の例を本発明の実施例を示す概略図として図2及び図3に示す。
尚、図2及び図3においてU字状に示されているのが脱気エレメント(3)であり、四角形状に示されているのは真空チャンバー(2)である。また矢印(三角印)は処理液の流通方向を示す。
図2は、2つの脱気エレメントの液入口同士を並列に接続し、液出口同士は接続させずにそれぞれ独立させた例であり、供給量が多い場合や高粘度の液体を脱気処理する場合に有効であり、しかも処理液を2箇所に分けて取り出すことができる。
【0013】
図3は、3つの脱気エレメントの液出口同士は接続せずにそれぞれ独立して設け、液入口は単独のものと並列に接続されているものを設けた場合であり、この場合には単独の液入口から入れた処理液を2箇所に分けて取り出すことができるとともに、更に別の種類の処理液を同時に脱気処理することができる。
【0014】
上記した如く、本発明に係る脱気装置によれば、1つの真空チャンバー内に2つ以上の脱気エレメントが配設されているため、各脱気エレメントの接続形態を変えることにより、1台の脱気装置で、様々な処理液量、処理液の種類、処理液の性状、処理液の供給方法に柔軟に対応可能となる。
尚、上記例においては、脱気エレメントの数を2つ又は3つとした例を示したが、本発明においては脱気エレメントの数は限定されず2以上であればいくつであってもよい。また、脱気エレメント同士の接続方法についても何ら限定されず、配管用チューブやLタイプ、Tタイプ等の各種継手などを接続方法に応じて適宜使用すればよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係る脱気装置及び脱気方法の実施例を示すことにより、本発明に係る脱気装置及び脱気方法の効果をより明確にする。尚、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
内径0.9mm、外径1.2mm、長さ3.5mのフッ素樹脂製気体透過性チューブを130本結束し、両端をPFA粉末を介して380℃で熱熔着して接合一体化したものを2つ製作し、それぞれを第1脱気エレメント、第2脱気エレメントとし、これらの脱気エレメントを真空チャンバーに取り付けて図1に示すような脱気装置を得た。
得られた脱気装置を用いて、以下のaに示す方法で脱気装置に処理液(純水)を供給したところ、良好に脱気処理を行うことができた。
a.配管用チューブと継手Lタイプ及びTタイプを用いて脱気エレメントの入口側同士を並列に接続して、一方出口側は接続せずに単独として処理液を供給した。(図2の接続形態)
【0016】
(実施例2)
上記実施例1において脱気エレメントの数を3つに増やして脱気装置を構成し、以下のbに示す方法で脱気装置に処理液(純水)を供給したところ、良好に脱気処理を行うことができた。
b.配管用チューブと継手Lタイプ及びTタイプを用いて脱気エレメントの入口側の2本を並列に接続し残りの1本を単独とし、一方出口側は接続せずに単独として処理液を供給した。(図3の接続形態)
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、1台の脱気装置で、様々な処理液量に対応することが可能で、且つ、複数種類の処理液を同時に脱気処理することができ、しかも処理液の性状の違いに柔軟に対応可能で、さらには処理液の様々な供給方法、取り出し方法に適応することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る脱気装置に共通する基本構成を説明するための参考例を示す断面図である。
【図2】 本発明に係る脱気装置の使用方法の例を示す概略図である。
【図3】 本発明に係る脱気装置の使用方法の例を示す概略図である。
【図4】 従来の脱気装置の一実施例の断面図である。
【図5】 従来の脱気装置の一実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 脱気装置
2 真空チャンバー
3 脱気エレメント
5 接合部材
9 継手
Claims (4)
- 1つの真空チャンバー内に、両端部に継手が接続された接合部材が設けられてなる1本又は2本以上の気体透過性チューブからなる脱気エレメントが2つ以上配設されてなる脱気装置であって、2つ以上の脱気エレメントの液入口同士が並列に接続され、液出口同士は接続されずにそれぞれ独立してなることを特徴とする脱気装置。
- 1つの真空チャンバー内に、両端部に継手が接続された接合部材が設けられてなる1本又は2本以上の気体透過性チューブからなる脱気エレメントが2つ以上配設されてなる脱気装置であって、3つ以上の脱気エレメントの液出口同士が接続されずにそれぞれ独立して設けられ、液入口は単独のものと並列に接続されているものが設けられてなることを特徴とする脱気装置。
- 各脱気エレメントに供給する処理液が同じであることを特徴とする請求項1又は2記載の脱気装置。
- 請求項1又は2記載の脱気装置を使用し、各脱気エレメントに同じ処理液を供給して脱気処理を行うことを特徴とする脱気方法。
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